[amp 09-05-20] G30決定、明日5/21公判
立命館大学教職員の皆様へ
─目次───────────────────────────
1─ 2009年度春闘方針特別決議 2009.5.15
1a─ 3つの留意点(抜粋)
1b─ 9つの付帯条件(抜粋)
2─ 一時金訴訟をすすめる会ニュース No. 32 2009.5.18
────────────────────────
[1]によれば5月13日の常任理事会でG30申請が決定され、応募締切の5月1
8日にすでに申請がなされたそうですが、正式には本日の常任理事会でG30申
請を最終的に承認することになっているようです。
最終承認が締切日までに間に合わなかったので、とりあえず提出しておいて
追認する、という手続きのようです。万が一追認されなければ応募書類を撤
回すれば良いということなのでしょうが、提出してしまった以上今更議論し
てもしかたがないということで、最終的な吟味の機会であったらしい昨日の
教授会等では余り議論にならなかった学部が多いのではないでしょうか。昨
年の特別転籍承認時に事後承認を求められたときの雰囲気が生々しく記憶に
甦る、不吉で後味の悪い結末でした。
理事会文書によれば、G30事業に毎年約13億円が必要となり、G30が終了後
は補助金がなくなるので毎年約15億円(その内、人件費5億円、奨学金7
億8千万円)が必要になるそうです。約4万人弱の日本人学生から毎年4万
円ずつカンパさせて3千余人の留学生に使う、という話しです。また、教職
員数を2〜300名増やせる規模の投資です。その時々の学生が納得するよ
うな、投資に見合うような意義のある事業になるかどうか懸念されます。
その種の懸念を、多くの学部教授会が表明したため、本日の常任理事会で承
認予定の文書「G30への立命館大学の申請について(案)」では、9つの
条件([1]に要約が転載されている)が付してあり、その一つとして
「G30計画の財政負担が過大となると見込まれた場合は、
常任理事会の責任で、適宜、G30申請内容の見直しを図る」
と書かれていますが、「過大」の意味があいまいです。たかが20億円程度
の補助金カットで経営陣が責任をとる必要などない、という幹部集団は、上
記の15億円が30億円になっても「過大な財政負担」とは判断しないでしょ
う。
なお、国会の付帯決議のような「G30申請を行う際についての留意点」という
文書(これは[1]に転載されている)も、(G30申請書ではなく)本日の決定
内容を記す理事会文書に添付されるようですが、そこには
「本計画が立命館大学の教学や重要諸課題の遂行との間で矛盾をもたらす
ことが明らかとなった場合は、既に着手された事業部分については立命
館大学独自の国際教育の推進としてそれを位置づけし直し、今次G30の
計画としては、事業そのものの抜本的見直しもありうることとする」
と書かれています。しかし、「各学部・研究科国際教育推進計画の積み上げ
とグローバル30に関する検討」(5・20)という文書の「教員整備につ
いて」では、たとえば
「7. 教員整備について. 原則として、現行教員整備計画で措置されて
いる高度化の枠(全学枠2名大学院前期/修士課程6名、後期課程
15.5名)、および未整備の全学教育機構の教員定数を活用してG30に対
応する教員整備を進める(以下略)」
「9. 奨学金. (中略)原則として、基本的な外国人留学生向けの奨学
金ベースに、充実した既存の奨学金(西園寺など)を活用して(中略)
魅力ある経済的条件を打ち出し(以下略) 」
と書かれていて、すでに「立命館大学の教学や重要諸課題の遂行」のための
はずの資源の転用や、学生にとって勉学の励みになっている西園寺奨学金と
いう資源の「活用」まで視野にいれていることがわかります。これは「矛盾」
ではないから、かまわないというのでしょう。
G30申請により立命館大学は、垣間見えていた真の改革の機会を、遠い未来へ
抛擲してしまった印象は拭いきれません。一時金訴訟をすすめる会の継続
[2] 、総長選挙制度の見直しのボトムアップ運動の重要性が増大したようで
す。
┌1───
│立命館大学教職員組合連合第34回定期大会 2009年度春闘方針特別決議 2009.5.15
https://j-union.com/-/rits-union/file/html/open/200905special_ketsugi.pdf
G30への申請強行が引き起こした学内の亀裂、「信頼回復」への疑念、お
よび教学・労働条件にかかわるリスクを憂慮し、今後予想される問題に責任
をもって対処するよう、常任理事会に要請する
2009年5月13日、常任理事会は、複数の教授会から強い異論が出さ
れ、職員の各職場でも検討らしい検討が行われないままであったにも関わ
らず、「平成21年度国際化拠点整備事業」(G30)への申請を決定し
た。教職員組合は、これまで二度にわたり慎重かつ民主的な全学議論を求
めてきたが、今回の拙速な決定に深い憂慮と遺憾の意を表明する。今回の
常任理事会での決定にあたって、3点の留意点と9項目もの付帯条件が付
けられたことは、学内での検討および意思形成が不十分であることを常任
理事会が自ら認めているものと解せる事態である。そのうえでなお申請が
強行されたことは、常任理事会が昨年来掲げてきた「信頼回復」という言
葉の真実性に疑念を抱かせるものである。今回の決定が断行されたことを
受け、教職員組合は、次の5つの点について合理的で根拠のある回答を常
任理事会に求める。
(中略)
3.G30への申請の是非をめぐっては、とりわけ申請内容の実現可能性
に対する懸念から、各教授会における議論の中で多くの反対意見や慎重論
が出された。それらの意見に対して説得力ある回答が示されるべき必要性
は、申請が決定した現段階であるからこそ、一層高まっている。とりわけ、
(1)入試・募集に関わる疑問(例:申請にあたって設定されている人数の留
学生を本当に確保することができるのか、なおかつ入学してくる留学生の
学力水準は維持されるのか)、(2)カリキュラムに関わる疑問(例:G30
のために設けられる英語で学位取得可能なコースにおける教学内容が、当
該学部・研究科の既存のカリキュラム・ポリシーと齟齬をきたすことはな
いのか)、(3)留学生寮に関する疑問(例:長期の留学生のみならず短期の
留学生に対してはとりわけ寮の確保が不可欠であるが試算されている規模
ではとうていまかなえないのではないか)、(4)進路に関わる疑問(例:ど
れほどの留学生が日本で就職の場を得ることができるのか)、(5)事務体制
に関わる疑問(例:二言語あるいは多言語による事務対応がスムーズに行
えるのか、そのための人員配置や研修実施はどれほど可能なのか)、(6)財
政に関わる疑問(例:G30に関連する収入と支出の明示はもとより、全
学の財政構造との関係もふまえた明確な財政的裏付けはあるのか、計画の
実施によって全学の財政にいかなる影響が出るのか)を中心に、今後、G
30への申請内容が実現可能であることの根拠について、各教授会および
各部課に対する説明責任を果たしていくことを常任理事会に求める。仮に
合理的な根拠が示されない場合、G30からの撤退も含めた見直しの議論
を始めることも視野に入れておくよう、併せて要請する。
(中略)
5.今回の申請文書を全学の教職員に開示するとともに、常任理事会が自
ら設けた3つの留意点9つの付帯条件(別紙参照)を真摯に守り実行する
ことを全学に公然と約束し、この約束を厳正に果たすことを要求する。教
職員組合は、3つの留意点と9つの付帯条件に関する実行状況を注視する
とともに、実行がされていない場合は、速やかに見直しの論議に入ること
とする。
─1a─ 3つの留意点(抜粋)
(1)学園構成員のベクトルを合わせるために、全学的な学園運営においてそ
の協力関係が構築できないと首尾よく進むべくもない国際教育であること
を強く意識し、全学あげての推進体制の構築について、最大限の配慮を払
うこととする。
(2)G30の計画が、全学あげての教学システムの抜本的改革や各学部・研
究科の教学改革、教職員の労働条件、学生生活支援の諸課題の遂行と整合
性ある国際教育の推進計画となるようにする。本計画が大学の教学や重要
諸課題の遂行との間で矛盾をもたらすことが明らかになった場合は、既に
着手された事業部分については立命館大学独自の国際教育の推進としてそ
れを位置づけし直しつつ、今次G30の計画としては、事業そのものの見
直しもありうることとする。
(3)常任理事会は、G30計画の第一段階の二年間の間に学園ビジョンの策
定と新中期計画のための全学議論を進めることに全力をあげることするが、
その新中期計画の策定と学園ビジョン形成の課題は最優先事項である。G
30申請事業が学園のビジョン策定と新中期計画のための自由な議論と構
想を妨げることがないように配慮する。
─1b─ 9つの付帯条件(抜粋)
(1)「申請内容のみならず、国際教育の到達点と課題に関して、申請以後か
ら採否の通知に至るまでの間に、今次申請内容を教職員に周知し、具体的
な本プログラムの実行過程で想定される諸課題について、継続した討議を
行う。」
(2)「G30計画の財政負担が過大となると見込まれた場合は、常任理事会
の責任で、適宜、G30申請内容の見直しを図る。」
(3)「G30にかかわる教育プログラムの新設、カリキュラム改革、教室条
件、国際宿舎、奨学金、海外活動拠点、留学生募集業務、入試・受け入れ
業務、学生生活ならびに履修相談業務、就職支援業務などについて、関係
部局の討議検討を踏まえて実行可能で明確な計画にさらに練り上げ、各学
部・研究科の教学体系や教学との整合性に留意する。」
(4)「常任理事会の責任で、学園の総合的諸課題の推進を保証するG30を
含む総合的なキャンパス整備の全体像を、キャンパス整備委員会での討議
を経て早期に提示し、全学の討議に付すものとする。」
(5)「G30計画にかかわる教員整備ならびに事務体制の整備については、
滞りなくこれを行う。」
(6)「留学生受け入れに関しては、数値目標のみを絶対視せず、各学部・研
究科で受け入れるにふさわしい質の留学生確保をアドミッションポリシー
として基本に置き、柔軟な計画の運営に努める。」
(7)「国内学生の海外への送り出し、研究の国際化、国内学生の語学能力及
び国際コミュニケーション能力の向上や留学支援制度の充実などの施策に
ついても重視し、全学的な仕組みと学部・研究科の計画との有機的な連携
をはかるものとする。また、留学生と国内学生との交流やコミュニケーショ
ンを促進する施策についても積極的に位置づけていくものとする。」
(8)「教学の国際化を推進するに当たっては、国際水準にふさわしい講義規
模の適正化や教育の質の向上のための教学諸条件の整備を不可欠の課題と
する。」
(9)「他大学とも協力しながら、国家レベルの奨学金基金の創設や留学生の
受け入れ支援政策の充実、教育の国際化を支援する政策の抜本的な拡充、
さらには卒業留学生を広く受け入れる企業側の政策的配慮等を、見識ある
行動として内外に働きかけるイニシアチブを発揮する」
(2009年5月13日常任理事会資料より)
┌2───
│ 一時金訴訟をすすめる会ニュース No. 32 2009.5.18 より
「5月21日の裁判に多くの人が詰めかけることが勝利への道」
5月21日(木)12:40京都地裁(丸太町通り柳馬場)ロビー集合
(抜粋)
「理事会側の協議申入れに当たって、5月8日にすすめる会の集会をもちまし
た。(中略)集会では「原告の中には、これで和解してしまうのか、という
危機感もある」との意見もありました。和解は、そもそも原告一人ひとりが
自ら決めることですが、世話人会としては、あの申入れ内容で和解すること
はありません。8日の集会は、こんな内容は受け入れられない、という雰囲
気で満ちあふれていました。また、当然のことですが、和解されていない以
上、法廷での闘争はこれまでどおり継続されます。」
┌───────
│¶以下は発信人の註.
ログ目次:http://ac-net.org/rtm/amp/