[amp 2010-09-28-1] 国際関係学部決議、茨木キャンパス用地の騒音、ほか

立命館大学の教員のみなさま
Cc: 学園のみなさま

┌──目次─
│【1】「立命館大学キャンパスに関する将来構想」に対する国際関係学部の意見 2010.9.13
│【2】 村上弘(法学部)「茨木の新キャンパス候補地の現地見学報告」
│【3】ゆにおん No 42 「新キャンパス構想」課題に関する交渉(概要報告)
└───

国際関係学部は教授会決議の中でキャンパス構想の進め方において「手続的正
義」に欠けるという指摘【1】をし、キャンパス用地購入問題における学園執
行部の対応にみられる倫理的感覚の麻痺に注意を喚起しています。密室的意思
決定に不可避の陥穽の一つです。

本日の教授会で初めてキャンパス問題を審議する学部でも、種々の意見の羅列
のような意見集約ではなく、学部としての統一見解を明確にすることが好まし
いように思います。しかし多くの学部が反対の見解を明確にしても、学園執行
部は、自分たちは十分に時間をかけて検討してきた、これから十分に説明して
いけばわかってもらえるはず、というお経を唱えながらキャンパス購入を強行
するようです【2】。

法学部の村上教授が実地を視察して新しい問題点に注意を喚起されています
【3】。3分毎に至近距離を通るJR特急の轟音から教室を守るために防音ガ
ラスが必要となるところにキャンパスを作ろいうという大学はあまりないと思
いますが、そこに棲むはずもない雲の上の人には何の問題にもならないようで
す。

耳を塞いであらゆる批判を聞き流しゼネコンが紹介したキャンパス用地の購入
に突進する様には、ことばを失わせるようなおぞましいものがあります。特別
転籍で、文科省の報道発表(2008.6.4)
  https://j-union.com/-/rits-union/file/html/open/kensyo-shiryo.pdf
  http://www.ac-net.org/rtm/amp/29.html
において「入学直後の転学部が、教学条件の改善よりも大学等の設置認可や私
学助成において不利とならないようにすることを目的として実施したと考えら
れること。」を指摘され、「立命館大学において実施された入学直後の転学部
には、教育上の合理的な理由があったと判断できず、また、学校法人としての
管理運営も適正を欠いていると判断し、本日、その旨を学校法人立命館に伝達
しました。」と公開の通達を受け、補助金25%カットの「行政処分」を受け、
学生軽視経営優先の大学ということで立命館の社会的信用を著しく失墜させた
責任をとって2年前に総退陣すべきであった任期無限の人たちは、一度傷つい
た社会的信用を回復するのにどれだけ長い長い期間が必要か、ということは理
解できないようです。

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│「立命館大学キャンパスに関する将来構想」に対する国際関係学部の意見 2010.9.13
  http://ac-net.org/rtm/campus/doc/2010-09-13-kokkan.html
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│                     2010年9月 6日 国際関係学部執行部会議
│                     2010年9月 7日 国際関係学部教学政策委員会
│                     2010年9月 7日 国際関係学部教授会
│                     2010年9月13日 国際関係学部執行部会議
│
│
│   「立命館大学キャンパスに関する将来構想」に対する国際関係学部の意見
│
│
│1 これほど重大な案件をこれほど短時間で決定することは手続的正義の観点からみて問題が
│多すぎる。
│
│新中期計画の議論がここまで進行した段階で、突然、新キャンパス構想が提起された。もっ
│と早い段階でこの問題を全学に提起できなかったのであろうか。新中期計画のこれまでの議
│論はいったい何であったのだろうか。全学的な議論が始まるまえに、一部の学部が新キャン
│パスに関する議論を開始するのは、手続的にきわめて問題がある。また、どういう経緯か不
│明であるが、まだまだ議論の途中である新キャンパス問題が、新聞の報道するところとなっ
│た。さらに、総合企画室名で出された「『キャンパス創造』に関する補足説明について」と
│いう文書は、常任理事会の審議を経ずに出されたものであり、手続的に問題があり、加えて
│情報に評価が加えられており内容的にも問題を含んでいる。キャンパス問題は、教学問題で
│ありガバナンス問題である。立命館大学の今後の数十年に影響する問題であり、丁寧に手続
│的公正を実現しつつ全学の合意形成をめざすべきである。
│
│2 中長期的にみて衣笠キャンパスにおけるスペースの確保、施設の維持が困難であること
│は「将来構想」文書と見解を共有している。しかし、それを克服するための方法を粘り強く
│追求すべきではないか。
│
│衣笠キャンパスの狭隘性を克服すべく、15年前にBKCへの展開をはかったが、わずか15年でふ
│たたび狭隘化するにいたった。過去15年間、衣笠キャンパス、BKC、さらに朱雀キャンパスで、
│学部および研究科の新設が休みなく続き、教育と研究の質的向上の実現が不十分であったこ
│とは否定できないだろう。教育と研究の質的向上のために、学生および院生の適正な規模に
│ついて、またそれを支える教職員の勤務条件について吟味が必要ではないだろうか。
│
│第一に、大阪・北摂地域に新キャンパスを展開して4キャンパスになった場合、分散された
│4キャンパスを適切に運営していくことの困難さは容易に想像できる。学部横断的なプログ
│ラムを運営することの困難、学生の課外活動における困難等がある。また、現在でもすでに
│職員の勤務実態は厳しいものがあるが、4キャンパスを実現し、維持していく場合の教職員
│の負担はあまりにも大きい。
│
│第二に、関西で最大となった立命館大学の学生規模について再検討すべきであろう。今後予
│想される18歳人口の減少を見通したとき、学生規模の縮小は合理的な選択肢の1つであろう。
│現在の学生規模を維持するだけでも、18歳人口の減少後、入学者の学力低下が予想される。
│学生規模縮小には長期的な周到なプランが必要であるが、教育と研究の質的向上のためには、
│むしろこの方向性を追求すべきではないだろうか。
│
│
│3 「グローバル化時代における新しい社会のあり方を構想するための立命館らしい社会科
│学の構築、国際教養や文化の創造」という新キャンパスのコンセプトは、国際関係学部およ
│びAPU と競合する可能性がある。
│
│経営学部と政策科学部が新キャンパスに関する議論をしているようであるが、新キャンパス
│のコンセプトが上述のようなものであるとすると、衣笠キャンパスの国際関係学部、APUとの
│違いが不明確になり、立命館学園の中で適切な役割分担が実現できず、対外的にあまり効果
│的でないと思われる。また、キャンパスのコンセプトは学部の教学理念と無関係に議論され
│るべきではないだろう。
│
│
│4 立命館大学は、BKCを持っているとはいえ、京都を基盤とする大学である。
│
│大阪・北摂地域にキャンパスを持つことのメリットもあるだろうが、そのメリットとデメリッ
│トを慎重に比較考量すべきである。
│
│
│5 新キャンパス構想にともなう財政の見通しが不明であり、これでは決断できない。
│
│新キャンパス用地の獲得、校舎の建設等の諸経費、それにキャンパスを維持していく諸経費
│が不明である。このような状態で選択をすることはできない。
│
│ 以上のような理由から、国際関係学部は現在提案されている新キャンパス構想に反対である。
│
│以上
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│村上弘(法学部)「茨木の新キャンパス候補地の現地見学報告」
 実現する会ニュース No 54  2010.9.27
  全文:http://ac-net.org/rtm/campus/doc/2010-09-27-jitsugen-news-54.pdf

┌──抜粋───
│9月17日に、私は新キャンパスの候補地(JR茨木駅南のサッポロビール工
│場跡地)の周辺を2時間くらい徒歩で回って、専門の1つである都市政策の視
│点から観察しましたが、下のような問題点が見いだされたので、いっそう慎重
│に検討する必要があると考えます。(・・・)大学・理事会の文書には、下に
│示すような交通騒音やアクセス道路の狭さ、周辺の詳細地図についても、確認
│のうえ事実として正確に記していただくよう、求める必要があります。 
│
│(1)JRの交通騒音(資料2)
│
│敷地のすぐ西側に沿ってJR東海道線が伸びている。茨木駅に停車しない特急
│「はるか」「サンダーバード」、新快速、貨物列車(合わせて1時間に一方向
│へ10本程度)は高速走行で騒音が激しい。停車する列車も走行音をたてる。
│長方形の敷地の長い辺に沿って、3分ごとに高速列車が通過するわけだ。周辺
│のマンションと同じく、教室は防音で対応できるが、キャンパスのオープンス
│ペース部分では、騒音の影響を受ける。(・・・)
│
│(2)高架高速道路と雰囲気(資料2)
│
│(・・・)茨木駅周辺には商業ビルやマンションが並んで緑地などがなく、キャ
│ンパス環境としては「大阪圏で駅に近い」以外に良い点が見つけられない。大
│学院を造るならともかく、学部学生を受け入れるのだから、衣笠、BKCや、
│関大の本部、関学には相当劣る雰囲気のキャンパスになるだろう。(・・・)
│
│(3)駅からの通学道路(資料2)
│
│JR駅から工場跡地に至るまでの通学路に、道路の狭い部分がある。道幅は、
│衣笠の小松原郵便局から東門までの道と同程度かやや広いようだが、車道とし
│ても利用されている。また、衣笠ならば正門やその他の門があるが、茨木の場
│合は、これが駅からのおそらく唯一の通学ルートなので、懸念される。
│ 関大のミュースキャンパスは区画整理によって道路が整備されているが、茨
│木はそうでない。市が駅と結ぶ新たな道路を建設するという話もあるが、ビー
│ル工場跡地と駅の間にはすでに中層を含む建物が並び、難しいようにも思える。
│大学への通学路を整備するために、土地の強制収用はできないだろう。道路整
│備計画については、土地を買う前に確認を要するし、大学の文書に明示してい
│ただきたい。
│ 大学の文書では「モノレール駅に近い」とされるが、途中にJR線が障壁に
│なっているために、直線距離で予想するより徒歩でははるかに遠かった。今後、
│改善されるという話もある。(・・・)
│
│(4)広大な土地を、設置・移転学部を構想しないまま購入してよいのか
│
│(・・・)本来は、移転・新設学部の計画をある程度決めてから、土地を購入
│するのが理想だ。しかし、相手側は10月末までの購入を求めるなど、強気の
│態度だと言われる。この強気の波形は、(ボーカー・ゲームの場合と同じく)
│物件の価値がとても高いか、逆に売れにくい問題物件なのかのどちらかだろう。
│立命の交渉担当者のご苦労は察するが、拡大路線の立命が、足元を見られてい
│る可能性もある。客観的には、上記のやや劣悪な立地条件で広いキャンパスを
│作る大学が他にあるかは疑問だし、大型商業施設もすでに西側にあるので建設
│の可能性は小さいが、最後はマンション用地として売れるので、強気なのだろ
│う。(・・・)向日市の「キリンビール京都工場跡地」は区画整理で整備され
│るので、おそらく分割購入しやすく、JR・阪急の駅にも近い。茨木よりはお
│いしそうだが、もう買い手は決まってしまったのだろうか。
│
│(5)規模の経済の低下、既存キャンパスとの分断 (・・・)
│
│(6)衣笠キャンパスの混雑問題 (・・・)
│
│(7)結論
│
│以上の検討から、私見では、茨木のキャンパス候補地は、関大ミューズキャン
│パスのような小規模の展開で、かつ次の3つの条件が満たされている場合にの
│み、一定の妥当性と現実性を持つと考えられる。
│┌───
││(i) アクセス道路が、茨木市によって責任を持って整備されること。
││(ii) JRの騒音に対して、キャンパスの環境を確保するための施設設計の概要が示されること。
││(iii) 工場跡地の一部だけを購入できること。
│└───
│その場合でも、他の候補地との比較を十分に行う必要がある。
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┌3───────
│ゆにおん No 42 「新キャンパス構想」課題に関する交渉(概要報告)

 全文:http://ac-net.org/rtm/campus/doc/2010-09-28-union-42.pdf
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│9月22日(水)、19時より、新キャンパスに関わる交渉を開催しました。組合は、
│各職場での意見集約から、現時点で直ちに全学合意を出来る状態にないこと、
│その全学の意見を真摯に受け止めるべきであることを指 摘しましたが、「説
│明すれば分かる」として、キャンパス取得ありきの回答に終始しました。以下
│に当日の議論を紹介します。
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