┌─目次── │ ─1─ 「あるべき総長像の議論の活性化のためにー総長選挙に向けた問題提起(その1)ー │ ─2─ 教職員組合連合公開質問状 │ ─3─ [kinugasa-forum] 組織衰退の5段階 │ ─4─ [amp 08-11-11] 経営者の関与する不祥事監査のチェックリスト、より └───総長候補4名
と選挙人377名
が公示されました。現総長の他の3候補者は全員BKCキャンパスからであるだけでなく全員が総合理工学院所属教員という推薦結果でした。
総長選挙制度是正の実現に言い尽くせない役割を果たした「総長公選制を実現し、学園民主主義を創造する会」は、この新制度により学園の総意を反映した総長が選出されることに誰よりも強い関心を持ち、選挙人のかたがたが真剣に判断されることを誰よりも願っているのは当然のことと感じます。その真剣さと熱意が問題提起【1】に滲み出ています。選挙人の方々がこれをまず熟読されることを願っています。また、教職員組合の公開質問状【2】が出ました。
国際関係学部教授会で学部長が『ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階』(2010) を紹介された記事が衣笠フォーラムMLにありました【3】。
「企業が第三段階に移行すると、内部では警戒信号が積み重なってくるが、外 見的には業績が充分に力強いことから、心配なデータを「うまく説明する」こ とができるか、困難は「一時的」か「景気循環によるもの」か「それほど悪く ないもの」であって、「基本的な問題はない」とほのめかせる。この段階には 指導者は悪いデータを小さくみせ、良いデータを強調し、曖昧なデータは良く 解釈する。上に立つものは後退の原因として外部要因を指摘するようになり、 自分で責任を引き受けようとはしない。・・・ 上に立つ者が大きすぎるリス クをとって企業を危険にさらすか、リスクをとったときの結果を考えずに行動 するようになると、第四段階に突入することになる。」(p.49)
まるで3キャンパス構想のことを言っているのかと思うほど今の立命館にピッタリの叙述であり、立命館は第4段階に突入するかどうかの瀬戸際にあるということがわかります。
2年前に「読者」から紹介いただいた「経営者の関与する不祥事監査のチェックリスト」は、上のような衰退を未然に予防するためのチェックリストにもなっている、と思い出されましたので抜粋再掲しました【4】。
「第2編 経営者の関与する不祥事監査チェックリスト」には「経営者の関与する不祥事」として「著しい善管注意義務違反」も挙げられていて、その例として「リスクの大きな融資、投資、資産運用等における合理性を欠く意思決定」があります。
「著しい善管注意義務違反」は、経営者における案件実施への動機が強過ぎて、 抑制的な要因(ガバナンスによる牽制、事前の法務チェック等)が脆弱であると、 実現する可能性が高くなる。茨木キャンパス購入に対する学園幹部の動機が強すぎるので、もしも学部長理事制度による経営部門牽制機能が脆弱であると、200億円前後もする土地を「買ってから使い方を考えればよい」などという「著しい善管注意義務違反」がまかり通って、合理性を欠いた大規模資産運用により立命館学園は大打撃を受ける、ということです。
それを未然に防ぐのが監事制度の機能の一つです。
┌現在の監事─ │常勤 久岡 康成 監事(2000-2004教学担当常務理事、近畿大学兼任教員) │非常勤 尾崎 敬則 監事(弁護士) │非常勤 戸田 雄一郎 監事(長岡京市副市長、長岡京市総合計画審議会委員) └───監事監査規程第9条により常任理事会に常時出席している監事は、監事監査規程第16条に従い是正を勧告する権限があります。この牽制機能も脆弱な場合は立命館学園が第4段階に突入する懸念は大きいことになります。
┌監事監査規程─ │ │第5条 監査は、法律、法令、通達、寄附行為および学内諸規程に照らし、 │主に次の各号に掲げる事項を行う。 │ (1) 諸決定および決定手続きに関する事項 │ (2) 事業計画、予算計画の履行に関する事項 │ ¶他 │ │第6条 監査の種類は次のとおりとする。 │(2) 臨時監査 │ 監事が特に必要と認める事項が生じた際に、監査計画に拘わらず実施する監査 │ │第9条 監事は、決定と審議の状況を把握するため、理事会および評議員会に常 │ 時出席しなければならない。ただし、議決には参加できない │ │第16条 監査の結果、是正・改善の勧告または指摘がある場合、理事長は常 │任理事会に諮り、速やかに是正・改善の措置を講じなければならない。 └───
「実現する会ニュースNo58 2010.10.6」(総長選挙に向けた問題提起)
http://ac-net.org/rtm/campus/doc/2010-10-06-jitsugen-news-58.pdf
「あるべき総長像の議論の活性化のためにー総長選挙に向けた問題提起(その1)ー 2010年10月6 日 「総長公選制を実現し、学園民主主義を創造する会」 はじめに 「実現する会」は、この間、立命館民主主義の新たな次元での再生・創造に心 を寄せる圧倒的多数の教員・職員の支持の下、事実上の理事長による任命制か ら民主的な公選制への全面的転換を図る総長選挙規程の制定に尽力し、現在、 その規程の下で総長選挙が執り行われる運びとなっている。しかし、総長選挙 の制度的仕組みを整えただけで、全構成員自治の趣旨に従った民主的な選挙が 自動的に達成されるわけでないことはいうまでもない。立命館学園が現在直面 しているもろもろの課題について、各選挙区において議論が民主的かつ十全に 尽くされ、その延長線上で総長が選出されることが求められるが、そのために は、あるべき総長像を示し、これをめぐって全学で論議することが不可欠であ る。 以下、このような議論を全学で活性化させるきっかけとなることを期待して、 「実現する会」は、総長選挙をめぐって検討されるべき論点と新総長が取るべ き立場とについて全学に問題を提起するものである。今回は、ガバナンス問題、 教学問題、学費・奨学金問題を中心に提言を行うものとしたい。 (¶以下見出しのみ転載。全文 => http://bit.ly/9k0K5w ) ┌─── │I 立命館学園における総長の位置づけと今次総長選挙の意義 │ │ 1) 「教学優先」の立場を貫ける総長 │ │ 2) 民主的なリーダーシップを発揮できる総長 │ │II. 新キャンパス問題 │ │ 1) グランドデザインなき茨木キャンパス取得の白紙撤回 │ │ 2) 学園の英知を結集したキャンパス問題の解決 │ │III.学園の管理・運営のあり方 │ │ 1) この間の管理・運営の問題性 │ │ 2) この間の不祥事の徹底した検証 │ │ 3) 一時金訴訟団との和解に向けた取り組み │ │ 4) 理事長および総長のリコール制度等 │ │IV 教学問題(大学) │ 1) 教学の「質」の改善 │ │ 2) 教員対学生比率(ST比) │ │ 3) 新学部・新学科の設置問題 │ │V. 新中期計画 │ │VI 学費・奨学金政策(大学・大学院) │ │ 1) 学費・奨学金問題についての立場 │ │ 2) 学費の現状 │ │ 3) 学費改定方式、「係数」の見直し │ │ 4) 新中期計画「中間まとめ」の問題点 │ │ 5) 学費に関する説明責任 │ │ 6) 奨学金政策 │ │ 7) 公費助成運動 │ │VII. 附属校・提携校政策 │ │ 1) 附属校・提携校政策の検証 │ │ 2) 附属校の課題 │ │ 3) その他の緊急課題 └─── 以上
┌─見出し── │1.学園像について │ │2.教学・研究条件について │ │3.学園の管理・運営について │ │4.学費のあり方・奨学金政策、公費助成の取り組みについて │ │5.「茨木新キャンパス」土地取得について │ │6.教職員を励ます施策について │ │<立命館アジア太平洋大学> │ │<附属校> │ │1.附属校出身学生への評価と今後の附属校政策について │ │2.提携校政策の総括と今後の政策 │ │3.保護者の学費負担の軽減について │ │4.非正規雇用の教職員の現状理解と専任率向上のための人事政策について │ │5.教育の質の向上に不可欠な教職員のゆとりを生み出す政策 │ │6.以下の各校の個別の課題についての考えをお聞かせ下さい。 └───
Date: Thu, 7 Oct 2010
先日の国際関係学部教授会で学部長から紹介されました著作がありますので、 共有したいと思います。 ジェームズ・C・コリンズ『ビジョナリーカンパニー 3 衰退の五段階』(日 経BP社、2010年)です。これは、成功から衰退していった企業の調査に基づき、 共通する次の5段階があることを明らかにしています。これは企業といわず、 一般の組織に当てはまる法則に思えました。 私自身、身の毛もよだつ思いにかられました。以下、引用いたしますが、この 本全体にわたって詳細に述べられていますので、興味のある方はぜひ読まれて ください。 本学は今何段階目にあるのでしょうか、それともこれとは無縁なのでしょうか。 === (強大な企業がいかに衰退するかを示す段階的な)枠組みは五段階で構成され、 それぞれの段階を順番に経過する。(p.46) 第1段階 成功から生まれる傲慢 「・・勢いがついているので、経営者がまずい決定を下すか、規律を失っても、 企業はしばらく前進できる。第一段階がはじまるのは、人々が高慢になり、成 功を続けるのは自分たちの当然の権利であるかのように考えるようになり、当 初に成功をもたらしてきた真の基礎的要因を見失ったときである。・・」(p.47) 第2段階 規律なき拡大路線 「第一段階の傲慢(「われわれは偉大であり、何でもできる」)から直接に生 まれるのが第二段階の規律なき拡大路線である。規模を拡大し、成長率を高め、 世間の評価を高めるなど経営陣が「成功」の指標だとみるものはなんでも貪欲 に追求する。・・ 組織の成長が速すぎるために、主要なポストに適切な人材 を配置することができなくなったときには、衰退の道を歩み始めている。」 (pp.47-48) 第3段階 リスクと問題の否認 「企業が第三段階に移行すると、内部では警戒信号が積み重なってくるが、外 見的には業績が充分に力強いことから、心配なデータを「うまく説明する」こ とができるか、困難は「一時的」か「景気循環によるもの」か「それほど悪く ないもの」であって、「基本的な問題はない」とほのめかせる。この段階には 指導者は悪いデータを小さくみせ、良いデータを強調し、曖昧なデータは良く 解釈する。上に立つものは後退の原因として外部要因を指摘するようになり、 自分で責任を引き受けようとはしない。・・・ 上に立つ者が大きすぎるリス クをとって企業を危険にさらすか、リスクをとったときの結果を考えずに行動 するようになると、第四段階に突入することになる。」(p.49) 第4段階 一発逆転の追求 「・・・このとき決定的な問題は、指導者がどう対応するかである。一発逆転 狙いの救済策にすがろうとするのか、それとも当初に偉大さをもたらしてきた 規律に戻ろうとするのか。一発逆転策にすがろうとするのであれば、第四段階 に達しているのである。・・・劇的な行動をとったとき、当初は業績が良くなっ たようにみえるかもしれないが、長続きしない。」(p.50) 第5段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅 「・・・第五段階には、後退を繰り返し、巨費を投じた再建策がいずれも失敗 におわったことから、財務力が衰え、士気が低下して、経営者は偉大な将来を 築く望みをすべて放棄する。会社の身売りを決める場合もあり、衰退して凡庸 な企業になる場合もある。極端な場合には企業が消滅する。」(pp.50-51)¶
p23 「不祥事」を許容する組織的環境の例示 「不祥事」は、経営者自身が全ての行為を単独で行うことは稀であ り、通常は社内の複数の協力的な行為により完遂される。経営者が 「圧力」を感じ「動機」を持っても、会社に「不正を絶対許さない」 という確固たる企業風土があると「不祥事」の発生プロセスの進展 は抑制される。逆に会社の内部統制に、以下に例示するような傾向 が認められるときは、「不祥事」の発生プロセスは促進される。 (1)経営者の経営に対する基本方針や業務運営が不健全な傾向 (i)法令や社会一般の常識や良識と不整合 社会通念の変化等に鈍感で、現在の社会一般の常識や良識とのズレ に対する認識が不足している。また、過去の成功体験や規範環境に 拘泥したり、悪しき前例がはびこっており、不健全な業界慣行を積 極的に受入れている。 (ii) 効率性・収益性優先主義の傾向 効率性・生産性を優先重視し、安全性の追求をおざなりにしていたり、 収益性を優先重視し、健全性や誠実性に悖る行動や発言が見られる。 (iii)会社至上主義の傾向 会社への忠誠心や所属感を強く要求し、会社の方針に対する反対や 批判を許さない傾向。 (iv)公私混同の傾向 経営者に、「俺の会社」だ、自分の会社を自分の好きにして何が 悪いという発言が見られ、会社の資産を個人的に使用する行動が見られる。 (2)法令遵守等を含む健全な行動規範等が確立されていない (i) 会社において「容認される行為」と「容認されない行為」が不明確。 (ii) 経営者自身が、行動規範に反するような行動や発言をする。 (iii) 会社と個人の混同を許す、或いは見つけても咎めない。 (iv) ルール違反に対する社内処分が甘い。