国立大学独立行政法人化の諸問題

「国立大学法人法案の概要」の問題点
および国大協の対応についての見解

独立行政法人化問題を考える北大ネットワーク

2003.2.6

1. 「「最終報告」( 「新しい『国立大学法人』像について」 平成14 年3月26 日)」)による国立大学の法人化は、大学の発展を阻む危険性が高いが、「国立大学法人法案の概要」(平成15年1月、未定稿)法案概要は、「最終報告」と比しても以下の諸点において大きく相違しており、問題がある。

(1) 国立大学の設置者を「国」とせず、「国立大学法人」としている。

「最終報告」は、「国立大学法人」は、「学校教育法上は国を設置者とする」 としていた。その理由は、わが国の学術研究と研究者等の人材養成の中核をに なってきたほか、全国的に均衡のとれた配置により、地域の教育、文化、産業 の基盤を支え、学生に経済状況に左右されない進学機会を提供するなど、国立 大学が果たしてきた重要な役割を維持・発展するためには、今後とも「国」が 設置者としての責任を果たしていくことが極めて重要な意味を有するからであ る。

しかしながら、「国立大学法人法案の概要」(平成15年1月、未定稿、以下 「法案概要」と略す)は、「『国立大学法人』とは、国立大学を設置すること を目的として、この法律の定めるところにより設立される法人をいう」として おり、関連して、学校教育法第2条を「学校は、国(国立大学法人を含む。)、 地方公共団体及び学校法人のみが、これを設置することができる」と修正する ことを求めている。すなわち、「概要」の描く「国立大学法人」の制度設計は、 国立大学の設置者を、「国」とは区別される「国立大学法人」とするものであ る。

このことは、「国」の設置者としての責任は失わせ、国立大学がその役割を果 たすことをできなくするおそれがあるものであり、設置者を変更せずに国立大 学に法人格を付与するという、国立大学協会が前提としてきた法人制度の基本 と相容れない。

(2) 教学事項を審議する「教育研究評議会」と経営事項を審議する「経営協議 会」を完全に分離している。

「最終報告」は、「大学の運営組織と別に法人としての固有の組織は設けない ことを原則」としていた。このことの含意は、大学における教学事項と経営事 項は不離一帯の関係にあり、教員代表者を中心に構成される機関が経営の基本 方針についても同時に関与・決定することが必要だということである。そのた め、「最終報告」は、法人組織において教学事項の審議を担当する「評議会 (仮称)」においても、「主に教学面に関する重要事項や方針を審議する」と、 問題の性質に応じて、その権限が教学事項以外の重要事項、すなわち経営事項 にも及ぶことを可能とする制度を提案していた。しかしながら、「法案概要」 は、「経営協議会」の審議事項を「国立大学法人」の経営に関する重要事項に、 「教育研究評議会」の審議事項を「国立大学」の教育研究に関する重要事項に、 それぞれ限定している。このように、「法人」と「大学」の重要事項を審議す る機関を組織的に分離することは、もっぱら経営事項について審議する機関、 すなわち「法人としての固有の組織」を設けることと同義であり、国立大学協 会が前提としてきた国立大学法人制度の基本と相容れない。

2. 以上のように、「法案概要」は、国大協がその「制度設計に沿って、法人 化の準備に入ることとしたい」としてきた調査検討会議の「最終報告」と大き く異なる内容を含むものである。したがって、「法案概要」に従った国立大学 法人化の是非を判断するためには新たな検討が不可欠である。その検討の方法 等について審議し「法案概要」に対する態度を決定するために臨時学長会議を 緊急に開催することを要望する。