==> 国立大学独立行政法人 化に抗して
グローバリズムと「創造的破壊」

グローバリズムと「創造的破壊」

[reform:02385] より転載
Date: Sun, 28 Nov 1999 22:21:03 +0900
From: Toru Tsujishita
Subject: [reform:02385] Re: 21世紀に向けた新たな運動の方向
To: reform@ed.niigata-u.ac.jp

(略)

経団連の「科学・技術開発基盤の強化について」を読んで、「グローバリゼー
ションという国難に挙国一致で対しなければならない」といったことを説くヒ
ステリックな文調に、戦前の挙国一致体制を説く文章もこうではなかったかと
感じました。

独立行政法人化は「挙国一致体制の一部として国立大学をこの国難に立ち向か
うための専門組織にしよう」ということですね。この、熱病に浮かされたよう
な威勢のいい主張が日本を動かしていることに背筋が寒くなる思いがしていま
す。正気を失った主張が日本の意思となってしまっているとき、大学は(<国
難>への対処にはもちろん協力しなければなりませんが)醒めた目を持ち続け
る必要があります。そのためにも、独立行政法人化を何とか食い止めることが
(見通しは暗いですが)不可欠です。

グローバリズム(別名<弱肉強食>)の生体実験はイギリスニュージーラン
ドで過去10数年かけて行われ、失業率の増大・貧富の差の顕著な増大・米国
並の犯罪率・大学の空洞化(トップの学者の海外流出)等の悲惨な帰結を短時
間にもたらしたのに、日本はその悲惨な結末を直視せずに、遥かに徹底したグ
ローバリズムの道を自主的に(と錯覚しているようですが)選択し出発してし
まいました。国立大学の独立行政法人化と全く同質の間違いを、国家規模で始
めてしまっていたことを今さらながら認識して呆然としています。

今朝のTVで「創造的破壊」の必要を説く米経済学者が、「アメリカでは伝統
的なものは家族も公共体も破壊された、その破壊があったからこそ今のアメリ
カ経済の繁栄がある、日本も家族や公共体も含め伝統的なものをすべて破壊し
なければ新しい創造はできない」と<アドバイス>しているのに慄然としまし
たが、日本人の発言者が、破壊から何が生まれるか楽しみですね、と嬉しそう
にコメントしているのを聞き耳を疑いました。国立大学の独立行政法人化も大
学内の連帯を破壊し安定した職場を破壊するが(しかもそれを破壊することが
独立行政法人化の主目的だが)、その破壊から何が大学に創造されるか楽しみ
ですね、と嬉しそうに言う人達が学外には沢山います。学内にもいるかも知れ
ません。ここまで日本人は盲目になってしまったのかと感じます。

国立大学の独立行政法人化の主目的は「創造的破壊」にあることを明確に認識
できました。独立行政法人制度の持つ構造上の不安定性は、この制度設計の目
的が要求した核心的特性だったのです。このような使い捨ての制度に移行する
作業に莫大な知的人的資源が十年単位で浪費されることも、危機の本質の重大
さの前には小さなことかも知れませんが、やはり馬鹿馬鹿しく耐え難いことで
す。

「創造的破壊」などというレトリックで時代を数世紀(数十世紀?)遡る歩み
が始まってしまったこと、しかも、その歩みはもはや止めようもないという気
持ち、その象徴が、国立大学の独立行政法人化はもはやどうしようもない、と
いう気持ちなのだと思いました。その意味で、この気持ちを克服することが国
立大学に居る者に課せられた歴史的使命ではないか、と思いました。冷静さを
失ってしまっては経団連と同じ過ちを犯すことになり意味がありませんが、醒
めた強い危機感を持ち続けなければならないと、そう感じました。

(略)

辻下