==> 国立大学の独立行政法人化問題を考える
宮脇教授講演の抜粋とコメント 1999.12.17

宮脇教授講演の抜粋とコメント


第21回北大を語る会での、宮脇教授の講演は大きな衝撃を与えるものでした。
要点をいくつか紹介します。(==> 詳しいレジュメ)

(宮脇教授講演の抜粋とコメント(♯付き行))
(1)政官界情勢
(1−1)力関係では総務庁が文部省よりいも圧倒的に強く「独立行政法人の
枠に国立大学に入ってほしいわけではない。枠がいやならやめればよい。」と
いうスタンスである。

♯杉野文部省高等教育局大学課大学改革推進室長が11月27日(土)に金沢大
♯学ので発言したように「国立大学の対応が内閣の命運を担っている」のだから
♯上の「スタンス」は戦術的なものであると私は思う。

(1−2)行政機関の法人なので、主務省の拘束は大きく、中期目標には強い
制約を受ける。これは特例措置でなくせることではない。(推進本部:「それ
が厭なら、独立行政法人化をやめればいい」)

(2)別の大学法人化を進める体力は今の文部省にはない。(法務省に問い合
わせただろうが、種々の特殊法人制度がある中で、新たな法人制度が必要であ
るということは説得できなかったと思われる)

(3)2月上旬に文部省案が提示されるであろう。国立大学協会は年明けに意
見整理すると思われルが、11月のときの姿勢は変えられないので、実質的に
は何もできない。<国立大学協会以外の所>での検討が重要。大学側としてで
きることは何もないと思う。
♯ この点については文末をみてください。

(4)企業会計制の諸問題
(4−1)運営交付金を受け取った時点で、負債の項目下に同額が記載され
る。
♯ このことは複式簿記による必然性ではなく、別の選択肢としては、「資
♯ 本」のところに記載することも有りうる。
(4−2)収益に相当する部分は、大学の活動に応じて国が放棄する債権の量
になる。
♯ この調整を通して、国の政策通りに動かない独立行政法人大学は、すぐに
♯ 破産し民営化(廃学)に追い込むことができます。

(4−2)剰余金は中期計画に合ったことにしか使えない。
(正確にいうと、中期計画に合ったこと以外の活動に対しては国は債権の放棄
をしない。)

(4−3)長期的資産等は策定権のある国に属するため独立行政法人大学が関
与するのはキャッシュフローだけになり「基金」のようなものを容れる余地は
ない。そのため、寄付金や受託研究などへの誘因がなくなる。

(4−4)資産は独立行政法人に移管されるかどうか未定である。国立学校特
別会計の1兆円の赤字の返済に使う検討もされている。
♯ この赤字は独立行政法人大学が受け継がないことを国立大学協会の第一常
♯ 置委員会の中間報告では要望していたが無視された

(4−5)中期計画について
(a)5年の計画を4年で行うとことをプラスと評価するかマイナスと評価す
るかで意見が割れている。財政当局の立場では、資金が先繰りになるから認め
ないと言っている。
(b)中期計画の立て方次第で成果が変わる。中期計画の業務方法書は抽象的
でよい。しかし、大学の業務をどのように適切に表現するかは大学側に責任が
ある。
(c)5年目の夏に仮決算を出す。それを見て次期の運営交付金を決める。こ
のプロセスに剰余金等の扱いが繰り込まれる。

♯ しかし、国が債権を放棄しない「剰余金」の存在自身は純利益に直接は影響
♯ しない。ただ、「費用」がかからなかったという形で独立行政法人大学の「純
♯ 利益」を増やすことに間接的に資する。しかし、計画が甘いという指摘と共に
♯ 次期運用交付金を減らされることにつながる。

(4−6)授業料は文部省が大蔵省に予算要求するもので、独立行政法人が勝
手に決められない。

(4−7)評価として、総務省・主務省・独立行政法人(大学の場合は更に大
学評価機関)以外に公認会計士による監査が加わる。

(4−8)公務員身分を保つ独立行政法人では、人数の報告が必要で、勝手に
人員は増やせない。

(4−9)退職金は労使交渉事項となる。財源は運営交付金から。

後で感じた感想を一つだけ言わせてください。宮脇教授の話を聞いて独立行政 法人大学が直面する経営的困難に愕然としましたが、それ以上に愕然としたの は「独立行政法人化で大学が大変なことになることが会計の話を聞いて具体的 にわかった、独立行政法人化後は本当に覚悟を決めてがんばらなくては」とい う反応も少なくなかったことです。覚悟を決めてがんばってどうにか経営でき るようなものではないということが宮脇教授の(意図せざる)メッセージだっ たと思います。しかし同時に宮脇教授が言われた「国立大学が左右できること ではない」という見解を聞いてそれを「実情を知った人の客観的観測」と思え ば上のような反応も理解できないことはありませんが、「現実の大きな流れの 絶対視という病」が独立行政法人化甘受という具体的症状としてここに現れて います。3カ月前にこの症状を通して知った病の深さに衝撃を受けたことが私 の出発点でしたので、病の底知れぬ深さと広がりを再認識して立ち竦む思いを しています。