==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
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第153回国会参議院文教科学委員会平成13年10月30日 第2号 議事録

2001.10.30

第153回国会参議院文教科学委員会平成13年10月30日 第2号 議事録


   1 平成十三年十月三十日(火曜日)
   2    午前十時開会
   3     ─────────────
   4    委員の異動
   5  十月二十五日
   6     辞任         補欠選任
   7      山本 香苗君     遠山 清彦君
   8  十月二十六日
   9     辞任         補欠選任
  10      遠山 清彦君     山本 香苗君
  11     ─────────────
  12   出席者は左のとおり。
  13     委員長         橋本 聖子君
  14     理 事
  15                 阿南 一成君
  16                 亀井 郁夫君
  17                 小林  元君
  18                 山下 栄一君
  19                 林  紀子君
  20     委 員
  21                 有馬 朗人君
  22                 有村 治子君
  23                 大仁田 厚君
  24                 加納 時男君
  25                 後藤 博子君
  26                 中曽根弘文君
  27                 岩本  司君
  28                 神本美恵子君
  29                 輿石  東君
  30                 鈴木  寛君
  31                 山本 香苗君
  32                 畑野 君枝君
  33                 山本 正和君
  34                 西岡 武夫君
  35    国務大臣
  36        文部科学大臣   遠山 敦子君
  37    副大臣
  38        文部科学副大臣  岸田 文雄君
  39    事務局側
  40        常任委員会専門
  41        員        巻端 俊兒君
  42    政府参考人
  43        総務省自治行政
  44        局公務員部長   板倉 敏和君
  45        文部科学省生涯
  46        学習政策局長   近藤 信司君
  47        文部科学省初等
  48        中等教育局長   矢野 重典君
  49        文部科学省高等
  50        教育局長     工藤 智規君
  51        文部科学省高等
  52        教育局私学部長  石川  明君
  53        文化庁次長    銭谷 眞美君
  54     ─────────────
  55   本日の会議に付した案件
  56 ○政府参考人の出席要求に関する件
  57 ○教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関
  58  する調査
  59  (大学の構造改革に関する件)95
  60  (教科書の採択制度に関する件)
  61  (子どもの生きる力を育む上で果たすべき文教
  62  行政の役割に関する件)
  63  (高等教育における学生への経済支援に関する件)1202
  64  
  65  (教育諸条件整備に関する件)
  66  (就学指導の在り方に関する件)
  67  (授業料減免事業の周知に関する件)
  68  (教員の労働時間適正化に関する件)
  69  (高等教育における専門家養成に関する件)2837
  70  (義務教育についての行政責任の所在に関する件)
  71  
  72     ─────────────
  73 
  74 ○委員長(橋本聖子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
  75 
  76  政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
  77 
  78  教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員
  79 会に総務省自治行政局公務員部長板倉敏和君、文部科学省生涯学習政策局長近
  80 藤信司君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、文部科学省高等教育局長
  81 工藤智規君、文部科学省高等教育局私学部長石川明君及び文化庁次長銭谷眞美
  82 君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございま
  83 せんか。
  84 
  85    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86 
  87 ○委員長(橋本聖子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  88     ─────────────
  89 
  90 ○委員長(橋本聖子君) 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する
  91 調査を議題とし、質疑を行います。
  92 
  93  質疑のある方は順次御発言願います。
  94 
  95 ○阿南一成君 おはようございます。自由民主党の阿南一成であります。
  96 
  97  本日はまず、大学の構造改革、いわゆる大臣のお名前を冠して新聞紙上をに
  98 ぎわせていますが、遠山プランと国立大学法人化との関係について直接大臣に
  99 お伺いをしてみたいと思います。
 100 
 101  平成九年の十二月に橋本内閣当時の行政改革会議の最終報告におきまして独
 102 立行政法人化が打ち出されたことを受けまして、平成十一年、研究所、それか
 103 ら博物館、美術館などを独立行政法人とする法案が成立を見ました。そして、
 104 本年から各独立行政法人がその運営を始めたところであります。
 105 
 106  そのような中で、国立大学の法人化については、閣議決定によりまして平成
 107 十五年までに結論を得ることとされております。現在、文部科学省内に置かれ
 108 ております調査検討会議において議論がなされていることを承知をいたしてお
 109 ります。
 110 
 111  このように、国立大学の法人化に向けた議論がなされておりますまさにその
 112 途上の本年六月、大学の構造改革、大臣のお名前を冠したいわゆる遠山プラン
 113 というものが極めて鮮烈に打ち出されました。このプランの具体的な内容につ
 114 きましてはまた別の機会を得て質問をさせていただきたいと考えておりますが、
 115 これはまさしく小泉内閣の掲げる構造改革であろう、時流にかなうものなのか
 116 なというふうに考えておるところであります。
 117 
 118  しかし、多くの大学関係者には極めて衝撃的なこととして受けとめられてお
 119 るわけであります。また、さらにその後、マスメディアを通じても非常に多く
 120 の議論を呼んでおるところであります。マスメディアの中には、国立大学の法
 121 人化に向けた議論が進んでおる中で唐突ではないのか、あるいは性急な議論で
 122 はないのかとの批判もなされているところであります。
 123 
 124  そこで、現在進行中であります国立大学の法人化の議論と大臣が打ち出され
 125 た大学の構造改革、いわゆる遠山プランとの関係について、大臣みずからのお
 126 考えをお聞かせいただきたいというふうに考えております。
 127 
 128 ○国務大臣(遠山敦子君) これからの日本を考えますときに、人材大国ある
 129 いは科学技術創造立国というものを実際に現実的なものにしてまいりますため
 130 には、やはり大学に期待するところが極めて大きいわけでございます。そのよ
 131 うなことから、大学のあり方というのは幅広い見地から論じられてしかるべき
 132 ものとして、これまでもそういう形で論議されてきたところでございます。
 133 
 134  国民のいろんな輿望を背景にいたしますと、日本の大学を一層活力に富んだ
 135 国際的な競争力を持つ大学であってほしいということは、国民一般、それから
 136 産業界あるいは特に構造改革を力強く推し進めております内閣の方針から見て
 137 も非常に大きな要望であるわけでございます。
 138 
 139  そのような中で、六月に大学改革のための構造改革プランというものを打ち
 140 出させていただいたわけでございますが、それは突然、唐突というお話でござ
 141 いますけれども、私ども長く高等教育、大学問題にかかわってまいりました者
 142 といたしましては、大学のあり方について、これまでの大学改革についての非
 143 常に大きな積み重ねの中身、論議あるいは動きを前提といたしまして、時代の
 144 要請にこたえた構造改革というものをより力強く一歩踏み出していくというこ
 145 とのために先般の構造改革方針というものを出させていただいたわけでござい
 146 ますが、その中には、国立大学の統合再編あるいは国立大学の法人化あるいは
 147 競争原理に基づく主として研究面の重点投資をやっていこうという考えのもと
 148 に打ち出したところでございます。
 149 
 150  この方針は、これまでの大学審議会、今は中央教育審議会に統合されたとい
 151 いますか、大学審議会、私自身も創設にかかわった者としてはいささか大学審
 152 議会が吸収されてしまったということについては感慨があるわけでございます
 153 けれども、その大学審議会において長い間実に精緻な、しかもきちんとした議
 154 論が行われてきた、そしてその幅広い議論を背景として各大学でかなりの部分
 155 で大学改革についての真摯な取り組みが行われているという現実、それから、
 156 御指摘のように、今我が省において置かれております国立大学法人化に関する
 157 調査検討会議の議論の方向というものも見据え、また国立大学協会において法
 158 人化の検討が行われている、そういう状況も踏まえた上で、これまでの意見も
 159 十分考慮した上で、法人化の設計図の方針にとどまらないで国立大学全体をど
 160 うやっていくかという観点に立って整理したものでございます。
 161 
 162  そのねらいとするものは、これからの国立大学、これはいろんな役割を持っ
 163 ておりますが、特に科学技術あるいは理工系の大学院の教育研究というものが
 164 日本の将来を左右するというふうなこともございますし、また国立大学はこれ
 165 まで計画的な人材養成に資してきたこと、あるいは地域の教育の中核となって
 166 地域の振興にも役立ってきたことなどさまざまな任務を帯びているわけでござ
 167 いますけれども、しかしこれからを考えますと、それらはもちろんのこと、もっ
 168 と個性輝く大学であり、かつまた国際競争力を持つ大学であってほしいという
 169 願いを込めて方針をまとめたものでございます。
 170 
 171  もちろん、これから個々の大学がどのように法人化に向けて準備をしていく
 172 か、あるいはどういう形で足腰の強い国立大学になっていくかということにつ
 173 いては、それぞれの大学の意見も尊重しながら文部科学省と共同作業でつくり
 174 上げていくことだと思っております。
 175 
 176  先ほどるる経過の御説明がございました。それらをもちろん尊重した上で、
 177 しかしその議論を少し加速させ、そしていい方向に持っていってもらうという
 178 ねらいもあって基本方針を出したわけでございます。このことについて、大学
 179 関係者等の理解も得ながら進めてまいりたいと思っているところでございます。
 180 
 181  ちょっとお時間をとって恐縮でございますが、遠山プランと呼ばれておりま
 182 すけれども、これは別に個人がつくったわけでもございませんで、今るる御説
 183 明したような背景をもって省内のいろいろな英知を集めてつくり上げたもので
 184 ございます。
 185 
 186  どうして遠山プランというような名前が付してしまわれたのかといいますと、
 187 実は同じようなころ、産学連携についての経済産業大臣の名前をつけた平沼プ
 188 ランというのが出まして、これは産業サイドからだけ見た産学連携のあり方を
 189 示したものでございました。それを受けまして、文部科学省としましては、や
 190 はり大学というものを中心にして、そこでの研究者の自主性なり意欲なりとい
 191 うものを前提とした上で産学連携というものを考えていくべきということでま
 192 とめたプランがございます。それがタイトルも、これも長いんですね、大学を
 193 起点とする日本経済活性化のための構造改革プランとございますが、これが同
 194 時に出たということで、強いて言えばそれが遠山プランに対応するかと思って
 195 おります。
 196 
 197  ということで、遠山プランと、あの三つの原則が呼ばれておりますけれども、
 198 個人の名を冠してやるような軽々しいことではないと私は思っておりまして、
 199 私は一度たりとも遠山プランと言ったこともございませんし、すべての我が省
 200 の公的な文書の中に遠山という名前は出ておりません。しかし、使いやすいか
 201 ら使われているのだとは思いますが、この委員会のようなところでは、ぜひそ
 202 のようなことではなくてきちんとした名称で御審議賜ればと思っております。
 203 
 204  そのようなことで、もちろん方向性なり、あのときに出したということにつ
 205 いては責任はすべて私にございますし、その方向性については誤りなきものと
 206 考えておりますが、若干補足させていただきました。
 207 
 208 ○阿南一成君 ありがとうございました。
 209 
 210  よく真意もわかりましたし、大変重要な時期でありますので、大臣を中心と
 211 して頑張っていただきたいというふうに思います。
 212 
 213  次に、ワールドカップの警備、テロ対策に関連してお伺いしておきたいと思
 214 います。
 215 
 216  米国における同時多発テロの発生によりまして、ワールドカップの警備体制
 217 についての全面的な見直しが緊急の課題として浮上をしてきております。これ
 218 までは、フーリガン対策を中心として検討がなされてきたわけでありますが、
 219 米国でのテロ発生により全世界が緊張を強いられております。来年に迫った我
 220 が国でのワールドカップについてもテロの標的となる可能性は否定できないと
 221 ころでありまして、決して対岸の火事ではないと思うのであります。
 222 
 223  そこで、ワールドカップは世界最大のスポーツ大会とも言われておりますが、
 224 我が国の威信にかけて無事に成功させなければならないというふうに思うので
 225 あります。また、テロには絶対に屈しないという強い姿勢をテロ組織に対して
 226 明確に示すことが国際社会において非常に重要な時期であります。そうするこ
 227 とにおきまして、我が国は国の面目をかけてワールドカップを成功に導く必要
 228 があり、そのためには、省庁間の十分な連絡をとって、縦割り行政による弊害
 229 などがあってはならないというふうに思っております。
 230 
 231  既に、日本組織委員会では、警備体制の強化等につきまして具体的に検討が
 232 なされていると承知をしておりますが、国としてはどのような体制でこのワー
 233 ルドカップに臨む方針でありましょうか。また、試合会場やその周辺地域の警
 234 備、さらには水際での防止等、このワールドカップ開催に係る国内の警備体制
 235 について、大会の運営に当たるワールドカップ日本組織委員会、それから所管
 236 であります文部科学省、そして警察庁、法務省などの治安機関との密接な連携
 237 が不可欠であると思うのでありますけれども、各省庁間の連携体制及び情報の
 238 共有というものがどのような形で確保される仕組みになっているかについてお
 239 伺いをしておきたいと思います。
 240 
 241 ○副大臣(岸田文雄君) 先生御指摘いただきましたように、昨今の国際情勢
 242 あるいは社会情勢を考えますときに、このワールドカップの安全面での対策、
 243 従来のフーリガン対策に加えてテロ対策等、幅広く検討しなければいけない、
 244 こういった状況にあるということ、おっしゃるとおりだと思っております。そ
 245 ういった中にあって、関係機関の連携が重要だという御指摘でございます。
 246 
 247  この点につきましては、従来この開催準備全般にわたりまして、まず関係副
 248 大臣会議というのを設けまして、その下に関係省庁の局長級の連絡会議を設け、
 249 そしてさらにその下に安全面につきましては警察庁を中心に安全対策部会とい
 250 うものを設けて検討を進めているところであります。
 251 
 252  内容につきましては、ハイジャック防止に加えてBCテロ、バイオケミカル、
 253 要は生物化学テロに対する対策、こういったものがこの会議の大きな課題とい
 254 うことになっております。こうした課題を中心に、今、日本国内で各省庁の連
 255 携を深めているわけでありますが、加えて今回のワールドカップ、日韓共同開
 256 催でありますので、韓国との連携も深めなければいけないということで、今申
 257 し上げました日本側の安全対策部会と韓国側の安全対策統制本部、この間で九
 258 月末に二回目の定期協議を開催し、テロ対策等について協議を行ったという状
 259 況であります。
 260 
 261  こうした国内外にわたりまして体制を整え、テロを含めて安全対策について
 262 どう対応していくのか今真剣に協議を進めているところではありますが、この
 263 ワールドカップ開催前に、ちょうど来年二月でありますけれども、アメリカの
 264 ソルトレークシティーで冬季オリンピックが開催されます。この二月の冬季オ
 265 リンピックでの状況が大きな参考になると思っておりますので、そのあたりも
 266 しっかりと参考にしながら、今申し上げましたような仕組みを通じてしっかり
 267 とした、そして具体的な対応を協議していきたいと思っております。
 268 
 269  それからあと一つ、水際での対応というような御指摘もありましたが、それ
 270 につきましては今、今国会に出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律
 271 案が提出されております。この法律、こうした新たな法律もつくられようとし
 272 ておりますので、このあたりを中心に水際対策としてはしっかりとした対応を
 273 各関係機関と協議していかなければいけないと思っております。
 274 
 275  どうぞよろしくお願いいたします。
 276 
 277 ○阿南一成君 ありがとうございました。しっかり頑張っていただきたいと思
 278 います。
 279 
 280  次に、テロの危険性と教育の問題についてお伺いをしておきたいと思います。
 281 
 282  米国でのテロ発生を受け、国の危機管理のあり方について大きな課題が突如
 283 として突きつけられたわけであります。国の防衛等につきましては、当文教科
 284 学委員会の所管するところからは離れるわけでありますけれども、危機管理と
 285 いう問題はさまざまな場面で考えておかなければならない問題であろうかと思っ
 286 ております。
 287 
 288  文教関係での危機管理と申しますと、やはり学校における危機管理がその中
 289 心になると考えるのでありますが、まだ記憶に新しいところでは大阪教育大附
 290 属池田小学校における児童殺傷事件がありました。この事件後、文部科学省に
 291 おいても、児童の心のケアや学校施設の整備、さらには各学校の安全対策等に
 292 ついて次々と手を打たれ、通知を出されておる、早急に対策を講じられておる
 293 ところでありまして、評価に値する点、多々あると考えております。
 294 
 295  しかし、米国でのテロ発生を受けまして、不審者の侵入防止等、これまでの
 296 学校安全という観点ではなく、そこからさらに進めた議論、つまりはテロの危
 297 険性と教育の問題を考えてみる必要があるのではなかろうかというふうに考え
 298 るわけであります。
 299 
 300  今回のようなテロの問題は、第一義的には国の防衛問題になろうかと思うの
 301 でありますが、米国での炭疽菌の郵送などを見るとき、テロは身近に起こり得
 302 る問題であるという認識を持たなければならないというふうに考えるのであり
 303 ます。今回のテロにより多くの人命が失われた悲しみを子供たちに伝えるとと
 304 もに、テロという卑劣な行為に屈しない毅然とした姿勢、態度、さらには世界
 305 平和のとうとさについてきちんと子供たちに教えることが必要であると考えま
 306 す。批判を恐れる余り何も教えないという姿勢では、情報がはんらんする現代
 307 社会において逆に間違った形で子供たちに伝わる危険性もあると思うのであり
 308 ます。
 309 
 310  そこで、現在の学校教育においてはテロに関する教育について子供たちにど
 311 のように教えているのであろうか、そしてまた、今後テロ教育にどのように対
 312 応していかれることを検討されておるのか、当局の御見解をお伺いいたしてお
 313 きたいと思います。
 314 
 315 ○政府参考人(矢野重典君) 今般の事件のようなテロ行為は、これは断じて
 316 許されないものでございます。学校教育におきましては、児童生徒に、平和的
 317 な国際社会の形成に貢献する態度、さらには自他の生命を尊重する態度、こう
 318 したことを育成することが極めて重要であるというふうに考えているところで
 319 ございます。
 320 
 321  これらのことは、学校教育における教科との関連で申し上げますれば、社会
 322 科において世界平和の実現と人類の福祉の増大に関する内容、また道徳におい
 323 て自他の生命の尊重に関する内容等が考えられるところでございますけれども、
 324 こうしたことは特定の教科等においてのみ指導するというものではなくて、児
 325 童生徒の発達段階に応じて、学級活動、朝の会や帰りの会、あるいは全校児童
 326 生徒を集めての校長講話など、学校教育活動のさまざまな場面をとらえて指導
 327 することが大切であるというふうに考えているところでございます。
 328 
 329  今般の事件につきましてはテレビ報道等により児童生徒の関心も高いものと
 330 思われるわけでございますが、各学校において、人の命は何物にもかえがたい
 331 かけがえのないものであること、またテロ行為は断じて許すことができないも
 332 のである、そういう認識のもとに適切な指導がなされることを私どもとしては
 333 期待をいたしているところでございます。
 334 
 335 ○阿南一成君 ありがとうございました。
 336 
 337  次に、ちょっと方向は変わりますが、捏造遺跡の調査状況等についてお伺い
 338 をしておきたいと思います。
 339 
 340  昨年の十一月、東北旧石器文化研究所の前副理事長によります遺跡捏造が二
 341 カ所において発覚をいたしました。現在ではその数が四十二カ所に上っておる
 342 と承知をしております。この数は聞き取り調査における本人の告白によるもの
 343 でありまして、告白がそのまま証拠になるとは限らないのでありますので、今
 344 後の調査、検証を待たなければならないと思います。
 345 
 346  しかし、この発掘捏造疑惑の発覚によりまして各方面に多大なる影響を及ぼ
 347 していることは否定できないのであります。中でも宮城県の座散乱木遺跡に関
 348 する捏造の告白は、我が国の旧石器時代の存在を裏づける遺跡と言われており
 349 ましただけに、考古学の学界のみならず社会全体に衝撃が走っているわけであ
 350 ります。
 351 
 352  この問題は、前副理事長の個人的問題として片づけるのではなく、学問の世
 353 界でのモラルハザードとも言われているように、我が国の学問の根本にかかわ
 354 る問題として受けとめるべきであろうかと思います。特に、長年にわたりこれ
 355 ほどまで多数の不正を見抜けなかった責任は非常に大きく、不信を払拭するよ
 356 うしっかりとした真相解明を行うことが不可欠であると思います。
 357 
 358  そこで、この捏造の疑いのある遺跡の調査状況、現在どのようになっておる
 359 のか。また、調査にかかる国の支援体制はどのようになっておるのか。
 360 
 361  さらに、今回の捏造問題は学問上史実として権威づけされ、問題が発覚する
 362 まで事実関係に疑いなしとされていたのでありますから、教科書検定制度に直
 363 接問題ありとするつもりはないのでありますけれども、教科書の執筆者や監修
 364 者、さらには学界も含め教科書関係者全体に対して教訓を与えたものとも考え
 365 るわけであります。
 366 
 367  そこで、この捏造遺跡問題を受けて、教科書発行者の対応はどのように行わ
 368 れることになるのか、さらに文部科学省の今後の対応策についてもお伺いをし
 369 ておきたいと思います。
 370 
 371 ○政府参考人(銭谷眞美君) まず、旧石器遺跡の捏造問題に対する対応及び
 372 調査の状況について御説明を申し上げます。
 373 
 374  ただいまお話にございましたように、埋蔵文化財の学術調査におきまして事
 375 実の捏造という極めて重大な行為が行われたことが判明をいたしました。これ
 376 は文化財の発掘調査に対する国民の信頼を著しく損なうものでございまして、
 377 まことに遺憾に存じております。
 378 
 379  最近のこの問題をめぐる状況でございますけれども、今月の七日、盛岡市で
 380 開催をされました日本考古学協会の大会におきまして、東北旧石器文化研究所
 381 の藤村新一前副理事長が日本考古学協会の調査に対しましてお話しのございま
 382 した史跡、座散乱木遺跡を含む四十二遺跡につきまして捏造を告白したことが
 383 公表されたところでございます。
 384 
 385  藤村氏が関与をいたしました発掘の件数は直接あるいは踏査を含めまして百
 386 八十六遺跡でございますけれども、これまでに捏造が、本人が告白をしたもの
 387 は四十二遺跡と。ただし、この百八十六遺跡以外のものもこの中には含まれて
 388 いるという状況でございます。
 389 
 390  その後、今月の十一日に日本考古学協会の会長を初め三名の方が文化庁を訪
 391 れまして、これまでの協会による調査の経過報告とともに、協会が行います遺
 392 跡の発掘調査等の検証作業につきまして調査費も含めた国の支援について依頼
 393 があったところでございます。
 394 
 395  これまでの文化庁としての対応でございますけれども、昨年の十一月にこの
 396 問題が報じられた後所要の調査を行いまして、昨年、埋蔵文化財の発掘調査に
 397 関する事務の改善について文化庁長官通知を発出をいたしまして、さらに都道
 398 府県の埋蔵文化財保護行政担当者会議を開催をし、通知の趣旨を徹底をしてい
 399 るところでございます。その内容は、埋蔵文化財の発掘調査に当たりまして都
 400 道府県が調査の申し出を受理する場合に、第三者による検証をきちんと行うよ
 401 うにするといったようなこととか、あるいは報告書の作成、公表というものを
 402 きちんとやらせるようにするといったような内容を含んでおります。
 403 
 404  それから、調査に対する支援でございますけれども、平成十三年度におきま
 405 して、地方自治体によります再調査に対しまして国の方から補助を行うなどの
 406 対応を行っているところでございます。座散乱木遺跡を含む今回の協会からの
 407 検証調査の依頼につきましても、今後、調査費の支援を含めまして適切に対処
 408 していきたいというふうに考えております。
 409 
 410 ○政府参考人(矢野重典君) 御指摘の問題についての教科書における対応で
 411 ございますが、今後、学術的な発掘調査等の検証作業が引き続き行われるもの
 412 というふうに承知いたしておるところでございますが、旧石器遺跡に関する教
 413 科書の記述の訂正につきましては、既に訂正が申請された教科書もあるところ
 414 でございまして、教科書発行者から申請されました具体的な訂正内容や訂正理
 415 由を踏まえまして、検定規則等に照らして適切に対応してまいりたいと考えて
 416 おります。
 417 
 418  また、文部科学省といたしましても、今後、必要がございますれば、学術的
 419 な検討の結果等につきまして関係の教科書発行者に情報提供を行うなどの対応
 420 をしてまいりたいと考えております。
 421 
 422  また、教科書の検定につきましては、これは検定の時点における客観的な学
 423 問的成果や適切な資料等に照らして教科用図書検定調査審議会における専門的
 424 な審査を経て実施しているところでございますけれども、今後とも、御指摘の
 425 旧石器遺跡の問題も含めまして、学説状況の確認など十分な検定調査を実施し
 426 てまいりたいと考えているところでございます。
 427 
 428 ○阿南一成君 これで私の質問を終わります。
 429 
 430  ありがとうございました。
 431 

432 ○亀井郁夫君 自由民主党の亀井であります。 433 434  引き続いて質問させていただきたいと思います。 435 436  小泉内閣が発足して、早いものでもう六カ月たちましたけれども、依然とし 437 て高い支持率を得ておられるわけでございますけれども、これはひとえに、国 438 民の皆さん方が戦後五十六年の間にたまったおりを流して新しい形での二十一 439 世紀をつくっていきたい、そういう思いの塊だろうと思うわけでありますけれ 440 ども、そういう中で一番大事な改革は、私はやはり心の構造改革だろうと思い 441 ます。そういう意味では教育の改革が非常に大きな役割を果たさなきゃいけな 442 いと思いますので、ぜひとも頑張っていただきたいと思うわけであります。 443 444  この前の通常国会では、これまでなかったような不適格教員の排除等関係六 445 法が提案されまして、これは通過したわけでございまして、そういう意味では 446 教育改革に取り組む意欲というものも強く感じたわけでありますが、今回は残 447 念ながら一本もないわけでございますので、そういう意味では若干寂しい感じ 448 がいたしますけれども、教育現場の風土の改革に、大臣、先頭に立ってこれか 449 らもぜひ頑張っていただきたいと思うわけでもございます。 450 451  具体的な質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず教科書の採択 452 の問題でございますけれども、去年から検定、採択等通じて国の内外から大変 453 いろいろな動きがありました。特に中国、韓国からは内政干渉とも言えるよう 454 な干渉があったわけでございますけれども、文部省としては毅然とした姿勢で 455 この問題について対応されたことは私は高く評価したいと思うわけであります 456 けれども、しかし国内においてもいろいろと圧力がかかってきたのも事実でご 457 ざいまして、特に行政の面では、最近問題になっておりますのは、国立市にお 458 いては、市長が教育委員の任命に当たりまして、扶桑社の教科書を支持したか 459 ら不適当だということを理由にして教育委員の再任をしない、しかもそのこと 460 をわざわざ紙に書いて市民に配るというようなことをされておるようなことで 461 ございまして、こうしたことから、扶桑社の教科書については採択率もわずか〇・〇 462 三%ということで非常に低くなったわけでありますけれども。 463 464  しかし、それはそれとして、やはり国民の皆さん方が歴史認識というものを 465 いかに大事に考えていかなきゃいけないかということを知り、また議論をされ 466 たということは非常にいいことではなかったかと思いますけれども、今回の検 467 定、採択という、大きないろんな事件がありましたけれども、そういうことを 468 振り返りまして、あるべき採択制度あるいは検定制度について今後どのように 469 考えていくべきか、大臣の方から御所感をお聞きしたいと思います。 470 471 ○国務大臣(遠山敦子君) 亀井委員御指摘のように、これからの日本を考え 472 ますとき、教育またその中でも心の教育、大変大事でございまして、それを担 473 う学校において、基礎、基本をしっかり学びながら心の教育についても指導を 474 行っていくということは大変大事でございます。その中で教科書というのは大 475 変重要な役割を占めるわけでございます。 476 477  今回の教科書採択につきましては、一部の地域ではございますが、いろんな 478 組織的な働きかけが行われたりいたしました。私どもといたしましても、その 479 ような報告を受けまして、まだ採択の途中でございましたけれども、ことし七 480 月に都道府県の教育委員会に対して、域内の教科書採択の公正確保を徹底する 481 よう特に指導したわけでございます。 482 483  教科書のあり方については、常に適正な教科書がつくられ、また適正な採択 484 が行われていくということが望ましいわけでございまして、私どもといたしま 485 しても、今回の採択に関し混乱があった地域の問題点等について、現在、分析、 486 整理を行っているところでございまして、これを踏まえて、次回の教科書採択 487 が一層適切なものとなるよう検討してまいりたいと考えております。 488 489 ○亀井郁夫君 ありがとうございました。 490 491  この採択の問題に絡みましてもう一点お尋ねしたいのは、従来は採択権が教 492 育委員会にあるにもかかわらず学校票だとかあるいは絞り込みという形で事実 493 上先生方が決めておったのが実態ですが、今、大臣がおっしゃったように、こ 494 ういうことをやめるようにという形でいろいろと御指導なさったと。 495 496  ところが、採択地区協議会との関係ですけれども、採択地区協議会が各地域 497 で決められておりますけれども、これと教育委員会の関係がそごを来したとい 498 うのが栃木県の例でございまして、せっかく採択地区協議会で決めたのにそれ 499 に参加する市町がそれを否定したということでこれはほごになってしまったと 500 いうことで、二つの法律にそのように決めておるわけでございますから、その 501 間の調整等について十分事前にやっぱりやっておくべきではなかったかと思い 502 ますし、これからもこの辺を明らかにする必要があるんではないかと思います 503 けれども、これについてお答え願いたいと思います。副大臣、お願いします。 504 505 ○副大臣(岸田文雄君) 採択地区内の教育委員会は、法令によりまして、種 506 目ごとに協議して同一の教科書を採択するということになっております。そし 507 て、協議につきましては、通常、採択地区協議会を設けて行われているわけで 508 すが、まず基本的にどのような方法で協議を行うかにつきましては採択地区内 509 の教育委員会の権限と責任にゆだねられているわけであります。これが基本で 510 はあります。 511 512  しかし、今、先生御指摘のように、今回その協議の過程において、採択教科 513 書について採択地区協議会と教育委員会の判断が一致しない場合があったわけ 514 であります。この状況を見ておりまして、やはりどのような調整を行うかにつ 515 きまして明確なルールがないというのは大変大きな問題だというふうに認識し 516 ております。その協議の過程の透明化を確保するためにも、やはり明確なルー 517 ルというものがなければならないというふうに感じております。 518 519  ですから、今後どうするかということについてでありますけれども、やはり 520 この協議の方法を含めた採択のルールにつきましては明確化するようにしっか 521 りと指導していかなければいけないというふうに考えております。ぜひ、この 522 採択の適正化のためにルールの明確化を中心にしっかりとした体制をつくって 523 もらうよう指導していきたいと考えておりますので、また御指導賜りますよう 524 よろしくお願いを申し上げます。 525 526 ○亀井郁夫君 採択地区協議会と教育委員会の関係、ルールづくりをぜひとも 527 よろしくお願いしたいと思います。 528 529  次に、採択の問題に絡みまして、教科書ではない副読本やその他の問題につ 530 いての採択についてお尋ねしたいと思います。 531 532  地教行法の第二十三条六号では、教育委員会は、「教科書その他の教材の取 533 扱いに関すること。」ということで、教科書以外にその他の教材という項目も 534 三十一年に加えられたわけでございます。そうしますと、実際、副読本だとか 535 夏休みの宿題帳等につきまして、我々見ておりまして、こんなものがというも 536 のがたくさんあるわけでありますけれども、これは実態上、全部先生方が選ん 537 でおるのが実情でございます。それじゃやっぱり困るのであって、教科書と一 538 体となった形で副読本なりあるいは夏休みの宿題帳等は選ばれなきゃいけない 539 と思うわけでございます。 540 541  そういう意味では、この「教科書その他の教材の取扱いに関すること。」の 542 中に、その他の教材の中に当然こういうものが入るものだというふうに考えて 543 私はいいんではないかと思いますけれども、そういう意味では、教育委員会で 544 決定または承認するというような形になるべきだと私は思いますけれども、こ 545 れに対してどのように大臣お考えでしょうか。 546 547 ○国務大臣(遠山敦子君) 今御指摘のように、教育委員会は、教科書以外の 548 教材、学校で使われるものについてあらかじめ教育委員会に届け出るなりある 549 いは承認を受けるなりということになっているわけでございます。 550 551  各学校におきましては、校長の判断によって教科書のほか有益、適切な教材 552 を使用することができるということになっているわけでございますけれども、 553 ただ、何を使ってもいいということでございませんで、教材の内容が、一つは 554 学習指導要領等の趣旨にかなっているもの、それから児童生徒の発達段階に即 555 したものであること、そして政治や宗教について不公正な立場のものでないこ 556 とが求められているわけでございます。 557 558  教育委員会は、学校の設置者としまして、各学校において適切な教材が使用 559 されるよう指導する立場にございまして、届け出事項である場合におきまして 560 も必要に応じてその内容をチェックすると、そして不適切な教材が使用、採用 561 されないよう指導、助言する責務があるわけでございます。 562 563  それぞれの学校でこのことは十分わかっているとは思いますけれども、我が 564 省といたしましても、学校教育についてこういう有効適切な使用方法によって 565 取り扱われるように指導してまいりたいと思います。 566 567 ○亀井郁夫君 教育委員会に届けたり、そしてちゃんとチェックするという、 568 そういう仕組みになっているということでございますけれども、事実上はなか 569 なかそういうことが行われていないのが多いと思いますので、十分指導してい 570 ただきまして、そうした副読本や夏休み帳などについても教育委員会が責任を 571 持ってやるようにお願いしたいと思います。 572 573  次にお尋ねしたいのは、時間内の組合活動の問題でございますけれども、戦 574 後、教育の現場についていろんな形で影響を及ぼしてきたのは言うまでもなく 575 日教組でございますけれども、特に日教組の組合活動の中で一番問題なのは、 576 時間中に給料をもらいながら組合活動を続けてきたというのが実態でございま 577 して、広島県の場合は破り年休であり、北海道の場合は鉛筆年休ということで、 578 これまでも何回か指摘させていただいたわけでございますけれども、それなり 579 に改善が広島の場合は進んでおりますけれども、北海道の場合はまだ一向に進 580 んでいないようでありますけれども、また後ほど北海道についてはお尋ねした 581 いと思いますが。 582 583  今回、三重県のケースについて問題を指摘したいと思います。三重県でも一 584 昨年、有給で時間内に組合活動をしているということが明らかになりまして、 585 これが非常に問題になりました。そして、平成九年度と十年度の二年間だけに 586 ついて調べられたようでありますけれども、これは新聞報道でございますが、 587 延べ二万八千人、時間数にして六十一万時間、そして不当に支払われた給料は 588 十数億円というふうなことでございました。 589 590  そういうことから、昨年の十月には教育委員会はわざわざ二千四百七十八万 591 円という精査のための補正予算を組んで、そしていろいろと調査を始められた 592 ようでございますけれども、ことしの四月には県会議長のあっせんによりまし 593 て組合と県教委が和解したということが報道されており、また県の教育長も議 594 会で答弁しておりますけれども、その内容は、教職員組合が寄附金を、教育委 595 員会からの給与返還請求を受ける前に県に対して教育関係のためにということ 596 で寄附をするということで、金額は八億円というふうに報道されておりますけ 597 れども、寄附しますと。それから、県教委だけじゃなしに、管理職も校長先生 598 等の了解を得てこれも寄附しましょうという形が決まったと。寄附金の総額は、 599 いわゆる債権総額といいますか、債務総額といいますか、その不当に支払われ 600 た給与の総額を超えるもの、それより少なくないということで、しかも県の教 601 育委員会は、議会の決議を得た上で給与の返還請求を行わないということが決 602 められたということですね、これは三重県の内部の話でございますけれども。 603 604  そういうことから、このことに絡んでお尋ねしたいんですけれども、時間中 605 の組合活動は、いずれにいたしましても、弁済の有無にかかわらず地方公務員 606 法に違反するということははっきり言えると思いますけれども、どうでしょう 607 か。 608 609 ○政府参考人(矢野重典君) 勤務時間内の組合活動についてでございますが、 610 公立学校の教職員を含め地方公務員は、地方公務員法上、勤務時間中は職務上 611 の注意力のすべてを自己の職務遂行のために用いなければならないこととされ 612 ており、また給与を受けながら職員団体のための活動を行うことは原則として 613 これは禁じられているわけでございます。 614 615  これらの点におきまして、ただいま御指摘のございましたような勤務時間中 616 の組合活動は地方公務員法に違反するものと考えるものでございます。 617 618 ○亀井郁夫君 地方公務員法に違反するとすれば処分の問題が当然出てくるわ 619 けでありますけれども、三重県では、先生は処分しないで、教育長なり管理職 620 約八百名が去年の二月、三月にそれぞれ処分されておるわけでありますけれど 621 も、実行行為者である教師についても当然処分を考えるべきだと思いますが、 622 これについていかがでしょうか。 623 624 ○政府参考人(矢野重典君) 法律や条例等に違反した場合には地方公務員法 625 上、懲戒処分の対象となり得るものでございます。しかし、実際に処分を行う 626 かどうか、また処分を行う場合にどの程度の処分とするかは、これは任命権者 627 でございます都道府県教育委員会の裁量にゆだねられているものでございまし 628 て、任命権者におきまして、個々の事案に即して、問題となる行為の性質、態 629 様、結果あるいは影響等を総合的に考慮し、適切に判断されるべきものでござ 630 います。 631 632  今回、三重県におきましては、従来このような勤務時間中の組合活動が長年 633 の労使慣行として黙認されてきたことから、管理責任を明確にするために教育 634 長や校長等に対して処分等を行うこととして、個々の教職員に対しては処分を 635 行わなかったというふうに承知しているものでございます。 636 637 ○亀井郁夫君 事情はよくわかりましたけれども、こういったことについては 638 厳しくやはり指導していただきたいと思います。 639 640  同時に、お尋ねしたいのは、三重県におきましてはさっき補正予算をつけて 641 いろいろ調査されたそうでございますけれども、こうした勤務時間中の組合運 642 動に対する精査の結果や、あるいは寄附金関係がどうなったのか、もし文部省 643 の方でわかっていれば教えていただきたいと思います。 644 645 ○政府参考人(矢野重典君) 三重県教育委員会におきましては、昨年十月に 646 公表いたしました勤務時間中の組合活動に関する調査結果について確定作業を 647 進めまして、本年四月に「勤務実態調査結果について」として報告がなされた 648 ところでございます。 649 650  それによりますと、三カ年で勤務時間中の組合活動の総時間数は約四十九万 651 九千時間、またそれにかかわります債権総額は約十億五千八百万円ということ 652 を公表したところでございます。 653 654  なお、このことに関しまして三重県教育委員会からは、同教育委員会を初め 655 とする管理職と三重県教職員組合が債権総額に相当する額の寄附を行うことと 656 なったというふうに私どもとしては聞いているところでございますが、いずれ 657 にしても国としては、既に交付した義務教育国庫負担金のうち、勤務時間中の 658 組合活動に係る給与費については返還させることといたしているところでござ 659 います。 660 661 ○亀井郁夫君 今お聞きしまして、二年間で十億という金額ですから大変な金 662 額だと思います。これが全国的に考えれば大変な金額になるわけでございます 663 ので、三重県に限らず、こうした勤務中の組合運動に対して厳しく指導してい 664 ただかなきゃならないと思うわけであります。 665 666  給与の返還請求の問題ですけれども、三重県の場合には、県議会の決議もあ 667 り給与返還請求はしないということになっておりますけれども、国も二分の一 668 は負担しておるわけでございますから、国も当然おっしゃるように返還請求す 669 べきであると思います。特に、三重県が今後どのように対応しようとも、やは 670 りこれについては国として強い姿勢で三重県に対して要求していただきたいと 671 思いますけれども、これについてはどのように考えておられますか。 672 673 ○政府参考人(矢野重典君) 三重県における勤務時間中の組合活動にかかわ 674 ります給与費につきましては、これは義務教育国庫負担金の対象外でございま 675 して、返還対象となりますことから、現在、返還金の算定作業を私どもとして、 676 国として行っているところでございます。文部科学省といたしましては、その 677 作業結果に基づきまして、遅くとも本年度中には三重県より国庫負担金の返還 678 をさせることといたしているところでございます。 679 680 ○亀井郁夫君 この三重県の例に見るように、あしき慣行がいろいろとはびこっ 681 ておるわけでございますので、これについて文部省としてはぜひとも全国的に、 682 既に調査されているかもしれませんけれども、調査されていないのであれば調 683 査をして、そして正していっていただきたい、そして給与の返還等もちゃんと 684 やっていただきたいと思いますけれども、こういった是正指導に対して大臣は 685 どのようにお考えでしょうか。 686 687 ○副大臣(岸田文雄君) 今御指摘をいただきました三重県を初め、広島県、 688 東京都あるいは北海道において、慣行等によりまして適正な手続を経ずに勤務 689 時間中に組合活動が行われていた実態がありまして、文部科学省としましても 690 これらの教育委員会に対しまして是正を指導してきたところであります。 691 692  そして、各教育委員会におきましても給与返還等の取り組みを進めておりま 693 して、先生も御案内のとおり、広島におきましてはもうその返還の手続が終わっ 694 ておりますし、三重県、東京都、北海道におきましては手続を進めているとい 695 う状況にあるわけであります。 696 697  そして、それ以外の都道府県について調査ということでありますけれども、 698 現在、各都道府県教育委員会等の教育次長に対しまして個別に不適正な勤務時 699 間中の組合活動の実態の有無について聴取をしているところであります。です 700 から、四十七都道府県に政令都市を加えました五十九の教育委員会におきまし 701 てそうした聴取を今行っております。そして、この聴取を行って実態が確認さ 702 れ次第、早急に是正するよう、他の都道府県そして政令都市につきましても進 703 めていきたいというふうに思っております。 704 705  そして、いつまでにその聴取が終わるのかということでありますが、今鋭意 706 進めておりますが、できるだけ十二月上旬までにはこの五十九の教育委員会す 707 べての聴取を終えて実態を把握していきたいと思っております。 708 709 ○亀井郁夫君 現在聴取を進めておられるということですけれども、これは本 710 当に考えてみると画期的なことだと思います。これまで組合活動のそういう実 711 態について文部省が直接全県的に聴取されたことがなかったんだろうと私も思 712 いますし、そういうことで本当に画期的なことだと思いますので、いろんな問 713 題があろうかと思いますけれども、ぜひともやっていただいて、十二月上旬に 714 終わったらぜひともまた報告をしていただきたいと思うわけでもございますの 715 で、よろしくお願いしたいと思います。 716 717  次に、同じようにまた各論になりますけれども、北海道の教育の問題でござ 718 いますけれども、北海道の四六協定、昭和四十六年に日教組の、北教組の委員 719 長と教育長が結んだ協定、それが三十年間墨守されてきたということが北海道 720 の教育の現場を大きく変えてしまったというのが実態であり、これにつきまし 721 て去年の十一月二日のこの文教・科学委員会で問題も指摘させていただき、時 722 の大臣も全面破棄について指導するというお話がございました。 723 724  ところが、経過を見ておりますと、三月二十日に確かに道の教育長の方は破 725 棄通知をしましたけれども、それも一部でありまして全部じゃない。帰省休暇 726 をこれまでは、当然帰省するときのやつは帰省休暇ですが、それを校外研修に 727 しておったり、あるいは事務職員に校外研修を命じておったということをやめ 728 るということであって、ほかのところは全部残っておるわけでありまして、し 729 かも同時に、北海道の場合には、課長クラスのところで組合との交渉過程を全 730 部議事録を送っちゃったと、この前言いましたように。それには継続交渉だと 731 いうことになっているということで、何かわからぬ状況がこの六月の参議院の 732 自由民主党の調査でわかり、問題を指摘したわけでありますが、それを受けて 733 六月二十日には改めてまた道の教育委員会がその項目についての修正通知を出 734 されたと。 735 736  そこまではいいんですけれども、また九月二十五日に聞きましたのでは、四 737 市の校長会でこれを説明するときに、勤務条件にかかわることについては一切 738 組合と交渉していないので、だから従来どおりなんだというような話があった 739 ということで、非常に現場は混乱しているというふうなことでございまして、 740 そういう意味では、やはりこれは、四六協定は全面的に破棄して必要なことだ 741 け決めていったらいいと私は思うんですけれども、そういう意味では、北海道 742 に対してどのように指導されるのか、大臣のお考え、ひとつよろしくお願いし 743 たいと思います。これは、大臣がこの前指導すると言われたから、大臣からひ 744 とつお願いします。 745 746 ○国務大臣(遠山敦子君) 前回の国会審議のときにも亀井先生から強いお話 747 がございまして、私どもも全くその考えは同じでございます。四六協定がいま 748 だに生きていること自体が大変な問題だと考えております。 749 750  ただ、これまでのいろんな指導の経緯なり取り組みなりということを背景と 751 しまして、御指摘のように、本年三月二十日に四六協定の一部削除というもの 752 を北海道教育委員会に通告したところでございまして、事態は少しずつ変化を 753 してまいっていると私どもは確信をいたしておりますが、今お話を伺いますと、 754 まだ四六協定が生きている面があるし、削除したはずの、破棄したはずのとこ 755 ろも問題であるというような御指摘もございました。 756 757  やはり、四六協定には校長の権限を制約する事柄が含まれておりますだけで 758 はなくて、この文書の運用によって学校の適正な運営管理に大きな支障が生じ 759 ていると認識いたしております。我が省といたしましては、今後とも、北海道 760 の教育の正常化に向けて、四六協定自体の破棄について北海道教育委員会に対 761 する指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。 762 763 ○亀井郁夫君 広島県の場合も、文部省から平成十年に調査団が来られまして、 764 十数項目にわたって具体的な是正指導を行っていただき三年たちましたけれど 765 も、広島県の教育長をやった辰野、今課長ですけれども、こちらの課長ですが、 766 辰野教育長も頑張ってもらって、文部省と相呼応して頑張っていただいたとい 767 うことで、ようやくよそ並みの形にまでなったと。しかし、まだ中身はこれか 768 らでございますけれども、しかしそこまでようやくなり、県民も大変だという 769 ことで何とかしようという動きが盛り上がってきている状況でございます。 770 771  やはりそういう意味では、文部省の方から北海道の方にはぜひとも調査団を 772 出していただきたい。これにつきましては、町村文部大臣のときには今調査中 773 なので調査が終わったら調査団を派遣しますということもこの席で約束された 774 わけでございますけれども、そういう意味では、中間報告がこの前、五月にあ 775 りましたけれども、最終報告がまだできているのかできていないのか、いつご 776 ろになるのか、これについてひとつお尋ねしたいと思います。 777 778 ○政府参考人(矢野重典君) 最終報告がいつごろになるのかというお尋ねで 779 ございますが、昨年の十二月に北海道教育委員会に対しまして管理運営上の諸 780 問題について詳細な調査を求め、先ほどお話しございましたように、本年六月 781 に調査事項の一部について第一次報告を受けたところでございます。 782 783  また、我が省におきましては、この第一次報告を受けまして、北海道教育委 784 員会に対しまして、報告で明らかになった不適切な勤務の実態の是正等を指導 785 いたしますとともに、残りの調査事項についても速やかに報告するよう指導い 786 たしたところでございます。これを受けまして、現在、北海道教育委員会では、 787 第一次報告で明らかになりました不適正な勤務時間中の組合活動に関しまして、 788 その日時や時間数に関する詳細な再調査を実施するなど、調査全体の報告に向 789 けて鋭意取り組みを進めているところでございます。 790 791  私どもといたしましては、北海道教育委員会に対しまして調査全体の報告を 792 速やかに行うよう引き続き指導をしてまいりたいと考えておりますけれども、 793 現時点で北海道教育委員会からは年内のできるだけ早い時期に報告をしたいと 794 聞いているところでございます。私どもとしては、可能な限り速やかに報告す 795 るよう北海道教育委員会を引き続き指導してまいりたいと考えております。 796 797 ○亀井郁夫君 今のお話だと、その後、調査に行かれて、一部指導もされてい 798 るということでございますけれども、そうした文部省の是正指導の内容と調査 799 の状況等につきましてやはり明らかにしていただくことが私は大事ではないか 800 と思います。 801 802  広島県の場合は、十数項目にわたって逐一どうなっているということを報告 803 があったのを公表していただき、それをもとにして我々も議論してきたわけで 804 ございますから、文部省としてもその辺を、別に遠慮することないんですから、 805 調査結果と指導内容を具体的に我々に教えていただきたいと思いますが、いか 806 がでしょうか。 807 808 ○政府参考人(矢野重典君) 必要に応じてその節々で状況については御報告 809 をいたしたいと思います。 810 811 ○亀井郁夫君 最後にもう一点お尋ねしたいんですが、これは補助教員制度の 812 問題でございますけれども、長引く不況対策、雇用対策の一環として、小泉総 813 理、山の仕事と同じように、並べて補助教員の問題が提案され、これにつきま 814 しても、大臣の所信表明にありましたように、学校いきいきプランを新たにやっ 815 ていきたいということで、こういう形で受けとめていかれるようでございます 816 けれども、私申し上げたいのは、確かに雇用問題への対応になるかもしれませ 817 んけれども、三年間で五万人ということでございますけれども、単にそういっ 818 た雇用を守るということだけでは困るんじゃないかと私は思います。 819 820  戦後、ニコヨンという言葉がありましたね。要するに、働く人のためにニコ 821 ヨンで、二百四十円の日給をもらうということでニコヨンだったと思いますけ 822 れども、そうした形でありましたけれども、そういった救済事業的な格好でこ 823 の補助教員制度を考えては私は大きな間違いだと思うんですね。やはり教育の 824 現場のこれからの活性化の問題、そこの中で長期的な観点から受けとめてもらっ 825 て、三年たったらやめじゃなしに、ずっと続けていく制度としてこの問題は取 826 り組んでいただかなきゃならないと私は思います。 827 828  そういう意味で、これについての期間だとか給与だとか、そういったいろん 829 な条件について今決まった案があれば、考え方があればそれについてもぜひ教 830 えていただきたいし、そういうことを含めまして大臣のお考えをお聞きしたい 831 と思います。 832 833 ○国務大臣(遠山敦子君) 学校いきいきプランと申しますのは、地域社会の 834 人材を学校に入れて学校を活性化させるということでございまして、それは子 835 供たち一人一人に目配りのきいた教育をしていくということが目的でございま 836 す。もちろん、波及的効果としましてそれが雇用にも裨益するということでご 837 ざいまして、私は、学校教育の中では、本質の議論としては、やはり社会人の 838 健全な目を学校に注いでもらって、そこでいろんな活動をしてもらい補助的な 839 仕事もしていただくということで運用したいと考えております。 840 841  給与の面も、今の日本の財政状況で、たっぷりとした給与を出せたらとは思 842 うのでございますが、そういうわけにもまいらない面もございまして、ある程 843 度の労働に対してこたえ得るものを用意をして、もちろん地域によって、それ 844 をもとにしながら、あるいは呼んでくる人の状況あるいは能力なり役割という 845 ことによってかなりその辺を裁量的に用いることができるようにもしたいと考 846 えております。そのようなことで、健全な形で社会人の力を学校教育に活用し 847 ていただきたいというねらいでございます。 848 849  とりあえず、今は補正予算においてこの問題に対する措置をとりたいという 850 ことで今お願いをしているところでございまして、将来どのようなことになっ 851 ていくかについて今の段階でお約束するというのはなかなか難しいわけでござ 852 いますが、私はこういう方向というのも大変大事な方向であろうかと思ってお 853 ります。 854 855  一方で、定数改善も着々と行われておりますし、学校の教職員の定数も十分 856 に配置をし、そしてまた、いろんな外側の社会人も有機的な連携をとりながら 857 活用させていただくというこのような方式というものは、今後とも考え方とし 858 ては続けてまいりたいと思うものでございます。 859 860  先ほどちょっと私は答弁の中で間違いをいたしました。大変申しわけござい 861 ませんけれども、北海道教育委員会のことでございますが、本年三月二十日に 862 四六協定の一部削除を北海道教育委員会に通告したと言ったような記憶でござ 863 いますが、北海道教職員組合に通告したということでございまして、ここに改 864 めさせていただきます。 865 866 ○亀井郁夫君 ありがとうございました。 867 868  くどいようですけれども、今の問題は長期的なプロジェクトとして、そして 869 結果として雇用にはプラスになりますけれども、そのためだということじゃな 870 しに、やはり本当に教育の現場になじむ人を、ちゃんとやってもらう人を採用 871 してもらわなきゃいけないと思いますので、そういう点でよろしくお願いした 872 いと思います。 873 874  私、これで終わります。ありがとうございました。 875 876 ○大仁田厚君 おはようございます。 877 878  今回の質問をさせていただくことに、諸先輩方に御礼申し上げます。 879 880  今回、質問をいろいろ考えたんですが、人間というものはつくづく答えのな 881 いものだなと自分の中で本当に思います。 882 883  十五歳のときに中学校を卒業し、そして長崎の県庁前から、先ほど西岡先生 884 出ていかれましたけれども、同じ同県人なんですが、長崎の県庁前からリュッ 885 クと寝袋を背負って十五歳の少年が歩いて日本一周徒歩旅行の旅に出るんです。 886 二十八日間かけて神戸の元町の駅にたどり着きました。手持ち資金二万三千円。 887 そして、プロレスの世界に入り、来年で三十年になります。 888 889  プロレスの世界で三十年やってきて、じゃプロレスとは何ぞやと言われたら、 890 僕は多分答えが出せません。僕ながら、教育とは何だと自分の教育の現場から、 891 学んできた現場から考えているときに思ったんです、ああ答えのないものだな 892 と。じゃ人間とは何だと言われたら、多分答えのないものだと僕は思います。 893 894  その中で、考えている中で一つの問題が出ました。ああ、体験があるじゃな 895 いか。FMWという、有刺鉄線を使ったり、ばりばりという試合があるんです 896 が、その団体をあの故ジャイアント馬場さんのところから僕が出まして自分で 897 旗上げしたんです。飛騨高山の高山から二十五キロぐらいの吉城郡古川町民会 898 館、使用料六千円です。安いから借りました。スタッフとレスラーと合わせて 899 二十四人、お客が五人です。 900 901  不思議なもので、人は人間の目を見て話し、そして真っ正面で話します。後 902 ろで話す人はこれは失礼であり、これが僕は礼儀だと思うんです。ということ 903 は、リングの中で何を表現するか。人に訴え続けるわけです、人に見せるわけ 904 です、人に表現するわけです。 905 906  ちょっと適切な表現ではないと思いますが、ちょっと血を流し、ぼろぼろに 907 なりながらリングからぱっとお客さんを見たら、おじいさんが握り飯を食って 908 いました。はっきり言って、そういった状況に置かれると人間はへこみます。 909 だけれども、私はある種の表現者です。だから私は一生懸命闘いました。そし 910 て、ぼろぼろになりながら控え室に向かっていると、八十ぐらいの腰の曲がっ 911 たおばあちゃんがやってくるんです。そして、あんたと言うんです。あんた、 912 名前何て言うのと言われたときに、はい、僕は大仁田厚ですと言ったら、私、 913 あんたのこと知らぬ、だけれども、あんた一生懸命頑張っているねと言われた 914 んです。 915 916  ということは、ああ、人間て才能だけじゃないな。僕は馬場さんのように大 917 きくありません。決して大きい人間ではありません。プロレスラーといえば大 918 きい。プロレスラーといえば力強い。だけれども、ああ、そうなんだ、一生懸 919 命やればどうにかなるんだ。そのところで考えたんです、才能って何なんだろ 920 うと。才能ある者だけが、選ばれた者だけがいい職業につき、そしてまた選ば 921 れた者だけがトップの人たちになっていく。そうじゃなくて、才能がなくても 922 頑張っているやつが正当に認められる社会でなければ、そういう社会でなけれ 923 ば僕は人は頑張らないと思うんです。 924 925  なぜこの国会という公の場に私が来たか。私は、人間として、自分で才能が 926 ある人間だとは思いません。ただ、自分の体験を通して自分が模索し、人間と 927 は何だということを体で表現し、それが一番説得力のあるものではないだろう 928 かと思って僕はやってまいりました。 929 930  話は変わりますが、最近の若い者はなとよく言われます。あのエジプトのピ 931 ラミッドの中に、だれが彫ったんでしょうか、親方が彫ったという説があるん 932 ですけれども、最近の若い者はという、何千年も前に。時代は繰り返されます。 933 934  確かに、最近の青少年の犯罪というものはだんだんだんだん凶悪化していま 935 す。だけれども、私が四十一歳で高校に行ったときに、はっきり言って年齢は 936 倍以上違います。あの教室の中には十七歳、十八歳の子供たちです。僕ははっ 937 きり言って一週間でやめようと思いました。考えてみてください。四十一歳の 938 男が十七歳、十八歳の世界に、笑われると思いますが、入ったときに、じゃ、 939 一緒に勉強をともにし、できるか。はっきり言ってできません。机に座って数 940 学を学んだ瞬間に、因数分解、微分積分が出てきたときに、全然わかりません 941 でした。 942 943  そして、その高校を卒業して行ったときに、インドの教育を見てきました。 944 これが去年、おととし、僕が使った数学の教科書です。これが日本の今の高校 945 の教科書です。そして、同時期に行ったインドの数学の教科書がこれです。確 946 かに、中身が大きいとか太いとか、そういった問題でなく。 947 948  僕はその子供たちに聞いたんです、何でそんなに勉強するんだ。一日平均十 949 三時間から十四時間勉強すると言っています。何でそんなに勉強するんだと言っ 950 たら、国のためだと言うんです。おい、ちょっと違うんじゃないか。もう一回 951 質問するんです、自分のためだろう。そうしたら、家族のためだと言うんです。 952 確かに、国の状況も違い、カスタムも違います。いろんなことが違います。だ 953 けれども、僕はその子供たちを自分の中で感じたときに思いました、今のこの 954 国はちょっと違うんじゃないだろうか。 955 956  申しわけありませんが、今の社会をつくったのは私たちであり、諸先輩方で 957 す。その責任は、僕は大人がとるべきだと思っております。大人が今何をしな 958 ければならないか。夢や希望を持てる社会を私たちが最後のエネルギーを振り 959 絞って今つくり上げるしか私はないと思っております。夢や希望をと語ると何 960 か冷やかされるような社会です。熱く語ると、何そんなに熱くなっているんだ、 961 僕しょっちゅう言われます。 962 963  村上龍さんが書いた本の中に、「希望の国のエクソダス」という、僕ははっ 964 きり言って読んでいません、その中に、現在の若者はすべて満たされている、 965 ただ一つないものは希望だけだという。 966 967  はっきり言いますと、僕は目立ちたがり屋です。そうやってここまではい上 968 がってまいりました。はっきり言って、申しわけありませんが、文部科学省は 969 地味です。だって、考えてみてください。予算委員会には多くのマスコミが駆 970 けつけ、人がたくさんいて、目立とうとします。カメラが入っているから、ど 971 うにかして映ろうかなと皆さんされます。それは人間の自然な行為です。大人 972 だって僕はそうだと思うんです。 973 974  ということは、単純に考えてみてください、大人がどうするかによって子供 975 が変われる。もう一回、私たちが最後のエネルギーを絞って夢の持てる社会、 976 その実現に向けて私は頑張らなければならないと、そう信じております。 977 978  本当は、きょうはほとんど僕の三十分間しゃべり続けようかなと思ったんで 979 すが、それをやると、どうしても大臣に僕は質問したくてきょうやってきたも 980 のですから。大臣、夢や希望の持てる社会の実現のため文部科学行政の果たす 981 べき役割について大臣はどうお考えですか。 982 983 ○国務大臣(遠山敦子君) 私は、ぜひ大仁田先生が持ち時間いっぱいその元 984 気な話をしていただいて我々を、謹聴すること自体が、謹んで伺うこと自体が 985 もうまさに日本のあり方を指し示すのではないかというふうに思います。 986 987  ただ、せっかく御質問いただきましたので答えたいと思いますが、私は、先 988 週の金曜日ですか、沖縄へちょっと行く機会がございました。沖縄の小学校で 989 子供たちに大歓迎をしてもらったんですね。そして、子供たちはもう生き生き 990 と体験学習の成果を私に次々に立って、今は一人の優秀な子が言うだけじゃな 991 いんですね、一人ずつ一言ずつ言ってくれまして、本当に活力に満ちた授業を 992 見せてもらいました。ですから、先生のおっしゃった中で、体験が大事だ、そ 993 れに基づいて自信を持ち、そして自分でみずから生きる力を身につけていくと 994 いうことはすごく大事だなと思います。 995 996  そのときに子供たちに言ったんですが、実は文部科学省というのは先生のよ 997 うに私地味と思っておりませんで、ことしいろんな悲しいことがございました 998 ね。テロは起きる、殺人事件は起きる、池田小学校事件は起きる、本当にひど 999 い二十一世紀の始まりでございました。そんな中で、日本国民に希望を与える 1000 ことができたのが我が文部科学省であると。一つ、ロケットを打ち上げて成功 1001 しました。二つ、ノーベル賞を二年続けてもらってもらいました。もう一つ、 1002 別の席ですね、スポーツ功労賞の席に行きまして、そして今スポーツ界であん 1003 なに活躍してくれています云々ということで、我が省は日本国民に希望を与え 1004 得る唯一の省だと考えております。 1005 1006  夢と希望の話でございますけれども、まさにそれを私ども大人自体が前向き 1007 に生きることによって子供たちに示していかなくてはならないと思っています。 1008 そんなことで、今度の新しい教育改革が目指すものは、一人一人の子供に生き 1009 る力を与え、そして確かな学力とそして豊かな心を持つことによって自分自身 1010 で生き方を見つけ、希望を自分で探し、そして未来に向かって歩いていける、 1011 そんな子供を育てたいというのが私どもの今考えでございます。ぜひとも大仁 1012 田先生のその勢いでバックアップしていただきたいと思います。 1013 1014 ○大仁田厚君 大臣の言われることは僕はよくわかります。だからこそ私は言っ 1015 たんです。だからこそ、確かに予算委員会はマスコミが来て取り上げられます、 1016 大臣の言われているように、だけれども、僕は今まさに文部科学省が真剣に取 1017 り組むことがこの国のためになるんじゃないかと私は思ったから、僕は入った 1018 んです。 1019 1020  これはなぜかと申しますと、景気とかそういったものというのは確かに時代 1021 の流れとともにいろいろ変化します。いや、確かに教育というものも時代の流 1022 れとともに変化すると思います。今、この国に何が必要かというと、僕は生き 1023 る力だと思うんです。それを教えるのはこの文部科学省なんです。教育の中に 1024 いかに取り組み、やっぱり。 1025 1026  僕はヨーロッパに二年、アメリカに五年、通算七年間プロレスを続けながら 1027 外国で暮らしました。そのときに何を食べたいかと言われたら、サンマ定食が 1028 食べたかったんです。それをロサンゼルスに行ったときに食べた瞬間、ああ、 1029 おれはやっぱり日本人だなと感じるんです。僕ってやっぱりこの国が好きだし、 1030 今のモラルが欠落した、おふくろさんを、殺すという言葉は嫌いなんですけれ 1031 ども、あやめたり、人のことを傷つけたり安易にしてしまう国であっては絶対 1032 にいけないと思うんです。 1033 1034  そういった中で、私は自分のコンプレックスを消すために四十一歳で高校に 1035 行きました。高校に行くとドアがありますね。鏡の中からぽっと見える世界が 1036 十七歳、十八歳の世界なんです。ぱっと考えられますけれども、今ぱっと、自 1037 分の中でプロレスラー大仁田厚というものを確立した、先生方もそうです、先 1038 生方も先生というものを確立した方がその世界に入るというのは多分勇気が要 1039 ると思います。先生から言われたんです、おい、大仁田、そこの席に着けと。 1040 二十六年ぶりに席と机を感じたとき、小さいなと思ったんです。いや、当たり 1041 前だと思われます。当たり前だというのはわかると思います。当たり前じゃな 1042 いか、二十六年ぶりなんだから。だけれども、僕はここが違うと思うんです。 1043 だってそうでしょう、大臣。朝、大臣が新聞を読まれます。そしてテレビを見 1044 ます。あたかも自分の体験かのように第三者に話したことはありませんか。だ 1045 けれども、それよりも、ああ、わかるということですけれども、二十六年ぶり 1046 に僕がそのいすと机をぽっと感じたときに小さいなと。これはわかることであっ 1047 ても僕は貴重な体験だと思うんです。 1048 1049  はっきり言って、高校に行って友達ができず、もう一週間でやめようかなと 1050 思いました。そのときに僕を救ってくれたのが十七歳、十八歳の子供たちだっ 1051 たんです。その子たちが僕の友達になってくれました。そうしたら、僕は学食 1052 へ行くんですよ、こうやって。そうなると、僕は何というんですか番長になり 1053 まして、あいさつしないと、おまえ、あいさつしろよと言っちゃうんです。 1054 1055  それで、学食へ行ってカツどんを食べていたら、一人のぽちゃっとした男の 1056 子が寂しそうにカツどんを食べています。それで、元気を出せよと、こうファ 1057 イヤーとか言おうかなと思って、元気を出せよと言おうとしたら、その男の子 1058 のカツどんが唐辛子で真っ赤っ赤なんです。それで、友達が言うんです、大仁 1059 田さん、これはいじめられているんですよと。申しわけありませんが、僕はそ 1060 のときは高校生ですから、その大地という同級生と僕は、百人ぐらいの食堂で 1061 どなりました。だれだ、こんなことをやったのはと言った瞬間、政経の西谷先 1062 生と化学の大沢先生が、何を思ったか、大仁田、やめろととめるんです。だか 1063 ら僕は言いました。済みませんと僕は言ったんです、その先生に。これは子供 1064 の問題です、済みません、これは子供の問題です、僕らの問題です、済みませ 1065 んが僕たちだけで話し合いますのでと。 1066 1067  ある程度の僕も立場になりましたから変な言葉遣いはできませんが、いじめ 1068 た皆さん、ちょっと顔をかしてくださいと表に連れていきました。そうですよ、 1069 連れていきました。それで、いじめられた子も、君もお顔をおかしくださいと、 1070 こう表に。そのときに僕は言ったんです。おい、三年間いじめ続けるのか、寂 1071 しくなるぞ、おまえ弟いるのかと言ったら、たまたまいたんです、はいと言う。 1072 おまえ弟にこんなことをするのか、いえ、しませんと言う。おまえもおまえだ、 1073 ずっとこうやっておまえ黙って食べているから、どんどんいじめ抜くんだ、お 1074 まえ三年間いじめられたいのかと。そして、何を思ったか先生に言われたのか、 1075 僕が数学の時間が終わったら僕のところにやってくるんですよ、先輩、済みま 1076 せんでしたと。おまえ試合に来いと言ったんです、試合に来いと。そうしたら、 1077 その二人が最初、試合場でファイヤーとかやっているんですよ。 1078 1079  それで、僕がやった行為が正しいのか正しくないのか、それはわかりません、 1080 僕ははっきり言って。これは結果論ですから、人間に答えはないと思っていま 1081 すから。だけれども、二学期のときに食堂に行ったら、その子供は三人ぐらい 1082 友達ができて一緒に御飯を食べていました。 1083 1084  本当は質問よりも、あと七分しかありませんから、大臣によろしかったら、 1085 本当は副大臣にもたくさんの質問を僕は用意していたんですが、最後に副大臣 1086 と橋本委員長にだけ質問をさせていただきたい事項があるんです。 1087 1088  はっきり言って、本当に皆様方に、何で大仁田厚が国会議員になったのかと。 1089 人間というのは一〇〇%じゃありません。こうやって公の場に出てくれば、出 1090 るくいは打たれるということわざのように、いろんなことがあります。そして、 1091 それで人間はへこみ、悩み、苦しみます。 1092 1093  じゃ、副大臣にお聞きします、男として。出るくいは打たれる、だけれども、 1094 じゃ、そこで人生をあきらめるのかと言われたら、副大臣、どうされますか。 1095 1096 ○副大臣(岸田文雄君) 先生のお話を聞いておりまして、本当にいろんなこ 1097 とを考えさせられました。 1098 1099  出るくいは打たれるということですが、それで打たれるのが嫌だといえば、 1100 おっしゃるように夢を持つことはできないでしょうし、夢のない社会になって 1101 しまうんだと思います。 1102 1103  今、日本の社会見ておりまして、出るくいは打たれるというか、要するに出 1104 ることによって人から批判される、批評される、そのこと自体嫌がる風潮があ 1105 る。本当にそういったことが夢をしぼませる大きな原因だと思いますので、出 1106 るくいは打たれる、これにへこたれているようじゃ日本の国はいつまでも夢を 1107 持つことはできないんではないか、そのように感じます。 1108 1109 ○大仁田厚君 私も同意見です。 1110 1111  ということは、ある種物すごく重要な部分を大臣、僕は占めていると思うん 1112 です、この場が。だから、僕、世間にいたときに、だれも僕はそうだと思いま 1113 すけれども、はっきり言って文部科学省の人たち何をしているのかなと思いま 1114 した。だけれども、僕は、はっきり言って、何人かの文部科学省の人たちと話 1115 をしたときに、ああこの人たちも夢を語ろうとしているんだという可能性を見 1116 ました。 1117 1118  人間というのは、面と向かい、本当に真剣に話さなければ、同じ目線の中で 1119 話さなければ決してわからないことがあります。確かに礼儀というものはあり 1120 ます。目上の人に対して礼儀を尽くすのは当たり前のことです。僕たちが、僕 1121 たちの世代が何かを主張します。そうすると、先輩の世代がもし僕たちを受け 1122 入れてくれたら、僕たちは可能な限り闘うと思うんです。そうしたら、受け入 1123 れられたという喜びを心の中で感じます。そうすると、何をするかといえば、 1124 僕たちは多分後輩を育てるでしょう。そしてまた、その後輩はまた下の子たち 1125 を育てると思うんです。社会というのはそういうふうに連係がなっているので 1126 しょうか。 1127 1128  大阪で悲しい事件が起こりました。だけれども、不思議なことに世の中は流 1129 れています。毎日刻々と流れています。だから、人間の意識の中のキャパシティー 1130 の中で全部は記憶できません。だから、どんどんどんどん消化されて消えてい 1131 くことがあります。だけれども、決して忘れていけないことというのは、僕は 1132 部分的に絶対にあると思うんです。 1133 1134  ちょっと思い返してみてください。僕らが行ったときの学校には怖い先生が 1135 いました。そして、クラスの中には番長と呼ばれる人がいて、じゃ番長が所構 1136 わず人をいじめたかといえばそうではなかったんです、弱い者を助けていたよ 1137 うな気がします。そして、町内の中には怖いおやじがいて、僕らが悪さをする 1138 と殴りつけるんです。全然僕知らないおじさんなんです。そういったように、 1139 地域と学校が何か知らずのうちにコミュニケーションをとり、密着していたよ 1140 うな気がするんです。何かそういったものがどんどんどんどん欠落していく世 1141 界。 1142 1143  僕は思うんですけれども、本当にこの次もし質問させていただくことがあれ 1144 ば、具体案はいろいろ考えているものですから、もう時間がないと先ほどこう 1145 やって、質疑の時間は十一時三十分までですということがあったものですから、 1146 あと三分少々しかありませんので、最後に質問と自分の独演会で終わりたいと 1147 思います。 1148 1149  最後に、橋本委員長に質問なんですが、私自身として考えておるのは、文教 1150 科学委員会のこういった討論の場で、大臣にもお考え願いたいんですが、僕は、 1151 子供たちやそして現場の人たちを呼び、生の声をじかに聞き、そして討論をし 1152 ながらいろんな具体的なものを討議していく必要性があると思うんです。その 1153 中では大人と子供が闘い、闘いというのはそういった部分の闘いではありませ 1154 ん。ある部分の精神的なものであり、コミュニケーション、同じ目線の中で意 1155 見を交換し合う必要が僕は絶対にあると思うんです。そういった意味で国会の 1156 立場から行政と取り組む必要があると思いますが、橋本委員長はいかがお考え 1157 でしょうか。 1158 1159 ○委員長(橋本聖子君) 委員長への質問というのは初めてだと、私も今戸惑っ 1160 ているところが正直な気持ちなんですけれども、やはり大仁田先生の今のお考 1161 えというのは私としてもとても大切なことだと思っておりますし、またこの件 1162 につきましては大変貴重な御意見として承りたいと思っております。ありがと 1163 うございました。 1164 1165 ○大仁田厚君 ありがとうございます。 1166 1167  済みません、そういう機会をぜひ設けていただいて、見えないところも皆さ 1168 んと一緒に、子供たちと一緒に見ていこうと思っております。 1169 1170  最後なんですが、あと一分で終わります。 1171 1172  小泉総理が言われた米百俵という言葉を私なりに解釈いたしました。明治新 1173 政府は国家予算の三分の一を使って教育改革をしたそうです。私は、小泉総理 1174 が掲げられる聖域なき構造改革は教育改革なくして絶対にないと信じておりま 1175 す。だから私はこの文教科学委員会に来ました。先ほど言いましたように、頑 1176 張っているやつが正当に認められる社会でなければだれも頑張りません。 1177 1178  私は声が大きいです。ここにマイクがあるのに一々声を張り上げることはな 1179 いとあるアナウンサーが言いました。だけれども、この世界は僕はライブだと 1180 思うんです。人を感じ、勢いを感じ、熱を感じ、そこで人間を感じるのが僕は 1181 ライブのよさであり、こういった討論の場だと思うんです。 1182 1183  はっきり言いまして、モラルはどんどん欠落しています。僕は、国会に来た 1184 らできるだけあいさつをこうやってするようにしているんですけれども。あい 1185 さつが基本だ、だけれども、そのあいさつをできない大人の人も何人か見かけ 1186 ます。その人たちが真剣な顔をして子供たちに、そのあいさつをできない人が 1187 子供たちに真剣にその場だけを繕って語ってみても、僕は子供たちに通用しな 1188 いと思います。 1189 1190  文部科学省を支えている方々、もしよかったら、大仁田厚、現場に赴き、い 1191 ろんな生の声を聞いてみようと思います。そしてまた、私は今回、パキスタン、 1192 アフガンに行くことをあらゆるところに嘆願しましたが、通りませんでした。 1193 だけれども、この姿勢は変えるつもりは全くありません。大仁田厚、失敗だら 1194 けの人間です。だけれども、その失敗の中から人間は貴重な体験を得て、そし 1195 てそこで答えをどんどん見つけていくんじゃないでしょうか。もしよかったら、 1196 こういう若輩者ですが、全力でこの国のために頑張りますので、皆様、よろし 1197 くお願いいたします。 1198 1199  それでは、大仁田厚の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございま 1200 した。(拍手) 1201 1202 ○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。 1203 1204  私も大仁田委員と全く同じ気持ちで、夢と希望の国日本をつくりたい、そう 1205 いう思いで本委員会に所属をいたしました。 1206 1207  質問をさせていただきたいと思います。 1208 1209  今日の世界そして日本の現状を見ますと、歴史上これほどまでに教育の重要 1210 性が高まっている時期はないと痛感をせざるを得ません。先日、世界じゅうを 1211 震撼させ、私たちも本当に心を痛めました米国の同時多発テロ事件、あの大惨 1212 事を発生せしめたその根底には、行き過ぎた洗脳教育があるということを私た 1213 ちは忘れてはならないと思います。 1214 1215  「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりで 1216 を築かなければならない。」という名文句の宣言のもと創設をされましたユネ 1217 スコにおきましても、今回テロリズムの根絶に関する決議を採択いたしました 1218 が、平和の回復と創造の出発点もまさに教育であるということを私たちは再認 1219 識したいと思います。 1220 1221  同時に、個人並びに家族の人生の充実とそれを支える社会、国家、その健全 1222 な発展もまさに教育にかかっております。 1223 1224  そうした観点から、人が学ぶ権利、すなわち学習権は最も尊重されるべき基 1225 本的人権の一つであり、すべての人々の学習権の向上と充実を図っていくこと 1226 が二十一世紀にこの国会に身を置く我々の務めであると存じております。 1227 1228  特に、二十一世紀は知の時代になると言われております。そうした中、日本 1229 人並びに日本国の将来は知恵と人材をいかにはぐくみ活用できるか、まさにそ 1230 のことに尽きている、そのように思います。我が国におきます高等教育の盛衰 1231 こそが二十一世紀の日本の命運を決すると言っても過言ではありません。 1232 1233  私自身も、本年三月まで慶応義塾大学の湘南藤沢キャンパスの助教授として 1234 教鞭をとってまいりましたし、現在もなお、先ごろノーベル化学賞を受賞され 1235 ました野依教授が学ばれました高等学校におきまして、毎週生徒の指導にも当 1236 たっております。 1237 1238  そうした現場経験から、高等教育を受ける意欲のある人々への経済的支援と 1239 そうした学生を受け入れる側の大学のガバナンス、これについてもっときちっ 1240 とした議論を行ってその抜本的な拡充と強化を行うことが大変に重要なことだ 1241 ということを常々感じてまいりました。 1242 1243  大学のガバナンスにつきましては次回に譲ることといたしまして、本日は、 1244 高等教育を受けていきたい、そうした思いを持った学習者の支援に絞って御質 1245 問をさせていただきたいと思います。 1246 1247  現在、政府内におきまして特殊法人改革の議論がなされておりますけれども、 1248 その議論の俎上に日本育英会も上っていると思います。同会は、昭和十九年の 1249 発足以来、我が国の育英奨学事業の中核的な機関といたしまして極めて重要な 1250 役割を担ってまいりましたが、その育英会が現在廃止の方向で議論が進められ 1251 ていると仄聞をいたしております。 1252 1253  このままの議論が進みますと、本当にこの日本育英会が廃止をされてしまう 1254 のかどうか、具体的に行革事務局と文部科学省との間で今までにどのような議 1255 論があって、この議論が今後どういうふうになるのか、その見通しについてお 1256 伺いをいたしたいと思います。 1257 1258 ○国務大臣(遠山敦子君) 日本の将来は人にありということで、特に学びた 1259 い人に奨学金を与えるということは大変大事だと思っております。私どもはそ 1260 の信念に変わりはございません。 1261 1262  このたびの特殊法人等改革におきまして、八月十日に個別事業の見直しの考 1263 え方というのが出たわけでございますが、その中で、日本育英会につきまして 1264 も行政改革推進事務局の指摘と我が省の意見が両論併記の形で公表されており 1265 ます。 1266 1267  そこでは、行政改革推進事務局からの指摘に対しまして我が省が答えている 1268 わけでございますが、事務局からの指摘は、一つは無利子奨学金の絞り込み、 1269 二つには有利子奨学金の国民生活金融公庫の教育貸し付けとの統合の点が主な 1270 指摘点でございました。これに対して我が省といたしましては、奨学金制度全 1271 体の充実の必要性、それから奨学金と教育貸し付けとは機能が異なるなどの意 1272 見を述べていたところでございます。 1273 1274  廃止・民営化というのが大きな特殊法人についての構造改革のねらいになっ 1275 てございます。その中で、九月四日に我が省より、日本育英会の行う事業は公 1276 益性が高く、独立採算できないものであって、廃止・民営化は困難であるとい 1277 うことで、ただ、その必要な条件が満たされて、育英奨学事業が今よりさらに 1278 充実されるというのであれば、現在とは別の法人形態について検討の余地はあ 1279 ると報告させていただいたところでございます。 1280 1281  これに対しまして、十月五日には、行政改革推進事務局より、廃止・民営化 1282 について、育英奨学事業の拡充の方針に留意しつつ、他の法人との統合による 1283 廃止を含め引き続き検討というふうに意見が示されたところでございます。 1284 1285  今後は、平成十三年中に策定されることとなっております特殊法人等整理合 1286 理化計画に向けまして、さらに行政改革推進事務局と協議していくこととなっ 1287 ておりますが、我が省といたしましては、いろんな角度からこの問題について 1288 十分に考え、政策金融のあり方の方向なども踏まえながら、育英奨学事業の充 1289 実を図る観点から引き続き適切な対応に努めてまいりたい、そのような所存で 1290 ございます。 1291 1292 ○鈴木寛君 米百俵を唱えられております小泉政権下で、形はともあれ、日本 1293 育英会を廃止せよという意見が出ていること自体残念でございます。とりわけ、 1294 やはりこの育英会の将来については多くの方々が御心配をされていると思いま 1295 す。今、国民金融公庫などへの移管というお話もございましたが、その場合に 1296 本当に受給者にとって条件などで厳しくなることがないのか、そのことについ 1297 てはぜひ御留意をいただきたいと思います。 1298 1299  それから、日本育英会が消えてしまうかもしれないということに関連をいた 1300 しまして、地域改善対策特定事業に係る国の財政特別措置法に基づく奨学金制 1301 度についても少しお伺いをいたしますが、本制度は二〇〇一年度末をもって期 1302 限切れとなる予定でございまして、政府はこれについては期限の延長をせず、 1303 別制度、予算枠を持って対応するとし、同制度の切り捨ては行わないとされて 1304 おりますが、仮に育英会がなくなってしまうということになりますと大変心配 1305 なわけでございますが、ぜひ期限切れ後も同制度の趣旨が実質的に損なわれな 1306 いようにお願いを申し上げたいと思いますが、文部科学大臣の御答弁をお願い 1307 申し上げたいと思います。 1308 1309 ○副大臣(岸田文雄君) 先生御指摘いただきましたように、この事業、平成 1310 十三年度末をもって地対財特法が失効することに伴い、終了することとなって 1311 おります。他の地域改善対策特定事業と同様に、その後は同和地区や同和関係 1312 者に対象を限定しない一般対策によって対応するということになっているわけ 1313 であります。 1314 1315  そこで、今後のことでありますが、高等学校と大学とそれぞれ、まず高等学 1316 校につきましては、平成十四年度以降は都道府県が行う一般奨学事業の拡充に 1317 より対応することとしておりまして、都道府県が経済的理由により就学困難な 1318 高校生に奨学金を貸与する場合、これに要する経費の一部について補助を行う 1319 事業を新設するため、概算要求を今行っているところであります。また一方、 1320 大学の奨学金につきましては、日本育英会の奨学制度により対応して、予算の 1321 拡充を図るというようなことで、それぞれ対応を考えております。 1322 1323  いずれにしましても、事業は平成十三年度末をもって終了をするわけであり 1324 ますが、その内容におきまして後退がないようにしっかりと対応していきたい 1325 と考えております。 1326 1327 ○鈴木寛君 それでは、ぜひよろしくお願いを申し上げます。 1328 1329  それでは、学ぶ意欲のあるすべての人々をどのように経済的に支援をしてい 1330 くか、その基本的な考えについてお伺いをしたいと思いますが、現在、日本で 1331 十八歳以上の大学生、専門学校、大学院などを含めますと約三百五十万人の学 1332 生がいます。それぞれが大体約百五十万から二百万ぐらい年間学費と生活費が 1333 かかっておりますから、日本社会全体で見ますと大体五兆円から七兆円のお金 1334 がいずれにしても必要になってくるわけでございます。これを本人負担、それ 1335 からお父さん、お母さん、要するに家族が負担をする。それから民間の教育ロー 1336 ン、それから民間の奨学金、それから公的な奨学金、それに授業料の補助など 1337 によってこれから賄っていかなければならないわけでありますが、この五兆か 1338 ら七兆というその学習活動を支援する社会全体の費用をどのような考えに基づ 1339 いて社会全体として分担をしていったらいいというふうにお考えでしょうか、 1340 お聞かせをいただきたいと思います。 1341 1342 ○政府参考人(工藤智規君) 今御指摘のように、高等教育に学ぶ学生の皆さ 1343 んへの支援というのは大事なことでございまして、憲法、教育基本法で教育の 1344 機会均等をうたっております趣旨からしまして、経済的に困難な、しかも勉学 1345 意欲のある学生諸君への支援というのは、国や地方公共団体も含めて役割分担 1346 をしながら施策の充実を図っていかなきゃいけない課題だと思ってございます。 1347 1348  ただ、御指摘のように、それぞれがどういう分担割合がいいかどうかという 1349 のはなかなか公定的にきっちりしたものがあるわけでは必ずしもございません 1350 で、御承知のように、今、奨学金につきましても、日本育英会のほかに地方自 1351 治体それから公益法人、あるいは各大学等も含めて種々のところでいろんな施 1352 策を講じているわけでございますが、最近の傾向を見ますと、特に公益法人、 1353 ある程度、基金をベースにしまして援助する奨学財団が幾つかございますけれ 1354 ども、残念ながら、最近の低金利時代の中でその活動にかなりの支障を来して 1355 いる部分もございます。 1356 1357  そういう意味からしまして、日本育英会を初めとして、公的な支援の拡充と 1358 いうのが我々に課された課題であろうかと受けとめてございます。 1359 1360 ○鈴木寛君 私も実は私立大学で教鞭をとっておりました。近年、大変に気に 1361 なることがございます。経済的な理由で退学、退籍、休学をする学生が徐々に 1362 ふえていること、これは実質、表面に出ている以上にございます。そうした相 1363 談も私、受けてまいりました。我が国の場合は特に学生の多くが私立大学に通っ 1364 ておりますので、特にこのことは心配なわけでございます。 1365 1366  例えば、あのアメリカですら私立大学の学生は全体の約三割でございますし、 1367 それからアメリカは授業料高い高いと言われておりますけれども、授業料二万 1368 ドルを超える私立大学に通う学生数は全体の四%にすぎないわけでございまし 1369 て、日本の場合は約七割が私立大学に通っているという現状でございます。そ 1370 して大変な負担を強いられております。 1371 1372  ちなみに、私立大学の下宿生の場合は学費と生活費で年間に平均二百五十四 1373 万円かかって、うち二百十九万円は家庭、家族が負担をしております。それは 1374 家族の家計の、親御さんの家計の平均可処分所得の実に三七%ということです 1375 から、二人もお子さんを大学生で下宿させたら八割が、家計の八割はもうとら 1376 れちゃう、こういうことになっているわけでございまして、しかも、日本育英 1377 会から給付を受けている私立大学生はわずか一四%というありさまでございま 1378 す。 1379 1380  こうした昨今の経済不況、雇用不安が家計を直撃をいたしまして、実質的に 1381 学ぶ意欲を持っている若い人たちの学ぶチャンスを奪っているとしたら、これ 1382 は大変にゆゆしき事態だと私は考えております。 1383 1384  こうした実態を踏まえまして、遠山大臣は、我が国の先ほどもお話がござい 1385 ました奨学金支援の拡充ということについて、具体的にどのような目標を立て 1386 て、どのような具体的な内容を考えておられて、そしてそれをどういうスケジュー 1387 ルで実行をされるおつもりなのかを伺いたいと思います。 1388 1389  いずれにいたしましても、私は、今申し上げましたように、大変な過度な負 1390 担を家庭は強いられているわけでございまして、これは大幅に軽減すべきだと 1391 思います。加えまして、やはり学生は自立をしてきちっと勉強していくという 1392 ことが大事でありますから、そうしたことも含めて御所見を大臣から伺いたい 1393 と思います。 1394 1395 ○政府参考人(工藤智規君) 御承知のように、今、育英会の貸与事業につい 1396 て申しますと、無利子貸与と有利子貸与事業があるわけでございますが、現在、 1397 学種別に見ますと、大学レベルでは約一七%の学生の皆さんに貸与してござい 1398 ます。それから、大学院レベルですと四三%余でございますが、今御指摘があ 1399 りました家計の急変等によって大変勉学が困難になっている学生の皆さんにつ 1400 いては、緊急貸与奨学金制度というのがございまして、随時それを受け付けな 1401 がら家計急変等の学生諸君の支援に努めているところでございます。 1402 1403  それと、御指摘ありましたような、じゃこれからどういうふうに充実するの 1404 かということでございますけれども、これは先ほどの御質問にもありましたよ 1405 うに、育英会だけではなくて地方自治体あるいは民法法人等々、各種の支援の 1406 窓口があるわけでございますが、その全体の兼ね合いではございますけれども、 1407 私どもとしては、少なくとも財政事情の許す限り育英奨学事業の拡充に努めさ 1408 せていただくということで、来年度概算要求に当たりましても、無利子、有利 1409 子を合わせまして約四万五千人増の七十九万八千人の奨学生を対象に奨学金の 1410 貸与を計画しているところでございます。 1411 1412  なお、これで必ずしもまだ十分ではございませんが、おっしゃいましたこと 1413 で私ども申しますと、目標といたしましては、十八歳自立社会の実現というの 1414 が一つの私どもの量的というよりは質的な目標でございまして、高校を卒業し 1415 て十八歳になったら自立して勉学に努められるような環境の整備に努めてまい 1416 りたいと思っているところでございます。 1417 1418 ○鈴木寛君 私は、ぜひ学生の側からもう少しきちっと実態を踏まえて御議論 1419 をいただきたいというふうに思いますが、私は、国際的に見て日本の大学生が 1420 いかに苦労しているかということについて少しお話をしたいと思いますが、現 1421 在、日本の場合は、奨学金をもらっている、これは育英会だけじゃなくて民間 1422 すべてでございますけれども、もらっている学生は二割でございます。そして、 1423 その二割の学生といえども必要額の約三割しか賄われていないというのが日本 1424 の実態でございます。 1425 1426  では、海外はどうなっているかということを申し上げますと、ヨーロッパ主 1427 要国におきましては、学費、生活費が学生やその家族の家計を圧迫するという 1428 状況は全くございません。例えばドイツの場合は、大学のほとんどは州立大学 1429 でございますから原則学費は無償でございます。加えまして、生活費は、連邦 1430 奨学金法という法律があって、必要生活費と家族収入の差額をすべて全部の学 1431 生がもらえると、こういうことになっていますし、イギリスにおいても、年間 1432 の学費は二十万円で、しかも四割の学生がそれを免除されている。加えて、生 1433 活費については、希望者全員に奨学金制度というものが実現をされております 1434 し、その額も十分な水準になっております。 1435 1436  アメリカについて申し上げますと、アメリカはかなりヨーロッパと違います。 1437 私立大学、州立大学が中心でございますが、このアメリカにおきましても奨学 1438 金制度は大変充実をいたしておりまして、先ほど局長よりお話がございました 1439 日本の額の約十倍に上る五百億ドルの奨学金が総額で給付されておりますし、 1440 学生全体の七割が奨学金をもらっております。加えまして、給付型、貸与型、 1441 それから学業にマッチしたカレッジワーク、日本と違って学業と全く関係ない 1442 アルバイトじゃなくて、自分の学力増進にもつながるカレッジワークと、この 1443 三つのタイプの経済的支援制度が用意をされておりますから、これを大変うま 1444 く組み合わせて学生の皆さんは経済的な不安なく学習ができるということになっ 1445 ております。 1446 1447  各国の事情を申し上げるのはこれぐらいにいたしたいと思いますが、要する 1448 に先進諸国の中で、学生が経済的な理由で修学を断念をしたり、さらにそうし 1449 た学生の学費、生活費が親の家計を圧迫したりしている国は日本以外に見当た 1450 らないということを文教科学委員の先生方にはぜひ御理解をいただきたいと思 1451 います。 1452 1453  こうした諸外国の実情を踏まえまして、私は、ぜひ日本におきましても、経 1454 済的な理由による高等教育就学機会の損失をゼロにするという具体的な目標の 1455 もとに、奨学事業拡充方針を明快かつ明確に示していただきたいということを 1456 お願いを申し上げたいと思います。 1457 1458  私が申し上げておりますこの考え方は決して私の独善ではございませんで、 1459 実は一九七六年に発効をいたしました経済的、社会的及び文化的権利に関する 1460 国際条約、いわゆる国際人権A規約でございますが、この十三条の2の(c) 1461 では、「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な 1462 導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものと 1463 する」と規定されておりますし、また、同条の(e)では、「すべての段階に 1464 わたる学校制度の発展を積極的に追求し、適当な奨学金制度を設立し」云々と 1465 規定をされております。これらの規定から明らかなように、私が申し上げてお 1466 ります目標は、国際条約に規定されている基本的人権の実現をしていただきた 1467 いということを申し上げているということを皆様方に御理解を賜りたいと思い 1468 ます。 1469 1470  実はしかし、驚くべき事実がございまして、我が国はこの条約の締結に当た 1471 り、同項の無償教育化について留保をいたしております。文部省にお伺いをい 1472 たしますが、締結国、百四十五カ国ございますが、日本以外にこの条項を留保 1473 している国があれば教えていただきたいと思います。 1474 1475 ○政府参考人(工藤智規君) 突然のお尋ねでございますが、手元にある資料 1476 によりますと、今御指摘の条項を留保しておりますのはマダガスカルと承知し 1477 てございます。 1478 1479 ○鈴木寛君 私は、この留保をぜひ解除をいたしていただき、きちんと国際条 1480 約の実現に向かって努力をすべきだというふうに考えておりますが、いずれに 1481 いたしましても、ほかの国は、百四十三カ国は、この条約に基づきまして、既 1482 に二十年間、それぞれの国民の高等教育の無償化に向けて懸命な努力をしてき 1483 ているわけでございます。その一方で、日本だけがどんどん取り残されてしまっ 1484 ているという実態には大変な危機感と懸念を感じるわけであります。 1485 1486  それから、私は、現行では余り奨学金の対象となっていない方々へも積極的 1487 に道を開くべきだと思っております。例えば、数多くの日本人がファッション、 1488 デザイン、スタイリスト、ゲーム、アート、アニメ、ミュージック、料理など 1489 の分野で世界的に活躍をしていらっしゃることをかんがみますと、現在約八% 1490 しか受給をしていない専修学校、専門学校生に対する奨学金制度の拡充にも特 1491 に御留意をいただきたいと思いますし、加えて、これからは大仁田委員のよう 1492 に一生涯学び続ける時代となると思います。社会人を初め年齢を問わず学びた 1493 いという意欲があるすべての方々への奨学金制度に向けて特段の配慮が必要だ 1494 と思います。 1495 1496  いずれにいたしましても、日本社会全体で総額、先ほどお話ございました約 1497 五千億強の奨学金をやはり急速にふやしていくということは喫緊の課題として 1498 取り組むべきだと思いますが、行革だけではなくて、こうした前向きな議論を 1499 ぜひとも進めていただきたいというふうに思います。 1500 1501  本日は高等教育における学生の経済的な支援に絞って議論を重ねてまいりま 1502 したけれども、学生やその保護者の方々の家計が大変に苦しんでいるというこ 1503 とを十分に踏まえていただきまして、奨学事業の抜本的な拡充を図るために、 1504 早急にそのための検討体制を整備をしていただきたいというふうに思います。 1505 そして、日本育英会の存廃問題の決着に合わせて、同時にその奨学事業強化の 1506 具体的な成案をまとめていただきたいというふうに思います。日本育英会の廃 1507 止法だけが国会に提出されるというのは大変残念な事態でございますので、決 1508 してそういうことがないように強くお願いを申し上げたいと思います。 1509 1510  私自身は、我が国における高等教育機会の均等を図ることを目的として、学 1511 習者に対し学費そして生活費も含めたそうした費用の確保を保障するために、 1512 官民あわせた奨学事業の抜本的な拡充とそれに必要な所要資金の確保、あるい 1513 は利子補給、政府保証などの実施を盛り込んだ高等教育における学習活動支援 1514 法の制定をぜひ御提案をしたいと思いますので、御一考を賜りますようにお願 1515 いを申し上げます。 1516 1517  我が国は、先ほども大仁田委員が御指摘ありましたように、本日議論をして 1518 まいりました奨学金を初め、余りにも教育に対する投資を怠ってきたというふ 1519 うに思います。まさに教育投資の量的、質的な拡充は不可欠だと思います。年 1520 間の高等教育に係る公財政の支出の対GDP、GNP比率を見ましても、アメ 1521 リカ一・一、イギリス一・三、フランス一・〇、ドイツ一・五に対しまして、 1522 日本は〇・七%。世界先進各国に比べていかにおくれているかということがよ 1523 くわかります。 1524 1525  遠山大臣は三十年余り文部省にいらっしゃいました。遠山大臣を初め多くの 1526 文教関係者が教育投資の充実を図るためにこれまで懸命な努力をされてこられ 1527 たことは私も十分承知いたしておりますし、本委員会には実は三名の文部大臣 1528 経験者がいらっしゃいますが、そうした先輩の皆様方の御努力にもかかわりま 1529 せず、我が国の公的教育投資がドイツの半分、民間教育投資主体の米国にすら 1530 劣後しているということは大変残念でございます。これは、日本の教育を充実 1531 をしたいとの遠山大臣を初め皆様方の思いが結局従来の与党の政治力学の中で 1532 いつも踏みにじられてきたことの結果であるということは言わざるを得ないと 1533 思います。従来型の建設・土木事業には野方図に予算を投下する一方で、教育 1534 投資がいつも後回しにされてきたことは、遠山大臣が一番よく御存じだと思い 1535 ます。 1536 1537  私も、隣の通産省にありまして知的立国日本創造のために我が青春の日々を 1538 ささげてまいりましたが、二十一世紀への準備がどんどんおくれていくことへ 1539 の焦りと、我々若手官僚の真摯な思いが通じない悔しさを毎日味わってまいり 1540 ました。その後、大学に身を転じ、やはり懸念したとおり日本の人づくりが危 1541 機的状況にあるということを目の当たりにいたしました。そして、私は今般、 1542 参議院選挙に当たりまして、皆さんの税金をコンクリートから人づくりへとい 1543 うメッセージを発しさせていただきまして、私のメッセージに対し東京だけで 1544 も七十六万人という多くの皆様方から賛同と共感をいただきましたことによっ 1545 て、本日、この場に立っている次第でございます。 1546 1547  人づくりは今やまさに国民の総意であると思います。私も大仁田委員とタッ 1548 グを組みながら頑張ってまいりたいと思いますが、全国に学ぶ三百五十万人の 1549 学生と、そして将来の学生、今の学生を抱えるすべての御家庭の切なる思いを 1550 十分にお酌み取りいただきまして、これまで日本の人づくりに人生をかけてこ 1551 られました遠山大臣より御決意のほどを伺いたいと思います。よろしくお願い 1552 を申し上げます。 1553 1554 ○国務大臣(遠山敦子君) 今、鈴木委員から御指摘のことは私ども身にしみ 1555 ていつも感じておりまして、そのことを大声を上げて言ってまいった何十年間 1556 かでございます。 1557 1558  まことにおっしゃるとおりでございまして、大変力強いものを感じますけれ 1559 ども、全体の財政的な状況、日本の経済停滞、そんな中ではございますが、私 1560 どもとしては、先ほど局長が説明いたしましたように、奨学金のことにつきま 1561 しても、その中でも、最善とは申しませんけれども、ベターなことで力いっぱ 1562 い頑張ってまいりたいと思っておりますが、これは少し息の長い活動になろう 1563 かと思いますけれども、このことの重要性については国民各位が恐らく応援し 1564 ていただけると思っておりまして、私どももそういう声を背後にいたしまして 1565 今後とも力を尽くしてまいりたい、先生の御指摘について十分受けとめさせて 1566 いただきたいと思います。 1567 1568  ありがとうございます。 1569 1570 ○鈴木寛君 ありがとうございました。 1571 1572  質問を終わります。 1573 1574 ○委員長(橋本聖子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩 1575 いたします。 1576 1577    午後零時十分休憩 1578 1579      ─────・───── 1580 1581    午後一時開会 1582 1583 ○委員長(橋本聖子君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。 1584 1585  休憩前に引き続きまして、教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関す 1586 る調査を議題とし、質疑を行います。 1587 1588  質疑のある方は順次御発言願います。 1589
1590 ○神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。 1591 1592  私は横浜市と福岡県で小学校の教員を二十数年してまいりました。初めての 1593 質問でございますけれども、先輩でありました久保亘先生たちのお仕事を引き 1594 継いで、頑張ってまいりたいと思っております。 1595 1596  初めに、九月十一日以来、テロや軍事報復によっていたいけな子供たちを初 1597 めとする無辜の民の犠牲者が続出している、今この瞬間にも続出しているとい 1598 う現実についてお尋ねします。 1599 1600  遠山大臣、突然のテロによって我が親を亡くした子供たちやアメリカの空爆、 1601 誤爆によって亡くなった母親にしがみついて泣く子供たちの立場から見て、私 1602 はとにかく一刻も早くこういった武力行使はやめてほしいと念じているんです 1603 けれども、大臣はいかがでございますか。人の命をはぐくみ健やかに育てたい 1604 という立場から、一人の人間として、また女性としてのお考え、御感想を一言 1605 お願いいたします。 1606 1607 ○国務大臣(遠山敦子君) 私は、二十一世紀についてはもう少し平和でかつ 1608 希望のある世紀であろうかと思っていたわけでございますけれども、最近のい 1609 ろんな出来事というのは、そうではなくて、二十一世紀は下手をすると大変な 1610 時代になってしまうのではないかという予感さえ覚えるようなことが次々に起 1611 こってまいっております。いろんな形での武力行使、それに伴う人命の損失と 1612 いうことはまことに許せない、なぜ人類がこれだけの歴史を重ねながら英知を 1613 持ってそういう問題に対応できないかというのはつくづく考えさせられるとこ 1614 ろでございます。 1615 1616  ただ、今回のきっかけになったのはまさにテロであります。同時多発テロと 1617 いう許せない行為に対してそのまま傍観しているわけにはいかない、そのよう 1618 なことから今日の問題が起きていると思っております。 1619 1620  基本的には、今回のような問題が早く終息を見て一刻も早く世界に平和をと 1621 いうのはあらゆる国のあらゆる人々が希望していることではないかと思います 1622 し、もちろん私もそういう考えでございます。 1623 1624 ○神本美恵子君 ありがとうございました。 1625 1626  遠山大臣は、過日のユネスコ総会におけるスピーチで、テロリズムの根絶の 1627 ためにあらゆるレベルでの対話を力強く促進し、紛争を抑止、解決し、平和な 1628 世界を構築するために異なる文化や文明間の相互理解に全力を注がねばならな 1629 いと訴えられております。 1630 1631  また、教職員組合の国際組織でもありますエデュケーション・インターナショ 1632 ナル、EIというんですけれども、今回のテロ問題に関する緊急アピールを発 1633 しております。その中では、教育支援のための基金の呼びかけや、学校がいか 1634 にして極端主義との戦いを助け平和と非暴力の文化に貢献できるかを探るため 1635 の国際教育会議開催などを提起しております。 1636 1637  残虐なテロ行為や、また紛争や戦争を根絶する意味でも、異文化に対する理 1638 解と寛容、違いを認め合ってともに生きる人間教育こそ子どもの権利条約の精 1639 神でもあります。 1640 1641  そこで、大臣に再度お尋ねしますが、とにかく一刻も早くこうした武力紛争 1642 は根絶すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 1643 1644 ○国務大臣(遠山敦子君) ユネスコ総会におきまして、テロに対する、これ 1645 を批判する決議が採択されたわけでございます。その背景には、百八十国に上 1646 る加盟国すべてが今回のテロの同時多発事件に起因する問題についていろんな 1647 議論を行って、やはりテロは許せない、そのような角度からの決議が行われた 1648 わけでございます。私もその決議を行うべしということで、日本政府代表とし 1649 ての演説の際にそのことを申し上げまして、できるだけ早い機会にそのことを 1650 明示すべしということを申し上げました。そのこともあり、私が帰国してから 1651 でございますが、そういう決議が採択されたところでございます。 1652 1653  私は、ユネスコというフィールドというのは、教育、科学、文化、そういう 1654 ことを専念してとり行って、そしてそれを通じて世界平和に貢献するという役 1655 割を持っていると考えておりまして、その意味で、その機能を十分に果たしな 1656 がら、将来のこういう問題が起きないようにするためのいろんな努力をユネス 1657 コとしてもしていくべきではないかということを具体的な提案として幾つかし 1658 たところでございます。 1659 1660  テロを許さないという決然たる決意とともに、できるだけそれを起因とする 1661 いろんな今日のような状況についても終息が早いようにと願うのは、先ほども 1662 申したようにすべての人々の願いであると私も思っております。 1663 1664 ○神本美恵子君 それでは次に、午前中の質疑の中でも幾つかの側面から教育 1665 の重要性が語られましたけれども、私も、社会の持続可能性を担保するという、 1666 この側面から、最も重要なものの一つがほかならぬ教育であるというふうに考 1667 えております。 1668 1669  大臣も所信の中で、人材・教育大国と述べられておられます。歴代の内閣は、 1670 教育は未来への先行投資であると位置づけてまいりました。日本社会の持続的 1671 な発展にとっての教育の重要性についてひとつ大臣の御所見もお伺いしたいん 1672 ですけれども、あわせて、大臣は所信の中で、みずから先頭に立って、国民の 1673 学校教育への信頼を取り戻し、学校がよくなる、教育が変わることを目指し、 1674 より一層の教育改革の推進に取り組むと述べておられます。 1675 1676  私も、学校現場にいた者として、三十人以下学級を初めとする教職員定数の 1677 改善や学校の施設設備などの人的、物的教育条件整備が緊急課題だと切に考え 1678 ております。教職員定数改善五カ年計画の二年次を必ず達成するという大臣の 1679 決意をお伺いしたい、お聞きしたいと思います。 1680 1681  あわせて、子供にとっては学びの場だけではなく生活の場でもある学校の施 1682 設設備についてお尋ねします。 1683 1684  学校施設の現状は、二十一世紀を迎えた日本社会の一般的水準に照らして極 1685 めて劣悪だと言わざるを得ません。五Kと言われる学校トイレ、御存じでしょ 1686 うか、暗い、汚い、臭い、怖い、壊れている。今や学校にしかない、先ほど大 1687 仁田委員もおっしゃいました小さな机といす、粗末な内装、更衣室もなく男女 1688 一緒に着がえなければならない。また、ほこりの舞う教室での給食。子供にとっ 1689 てエアコンのない生活空間が一体学校以外のどこにあるでしょうか。さらに言 1690 えば、このIT時代にパソコンのインターネット接続ができないとか、学校に 1691 電話回線が二本しかないとか、保護者や外部との緊急な連絡にも事欠く、こん 1692 な例えば事業所が学校のほかにあるでしょうか。 1693 1694  このような一般社会に比べての学校の立ちおくれを解消して、子供たちにあ 1695 なたたちは大切にされているんだよという大人からのメッセージを伝える必要 1696 があると私は思います。 1697 1698  そのために、先ほど鈴木委員からも御指摘がありましたが、教育予算の対G 1699 DP比をせめて欧米並みの五%に引き上げるべきだと考えますが、来年度教育 1700 予算の獲得について、午前中、大臣はその決意として国民の声を背に受けて力 1701 を尽くしたいとおっしゃいましたけれども、再度決意のほどをお聞かせいただ 1702 きたいと思います。 1703 1704 ○国務大臣(遠山敦子君) 幾つか御質問がございました。定数改善のこと、 1705 施設のこと、それから教育予算のことであったかと思います。私からは最初の 1706 点と最後の点についてお話を申し上げて、施設の点はもう少し実情を知ってい 1707 る局長の方からお答えすることをお許しいただきたいと思います。 1708 1709  まず、今年度からスタートいたしました第七次公立義務教育諸学校教職員定 1710 数改善計画、ここでは基礎学力の向上ときめ細かな指導を充実するという観点 1711 から、教科などに応じて二十人程度の少人数指導が実施できますよう法改正も 1712 させていただき、平成十三年度から十七年度までの五カ年計画で二万六千九百 1713 人の改善を図ることといたしておりまして、平成十四年度はその第二年次分と 1714 して五千三百八十人を概算要求しているところであります。 1715 1716  また、高校に関しましては、第六次の公立高等学校教職員定数改善計画を立 1717 てておりますが、ここでも教科等に応じて習熟度別指導や少人数指導を可能と 1718 するとともに、中高一貫校でありますとか、あるいは総合学科、単位制高校な 1719 ど多様な指導が実施できますように、同じく五カ年計画で七千八人の改善を図 1720 ることといたしております。平成十四年度は千四百一人の改善を要望している 1721 ところでありまして、我が省としましては、この改善計画の着実な推進をぜひ 1722 とも図ってまいりたいと考えております。 1723 1724  それから、施設の具体的な計画については局長からお答えさせていただきた 1725 いと思いますけれども、今、先生は随分汚いとかといろいろおっしゃいました 1726 が、私、各地を回っておりまして、すばらしい学校が今たくさん建ちつつござ 1727 いますね。私は、その中での子供たちの生き生きした顔を見ると、ぜひもうこ 1728 れはできるだけ早くすべての学校がそうなるといいと思っております。それに 1729 ついては着実な年次計画で図っておりますが、ぜひいい学校についても目を配っ 1730 ていただければと思うところでございます。 1731 1732  それから、教育予算につきましては、先ほども申しましたように、我が国の 1733 初等中等教育を初めとする教育に対する予算の国際比で見ますと、まことに諸 1734 外国に比べて低いように見えます。ただ、GDPに対する公財政支出の割合と 1735 か総人口に占めます学齢児童の割合などもありまして、国によって条件が非常 1736 に異なっている面もありますから、単純に何%、〇・何%の違いということで 1737 言うのもどうかとは思いますが、しかし、先生御指摘のように、また午前中か 1738 らの御指摘のように、日本の将来は人にありということを考えますと、厳しい 1739 財政状況のもとではありますけれども、教育改革に寄せられる国民の期待に私 1740 どもとしては最前線で十分頑張ってまいりたいと思っているところでございま 1741 す。 1742 1743 ○政府参考人(矢野重典君) 私の方からは、公立学校施設整備予算について 1744 お答えを申し上げます。 1745 1746  平成十三年五月現在でございますけれども、公立小中学校の建物の面積は約 1747 一億六千万平米あるわけでございますが、そのうち築二十年以上の学校の建物 1748 が六五%、築三十年以上の学校建築は二三%に達している、このような状況に 1749 あるわけでございます。こうした傾向は、児童生徒急増期に大量に建設されま 1750 した学校建築が今後十年から十五年の間に一斉に改築、補修の時期を迎えます 1751 ために、この老朽化の傾向はさらに進んでいくものと予想されるところでござ 1752 います。 1753 1754  文部科学省といたしましては、平成十三年度におきましては、老朽校舎の改 1755 築、補強、そして教育内容、方法の多様化に対応いたしますために、公立学校 1756 施設整備費といたしまして一千六百十九億円を計上いたしているところでござ 1757 いますけれども、十四年度概算要求におきましても、老朽化対策を中心といた 1758 しまして、必要事業量の実施に支障が生じないよう同額を要望いたしていると 1759 ころでございます。 1760 1761  今後とも、市町村などの設置者が中長期的な見通しを持って施設整備計画を 1762 円滑に進めることができますように、国といたしましてもより必要な予算の確 1763 保に努めてまいりたいと考えているところでございます。 1764 1765 ○神本美恵子君 ありがとうございました。 1766 1767  先ほど大臣、すばらしい学校もあると。私もそういう学校も見ておりますけ 1768 れども、総体として、今、矢野局長の御答弁にもありましたように非常に老朽 1769 化が進んでいる。また、老朽化だけではなくて、例えば地震や台風などの自然 1770 災害への備えも弱いままになっているというような問題点も指摘せざるを得ま 1771 せん。 1772 1773  また、局長の御答弁の中に、今年度の二〇〇一年度の予算として一千六百十 1774 九億円というふうにおっしゃいましたけれども、これはこの間のずっと学校施 1775 設整備費を見ますと、二十年前には五千五百億円、十年前には二千三百億円で 1776 あったものが今年度は三分の一以下に激減しているというようなことにもぜひ 1777 目を向けていただいて、充実に向けて予算を確保していただきたいというふう 1778 に思うわけでございます。 1779 1780  地域の風が行き交う学校を保護者、地域、子供の意見によってつくろうとい 1781 う文科省の出されましたすばらしい報告を実現するためには、どのように建て 1782 かえや改築を進めていかれるのか。また、現在、その見通しと進め方について 1783 大臣のお考えを伺いたいと思います。 1784 1785 ○政府参考人(矢野重典君) 少し技術的な話でございますから、私から申し 1786 上げたいと思います。 1787 1788  先ほど申し上げましたように、現在、老朽化の傾向が全体として進んでいる 1789 わけでございますけれども、四十年代後半から五十年代前半にかけましての児 1790 童生徒急増期に大量に学校建築がなされたわけでございますが、それが三十年 1791 という一応の耐用年数を迎えるわけでございます。それが相当のボリュームと 1792 してあるわけでございまして、ざっと今私の手元の資料で見ますると、今これ 1793 があと十年から十五年たちますと全体の四二%ぐらいがそういう耐用年数に達 1794 する、こういうわけでございます。 1795 1796  そういう状況でございますから、私どもといたしましては、設置者である市 1797 町村が計画的な整備を進めていただくようにということを強くお願いをいたし 1798 ているところでございまして、私ども、その計画に基づきまして必要な予算を 1799 計上し、市町村の整備計画に支障が生じないように今後とも努力してまいりた 1800 いと思っております。 1801 1802 ○神本美恵子君 さて、文部省も進めておられます学校を開くという点につい 1803 てお尋ねをいたします。 1804 1805  学校評議員制度が導入されましたけれども、市町村段階では必ずしも機能し 1806 ているとは言えません。現在のように校長が個別の評議員から意見を聞くとい 1807 うだけでは、地域のコンセンサスをつくることに役立っていないためではない 1808 かというふうに考えます。 1809 1810  私は、この制度を地域と学校の合意形成の場として学校協議会といったよう 1811 なものに改革し、必要に応じては子供たちの声にも耳を傾けるということが大 1812 切だと思います。また、同様に、市町村の教育行政が住民の意思を十分に反映 1813 するためのシステムとして教育委員の公選制や推薦制といったものの導入が必 1814 要だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。 1815 1816 ○国務大臣(遠山敦子君) 教育改革に向けていろんな制度の枠組みができま 1817 して、これからいよいよ本格的に学校がよくなる、教育が変わるということを 1818 実現していかなければならない段階だと思います。 1819 1820  学校評議員制度、平成十二年の四月から新たにできた制度でございまして、 1821 まだまだスタートした段階でございます。これは、学校外の保護者や地域住民 1822 を学校評議員として委嘱しまして、校長がそれらの方々の学校運営についての 1823 意見を聞くという制度でございます。これによって、従来よりは極めて広い、 1824 開かれた形で学校運営に対して保護者や地域住民の意見を生かすことができる 1825 というふうに私どもは考えているわけでございます。 1826 1827  そういう制度を通じていろんな意見を聞くことによって、学校が、単なる学 1828 校の内に向けた存在というのではなくて、広く地域社会との連携をとりながら、 1829 開かれた存在としてこれから活性化されていくということが大事だと考えてい 1830 るところでございます。 1831 1832  これは、学校評議員制度は、学校運営に対する学校外の意見を求めるもので 1833 ございますので、児童生徒を学校評議員とすることは想定していないところで 1834 ございます。ただ、学校は常に子供たちの様子を見、子供たちのいろんな意見 1835 とか希望とかを聞きながら学校運営を考えていく、まさにそういう場でござい 1836 まして、子供たちを学校評議員とすることは制度としてはなじまないわけでご 1837 ざいますけれども、子供たちに目を向けていくということは当然ながらやって 1838 いるものと考えております。 1839 1840  学校評議員は、個々に委嘱をいたしまして、一人一人にそれぞれの立場から 1841 のお考えを求めるものでございまして、学校評議員会といったような合議制の 1842 機関として位置づけられたものではないわけでございますけれども、必要に応 1843 じて学校評議員が一堂に会して意見交換を行う機会など、運営の工夫の仕方は 1844 あろうかと考えております。 1845 1846  我が省としましては、今始まったばかりのこうした制度を活用しながら学校 1847 教育の活性化につなげてまいりたいと思っているところでございます。 1848 1849 ○神本美恵子君 さて、初めにも申し上げましたけれども、初等中等教育の最 1850 大の価値は、お互いの違いを認め合い、ともに生きる資質を養うことであると 1851 考えております。その意味において、経済的、文化的な違いや国籍の違い、あ 1852 るいは障害のあるなしにかかわらず地域の学校でともに生き、ともに学ぶこと 1853 が大切であると考えます。そして、これがサラマンカ宣言の精神でもあります。 1854 1855  サラマンカ宣言とは、大臣も御存じのように、一九九四年にスペインのサラ 1856 マンカで開催されましたユネスコの特別ニーズ教育世界会議で採択された、イ 1857 ンクルーシブ教育を進める合意文書でございます。当然、日本も、当時の文部 1858 省が参加をして賛成をしてきたものでございます。 1859 1860  そこで、文科省が現在進めておられます学校教育法施行令の見直しについて 1861 お伺いをしたいと思います。 1862 1863  ことしの一月に出されました二十一世紀の特殊教育の在り方の最終報告では、 1864 一部の障害児が普通学校に就学することを認める一方、障害が重複している子 1865 供や情緒障害など対人関係に著しい問題のある子供の普通学校への就学につい 1866 ては慎重な判断が必要としております。これはサラマンカ宣言に逆行する危険 1867 性を持っているのではないかと危惧をいたします。つまり、障害児にかかわる 1868 就学実態の地域間格差解消という前進面があることは一定の評価ができるので 1869 すけれども、他方で、重複障害がある、対人関係が困難などと判定された子供 1870 については、画一的に特定の遠い学校への就学を義務づけられることになるか 1871 らであります。 1872 1873  実際、この間、障害を持つ子供の保護者の方々からも、そういった心配の声 1874 が私の方にもたくさん寄せられております。地域によっては、どんな障害を持っ 1875 ていても、子供や保護者の希望によって地域の普通学校に就学する実績がござ 1876 います。 1877 1878  私自身、普通学級に障害児を受け入れた経験を持っております。障害の有無、 1879 種類、程度にかかわらず、幼いときからのともに生き、ともに学ぶ教育がいか 1880 に健常と言われる子供さん、障害を持っている子供さん双方の豊かな成長につ 1881 ながるかということを身をもって体験してまいりました。時間があれば御紹介 1882 したいんですけれども、きょうは時間がありませんので別の機会にしたいと思 1883 います。 1884 1885  そこで、お尋ねしたいんですけれども、今回の見直しで、文部科学省として 1886 既にそうした独自の取り組みを行っている市町村の教育委員会に対してどのよ 1887 うな対応をおとりになるのか、また、地方分権の趣旨に立って、本人、保護者 1888 の希望を尊重した就学指導が行われることが望ましいと私は思いますけれども、 1889 文科省としてどのようにお考えかをお伺いします。 1890 1891 ○国務大臣(遠山敦子君) 私ども文部科学省といたしましては、社会のノー 1892 マライゼーションの進展、あるいは障害の重度・重複化、教育の地方分権など、 1893 特殊教育をめぐります状況の変化を踏まえましていろいろ調査研究を行って、 1894 さきに最終報告を取りまとめました。そして、その中で、一人一人の教育的な 1895 ニーズに応じた教育を行うために就学指導のあり方を見直すことが提言された 1896 ところでございます。 1897 1898  今回のその提言の趣旨といいますのは、社会のノーマライゼーションの進展 1899 でありますとか教育の地方分権という観点からのものということでございまし 1900 て、市町村の一人一人の教育的ニーズに応じて支援をしていくという姿勢を貫 1901 いているわけでございまして、それによって市町村教育委員会が行う就学事務 1902 に関して弾力化を図ろうとするものでございます。 1903 1904  したがいまして、これまで市町村教育委員会が行ってまいりました就学につ 1905 いての措置を違法としたり、または現在小中学校に在籍している児童生徒の就 1906 学状況を変更するものではないということを私から申し上げまして、それ以上 1907 の詳しいことにつきましては局長の方からお伝えを申し上げます。 1908 1909 ○政府参考人(矢野重典君) 後半の御質問で、保護者や本人の意見を就学指 1910 導に当たっては聞くべきであるということについてのお答えでございますが、 1911 御案内のように、障害のある児童生徒の就学すべき学校の決定につきましては、 1912 法令に定める基準に従いまして市町村教育委員会が行うこととされているとこ 1913 ろでございます。 1914 1915  我が省では、これまでも教育委員会に対しまして、就学指導に当たって児童 1916 生徒の状態を十分に把握し、あわせて保護者等の考えも聞いて適切な就学指導 1917 を行うよう指導をしてきたところでございます。 1918 1919  また、先ほど御指摘がございましたように、今年一月に「二十一世紀の特殊 1920 教育の在り方について」の最終報告がなされたわけでございますが、その報告 1921 の中では、就学指導に当たって保護者の意見表明する機会を設けたり、体験入 1922 学などによりさまざまな情報を提供するということが提言されたところでござ 1923 いまして、今後、我が省といたしましては、この最終報告を踏まえまして、保 1924 護者の意見を聞く機会を設けるなど適切な就学指導の充実に努めてまいりたい 1925 と考えているところでございます。 1926 1927 ○神本美恵子君 以上、申し上げましたように、我が国の文部行政がサラマン 1928 カ宣言や子どもの権利条約、さらには女性差別撤廃条約などなどの国際的な潮 1929 流に沿って日本国憲法と教育基本法の理念を生かし、実現するということを目 1930 指して行われることを遠山文部大臣に心から期待しております。 1931 1932  そして、先ほど大仁田委員、いらっしゃいませんね、からもございましたが、 1933 当事者である子供あるいは保護者、地域、現場教職員、全く教育の当事者でご 1934 ざいますその声に十分に耳を傾ける、そういった機会をたくさんつくりながら、 1935 パートナーシップの立場から教育行政が行われますことを心から切望しまして、 1936 期待しまして、私の質問を終わりたいと思います。 1937
1938 ○山下栄一君 私は、三点質問させていただきたいと思いますけれども、まず 1939 第一点目は、今も御質問ございました障害児の教育のあり方の問題でございま 1940 す。大綱、大臣から、局長からお話がございましたけれども、確認の意味で質 1941 問させていただきます。 1942 1943  協力者会議の報告に基づいて、就学基準、特に盲・聾・養護学校への就学に 1944 ついての基準、就学基準ですね、これが時代に合わなくなってきていると。こ 1945 れは昭和三十七年に学校教育法施行令、政令で決めておるわけですけれども、 1946 これを医学的な観点、科学技術の進展の観点から見直す必要が出てきたと。昭 1947 和三十七年ですから、四十年ぶりぐらいからの改正になると思うんですけれど 1948 も、これはやるべきことだと思うんですけれどもね。これ、盲・聾・養護学校 1949 への就学基準だと。そのとおり、基準どおりにしなさいということになると、 1950 基準に合わない人はどうなるんだという、全部、盲・聾・養護学校に法令で縛 1951 られて行かないかぬのかと、こういうことになる。そうではないという、今、 1952 大臣の御発言だったというふうに理解するわけですけれども。 1953 1954  この就学基準は国で決めるけれども、就学事務、就学指導も含めた就学事務 1955 は地方分権推進一括法で機関委任事務から要するに自治事務になったと。した 1956 がって、具体的な一人一人の子供がどのような教育の場で教育を受けるべきか 1957 ということの判断の最終決定権は、私は、例えば小中学校という段階でしたら 1958 市町村教育委員会になきゃならないと、このように理解するわけですけれども、 1959 最終決定権ですよ、就学先はどこにするかという、この理解でよろしいですか。 1960 1961 ○政府参考人(矢野重典君) 先生先ほど御指摘のとおり、就学に関する事務 1962 は平成十二年の地方分権一括法の前までは国の機関委任事務でございました。 1963 国の事務を地方に委任して行う事務でございましたが、平成十二年四月の地方 1964 分権一括法の施行に伴いまして、これが国の機関委任事務から地方の自治事務 1965 へと事務の性格が基本的に変わったわけでございます。 1966 1967  そういう意味で、この事務は、基本的には市町村、地方、具体的には市町村 1968 教育委員会でございますが、市町村の主体的な判断と責任において処理される 1969 事務というふうになったものでございます。 1970 1971 ○山下栄一君 私、確認しましたように、局長、だから、ある障害を持ってお 1972 られる子供さんがどこの学校に行くかということの決定権、これは国にあるの 1973 か市町村教育委員会にあるのかということを確認しておるわけです。 1974 1975 ○政府参考人(矢野重典君) 先ほど申し上げましたように、この事務の性格 1976 を考えますれば、法令に従って、最終的には国ではなくて市町村、地方、市町 1977 村の教育委員会にその最終的な決定をする権限があるわけでございます。 1978 1979 ○山下栄一君 それで、これは大臣も先ほどおっしゃいましたんですけれども、 1980 私が住んでいる枚方市もそうなんですけれども、自治体の努力で、もちろん住 1981 民の意見、市議会の意見もあって、できるだけ多くの子供さんを、障害はいろ 1982 いろあるけれども、障害を持っていても分離教育ではなくて普通の小中学校で 1983 受け入れようという努力をやってきた歴史があるわけです。 1984 1985  もちろん、健常児のお子さんの御家庭とかの若干の理解の程度が進まない面 1986 も当初はあったとしても、学校で、いろんな学ぶ場の中で経験を経るにつれて 1987 お互いに、お互いにという意味は、障害を持っておられる子供さん、持ってお 1988 られない子供さんがお互いに正しく理解し合って、励まし合って、そして卒業 1989 にこぎつけて、よかったねと、こういうふうに、もちろん、私の場合経験した 1990 のは自閉症の子供さん、中学生でしたけれども、感動的な卒業式がなされたわ 1991 けでございます。これは、今一番求められているまさに人格教育、私の人格教 1992 育というのは知育も含めたものでございますけれども、そういう観点からの努 1993 力をしているところもある。そのかわり、そういうお子さんを受け入れようと 1994 思いますと、人の配置、そしてさまざまな設備の問題、施設の充実も図らなきゃ 1995 ならない面もある。そういう場合にあっても住民の理解によって自治体がそう 1996 いう取り組みをしているところもある。 1997 1998  そういう観点から、就学基準はあるけれども、基準どおりにはいかないけれ 1999 ども、そういう各地域の取り組みによって多くの障害を持っている子供さんが 1000 小中学校で授業、教育を受けられるということの努力は私は尊重すべきだし、 2001 そういう意味で最終の決定権はどこにありますかということを確認させていた 2002 だいたわけでございます。しつこいようですけれども、この点は先ほど大臣も 2003 そのとおりとおっしゃったわけでございますけれども。 2004 2005  それで、この就学指導、具体的に例えば幼稚園から小学校に行く段階でどの 2006 学校を選択するかと。あるお子さんの御家庭は、私は養護学校で教育を受けた 2007 いという方もいらっしゃる、だけれどもそうでない、小中学校で教育を受けた 2008 いという方もいらっしゃる。そのためにも就学指導があるわけですけれども。 2009 2010  それで、就学指導委員会というのが今まで通達によって組織として義務づけ 2011 られていた。これが地方分権推進一括法によってこの義務づけがなくなると。 2012 だから、この就学指導委員会、専門的な方の意見も聞いたり、そして保護者の、 2013 場合によっては子供さんの意見も聞いてという組織は一体どうなるのかという 2014 この疑問があるわけですけれども、この点についての考え方を教えていただき 2015 たいと思います。 2016 2017 ○政府参考人(矢野重典君) 就学指導におきまして、盲・聾・養護学校に就 2018 学すべき障害の程度に関する基準に該当するか否かを判断するには、これは医 2019 学的、教育的あるいは心理学的見地から、諸般の事情を総合的に考慮して客観 2020 的に行われる必要があるわけでございます。 2021 2022  そういう意味で、機関委任事務として設けられておりました就学指導委員会 2023 というのは、そういう意味での就学指導委員会というのは根拠がなくなるわけ 2024 でございますけれども、私どもといたしましては、今後も専門的な知識及び経 2025 験を有する専門家の意見を聞くことが大変重要であり、市町村教育委員会の判 2026 断で引き続き就学指導委員会を設置することが望ましいと考えているわけでご 2027 ざいまして、今日においてなおそういう就学指導委員会が設けられていないと 2028 ころにつきましては、これは機関委任事務としての事務ということではなくて、 2029 地方事務としての就学指導事務について、国としてその設置について指導をし 2030 てまいりたいと考えているところでございます。 2031 2032 ○山下栄一君 文部科学省のお考えはもちろんそうであるべきだと思うんです 2033 けれども、結論としてはそれは自治体でどうするかということを決めるんだと 2034 いうことだと思うんですね、それが自治事務の意味だと思いますので。 2035 2036  私は、だけれども、各地域で、それらの地域で、例えば小学校区も含めてで 2037 すけれども、この地域の取り組みというのが教育は物すごく大事だというふう 2038 に思います。国で指示して動くものではない。やはり地域の保護者も含めたさ 2039 まざまな理解の輪がぐんぐん高まっていって、そして教育というのはいかに大 2040 事かということをお互いに共有していくということが大事だと思いますので、 2041 機械的に組織をつくればいいというものではないと思いますので、市町村教育 2042 委員会が就学指導のための組織をつくるという、私はつくるべきだというふう 2043 に思うわけですけれども。 2044 2045  それで、その場は医学の見地、そして福祉の見地や、また教育的な見地から 2046 専門的な意見を反映させていくと同時に、先ほども質問の確認がございました 2047 けれども、学ぶのは子供なわけですから、その学ぶ子供たちの教育を受ける権 2048 利、学習権をきちっと保障していくという観点から、保護者の意向を聞く、そ 2049 して同時に子供さんの御意見も聞いていくという、そういう考え方が非常に大 2050 事だ、子どもの権利条約の観点からも大事だというふうに私は思うんですけれ 2051 ども、そういう基本的な考え方についての確認を再度お聞きしたいと思います。 2052 2053 ○政府参考人(矢野重典君) 御案内のように、障害のある児童生徒の就学す 2054 べき学校の決定に当たりましては、法令の定める基準に従いまして市町村の教 2055 育委員会が行うことになっているわけでございます。また、教育委員会におき 2056 ましては、就学指導に当たって児童生徒の状態を十分に把握いたしますととも 2057 に、保護者等の考えも聞き、十分に話し合うなどして適切な就学指導を行うこ 2058 とが大切であるわけでございます。 2059 2060  この点につきまして、先ほど来御指摘がございますけれども、今年の一月に、 2061 「二十一世紀の特殊教育の在り方について」の最終報告がなされたわけでござ 2062 いまして、その最終報告の中では、一つは、教育、福祉、医療、労働が一体と 2063 なって障害のある児童生徒及びその保護者に対する相談、支援体制を整備する 2064 ことということが一つの指摘としてございますし、もう一つは、先ほど委員か 2065 らの御質問でございましたけれども、就学指導に当たって、保護者の意見表明 2066 する機会を設けたり、体験入学などによりさまざまな情報を提供することが提 2067 言されたところでございまして、私ども、この最終報告の趣旨を踏まえ、保護 2068 者の意向をどのような形で取り入れていくかについて今後検討してまいりたい 2069 と考えているところでございます。 2070 2071 ○山下栄一君 検討するということはわかるんやけど、文部科学省、教育を担 2072 当される国の行政所管として、そういう保護者の意見や子供さんの意見を聞く 2073 ことについてはどう考えますかということをお聞きしたいと思います。 2074 2075 ○政府参考人(矢野重典君) 就学指導に当たって保護者の意見を聞くことは 2076 大変大事なことであるというふうに思っております。 2077 2078 ○山下栄一君 子供の意見を聞くことについては答えられませんけれども。 2079 2080  大臣にお伺いいたします。 2081 2082  統合教育か分離教育かという、そういう考え方、それぞれあるわけですけれ 2083 ども、私は、障害児、障害者の方々の自立と社会参加、こういうことは言葉で 2084 は言われ続けているけれども、だけれども現実はなかなか、やはりまだまだ、 2085 日本の社会大分進んできましたけれども、障害者の方々の雇用問題も含めまし 2086 て理解が不十分であるというふうに思います。 2087 2088  なぜそうなっていくのかということにもうちょっと一歩突っ込んでやっぱり 2089 考える必要があるのではないかというふうに思います。小学校、中学校、高等 2090 学校と、養護学校というところで教育を受けてきた、その方々が要するに基本 2091 的には分けて教育を受けてきている。その受けてきた方が突然社会参加と言わ 2092 れても、日ごろから、もちろん時々は健常児の皆さんの学校に行ったりして交 2093 流をすることはあったとしても、学ぶ場が別々のところでずっと来て十八年間 2094 過ごした方が突然社会参加と言われても、社会全体としては健常者と障害者の 2095 理解のレベルというのは進まないのが当たり前だというふうに考えます。そう 2096 いう意味で、作業所をつくっても作業所だけで終わってしまう、みんなと一緒 2097 に仕事をするということがなかなか社会として理解が進まないという、そうい 2098 う面は厳然と私はあるというふうに思うわけです。 2099 2100  そういう意味で、できるだけ、もちろんいろんな現時点での財政的な面とか 2101 さまざまな面の現実的な制約はあるかもわからぬけれども、例えば保育所、保 2102 育所というか幼稚園、そういう段階から一緒に学ぶという、そういうことを積 2103 み重ねる中で、社会全体として、そういう小さい子供たちがずっと大きくなっ 2104 ていくわけですから、社会参加という言葉どおりのそういう意識と現実が達成 2105 されていくのではないかというふうに私は考えるわけです。それがまさにノー 2106 マライゼーションの理念ではないかというふうに思います。 2107 2108  そういう意味では、日本の現実はなかなかそういうふうにいっていない面が 2109 ある。そういう意味で、できるだけ早い段階から一人一人の教育ニーズに合わ 2110 して教育をやるんだけれども、その学ぶ場がともにということの方が望ましい 2111 と、これを私は強く感じるんですけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思 2112 います。 2113 2114 ○国務大臣(遠山敦子君) 本当に先生がおっしゃいますように、これからの 2115 社会といいますものは、障害のある者と障害のない者が同じ社会に生きる人間 2116 として、ともに助け合い、支え合って、また正しくそれぞれの立場を理解して 2117 いく、そういう形で生きていくことが大切であることは言うまでもないと思い 2118 ます。 2119 2120  こうしたノーマライゼーションの理想に沿って次第次第に日本も進んでいる 2121 とは思っておりますけれども、障害の程度にもよるかもしれませんけれども、 2122 私は二つの段階があるのではないかと思うわけでございます。 2123 2124  ノーマライゼーションの理念を本当に実現していきますためには、まず障害 2125 のある児童生徒がその可能性を最大限に伸ばして、そしてみずから自立し、ま 2126 た社会参加するために必要な力をまず養う、そういうことを培うためには、よ 2127 り手厚くきめ細かな指導をまず受けるということが大事であると思うわけでご 2128 ざいます。 2129 2130  したがって、障害の種類や程度に応じて盲・聾・養学校でありますとか特殊 2131 学級等において特別な配慮のもとに指導を受けて、そして自分ではこれだけは 2132 できるというような確信を持つ、あるいはこういうことについて自分は興味を 2133 持つというようなことについても自覚する、あるいは力をつけるということも 2134 まずある段階では必要なのではないかと思います。ただ、それだけでは十分で 2135 ありませんで、御指摘のように、ともに障害のない人たちと学ぶ場を提供する 2136 ということも大変大事だと私は考えます。 2137 2138  したがいまして、障害のある児童生徒の社会性や豊かな人間性をはぐくむの 2139 と同時に、障害のない児童生徒が障害のある児童生徒に対する理解と認識を持っ 2140 てもらう、そしてともに生きていくというふうな意識を持ってもらうというこ 2141 とのために、盲・聾・養学校と小中学校の交流を行う、あるいは小中学校の通 2142 常の学級と特殊学級の交流、さらには地域の人々との交流など多様な交流活動 2143 を推進していく必要があるということで、私どもといたしましても、そういう 2144 考え方から交流活動を推進してまいっているところでございまして、今後とも、 2145 一人一人の教育的ニーズに対応した教育を行って、障害のある児童生徒の社会 2146 的な自立あるいは社会参加への準備について努力をしてまいりたいと思います。 2147 2148 ○山下栄一君 学ぶ場を共有するということが私は大事だなと、それはその理 2149 念に向かって努力していくことが大事だという観点から質問申し上げました。 2150 2151  次の質問に移ります。 2152 2153  教員採用試験における年齢制限の問題でございます。 2154 2155  公立学校の採用のための採用試験、各自治体でやっているわけですけれども、 2156 年齢制限を設けていないところは非常に少ない。このいただいた資料によりま 2157 すと、現在では五つの県、市だけだと、こういうふうに報告を受けております 2158 けれども、確かに少子化に伴って採用試験の枠はどんどん減ってきている。だ 2159 から、教職員、学校の職員室がもう非常に高齢化しておる、活力もなくなって 2160 いるというふうな言われ方する場合もあるわけですけれども、ただ、だからと 2161 いって、大阪なんかそうです、三十七歳以上はもう初めから受けられないとい 2162 う、これはどうかなというふうに私は思います。 2163 2164  さまざまな社会経験を経た人が教壇に立つということは大事だということを、 2165 午前中も大臣おっしゃっておりました。四十歳になった、四十を超えた、いろ 2166 んな仕事、一般会社も経験して、一般会社から自営もした、だけれども、四十 2167 を過ぎてから、あと残された生涯を教育にかけるんだと、こういうふうに目覚 2168 めた中年の方が教員採用を受けようと壮絶な決意をした、子供も奥さんもおる 2169 のにそういう中で決意したと。だけれども、これによって自分をかけたいんだ 2170 という、そういう人も私も知っております。その方が三十七歳以下でないと受 2171 けられないからもう初めからシャットアウトされる、受けることもできないと、 2172 これはおかしいというふうに思います。 2173 2174  そういう命がけの人を今教育現場は求めているわけで、それは高齢化してい 2175 るから余り年輩の方を採用するのはちょっとちゅうちょするかもわからぬけれ 2176 ども、そんな人ばかり採用してきているわけじゃなくて、初めからチャンスを 2177 与えないというふうな、年齢で切ってしまうというのはこれはもうどう考えて 2178 もおかしい。四十過ぎてから高校に入学しようかという、そういうこともこれ 2179 からの時代あり得る、生涯学習の時代。と同時に、人生を教育にかけるという 2180 方々に対する配慮も私はすべきだというふうに思うわけで、こういう年齢制限 2181 を設けて採用試験するというようなことを法律でやったらいけないという年齢 2182 制限撤廃法みたいなものをつくるべきかなとも思うぐらいなんですけれども、 2183 今の教育現場の事情から考えて、そういう意欲のある人を、初めからチャンス 2184 を奪うようなことはあってはならないと思いますけれども、大臣のお考えをお 2185 聞きしたい。 2186 2187 ○副大臣(岸田文雄君) 先生御指摘されましたように、さまざまな社会経験 2188 を持つ社会人を教員として採用するということ、これは学校の活性化という意 2189 味で大変重要なことだとまず認識しております。 2190 2191  その中で、教員採用における年齢制限の話ですけれども、平成八年四月の局 2192 長通知によりまして、教員の年齢構成の現状、先生も御指摘ありましたが、こ 2193 うした現状も踏まえながらも、やはり教員に豊かな体験を有する多様な人材を 2194 確保するため、そこの受験年齢制限の緩和を図るよう各都道府県あるいは政令 2195 都市の教育委員会を指導しているところであります。 2196 2197  また一方、平成十一年十二月の教育職員養成審議会第三次答申、この答申に 2198 おきましても、民間企業等の勤務経験を有する者を対象とした一定の採用枠を 2199 設けた選考の実施が提言されております。こうした動きを受けまして、既に幾 2200 つかの都道府県におきまして社会人を対象とした特別選考を実施しているとこ 2201 ろであります。 2202 2203  ぜひ、こうした取り組みを通じまして、社会人採用に関する各教育委員会の 2204 取り組み、これを促進するよう文部科学省としても支援していかなければいけ 2205 ないと考えております。現状そういった状況の中で前向きに考えたいというふ 2206 うに認識しておるところでございます。 2207 2208 ○山下栄一君 だから、今、副大臣おっしゃった年齢制限緩和じゃなくて、年 2209 齢制限を設けることはおかしいということを同じ指導するんだったら指導すべ 2210 きだということを私は申し上げております。緩和の努力をされている、そうい 2211 う意味で御指導されていることもよくわかりますし、私は常勤の観点から、非 2212 常勤じゃなくて、やるべきだということを申し上げているわけです。 2213 2214  三点目の質問、もう時間なくなってきましたけれども、芸術教育です。芸術 2215 振興、文化振興、各政党取り組み、法案作業も進んでいると聞いております。 2216 聞いておるというか、うちの党も主体的にやっておるわけですけれども。 2217 2218  学校教育における芸術教育は、時間数は減ってきておりますね、小学校も中 2219 学校ももう週二時間もないと。こういう中学二年生、三年生、また小学校三年 2220 生、四年生ですか、五年、六年もそうです。一方では、芸術科の美術、音楽、 2221 習字、書道、そして場合によっては工芸、こういう分野は非常に大事だという 2222 ことが叫ばれている。心豊かなものを養うんだと、そういう面が欠けてきてい 2223 るから芸術教育は大事だと言っているけれども、全体授業時数が減る中でこの 2224 授業の時間が非常に減ってきているという現実があるわけですね。これは非常 2225 に難しい問題だなと私は思っておりますけれども、どういう授業時数をどう各 2226 教科に割り振るかということは非常に重要な、それぞれの教科の、どの教科も 2227 大事だというふうな観点からの調整は非常に難しい、予算の調整と一緒だと思 2228 いますけれども。 2229 2230  そういうふうに考えましたら、家庭も含めてですけれども、地域における子 2231 供に視点を当てたそういう芸術の観点からのさまざまな体験活動、これは私は 2232 大変大事なのではないかと。取り組みも始まっておるんですけれども、例えば 2233 伝統文化の承継ということも言われておりますし、そういう取り組みもされて 2234 おりますけれども、学校現場における芸術教育が非常に確保が難しい中で、そ 2235 ういう例えば美術とか音楽の免許を持っている方も含めて、地域における子供 2236 さんに対する芸術教育という視点からのさまざまなサポート、支援の取り組み 2237 も国もすべきではないか、こういうふうに感じております。 2238 2239  そういう意欲が各地域で盛り上がってくること、もう盛り上がっているとこ 2240 ろもありますけれども、そういう取り組みについては積極的に支援するという 2241 方向性が大事なのではないかというふうに考えますけれども、この点について 2242 の取り組みを、またお考えを大臣にお聞きしたいと思います。 2243 2244 ○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま先生御指摘のように、地域における子 2245 供の文化芸術体験活動の推進を図るということは大変重要な課題だと考えてお 2246 ります。このため、文化庁におきましても、公立の文化会館の活性化、あるい 2247 は地域に所在をする芸術団体の活動基盤の整備、地域に伝わる伝統文化の継承、 2248 発展などを柱とする地域の文化活動の活性化支援の施策の充実を図っていると 2249 ころでございます。 2250 2251  子供に焦点を当てたという観点から一、二御紹介をさせていただきますと、 2252 公立文化会館において子供、青少年向けにすぐれた舞台芸術の公演やワークショッ 2253 プなどを開催する芸術文化総合体験事業というのを十三年度から実施をいたし 2254 ておりまして、子供がすぐれた芸術文化を鑑賞したり体験できる機会を提供し 2255 ているところでございます。また、お話にございました地域の伝統文化を子供 2256 たちに継承していくという観点から、地域の伝統文化保存団体などが実施をい 2257 たします伝承者の養成、用具の整備等の事業を支援するふるさと文化再興事業 2258 というものも本年度から実施をすることといたしております。 2259 2260  こういった活動を通じまして、地域における子供の芸術文化体験活動の推進 2261 を図りたいというふうに考えている次第でございます。 2262 2263 ○山下栄一君 ありがとうございました。 2264
2265 ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。 2266 2267  今、大変深刻な不況が続く中で、私立学校に通う高校生の中には、親が突然 2268 のリストラに遭ったり会社が倒産するなどして授業料が払えず、泣く泣く退学 2269 せざるを得ないという状況が広がっています。文部科学省の調査でも、昨年度、 2270 私立高校の生徒で経済的理由によって退学した子供たちが二千三十五人、退学 2271 理由の五%を占めているということが明らかになっております。 2272 2273  私は、この委員会で九八年九月、九九年三月と二度にわたりまして、ぜひ国、 2274 文部省が都道府県任せにしないでこの問題を調査もし具体的に対策をとるべき 2275 ではないかと質問してまいりました。昨年度から、ようやく授業料減免事業臨 2276 時特別経費ということで三億円、二千五百人を対象に事業が立ち上がったわけ 2277 です。 2278 2279  昨年度のこの事業の実施状況はどうなっているか伺いたいと思います。 2280 2281 ○政府参考人(石川明君) 授業料減免事業の臨時特別経費についてのお尋ね 2282 でございますけれども、先生お話しのとおり、平成十二年度にこれは新たに三 2283 億円が措置をされまして、十三年度におきましても同額が計上されているとこ 2284 ろでございます。 2285 2286  この経費につきましては、都道府県が実施する授業料減免補助事業の一部を 2287 国が補助するというような形をとっておりまして、平成十二年度の補助実績に 2288 つきましては一億三千七百万円、対象となった児童生徒数につきましては千百 2289 人というふうになっているところでございます。 2290 2291 ○林紀子君 お聞きしましたら、残念ですけれどもまだまだこの制度が十分活 2292 用されていないという状況だと思います。 2293 2294  全国私立学校教職員組合連合、全国私教連と略しておりますが、この最新の 2295 調査では、三カ月以上授業料を滞納している生徒は二千二百七十六人、これは 2296 全私学の高校の一割強を調査した結果だということなんですが、それでも二千 2297 二百七十六人いるし、しかも昨年よりも長期に滞納する家庭がふえているとい 2298 うことです。 2299 2300  十月三日には、NHKの首都圏を対象にしたニュース番組でこの問題が大き 2301 く取り上げられました。そして、相談窓口として紹介された全国私教連には、 2302 どういう制度があるのかと次々に電話がかかっているということです。 2303 2304  この中ではいろいろな声がありましたが、ある男性からは、きのう会社を退 2305 職しました、失業して先が真っ暗です、子供の問題でどうしようかと迷ってい 2306 たら、テレビを見てこういう制度があるのかと思い電話をしましたと、こうい 2307 う声が寄せられているということですし、またある県では、私学に通うお子さ 2308 んを持つ親が授業料が払えなくなってしまったと学校に相談して、今度学校は 2309 県に問い合わせをしたところ、そういう制度について話は聞いておりますと、 2310 大変心もとない返事だったということなんですね。 2311 2312  国や都道府県がこうした制度を行っていることさえ知らない人たちがたくさ 2313 んいるという証拠なんじゃないかと思うわけですし、学校自体が減免措置をとっ 2314 ていないという状況もまだまだあります。ですから、私立学校にはもちろんの 2315 ことですけれども、教職員、父母、生徒にこうした制度があって利用ができる 2316 ということを大いに知らせてほしいと思うわけですね。 2317 2318  そして、都道府県には、担当者の会議で説明はしておりますというお話は聞 2319 いたんですけれども、たくさんのことを説明するその中の一つということで説 2320 明していると埋没をしてしまうということがあるので、文書でもきちんと知ら 2321 せるということも含めて周知徹底をしてほしいと思いますが、いかがでしょう 2322 か。 2323 2324 ○政府参考人(石川明君) この事業につきましては、平成十二年の初めなど、 2325 例えば平成十二年度予算の政府原案が決定しました後ですとかあるいは予算の 2326 成立後などに、本事業の趣旨でありますとかあるいは概要を都道府県に対しま 2327 して通知をいたしますとともに、管下の私立学校に対しましても周知徹底を図 2328 るよう求めているところでございます。 2329 2330  また、今お話がございましたように、都道府県の担当課長などが集まります 2331 会議のそんな場におきましても、制度の積極的な活用、それから学校に対する 2332 周知等につきましても強く要請をしてきているところでございまして、私ども 2333 としましては、この事業そのものはしかるべく活用されているのではないかと 2334 いうふうに考えておりますけれども、先生の御懸念、御心配も今述べられたと 2335 ころでございますし、経済情勢等引き続き厳しい中、また、この事業が児童生 2336 徒の就学に果たす役割の重要性等、そういったことにかんがみまして、この事 2337 業が今後とも十分に活用されますように、さまざまな会議の場ですとかいろい 2338 ろな機会をとらえてなお一層の周知に努めてまいりたいと、このように考えて 2339 おります。 2340 2341 ○林紀子君 本当にこういう制度で助かったという人が本当にふえるようにぜ 2342 ひ周知徹底していただきたいと思います。 2343 2344  そして、大臣に決意も込めてお伺いしたいと思うんですけれども、これから 2345 小泉内閣の痛みを伴う構造改革というのが進められる中で、さらに不況は深刻 2346 になるんじゃないかと思うわけですね。ですから、先ほどの御説明でも、来年 2347 度の概算要求ではこの事業、三億円というのは要求をしている、これをぜひ確 2348 保してほしいし、そして、授業料がこれでは間に合わなくなった、三億円を超 2349 えてしまったというときには、補正予算も含めて対応していただきたいという 2350 こともあわせてお願いをしたいんですが、いかがでしょうか。 2351 2352 ○国務大臣(遠山敦子君) この制度の重要性につきましては、最近の経済情 2353 勢を反映しましてますます大きくなっているわけでございまして、そのような 2354 背景のもとに、十四年度概算要求におきまして今年度と同額の三億円を要求し 2355 ているところでございます。この事業の重要性にかんがみまして、厳しい財政 2356 状況のもとではありますけれども、ぜひとも確保したいと考えております。 2357 2358 ○林紀子君 それでは次に、私も、障害児教育のお話が今まで出ましたけれど 2359 も、その点につきまして、特に私は重度の、家庭訪問でなければ教育を受けら 2360 れない子供についての問題をお聞きしたいと思います。 2361 2362  訪問教育というのは、この間、高等部も昨年度から本格的に実施されるなど 2363 と発展してきました。一九九七年に試行的に始まったスタート時に比べますと、 2364 昨年度は実施する学校が二・八倍にもなった、そして生徒は五・四倍、八百七 2365 十八人が訪問教育を受けられるようになったということで、本当に親からも、 2366 そして子供たちも笑顔を見せるようになったという喜びの声が聞こえてまいり 2367 ます。さらに充実してほしいという点がいろいろあるんですけれども、きょう 2368 は二つの点についてお聞きしたいと思います。 2369 2370  一つは、いわゆる既卒者の問題です。先ほど四十一歳の高校生というお話も 2371 伺ったわけですけれども、中学校を卒業しましたらどの子に対しましても高校 2372 に入るというその門戸は国民には開かれているわけですけれども、高等部の訪 2373 問教育を受けている子供たちは、中学校卒業後、何年も教育を受けられずに待っ 2374 ている子供たちが大勢いるわけですね。例えば、北海道などでは昨年の時点で 2375 三百人を超える既卒者がいるのに、訪問教育を受けられた子供は十三名しかい 2376 なかったということです。 2377 2378  文部科学省としては、この過年度卒業生は訪問教育の受け入れの対象という 2379 ことにはしているわけですね。財政措置も交付税措置ということをしていると 2380 思いますが、いかがでしょうか。 2381 2382 ○政府参考人(矢野重典君) 先ほどお話がございましたように、障害の状態 2383 が重度または重複していることから養護学校等に通学して教育を受けることが 2384 困難な児童生徒に対し、養護学校の教員が家庭や児童福祉施設等を訪問して行 2385 う訪問教育でございますが、これにつきましては、高等部でも平成九年度から 2386 各都道府県で試行的に実施をいたしまして、平成十二年度からは本格的に実施 2387 をいたしているところでございます。平成十二年度では四十七都道府県、二百 2388 五十九校、八百七十八人で実施をいたしているところでございます。 2389 2390  そこで、中学部の既卒者、いわゆる過年度生でございますが、その過年度生 2391 の受け入れでございますけれども、これについて、そうした生徒を高等部の訪 2392 問教育の対象とするか、あるいは年齢制限なしに受け入れるかどうかというこ 2393 とにつきましては、これはそれぞれの都道府県教育委員会が高等部の整備状況 2394 やあるいは訪問教育の対象者数を総合的に勘案して御判断をいただくものと考 2395 えているところでございます。 2396 2397  中学部の既卒者の受け入れ状況は、平成九年度は八県でございましたが、前 2398 年度、平成十二年度には十九県となっているところでございまして、各県の実 2399 情を踏まえながら取り組みが進められているものというふうに理解をいたして 2400 いるところでございます。また、高等部の訪問教育につきましては、既卒者も 2401 含めて生徒三人につき担当教員一人を地方交付税により措置をいたしていると 2402 ころでございます。 2403 2404 ○林紀子君 十九県とおっしゃいましたが、私の方で聞いたところによります 2405 と二十五県ということになっておりまして、文部科学省がとらえているところ 2406 と違っているのかなと思いますが、それはちょっと時間の関係がありますので 2407 また後ほどお伺いいたしますが、ぜひ、ある県に住んでいる既卒者は教育は受 2408 けられない、ほかの県では受けられるというのはやっぱりおかしいと思います 2409 ので、交付税措置にしているんでしたら余計のこと各県でもこれをきちんと実 2410 施をしていくようにというふうなことも文科省の方からもぜひ強力に指導して 2411 いただきたいというふうに思うわけです。 2412 2413  それからもう一つですけれども、訪問教育の授業回数の問題です。 2414 2415  現在は週三回、一回二単位時間で先生が訪問をしてくれるということになっ 2416 ているということですけれども、福井大学の教授である加藤忠雄先生は、訪問 2417 教育の指導においては、通常の場合だがということを断りながら、対象児の発 2418 達の状況を見てみると指導内容の密度を濃くすること及び長時間にわたること 2419 はできない、なかなか難しい、すなわち単位時間に指導し得る内容量は限られ 2420 るし、また単位時間自体も長くすることができない、したがって指導回数を多 2421 くすることが求められるというふうに論文で書いていらっしゃいます。 2422 2423  そこで、確認をしたいのですが、これも確認ですので長くなくお答えいただ 2424 きたいんですが、一九九九年の決算委員会の場で当時の御手洗局長が、「訪問 2425 教育あるいは重複障害の子供たちにつきましては子供の実態に応じて校長が適 2426 切な授業を実施せよ」、つまり回数も単位時間も内容もということだと思いま 2427 すけれども、「校長が適切な授業を実施せよということでございます」という 2428 ふうに答弁をなさっているわけですが、これが訪問教育についての文部科学省 2429 の基本的な考え方と理解してよろしいですね。 2430 2431 ○政府参考人(矢野重典君) 各学校において、訪問教育の実施に当たりまし 2432 ては、どのような教育課程を編成するのが最も望ましいかにつきまして総合的 2433 に判断をいたしまして、御指摘のその回数につきましても、それぞれの学校が 2434 実情に応じて適切に定めるものと考えているところでございます。 2435 2436 ○林紀子君 時間がなくなりましたので、要望ということにしておきたいんで 2437 すけれども、ぜひ、その校長先生たちのアンケートを見ましても、今三人に一 2438 人の先生ということではやはり回数は限られてしまう、二人に一人の基準にし 2439 てほしい。そして、親御さんからはもちろんその声は大変大きいわけですので、 2440 ぜひ今三人に一人の基準を二人に一人という基準にして回数も強化し、教育そ 2441 のものを充実していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせ 2442 ていただきます。 2443 2444 ○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。 2445 2446  子供たちに行き届いた教育を行う上で、教職員の多忙の問題、もう本当に忙 2447 し過ぎるという問題の解決が求められていると思います。その点についてきょ 2448 うはお伺いをいたします。 2449 2450  きのうの、十月二十九日のマスコミでもこの問題は取り上げられて、国立教 2451 育政策研究所の調査なども紹介をされているところでございます。 2452 2453  私は、ことしの五月にこの問題、教職員の長時間過密労働について取り上げ 2454 て質問をいたしました。その点について再度伺いたいわけでございます。 2455 2456  四月の六日に厚生労働省から出されました、「労働時間の適正な把握のため 2457 に使用者が講ずべき措置に関する基準について」の通達につきましては、その 2458 委員会の中で、総務省からは、四月二十七日に通知を行って、教育委員会も対 2459 象になると答弁されました。また、文部科学省からは、厚生労働省の基準は私 2460 立学校の教職員には当然適用され、公立学校教職員にも基本的には適用される 2461 と答弁をされております。 2462 2463  そこで伺いたいのですが、一つは、総務省のおっしゃった教育委員会も対象 2464 になるという点につきまして具体的に伺いたいと思います。あわせて、文部科 2465 学省からは、公立学校教職員にも基本的には適用される、この具体的な中身に 2466 ついて伺いたいと思います。 2467 2468 ○政府参考人(板倉敏和君) 総務省といたしましては、地方公務員には原則 2469 として労働基準法の適用があることから、従来より労働基準法に関しまして各 2470 地方公共団体に必要な情報提供を行ってまいっております。 2471 2472  厚生労働省が定めた基準は労働時間を適正に把握するためのものでございま 2473 して、その点につきましては公立学校の教職員も基本的に対象となるものでご 2474 ざいます。したがいまして、教育委員会も対象となる旨お答えをしたところで 2475 ございます。 2476 2477 ○政府参考人(矢野重典君) 私の方からは、地方教育公務員についてのお答 2478 えを申し上げたいと思います。 2479 2480  地方公務員にもこれは適用されるわけでございますので、当然のことながら 2481 公立学校の教職員にも基本的に適用になるわけでございまして、具体的には、 2482 この基準の項目のうち、一般的に申し上げますと、少し細かい話で恐縮でござ 2483 いますけれども、始業・終業時刻の確認及び記録についての項目でございます 2484 とか、またその確認、記録の原則的な方法についての項目、さらには労働時間 2485 の記録に関する書類の保存に関する項目、また労働時間を管理する者の職務に 2486 関する項目、こうした項目が適用になるものと考えているところでございます。 2487 2488 ○畑野君枝君 そうしますと、総務省に伺いたい、確認したい点ですけれども、 2489 教育委員会も対象になるということは当然学校にも周知徹底されるということ 2490 になるわけですか。 2491 2492 ○政府参考人(板倉敏和君) そのように考えております。 2493 2494 ○畑野君枝君 次に、文部科学省に御確認なんですが、労働時間の適正な把握 2495 の問題につきましては、当然、始業・終業時刻の確認及び記録と言われました。 2496 2497  そこで、始業・終業時刻なんですけれども、これは、例えば命令のない超過 2498 勤務というのも始業・終業時刻の確認及び記録というのに入りますか。 2499 2500 ○政府参考人(矢野重典君) 個々のケースでその判断が難しい場合もあろう 2501 かと思いますが、一般的には命令のない勤務につきましても始業時刻に入るも 2502 のと思っております。 2503 2504 ○畑野君枝君 そうしますと、命令のある超過勤務ですとか部活動などについ 2505 てもこれは当然入るということでよろしいですか。 2506 2507 ○政府参考人(矢野重典君) そのとおりでございます。 2508 2509 ○畑野君枝君 今御説明があったわけでございますけれども、現場の教育委員 2510 会に聞きますと、そういうことが徹底されていないような実態もあるやに伺っ 2511 ているんですね。 2512 2513  そこで、私、ぜひ文部科学省といたしましても、こうした厚生労働省の通知 2514 について、いろいろな手だてを尽くしてきちっと現場にまで徹底されるように 2515 必要な措置をとる必要があるのではないかというふうに思うんですが、いかが 2516 でしょうか。 2517 2518 ○政府参考人(矢野重典君) 先ほど申し上げましたように、この基準につき 2519 ましては地方公務員である教育公務員についても適用があるわけでございます。 2520 そういう意味で、私どもといたしましては、この基準につきまして、各種会議 2521 の場等におきましてその趣旨あるいはその内容について周知を図ることなどに 2522 よりまして各教育委員会に対し教職員の勤務時間管理を適切に行うように指導 2523 してまいりたいと考えているところでございます。 2524 2525 ○畑野君枝君 何か会議以外に具体的に出すとか、そういうことは考えていらっ 2526 しゃるんですか。 2527 2528 ○政府参考人(矢野重典君) 当面、今考えておりますのは、人事主管課長会 2529 議等の勤務時間管理を扱う、そういう会議において指導いたしたいと思ってお 2530 ります。 2531 2532 ○畑野君枝君 いろいろな手だて、例えば総務省につきましては通達が出され 2533 ているということでございますが、各省庁連携しながら、あらゆる手だてを通 2534 じてこれを現場にまで徹底させていただきたいというふうに思います。 2535 2536  そこで、もう一つの問題としてなんですが、先ほど少し申し上げました国立 2537 教育政策研究所がことしの九月に学校・学級経営の実態に関する調査の報告書 2538 を速報版ということで出されております。その中では、小学校の教員の学校で 2539 仕事をする時間は九時間四十二分、睡眠時間は六時間二十分。同時に、持ち帰 2540 り仕事があるということで、自宅に戻ってからも採点や授業の準備などに一時 2541 間十七分費やしているという報告が出されております。これは全国の公立小学 2542 校千百五十四校、六千六百十四人の教員を対象に行われた、ことし三月のかな 2543 り大きな調査であります。 2544 2545  この調査の中で私、注目をいたしましたのは、持ち帰り仕事の点に触れてい 2546 ることでございます。この持ち帰り仕事の問題は、この間も申し上げましたが、 2547 過労死の問題ともかかわっておりまして、私は、ことし、二〇〇一年二月に大 2548 阪高等裁判所で判決が出されました京都教員過労死裁判のものを国政調査権で 2549 最高裁からいただきました。読ませていただきました。一言で言えば、持ち帰 2550 り仕事が常態化していることや、あるいは職務内容のストレスが有力な原因と 2551 なって過労死が起きているという認定になっているわけなんですね。 2552 2553  それで、文部科学省としては、先ほど終業後の命令でない超過勤務について 2554 も基本的には今後始業・終業時刻の確認となるというふうにおっしゃいました 2555 けれども、そういう実態、あるいはそれにかかわっての持ち帰り仕事を含めま 2556 してきちっと把握をするべきではないかというふうに思っているのですが、そ 2557 の点についてはいかがでしょうか。 2558 2559 ○政府参考人(矢野重典君) 先ほどお話がございました持ち帰り仕事、これ 2560 は当然のことながら労働時間には、勤務時間には含まれないものでございます 2561 が、そうしたことも含めて、公立学校教職員の勤務の実態そのものについては 2562 私ども調査を実施していないところでございます。 2563 2564  この点につきましては、さきの国会においても私ども申し上げましたけれど 2565 も、公立学校の教職員の勤務時間、これは服務監督権者であるそれぞれの教育 2566 委員会が、また私立学校につきましては教職員の使用者であるそれぞれの法人 2567 がその権限と責任において適切に管理すべきものであるというふうに考えてい 2568 るところでございます。 2569 2570  しかしながら、教職員が心身ともに健康を維持し児童生徒への教育に携わる 2571 ためにも、教職員の勤務時間を適切に管理することは極めて大事なことでござ 2572 いまして、そういう意味で、私ども、先ほどの通知の趣旨も踏まえながら、各 2573 教育委員会に対しまして教職員の勤務時間の管理を適切に行うように指導をし 2574 てまいりたいと考えているものでございます。 2575 2576 ○畑野君枝君 趣旨を徹底しているのは当然なわけですけれども、それを本当 2577 に改善していくためにもやはり実態をきちっとつかまなければその方向は出て 2578 こないというふうにも私は思うわけです。 2579 2580  それで、教職員の特殊性というのはこの間も議論されてまいりましたけれど 2581 も、今、本当に子供たちの願いにこたえて、教育現場で教職員の皆さんが本当 2582 に努力、苦労されておられるというふうに思います。 2583 2584  例えば、これは神奈川県の藤沢市が市立中学校三年生の学習意識調査の報告 2585 書というのをことし三月に出されております。 2586 2587  三十五年間にわたっての比較研究というふうになっているわけなんですが、 2588 その中では、例えば、この三十五年間の中で、「勉強はもうしたくない」とい 2589 う「勉強の意欲」については、一九六五年が四・六%だったのが二〇〇〇年に 2590 は二八・八%、このように六倍にふえているという子供たちの意識の変化がご 2591 ざいます。 2592 2593  その一方で、「授業に期待する事柄」は何か。この多い中身というのが、こ 2594 れは、勉強がほとんどわからないというふうに言っている生徒と、よくわかる 2595 と言っている生徒それぞれに聞きましても、共通して言われているのが、一つ 2596 は、「楽しくリラックスした雰囲気の授業」とか、それから「自分の興味や関 2597 心があることを学べる授業」ということで、非常に先生も努力をしていい授業 2598 にしていく、そのことが子供たちからも求められている、こういう調査報告も 2599 出されております。 2600 2601  これに本当にこたえようとしていけば、やはりいろいろな形で、時間内に終 2602 わらなければ持ち帰りの仕事が出てくる、ですから、それをそうしなくても済 2603 むような状況に、学校の時間内にできるような、そういう体制をつくっていく 2604 ことが私は必要だというふうに思っております。 2605 2606  そういう点では、横浜市のある学校の先生から伺いましたら、ことしの四月 2607 から十月まで、自分は放課後どんなふうな仕事をしているかというのを毎日つ 2608 けていらっしゃるというのを見せていただきました。例えば九月一日。これは 2609 夏休みが終わった最初の新学期の土曜日ですけれども、学校を出た時間という 2610 のは十七時で、四時間四十五分長く学校にいて働いたと。主な仕事は三、四年 2611 の打ち合わせ、学年研、週案作成というふうになっておりますけれども、それ 2612 以外にも持ち帰って仕事をしている、そういう記録もつけられているわけでご 2613 ざいます。そういう点からも、きちっとした勤務の状況をやはり全体がつかん 2614 で改善していく、そういうことが必要になっている。 2615 2616  私は、五月に委員会で、こうした勤務の実態把握を厚生労働省や総務省とも 2617 協力しながら進めていただきたいというふうに質問いたしましたら、遠山文部 2618 科学大臣からは、そういう方向は必要であろうというような答弁もされました。 2619 2620  ことしの八月に、国連の経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会の最 2621 終見解というのが出されまして、日本に対する勧告が出されております。例え 2622 ば、教育システムの包括的な見直し、ストレスの多い状況を直すということも 2623 言われておりますし、それから労働時間の削減、これは公的部門及び私的部門 2624 を含めて労働時間の削減ということが言われております。 2625 2626  ですから、本当にいい教育をしていくために、こうした教員の多忙の実態、 2627 子供たちと本当にかかわっていく時間すら奪われている、本当に過労死するか、 2628 それとも本当にあとはやめるかと、そういうふうに追い込まれている先生もい 2629 るわけですから、こうした実態を明らかにする必要な調査をすべきではないか 2630 と思いますけれども、文部科学大臣いかがでしょうか。 2631 2632 ○国務大臣(遠山敦子君) 本当に教育の成否は教師にありということでござ 2633 いまして、教職員が心身ともに健康を維持しながら児童生徒への教育に携わる 2634 ということは大変大事なことでございます。各教育委員会等に対しまして、私 2635 どもとしましても、常に教職員の勤務時間管理を適切に行うよう指導してまいっ 2636 ておりますし、今後ともそういう姿勢でまいりたいと思っております。 2637 2638  先般五月二十四日の質疑のときのことが紹介されましたけれども、そのとき 2639 私が答えましたのは、そういう方向でという意味は、一般的に教員の勤務時間 2640 の適正化を図ることは必要であるという趣旨でございまして、文部科学省とし 2641 て勤務実態把握を行うということではございません。 2642 2643  なお、服務監督権者である各教育委員会が、その権限と責任において必要に 2644 応じて教職員の勤務時間管理の実態調査を独自に行うことはもちろん可能では 2645 あろうかと考えております。 2646 2647 ○畑野君枝君 今、各県でというお話がありました。もちろん県段階で福岡県 2648 などもそういう調査を進めております。あわせて国としても必要な調査を進め 2649 ていただきたい。あわせて三十人以下学級やあるいは教育条件の整備も本当に 2650 進めていくことが必要だということを申し上げまして、質問を終わります。 2651 2652 ○山本正和君 きょうは、大学教育、特に法律家になる人たちの教育とか、あ 2653 るいは医学、薬学のところをちょっと聞こうと思っておったんですが、その前 2654 に、午前中亀井委員からお話がございましたし、今、畑野委員からお話があり 2655 ましたので、ちょっと私も触れておきたいんですが、学校というのは私は役場 2656 や県庁とは違うと思うんですね。ですから、先生が朝八時出勤で五時までおっ 2657 て、はい、さようならと、その後は知りませんよということでいうのならば、 2658 私は教育は崩壊すると思う。自分のうちへ帰ってもお父さん、お母さんから電 2659 話がかかってくるんですよ、子供はこうだと。それにいつでも相談に乗る。あ 2660 るいは子供が自分の下宿に、若い先生の、遊びに来る、一緒に遊んでやる。そ 2661 ういうことがあって初めて教育というのは行われるので、それを勤務時間を朝 2662 八時から五時までにちゃんとやりなさい、それさえすればチョンと、一週四十 2663 四時間勤務しなさいと、そんなことでは学校はできないんだ。 2664 2665  私は、午前中に三重県のことを亀井先生がお話しになったからちょっと言っ 2666 ておきますけれども、これは実は昭和二十二年に、当時の三重県知事と、青木 2667 さんという保守系の知事です、と三重県教職員組合の当時の委員長とで話し合 2668 いをしまして、先生の勤務というのはどうだと。先生というのは役場や県庁と 2669 違う、だから校長さんが認めればよろしいと、勤務は。要するに、ちゃんと一 2670 人前働いていると校長が認めるか認めないかが前提だと。だから、それはもし 2671 も自分が低学年の担任で昼からきょうは生徒がおらぬと思ったら、うちへ帰っ 2672 て休んでもいいよ、しかし夜の夜中まで走り回らなきゃいかぬときもあるとい 2673 うことでもって、かなりいろんな話をしました。 2674 2675  そのときに、実はその当時は日教組なんというのは本当はなかったんですよ 2676 ね。つくらされた、占領軍の命令もありましてね。そして、どうやって組合を 2677 つくるかというのがわからなかったんですよ。初めのころは大日本帝国教育会 2678 と間違えて、やろうかというような話まであった。それで、どうやら組合をつ 2679 くった。そうしたら今度は組合の役員のなり手がいないんですよ。だから、校 2680 長からお願いして、組合をやってくれと頼まれた。それでみんな出てきたんで 2681 すね。ですから、そのときに、そういうところから出ていった場合には旅費が 2682 要りますから、旅費はしかし払わぬぞ、しかしこれは勤務時間だから、勤務と 2683 して認めるから行ってこいと、こういうことで組合が生まれた。そういうのが 2684 出発点なんですね。 2685 2686  だからそこは、今、日教組がやれ文部省とけんかしてどうとかこうとかなん 2687 とかという時代とは違うんですよ。そこから始まっておって、そこでトラブル 2688 が起こって、例えば広島なんかでは随分激しいところあるからね。それで、何 2689 か人間的な憎しみまで生まれたところもありますけれども。三重県なんていう 2690 のは非常にのんびりしていますから、ずっと長い習慣でね。そうすると、校長 2691 さんが認めれば、はい、行ってらっしゃい、御苦労さんよと。そのかわり、お 2692 まえさん、頼んだら朝まで仕事せいよと、よっしゃというのがずっと続いてい 2693 たんですよ。 2694 2695  そうしたら、北川さんという元気のいいのが出てきて、知事になったら、県 2696 庁の職員から、こら、おまえら空出張しただろうというので、空出張返せと言 2697 われた。空出張は悪いですよ、あれはね。だから、学校の先生の勤務時間中の 2698 組合活動と一緒にとられちゃった。返せと言われたものだから、県庁の職員、 2699 みんな真っ青になって、それでも返したんですよ、かわいそうにね、安いのも 2700 一人十万円ぐらい返したのかな。しかし、それは実際はそのお金で酒飲んだり 2701 食ったりしたんだろうから返してもいいですよね。 2702 2703  ところが、教員の方はそれは関係ないんだ、全然。しかし、そこも、教育委 2704 員会といろいろな話し合いして、まあしかしこれからよくしましょうというこ 2705 とで、調べようというので、朝八時から午後五時までの間に何時間ぐらい組合 2706 運動したかという調査した。そうすると、お昼休みに職場会議やった、これも 2707 組合運動だと。それから、分会長会議を例えば勤務時間内でそこでやっておる 2708 と。それも入っておるんだ。そんなものも全部一緒に出しちゃった。それは校 2709 長が認めているんですよ、ちゃんと。校長も地教委も認めている。それから、 2710 ほとんどの市町村長もみんな知っているんですよ。こんなことを言うとおかし 2711 いけれども、文部省から教職員課長もずっと歴代来ておったから、文部省、皆 2712 知っておるんですよ、そういうことは。 2713 2714  だから、組合運動というのは、まさに全面対決してストライキを打つとかな 2715 んとかいうやつはぴしゃっとしておるんですよ、そこは。日常の教職員の活動 2716 をお互いに組合員の名前で、あるいはPTAの名前で、校長会の名前でやるん 2717 ですよ。それはみんな合同でやる。そういうのも含めてみんな報告したのがあ 2718 の十億という金なんですよ。 2719 2720  ところが、そいつがそうなっておるものだから本当は困っておるんですよ、 2721 県教委もね。文部省にはちょっとうそも報告しておるけれども、実際にこれを 2722 裁判で争われたら困るんですよ。それは勤務時間なのか勤務時間じゃないかと 2723 いったら、証拠は何かといったら教員が報告しただけ。教員の報告は朝八時か 2724 ら五時までにこういうことしましただけの、それしかない。 2725 2726  そこで、裁判どうする、こんなことでもめても仕方ないだろうというので、 2727 まあ教育委員会と関係者がいろいろ話し合いしまして、とにかくこれからちゃ 2728 んとしましょうということで、教職員組合の金で八億円の寄附しますと。そし 2729 て、校長や教頭も、みんながこれからちゃんと三重県よくやっていくために金 2730 を寄附しましょうと。それで、十億八千万を県の教育に寄附しようと。その金 2731 なんか文部省に返さぬでいいんですよ。文部省も本当は欲しくないんだ。それ 2732 だけの金もらったら、これまた会計検査院からやられるんですよ。というのは、 2733 行政処分したやつです、一たん。給与ですよ。 2734 2735  もし、例えば私が商売人で商売したとする、月給を払ったと、おまえ返せと 2736 いったときに、どうやって取りますか、余分に払っている。しかし、その場合 2737 は明らかに違法であると認めにゃいかぬですよ、違法行為である。違法行為で 2738 あるということをめぐって議論しているから、やるのなら裁判せにゃいかぬで 2739 すよ。しかし、県教委からそういう申告があれば文部省としては違法行為で払っ 2740 たものは返してくれというのは当たり前ですよ。もしこれ払ったとしたら、今 2741 度は県の段階で訴訟が起こる。本当の違法行為かどうか明らかにせいとなる。 2742 これは最高裁まで裁判せにゃいかぬ。そんなつまらぬことで学校現場がトラブ 2743 ルせぬでもいいんです。 2744 2745  先ほど畑野委員が言われたように、本当に学校の先生というのは、勤務とい 2746 うのは大変なんですよ。あとはだれを信頼するかの問題。一番信頼しなきゃい 2747 けないのは現場の校長先生ですよ、あるいは地教委ですよ。地教委の教育長も 2748 一生懸命苦労して見ている。そこを、さっき矢野局長はうまいことを言ったん 2749 ですよ。服務監督はすべてそこで裁量を持っておやりになっていると言うたか 2750 ら。 2751 2752  だから、そういう信頼関係を持った中で行政をやらぬと、例えば超過勤務手 2753 当よこせという訴訟をかつてやったんです。大変な金になる。文部省も弱った 2754 んですよ。各地教、県も皆困った。先生の超過勤務全部調べてやったらね。そ 2755 したら、先生もそんなことを言うの大概にせいよという話をして、当時の日教 2756 組もそれを引いて、そして超勤訴訟を和解した。これはもう西岡先生がよく御 2757 存じのこと。 2758 2759  だから、先生に超過勤務で云々と言って、勤務時間云々と言い始めたら大騒 2760 動になるんですよ、これは。だから、そういう意味で、それよりは文部省とし 2761 ては各都道府県に、何とか現場で働く先生たちが安心して働けるような体制を 2762 つくれ、また、労使間で十分話し合いをして教育がうまくいくようにやれとい 2763 うことを指導してもらう方がいいと、こう思いますから。 2764 2765  ちょっとこれは午前中の先生のお話と畑野委員のお話に絡んで質問の前に感 2766 想だけ申し上げておきます。お受けとめになるのは自由ですが、場合によって 2767 はまた私なりのいろんなこと、悪いことを考えるかもしれませんから。 2768 2769  そこでお願いしたいんですが、実は私どもが若いとき、私は戦争に負けて昭 2770 和二十四年にもう一遍学校を卒業したんですけれども、そのときに非常に感銘 2771 したのは、奈良県の検事さんが食管法違反だからやみ米一切食わぬ、食糧配給 2772 だけで耐えますと言って頑張ったんです。栄養失調で亡くなられた。本当に感 2773 銘したんですよ。すごいんですよ、法律家というのはね。そんな人がおるんで 2774 すよ、法律違反しませんと言って。 2775 2776  ところが、この前から国会でも裁判官訴追がありましたですね。ああいうふ 2777 うなことがちょこちょこ出てくる。また、弁護士さんや検事さんの事件等も出 2778 てくる。 2779 2780  この前、実はテロ行為の九月十一日の朝、私どもは国会からの視察でちょう 2781 どワシントンにおったんです。連邦裁判所におった。そこで裁判官はどういう 2782 身分かというような話を聞いていた。そのときにどかんとやられたんですけれ 2783 ども。私はそれを聞いたもので頭にきて、その翌日大使館のところに行って柳 2784 井さんに、こんなものは日本国憲法も予想していないやつだと、取っ捕まえて 2785 全部ひっくくれと、日本もそれ全部入るよと、こう言ったんです。そしたら、 2786 山本さん、そんなことを言っていいんですかと、あなたのところの社民党はそ 2787 うじゃないでしょうと言った。それは違うよと言ったんですよ。テロというの 2788 は絶対許さぬという決意をまず日本国が表明せにゃいかぬと。だから、柳井さ 2789 ん、それしっかり言ってくれと。 2790 2791  それで、そんな話をしたんですけれども、そのときのアメリカでいろいろ聞 2792 いた話では、裁判官というのは、人間のいろんなものがある、一生たくさんの 2793 出来事がある、人間にはいろんな性格がある。そうすると、全くいい人が突然 2794 凶暴な犯罪を犯すことがあるかもしれない。何が起こるかわからぬ。そうなる 2795 と、裁判官というのは人間としてのさまざまなものがある。そうかといって万 2796 能じゃないわけですよね。 2797 2798  じゃ、どうするんだというようなことでいろいろ議論した結果、アメリカで 2799 は裁判官になるについては、例えば弁護士なら弁護士でどれだけの経験がある 2800 とか検事がどうとかというふうなそんなことを含めてやっていますよと。 2801 2802  そればっかりじゃないんですと。アメリカのロースクールというのは、普通 2803 の大学を出て、その大学の中で例えば音楽の先生もおる、音楽で勉強した人が 2804 これでじゃどうするかと、よし、じゃロースクールに行こうという人が来る。 2805 同じようなことで、お医者さんの学校も、医者というのは人間のもう本当に死 2806 ぬ間際までの苦しみを見にゃいかぬわけですよね。だから、こういうロースクー 2807 ルとか医学とかいうものは特別な制度でもって資格を与えるための制度にしよ 2808 うとなってきたんですという話を聞いたんですね。 2809 2810  私はそれは本当にそうだと思うんですよね。今の日本は、何か知らぬけれど 2811 も、子供のときから英才教育を受けて、偏差値をぴっしりつけられて、東大の 2812 法学部を出て、正直言って、こんなことを言ったら語弊があるけれども、若い 2813 弁護士の中には本当に人間がわかっておるかしらんというような人もいますよ 2814 ね。私は心配で仕方がない。そういうことも含めたら、そういう部分は何とか 2815 文部省としても、日本の教育の根本にかかわることですから、そういう法律だ 2816 とか医学とかいうふうなことについては考えるべきじゃないかと、こういうふ 2817 うに私は思っておるんです。 2818 2819  それからもう一つは、今、炭疽菌で大変です。そうすると、アメリカは薬剤 2820 師がそれについては全部知識を持っていて、一斉に各地域で始まっておる。ド 2821 イツでもそうですよ。日本の薬剤師というのは社会的地位が非常に低いんです 2822 よ。昔から諸外国と比べてなぜ日本の薬剤師はこんなに低いんだと、学歴が低 2823 い。よそはみんな五年制ないし六年制です。日本だけ四年制というけれども、 2824 それも実際にやる専門教科、カリキュラムは二年しかやっていない。ほかは専 2825 門を三年ないし四年やっているんですよね。そういうことからいったら、どう 2826 してもこの薬剤師の問題も取り上げなきゃいかぬ。 2827 2828  そして、もっと言えば、きょうはお医者さんはお見えにならぬけれども、お 2829 医者さん出身の国会議員もおるもので一言言うんですけれども、医療費の問題 2830 の出発点は何かといったら、お医者さんが処方せんをたくさん書いて薬を出し 2831 たら経営が楽だということですよ。本当ならばお医者さんというのはそういう 2832 もので経営を考えちゃいけないんです。それができなかったのはなぜかといっ 2833 たら、医薬分業がないからです。医薬分業がない理由は何かといったら、日本 2834 の薬剤師は程度が低いと、こう言われておる。程度を高くしなきゃだめなんで 2835 すよね。 2836 2837  そのことも含めて、ぜひこれは文部省としても真剣に高等教育の問題を考え 2838 ていただきたいと、こう思うんですが、時間が過ぎましたのでこれで終わりま 2839 すので、答弁があれば。 2840 2841 ○政府参考人(工藤智規君) いろいろ御示唆に富む御指導をいただきまして、 2842 ありがとうございました。 2843 2844  アメリカと日本とで確かに制度が違いますので、アメリカの場合、法曹界を 2845 目指す方は四年間のいわば教養を中心とした学部教育の上に三年制のロースクー 2846 ル、それから医者になります場合の医師養成については、学部教育の上に四年 2847 制のメディカルスクールという専門大学院が発達しているわけでございます。 2848 2849  日本の法学教育についてもいろいろな問題が確かにありますけれども、他方 2850 で、法曹界の人材育成につきましては、現在は司法試験という試験に合格すれ 2851 ばどなたでもなれるという広いチャンスがあるというメリットも言われている 2852 一方で、受験対策にだけなって、先生おっしゃるように人の痛みとか法の基本 2853 とか、もう少し幅の広い人間性が求められておりまして、そのために、近々国 2854 会でも御審議賜ると思いますけれども、司法制度改革、点の養成から面の養成 2855 へという中でいわば日本版のロースクールをこれから整備していこうというこ 2856 とで、政府部内でもそのための準備を進めているところでございます。 2857 2858  他方で、法学教育の充実についても私どもも大学も取り組んでいるところで 2859 ございますし、医学それから薬学のような医療人の養成についても、先生の問 2860 題意識と共有しているわけでございますが、ただ他方で、アメリカ型にすぐ移 2861 行するには、関係者でいろいろ御議論いただいているのでございますが、なお 2862 乗り越えなきゃいけない課題等もございますので、今後とも御指導をいただき 2863 ながら進めてまいりたいと思います。 2864 2865  ありがとうございました。 2866 2867 ○西岡武夫君 私の持ち時間は十四分でございますので、初めに委員長にお願 2868 いがございますが、これまでにもこの委員会で国立大学の独立行政法人化につ 2869 いてのまとめた御議論が当然あったことと思いますけれども、ぜひこの国会中 2870 にこの問題を中心とした集中的な審議の時間を持っていただきたいということ 2871 を、理事会で御検討いただきたいということをまずお願い申し上げたいと思い 2872 ます。 2873 2874  そこで、限られた時間でございますから、大臣に、私はマル・バツ式は大嫌 2875 いでございますけれども、時間が限られておりますので、大体イエスかノーか、 2876 あるいはそうではない、この三種類でお答えをいただきたいと思います。 2877 2878  義務教育の問題につきまして、私も文部省で仕事をさせていただいて常々感 2879 じていたわけでございますけれども、行政の責任というのは一体だれが持って 2880 いるのか。義務教育について最終責任はだれが持っているのか。少なくとも私 2881 の経験では文部大臣は持っておられない、持っていない。そうすると、どこに 2882 存在するのか。これだけ大きな教育の問題が起こってきている中で、学級崩壊 2883 などはその大きな一つの例でございますけれども、義務教育についての教育行 2884 政について責任の所在がどこにあるのかということを大臣はどうお考えか。文 2885 部科学省は少なくとも私はないと思いますけれども、大臣の御認識を承りたい。 2886 2887 ○国務大臣(遠山敦子君) イエス、ノーでとなかなか答えにくいのでござい 2888 ますけれども、やはり一番の基本の、国の基本、国民にとっての一番の基礎を 2889 学ぶ義務教育につきましては、これは国あるいは地方公共団体がそれぞれの責 2890 任を果たしながら、互いに協力をして責任を果たしていくべき問題と思います。 2891 2892  簡単に申し上げますと、国は、教育の機会均等を図る、あるいは全国的な教 2893 育水準の維持向上の観点から基本的な制度の枠組みについてあるいは基準の制 2894 定を行う、そして地方公共団体に対して財政的な援助なりあるいは指導、助言 2895 ということを行っていきますし、地方公共団体は、学校の設置者としての場合 2896 もございましょうし、それから各種の事業の実施主体ということで、それぞれ 2897 の学校あるいは地域の創意工夫ある取り組みを支えて地域に根差した主体的か 2898 つ積極的な教育行政を展開していくということで、義務教育についての責任と 2899 いうのは私自身はそのように考えているところでございます。 2900 2901 ○西岡武夫君 文部大臣には最終責任はないということですね。 2902 2903 ○国務大臣(遠山敦子君) 私自身、個人としては、義務教育なり教育のあら 2904 ゆる問題について私は責任を持って取り組んでまいっております。責任感を感 2905 じると申しましょうか。 2906 2907 ○西岡武夫君 制度としては、当然行政につきまして責任と権限というものが 2908 一体でなければ責任を果たせないと思うんです。ところが、教育行政につきま 2909 していろいろ考えておりますと、教育委員会自体も、皆様方御承知のとおりに、 2910 教育委員は教育長だけが常勤して、あとは非常勤だと。財政は、知事がその財 2911 政の権限は持っている。したがって、教育行政についての責任の所在は最終的 2912 にはどこにも存在しない。 2913 2914  問題が起これば文部大臣だけが責め立てられるわけですけれども、しかしそ 2915 れを果たすだけの仕組みになっていないということを大臣はお認めになります 2916 か。 2917 2918 ○国務大臣(遠山敦子君) それは何か端的にイエス、ノーで答えられるよう 2919 な御質問ではないと思います。恐らく、西岡先生は大臣の御経験もあり、各種 2920 のいろんな御経験を踏まえられて、何らかのうんちくあるお考えのもとにの御 2921 質問かと思っております。 2922 2923  しかし、先生もいみじくもおっしゃいましたように、あらゆる問題が起きる 2924 とやはり文部科学省ないし文部科学大臣の責任やいかんという形で降ってくる 2925 わけでございまして、その事柄の、先生のおっしゃるところの責任ということ 2926 の趣旨がいささかちょっとわかりにくい点がございますけれども、私はこの問 2927 題については、国として、あるいは地方公共団体、教育委員会、そういうふう 2928 なところがそれぞれの責任を果たしながら、あるいは法令上定められた権限に 2929 基づいて行政を行っていくことでそれぞれの責任を果たしてまいる、そういう 2930 総合的な制度であるというふうに考えております。 2931 2932 ○西岡武夫君 別に私は意地悪いことを申し上げているのではなくて、私は常々、 2933 最終的には文部大臣が常に問題が起こるとその責任を追及される。しかし、そ 2934 れを果たすという権限を最終的には持っておられない。持っていない。そのは 2935 ざまの中で、それはだれが持っているのかと。 2936 2937  私は、昭和五十一年か二年でございましたか、予算委員会で質問をしたんで 2938 ございますけれども、教育委員会制度というものを前提にするならば、教育委 2939 員、少なくとも都道府県の教育委員は常勤でおられるのが当たり前の話ではな 2940 いだろうかと。非常勤という形で教育行政に責任を負うということは、これは 2941 不可能だと。しかも、財政的には知事部局がこれを持っている、責任を持って 2942 いると。しかし、教育の問題が起こりますと、それぞれの地方自治体の議会で 2943 答弁するのは教育長だと。 2944 2945  何だかじゃんけんぽんみたいな形で、どこに権限が存在しているのかわから 2946 ないという、そういうもたれ合いの形というあり方を改める必要があると私は 2947 かねがね思っているわけですけれども、その点についての大臣の御見解を承り 2948 たい。 2949 2950 ○国務大臣(遠山敦子君) 教育委員会をどのように考えるかということにつ 2951 いての西岡委員のお考えを披瀝されたものだと思いますけれども、教育委員会 2952 制度はこれまでやはり教育行政の中立性あるいは安定性を確保して各自治体に 2953 おいて教育行政を適正に執行する上で大いに寄与をしていると考えております。 2954 2955  もちろん、その運用上いろんな問題がございます。それぞれの教育委員のあ 2956 り方、あるいはそれが非常勤であること、あるいはその人たちの持っている情 2957 報量ないし意思決定についての見識の問題、そのようなことがございますけれ 2958 ども、我が省といたしましては、こういう教育委員会の果たすべき役割という 2959 ことについて十分認識をし、かつまたそれが有効に機能するように、制度的な 2960 面での改善、あるいは教育委員会自体が活性化していくためのいろんな方途な 2961 どについて改善を次々に重ねてまいってきておりまして、私はやはり今後とも 2962 教育委員会というものが地域に根差した特色ある教育行政を積極的に展開して 2963 いくべく、その機能を十分に発揮してもらいたいと思っておりますし、またそ 2964 ういうふうなボードですね、そういうふうな機能を私どもとしてもこれを支え 2965 ていく、そういう責務があろうかと考えております。 2966 2967 ○西岡武夫君 この問題はまだ議論をいたしますと限りなくございますからま 2968 た別の機会にいたしますけれども、少なくとも義務教育という大事な問題につ 2969 いて非常勤の機関が、非常勤の委員の皆さん方が最終責任を持つということは 2970 私は不可能だと思うんですね。これはぜひ大臣としても御検討をいただきたい。 2971 改善という問題ではない、もう根本的な問題だというふうに私は思っておりま 2972 す。 2973 2974  それから、次の問題ですが、あと数分しかありませんけれども、国立大学の 2975 独立行政法人化の問題については、ずっとこれまでの資料をいろいろ拝見して 2976 おりますと、どうも独立行政法人化ありきというところから始まっているとい 2977 う感じを私は持っております。 2978 2979  この問題につきましては、あと二分ぐらいで話をするのは不可能でございま 2980 すけれども、例えば学長が経営的な手腕を発揮するということが書かれてござ 2981 います。ところが、学問的な権威を持った方が必ずしも経営的な感覚を持って 2982 おられる、そういう方もたまにはおられるかもしれませんけれども、これはな 2983 かなか言うべくして簡単なことではない。 2984 2985  そういうこと等々考えて、我が国のやはり基礎研究、学術の研究というのは 2986 非常に大事、これだけが唯一の資源と言ってもいいくらいのこういう国立大学 2987 のあり方について、こんな安易なと言うと大変言葉が過ぎるかもしれませんけ 2988 れども、たまたま独立行政法人という構想が出てきて、それに乗っかっていっ 2989 て、果たして日本の学術基礎研究の将来がどうなるんだろうかと。 2990 2991  私は、昭和四十八年から五十一年にかけまして、日本に学術地図というもの 2992 をつくって大学の設置についての基本的な下敷きにすべきであるということを 2993 提案したわけでございますけれども、微力にして今日に至っておりますけれど 2994 も。 2995 2996  例えば、独立行政法人ということになりましたときに、一体国家公務員なの 2997 か非国家公務員なのか、そこは、大臣、詰まっているんですか。 2998 2999 ○国務大臣(遠山敦子君) 今の最後の点につきましては、目下非常に集中的 3000 な議論が行われておりまして、調査検討会議において二つの考え方がありとい 3001 うことで、それを、すべての国立大学を同じようにするか、あるいはそれぞれ 3002 の個々の大学がそれぞれの意思においてどちらの形態をとっていくのかなども 3003 含めて、目下最終的な詰めを行っている段階でございます。 3004 3005 ○西岡武夫君 そういう基本的なところを全然決めないで、とにかく国立大学 3006 法人法を制定してできるだけ早期に移行するという方針を政府はお出しになっ 3007 ているようでございますけれども、もっと文部科学省として大学のあり方はど 3008 うあるべきなのかということを、独立行政法人に乗っかっていくという形では 3009 なくて検討されるべきではないかと私は思うんです。 3010 3011  大臣、これに御賛成でしょうか。 3012 3013 ○国務大臣(遠山敦子君) 私は、西岡委員の文部大臣としての御在籍の期間 3014 ないしいろんな機会を通じまして、委員が日本の大学教育なり大学研究なりに 3015 対しての強い希望、期待を持っておられて、そのお考えの基礎として非常によ 3016 く考えられたいろんな御意見をお持ちということはよく存じ上げております。 3017 3018  ただ、今回の一連の流れは、ただ独立行政法人ないし国立大学法人ありきと、 3019 では急いでそれにということでは私はないと考えております。各国を見まして 3020 も、国立の大学というものは日本以外のところは法人化をされております。そ 3021 れによっていろんなメリットも出てくる。むしろ自由濶達に教育研究が行われ 3022 ていくというような面もあるわけでございます。 3023 3024  その意味で、私ども当然ながら、日本の大学の教育研究というものをどのよ 3025 うにして活性化し、そして本当に内実から出た真の教育への情熱あるいは独創 3026 的な研究への発想、そういったものを大事にしていくかということを常々考え 3027 ている点では私どもは人後に落ちないわけでございますが、しかし、それらの 3028 上に立ってなおかつ大学改革というものを進め、またその大学改革の目指すと 3029 ころ、いろいろな議論があった上で、もっと個性に輝く大学であるべし、ある 3030 いは国際競争力を持った日本の大学であってほしいといういろんな要素を勘案 3031 した上で、であるならば、やはり国立大学法人というその流れを活用しながら、 3032 本格的な輝ける大学といいますか、国民の期待にこたえるような大学になって 3033 いってほしいと、そういう気持ちもございますし、大学人の多くは私どもの意 3034 図も十分受け取っていただいている、今そういう状況であろうかと考えており 3035 ます。 3036 3037 ○西岡武夫君 もう時間が参りましたからこれで終わりますが、少なくとも私 3038 が個々の国立大学の教授、先生方にお尋ねをいたしますと、表には意見として 3039 出てきておりませんけれども、大変な疑問を持っておられるというのが実態だ 3040 と私は思います。ぜひ、冒頭に申し上げましたように、このことにつきまして 3041 は十分な時間をとっていただいて、何か事柄がとんとんとんと進んでしまって、 3042 あれよあれよというふうになって、後世に大変な批判を受けるということのな 3043 いようにしていただきたいということを委員長にも特にお願いを申し上げます。 3044 3045  終わります。 3046 3047 ○委員長(橋本聖子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いた 3048 します。 3049 3050    午後三時散会