国立大学独立行政法人化の諸問題国会情報 visits since 2002.4.26
第154回国会 文教科学委員会 第5号
平成十四年四月二日(火曜日)

非常勤講師問題
国立大学病院の看護体制の問題
独立行政法人化の問題
有馬元文部大臣の約束について
工藤局長の雑誌での発言について


○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。

 私はまず大学の非常勤講師の問題から質問をしたいと思います。

 今、文部科学省は大学全体で何人の非常勤講師がいるのか。そのうち、非常勤講師の仕事のみをしている人、例えば社会人であるとか、本務があって非常勤講師をしているという方は除いて、非常勤講師の仕事だけをしている人はどれだけいるのか。そして、大学の講義全体のうち非常勤講師が占めている割合はどうなっているか。待遇はどうか。こうしたことを現在把握していらっしゃいますでしょうか。

○政府参考人(工藤智規君) 非常勤講師の方の人数でございますけれども、これは三年に一遍調査してございますので、直近は平成十年十月一日現在でございますが、国公私立大学を通じましての非常勤講師の総数は十三万三千八百六十九人でございます。全教員に対する割合は四七・八%となってございます。このうち、専ら非常勤講師のみを仕事としている方は国公私で四万五千六十七人でございます。全教員に対する割合は一六・一%でございます。なお、これは、国公私別で見ますと、どうしても全教員に対する割合は国立よりは公立が若干多く、公立よりは私立が多いという状況になってございます。

 それから、お尋ねのございました、じゃ授業の割合、待遇はいかがかということでございますけれども、いずれにしましても、どういう方を非常勤講師にお迎えするか、どういう授業を御担当いただくか、それぞれの大学の御判断でされているものでございますが、授業全体に対して非常勤講師の方が担当していらっしゃる授業というのは、残念ながら国立大学については把握していないのでございますけれども、私立大学で見ますと、これも大学でまちまちでございまして、割と規模の大きい大学で見ますと、全体の二四%あるいは三四%の割合というデータなどがございます。大学で大変まちまちでございます。

 それから、待遇でございますが、国立大学の場合は、一応、お迎えする非常勤講師の方の経歴等によりまして若干違うわけでございますが、予算の範囲内で手当てをしてございまして、一例を申し上げますと、一時間当たりの単価で申しますと、おおむね四千円から八千円という状況でございます。また、私立大学につきまして見ますと、実態としましては一時間当たり四千円前後という状況と把握してございます。

○林紀子君 先日、私も同席をいたしまして、文部科学省には非常勤講師の組合の皆さんから要請を聞いていただく機会というのを持ちました。ですから、その苦労の一端、状況の一端はそこでもお分かりになったかと思うんですけれども、私はそこで一緒にお話を聞いていて大変驚いたんですね。

 といいますのは、今その一端、工藤局長の方からお話ありましたけれども、多くの非常勤講師というのは一年契約なんですね。ですから、十年、二十年同じ大学に働いていても、地位とか待遇にはほとんどその年限というのは反映されていない。

 給与は月に四、五回、一こま九十分の授業を受け持って二万五千円程度だというわけですね。今、一時間四千円程度ということがありましたが、それとちょっと換算がすぐはできないんですけれども、大学の授業というのは、九十分でそれを一週間一回行って一こまと数える。だから、この二万五千円というのは、一週間の一遍が二万五千円じゃなくて、一月に毎週四、五回大学で授業をしてそれで二万五千円だということなんですね。ですから、これだけでは到底食べていくことはできないわけですから、あちこち大学を掛け持ちして十こま二十こま教えている。カルチャーセンターや予備校、塾でアルバイトをしたりしてようやく生活費を稼いでいる。

 大学では産休や育児休暇はもちろん、有給休暇もない。多くの場合は社会保険にも入れない。退職金もない。しかし、研究しないで大学の教師というのは務まらないわけですから、じゃ必要な文献図書を買うのはどうするか。それも自腹を切って買わざるを得ないというんですね。学会や調査に出掛けるときも自費でそれは出掛けなければいけない。大学に行って、じゃ研究をするのにふさわしい環境かというと、講師控室という大きい部屋がどんとあるけれども、個人個人の研究室などというのは到底ないし、それから大学の紀要にも論文発表の機会というのも持てない。こういう状況なんですね。

 今、私立の場合で二四%から三四%ぐらいの授業を非常勤講師が受け持っているのではないかというお話がありましたけれども、特に首都圏などの私立の大学では半分くらいの授業がこうした非常勤講師の先生によって支えられていると、こういう話なんですね。

 そこで大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、先ほど来、大学の活性化というようなことも随分言われましたけれども、こういう劣悪な状況の先生たちが本当に大きな部分を、授業をしょっているということで、本当に大学の活性化というのはできるんでしょうか。ですから、個々の私立の大学というのは特にその大学がどうするかという判断だというお話ありましたけれども、これは個人個人の問題を超えていると思うんですね。もっと日本全体の大学の在り方の中でこれはどう考えるべきかというのを位置付けないといけないと思うわけです。

 ですから、今、工藤局長から一定の状況というのはお話がありましたけれども、もうちょっときちんと調査をする、本当に待遇なんかはどうなっているのかということも含めてきちんと調査をする、そういうことを是非していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(遠山敦子君) 今お話しのように、非常勤講師の雇用の在り方あるいは待遇などにつきましては各々の設置者の責任に基づいて決定されるべきものであるわけでございます。

 非常勤講師がどういう条件の下に働いているかなどの実態につきましては、文部科学省として一般的に調査を行うことは考えていないわけでございますけれども、国立大学におきます非常勤講師について幾つかの点では調査結果を持っているわけでございますけれども、担当する授業の割合など把握していない事柄について今後必要に応じて調査していきたいと考えています。

○林紀子君 必要に応じて調査をしてくださるということですけれども、今みたいな状況を聞いてくださいましたら、やっぱりそれは今必要なんではないでしょうか。本当にこういう、先生の空洞化と言ってしまっていいのかどうか分かりませんけれども、本当に一生懸命自分たちは大学のそれぞれの先生、助教授、教授なんかにも負けないように学生たちにはきちんと勉強を教えたいんだという、そういう誇りも持ちながら、だけれども、こんなひどい状況でやらざるを得ないんですね。

 まず生活も成り立たないようなこんなところでやっているわけですから、これは必要に応じてというお話でしたら、やっぱり今すぐ必要なんじゃないかというふうに思うわけですから、是非調査をして、そしてこういうようなところを野放しにしておいていいのかどうかというのは、調査の結果、それからだと思うんですね。ですから、まず調査がスタートだと思いますので、是非、国立、公立、私学も含めまして調査をしていただきたいということを再度お願いしたいと思います。

 次に、私は今まで国立大学病院の看護体制の問題というのはこの委員会でも度々取り上げてまいりました。特定機能病院として高度先進医療を提供している大学病院ですけれども、看護の体制というのを見ますと、一か月の夜勤回数八回を超えるところが国立大学病院が四十二大学にあるうち二十四の大学病院で、九回以上のところがまだ三大学残っております。もう随分前にこれ質問をしたんですけれども、そのときに九回、十回あって大変だということを申し上げたんですが、まだ三大学残っているわけですね。

 夜勤の回数については、十年前に文部省の高等教育局長も連名で通知が出されまして、その留意事項として、夜勤について複数の看護婦等による対応を基本として一人当たりの夜勤回数月八回以内を目指す、こういう趣旨だということが既に決められていると思います。

 昨年度は全体で八百九人増やされた、今年度は四百四十六人増やす予定だ、これは一生懸命増やすということで努力がされていてこの数字になったというのはそのとおりだと思うんですけれども、問題はその大半が非常勤の職員なんですね。ここでも非常勤なんです。身分が不安定な非常勤では、同じ仕事をやっているのにどうしてこんなに待遇が違うのかということで、せっかく増員されても職場になかなか定着をしないという問題も生まれている。やはり常勤で看護婦さんをきちんと補充をしていくことが必要じゃないかと思います。

 今、常勤の増員数、昨年度も今年度も四十二大学全体で見ますと一大学に一人増えるかどうかという数だと思います。常勤を増やすこと、どうしても必要だと思いますが、どうでしょうか。

○政府参考人(工藤智規君) 医療現場、特に病院での看護婦さんあるいは医師の大変お忙しい状況、前にも申し上げたかと思いますが、私どもも身につまされる部分があるわけでございます。

 そのため、私どもも、マンパワーの増強といいましょうか、看護職員の増員等に努めているわけでございますが、何しろ国全体として、予算もそうでございますが、定員事情も大変厳しいものがございます。私どもも毎年これ努力させていただいておりますが、例えば平成十四年度で国立大学病院全体の増員数が五十六人でございますけれども、そのうち看護婦さんだけで五十二人、つまり医師とほかの職種に優先して看護婦さんの増員を図っているところでございまして、それだけでは追い付きませんので、その増強のためにやむを得ず非常勤看護職員の増員を図っているところでございます。

 今後、国立大学が法人化いたしますと、この定員制という体制がなくなりますので、それぞれの大学の御判断で、フルタイムがいいか、パートタイムがいいか、それぞれの看護婦さんの御事情もありましょうし、大学病院の経営姿勢もありましょうけれども、更なる改善を図れることを期待しているわけでございます。

○林紀子君 独立行政法人になったら何だかもっと良くなるようなお話ですけれども、私はそれは逆なんじゃないかというふうに思うわけですね。

 今でも病床の稼働率を上げろ、上げろということで、大変な状況になっているわけですね。私は、看護婦さんに聞きましたら、病棟でベッドが空いていたらそれは空けてはいけないと、だから内科の病棟であっても外科の病人もそこに運んできて、そして一杯にすると。そういうことはもうどこでもやられているということなんですね。それでよく事故につながらないなというふうに、私なども何だか空恐ろしくなったわけですけれども。

 今、大学病院というのは、国立大学の中では学生の授業料とそれからこの病院の収入というのが収入の二つの大きな柱になるわけですね。今後も、独立行政法人ということになったら、それはそうだと思うわけですね。そうしますと、もっとこの稼働率も上げて、もっと増収を図れ、図れと、そういうことになっていくんじゃないかと思うわけです。そうしましたら、十分に看護婦さんをきちんと補充をしていく、そうしたらそれはコストになるわけですから増収が図れないという、そういうことによってますます看護婦さんのところにはしわ寄せが行くのではないかと思うわけです。

 私は、大学病院というのは地域の期待も非常に大きいし、それにこたえるためには、今一般病院よりも看護婦さんの数では劣っているわけですけれども、こういうことがないように体制を改善していかなければ、特定機能病院としての高度先進医療を提供する責任果たせないと思いますので、是非、大丈夫だなどと言わないで、今からちゃんと看護婦さんの常勤という形で手当てをしていくべきだということをここでも申し上げたいと思います。

 次に、私は、独立行政法人化の問題、今も看護婦さんの問題で申し上げましたけれども、特に緊急にお伺いしておきたいことがありますので、そのことをお聞きいたします。

 先日発表されました独立行政法人化の調査検討会議の最終報告では、職員の身分が非公務員型、こういう選択がなされましたね。しかし、そもそも独立行政法人化の検討を進める前提として文部省が出した文書、一九九九年九月、「国立大学の独立行政法人化の検討の方向」、こういう文書を今ここに持っておりますけれども、これでは、「長期的観点に立った自主的・自律的な教育研究を可能とし、かつ、教育研究の活性化の観点から法人間の異動を促進するため、国家公務員とする。」というふうに書いてあるわけですけれども、これとこの最終報告の選択とは違っているわけですけれども、どうしてでしょうか。

○政府参考人(工藤智規君) 国立大学の法人化につきましては、検討当初、検討に着手した当初、いろいろな考え方がございました。しかも、先行してございます独立行政法人のスキームとして、身分については公務員型、非公務員型あるわけでございますが、まだ検討を開始した当初は独立行政法人も発足する前でもございましたし、各大学のいろんな不安感なども伝え聞いていたところでございます。

 そういう中で検討を始め、かつ、これが実は、かねがね申し上げてお聞き及びのとおり、国立大学の自主性、自律性を高めて、それぞれの大学が個性と特色を生かしながら、より一層大きな役割を果たしていくためのものという基本の下にいろいろ検討をさせていただいたわけでございます。

 その身分の扱いについては、実は昨年の中間報告の段階では、まだ国家公務員制度そのものについて大きな改革の検討が進んでございましたので、それを見守りながら結論を出しましょうということでございました。

 ただ、残念ながら、昨年末に閣議決定されました公務員制度の改革の方向について、大学の教職員について大きな変更の方向、緩和の方向にはなりませんでございましたので、最終的に更に議論を深めましたところ、要は、この法人の設計が大学にできるだけ大きな自主性、自律性を与えることによって大学の特色ある発展ということでございますので、例えば兼職、兼業の扱いでございますとか、あるいは世界と張り合う研究機関の関係者は国際公募で外国人の研究所長を迎えたい、あるいは管理職に登用したいという御希望もある中で、外国人の任用が公務員型ですと不自由というか法律以前の話としてできないという状況などもございまして、比較検討した結果、やはり非公務員型の方が優れているのではないかという結論に至ったものでございます。

 ただ、非公務員型といいましても、全く民間の身分ということではございませんで、年金とかあるいは医療、公務員宿舎等、言わば公務員と同様の枠組みを兼ね備えた取扱いでございまして、現在いる職員の移行についても、不安を来さないように所要の措置を講じながら、関係の方々の御理解を得て、この新しい法人化がより良いものになるように私どもも進めてまいりたいと思っております。

○林紀子君 今お話いろいろありましたけれども、この「検討の方向」、最初のときには、今、局長がおっしゃった自主的、自律的な教育研究を可能とするために国家公務員とすることが必要なんだという方向を打ち出したわけですね。大学の関係者に不安感を与えるからとおっしゃいましたけれども、じゃ、不安感を与えないために国家公務員型にするよと言っておいて、今になって、はい、非公務員型ですというのは、正に、言葉は悪いんですけれども、ずっと公務員型でやるんだなと信じてどういう形になるのかと見守ってきた大学人に対しましても、まるでこれはだまし討ちじゃないかなと、言葉は悪いんですけれども、そういう感じを持たざるを得ないわけですね。

 そして、今、目の前にいらっしゃるのでちょっと申し上げにくいところもあるんですが、有馬委員、元文部大臣のときに、雑誌のインタビューにお答えになって、文部省も私も頭の中は初めから公務員型と決めているというふうにおっしゃっていたわけですよね、うなずいていらっしゃいますけれども。そういうことでしたし、また工藤局長自身も同じ雑誌インタビュー、これは論座の九月号ですけれども、「公務員型がいいんじゃないかというスタンスです。」とそのときにもおっしゃっていたわけですね。だから、本当に大学の関係者は、独立行政法人というと確かに不安があるし、それがいいのかどうかということもあるわけですけれども、しかし少なくとも身分については、この言葉を信じて公務員型だなというふうにみんな思っていたと思うんです。ところが、こういう状況になっているわけですね。

 私は、この非公務員型を取ることで最大の問題というのは、やはり教育公務員特例法の適用がなくなることだと思うわけです。これも、さきのこの「検討の方向」という文書では、「教育人事について、大学の自主性・自律性を担保するため、原則として教育公務員特例法を前提に、適用すべき範囲を検討する。」ということで、この教育公務員特例法というのはもう前提なんだということにしていたわけですけれども、じゃ、ここの、この規定の精神というのはどうなるんでしょうか。

○政府参考人(工藤智規君) ここで有馬先生にお聞きするわけにいきませんが、前にお聞きしたとき、あるいは私どもの理解としましては、この法人化の検討を始めましたときはまだ未知の部分が結構ございました。そういう中で、有馬先生もその対談の中で、全体を通してごらんいただければお分かりのように、有馬先生の文意は、発言の趣旨は、公務員型だと国からの交付金がちゃんと保障されるという理解に立っているということを披瀝しておられたように記憶してございます。

 それは、さきの予算委員会でも御議論がありましたように、財務当局も、公務員型、非公務員型にかかわらず、この独立行政法人のスキームについては、一定の国からの交付金を差し上げることは変わりないという前提でございまして、その部分の不安感は解消されたわけでございます。

 それで、いろいろな御議論を経た結果、非公務員型、この実は名称が誤解を招くので必ずしもよろしくないのかもしれませんが、そういう選択がむしろベストであろうというのが調査検討会議の委員の方々の大勢でございました。

 その中で、教育公務員特例法でございますが、これは、制定の趣旨は、御承知のように、戦前のいろいろな経緯を踏まえまして、大学の自治、学問の自由を保障するために、国立大学の教職員については、当時は文部大臣の任命権の下でございますが、国の、大臣の人事が専横に至らないように、特に教員の人事につきましてデュープロセスを定めたのがこの教育公務員特例法と理解してございます。

 翻って考えますと、今度の独立行政法人といいますのは、大臣の任命権は監事と法人の長である学長だけでございます。しかも、報告書にございますように、学長につきましても学内での選考を経て大臣が任命するという手続がございまして、あと、その他の教員の人事は大臣ではなくて学長なのでございます。したがって、国、つまり大臣との関係で学問の自由が阻害されるというその人事取扱いの規定はそもそも適用の余地がなくなるというのが基本でございまして、これは公務員型を取った、選択した場合でも、現在のような教育公務員特例法そのままでは適用しにくいのではないかと私どもは理解してございます。

 ただ、実際は、大学の見識と良識の問題でございますけれども、学問の自由が、学長とそれぞれの教員との関係でそれぞれの大学の適切なルールが定められて学問の自由が確保されるものと私どもは信じているところでございます。

○林紀子君 学長の裁量で学問の自由が保たれるというのを信じているという言葉ですけれども、信じているということじゃなくて、やっぱりそういう法律できちんと担保されているわけですから、それをなくす必要はないと思うわけですね。

 工藤局長もさきの雑誌のインタビューの中でこういうふうにおっしゃっていますよね。「独法化すれば、国立大学が世の荒波にさらされることになりますが、教育研究の場はそういうところから、ちょっと離れた場所にある必要がある。だから、行政機関から離れたとしても、社会に変な動きがあったときに警鐘乱打したり啓蒙したりするような役割もあるわけです。そのためには一定の身分保障が必要じゃないか」と、こういうふうにおっしゃったわけですね。

 ですから、まず、本当にこの言葉をそのまま生かして、憲法に保障された学問の自由とか大学の自治を尊重するならば、非公務員型という結論は絶対におかしいと思います。どうですか。これは局長の言葉ですから、有馬さんに代わって言っていただかなくてもいいわけですから。

○国務大臣(遠山敦子君) 当事者でありますよりは、少し客観的にお答えした方がいいかと思います。

 大きな法人化に向けていろんな論議があり、いろんな心配もあり、そういう論議を積み重ねた上で今回の一つの結論に達したわけでございますけれども、独立行政法人ではなくて国立大学法人ということを目指して、何が目的かということは再三繰り返しておりますのでもう申しませんけれども、大学の責務というものをきっちり果たしていく、そのためには国立大学が諸規制を大幅に緩和をされて、そして大学の裁量の拡大という法人化のメリットを最大限に活用しながら、大学と職員の持てる能力を存分に発揮していく、そのことが大事であるという議論が集約しまして、今回の身分の在り方についての結論が出たと思っております。

 この国立大学法人の調査検討会議、五十回余にわたる大変熱心な御議論の末、様々な経緯、様々な歴史、それから諸外国の状況、そういったものを総合的に勘案して今回集約されたのが、身分の問題といたしましては非公務員型ということでございます。しかし、その結論に至るまでに公務員型のメリット、デメリット、非公務員型のメリット、デメリットについて真剣な討議がなされたということでございます。

 私はその経緯をもって、いろんな論議がそれまであったわけでございますけれども、この検討会議の方向性というものはこれからの日本を担う大学の在り方にとって、特に国立大学の在り方にとって大変重要な示唆を含んでいると思っているところでございます。したがいまして、私はこの調査報告の結論を尊重していきたい、そういう考えでございます。

○林紀子君 メリット、デメリット、長い間掛けて検討したということなんですけれども、中間報告の段階ではまだ三つが併記されておりましてどれにするかということになったわけで、この非公務員型というのは、その後、急遽非公務員型ということになったんじゃないかと思うんです。そして、非公務員型を選ぶということは、大学にとって一番大事なその根本を投げ捨ててしまうことなんじゃないかというふうに思うんですね。

 教育公務員特例法が制定されたときの解説書、これは一九四九年、文部省が責任を持って監修した「解説と資料」という中には、どうして教員の免職、降任に関しこのような特例が規定されたかということで、次のように書いているわけですね。従来は、免職が往々判定者たる任命権者の恣意的な判断、あるいは理由なき強要によって行われたことがなかっただろうか、これについては、かつて某大学の一部教授が思想的に不都合ありとの名目の下に大学を追われ、もって学問の自由まで侵害の危機にさらされた、かかる弊を再び繰り返さぬためにも今後は本条の規定に基づき審査判定をしなければいけないんだと、こういう歴史的な正に反省の上にこういう法律ができ上がって、そして公務員の中でも特に教員というのは、大学の教員というのはこういうふうにきちんと守られるということになっているんじゃないかと思うんですね。

 ですから、大学教員の身分が保障されないということは、その教員個々の問題だけじゃないと思います。大学の自治、学問の自由が保障されない、こういうことを意味しているんではないでしょうか。この一点だけを見ても、国立大学の法人化そのものを私たちは大変疑問に思っておりまして、するべきではないと思いますし、非公務員型などはもってのほかだと思うわけです。

 私は理事会の場などでも、同僚議員からも以前からこの場で指摘されておりますけれども、この国立大学法人化問題をこの委員会で集中して審議するということをお願いしておりますので、委員長の方も是非それをお考えいただきたいということを最後にお願いいたしまして、質問を終わります。