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第154回国会 衆議院 文部科学委員会 第6号(2002/04/05)
自由党武山議員:大学の産業競争力に関する質疑
河村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。武山百合子君。

武山委員 自由党の武山百合子でございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 まず第一問目。日本の産業競争力が年々低下してきているというのが現状でございますけれども、産業競争力を回復させるには、日本の技術開発力を強くする必要があると思います。そのためには大学の研究基盤を強くしていかなければならないというところで、文部科学省、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

遠山国務大臣 大学には、教育それから研究、それらを通じての社会貢献、いろいろな役割があると思いますけれども、今委員が御指摘になりましたように、今日の日本の経済状況、それから産業界の状況を見ますと、研究の部分を大学に期待する、そういうニーズが大変高まってまいっております。大学も、本来の教育研究の機能を進めると同時に、それらを社会に生かしていく、そういうことが強く求められており、またそういうことへの貢献を通じて大学の存在意義を高めていく必要があろうかと思っております。

 我が省としましては、国際競争力のある大学づくりを目指しまして、大学改革の取り組みを今進めておりますし、科学技術基本計画を踏まえまして、科学研究費補助金などの競争的資金を拡充したり、あるいは研究施設設備の整備などに努めているところでございます。

武山委員 原因として、今、情報技術産業革命ですね、もうまさに今真っただ中。それから、どこで何をつくっても製品は同じ品質になってきている、コストだけ競争力の源泉になっている、人件費、土地代、電気代、法人税率、世界一高いのは日本ということで、それも原因の一つで競争力がないというところでございます。

 今、情報技術産業革命なんですけれども、技術革新の速度が非常に速く、しかも、途上国も先進国も同時に技術革新が進んでいるというのが現状だと思います。

 大学は知的基盤の源泉と言われており、アメリカでは大変多くのベンチャー企業が生まれているわけです。日本はまだまだ少ないと言えると思います。なぜそのような状況になっているのか、これも大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

遠山国務大臣 日本の情報通信技術は、ソフトウエア技術などについては米国におくれていると言われておりますけれども、その原因は、一つには、研究者の層がまだまだ薄いこと、そして新しい時代に対応した研究体制が整備されていないことなどが指摘されております。

 ただ、ごく最近でございますが、大学の姿勢も大いに変化をいたしておりますし、いろいろな研究者の興味、関心、努力というものも、日本の産業に資するようなことについても力が入れられるようになってまいっておりまして、大きな変化が起こりつつあると思います。

 例えば、IT産業革命の関連でございますけれども、携帯電話を初めといたしました移動体の通信技術など、日本の得意とする分野もあるわけでございまして、欧米に比して優位でありますモバイル、光、デバイス技術を核に研究開発を重点的に進めることが重要であると考えています。後追いよりは、日本の得意の分野をどんどん伸ばしていく、そういう姿勢が大事だと思っているところでございます。

 科研費などの資金によって情報分野の研究を推進してまいっておりますけれども、本年度からは新たに、大学などが持つ知見、ノウハウというものを活用して、産業界からのニーズに基づく、次世代のモバイル端末でありますとか、ハードディスク、メモリーの開発など、産官学の連携のもと取り組んでいくことといたしております。

 今後とも、総合科学技術会議でありますとか、IT戦略本部というのがございますけれども、これらでの議論などを踏まえて、大学等におきます情報分野の研究開発の推進に取り組んでいきたいと考えております。

武山委員 日本の企業は、アメリカの大学の研究室には研究を助成するのに、日本の大学に助成したり共同研究することが少ない、これはもう間違いない事実だと言われております。なぜこうなっていると思いますか。

青山副大臣 民間企業が、日本の大学に余り寄与しなくて、アメリカの大学に多く研究費として助成を出してきておることは今御指摘のとおりでありますが、どちらかというと、日本の大学における研究成果というものが、なかなか今の日本社会で十分活用できておらない、いろいろな理由があります、というような背景があるのではないかと思われます。

武山委員 これは企業に言わせると、日本の大学には魅力がない、研究レベルが低い、あるいは研究費を助成しても使い方で規制があるという、いろいろと意見が出ております。このような企業の意見にどう対応しますか。

青山副大臣 一つは、日本の大学における研究成果というものが、なかなか特許化されておらない部分がありまして、それが社会としてあるいは産業の面で活用されるケースが非常に少なかったという点があるのではないかと思われます。

武山委員 それでは、研究費を助成しても使い方に規制がある、この規制を取っ払うおつもりはありますでしょうか。すなわち、こういう企業の意見に対して、政府としてはどんな対応をするかという質問でございます。

遠山国務大臣 産業界側の誤解もかなりございます。それから大学側も、いろいろな規制緩和をずっと続けてまいったことについての理解がまだ行き渡っていない面がございます。

 こういったことについて、私どもとしても十分説明を行いながら、今、例えば国立大学の教員も兼職、兼業が認められておりますし、あるいは研究費の使い方についても極めて柔軟な制度になってまいっております。そういった規制の緩和、それから人的な面での対応をさらにやりやすくしているようなことが、近年特に、私どもの政策として進めてまいっております。

 産業界の意見も取り入れながら、そういうことに対して十分対応してまいっておりますし、今後とも、そういう姿勢で取り組んでいきたいと考えております。

武山委員 十分対応しているということであればもっと内容が充実して、こういう質問はしないわけでございます。対応の中身を十分対応していただきたいと思います。

 次に移ります。

 企業から大学へ寄附する場合、税制上、優遇措置がないと言われております。これは本当に、企業から大学へ寄附する場合、優遇措置というものを欧米では非常に充実しているのですね。非常におくれているということをぜひ認識していただきたいと思います。

 それから、例えば企業が教育現場や大学に多額の寄附をした場合、法人税を優遇するなどがあって、ここは随分違ってくるのですね。こういうことによって、大学は民間から研究資金を調達しやすくなるということで、このような考えに立って財務省に申し入れるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

遠山国務大臣 確かに、日本の大学が特色ある質の高い教育研究活動を展開していきます上で、寄附金などの外部資金の導入を促進していくことは大変重要な課題であると考えております。このために、我が省といたしましても、幾つかの対応をしてまいっているわけでございます。

 例えば、一つは冠講座などのように、寄附者の名前をきちんと冠した講座をつくれるようにいたしておりますし、それから、各種の経済団体等に対して、税制上の優遇措置を活用した寄附の促進について要請するということもいたしております。

 それから、税制の優遇措置の枠が十分使われているかというと、まだ十分ではございませんで、企業側もその税制の優遇措置を十分に活用して、日本の大学に対する寄附を行ってもらいたいと思っておりまして、大学を中心とし、私どもも、そういうことについても努力をしなくてはいけないかなと思います。

 また、各大学に対しましても、寄附募集を含めまして、全国の大学におきますすぐれた取り組みを事例集として配付いたしますなどによって、大学における寄附募集の積極的な取り組みを促すように努力をしてまいりたいと思います。

 また、産学官連携の観点からも、今の税制上の優遇措置をさらに進めることが必要と思いますけれども、これまで、例えば、私立大学に対する民間企業等からの寄附の損金算入に関する優遇制度が行われておりますし、また、研究開発への投資が増加傾向にある企業に対して適用される税額控除制度に該当する企業が大学と共同研究を行う際に、共同研究にかかわります経費の一部をさらに控除上限額に加算する優遇制度なども行っているところでございます。

 今委員御指摘のように、そういったことも踏まえながら、今後、民間の資金も活用しながら、大学の研究がさらに活性化いたしますように、税制上の改善の問題についても考えていかなくてはならないと思っているところでございます。

武山委員 これらも本当に欧米と同じように、足並みをそろえて、要は、単純でわかりやすい税制優遇措置が必要なのですね。日本は本当に細かくて複雑で、それを理解するのに非常に時間がかかって、もう嫌になったということになりかねないんですね。

 例えば、あるA社が五億大学に寄附をしたら、法人税を払うところから五億を差っ引くとか、単純に諸外国では行われているんですね。それを日本の場合は、複雑に複雑に複雑に考えて行われておりますので、非常にわかりにくい。そして、最終的には寄附をしたくなくなるような現状であるということを、ぜひ単純でわかりやすくしていただきたいと思います。

 それから、アメリカでは大学から多数の特許が出ており、ベンチャー企業が多数出ているわけです。例えば日本の大学からの特許出願数ですけれども、これは特許庁の年報で、日、米、中国の大学の特許出願件数も出ております。

 これは、日本では二〇〇〇年に五百七十七件なんですね。アメリカは、一年古いのですけれども、一九九九年に三千二百九十五件。では、中国がどうかといいますと、びっくりしました。二千九百二十四件も二〇〇〇年に特許出願件数があるわけですね。それで、中国では、清華大学だけでも二百七十七件の特許出願数だというわけです。

 これを見ると、日本の大学はなぜこんなに特許が少ないのかなと思いますけれども、大臣の見解をお聞きしたいと思います。

青山副大臣 アメリカと日本の大学における特許取得の方法が違っておりまして、まず、アメリカでは原則として大学が特許を取得する、組織的に特許を取得するという環境になっておりまして、日本の場合は原則として研究者個人が特許を取得する、そういう形になっておりますから、特許の取得の方法が違うとはいえ、やはり日本は、大学における特許の取得は少ないと私は見ております。

 その背景がありますが、一つは、特許取得が研究業績として評価されにくい環境に日本はあった。例えば論文が中心であったとかということでございます。いま一つは、特許出願の際の資金的、時間的な負担が非常に大きかったというような背景がありまして、日本の場合は特許出願の件数が少なくなっております。

 そこで、文部科学省としましては、平成十年度から、科学研究費補助金を申請する場合に、研究者の研究業績を評価するために申請書に特許の記載欄を設けることといたしました。これが一つ。

 それから、教官個人の特許出願を支援するための二十六の技術移転機関を承認してきておりまして、これが組織的な特許取得の大きな力に今なりつつあると見ております。

 もう一点は、やはり大学の教員自身の特許マインドを涵養していかなければならない、その意味では、知的所有権セミナーを開催するなどして進めております。

 もう一点非常に重要なことがありますが、国立大学の法人化の議論が今非常に確実に進められておるところでございますが、大学の法人化されてまいりました後には、大学の研究成果による特許を原則として大学が保有して管理していく、そういう形で今検討がされているところであります。そのような状況になってきますと、大学がみずから特許の取得とそれから活用に積極的に取り組むことになるものと考えております。

 したがって、文部科学省といたしましては、これらの施策を通じて大学の研究成果を特許化していく、社会はその研究成果を活用していく、そういう環境をつくり上げていきたいと考えております。

武山委員 アメリカや中国では、大学の研究者は論文よりも特許を重視しているというのが現状なんですね。教官の昇進の評価でも、アメリカでは論文よりも特許数が評価の対象になっていると聞いております。

 それでは、日本では特許をどのように評価していますでしょうか。

遠山国務大臣 これまで、確かに大学におきましては、論文による評価が重視されてきたと言われております。そして、産学官連携の取り組みでありますとか、特許取得が研究業績として評価されにくい実態があったわけでございますが、ここ数年来、大学の社会貢献の一環といたしまして、産学官連携の重要性が大学としても認識が深まり、また特許についての意識も大学人の間で変化してきていると認識いたしております。

 文部科学省といたしましては、今副大臣からも紹介がありましたけれども、平成十年度から、科学研究費補助金の審査に際しましては特許等についても配慮するという方向転換をいたしておりまして、これは私は研究者のマインドを大きく変えつつあると思っております。

 それから、昨年十一月に内閣総理大臣の決定があった国の研究開発評価に関する大綱的指針におきましては、研究者等の業績の評価につきまして、研究開発に加えて社会への貢献等の関連する活動に着目して評価するよう、そういう旨の提言が示されております。これを受けまして、現在、文部科学省といたしまして評価方針を策定する作業を進めているところでございます。

 そのようないろいろな条件整備を整えながら、特許というものも業績の重要な要素として考えようといたしております。

武山委員 大学で生み出された特許、発明ですね、民間企業に移転するためにTLO、テクノロジー・ライセンシング・オーガナイゼーションというのがあるんですけれども、このTLO活性化のために文部科学省はどのように取り組んでおりますでしょうか。

遠山国務大臣 平成十年に大学教員の研究成果を権利化いたし活用するTLOが制度化されまして、それから現在まで二十六のTLOを承認しているわけでございます。

 TLOの設立、運営を支援いたしますためにいろいろな施策を実施しているわけでございますが、一つは、国立大学教官がTLOの役員を兼ねることができるように、その兼業の承認を平成十二年四月から実施いたしておりますし、また二つ目には、TLO事務所を開設するに当たり国立大学施設を無償で使用できるように、そういう許可の制度を平成十二年四月から実施いたしております。

 このことによってTLOの場所の問題あるいはその人的な問題の解決に資しているわけでございますが、平成十三年からは、TLOによります特許の一元管理を図りますために、一つは、国有の特許についてもTLOへの譲渡を可能とすること、二つには、大学とTLOの連携強化によって個人所有の特許がTLOに集まりやすくしていく。これまで、大学教員の研究への意欲を増すために、特許は個人有としていくという政策を長年とってまいったわけでございますが、その個人所有のものをTLOに集めて、さらに強力にそれを生かしていくというふうな方向に今転換をしつつあるわけでございます。

 これらの取り組みによって、TLOにおきます累積特許出願が急激に伸びているところでして、実施許諾数につきましても、例えば平成十三年の三月に百二十五件だったものが半年後には二百二十三件と、二倍に急増しているような今実態でございまして、まさにこのことについて大きく動きが出ているという実態でございます。

武山委員 現在、国立大学の独立行政法人化が二年後に迫って、大学の研究技術をいかに産業界へ円滑に移転するかということが問題となっておるわけです。これについては、文部科学省、経済産業省で九八年のいわゆる、今のお話ですね、大学等技術移転促進法によって各大学にTLOが設置承認され、活動を行っていると。

 ところが一方で、特殊法人である科学技術振興事業団、略称JST、ですからTLOとJSTと二つここであるわけですけれども、特許化支援事業によってTLOと全く同様の事業を行っておる。

 小泉政権の特殊法人改革では、民間で同様の事業を行っている事業については廃止するとの前提で議論されてきておりますけれども、これは民間のTLOと全く同様の事業スキームで、廃止すべき事業ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

加納大臣政務官 JSTとTLO、委員御指摘のように一見似ている仕事をしているのではないかということはそのとおりでございますが、子細に見てみますと、実はかなりその役割は別なものを担当しているというのが実態でございます。

 TLOの方は、大学等の研究成果のうち、比較的短期で実用化可能なものを対象として、これらを権利として確定する、特許化をする、そしてまた企業の方に移転していくというのは、委員おっしゃったとおりであります。

 JSTの方でございますけれども、これはその対象とする研究成果というものはTLOと若干違っておりまして、大学等の研究成果のうち、実用化までに中長期のかなり時間のかかるもの、それから多額の開発費がかかるものというものを主な対象にしているということ。

 それから、TLOがある大学だといいんですけれども、ない大学もございます。TLOのない大学の研究成果、これはもうJSTしかできないと思っております。それからまた、JSTみずからの基礎的研究成果を対象として特許化したり企業への技術移転をやっていく、これもJSTの役割かと思っております。加えまして、実用化を目指した研究開発というのがございます。

 結論を申し上げますと、JSTの事業はTLOの業務と重複せず、むしろ補完関係にあるということから、私どもとしましては、今後とも、JST、TLOの連携を図り、研究開発の実用化に向けて効果的な推進を図ってまいりたいと考えております。

武山委員 JSTの方は、年間、こちらで調べた数字ですと、二十億円の特許化費用を使って、その技術移転による収入は二億円程度しかない。二十億円の特許化費用を使って、その技術移転による収入は二億円程度しかない。民間企業への技術移転実績も数件程度しかないと聞いております。

 また、この科学技術振興事業団全体の収支が赤字であることから、その収益は全く国民に還元されていない。産学連携を特殊法人を通じて中央集権的に行う方法と、各大学が独自のTLOを通じて行う地方分散的な二つの方法が同時に存在するということも、これは国家として矛盾しているんじゃないか。

 国立大学の独立行政法人化を促進するためにも、この科学技術振興事業団の特許化支援事業は即刻廃止して、各大学が自身のTLOによって産学連携を行う仕組みに整備すべきではないかと思っておりますけれども、きちっと整理するという意味ですね、同時に存在することが矛盾である。それから、その収益は赤字で、全く国民に還元されていないということで、整理すべきであると私は思っておりますけれども、いかがでしょうか。

加納大臣政務官 二点御指摘がありまして、一つは矛盾がある、二つ目は赤字であるということかと思います。

 まず、矛盾ということにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、TLOとそれからJSTとは重なり合うように見えるところはもちろんございますけれども、その主たる役割は違うということ。繰り返しませんけれども、そういうことで矛盾はないと。つまり、JSTならではという分野があるということも申し上げておきたいと思っております。

 JSTは、公的な機関として、みずから基礎的な研究開発を行う、それから、研究開発や大学独自の研究成果の企業への技術移転などを主目的としているものでありまして、技術移転事業について、二点目の赤字ということになりますけれども、これはどうなのか。私どもはそれなりの成果は上がっていると考えているわけでございます。

 例えば、委託開発事業費というのは、これは大学の研究成果を製品化するように企業に開発を委託する仕組みでございます。これまで、ちょっとざっくり申し上げますと、約千三百億円程度投資されております。そのうち成功回収したものが八百九十億円ございます。そのほかに、特許化して、特許を取ってそれを利用してもらいますと、売り上げの三%が実は御案内のとおり入ってまいりますから、これが百四億円ございます。これは大ざっぱに計算しますと、約一千億円は入ってきているということでございます。

 基礎的な研究をやる事業団でございますから、基礎的な研究というのは収入が見込めないというのはもちろんありますけれども、これ一つを見ても、そうアンバランスがひどいというものではない。特に、今申し上げました特許実施収入が百四億円あるということは、これは三%でこれだけの金額でありますから、割り戻しますと、売り上げは、約三千五百億円の売り上げを新しく生んだというふうに考えますと、これはそれなりのやはり成果があったのではないかなと思っているわけでございます。

 そういうことで、大学等の特許の企業への技術移転というのは九百七十三社あるわけでもございますし、最近やりました技術開発事業、プリベンチャーというものでは、十の課題のうち八つが既にベンチャーとして業を起こしておりますので、こういった企業のことを見ましても、JSTは役割を果たしているというふうに考えております。

武山委員 国立大学の独立行政法人化を促進するためにも、このJSTの特許化支援事業ですけれども、各大学がそれぞれの自身のTLOによって産学連携を行う仕組みができつつあって、こちらの方を整備すべきではないかと思うんですね。今お話ししましたように、独立行政法人化を促進するためにも整備する方向ではないかと思いますけれども、そこはいかがでしょうか、加納政務官。

加納大臣政務官 独立行政法人を志向するという観点は私どもとしてはしっかり持っているつもりでございます。そのこととJSTが今やっていることをどうするかということはつながってはおりますけれども、議論としては二つそれぞれあるのではないかと思っております。将来の志向として、独立行政法人化ということはもちろん志向してまいります。

 それから、産学連携につきましてでございますが、各大学の方にも共同研究センターというものもできております。私も各地へ実はお邪魔しておりますが、先般もそういった集会にも出てまいりました。あらゆる面で地域の企業、自治体それから大学、これがそれぞれの強みを生かしながら、役割は若干異なりますが、強みを生かしながら産学官の連携を図って新しい日本の技術開発を図っていく。そういったときに、このJSTの果たしている役割というのはしっかりと認識していきたいというふうに考えております。

武山委員 JSTとTLOの事業が競合しているわけですね。この中身が競合していること、これ自体は、やはり両方が競合していることは、今おっしゃった別々な仕事をしているという点では違いがあると思うんですね。ですから、競合している点は、やはり独法化に関係なく現在も起こっていることですので、これは早急に整備すべきであると思います。これは言っておきたいと思います。

 それから、現在JSTが特許取得を行っているベストテンと言われている京都大学を筆頭に、東大、東工大のTLOを有している大学が大半であるんですね。そして、京大は独自の単体のTLOは持っていないけれども、関西大学がTLOをカバーしているわけですね。そういう意味では、TLOがない大学をカバーしているのではなく、TLOがある大学との競合が多いわけですね。それでまた北海道TLOは、北大だけでなく北海道全体をカバーしている。それから東北大学のTLOも、東北の他の大学をカバーしている。それで、TLOのみで国内の大学をカバーできる状態であるので、カバーできない大学がある場合は、JSTではなくTLOをつくるか、または既存のTLOがカバーする形で推し進めればいいんじゃないかという意見もあちらこちらで聞くんです。ですから、これ一つに整理した方がいいという意見を私は伝えておきたいと思います。

 それから、今現在文部科学省の承認を受けているTLOは、たしか先ほど二十七とおっしゃったと思いますけれども、それ以外にも実質的にTLOをつくっている大学、芝浦工大や電通大など、数十の大学が設立済み、あるいは準備中であるということで、一方で大学にTLOをつくることを勧めておきながら、一方でそれと競合する組織を特殊法人として持っているという矛盾はいかがなものでしょうか。

加納大臣政務官 先ほど来申し上げておりますように、TLOの役割とJSTの役割というものは確かに重なり合っているところはございます。例えば、JSTが持っております特許を企業化するに当たってTLOを活用していくとか、さまざまな工夫はございますから、今のままでが絶対いいんだとは決して申し上げておりません。これからさらに改善しなきゃいけないところがあるのは十分わかっております。

 それから、あくまでもTLOのない大学というところでJSTの果たしている役割、これは不可欠だと思っております。それからまた、大学の教官の立場は、私も現実にTLOにもお邪魔していろいろ意見交換してまいりましたけれども、大学の教官が個人としていろいろなことを発明した、これを何とか世の中の役に立たせたいと思ってもなかなか大変だというので、TLOをフルに活用していくというのはあるのでございますが、TLOが現実にないところでも非常にそういう問題がありますので、JSTというのは役割は重要だろうと思っています。

 TLOのあるところでのJSTということでございますけれども、これは繰り返しませんけれども、JSTとTLOの基本的な役割は違うところがございますので、これは両立はあり得るというふうに考えております。

武山委員 アメリカでも、TLOが設立されて成果を生み出すまでには約十年かかっているんですね。ですから、現在、日本のTLOの技術移転実績件数はJSTのそれをはるかにしのぐ数であり、JSTの特許化支援事業の存在意義はもうなくなっているのではないか。また、年間数件程度の実績しかないJSTこそが十分なパフォーマンスが上がっていない特殊法人であるということをここで明言しておきたいと思います。

 そして、この特許化支援事業をなくすことが急務である。特殊法人というのは、もう今までの役割を終えているわけですよね。それで、新しい今ここにTLOが生まれて、そして競合する部分が、重なっている部分が非常に多いということで、これはもう今までの発想の転換を、やはりまさに今この科学技術特許支援事業、これが最も急務であるというときにきちっと切り口が示せないというのは、やはり問題があると思います。

 それから、次に移ります。

 まず、米国経済が再生した最大の起爆剤は、バイ・ドール法案であったと聞いておるわけです。日本においても日本版バイ・ドール法が施行されておりますけれども、現在、バイ・ドールが適用されているのは経済産業省だけなんですね。

 また、このJSTの研究費を大学教授が受けた場合、その権利は、JSTに専用実施権、この特許を唯一実施できる権利、これがJSTに設定されて、この特許についてJSTのみしか扱えない、こういう問題があるんですね。そのほとんどの特許は産業界へ技術移転がなされることなく、もうそこにお蔵入りして死んでしまっているんですね。

 そこで、無条件にその権利の返還を教授が求めても、無条件に返還されることはまずないわけですね。仮に国立大学が法人化されても、すべての研究資金にそのような専用実施権が設定されたら、大学も、発明者である教授も、それからTLOも、その権利については全く自由にできないという状態なわけですね。

 ですから、すべての、国及びそれに準ずる特殊法人、財団法人等からの研究資金は、バイ・ドールを適用し、大学の自由に任せるべきではないかということについての見解を聞きたいと思います。

加納大臣政務官 バイ・ドール法の適用でございますが、適用はないというふうに今ちょっと委員は御指摘なさったんじゃないかと思います。経済産業省ではもちろんやっておりますが、我が省におきましても、科学技術振興調整費でバイ・ドール法適用をやっております。

武山委員 私の方で調べた日本版バイ・ドールが施行されているのは、現在、経済産業省だけであるというふうに聞いているんですね。この日本版バイ・ドールが施行されているのは経済産業省だけであると、こちらは専門家が調べた資料でございます。

加納大臣政務官 現在のところ、保有をしているというふうに聞いておりますけれども、実施にはまだ至っていないというふうに事務局では言っているようでございます。

武山委員 ですから、私が今説明しましたように、自分が発明したにもかかわらず、特許を、JSTの専用実施権といいましても、JSTだけしかこれは扱えないわけですね。ですから、産業界へ技術移転がされることなく、そこで死んでしまっている。だから、それでは産業界も技術移転されなくて、また産業も興せない、ニュービジネス、ベンチャーも起こせない。だから、そこで無条件にその権利の返還をやはりみんな求めているわけですよね。ところが返還されない。ですから、ここを大学の自由に任せるべきではないかという私の質問です。

加納大臣政務官 先ほど、数字がちょっとないまま申し上げて、大変失礼しました。実施許諾をやっているのがあります。二十三件でございます。それは、許諾はしているけれどもまだ実施されていないというのは、委員が御指摘のとおりでございます。

武山委員 最後になりますけれども、ですから、日本版バイ・ドールは、既に施行されていても直ちに適用できるものではないということですよね。ですから、これを適用しないのは、単に特殊法人であるJSTなどへの天下りを確保するものであって、大学の独立した運営を阻害しているんじゃないかと思うわけです、自由にできないものですから。

 ですから、米国経済はこれによって再生した事実があるものですから、日本も早急に措置すべき内容ではないかということを言い置いて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。