国立大学独立行政法人化問題の諸問題議事録全文
第154回国会 文部科学委員会  第17号 平成14年8月7日(水曜日)

平成十四年八月七日(水曜日)
河村委員長 石井郁子君の質疑に入るのでありますが、この際、石井君の質疑に入る前に、政府より発言を求められておりますので、これを許します。工藤高等教育局長。

工藤政府参考人 貴重なお時間をおかりして恐縮でございます。

 去る七月三日の本委員会におきまして、石井委員より国立七大学の事務局長の会議に関する資料の御提示と御質問をいただきました。その時点で必ずしも詳細な事実関係を把握できておりませんで、十分な御説明ができませんでしたことをおわび申し上げますとともに、その後、事実関係を確認いたしましたので、この場をおかりして改めて御説明させていただきます。

 まず、御提示のあった資料でございますけれども、一枚目は、本省の人事課が国立七大学の事務局長に人事課主催の会議への出席を依頼した文書でございます。事務連絡の文書でございますので、通例どおり、人事課内の上司に口頭了解を得て、送付しております。

 それから、二枚目の文書は、一枚目の会議が開催される以前に国立七大学の事務局長が都内で自主的に開催した会議の出席者の名簿でございます。

 一枚目と二枚目は別の会議の資料でございまして、二枚目の出席者名簿の中に本省関係者も含まれておりますが、大学側からの要請を受けて、会計課の担当者が出席しております。

 以上が資料についての事実関係でございますが、本省人事課が主催しました会議の性格につきましては、ただいま御説明したとおり、国立七大学の事務局長が法人化に関する会議を自主的に開いて意見交換等を行っていることを踏まえまして、その状況や意見を把握し、本省での検討の参考とするために開催したものでございます。その会議で、本省が国立七大学の事務局長に対して法人化後の大学の管理運営のモデルづくりを指示したというような事実はございません。

 なお、本年七月十九日の国立大学協会の総会で、最終報告の制度設計に沿って法人化の準備に入ることが確認されておりまして、これを踏まえて、国立大学協会及び各大学において自主的に法人化の準備が進められております。

 また、文部科学省としましても、去る六月二十五日の経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二において、国立大学の法人化と教員・事務職員等の非公務員化を平成十六年度を目途に開始することが閣議決定されたことを受けまして、必要な準備を進めているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも各大学の自主性、自律性を高めるという法人化の趣旨を十分踏まえつつ、新制度に円滑に移行することができるよう、国大協や各大学と十分に意思疎通を図り、連携協力して準備を進める必要があると考えております。そのため、その過程において、今後、関係者間の意見交換、情報交換等のための会議を開催したり、相互に必要な作業の依頼等を行ったりすることはあり得るものと考えております。

 以上でございます。

河村委員長 石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 冒頭、先般の私の質問に関して、理事会協議に基づきまして、工藤局長から答弁いただきました。しかし、私は到底納得できませんので、本来これでもっと質問しなきゃいけない、それはまた別途の機会に譲りたいと思いますが、今の話の限りでちょっと、二、三だけ確認をさせていただきたいと思っています。

 今、資料の説明いただきましたけれども、私は、前回この二枚をお示ししたんですけれども、重要なことは、この国立七大学の事務局長の会議の出席者名簿、文部科学省からもいますよ、七大学もいますよ、そのことが一つの意味だったんですよ。だから、文科省と七大学の事務局長とがいわば一緒に会議をしているということなんです。そもそもこの会議の招集はどこなのかということを私はお尋ねしたんです。

 それから、きょうはその内容、四月十一日ですが、その打ち合わせの結果というか打ち合わせ会議後の文書というものを実は私は持っておりまして、これを見ますと、単なる検討状況を文科省がお聞きをするというか、そういうことにとどまっていないんですよ。まさに意見交換をしている。その意見交換の中には、大学側のこういう質問もある、文科省はこう答える、ちゃんとやりとりがあるんですよ、実は。

 これは多分文科省がつくっているものでございますけれども、今局長は決してモデルづくりなどは指示していないと言われましたが、これはもうちゃんと書いています。就業規則などのモデルを作成し、各大学に提示する方向で、その提示内容を含め検討している、これは文と書いているんです。大学側は大と書いている。文部省側は文と書いている。ちゃんとあるんですよ。だから、私はこういうことに基づいて、あなた方が言っていることと実際やっていることが違うじゃないかというのが私の質問の趣旨だったわけですね。

 そういうことで、きょうは時間がありませんので、その内容は後でもっと詳しくしたいと思いますが、はっきりしておきたいのは、平成十六年が目途ですと。それは政府として、閣議決定としてはそういう目途を決めているかもしれませんが、これは国会はまだ承認していない話ですよ。国立大学を法人化する、これは大臣がたびたびおっしゃっているように、日本の大学の一大変革だ、まさに大事業だ、大転換だという話でしょう。国会で法律も決まっていない、その本体も、そして政省令も決まっていない、大学がどのぐらいの裁量を持って何をするのかもわからない、こういう段階でどんどん事を進めていいのかというのが私の一番尋ねていることでございます。

 あえて申し上げますけれども、法治国家で、行政権の活動といえども、国会の制定する法律に服すること、要求されているのではありませんか。法律ができていない、制定もされていないのに、文科省が既定事実のように事をどんどん進める、しかも大学に押しつける。あなた方は大学は自主的にやっていますと言いますが、決してそんなことはありません。それは、文科省の話をよく聞きながらというか、もう聞かざるを得ない状況の中で進めているわけでしょう。そういうことを、これは大学が自主的にやっていますというようなことで強弁をするのは本当にやめていただきたい。国立大学法人化に関する打ち合わせの開催というのは文科省が招集した、これはもうはっきりしていることですよ、文科省がやった、そのことを私は言っているわけであります。

 ですから、こういう国会を無視する、まさに行政サイドの暴走としか言いようのないようなやり方というのは絶対認められない。私は、行政の監視というのは立法府の重要な責務でありますから、立法府のまさにそうした有意性もやはり否定するようなやり方で事柄が進められるということについては、断じて黙認するわけにいかないということでありまして、この点では、ぜひ大臣の御答弁もいただきたいと思います。

工藤政府参考人 私の発言をもとにして、大分御心配、混乱させまして、まことに申しわけないんですが、私どもも不本意に思われるようなことが多々ございます。それは、旧文部省に入省いたしまして、大学の方々、それから教育委員会の方々、いろいろ御相談に見えたり、お話しに見えたりしてございますが、私どももいろいろ申し上げている中で、先方の方から、こういう案でいきたいけれども、どう思うかねという話に対して、いや、こういうことも考えられたらどうですか、ああいうこともどうですかといろいろなアドバイスなどを差し上げるわけでございますけれども、それが現場に伝わると、いや、文部省はこれでいけと言っている、あるいはこういう指示をしたとか、こちらの趣旨と違う伝達で、時々不本意に思うことがあるわけでございます。

 ただ、今回の法人化というのは、国立大学をより活性化するために、その自律性を高めて、より教育、研究等に磨きをかけていただくための大きな制度改革だと思ってございまして、これは私どもがいかに気張っても、私どもだけでできるわけではございません。各大学の実情も十分ヒアリングしながら、各大学自身が準備していただかなきゃいけないこと、あるいは大学全体として国大協等で検討されるべきこと、あるいは私どもも一緒に交えさせていただきながらやること、いろいろございます。

 そういう過程で、ぜひ法案の御審議までに、いろいろな、先生からどんな鋭い御質問をいただいても、こんなふうにして大学をよくしていきたいということが答弁できますように、しっかりした制度設計に努めてまいりたいと思いますし、そのプロセスの中で、先生にこれ以上御心配をおかけすることのないよう、私ども、言葉遣いや応対等も含めて、注意しながら進めてまいりたいと思います。

石井(郁)委員 ちょっと一点、具体的に伺っておきたいことがございまして、それは、各大学で法人化に向けたグランドデザインの策定、中期目標、中期計画の検討に追われているんですね。ある大学では、グランドデザイン策定に当たって、平成十五年度から二十一年度にわたって毎年十名前後の定員削減を予定している。それを聞きましたら、法人化されたら運営交付金が毎年一〇%ずつ削減されるという文科省の指導があったから、それを見込んで人員削減数を計上したまでだというふうに述べているようです。

 だから、こういう形で、既定事実のように、やはり押しつけているということが出ているわけですよ。この問題で、法人化後も予算を削減する、あるいは人員を削減するのかという問題で私はきちっと答弁をいただきたいと思っています。

 というのは、法人化問題というのは、国立大学法人化になれば、いわゆる国家公務員の定数削減の対象から外れるということがこれまでの説明だったというふうに思うんですね。ところが、事態は全然それとは別個の方向で進んでいるわけであります。

 この運営交付金を削減する、あるいは人員を削減するというのは文科省の方針ですか。

工藤政府参考人 おっしゃいますように、法人化いたしますと、いわゆる定員法の範囲外になりますので、定員削減計画の対象外となるのは当然の前提でございます。

 ただ、実際に運営費交付金がどういう形で確保されるか、これからさらに財政当局とも詰めながらシミュレーションしていかなきゃいけないわけでございまして、それを毎年十人ずつ減らすとかそういうことが決まっているわけでも何でもございませんので、いろいろな、どこかでシミュレーションしている中でそういうことの検討がされているのかなと今私どももちょっと唖然としたところでございますが、いずれにしても、国立大学の充実のために引き続き、あるいはこれまで以上に財政の充実が図れますように、私ども制度設計に万全を期してまいりたいと思っております。

石井(郁)委員 何度も申し上げていますけれども、要するに法人化の法律はまだ形が見えていません。そうでしょう。それなのに、法人化後はこういうことになりますということで、それを事実上させているということが大問題なんですよ。これはもう何といったらいいんでしょうか、法律違反、これは法律がないのに法律違反というのかどうかはありますけれども、そういうことが行われていいのかということを私は繰り返して申し上げているわけです。

 この先ほどの打ち合わせの会議のメモによりますと、「法人化後も全国的人事交流は存続したいと考えている。」というようなことで、法人化後の話をもうどんどん進めている。だから、こういうことについては本来、文科省は待ったをかけなきゃいけないじゃないですか。あなた方がいろいろ考えるのは、まあ百歩譲って、あるかもしれません。しかし、大学にそれを押しつけることはできないということだけは私は厳しく申し上げておきたいと思います。

 だから、そのことは工藤局長自身もよく御存じで、さきの委員会では、私どもが指示したり、いろいろ申し上げているわけでは全くございません、全然そんなことはありませんと声を大きくされておっしゃったわけでしょう。ところが、国会の答弁と実際に大学とやっていることは違う、そのことを私は質問しているわけであります。今後きちんとしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

(以下略)