国立大学独立行政法人化の諸問題国会情報

第155回国会 参議院文教科学委員会 第5号平成14年11月21日(木曜日)

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0107/155/15511210061005c.html
(http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b21-san-bunkyoukagaku.html)


○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。十分という大変短い時間
でございますので、私は、認証評価機関について絞って質問をさせていただき
ます。

 そこで、まず伺いたいのですが、一九九八年にユネスコの「二十一世紀に向
けての高等教育世界宣言―展望と行動」が採択されました。今回の法案提出や、
あるいは今年八月五日に出された中教審答申、その審議に当たってこのユネス
コの世界宣言がどのように議論され生かされてきたのか伺います。

○国務大臣(遠山敦子君) 御指摘の世界宣言は二十一世紀におきます高等教
育の在り方について述べたものでございまして、一九九八年の採択のときには
日本からも代表団を送りまして賛意を表しているわけでございます。

 その宣言の中では、高等教育の質の評価についても言及がされておりまして、
また必要に応じては申し上げたいと思いますが、今回導入いたします認証評価
制度は、それらがその宣言の中に織り込まれております内容とほぼ私は軌を一
にしていると思っております。

 それは、複数の評価機関が大学の教育研究活動等の状況について、その特性
に十分配慮しながら多様な観点から評価を行う仕組みということでございまし
て、ちょうど世界宣言の中でうたい込まれております評価機関の在り方の方向
性と同じ、方向性を一にした内容というふうに考えているところでございます。

○畑野君枝君 それでは伺いますけれども、大臣が引用されました質的な評価
の問題でございますが、そこでは、ユネスコの宣言では独立した全国レベルの
機関が確立されなければならない、大学の自己評価とともに、外部評価という
のであればそれは独立した、というふうに言われております。この独立した、
インディペンデント、この問題をどのように認識されているか伺います。

○政府参考人(工藤智規君) 今、大臣からお話し申し上げましたように、こ
のユネスコの世界宣言は、そのものは法的拘束力はないんでございますが、大
学関係者にも十分知られてございまして、今お示しされたところは、英語では
インディペンデント・ナショナル・ボディーズとなっておりますので、どう訳
すかはあるんですが、要は一定の自律性を持った全国的な機関という意味で受
け取るのが穏当なんではないかと思いますが、そういう意味では、私どものこ
の第三者評価機関の仕組みも、第三者評価を国が行うのでは決してございませ
んで、国から別の立場にある機関がそれぞれ自律的に行っていただくという制
度設計になってございまして、ここで指摘されている趣旨に方向としては一に
しているものじゃないかと理解しております。

○畑野君枝君 そこは全く認識は私は違います。

 それで、今、午前中の参考人の方やあるいは国立大学協会などが一番懸念を
されているのは、文部科学大臣によって認証を第三者機関が受ける、これで規
制が強まるのではないか、こういうことなわけですね。私立大学を始め、参考
人の方からの御心配もございました。

 それで、なぜ認証でない第三者機関じゃいけないのかということはもう議論
する暇がありませんので、この委員会でも若干議論になったところですけれど
も、結局、全部文部科学大臣の関与、めがねにかなったものになっていくとい
う中身になっている。大学評価の基準をどうするか各認証評価機関が決める際
も、その基準というのは、法案では文部科学大臣が必要な細目を決めるという
ふうになっている。それは審議会でやるんだと、いろいろおっしゃいましたけ
れども、結局あらゆる問題に介入してくるんじゃないか、どんなものになるか
も分からない、そこに一番の懸念があるわけです。

 真に独立したと、インディペンデンスというのならば、大学から独立されて
いるだけでなくて政府からも独立したものにならなくてはならないというふう
に思うわけです。ですから、これは本当に真の独立になっているのかといえば、
私は大いに問題がある、これは認証評価機関だというふうに言わなくてはなら
ないというふうに思います。

 評価というのは双方向ですから、言われた大学、同時に評価した第三者機関
に対しても大学が物を言う、そういう中で、やはり評価の在り方そのものの認
識も前進していく、真理に接近する、そういう評価に私はなっていくというふ
うに思うんですけれども、その点については、午前中の参考人の方から、国と
はインディペンデントな評価機関を作っていただきたい、鳥居参考人からもこ
のようなお話がありました。そして市川参考人からは、評価をして予算配分を
するとなると権力性を持つことになる、こういう意見も出されたわけです。

 ですから、私、十分ということでは、とても参考人から出された貴重な意見
というのを、本当にこれでいいのかということを十分できないまま、残りあと
三分ですよ。この点についてどういうふうにお考えになりますか。本当に真に
独立したものにするにはどうしたらいいのか、これが問われているんじゃない
ですか。

○政府参考人(工藤智規君) 私どもの仕事のしぶりでどうも大分不本意な受
け止め方をしていらっしゃると思うんですが、私ども、大学の設置認可もそう
でございますし、このたびの新しい第三者評価の仕組みも、決してその内容、
仕組みについて国が関与しようとするものではないのでございます。

 大学の評価は、今でも既に何人といえども可能でございます。今度、大学の
質の向上のために大学自身が気付かない点を外の方に指摘していただいて、そ
れを大学のいい改善のサイクルに乗せていくために、諸外国でも行っておりま
すし、ユネスコでも議論されたこういう方向に沿って、先ほど委員くしくもおっ
しゃいましたけれども、大学からも物を言い、評価者自身が評価される中で、
双方向での評価の積み上げをしてより良いものにしていこうというものでござ
います。

 認証というのは一定の水準、先ほどごらんいただいておりますような、この
改正法の規定にありますような一定の水準に合致するしっかりした団体ですよ
というのを社会的に確認するだけの行為でございまして、それ以上にその内容
に口を差し挟むものではないのでございます。大学もどの評価機関の評価を受
けるかは自由でございますし、それからどういう方々が評価機関に名のりを上
げるかも自由なのでございます。

○畑野君枝君 今、局長がおっしゃったように、一定の水準があって社会的に
確認されるということであれば、それは本当に社会的な中でよくないというか
第三者機関というのは廃れていく、そういう本当に自律的、自主的な評価の制
度を作るということが今私は大事だと思うんです。それを何で国があえて認証
するのか。

 国は予算の配分権を持っているんです。そういう点では、資源配分機関、国
がかかわる、その資源配分機関がこれを、結果を受けて予算を減らす、参考に
することが十分あると答弁されているじゃないですか。だれも、局長がそうい
うふうに言ったって信用しませんよ。

 それから、国がかかわってきた大学評価・学位授与機構、本当に関係者から
はいろんな批判がある。自らやっているところ自身が十分な評価を大学にも納
得し得るようなものができていない、それで本当に公正な独立したものができ
る、そんなことが、信じてください、後は、細目は文部科学大臣にお任せくだ
さいといって、どうして国会で通すことができるんですか。

 私は、そういう点からも、こういうことはやめるべきだというふうに申し上
げたいと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(遠山敦子君) 時間がありませんので一言で申し上げますけれど
も、是非諸外国の制度もごらんいただきたいと思います。ここのユネスコで採
択された意見に賛同した国々、例えばアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、
それらもほとんどこれは、アメリカでは連邦政府の認証制度を導入しておりま
すし、イギリスも国が関与をしております。それから、フランスでは全国大学
評価委員会が日本の行政委員会に該当するような形で置かれております。

 そういうことで、これは大学の質を良くするために認証機関もしっかりした
ものでなくてはならない、そのために認証制度を用いるということでございま
して、御理解をいただきたい。

○畑野君枝君 もう時間が来ましたので終わりますけれども、そういう点では、
各大学にいろいろな状況あるでしょう。これはもっと議論したらいいじゃない
ですか、大臣がそうおっしゃるなら。本当にそれぞれの大学、国がどうなって
いるのか。

○委員長(大野つや子君) お時間ですので。

○畑野君枝君 終わります。

○山本正和君 もう先ほど法科大学院のことでいろいろと考え方申し上げまし
たので、ひとつ今後大学改革の中でそういうものも十分に加えて、そして今か
ら法律が通ったらいよいよ政省令、規則等になるわけですから、その辺の段階
で十分に考慮していただきますよう希望いたしまして、終わります。

○委員長(大野つや子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局した
ものと認めます。

 これより討論に入ります。

 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○畑野君枝君 私は、日本共産党を代表して、学校教育法の一部を改正する法
律案に反対の討論を行います。

 本法案は、大学の学部等にかかわる認可事項の見直し、法令違反状態の大学
に対する是正措置の整備、法科大学院を含む専門職大学院の創設、認証評価制
度の創設という四つの重要な内容を持っております。

 本日、参考人質疑と法科大学院の創設についての法務委員会との連合審査は
行われましたが、肝心の本委員会での法案そのものの審議は二日間で五時間強
という短時間です。このように審議が不十分なままに、しかも参考人から貴重
な意見を聴いたその日に採決をするというのは、誠に遺憾だと言わなければな
りません。

 反対の理由は、認証評価制度の創設を行うということだからであります。本
法案の最大の問題であります。これは、真に政府から独立した第三者機関が自
主的、自律的に評価を行うというものではなく、文部科学大臣の認証を受けた
評価機関等からすべての大学が評価を受けることを義務付けるものです。評価
機関の認証基準も細目にわたって文部科学大臣が決めることになっており、国
の意向に沿った評価機関とならざるを得ません。

 ユネスコで高等教育の質の向上のために独立した全国レベルの機関の確立を
宣言した一九九八年の「二十一世紀に向けての高等教育世界宣言」にも反する
ことになります。

 我が国では大学評価は始まったばかりです。二〇〇〇年度から実施されてい
る大学評価・学位授与機構による大学評価は、国立大学協会が深刻な懸念を持
たざるを得ないと指摘しているように、評価の名に値しないものでした。また、
私立大学は第三者評価そのものを多くは未経験で、これから評価の在り方など
を探求模索しようという段階です。このような状況で全大学に文部科学大臣の
認証を受けた者による評価等を義務付けるのは余りにも乱暴と言わざるを得ま
せん。

 さらに、文部科学省は、資源配分機関が評価結果を参考にすることも十分あ
り得るとしています。これは、大学が政府が進める重点分野などの短期的な研
究成果の追求を進め、長期的視野で行われる教育、基礎研究をなおざりにする
傾向に拍車を掛け、学問研究を衰退させることになりかねません。

 最後に、認可事項の見直し、法令違反状態の大学に対する是正措置について
は妥当なものと言えます。また、専門職大学院の創設については、研究指導を
必修としないなど問題はあるもののその必要性は認められます。しかし、認証
評価制度の創設は、第三者評価の名の下に、これまで以上に政府による大学の
管理統制が進み、学問研究の自由、教育の創造的発展にとって深刻な影響を及
ぼすもので、決して認めることはできません。したがって、本法案に反対する
ものです。

 以上で討論を終わります。