==> 法人化問題検討WG
2001.5.11 公表

北大法人化問題検討WG第6回議事要旨


目次

■課題I 「法人の単位」
■課題II「運営体制」について
■課題皿「アカウンタビリティー」について
■課題IV 「人事・給与」について
(「一大学一法人」についての補足)
■「基本的考え方」(叩き台素案)について【席上配布資料】

                   第6回法人化問題検討WG議事要旨


[日 時〕  平成13年5月2目 (水) 10:00〜12:00
[場 所〕  事務局新館第一会議室
[出席者〕  井上座長,藤田副座長,中村幹事,徳永委員,瀧川委員,畠山委員,内田委員,
長田委員,佐伯委員,太田原委員,下澤委員,加藤委員,常本委員,岸浪委員,
吉田委員,若松委員        計16名

〔欠席者〕 逸見委員,宮脇委員                       計 2名
〔列席者〕 山下企画室長,下山室長補佐,細野企画掛長、萩原専門職員,多谷専門職員
及川主任,冨野人事課課長補佐,片桐同課課長補佐,山田同課専門員,及川主計課長 計10名

【議事内容等】

議事に先立ち,井上座長より,既に配布している前回(H13.4.25)の議事要
旨の確認が行われた。

  また,本WGとして,これまでの検討内容全体を振り返りながら論点整理を行い,まと
めの作業を見据えて議論いただきたい旨発言があった。

引き続き,事前に検討をお願いしていた「検討課題」に沿って議論が行われ,議論の概要
は次のとおりである.

■課題I 「法人の単位」

○[6-1] 「原則として一大学一法人」でよいと思う。

○[6-2] 「原則として」という文言は必要なのか。

○[6-3] 最初から全体的な整合性を考えた議論より、個別のテーマ毎に議論すべきだと
思う。

○[6-4] 「一大学一法人」のメリットは, 「法人の長」と「大学の長」が一致するとい
うところである。
  原則を定める上では,「一大学一法人」で良いと思う。
  一方、「複数大学一法人」の可能性についてであるが,もし他大学などとの再編の可能
性があるとしても,それはあくまでも将来的なものであろう。

○[6-5] 「原則」という言葉を入れるか入れないかについては,北大のことだけを考え
るならば入れなくてもよいと思うが,全国的な視野で考えるならぱ入れておいた方がよい
のではかいか。

○[6-6] 見方を変えると,現在は「一法人99大学」という形であり,それがいけないと
いうことで法人化の議論になったと思う。
  北海道地区などの地域性を考慮に入れた場合には,「原則」を入れた方がよい。
  (「原則」を入れることにより)裏読みされて,『将来は「複数大学一法人」でもよい』
と受け止められては困るので,『「理事会方式」ではない』という意味を盛り込んだ方が
よいのではかいか。

○[6-7] 「一大学一法人」でなければならない。ただし,法人同士の連合が必要だと思
う。自治体では事務組合のようなものであり,地域拠点大学と考えた場合には道内での連
合体が必要と考えられる。                          ∵干

○[6-8] 学生の減少という問題を考慮すると,「一大学一法人」では存続が危うくなる
のではないか。「一大学一法人」という固定的なものではなく,自由に動ける形を残した
方がよい。

○[6-9] 当面,「原則」を入れておくことでよいのではないか。
  現状を合併していく面から考えるのではなく,北大自体が将来どういう事業展開を行っ
ていくかは分からないが,多様な展開になることも想定して考えた方がよい。

○[6-10] 道内の大学が,「北海道大学○○分校」になる可能性も視野に入れて考えた場
合は,「原則」を入れるべきである。

○[6-11] 『「教学」と「経営」は一致させるべきだ』とすると,「一大学一法人」は当然
のことと思う。
  なお,外国には「分校」という形態があるが,調べた限りでは,分校自体には独立した
法人格はないようである。

○[6-12] 「分校」という議論は仮定の話であるので,この場では議論しなくてよいので
はないか。
  現状では,大きな大学も小さな大学も同じ扱いのために,(ある部分では)小さな大学
は不利になつている。
  最近の例として,ある大衆的な百貨店が専門店に越されているということがあろ。
  今後は,単科大学も改革と運営の方法によっては,急遠に頭角を現してくることもある
ので,そこを前提に議論する必要があるだろう。



■課題II「運営体制」について

○[6-13] 現在の「総長室」と「事務部」で行っている体制をどれぐらい超えることにな
るのか。

○[6-14] 全く超えることになると思う。
  「中期目標」に基づく中期計画策定時に折衝することは,文部科学省が財務省に対して
行っている折衝の一部を持つことと同じであり,給与面では,人事院の機能が一部移るこ
とになる。
  人事の面では,全国異動ポストの手続きをどうするかを決めなければいけない。
  また,訴訟が起きた際のマス・メディア対策も必要となるだろう。

○[6-15]「教学」と「経営」を一致させるという体制のためには,現状の体制に新たにプ
ラスしなければいけないものとして,「財務委員会」であるとか「財務担当専門の副学長」
を設けるとか,そういう別の体制を作らなければやっていけなくなるということで,それ
を北大が背負うことができるかという(議論の)意味なのか。

○[6-16]このままでよいのかどうかという意味で検討したいと思っている。

○[6-17]これまで文部科学省や人事院で行ってきた処理が「分散型」に置き換わることに
なるのか。

○[6-18]人事院勧告の必要がなくなるのであるから,「給与」は自己決定していかなけれ
ばならない。
  一番現状と変わらない方法は,今までの文部省ルールをそのまま使えばよいということ
だが,そうした場合,(現状と比べて)自由度も増えないから,今までと同じように煩瑣
なものになるだろう。

○[6-19]人的資源について,文部科学省や人事院は,統一的な見解を出すときにどれだけ
の人員や能カが必要であると考えているのか。
  また,法人化したときには「社会的責任」の問題が新たに生ずることになると思うが,
処理能カとして,法人化した段階で何もかもが独自の新しい方法という状態で,すばらし
い運営方法発揮するということはあり得ないのではないかということである。

○[6-20] 全国の大学がきれいに横並びになって,きれいに給与水準やガイドラインがで
きて,それに全部が従ってというようなことが必要なのか。

○[6-21]そういうことではなく,ある法人はこの方式でするかも知れないし,また別の法
人は別の方式にするかも知れないということである。

○[6-22]そういうことを決めなければならないということであれば,大学の中で決めてい
かなければならないのではないか。

○[6-23]逆にいうと,今までは文部科学省が管理していたことにより,それに従っていれ
ば結果的に他の大学と同じやり方になっていた。
  (法人化になった場合に)共通にならずに,個々に皆同じようにやっていこうとすると,
それぞれについていろいろな情報を(独自に)集めなければいけないということになるた
め,今までと全く同じことをやっていくにしても,我々は今まで以上にエネルギーを使わ
なくてはならない。だからどうしたらいいのかを考えなければいけない。
  予算の配分は従来と同じだといっても,現状でも基本的には総長裁量経費なるものがで
きて,実際には変わってきている。
  他大学の状況についての情報収集を結局行うことで,自分たちには何が良いのかを考え
ていかざるを得なくなってきているのであり,どのように情報収集して選んでいくか,組
織形態をどう作っていかなければいけないかということになる。
  大学の「教学」と「経営」の一致ということで言えば,「評議会」の位置付けをきちっ
としておくという原則を一番の根本に置き,議論がぶれないようにした上で,そこを見な
がら議論し一番効率のよい運営の仕方を考えるという兼ね合いをいつも考えていくことが
大事ではないか。

○[6-24]ある省庁の独立行政法人は,「中期計画」を立てる段階から「評価委員会」とディ
スカッションしながら進めているので,結果が見えてきやすい。
  また,その独立行政法人は「公務員型」のため,主務官庁と人事の出入りが頻繁にあり,
そこに大学とは非常に大きな違いがある。
  大学というのは融通のきかない組織であるから,しっかり考えなければならない点だと
思う。

○[6-25]大学とは先進的学問の追求の場であり,国民へのフィードバックが大きな使命で
あることから,(必要な予算については)税金からも正当に支払われるべきである。
  人を育てるということを国民は期待しており,そのようなフイードバック体制を何とし
ても確保していくことが必要である。
  能力がない者が教授会を構成している場合があり,また,現状において財政能力がない
ことは事実である。
  新体制では,学内関係者だけでなく外部の者が入ってもよい.
  いろいろな意見を持った者を受け入れる余地を設けた上での「首脳体制」の強化が必要
である。
  全学的な「経営」や「教学」についても,研究科に任せていたのでは非常にローレベル
なものとなるのではないか。(「先進的な学問の追究」と「人を育てる」という)2つの
社会へのフィードバックを行う場を運営組織に作り,総長のリーダーシップを強力な補佐
の下に確保するという改正が必要だ。

○[6-26]法人化によって自主自立性が増えるという側面があるが,それは大学と文部科学
省との関係である。
  大学の中を考えたときには.大学全体と各学部との関係も同様である。
  運営については,財産の運用,管理などは大学としてまとめなければならないが,人事
や給与の問題は,学部に自由に任せるような余地があった方がよいのではないかと思う。
  大学全体でガイドラインを作るようなことは避けた方がよいのではないか。
  基本的に競争的原理が必要で,優秀な者を採用したい場合に待遇面で対応できないから
である。

○[6-27]独法化するということは,全部大学でしなければならないということであり,そ
れに自信がないというのならば,はっきり独法化反対と言った方がよい。
  しかし,『法人化する』,しかも『「教学」と「経営」は一体である』としているのだ
から,色々知恵を絞らなければならない。

○[6-28]自由度が増せばコストもかかるのであり,そのコストをどうやって負担するかで
ある。
  今は運営能力はないが,数年後には対応しなければならない。今までその能カがないの
は,文部科学省におんぶして研究や教育,管理運営も全部片手間になされてきたからであ
り,大学内で育ててこなかったからである。
  また,運営能力についても,専任による責任ある体制を取ってこなかったからである。
それが今度は,いつの間にか管理運営させられるというのは難しいことであり,よくない
ことである。
  (管理運営の体制に関しては)合議制でなければならないというものではなく,無責任・
な体制とならないよう,専任ということを打ち出して責任のある体制に整えなければばな
らな

○[6-29]「教学」と「経営」は一致であると主張したときに,大学の先生に対して運営能
力が要求されるのであるが,現在の大学の組織は教授からなる共同体であり,そこに企画
とか運営の議論をさせるとなれば,どこかにそういうファンクションを持たせなければな
らない。
 オーバーへツドに耐えられるのか,それによる利点は何なのかが見えない。
  「教学」と「経営」を一致させるということで「一大学一法人」ということだが,それ
が本当にどこまで正しいのかが分からない。

○[6-30]「教学」は(現在の)人的資源でやっていけるのだと思う。
  しかし,「経営」の部分に関しては,外部から入れなければ足りない部分ではないかと
思う。

○[6-31] 現状の組織を法人化に当てはめるとき,改善すべきところは改善しなければな
らない。
  これらの機能をこなすためには,総長をはじめとする強力なスタッフが必要となる。
  不足分については助っ人が必要だろうが,(適任者は)あまりたくさんはいないだろう。
  そうなると権限が強大になるので,それに対する強力なチェック機能が必要となるだろ
う。
  部局長の権限を広げざるを得ないだろうし,部局長へのチェックもなければならない。
  「学部の経営」についても,大部分の教官は「経営」について関心がないため聞きっぱ
なしとなり,部局長の権限がかなり強くならざるを得ない。

○[6-32] 病院には大変な赤字がある。
  「先端の学問」や「人材の育成」というものは「経営」とは別物である。
  「経営」を優先していくと,それらが削られてしまうこととなり,国からの財政的なバッ
クアップがなければ大変な状況になる。

○[6-33] 病院だけの問題ではないと思う。
  自由度が増せば,優秀な人材を採用できるではないかとの意見があったが,現実問題と
しては,給与レベルが今の程度で総枠として決まっているのであれば,高い給与が支払わ
れる者がいれれば,(一方で)給与を出せない者も出てくることになる。
  そのような総枠の決まった人件費の制度の中では,人材確保のために(別に)財源を確
保しなければ不可能になるのではないか。

○[6-34]「教学」と「経営」を一致させているのは私大にもあり,大学を運営していくた
めに学内の教授や助教授,卒業生や外部の者を使っている例はある。
  いわば適材適所に配置すべきと思うが,「長」と付くところには問題があるだろう。

○[6-35]外国では,「経営」に関して専任の教授が置かれているところがあり,そのよう
な起用方法も必要なのではないか。
  法人化された場合には「責任」も生じることから,そのような者が必要だと思う。


■課題皿「アカウンタビリティー」について

○[6-36](大学にとって)是非来てほしい者もいれば,必ずしもそうでない者もいると思
うが,分野によっては,是非学外者に聞かなければいけないというものもあるだろう。
  「経営」には(学外者が)必要であると思うが,学問全体を見極められるような見識の
ある方を確保することは現実には困難だと思う。

○[6-37]「学外者」の定義はあるのか。

○[6-38] はっきりとした定義はされていないが,現状では,学外者の定義付けをはっきり
させる必要性もないのではないか。
  例えば,公認会計士の場合でも,大学のことは良く知らないと思われるが,重要なのは
大学として受け入れたときの体制をどうするかだろう。

○[6-39] 「学外者」といった場合,雇用により本学の教官となる者とならない者とを分
けた方がよいのではないか。
  雇用しないで入ってくる者について,どこまで関与させるかが問題なのではないか。

○[6-40]例えば,評議会の中に外部の者が入るときに,その者が常勤か,あるいは非常勤
かで意味付けが違うと思う。

○[6-41]「学外者」については,大学の自治が前提にあるのだから,常勤の「学外者」が
何らかの決定をするときに入ることには反対である。
  チェックするところには必要かも知れないが,あくまでも大学の決定プロセスは学内者
で行うべきであると考える。
  学内での運営能カには限界があるが,そのプロとして学内の者を養成することが重要であ
ると思うし,「養成」のために学外の者が入ってくることは必要だと思う。
  道内の私大の場合でも、運営をその大学の教官で行っている。
  「学外者」に財務をやらせて失敗しているケースも見られ,「財務委員会」的なものは,
常に教授会ともめていると聞いている。
  非常勤で来る者には元々ロイヤリティーがなく、混乱を招くだけである。
  専任として派遺された者でも,ロイヤリティーが本体の方にあるので,無難に努めると
いうものになってしまう。
  苦手だから外部の者にやらせようというのでは失敗を招くことになるのであり,我々自
身も相当コミットしていかなければならない。

○[6-42]現在の人員で無理なときには外部者に頼るしかないのであり,外部から専任の者
を入れてはダメ,ということにはならないのではないか。

○[6-43](外部者については)「北大に忠誠を誓う者」である必要があるのではないか。

○[6-44]先日発足した内閣には民間人が閣僚として入ったが,法律的になぜ入れるのか。

○[6-45]「国民の代表者」と「専門性を持った者」とのバランスで,一定数まで入れて良
いこととなっている。

○[6-46]大学における運営体制も同様に考えてよいものか。

○[6-47]そのように考えて構わない。
  外部者を入れるということは,内部にそれに見合った者がいないからというのが一番の
理由であろう。

○[6-48]「北大に忠誠を誓わない者」である場合には,任命権者である法人の長が解任す
ればよい。

○[6-49]「理事」については,通則法の範囲であれば職責を果たしていないことを持って
解任も可能であるが,「監事」については,大臣任命であるので法人の長として解任はで
きない。

○[6-50]大学の教官の中にはソニーの重役になれる者もいるのだから,内部にいないとは
いえないのではないか。

■課題IV 「人事・給与」について

○[6-51] 国が「教育」に対してあまりにもお金を出さないことが最大の問題である。
  良い人材を集めようと思ったら,大学が高い給与を払うのは当たり前のことであり,そ
ういったバックグラウンドがない状況では,大学に残る者もいなくなる。
  国に対しては,「教育」にかけるお金がもっと拡充されるように強く示すべきである。
  財源が確保されればもっと色々なことが考えられる。

○[6-52]そういった問題は,我々が国会議員にどういう人を選ぶかということである。

○[6-53]お金が増えなかったとしても,手間はかかるが,「給与」は「交渉」によって決
まるということが大事なのではないか。
  最近,外国に居る者を呼ぴ戻して採用した例があったが,「日本の給与体系はそれほど
安くないだろう」という感覚や「安定感」の意識からか,自分がもらう給与について確認
もしない者が多い。
  我々が外国で働くというときには、実際の給与が安い場合もあり確認する必要がある。
  日本人でもインセンティブのある人間を取ろうと思ったら,自分がどれだけけの給料を
もらえるのかを確認してくるような人間を採用していく必要がある。そうでなければ,自
分に対する「コスト」と「パフォーマンスJを意識しない人間が結局は大学に残ってしま
う。
  今は事務が全部決めてくれて,それに従って給与をもらっているわけであり,いわば
「ぬるま湯」につかっている状況である。
  自分自身で,その大学では何をすればどれだけの給与をもらえるのか,ということを考
えなければならない。
  少なくとも民間に就職する学生はそこのところを気にするのであるが,大学に残る人間
は何も気にしないのである。

○[6-54]私が考えているのは,自由度が高まるとはいっても,元々低い給与にどれだけの
インセンティブを付けてもさほどのことはできない。

○[6-55]我々としては,今,国からもらっている給与にプラスアルファーがとれるシステ
ムを作ること,あるいはオーバーヘッドの中から人件費にプラスアルファーできるシステ
ムを作ることは可能ではないか。

○[6-56] 決まった枠を均等に分配することではなく,給与というのはプロジェクトから
自分の方に入るようにすることが大事なのである。
  評価の仕方にも関係してくるが,単にプロジュクトを採ってきたとか,論文を沢山書い
たとかだけでなく,教育や研究,委員会活動など多彩な評価の仕方を導入する必要がある
だろフ。
  もう一つとして,我々の太学が外部から評価されるときには,大学評価・学位授与機構
からなされることになるだろう。北大として考えた場合,色々な分野があるだろうが,北
大の売りは何かといったときに大学のスタッフは全部バラバラになっているのである。
  それをどう特徴づけるかはまた別の話ではあるが,我々自身が我々の問題として本学に
はどういう特徴があるんだということについて、我々が知っているという努カはしなけれ
ばならない。それを外に出して売り込むというか,広報するといった努力は足りないと思
う。
  予算を増やす工夫が必要になってくるだろうが,アピールの仕方が重要であり,そのた
めにプロを任期付きで雇うことがあってもよいのではないか。

○[6-57](9),(10)については,「公務員型」によるのか,「非公務員型」によるのか。

○[6-58]どちらでも構わないが,(給与については)いずれにしても「業績部分」と「固
定部分」とに分けて,そこで「業績部分」の比率を増やすとかが考えられる。あるいは,
今でもやっているのは,期末勤勉手当の10%,20%の差が出る制度があるが,それはそれ
なりのインセンティブだと思う。

○[6-59]いずれは,「公務員型」によるのか,「非公務員型」によるのかを選択しなけれ
ばならない。?

○[6-60]歯医者の世界では,「固定給」+「歩合給」になっている場合が多いが,「歩合
給」は,売り上げに対して何%かというものであり,法人では評価と密接に絡んでくるこ
とになる。
  そういう形にしないと差が出ないのではないか。
  ただ評価については,外の機関による評価を連動させるのではなく,大学自身が学内者
により評価することとし,外からの評価で必要がないと言われた部分についても,大学ど
しては必要だと評価すればよいわけであり,「歩合給」については,あくまでも内部の評
価を対象にしていけばいいのではないか。

○[6-61]将来的には,教育,研究,診療など(分野ごと)で「それぞれ稼ぐ」ということ
が必要になってくるのではないかと思う。

○[6-62]実際には,もう「歩合給」は入ってきているのであり,例えば大学院生の数で手
当が出るようなものなどであるが,ただ,それが(正当な)評価を得た結果であるかどう
かというのが問題である。大学院生の数だけ(の要素)でもらえるというのであれば、大
学院生がいないところはもらえないのであり,それは困るのである。

○[6-63]今でも部局長の権限で行っているものとしては,特別昇給や勤勉手当の加算など
がある。

○[6-64]現状で行っている程度のものを切り口にして、極端な差を付けることを重要だと
していくことは反対である。

○[6-65]外部資金を導入したときには,(当該教官に対して)差を付けることも必要だと
思う。

○[6-66]差を付ければ業績が上がるという考え方は避けたい。民間でも,既に格差を付け
ていたところが5年後に撤廃したという例もある。色々調べた上で決めた方がよいのでは
ないか。

○[6-67](インセンティブとして)「給与の差」が出たが,「時間の差」があつても良い
のではないか。(「時間の差」という形での)そのようなインセンティブというものも非
常に大きいということであり,給与が増えなくてもインセンティブを増やすことは可能だ
ということである。

○[6-68]企業が大学に研究を要請してくる例があるが,なぜ来るかといえばそれは大学に
は英知があるからであり,企業には学問思考があるのである。
  外部資金を獲得することによって,(その資金の運用にあたって,当該教官の)運用幅
に差が付くのは当然である。


(「一大学一法人」についての補足)
[6-69]
 (i)統廃合問題で,国立大学と地方公立大学と間にスキームが見えない。また,国立大学
の民営化があるのかが見えない。
 (ii)同一大学の中て職員身分の不統一がでてくるのか,病院だけは「非公務員型」でも
良いのか,その場合には別な法人になるのか,という議論がないわけではない。
  また特定部局の事務は別だ,ということがあるのか。
 (iii) 登記の問題があるが,北海道地域外での活動に係る手続きについては,議論が詰
められていないだろうと思っている。


「基本的考え方」(叩き台素案)について【席上配布資料】

井上座長より,本WGとしての「まとめ」を作成していく上で必要があると思われるので,
中村幹事からの説明の後,意見交換を行いたい旨発言があった。
  引き続き,中村幹事より資料に基づき説明があった後,意見交換が行われた。
  概要は次のとおりである。

○[6-70](15)にある「参与」とはどういう意味あいか。決定過程に参加することは反
対である。

○[6-71]運営機構の一部に対して意見を述べることである。法的に「参与」とは,何かの
権限に基づく「関与」とは異なる。また,目的や制度によって変わってくる。

○[6-72](10)について,(国立大学法人と)私大についての言及は,文脈が違うので
はないか。
  国が大学を直接に設置するのであれば,それ以外に理事会はいらないこととなる。また,
「自律的な」というのは,大学以外に法人はなく,外から何か入ってこないで決定すろの
であるから,「経営」は別であるといわれることはない。
  「また私立大学とは異なる存在理由,機能を持つ面があることから」という部分は,政
治判断として,民営化を遮断したいという意味で加えた。

○[6-73]「教学」と「経営」を分離させてしまうと「理事会」を置かなくてはいけなくな
り,それはちょうど今の私立大学と同じ形態になってしまう。それによって,「民営化し
てもよいのではないか」といわれてしまうことは回避すべきである。確かに分けた方がよ
いのかもしれないので次回までに整理したい。

○[6-74]「一致」ではなく「不可分」という表記の仕方の方がよいのではないか。

○[6-75] その方がよいというのであれば,そのように表記するのは構わないと思う。

○[6-76] この叩き台の位置づけはどういうものなのか。

○[6-77] 今度の「報告書」の中で,主たる記述の冒頭に当たる部分として必要ではなか
ろうかと考えている。その後に各論的な部分が出てくるのだろう。

○[6-78]このぺーパーが前文になるのか。

○[6-79]前文でなくても良いが,このような類の文言を入れることについて,どうでしょ
うかということである。

○[6-80](9)の( )書きの部分(「独立行政法人通則法などの制度枠組みが,「われわ
れの考える法人化の方向に合致するならそれに賛成し,そうでないなら,それに反対し批
判を加えることによってできるかぎりわれわれの意図する改革の方向に近付ける」という
立場から検討を進める必要がある。)は,一番最初に持ってきても良いのではないか。基
本的になぜこのようなことをやっているのかを示すのであるから,最初の方がよいと思う。

○[6-81]「独法化」の議論は,『元々民間に任せるとうまくいかないという部分を「独法
化」という形で維持していく』となっていたのであり,「民営化」とは相反する概念なの
ではないか。

○[6-82]たしかに導入の契機は,「行政のスリム化」から始まったものである。「民営化
できるものは切り分けてしまえ」という政策意図も含まれていたが,「独法化」によって
処理する部分は処理しようということだった。

○[6-83]通則法は大学には馴染まない部分があるから,「国立大学法人法」のような形で,
通則法の特例法という形で法人化したいという作業をしているわけである。

○[6-84]馴染まない部分があるという理由ですべて「通則法から外せる」とは思っておら
ず,独法と国立大学法人は全く別であるという議論は一概にできないところがある。

○[6-85]独法は,通則法の傘に入るものなのか。

○[6-86]通則法の傘に入ると思う。ただし,今まで独法化した90機関7万人程度の「個
別法」とは全く違い,99大学12万人の国立大学について,大学に関する内容を含めて
規定し,一括した共通の「国立大学法人法」が制定されるならば,仮に独法通則法が法律
としてなくなっても「国立大学法人法」は残り得ると思う。
  そこがこれまでの「個別法」とは違う点と考えている。

○[6-87] 通則法がある限りは民営化されることはないが,もし通則法から外れてしまった
際には,「個別法」の中の一つとして「国立大学法人法」があるとすると,民営化される
論理に切り替えられるということになり得るのではないか。

○[6-88] その可能性はあるだろう。

○[6-89] 最初は,他の独法化さヤた行攻機関と同様に国立大学も独法化の対象機関に含め,
その「個別法」を作ることを想定していた。
  次に,大学には不適切ということで「独立行攻法人」のうち,「行攻」という言葉が外
れた。
  そして,独法通則法の特例法としての性格を持ち,かつ法人のみならず大学に関する規
定を含めた法律としての「国立大学法人法」を相当に厚みのあるものに作り上げるという
ことを前提に議論が行われてきている。

井上座長より,次回については,本日の積み残した論点と「基本的考え方」を更に整理し
た上で議論したい旨発言があり,了承された。
(以上)