通信ログ
国公立大学通信 2003.06.11(水)

--[kd 03-06-11a 目次]--------------------------------------------
[1] 6/11 理事懇談会6/10で文科省「中期目標・中期計画」指示文書の回収を表明
[2] 6/10 文教科学委員会,開始後2時間17分,櫻井充議員の質疑中に中断、散会
[3] 6/10-11国立大学協会第112回総会日程
[4] 6/10 東京大学職員組合から国立大学協会会員への要請
--[kd 03-06-11b]--------------------------------------------
[5] 6/10 中村 郁(北海道大学)「あるトルコ外交官の勇気」03.6.10
[6] 6/10 法案廃案を訴える第三次意見広告:読売新聞全面意見広告
[7] 6/10 朝日夕刊「国立大の法人化に反対 井上ひさしさんら論陣」
[8] 6/10 日韓「大学問題」共同声明 2003.6.10
[9] 6/10 品川敦紀(山形大学)「国立大学法人教職員数試算基準(案)」について
[10] 6/06 全国農学系学部長会議声明 平成15年6月6日
[11] 6/10 木更津工業高専教職員組合から文教科学委員への要請
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[1]首都圏ネット声明:文科省「中期目標・中期計画」指示文書の回収を表明
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文部科学省が「中期目標・中期計画」指示文書(2002年12月)の回収を表明
 ―10日参議院・文教科学委員会で審議が紛糾、中断してそのまま散会に―

                                                      2003年6月11日
                           独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局


 10日に開かれた参議院の文教科学委員会は、民主党・櫻井充議員の質問に対
する文科省の答弁をめぐって紛糾し、審議が中断した。昼休みを挟んで断続的
に理事懇談会が行われたが、結局、委員会の審議は再開されないまま散会となっ
た。

 櫻井議員は、「中期目標・計画」について、昨年12月の時点で書式やページ
数を含めて事細かに大学に指示している文書の存在を示し、これまで文部科学
省が行ってきた答弁(中期計画・中期計画は大まかなもの、「ざっくりとした」
ものでよい、という答弁)とは大きく異っている点を追及した。これに対する
河村副大臣、遠山文科相の答弁は支離滅裂で、櫻井議員は、これ以上の審議は
できないと理事会での協議を求め、委員会は中断した。

 その後、断続的に行われた理事懇談会において、驚くべきことに、文科省は
すでに各大学に指示した文書について、それを回収することで事態の収拾をは
かろうとしたのである。もとより、野党側はこれを拒否し、事態が収拾される
ことなく、委員会は中断のまま散会となるに至った。

 今後の対応については、11日の午後に、再び理事懇談会を開くことになって
いる。

 問題とされた昨年12月の指示文書とは、国大協の第10回法人化特別委員会で
配布された、文科省の未定稿資料「国立大学法人(仮称)の中期目標・中期計
画の項目等について(案)」である。

http://www.bur.hiroshima-u.ac.jp/~houjin/agency/specialcommittees/specom10-2mokuhyo.pdf

 国立大学は、昨年来、この指示文書にもとづき、幾度となく「中期目標・中
期計画」の作成・修訂作業を行ってきた。そのために費やされた時間や人員、
労力は膨大なものである。文科省は「中期目標・中期計画」作成・修訂作業を
当然のことのように強制し、同作業は法的根拠のない不当なものであるという
我々の批判を無視し続けてきた。それにもかかわらず、文科省は、国会におけ
る本質的な追及を受けるや、ひたすら法案成立のために、指示文書自体を「回
収する」とまで述べているのである。各大学においてこれまで膨大な作業量を
費やして作成されてきた「中期目標・中期計画」とは、一体、何であったのか
が問われなければならない。

 さらに、この指示文書は、法的根拠の発生する法案成立前であることは言う
に及ばず、法案提出に先立って行われた与党審査(今年2月)より以前に出さ
れている。この点は、与党をも欺くものであり、立法機関である国会の審議を
軽視・侵害し、行政府の横暴を示す重大な問題であり、強く批判されなければ
ならない。

 このように、国会の会期末を控えて「国立大学法人法案」の本質が明らかと
なり、文科省は答弁不能に陥って、審議は紛糾している。これによって、政府・
文科省の立案した法人化のスケジュールはすでに大きく崩れている。

 国大協は、昨10日から継続されている本日の総会において、国会の審議で
明らかとなった法案の問題点について真摯な討議を行い、「中期目標・中期計
画」の仔細な指示を含め、文科省のこれまでの対応に強く抗議すべきである。
そして、すでに国会における審議が紛糾し、混乱を極めている以上、国立大学
に責任を持つものとして、国会に対してもはや法案の廃案しか事態を打開する
道がないことを要請すべきである。
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[2] 6/10 文教科学委員会,開始後2時間17分,櫻井充議員の質疑中に中断、散会
http://online.sangiin.go.jp/vod/SA200306100102.ram 2:17:00
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030610tousyokujouhou.html
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[3] 6/10-11国立大学協会第112回総会日程
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030610kokudfaikyounittei.html
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#(第1日は午後2時に打ち切り。新執行部:会長佐々木毅(東京大学)、副会
長石弘光(一橋大学)、副会長梶山千里(九州大学) )

		         第112回総会日程

                                     平成15年6月10日〜11日
                                国立オリンピック記念青少年総合センター


[第1日] 6月10日(火) 10:00−17:00

  ○ 会長挨拶
  ○ 新学長等の紹介
  ○ 定足数の確認

I. 報告
 1.事業報告
 2.各委員会委員長報告
 3.各地区学長会議報告

II. 協議
 1. 理事の専任について
 2. 平成18年度からの大学入試センター試験について

(12:00-13:30 新理事による理事会開催)

 3.会長・副会長の互選結果の報告
 4.常置委員会委員(大学代表者)の選任について
 5.平成14年度国立大学協会歳入歳出決算(案)について
 6.平成15年度国立大学協会歳入歳出予算(案)について
 7.平成18年度国立大学の入試のあり方について 
 8.新国立大学協会(仮称)設立準備委員会の検討状況について
 9.平成17年度以降の職員の統一採用試験の実施について

	      (第2日 6月11日(水) 10:00−12:00 
	          新委員による常置委員会開催)

[第2日]   6月11日(水) 13:00−15:00

I. 報告
 1.各常置委員会委員長の選出結果について
 2.各常置委員会委員長の報告等

II.協議
 1.監事の選任について
 2.国立大学の法人化についての国立大学協会の見解について
 3.その他
  (1)国立大学教員から提出のあった意見書について
  (2)平成15年度秋季定例総会(第113回)開催期日等について
  (3)その他
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#(「意見書」:http://ac-net.org/dgh/03/514-ikensho-to-janu.html)

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[4] 6/10 東京大学職員組合から国立大学協会会員への要請
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030610toysyokuyobou.html
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                                                     2003年6月10日
国立大学協会 会員各位

                                                      東京大学職員組合 
 

	     国立大学協会第112回定期総会に向けての要望


 国立大学協会(以下、国大協)の定期総会に当たり、会員各位が大学の構成
員及び国民に対して責任ある対応を取られるようここに再度要望いたします。

 国大協は、「国立大学相互の緊密な連絡と協力をはかることにより,その振
興に寄与することを目的とする」ために1950年設立された団体ですが、文科省
との関係において、事実上国立大学全体の意思を代表する窓口となってきまし
た。メディアもまた、国大協が国立大学全体の意思を代表すると認識していま
す。したがって、大学に働く私たち教職員及び国民は、国大協の行動に重大な
関心を持たざるを得ません。

 国立大学の法人化問題が起こると、当初国大協は大学のあるべき姿について
検討を行いました。しかし、法案の内容が具体化するにつれて、それが自らの
まとめたあるべき将来像と離れて行くにもかかわらず、案文の字句解釈に終始
するようになりました。この間の推移は国大協公式サイト中の「国立大学協会
の見解・資料等」にリンクされた文書からも明らかであります。
(http://www.zendaikyo.or.jp/dokuhouka/kokudai.htm )

 国大協は事態を広く大学構成員に説明し、その意見を背景に行動しようとし
ませんでした。これは、ことの重大性からして到底許される行為ではありませ
ん。私達はあなた方国大協会員諸氏に大学の設置形態の変更や教職員の身分変
更を追認するような権限を預けた覚えは全くありません。しかも、大学構成員
の声を背景に持たないために、国大協の発言は政府・与党等から軽く見られて
きました。法人化問題が今日の状況に至った一因は、教授会自治の閉鎖性以上
に、国大協自身の閉鎖的体質にあると言われています。
  特に国家公務員試験採用職種である事務職、技術職までを非公務員化するこ
とには大いに異議があります。文部科学省の国会答弁においてもその根拠は何
ら明確となっておりません。国大協は、いかなる法的根拠に基づいて職員が国
家公務員の身分を奪われるのかについて、きちんと職員に説明することが可能
でしょうか。

  この間、国大協は沈黙を続けています。法案の閣議決定以後、種々の問題点
が明らかになってきているにもかかわらず、あなた方国大協会員諸氏は衆議院
での審議を傍観するだけで、何らの積極的対応を取ろうとしませんでした。そ
れだけではなく、5月30日の理事会においては、法案が国会で審議中である
ことや執行部の交代期に当たっていることを理由に、今次総会で意見表明の文
書を出さないとの方針を決めたと聞きます。黙ったままでいて「自由」や「自
治」が守られた例が、どこにあるのでしょうか。また、このような姿勢は、国
民――特に大学に通ったことのない人や私立大学の卒業生・関係者――にはど
のように映るでしょうか。国民が大学や学問に対して第一に期待しているのは、
何ものも恐れず、何ものにもこびず、おもねず、何ものに対してもはっきりと
ものを言うことではないでしょうか。職員組合にも、一般国民から「今の国大
協に何を要請しても無意味であり、もう国大協を見限れ」との意見が寄せられ
ています。しかし私達は、総会を前に、大学構成員及び国民に対して責任ある
対応を示すことを再度、強く要請するものであります。沈黙は国立大学の存在
を否定していることに他なりません。それともこの沈黙は、もはや国立大学は
必要ないという国大協の意思表示でしょうか。

  法人化は大学を活性化し学術を発展させる可能性を持ちます。しかし今回の
「国立大学法人法案」は、政府・文科省の短期的かつ利己的動機に基づくもの
であり、朝日新聞の社説も文科省の支配強化を危惧しています(下に抜粋)。

  5月23日の文教速報によると、文教施設部は労働安全衛生法対策を学長裁
量経費、競争的研究資金の間接経費などを総動員し今年度中に対策を講じるよ
うに大学経理部に指示し、追加財政支援はしないことを明言しています。その
一方で、国立学校特別会計の借入金は法人の債務になると言われています。ま
た総務省では、主務官庁が行う評価とは関係なく勧告(業務の改廃を含む)が
できるよう独法評価の制度設計を進めていると聞きます。国立大学法人は、最
初の段階から政府・文科省に手足を縛られてスタートすべく設計されていると
言わなければなりません。

 国大協サイトの英文ページには、次のように、学問の自由と大学の自治を守
るために国大協が発足したことを示す文章があります。ここに示された精神が
現在の国大協にどれだけ残っているのか、疑問を感じずにはいられません。

The founding President of the JANU, Shigeru Nanbara (President of The
 University of Tokyo) said that the primary purpose of the JANU was to
 defend the `freedom of scholarship' as specified in the new
 Constitution of Japan, and to establish this as an immovable
 principle. The issues of autonomy of universities and freed om of
 scholarship should not be defended solely by the individual actions
 and tr aditions of universities, as was the case before the Second
 World War. Rather, t hese should be regarded as common issues,
 defended and established by the collec tive organization and power of
 many universities.

貴職におかれては以上の指摘を真摯に受け止められ、6月10日からの国大協
総会において大学人としての良心に悖らぬ行動をとられることを切に願うもの
であります。以 上

#(以下略)
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[5] 6/10 中村 郁(北海道大学)「あるトルコ外交官の勇気」03.6.10
      http://ac-net.org/dgh/03/610-nakamura.pdf
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			あるトルコ外交官の勇気

			 北海道大学  中村 郁
				   

  先日,長い間書架で眠っていたマルク・アルテール『救出者』を読んだ.現
在の日本の『国立大学法人化』をめぐる大学関係者の動きと無関係とも思えな
いので,それについて書いてみたい.

 1933年ドイツで政権をとったナチは,1938 年以降ポ−ランドを初めとして,
ヨーロッパ数カ国を侵略し支配した.その中で,ドイツ国内のユダヤ人にとど
まらず,これらの占領した諸国のユダヤ人を次々とゲットーや収容所の中で虐
待し,あるいは虐殺したことは周知の事実である.虐殺されたユダヤ人の総数
は450万とも,600万とも推定されている.

 1943年7月ムッソリーニ政権が倒れた後,2か月後ナチスはイタリアを侵略し
占領する.ローマのゲットーに集められたユダヤ人は虐待を受け,トリエステ
などのユダヤ人収容所に送られ,その多くは虐殺された.ローマではそのナチ
の暴虐に対抗してカトリックの司祭やローマ市民のネットワークが,少数では
あったがユダヤ人を救出し保護した.ひとりのユダヤ人を救うには1000人の助
けが必要であった.しかし1000人のユダヤ人を告発するには,ひとりの密告者
で十分であった.(『救出者』)

 惨劇をまのあたりしてバチカンのローマ教皇ピーオ12世は,驚くべきことに,
何の具体的な政治的行動も起こさなかったという.一片の抗議声明すら出して
いないのである.バチカン市国はローマの中心部に隣接し,ローマ市中にある
と言っても差しつかえない.テレベ河畔のゲットーとはわずかに数キロの距離
にある.もしローマ市内のユダヤ人をめぐる惨状を知らなかったとすれば,そ
れは怠慢という他ないであろう.ユダヤ人差別のそもそもの発端は,キリスト
の死に関わるものである.そのために,カトリック教会内部には微妙な感情が
横たわる, と聞く.しかし,その歴史的経緯を差し引いてもなお,ローマ教皇
の行動は不可解の域を超えて,非難に値するものであろう.

 のちのローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は当時を回想し「残念ながら当時,ロー
マ教皇は何の政治的行動をとらなかったのです」と語った,と『救出者』は伝
える.ローマ市民の戦いは,その一方で危険を極めた.ユダヤ人救出の活動の
中で,ナチスに捕らえられたり射殺された市民,司祭もいた.ユダヤ人の幼児
たちが収容所に送られるとき,最後まで彼等の心の不安を取り除くために,自
ら進んで収容所まで付き添い,ともに処刑された司祭もいたという.

 ナチスの軍隊は,1940年5月電撃的な攻撃でフランスを侵略,1か月後には支
配下においた.1942年8月,そのフランスでユダヤ人をめぐって一つの事件が
あった.マルセイユのサン・シャルル駅で,トルコの外交官がユダヤ人移送の
貨車に乗り込み,銃を持ったナチの兵に抗議したのである.サン・シャルル駅
では押問答の末,トルコの外交官とひとりの随員を乗せたまま貨車は発車して
しまった.あわてたナチスの兵は次の駅で貨車を停車させ,外交官を降ろそう
としたが,再び押問答となった.「ひとりもユダヤ人はいないのか? ここに
いるのは全員トルコ人か?」「全員,トルコ人だ」外交官は一歩も退くことは
なかった.そしてその押問答の末,素手のトルコ外交官の抗議の前に,ついに
ナチスの兵は引き下がったのである.

 このひとりの外交官の勇気ある行動と,ローマ教皇ピーオ12世の行動から,
今日私達は何を学ぶべきであろう.『国立大学法人法』の衆議院審議は,これ
が文化国家とも,先進国家とも,民主主義国家とも自認する国の最高立法機関
の法案審議の姿であろうか.これだけの重要法案を議論しながら,委員の質問
にまともに答えることのできない政府文科省,さらには参考人国立大学協会石
副会長の「大学関係者からは反対の声は出ていない」という,いささか驚くべ
き発言.(この発言は, 6月始めの朝日新聞紙上「一部の大学関係者からは反
対の声が出ているが」と実質的に訂正された.)こんな馬鹿げたことを目の当
たりにして,もし黙して声をあげることもないなら,それはまさに,かつての
ピーオ12 世の姿そのものではないか,と私は思う.現在の『国立大学法人法』
では文部科学省の干渉に歯止めがない.自由な自律的な環境こそが学問を真に
はぐくむのだ.こんなことではいずれは,もの言わぬ大学,ゆとりのない大学
に変わっていくことは目に見えている.政府の干渉,外部の干渉の歯止め,そ
れをいかに制度的に保証するか.地方大学の多くが財政の問題を抱えることに
なるのではないか.いずれ地方大学のリストラにつながっていくのではないか.
若い人達がリストラの危険を抱えた大学に転任を希望するだろうか.これでは
かえって流動化を妨げる要因を作っているようなものではないか.こういう問
題にひとつひとつ納得できる答を出して,法案の中に具体化してこそ,国会の
審議であろう

 ひとりのトルコの外交官の勇気ある行動を,歴史からのひとつの励ましとし
て,せめて国会に「問題点が多いので,十分審議をつくせ」と求めたい.「今
さらそんなことを」「自己満足ではないのか」「立場上言えない」そういう声
が聞こえないわけではない.しかし,当事者である大学の,とりわけ責任ある
立場の人間が問題点のあることを指摘しないで,だれがそれをするのだろう.
それでは,戦時中の「立場上やむをえなかった」という,あのいまわしい述懐
にも似て,ピーオ12世の繰り返しではないか.ほとんどの大学が黙したままで
あるなら,なお一層その訴えは貴重なものになるだろう.
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[6] 6/10 法案廃案を訴える第三次意見広告:読売新聞全面意見広告
#(ご覧になって意義を認められたかたは、支援をおねがいします。)
第三次の説明:http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/ikenkoukoku3.html
意見広告の会:http://www.geocities.jp/houjinka
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#(事務局から賛同者への連絡)

「皆様。

第3次「意見広告」は、本日以下のように掲載されました。
反響は大きく、受け電話がパンク状態になっています。

掲載内容は、エリア外の方々にも、ホームページで御覧になれるように致します。
エリア内の方は、どうぞ新聞を手にとってご覧下さい。

6/9が新聞休刊日であったため10日の紙面確保が難しかったのですが、読
売新聞社の御努力によって10日に掲載できました。

特記して感謝いたします。

*掲載紙 6月10日「読売新聞」朝刊 東京本社版 全面。
     エリア 中部・北陸地方以東
 *関西地区以西の方には、ただちには御覧になってはいただけません。
   申し訳ありませんが、ご了承をお願い申しあげます。
   これらの地区の3次賛同申し込みの方々には、掲載紙をお送り致します。
          
***
今回の意見広告(読売新聞東日本版)には、1000万円を超える費用がかかっ
ております。
そのため、一市民に過ぎない一部の「呼びかけ人」の高額の資金提供によって
基金を準備しています。
また、相当数の賛同者の方々からご支援をいただいております。
少しでも負担を軽くする意味で、どうか皆様の浄財をご提供下さいますよう、
お願い申しあげます。

どうぞ、改めてご賛同の上、御拠金をお願い申しあげます。

ご案内
***
・第3次の意見広告に賛同される方は、1次・2次の時と同様の申し込み方式
で、賛同カンパ金の提供予定額(口数)を示して、これまでの申し込み宛先に
ご連絡下さい。
  メールの宛先   houjinka@magellan.c.u-tokyo.ac.jp
         campaign@sbp.fp.a.u-tokyo.ac.jp
 FAXの宛先  03−3813−1565 電話兼用
 なお、郵便振替口座を利用されて、直接連絡していただいても、結構です。
・単位 1口5000円。 または1000円単位で、どのようにでも賛同金
カンパを受け付けております。
・送金は郵便振替口座 『「法人法案」事務局』  00190−9−702697
 へお願い致します。
・ご注意
 これは第3次の「意見広告」です。ご送金の際には振替用紙に、必ず「3次」
とお書き下さい。
・カンパ金を送られた方々には、会計報告をいたします。
 ご連絡先をお忘れなく。
***
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[7] 6/10 朝日夕刊「国立大の法人化に反対 井上ひさしさんら論陣」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030610asahi.html
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『朝日新聞』2003年6月10日夕刊

  国立大の法人化に反対 井上ひさしさんら論陣


 国会で審議が進められている国立大学法人法案をめぐり東京大学で6日、
「国立大学の法人化を考える夕べ」が開かれ、作家の井上ひさしさんらが反対
の論陣を張った。

 教員有志の主催。井上氏は戦前・戦時下でも大学が軍部に抵抗していたこと
を挙げ、「あんなひどい時代でも大学を守っていた人がいた。自由だと思って
いる今、こんな事態が起きていることにねじれを感じる」と述べた。さらに、
6年単位の中期目標を大学に課すという法案を「6年で結果の出る学問はろくな
ものではない」と批判した。

 名古屋大の植田健男教授は教育基本法改正と関連づけて論じ、「教育の目的
を、人格の完成から経済界の生き残りといった政策目標に代えようとする狙い
がある」と分析した。また、元東大副学長で現東大職員組合委員長の小林正彦
氏は「国立大の足を踏み入れたことがない人々は『ざまみろ』と思っているか
もしれない。大学の学問の自由には、国民の権利を預かっているというモラル
が必要」と教員側の自戒を促した。
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[8] 6/10 日韓「大学問題」共同声明 2003.6.10
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/news/jointstatement.html
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「学問の自由」と高等教育における機会均等を守り拡大するために、
      日韓両国の大学人、市民が立ち上がることを訴える

 今日、大学の教育と研究において、国際的な協力と連帯はますます不可欠の
要素となっている。しかし、その教育と研究のための十分な人的・物的資源の
確保、そしてその活動に於ける自由の確保、すなわち「学問の自由」の擁護に
おいても、国際的な協力の必要性が見落とされてはならない。われわれは今日、
特にこの面において、日本と韓国の大学人の協力と連帯の必要を強く感じてい
る。それは今、両国に於いて、これらの基盤が大きな脅威にさらされているか
らであるからでる。それらは「学問の自由」に対する脅威と、公的な財政的支
持の後退によって起こる高等教育への平等なアクセス権への脅威である。

 韓国においては次のような問題が生じている。(1)「国立大学運営に関す
る特別法」が準備されており、これは国立大学の財政を独立させて、大学内に
「予算委員会」を置くことにより、長期的に国立大学の民営化を意味する。
(2)国立大学の責任経営制が進められているが、これは授業料の引き上げな
どを通じて、学生たちの負担を顕著に増大させるだけでなく、企業の経営手法
の大々的な導入によって、大学を企業化させる結果を招来する。(3)総長選
挙における直接選挙を廃止しようとする企てが進行しており、これは学内の民
主主義と自治を破壊する。(4)既に施行されている教授契約制は、教授の身
分を不安定にし、有能な教育、研究の人材確保を困難にし、また学問の自由を
阻害するものである。

 日本では、国会において国立大学と高等専門学校を「独立行政法人化」する
法案が審議され、採決も間近と言われている。この法案においては、大学の
「独立性を高める」という名目とは正反対に、文部科学省からの各大学に対す
る命令制度、すなわち「中期目標」を文部科学大臣が決定するという制度が創
設される。これは大学の教育・研究全体を中央政府の直接的な支配の下に置く
もので、大学を行政機関に変えるに等しい。中学、高校の社会科教科書で悪名
高い「教科書検定」が、大学の教科書に対して行われても何ら不思議はない。
また法案では、学長の権限が独裁的となること、「非公務員化」により教員の
身分が不安定になることなど、大学における民主主義と学問の自由を危うくす
る要素が数多く含まれている。
 このように政府の支配が強まるのとは逆に、政府は財政的な責任を負わなく
なる。世界的にも高いレベルにある日本の国立大学の授業料はさらに高騰する
であろう。

 ユネスコの諸宣言は高等教育の使命として「平和への貢献」を強調している。
アクセスの不平等による高等教育の機会均等の破壊と、政府の権力的支配によっ
て大学が政府の道具になり下がることは、重要な平和の基礎をも堀崩すものと
言わなければならない。我々は、大学の自由と高等教育へのアクセスの機会均
等を守り発展させるため、そしてひいては東アジアの平和を増進するため、両
国の大学関係者、市民が立ち上がることを訴える。

2003年6月10日

           韓国側 韓国教授団体連合*
           日本側 国立大学独法化阻止全国ネットワーク
               佐賀大学教職員組合
               全国大学高専教職員組合九州地区協議会

*韓国教授団体連合は次の次の7団体
民主化のための全国教授協議会、全国教授労働組合、全国国公立大学教授(協
議)会、全国私立大学教授協議会連合会、 全国専門大学教授協議会、 学術
団体協議会、韓国非正規職教授労働組合
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[9] 6/10 品川敦紀(山形大学)「国立大学法人教職員数試算基準(案)」について
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web03060teinnsuusisan.html
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	    「国立大学法人教職員数試算基準(案)」について

		       山形大学理学部 品川敦紀

 ある大学職組新聞の記事によれば、現在、全国の国立大学に「国立大学法人
教職員数試算基準(案)」なる文書が配布され、概算要求へ向けた経費見積も
りがなされているそうです。

 ご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、あまりに驚くべき内容ですの
で、ご紹介いたします。

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 「国立大学法人教職員数試算基準(案)」なる文書には、運営費交付金要求
のための経費見積もりの算定根拠として、標準教員数という一覧表を掲載して
いますが、それによれば、

分野1(文学、教員養成以外の教育学など)で、200人の学部学生に対して6人
分野2(法学、経済学、社会学など)で、400人の学部学生に対して10人
分野3(理学、工学、農学、薬学など)で、160人の学部学生に対して8人
分野4(家政学、美術、音楽など)で、160人の学部学生に対して6人
分野5(看護学など)で、200人の学部学生に対して12人
分野6(医学など)で、600人の学部学生に対して140人
分野7(歯学など)で、480人の学部学生に対して85人
分野8(獣医学など)で、240人の学部学生に対して16人
一般の共通教育(教養課程)の学生80人に対して1人
医学進学課程などの学生480人に対して7人

 という数を記載しています。

 この数で計算しますと、私の所属する山形大学理学部では、学部学生1学年
約200人としても、2−4年次分で、標準教員30人、1年次の教養教育学
生分で、2.5人(他学部学生の教養教育担当分をあわせても、おそらく、7
人程度)、大学院分で、6人程度、最大合計43人分程度となります。

 現在、理学部には80名弱の教員がいますから、標準運営費交付金の対象と
なる標準教員は、全教員の半分程度にしかなりません。

 どの教員が標準教員で、どの教員が特別教員になるのかわかりませんが、約
半数分の教員の給与、研究費は、文部科学省のさじ加減でどうにでもできる
「特別運営費交付金」に全面的に頼らなければならなくなり、文部科学省によ
る評価次第では、その約半数の教員の首が飛ぶか、教員の給与、研究費を半減
せざるを得ないという事態にもなりかねない内容です。

 これでは、文部科学省が大学の生殺与奪を完全掌握した管理統制体制です。
特に、理工系学部は、文部科学省の言いなりになって特別運営費交付金を確保
しなければ、全く生きていけないというとんでもないものです。

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 さて、そもそも、運営費交付金とは、学生数や教職員数などから算出される
教職員の給与や物件費の経費見積もりから、授業料などの収入を差し引いた不
足分を補うものとして、交付される補助金です。そして、それは、標準運営費
交付金と特別運営費交付金に分けられ、それぞれの交付金の対象となる教員
(給与と物件費)が、それぞれ「標準教員」と「特別教員」というふうに説明
されてきました。

そして、文科省平成14年10月作成の「国立大学法人(仮称)運営費交付金算
定基準(案) 」によれば、

標準運営費の対象としては

支出が 
1 大学の管理運営部門の常勤職員にかかる経費と物件費
2 学部、大学院学生の教育に必要な常勤職員にかか経費と物件費
3 標準教員の基盤的研究費
4 学寮などの運営経費

収入が
1 入学料
2 授業料
3 宿舎料(職員官舎料)
4 学生寄宿舎料

となっており、これらの、収入と支出の差額が、標準運営費交付金として交付
されるとされています。

 この説明が今でも生きているとすると、これでは、文部科学省は、医学系を
除けば、事実上、標準運営費交付金は0に出来るシステムとなっています。

 つまり、たとえば、学生20人で、授業料、入学料などを合わせれば、12
00万円くらいになります。標準教員1人にかかる平均的給与、水光熱費、研
究費、事務職員などの給与、事務経費あわせても、これを大きく上回ることは
ないと思われます。つまり、収支は標準教員に関してほぼとんとんということ
になります。

 法経学部では、学生40人に1人の標準教員ですから、2400万ほどの収
入に対して支出が1200万とすると、交付金はおろか、逆に特別運営費交付
金の方の減額すらされかねません。

 医学系を除けば、現在の自己収入でまかなえる範囲だけを標準教員として文
部科学省が責任を持ちましょうという事になりますが、これは、責任を持たな
いことと同じです。

 このような、無茶苦茶な文科省統制支配体制が、大学の教育研究をいい方向
に導いていくとは到底思えません。国会議員の方々にも、是非、良くご理解し
ていただければと思います。」
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[10] 6/06 全国農学系学部長会議声明 平成15年6月6日
http://www.nougaku.jp/buchokaigi/108/seimei1.htm
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「国立大学法人法案は5月22日の衆議院本会議において可決され、現在参議院
での審議に付されています。これまで全国農学系学部長会議(以下本会議とい
う。)は、本法案について、大学の中期目標を文部科学大臣が決定する、国立
大学法人評価委員会の独立性がない、競争的資金を重視する半面で基盤的な教
育研究経費が軽視され基礎的研究や教育がおろそかになる可能性があるなど、
大学の在り方ひいては学問と研究の発展にとって重大な問題を含んでいるとの
危惧を表明してきました。さらに本法案の審議課程においても、準備期間が短
すぎるため労働基準法・労働安全衛生法等の法律に違反する状態を生む恐れが
ある、法人化により教育研究活動に直接資さない財政支出が増加するなど、新
たな問題点も浮上しています。以上の状況に鑑み、本会議は、大学の将来に重
大な禍根を残さぬよう、本法案について国会で慎重かつ充分な審議が尽くされ
ることを強く要望します。」
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[11] 6/10 木更津工業高専教職員組合から文教科学委員への要請
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030610kisarazu.html
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