通信ログ
Subject:<6/16> 国立大学法人法案と大学の未来を考える国会内集会
国公立大学通信 2003.06.13(金)ver 1.1 ([0] updated)
--[kd 03-06-13 目次]--------------------------------------------
[0] <6/16> 国立大学法人法案と大学の未来を考える国会内集会
[1] 6/13 国会情勢速報 No.19(2003.6.13)
[2] 6/12 茨城県の主婦から意見広告の会へ寄せられた意見
[3] 6/01 NPOサイコムジャパンが国立大学の法人化に向けた提言を準備
[4] 6/12 日経社説:歴史的大学改革に水を差す官僚支配
[5] 6/11 朝日・北海道「国立大学法人化「慎重審議を」ー北大教官声明書」
[6] 6/12 筑波大学教官有志から北原学長への要望書
[7] 6/12 日刊ゲンダイ:「国会でも大モメ、審議ストップ・・・」
[8] 6/12 しんぶん赤旗:国立大法人化 4学長が異論表明 国大協定期総会で
[9] 6/12 内藤正光メールマガジン:国立大学法人化法案の審議
[10] 6/11 毎日:<国立大>一橋大生ら朝鮮学校出身者の受験資格求め要望書
[11] 6/12 NIKKEI:名大、医学部の診療・研究を分離
[12] <7/06> 毎日新聞主催・サイコムジャパン協力「理系白書」シンポジウム
[12-1] 毎日新聞科学環境部著『理系白書―この国を静かに支える人々』
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行政による国会軽視が問題となり、国立大学法人法案の12日の審議は中止と
なりました[7]が、大手紙では報道はされませんでした。来週の月曜日に、櫻
井よしこさんや山口二郎さんが呼びかけ、議員会館で慎重審議を求める集会が
開かれます。主婦の方の御意見[2]や、若手研究者のNPO「サイコムジャパ
ン」の提言[3]等、新しい視点からの提言や意見が紹介されれば、真の大学改
革に向けた流れが日本社会で形成される契機となるかもしれません。
□ □ □ □ □ □
国立大学法人法案の賛否を問う国立学校全体投票第二期は本日が最終日です。
まだ投票されていない方は是非ご参加ください。(http://ac-net.org/rfr)。
なお、国会審議が新たな局面を迎えていますので、投票所を続行します。(編
集人)
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[0] <6/16> 国立大学法人法案と大学の未来を考える国会内集会
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#(詳細が確定次第、ご案内します)
6月16日(月曜日)12:30より
会場:参議院議員会館第一会議室
呼びかけ人(13日13時現在):
櫻井よしこ(ジャーナリスト)、加藤秀樹(構想日本代表)、
小林正彦(東京大学教授)、山口二郎(北海道大学教授)、
屋山太郎(政治評論家)他
市民のみなさん、国会議員のみなさん、大学の教員、職員、学生のみなさん
一世紀を越す歴史を持つ国立大学制度を完全に廃止し、新しい大学制度を設計
する「国立大学法人法案」ーーその審議が参議院文教科学委員会で進行してい
ます。衆議院での審議を通し、新制度が大学を中央官庁の直接的な指揮下にお
くことが明らかにされ、大学の自律性が高まるかどうか、疑問は深まりました。
参議院の審議では、国会審議よりはるか前に、文部科学省が国立大学に新制度
への移行準備を詳細に指揮していたことが明らかになり、行政による国会軽視
が問題となって審議が中断しています。
いま、多くの人々が国会に集い大学の将来を見据えて「法案」を論ずることは
、国会が、「法案」に対して「国家100年の計」を誤らない正しい判断をす
ることに大きく寄与すると思います。
緊急ではありますが、多くの方々が参加されますように。」
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[1] 国会情勢速報 No.19(2003.6.13)
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独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局/独立行政法人問題千葉大学情報
分析センター事務局:共同編集
○文部科学省が「おわび」文書を提出、17日にも審議再開か
12日の午前中に行われた参議院・文教科学委員会の理事懇談会では、昨日の理
事懇談会を踏まえて文科省から提出された「おわび」の文書について説明があっ
たようです。同日夕刻、再度の理事懇談会が開かれ、午前の議論をもとに文科
省は「おわび」文書を修正。これについて、共産は「了解できない」としまし
たが、他の各党はほぼ了承。大野委員長は、「異論もあるが、話を前に進めて
ほしい」として、今後の審議日程の協議が行われました。
結論として、次の定例開催日である17日(火)から審議を再開することになり
ました。今後の具体的な日程については、16日(月)の午後に行われる理事懇
談会で協議される予定です。ただし、国会の会期延長問題が提起されており、
来週の国会をめぐる動向は流動的です。
○16日(月)の午後に、緊急の国会内集会を開催
上記のような情勢の中で、16日(月)の午後に、北大の辻下徹さんや山口二郎
さんらが中心となって呼びかけて、国立大学法人法案を考える国会内緊急集会
を行うことになりました。
この集会は、与野党国会議員の方々や大学の教職員をはじめ、広く学生、院
生、市民の方々に呼びかけて行われます。開始時間や具体的な場所(部屋)は、
急ぎ具体化中だそうですが、13日午前中には決定し、詳しい案内が出される
ようです。
緊急の集会ではありますが、国会の会期末を控え、法人法案の廃案に向けて
の取り組みとしてきわめて重要となる企画です。多くの方々の参加をお願いい
たします。
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[2] 6/12 茨城県の主婦から意見広告の会へ寄せられた意見
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「読売新聞の意見広告を見て、大変驚きました。法案には絶対反対です。
私は1主婦として現在小学4年と1年の子供を育てています。進学塾も私立の
中学もない田舎の子供たちにとって、これ以上教育を受ける権利を奪わないで
下さい。 現在でさえゆとり教育の名のもと、教育内容の3割削減を強行して
いる文部科学省の考えにはついて行けません。
もっと子供たちの声を聞いてください。実際の子供たちはもっと学びたがっ
ています。大人の勝手な解釈で子供たちの学びの場を奪わないで下さい。先日、
我が家の小1の娘が「ねえ、お母さん、このまま小学校で勉強してて、大学に
行けるの?」と、聞いてきました。どうしてと聞くと、「だって簡単すぎるん
だけど、お医者さんになれる?」「塾に言ってないと無理だよね」と・・・。
自分の夢が学校の勉強だけでかなうのかと、小1にして、子供心にも思ったよ
うです。小4の息子は往復3時間もかけて首都圏提携塾に通っています。やはり
彼にも夢があり夢の実現のためには小学校の勉強だけでは無理と考えているよ
うです。塾に通い始めた頃、自分の学校では教えてくれない内容が塾ではおし
えてくれるから楽しいし、おもしろいと。また、どうして自分の学校では教え
てくれない内容がこんなにも多いのかと。いつも不思議そうに言っていました。
自分の学びたい学問を教えてくれる大学に入ること。それは産業として国益に
はつながらないかもしれませんが国立大学で自分の興味のある分野を突き詰め
ること。そんな子供たちの夢をつぶさないで下さい。他の子供たちの中にも、
同じようなことを言っている子が大勢います。公立の小・中・高から学ぶべき
ことを奪って今度は国立大学からも奪おうとしているのではないでしょうか?
もし、大学が国によって法人化されたならば、国益を最優先する学問のみに
お金が使われ、中期・長期計画というような枠の中では、国益になるかどうか
わからない学問に興味を持った子供たちはきりすてられてしまうのでしょうか?
企業のように利益を追求する団体の中においては、最優先事項だと思いますが、
学問において、この論理をあてはめるのは、絶対危険です。もし、学びたい学
問によって、学ぶ為にかかる学費が高額になれば 学ぶこと自体をあきらめな
ければなりません。子供たちの未来にとって、こんな残酷なことはありません。
日本の未来にとってもマイナスであると思われます。また、私たちが収めてい
る税金をなぜ、天下り文部官僚の理事・幹事職の給与にあてなければならない
のか。現在その職種がなくても国立大学の運営にはなんら支障がないのですか
ら、その分の予算を研究費・開発費に回してあげたほうがよほど子供たちのた
めになると考えます。
私たちのような地方に住んでいる小市民が国に対して意見を言えることなん
てないと思っていました。声にならない声がたくさんあることと思います。今
回の意見広告を見るまでは国会でこんなことが審議されているなんて知る由も
なく・・・。知らなかったというのは、おそろしいことです。意見広告を出し
ていただき有難う御座いました。影ながら支援致します。どうぞ、法案反対に
ご尽力下さいますようお願い致します。」
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[3] 6/01 NPOサイコムジャパンが国立大学の法人化に向けた提言を準備
http://researchml.org/SciCom/index.html
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「国立大学の法人化法案が衆院を通過したのを受け、いままで法人化の議論や
反対運動のなかで見過ごされてきた若手研究者や市民の立場から、大学のあり
方に関する提言を行うことになりました。現在提言作成プロジェクトを組織し、
議論を重ねております。単純な法人化反対ではなく、法人化の有無に関わらず
実現すべき課題を挙げ、具体的な提案を行います。興味を持たれた方はご一報
ください。」en7e-enk@asahi-net.or.jp
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#(サイトより転載)
「本サイトは、NPO法人「サイエンス・コミュニケーション」設立準備委員会
が暫定的に立ち上げているものです。NPO法人「サイエンス・コミュニケーショ
ン」は、社会と研究者の双方向コミュニケーションを促進すること、そのため
に大学や研究者に関わる問題の研究や政策提言を行っていくこと、を目指して
います。当面、設立趣旨書と活動目的を公開し、皆様のご意見を伺いたいと思っ
ています。ご意見は掲示板ないし榎木 en7e-enk@asahi-net.or.jp 宛のメー
ルでお願い申し上げます。」
「・・・私たちはNPOにサイエンス・コミュニケーション(科学コミュニケー
ション)という名前をつけました。本当の意味での科学コミュニケーションと
は、科学の知識を市民と共有するということで、私たちの目指す科学政策への
問題提起や政策提言は、少々その意味から外れるように感じられるかも知れま
せん。
私たちは、科学コミュニケーションを広く解釈し、科学研究にまつわる諸問
題のコミュニケーションもその範囲に取り入れました。若手研究者や市民の問
題意識を、行政や大学、産業界が共有する、それも科学コミュニケーションだ
と思っています。」
設立趣意書原案:
http://researchml.org/SciCom/document/shui.html
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[4] 6/12 日経社説:歴史的大学改革に水を差す官僚支配
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030612nikeisyasetu.html
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2004年4月の国立大学の法人化は、社会の構造変化に取り残されてきた日本の
高等教育と学術研究体制にとって、歴史的な転換点となるべきものである。し
かし、その骨格となる法案の審議過程では、大学の自立や公正な競争とは逆行
する、文部科学省の支配強化につながる可能性がいくつか指摘されている。
最大の問題は、法人化した大学への資金供給の根拠となる「評価」の仕組みで
ある。ここがあいまいで、官僚の裁量によるところが大きければ、法人化して
自立するはずの大学が、逆に資金面から文部科学官僚の支配下に置かれてしま
う。
現在でも国立大学の教育研究活動については、大学評価・学位授与機構などが
評価を実施している。多様な価値観の共存が不可欠な大学で、教育や研究の質
やレベルを客観的に評価するのはかなり難しい。基本的には大学や学部が定め
た自主的な目標とそれを達成するための計画について、その進ちょく状況を評
価するという作業が中心となる。
今回の法案でも、大学は中期目標を掲げ、実現に向け中期計画を立てる。ただ
し、中期目標を決めるのは文科相であり、中期計画も文科相が承認する。実質
的に文科省の官僚の主導で決めた目標と計画のもとで大学が運営され、その成
果を文科省の下に置く評価委員会が評価する。
大学運営の細部について、始めから終わりまで役所がこれだけ関与する制度は、
先進国には見当たらない。国立大学の法人化ではなく、「文科省立大学」への
移行ではないかという声が出てくるゆえんである。
社会の評価にさらされぬまま、大学の自治や学問の自由を盾に、既得権益の温
存をはかってきた国立大学に対する社会の批判は厳しい。はき違えた「教授会
の自治」によって、大胆な改革は進まず、研究や教育の質についての健全な競
争も存在しない。こんな国立大を改革するのに、法人化は当然の選択である。
今や大学は起業家を育てるだけでなく、ベンチャー株取得によるキャピタルゲ
インも視野に入れている。大学運営の発想も大きく変化しつつある。アカデミ
ズムの拠点、文化の発信基地としての役割も増している。多様で自律的な大学
へ、法人化の基本は推進しつつ、制度の改変にまぎれて省益だけが拡大するよ
うなことは、厳に避けねばならない。
国会の論戦では火事場泥棒などということばも登場した。民主党から修正案も
出されている。議論の場は参院に移ったが、官僚の過剰介入を防ぐ方途を真剣
に検討すべきだ。
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[5] 6/11 朝日・北海道「国立大学法人化「慎重審議を」ー北大教官声明書」
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#(最終的に14部局58名の連名で、ファックスしました。全文は以下に:
http://ac-net.org/dgh/03/610-hu-kyoukan-seimei.html )
「国立大学法人法案について、北海道大学教官有志が10日、慎重な審議を求
める声明書を参院の議長や文教科学委員らに送る。呼びかけ人の一人、理学研
究科の辻下徹教授によると、9日夕現在で51人の教官から賛同を得た。人数
はさらに増える見込みという。
声明は、法学研究科の山口二郎教授が起草した。法案の問題点として、(1)
中期計画に基く評価が大学への予算配分に反映されれば、リスクを回避し、高
い評価が得られる安易な計画作りになる(2)大学の自治が否定され、外部の
意見が大学運営に強く反映されるようになるが、大学の現場を最も知る者が改
革の責任を担うべきだ(3)大学に文部科学省の官僚が大量に天下りしてくる
のは必至。今までの教育政策への責任を負うことなしに大学の制度改革を進め
ることに憤りを感じるーーなどとしている。」
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[6] 6/12 筑波大学教官有志から北原学長への要望書
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#(鬼界さんからの通信)
「本日、私は筑波大学現代語・現代文化学系の同僚の教授一名と北原筑波大学
長と面談し、次のような要望書を手渡し、法人化に対する我々の危惧の念を表
明しました。この要望書には筑波大学人文、社会系の三つの学系から我々二名
を含む17名の教官が署名しています。
表面的には何の波風も立っていないように見える筑波大学ですが、少数では
あっても大学の明日を憂える者達がいます。署名は私達の個人的な知人を中心
に要請しただけなので、潜在的にはこの何倍もの教官が同様の憂いを持ってい
ると思います。そうした人々に少しでも勇気を与えることができれば、このさ
さやかな要望書にも大きな意義があると考えます。
筑波大学長
平成15年6月12日
北原保雄様
要望書
私たちは「国立大学法人法」(以下「法人法」)及び法人化への対応を示した
北原学長による4月18日付文書「筑波大学のさらなる発展のために」(以下
「学長文書」)の両方に疑問を感じ、以下のように3点の要望を提出いたしま
す。
よろしくご検討のほどお願い申し上げます。
要望
1.「法人法」」では、中期目標は文部科学大臣が定めるとあるにもかかわら
ず、「学長文書」は大学が自主的に中期目標を定められる印象を与えています。
この点についてより正確な説明を要望します。
2.「法人法」は学長にこれまでよりも強力な権限を与えます。このことを考
慮するならば、法人化後の学長の候補者の選考は十分な情報公開のもとに行わ
れることが望ましいと考えます。そのためには全候補者による公開討論会を開
催し、その上でこれまでどおり全教員の投票による学長選挙を実施することを
要望します。
3.「法人法」の合法的適用が不可能、あるいは極めて困難であるならば、学
長はその旨を大学内外に明らかにし、この法律の成立と実施を急ぐべきでない
ことを表明されることを要望します。
筑波大学教員有志
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[7] 6/12 日刊ゲンダイ:「国会でも大モメ、審議ストップ・・・」
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『日刊ゲンダイ』2003年6月13日号(12日発売)
国会でも大モメ、審議ストップ
何が問題なのか 国立大の独立法人化法案
国立大学に経営の独自性を与える"一大改革"として注目されてきた国立大学
法人化法案。政府は今国会の成立を狙っているが、案の定、大モメになってき
た。
名大大学院教授の池内了氏やジャーナリストの桜井よしこ氏らが廃案を訴え
る新聞の意見広告を目にした読者も多いだろうが、国会でも審議ストップになっ
てしまった。
10日の参院文教科学委員会で、民主党の桜井充議員が、文科省が"極秘"で作
成していた内部資料をバクロ。文科省が大学に独自性を与えるどころか、各研
究機関、組織にこと細かな中期計画、研究目標などの提出を求めている実態を
追及したところ、河村建夫副大臣はシドロモドロ。遠山敦子大臣の答弁も全く
要領を得ず、結局、審議はストップした。11日も再開されていないのだ。
千葉大教授の小沢弘明氏が言う。
「この法案は、大学を独立行政法人として自主性が尊重されるような名称を
つけています。しかし、実態は違います。独立どころか、研究内容や予算の中
身はすべて大臣に厳しくチェックされ、大学は今まで以上に文科省の手足にな
る。研究の自由が奪われているんです。しかも、法人化後も文科省キャリア官
僚の人事交流は続きます。独立法人化によって理事や監事といった新しいポス
トが500以上も新設されるため、天下りはさらに増えるはずです」
なんでも、文科省官僚が天下る東大の理事職は年収1900万円という。どこが
「一大改革」「行政のスリム化」なのか。小泉改革の具体的中身はデタラメば
かりだ。
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[8] 6/12 しんぶん赤旗:国立大法人化 4学長が異論表明 国大協定期総会で
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「十日から東京・渋谷区で開かれていた国立大学協会(国大協、長尾真会長)
定期総会最終日の十一日、国立大学法人化の議論が行われ、発言した学長四人
全員が法人化への異論を表明しました。
発言したのは東京外国語大学、総合研究大学院大学、滋賀大学、宇都宮大学
の各学長。
東京外大の池端雪浦学長は、文部科学省に設置される大学評価委員会のほか
に総務省も大学を評価するという法人法案の規定が、「(法案前の段階で文部
科学省が出した)最終報告のスキーム(枠組み)を逸脱するもの」と批判。
「総務省の評価とは何か、心配になっている。国会審議でもそこが大問題になっ
ている」とのべました。
総合研究大学院大の小平桂一学長は「われわれは(国立研究所などに適用さ
れた)独立行政法人通則法でなく、別の法人化がなされると希望的観測をもっ
ていた。しかし、大学の中期目標・中期計画が国に評価されるということだ。
こうしたことは予期されたのか」と問いました。
国大協執行部は、今回の総会では討議するだけで、法人化についての協会の
見解は法成立後に出すとしています。そのことを滋賀大の宮本憲一学長は「法
が通過してからのべるのは不見識だ」と批判。宇都宮大の田原博人学長は法案
には問題があるとして「このことで国立大学がどうすすむかという観点で議論
してほしかった」とのべました。批判に対して石弘光国大協副会長は「見解の
相違」と答えるだけでした。
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[9] 6/12 内藤正光メールマガジン:国立大学法人化法案の審議
http://www.mnaito.com/mailmagazine/vol_195.htm
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内藤正光メールマガジン Vol.195 (2003.6.12)
■国立大学法人化法案の審議
−国立大学のミッションとは何?−
私が所属するのは総務委員会ですが、これまで「民主党の大学改革ワーキング
チーム」の座長として大学改革に関する党内議論を進めてきたこともあり、一
昨日はピンチヒッターとして文教科学委員会における「国立大学法人化法案」
の審議に臨みました。テーマは大学改革ということで、傍聴席にはいつもと違っ
て多くの学生らが詰め掛けていました。
(問題だらけの政府原案に修正案で臨む)
政府原案に対する評価を一言で言えば、「教育研究の特性や大学自治を軽んじ、
権限やポストにおいて文部科学省の国立大学への関与をより強めようとするも
の」以外の何物でもありません。さらに、「国立大学のミッションあるいは存
在意義とは何なのか」という命題に全く応えようとしない、哲学なき法案だと
断言しても過言ではありません。
そうなってしまった理由はこうです。行政のスリム化・効率化を目的とした英
国のエージェンシー化に倣い、我が国でも数年前より行政機関から執行部門だ
けを切り離して「独立行政法人」とする“改革”が進められています。法人格
を持つとはいえ、各独立行政法人はそれぞれの所管大臣が示す目標に従って事
務作業を進めることが要求され、またその進捗具合は逐一管理されます。今回
の国立大学法人化法案が理念なきものと化した最大の理由は、まさに事務効率
の向上を目的とするこの独立行政法人化というフレームワークで大学改革を片
付けてしまおうとしたところにあるのです。
私自身、「国立大学は多くの問題点を抱え、改革は待ったなしだ」という強い
思いを抱いてはいます。しかし、教育研究を事務作業と同一視した余りの片付
け仕事振りに憤りすら感じ、民主党として修正案を提出して国会審議に臨むこ
ととしました。修正案の主な内容は以下の通りです。
(1)中期目標は文部科学大臣がつくったものを大学に押しつけるのではなく、
飽くまで各大学が教育研究の特殊性に十分配慮しながら主体的につくり上げる
べきものである。
(2)各大学の多様な発展を促していくためにも、評価については公的な国立大
学評価委員会だけでなく、学生や地域社会あるいは経済界など幅広い視点を反
映できるよう民間による第三者評価を取り入れていかなければならない。
(3)各大学に2名ずつ新設される監事ポストについては、官僚OBの天下りポ
ストにならないよう、文部科学大臣は任命に際して学内の意見を十分に聴取し
なければならない。
(4)法案の目的は「学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図るため」とある
が、それを「学術研究の水準の向上と自立的な発展を図るため」と改める。
(国立大学のミッション)
国立大学の役割とは何なのでしょうか?東大など旧帝大を思い浮かべると分か
り難くなってしまいますが、それを除く大多数の地方国立大学の役割は「出来
る限り多くの人々に高等教育の機会を与える」ということなのです。そのよう
な考え方の下、欧諸国の国立大学では授業料は無料あるいは非常に低く抑えら
れています。米国の授業料は確かに高いですが、給費を柱とする質・量ともに
優れた数々の奨学制度が完備されています。
他方、日本の国立大学の授業料は私学との格差をなくす方向で、昭和50年に
は36000円だったものが一年おきに値上げされ続け、今日では50万円に。
私学との格差も5.1倍から1.6倍へと縮小。これに加え、長引く景気低迷の
煽りを受け、経済的理由で大学進学を諦めざるを得ない人が余りに多い昨今で
す。私は、今の日本は「結果の平等」の確保のためには惜しげもなく予算をば
らまく一方、高等教育で学ぶという「機会の平等」の確保には全く無関心な、
歪んだ社会に変質しているという危惧を抱いています。
今回の法律案では、授業料の上限と下限が省令で定められることになっていま
すが、高等教育機会の確保という観点から国立大学の授業料を今後どのように
導いていくのか −私学との授業料格差をなくしていく方向での値上げを今後
も容認していくのか、学部間の授業料格差を認めるのか−について、大臣らと
論戦を交わしました。そもそも地方の国立大学のミッションについて考えたこ
ともなかったのか、最初から的を射ない答弁の繰り返しでした。執拗な追求の
末やっと出てきた答弁が、「現状の私学との1.6倍という格差を更に縮める
ような授業料値上げや学部間格差は認めない」というもの。
国立大学の授業料からは、国が高等教育をどのように考えているかというのが
如実に見て取れます。単にコストを反映させるだけならば、何も国立大学など
必要ないのです。高等教育で学ぶ機会は「機会の平等」として国が全力を挙げ
て守るべきもの、そのためにこそ地方国立大学の存在意義があるのだと考え、
民主党として今後も引き続き授業料や奨学制度の在り方について検討を進めて
いきます。
(なぜ総務省が評価?)
今回、国際的な教育研究者や地方の大学事情に精通した人達(*質疑で明らか
にした)をメンバーとする「国立大学法人評価委員会」が新設されます。同委
員会が専門的見地から各大学を評価し、以って教育研究の質の向上に向けた努
力を各大学に促していきます。しかし、その評価委員会の他に、総務省の独立
行政法人評価委員会までもが大学を評価することになっているのです。
これまで、「学問の自由」や「大学の自治」という観点から、大学への関与に
は国は極めて抑制的な姿勢を守ってきました。ところが今回の法改正に伴い、
総務省や財務省までもが大学個々の方針づくりに口出しする権限を得てしまう
のです。このことは、多くの大学関係者から批判されています。
こんな事態を生じてしまった理由は、まさに独立行政法人化の一環で大学改革
を片付けてしまおうという安易な発想にあるのです。各省庁の方針に従って事
務作業を行うだけの独立行政法人ならば、総務省や財務省の関与は当然と言え
ましょう。しかし、大学は単なる事務執行機関ではないのです。そこで審議を
通じて、総務省の大学への関与を極めて限定的なものとするよう釘を刺してお
きました。
未だ未だ書きたいことは沢山あるのですが、取り合えず今日はこの辺りで終え
ておきます。来週も文教科学委員会の審議に臨みますので、改めて報告します。」
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[10] 6/11 毎日:<国立大>一橋大生ら朝鮮学校出身者の受験資格求め要望書
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毎日新聞ニュース速報[2003-06-11-20:57]
国立大学が朝鮮学校など民族学校出身者の受験資格を認めていない問題で、一
橋大(東京都国立市)の学生らが11日、04年度の入試から受験を認めるよ
う求めた要望書を、学生、教員ら約1000人の署名とともに石弘光学長に提
出した。
要望したのは「民族学校出身者の一橋大への受験資格を求める連絡協議会」。
代表で一橋大大学院生の鄭栄桓(チョンヨンファン)さん(22)らは「私立、
公立大は大学独自の判断で受験を認めている。内外から多くの批判を受けてい
る文部科学省の方針に、なぜ従う必要があるのか」などと大学側の姿勢をただ
した。要望書を受け取った杉山武彦副学長は「後日、大学側の考えを回答する」
と答えた。
民族学校の受験資格問題では、文科省がアジア系学校を除外する方針を打ち出
そうとしたため、関係者の批判が相次ぎ、再検討している。文科省は今夏をめ
どに新たな方針を出す見通し。【磯崎由美】
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[11] 6/12 NIKKEI:名大、医学部の診療・研究を分離
NIKKEI NET 2003年6月12日付
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名古屋大学は来春をめどに医学部の診療部門と研究部門を分離、付属病院の独
立性を高める組織改革に乗り出す。付属病院の予算執行権や人事権を学部長か
ら病院長に移管する方向で調整する。来春の独立行政法人化で迫られる大学
病院の“自立”に向けた先駆けとなる改革で、国公立大学が医学部の「診療」
と「研究」を分けるのは全国で初めて。
組織改革と並行して、患者が医師を選びやすいよう所属医師の医療成績をホー
ムページで公開することも検討する。名大の病院改革は付属病院を抱える他の
国公立大学に影響を与えそうだ。
改革の基本的な考え方は、大学病院の医学部付属という位置付けの見直し。医
療現場で患者の診療にあたる「臨床系」と、研究活動に従事する「基礎系」を
分離することで、付属病院の「片手間診察」を一掃し、所属医師が診療に専念
できる環境をつくる。 (07:00)」
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[12] <7/06> 毎日新聞主催・サイコムジャパン協力「理系白書」シンポジウム
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日時:7月6日午後1〜5時
主催:毎日新聞科学環境部
協力:NPO「サイエンス・コミュニケーション」(サイコムジャパン)
場所:「毎日ホール」(営団地下鉄東西線竹橋下車)
参加(無料)事前登録が必要:締切6月25日
問合:事務局(03-3212-0257)
詳細:http://researchml.org/SciCom/document/hakusyo.html
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[12-1] 毎日新聞科学環境部著『理系白書―この国を静かに支える人々』
ISBN 4062117118 (講談社, 本体1500円 )
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062117118/
詳細:http://researchml.org/SciCom/document/hakusyo.html
第1章 文系の王国 11
第2章 権利に目覚めた技術者たち 33
第3章 博士ってなに? 47
第4章 教育の現場から 74
第5章 理系カルチャー 107
第6章 女性研究者 139
第7章 失敗に学ぶ 167
第8章 変革を迫られる研究機関 195
第9章 研究とカネ 233
第10章 独創の方程式 255
第11章 文理融合 283
「課題を聞く」コーナー:
サミュエル・コールマンさん〈文化人類学者〉−−官僚が国を腐らせる−−
常石敬一さん〈神奈川大教授〉−−科学者も社会の一員−−
田中耕一さん〈島津製作所フェロー〉−−失敗を面白がろう−−
山本孝二さん〈文部科学省科学技術・学術政策局長〉−−研究開発にも競争を−−
倉地幸徳さん〈産業技術総合研究所・ジーンディスカバリー研究センター長〉
−−公正なカネ配分と若手支援を−−
阿部博之さん〈前東北大学長〉−−米国追従から脱却を−−
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
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