集中講義 6/13 メモ
資料:http://arxiv.org/abs/1204.2193
1 序
1.1 テーマ
- 問:無限集合なしで数学ができるか?
- 無限集合=「確定した無限」、確定した自然数集合( the N )
- 無限集合=「確定した無限」、確定した自然数集合( the N )
- 答:YES
- 超準数学を現代数学から独立させれば
- 超準数学を現代数学から独立させれば
1.2 問いの理由
- the N がもたらす歪み
- the N => 確定した実数 => 宇宙の完全記述(現実の数学化)
- (Weyl) Existence Absolutism
- 存在するものは認識とは関係なく細部まで確定している。
- 存在するものは認識とは関係なく細部まで確定している。
- the N => 確定した実数 => 宇宙の完全記述(現実の数学化)
- the N の数学的正当化はすべて失敗
- スコーレム・レーベンハイム
- ゲーデルの不完全性定理
- スコーレム・レーベンハイム
- 現実的可能性と原理的可能性の混同の歪み:パリクの定理
- 日常的な無限感覚との乖離
- measuring infinity vs cardinal infinity
- measuring infinity vs cardinal infinity
- 連続体は無限集合か?
1.3 無限集合の正当化
- 無限集合の存在は公理
- 非可述的定義:自然数全体の集合
- 選択公理
1.4 超準解析
- 半世紀の総括:現代数学は超準解析で展開できる。
- 無限小を使う微積の復活
- Nelson: Radically Elementary Probability Theory
- Loeb measure
- 無限小を使う微積の復活
- 超準解析の概要:
- 用語「標準的」を導入
- 「標準的」の意味:現実的、具体的、到達可能等(vague)
- vague な「標準的」を精密に使う
- 標準的な数の全体は集合をなさない:さもないと砂山の逆理.
- (IST):T転移公理, I理想化公理, S標準化公理
- 標準的な数の全体は集合をなさない:さもないと砂山の逆理.
- 用語「標準的」を導入
- 超準解析の問題点
- 現代数学に固執(conservative extension)
最終的に非標準的なものを消去
- 形式系に強く依存
- 数理論理学を学ばないと適切に使えない
- 大学初年級教育で使えない
- 数理論理学を学ばないと適切に使えない
- 現代数学に固執(conservative extension)
- 1980年代: 現代数学から独立した超準解析
- Reeb : 超有限概念 + 溢出原理 overspill principle
- Vopenka: 半集合 Alternative Set Theory
- Reeb : 超有限概念 + 溢出原理 overspill principle
2 基礎
2.1 自然数 N
2.2 到達可能数
- ある決められた方法で具体的に構成できる自然数
- 主な例:
- 棒記号で実際に表される数.
- 十進法で実際に表示できるもの.
- べき記号を使って実際に表示できるものより小さい数.
- Peano の公理系で具体的に記述できるもの.
- 棒記号で実際に表される数.
- 主な例:
2.3 公理1
- 1 は到達可能
- 到達可能数は和・積で閉じている.
- downward closed x が到達可能 => xより小さい数も到達可能
2.4 公理2(砂山の公理): 到達可能ではない数が存在する。
- 記号: x ≫ 1
2.5 整数 Z
2.6 有理数 Q
- 無限小
- 有界
- 識別不能性
- r≺s, r≾s
2.7 クラス・集合
- クラス
- 集合
- プロパクラス N,Z,Q
- 確定条件: ∀x∈y.P(x), ∃x∈y.P(x),
- 部分クラス: 例:3Z ⊂ Z, 反例: Z ⊂ Q
- 部分クラス: 例:3Z ⊂ Z, 反例: Z ⊂ Q
- 客観的条件: 到達可能性を使わない条件
- 公理3(分離公理):客観的確定条件は集合の部分集合を定める。
2.8 半集合:集合に含まれるクラス
- プロパ半集合:集合ではない半集合
- プロパ半集合の環境集合
- 例:到達可能数全体 ⊂ [1..Ω]
- 例:無限小なi/Ωの全体 ⊂ [1/Ω,2/Ω,..1]
2.9 溢出定理:プロパ半集合で成り立つ客観的条件はある環境集合の全要素について成り立つ。
2.10 関数:f : X → Y: 客観的かつ確定的に定義されるもの
(合成可能性は要検討)
2.11 公理4(拡張公理). 半集合から集合への関数は
環境集合上の関数に拡張できる.
- 系.半集合から集合への関数全体はクラスをなす。
2.12 公理5(強帰納法)帰納的確定的客観的条件はN で成り立つ。
2.13 公理6(弱帰納法)弱帰納的確定的条件は到達可能数についてなりたつ。
Pが弱帰納的とは P(0) かつ ∀accn ( P(n) ⇒ P(n+1))
3 連続体と位相
3.1 Sorites relation
- 定義
- 推移的 長さ3の鎖の両端が同値
- 強推移的 任意長の鎖の両端が同値
- 弱推移的 到達可能長の鎖の両端が同値
- 推移的 長さ3の鎖の両端が同値
- 命題.
- 推移的ならば弱推移的(弱帰納法)
- 客観的ならば、推移的なら強推移的.
- 推移的ならば弱推移的(弱帰納法)
- 定義
- 強同値関係: 同値関係で強推移的なもの(R が客観的なら通常の同値関係)
- 弱同値関係: 主観的同値関係
- Sorites関係: 強同値関係ではない同値関係
- 強同値関係: 同値関係で強推移的なもの(R が客観的なら通常の同値関係)
3.2 Sorites 列: 両端が同値でない鎖
3.3 連続体:(クラス,≈) (≈:弱同値関係、識別不能性)
- 網連続体:(半集合,≈)
- 剛網連続体:(集合, ≈)
- 点:≈-同値類
3.4 例
- R = (Q,≈):線状連続体
- (X,d,≈):距離連続体( d:距離), x≈y <=>d(x,y)≈0
- (εZ, ≈):
- 区間連続体 [0,1]Q, (0,∞)Q
- 区間網連続体 (0,1)ε, (0,∞)ε
- 区間剛網連続体 [0,1]ε
- 直積連続体
- (V,E):連結グラフ,Ω ≫ 1 ⇒ (V,d/Ω,≈): 剛網連続体
3.5 射 f:(C,≈) → (D,≈)
- f: C→ D が連続 ⇔ x ≈ y ならば f(x) ≈ f(y)
- f ≈ g ⇔ ∀x∈C: f(x) ≈ g(x) (確定的でない)
- (C,≈) から(D,≈) 2への射: 連続関数の「同値類」
- 同型射:(C,≈) ≅ (D,≈)
- 例:R ≅ (εZ,≈), [0,1] ≅ [0,1]ε
- 例:R ≅ (εZ,≈), [0,1] ≅ [0,1]ε
3.6 稠密な部分集合
3.7 位相概念
- 方針:「標準的」に依存する概念を使わない
- 例:X が標準的なとき
- X が閉 ⇌ Xで近似できる標準元 ∈ X. 「∀st y ∀x ( y≈x∈X なら y∈X)
- X が開 ⇌ Xの標準的元に無限小に近い元 ∈ X 「∀st x ∀y ( y≈x∈X なら y∈X )
- 例:X が標準的なとき
- 点列の収束: ∃hugeN ∀hugei,j ≤ N ai ≈ aj
- xが部分集合Bの集積点とは x∈B またはxと識別不能なBの個数が巨大.
- x が孤立点: y≈x なら y=x
- C が完全 <=> |C|は孤立元を持たない。
- C がコンパクト <=> 任意の巨大数N について要素数がっ N 以下の稠密部分集合がある。
- 定理. Cがコンパクトならば |C| の巨大部分集合は集積点を持つ。
- 定理. Cがコンパクトならば |C| の巨大部分集合は集積点を持つ。
3.8 距離連続体の位相概念
- (X,d,≈) が距離連続体 とは x ≈ y <=> d(x,y) ≈ 0.
- 具体的点列
- 収束 (εδ的条件と同値)
- コーシー列
- 収束 (εδ的条件と同値)
- 定理. 距離連続体は完備である。
- 定理. コンパクトな剛網距離連続体の具体的点列は集積点を持つ。