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国立大学独立行政法人化問題 週報 Weekly Reports  No.10  2000.5.15 Ver 1.01


目次

[10-0]発行者より ◆ 政府 [10-1]自民党政務調査会の提言「これからの国立大学の在り方について」 [10-2]文部省の独立行政法人化決定報道(東京新聞・朝日新聞) ◆ 大学 [10-3]北大法学研究科政治講座7教授アピール「泊3号機増設計画知事判断の延期を」 ◆論説 [10-4]福家俊朗氏「独立行政法人の虚像と実像−−問題の本質と行政の公共性」 法律時報72巻5号p1-4. ◆発行者の意見 [10-5]国立大学法人概説

■■■ 本文 ■■■


[10-0]発行者より

---------------------------------------------------------------------- 自民党の最終的な提言[10-1]が出ました。行革本部の意向で特例措置は形骸化 し、大学の意向はすべて無視されたと言ってよいものになりましたが、文部省 は国立大学協会の同意を待たずに提言に従って国立大学法人化を決め、5月2 6日に国立大学学長会議を召集して方針を示し具体的作業に入ると報じられて います[10-2]。 最後の正念場が来たようです。国立大学を国策大学に退化させるのを回避すべ く国立大学全体が連帯しなければなりません。国立大学法人化の解説[10-5]を 書いてみましたので参考にしてください。 北大大学院法学研究科政治学講座7教授のアピール[10-3]は、国立大学と国策 大学の違いをわかりやすく示し国立大学法人化を白紙に戻す契機になった、智 慧と勇気に満ちた英雄的行為として、歴史に長く記憶されるものと予感します。

◆ 政府

[10-1]自民党政務調査会の提言「これからの国立大学の在り方について」(2000.5.11)

http://www.jimin.or.jp/jimin/saishin2000/seisaku-010.html 2000.3.30提言と2000.5.11提言(2000.5.9提言と本文は同じ)の違いの対照表が http://www.asahi-net.or.jp:80/‾bh5t-ssk/net/jiminhikaku.html にありますが、性格が大きく変わりました。 ・「大学の存廃など中長期的在り方に関しては、国がより大きな責任を負うべき である」 ・「学長選考に<タックスペイヤー>たる者を参加させるべきである」 ・「国大を法人化した後も、国は相当な関わりを持つ必要がある..この点、独 立行政法人制度の仕組みを活用することは適切な方法と考えられる」 等を明言しています。公務員型になるかどうかも3月30日の提言と同じく白紙 のままです。

[10-2]文部省の独立行政法人化決定報道(東京新聞・朝日新聞)

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/00513-monbu-houdou.html 「(朝日)国立大学の設置形態をめぐる問題で、文部省は12日、99大学すべ てを国の直轄運営から切り離し、独立した法人とする方針を決めた。..「法 人化すれば様々な規制を取り除くことができ、自治も損なわれない」と判断し たためだ。文部省は、近く学長経験者らを集めた懇談会を開いて考えを確認し た上で、今月下旬に国立大学長会議を招集し、方針を表明する。 法人化の問題をめぐっては、有力大学を中心に「法律で一定の配慮が示され れば法人化を受け入れられる」という意見がある一方、学問の衰退につながる として「絶対反対」を主張する大学も多い。文部省は、こうした現状で国立大 学協会(会長=蓮實重彦東京大学長)が意見を統一するのは困難と判断し、 「見切り発車」の形で法人化を決定することにしたという。」

◆ 大学

[10-3]北大大学院法学研究科政治講座7教授アピール「泊3号機増設計画知事判断の延期を」

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/00512-hu-tomari.html (北海道新聞5月13日) 「北電泊原発(後志管泊村)3号機増設計画をめぐって北大の研究者有志が1 2日、同計画を容認するかどうかの堀知事の最終判断を、3年程度凍結するよ う求める緊急アピールを知事あてに提出した。  アピールを提出したのは北大大学院法学研究科政治講座の神原勝、新川敏光、 田口晃、中村研一、古矢旬、宮脇淳、山口二郎の7教授。  アピールは、知事判断の凍結期間を「原発モラトリアム(猶予期間)」とし、 昨秋の茨城県東海村での臨界事故などを契機に大きく変化する原子力行政の流 れや、風力などの新エネルギーの技術開発の進展を見極めるべきだ−−と提案。 その間の最大電力需要の増加量30万キロワットは、北電が後志管内京極町に 計画している揚水発電所(2010年までに60万キロワット)の着工前倒し で対応可能であるとしている。  さらに、モラトリアム後の判断にあたっては道民投票の実施を求めている。」

◆論説

[10-4]福家俊朗氏「独立行政法人の虚像と実像−−問題の本質と行政の公共性」

法律時報72巻5号p1-4. http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/index.html#fuke 「独立行政法人化の最大の狙いである経済的効率を図るため、非民主的ないわ ゆるトップダウン方式の「大学経営」構造は維持されたままである。このよう な枠組みの下では 、国立大学の貧困な予算や施設の現状、および、重点化や その他の経済的効率化を梃子にした教職員の多忙化を、放置し増進することは あっても解消するとは考えにくい。それゆえに、21世紀に向けた国民的課題 に立ち向かうためにも不可欠な学問・研究のみならず高等教育自体の充実の展 望を、独立行政法人化に見いだすことは困難である。むしろ、「経営的観点」 が、教職員のリストラと授業料の値上げや格差を肯定し、ひいては国民の高等 教育を受ける権利を無視する可能性の方が大きい。」

◆発行者の意見

[10-5]「国立大学法人概説」より

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/00514-dgh.html --目次--------------------------------------- 前書き 1. 経緯 2.「国立大学法人」とは何か 3. 政治的背景 4. 国立大学法人化の意義 5. 国立大学法人化の代償 6. まとめ:表面化した危機の諸相 終わりに --------------------------------------------- ・前書きより 国立大学法人化への危惧の声は多方面から上っていますが、吉野川可動堰の住 民投票ほどの力もなく、予断を許さない状況です。一昨日(5月13日)には ついに文部省が国立大学協会の合意を待たずに法人化へ見切り発車を決意した と報じられました。しかし、東大を始めとして大多数の大学は慎重な姿勢を変 えておらず、少数の大学の浅慮が国立大学全体を国策大学に退化させることは ないと信じています。 ・終わりに、より 国立大学法人化の動きを一旦白紙に戻すこと−−これが目下の最優先事項です。 その上で十分時間を掛けて、入試廃止を含め大学の在り方を根底から考え直し、 学問と教育の自由を支えるための運営の自由を獲得する手段としての法人化も 含めて、真の大学改革を目指して努力を開始しなければなりません。少なくと も選挙が終わるまでは判断を中断すべきであると思います。

◆その他の資料

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◆謝辞

以下を主な情報源としています。 ・全大教近畿速報 http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/index.htm ・メーリングリスト高等教育フォーラム he-forum http://www.dango.ne.jp/fuj/mlopen.htm ・メーリングリスト大学改革情報 reform http://www.edugeo.miyazaki-u.ac.jp/reform/reform-ML.html ・メールマガジン【行政・政治・団体ホームページ更新情報】 http://www.urban.ne.jp/home/space/mag.htm ====================================================================== 発行者: 辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp homepage:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/tjst/ バックナンバー http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/backnumber.html 掲示板: http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/room.bbs 発行部数(2000.5.15現在) CocodeMail:239 / Mag2:352 / Pubzine:25 /Macky!:15 / emaga 19 /直送 約 200 ===================================================================== End of Weekly Reports No.10 2000-5-15 **この週報は発行者の個人的な意思で行っています** ===================================================================