Subject: [kd 02-12-01] 学術会議改変案パブリックコメント〆切12月3日
From: TSUJISHITA Toru
Date: Sun, 01 Dec 2002

国立大学通信 2002.12.01

パブリックコメント(日本学術会議改変案)応募〆切12月3日
http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/gakujutsu/iken.html

推薦文書:西谷 敏「学術会議の将来に関する雑感」
学術の動向(2001.5)論壇 p 42ー46
http://ac-net.org/doc/01/615-nishitani.shtml

「・・・私は、上述の代表性、独立性、そしてさらに付け加えれば民主性(多
数科学者の意見を学術会議の見解に反映させる民主的な手続)は、相互に不可
分であり、かつ日本学術会議の最も基本的な性格を形成する要索であると考え
る。これらの点に重大な変更が加えられるならば、日本学術会議の名前は残っ
ても、実質的にはまったく別個の機関になると考えざるをえない。そこで、日
本学術会議として、いかなる制度改正がなされるにしても、最低限こうした代
表性、独立性、民主性が保持されるべきことを強くアピールすべきであると考
える。・・・」

--[begin kd 02-12-01 ]------------------------------------------------
            日本学術会議の在り方について(中間まとめ)
       http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/gakujutsu/middle.pdf


					  平成14年11月11日
					  日本学術会議の在り方
					  に関する専門調査会


1.科学者コミュニティの果たすべき役割

○科学技術の目覚しい進歩によって、先進諸国は豊かな生活と長寿を獲得した
が、世界の未曾有の変化に対処しつつ、更なる発展を図っていくことが求めら
れている。他方、科学技術の負の側面が明らかとなり、対応をあやまれば人間
社会と地球環境を脅かす存在となりうることが判明した。

○21世紀の人類社会が引き続き持続的発展を維持し、また地球規模で直面する
諸課題を克服していくためには、新たな知識の創出とそれを有効に活用する英
知が必要である。21世紀は知識を基盤とした社会となり、科学が社会の課題解
決に貢献し、社会を先導していくこととなる。

○ことに今後、科学技術が生活に深く浸透し、人間と社会に対する影響力をま
すます強めていくことが予想される中で、自然科学のみならず、人文・社会科
学を含めた科学技術者のコミュニティ(以下、科学者コミュニティという)が
その力を結集して、科学技術の進展を方向づけるとともに、人類社会の課題に
先見性をもって対処するための助言を行う役割は一層重要となる。

○このため、科学者コミュニティは、アカデミーの場を通じて、社会とのコミュ
ニケーションを図りつつ、幅広く科学者の知識・意見を集約し、また、他国の
科学者コミュニティと連携・協力し、長期的視点、人文・社会科学を含めた総
合的な視点、及び国際的な視点から行政、社会に広く情報提供や助言をするこ
とにより、科学的観点から時代を先導する役割を一層発揮していくことが必要
である。

○なお、西欧各国のアカデミーも科学者コミュニティの力を結集し、科学の水
準の向上の追及、社会と科学界のコミュニケーション等の役割を果たしており、
また今日、各国のアカデミーとも互いに連携・協力しつつ、人類社会の新たな
課題に対処しようとしている。

2.日本学術会議の役割

これまで、我が国においては、科学者コミュニティの代表としての一定の役割
を日本学術会議が担ってきた。

今後、上述の現代社会において科学者コミュニティに期待される役割に対応し、
新しい日本学術会議は以下のような基本的な役割を果たしていくべきである。

@あらゆる分野の科学者の交流・情報交換と各国の科学者との連携・交流を通
じた科学の水準の向上追求。

A政府に対する情報提供・助言を通じた科学技術政策への寄与及び一般行政へ
の科学の視点の反映。

B社会への科学に関する情報発信と、社会の側にある意見や要望を科学の側に
的確に伝えるという、双方向コミュニケーションの実現。

日本学術会議がこのような役割を充分に果たしていくため、その具体的機能、
政府との関係、組織の在り方などについて以下のように定める必要がある。

3.機能

(1)基本的機能

日本学術会議の役割を実現するために、以下の基本的機能が必要である。

@科学に関する連絡・調整機能

ア.我が国科学者コミュニティの中核として、人文・社会科学、自然科学を問
わず、第一線の研究者を中心に情報を交換し、意見を集約していく機能。

・この機能を十分発揮するためには、機動的に、かつ分野を越えて研究者が情
報を交換できる体制の整備が必要である。

イ.各国の科学者との連携・交流強化のための科学に関する国際交流機能。

・国際交流活動のうち、日本学術会議の特性を活かし、分野横断的な国際会議
への対応や国際機関との交流を充実していくべきである。

(専門分野ごとの国際会議については、出来る限り各学会に委ねるべきであ
る。)

A政策提言機能

○科学技術政策を中心に広く政府に対し、長期的観点、人文・社会科学を含む
総合的な観点、および国際的な観点から、科学者の視点に立って、提言(自発
的意見表明としての「提言」(狭義)、諮問を受けての答申、及び調査研究報
告等)を行う機能。

・個別提言に当たり、関連する科学者の意見を広く聴取し、提言の科学的水準
や中立性により、その権威を高め、政府や社会に尊重されるようにすることが
必要である。

・この機能を有効なものとするためには、提言に当たって、緊急的課題や、従
来の学問領域を越えた新たな課題に機動的に対応し、時宜を得た提言がなされ
る必要がある。

・日本学術会議は提言等を公表し、その実施状況を把握する。実施状況把握の
一環として、政府も提言への対応について日本学術会議に定期的に説明し、こ
れを公表することとする。

B社会とのコミュニケーション機能

○高度化・複雑化する科学技術活動について、国民にわかりやすい形で発信す
るとともに、科学的知識や考え方の普及を行い、あわせて、社会から科学技術
に対する意見や要望を的確に汲み取り科学技術活動に反映していく機能。

・科学技術と社会の関係に係る現在の課題を的確にとらえて、コミュニケーショ
ン活動の課題として取り上げていくことが必要である。

・コミュニケーション機能を充分に果たすためには、日本学術会議での議論の
過程を公開することが必要である。

・社会と日本学術会議とのコミュニケーションの機会を広く設けるべきである。

(2)その他の機能について

○政策提言機能を充分に、かつ機動的に発揮するため、充実した調査・研究機
能が必要である。

○他国のアカデミーがもつ栄誉授与機能は、現行の日本学術会議は担当してい
ないが、我が国では他に担当することがふさわしい機関が存在しており、現役
科学者中心の集まりである日本学術会議が担当することは今後も適当でない。

○研究助成機能については、現行の日本学術会議は担当していないが、第一線
の現役研究者中心の集まりである日本学術会議が、機関として研究助成機能を
担当することは今後も適当でない。これに関連して、現行の日本学術会議が行っ
ている科学研究費補助金審査員の推薦については、再検討する必要がある。

(3)総合科学技術会議との関係

○総合科学技術会議は、閣僚と有識者議員が一同に会して科学技術に関する政
策形成を直接行う役割を担う。日本学術会議は、ボトムアップ的に科学者の意
見を広く集約し、科学者の視点から中立的に政策提言を行う役割を担う。こう
した役割分担に沿って、両者は、「車の両輪」として我が国の科学技術の推進
に寄与するものと位置付ける。

○両者の関係をより明確に整理する観点から、総合科学技術会議の所掌事務と
重複し、また利害関係が生じ得るような各年度の交付金、補助金等の予算及び
配分、予算編成の方針等に係る具体的な事柄については提言事項に含めないこ
ととする。

4.組織・機構

組織・機構に関する事項の中には、内部決定事項とすべきものもあるが、上記
2の機能を充分に発揮する上で望ましい基本的な方向を提言する。

@会員の選出方法

○日本学術会議がその機能を充分に発揮するためには、科学の第一線の状況を
よく知る研究者を中心に、科学に関する業績を有し、かつ、科学者コミュニティ
の代表としての日本学術会議の使命と役割を十分理解している者を会員とすべ
きである。

○欧米主要国のアカデミーにおいても、会員の資格は優れた科学的業績を有す
ること等を中心としており、このため現会員による推薦・投票等により会員を
選出している。

○ 日本学術会議においても、現会員による選出( いわゆるco-optation)を
基本としつつ、新分野からの選出や多様な会員構成を可能とするための方策を
組み合わせるなど、適切な選出方法を検討することも考えられる。会員による
選出にあたっては、候補者に関する情報を幅広く収集する工夫、選考基準の明
確化などに留意する必要がある。また、科学に関する知識・意見の集約を幅広
く行うため、産業人や若手研究者、女性研究者、地方在住者など多様な会員が
業績、能力に応じて適切に選出されるようにすべきである。

A会員任期

○上記のような会員選出方法を採用する場合には、全会員が一斉に交代する現
行の「期制」は必ずしも適当ではない。しかし、長期在籍会員や高齢会員が増
加して、会員構成が硬直化し、活動が害われることのないよう、例えば定年制
や会員ごとの任期制の導入などの措置を考慮すべきである。

B部門

○現在の7 部門制は、設立当時の科学諸領域を反映したものであり、一定の役
割を果たしてきたと思われる。しかし、これに固執することは、科学の進歩発
展により台頭してきた新分野、融合分野を取り込むための柔軟性を欠くことに
なり、何らかの対応が必要である。

○上記の観点から、科学の新分野の成立や分野の融合に柔軟かつ的確に対応で
きるよう、例えば文科系、理科系の2 部門制あるいは文科系、理工系、生命科
学系の3 部門制など大くくりにするとともに、個々の部門や部門内の領域の定
員を固定することなく、科学の発展や変化に合わせ柔軟に変更できる仕組とす
べきである。

C運営体制

○会員の選出、会長・副会長等の選出、活動の基本的方針の策定、部門等の改
廃など、日本学術会議の組織や運営に関する重要事項を審議し決定する場は、
全会員からなる総会とすべきである。また、総会には長期的、総合的視点から
会員の知識や意見を集約することも期待される。

○これとともに、緊急的課題等にも機動的に対処できるよう、迅速な意思決定
が可能な運営体制を確立することも必要である。

このため、例えば理事会等の執行機関を設ける、一定の事項につき総会決定に
より意思決定を委任する等の方策を講じ、従来の「総会主義」に陥らないよう
にすることが必要である。

○執行部の役員については、計画的な業務運営等の観点から一定の任期を定め
るべきである。

D連携体制

○今後の日本学術会議には、科学の進展に柔軟に対応しつつ科学者コミュニティ
や科学者の間の連絡・調整を行うこと、多様な課題に関して適確に水準の高い
提言を行っていくこと、その基礎として調査研究機能を充実させること、及び
社会とのコミュニケーション活動を充実することが求められている。これらの
要請に適切に対応していくためには、活動内容や課題などに応じて広く会員以
外の科学者と連携して活動できるような体制を構築すべきである。

○このため、科学の新しい課題や社会的使命に関する連携や学協会との連絡調
整等に対応して、内外の「連携会員」(後述)や会員以外の科学者を含め、適
切なチーム体制を編成して機動的に対応するなどして、連携体制の充実を図る
べきである。

E会員の種類と数

○会員については、上記の方法によって選ばれた(狭義の)「会員」とともに、
緊急課題や新たな課題に柔軟かつ迅速に対処できるよう、「会員」とともに日
本学術会議の機能を担うものとして、「連携会員」(仮称)を設ける。「連携
会員」は学会や「会員」からの推薦等を踏まえ、日本学術会議が課題に応じて
適任者を選び、任期を定め任命する。「会員」を退任した者を「連携会員」と
することも可能とする。

○一定数以上の外国人研究者を「連携会員」とするものとする。

○「会員」の数は、総会が合議体として機能し得る規模を考慮すると、ほぼ
200〜300 人程度を基本とすることが適当であろう。

○なお、Dに述べたとおり「会員」、「連携会員」等の枠にとらわれることな
く、課題に応じて最適なチーム体制をとるなど、柔軟かつ機動的に対応できる
連携協力体制をとるべきである。

F事務局体制について

○日本学術会議の機能を充分に発揮するためには、会員等の活動を支援する事
務局の専門的な調査研究機能等の補佐機能の充実が必須である。

○このため、任期付任用や外部委託等により、産学の優れた人材を積極的に活
用し専門的人材の充実を図る。その場合、若手研究者等がキャリアパスの一環
として積極的に参加できる仕組の構築が望ましい。

○あわせて、人事運用の工夫により専門的職員の養成を検討すべきである。

G評価体制

○日本学術会議の活動状況や運営について内外の有識者により外部評価を行う
仕組みを導入することが考えられる。

5.設置運営形態等

○日本学術会議が上述の機能を充分に発揮できるようにするため、活動の中立
性・独立性やより弾力的な運営を確保するとともに、広く行政や社会に信頼を
もって提言を受け入れてもらうことの重要性や科学に関する連絡や提言を行う
という事務の特性に十分配慮しつつ、より独立した設置運営形態について引き
続き検討する。政府内の所管についても必要な機能等を勘案しつつ、さらに検
討する。

・なお、会員及び事務局職員の身分についても、これらの検討と併せて検討す
る必要がある。

○政府の予算措置により財政基盤を確保するとともに、政府等からの依頼を受
けた調査等も含め、多様な活動を通じ、経費をまかなうことを可能とする。

6.移行措置

新たな日本学術会議について、本報告の趣旨に沿って、かつ、円滑に設置・運
営が行われるよう、次のような移行措置を講ずるものとする。

○初回の新会員選出は、以後の日本学術会議の在り方を決定的に左右するもの
であることから、極めて重要である。例えば有識者からなる推薦委員会を設け、
幅広く情報を収集した上で、4.@会員の選出方法に述べた観点に立って、適
切に新会員候補を選出する方法が考えられる。

○上記手続を含め、新組織への円滑な移行が遺漏なく行われるよう、新たな日
本学術会議の設置までには必要な準備期間を十分に確保するものとする。この
場合、現行会員の任期延長についても考慮する必要がある。

--[end kd 02-12-01 ]------------------------------------------------

#(戦前、科学者集団が軍事研究に動員され協力したことへの反省から、科学
者が将来再び利用されることを防止することも使命の一つとして、政府への勧
告権を持つ国家機関として、日本学術会議は設立された。中間まとめが、日本
学術会議の使命の中の、この重要要素について触れていないのは、検討のスタ
ンスが極めて偏った一面的なものであることを示している。

現在、少数の巨大企業による科学・技術の知識支配が進行しており、昨年以降、
軍事研究に科学・技術が動員される恐れが再び高まっている国もある。日本で
も、企業と政府が一体となって、私的利害の目的に科学研究を利用する動向が
露骨に強まる中で、日本学術会議から勧告権を奪うことは思慮に欠けることで
はないか。それどころか、科学研究の人的資源を利用しやすい法的環境を整備
しようとしている勢力が、日本学術会議の在り方に関する専門調査会にも影響
を与えている懸念もある。)

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編集発行人:辻下 徹 tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp 
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