通信ログ
国公立大学通信 2003年5月4日(日)

--[kd 03-05-04 目次]-----------------------------------------------------
[1]首都圏ネット「4.17国大協法人化特別委員会「議事メモ」が明らかにするもの」
 [1a]第13回国立大学法人化特別委員会(2003.4.17)(議事メモ)
  [1a-1]国立大学法人法案について
  [1a-2]国立法人化に関する今後の対応について
 [1b]学長説明会(7地区)における質問事項について
 [1c]法制化対応グループ:「国立大学法人法案」に対する見解 15・4・17
  [1c-1] (再録)「国立大学法人法(仮称)」閣議決定までの対応
[2]一橋大学教職員組合から石学長への要望書 2003.4.15
[3]豊島耕一「文部科学委員会は「審議」をしていない」
[4]毎日「<基礎科学研究>遠山文相に推進求める提言 国立大の代表者」
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国大協法人化特別委員会の「法制化対応グループ」は、法案概要公表直前の1
月16日と24日に文部科学省と打合せて[1c-1]「法案概要は最終報告と違わ
ない」というレポートを作成しました。4月17日の「法案と法案概要の違い
は問題ではない」とするレポート[1c]も同様に作成されたのでしょうか。

この2ページのレポート[1c]は、学部・研究科・附置研究所が省令等に記載さ
れなくなったこと以外に、法案概要と法案の実質的な違いはない、と断言して
います。しかし、数ページの概要と、数百ページの法案および関連法案との違
いについて、その様な言いよう自身が的外れでしょう。実際、3月に各地区の
説明会における学長の質問リスト[1b] には55項目が記載されていますが、
これらは概要段階では隱れていた問題点にかかわるものがかなりあります。た
とえば、

   「大学の設置は「国の意思」とのことだが、役員会の審議事項で
    ある(大学の)設置・廃止との関係は」

という質問は、法人役員会の審議事項に「大学の設置・廃止」があることが法
案で初めてわったことにかかわるものです。

また、このレポートが、唯一の実質的違い、としたことについて「国の責任は
学部等の組織を中期目標に記載することとすれば同様に果たされるものと考え
る。」と述べていますが、この「対策」は、[kd 03-05-01-2] で紹介した小林
正彦氏の論説「学内組織を中期目標・中期計画に載せてはならない」(*)が指
摘しているように重大な思い違いがあり、国立大学法人制度が実現した場合に、
国立大学の自律性をさらに放棄することになるものです。
(*)http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030430gakunaisosiki.htm

今回のレポートは、少数の特殊な意図と使命を持った人たちによって国立大学
協会が操作されていることを如実に示すものと言えます。「国会審議を見まもっ
て法案が採決された後で総会を開く」という不可解な提言を退け、国立大学長
の方々は、社会から研究と教育を付託されている独立したセクターを代表する
者として、当然なすべきことをしてください。すなわち、国立大学協会総会を
開催し、3月の説明会で指摘した法案の問題点などを詳細に具体的に指摘し、
それらを解決することを国会に向けて要請してください。国立大学制度廃止が
国会で議題となっている時の国立大学長として、果すべき重い歴史的責任から
逃げないことを切に願っています。(編集人)

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--[レファレンダム 2003.5.4.10:00]-------------------------------------
 賛成   56(教官  37,事務官 4,技官  1,非常勤職員 2,院生10,学生 2)
 反対 1955(教官1680,事務官55,技官114,非常勤職員26,院生79,学生41)
  投票所:http://ac-net.org/rfr
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--[意見広告賛同者からの意見のページより転載]------------------------------
              http://grape.c.u-tokyo.ac.jp/~hachisu/houjinka/iken.html

「・・・国立大学法人化法案には多大の危惧をいだいています。

 これはもう、「国立大も民間的発想を導入して、自助努力をすべきだ」とい
う現今、一般に受け入れられやすい言葉を隠れ蓑に、実際は官僚支配を強める
ことを意図しているとしか考えられません。

 ここは、「国立大を『民営化』しようという話ではない。『お役所直営』に
しようということなのだ」という点をはっきり示さないと、一般市民には十分
にアピールしないのではないでしょうか。
 私個人としては、もちろん「『民営化』なら歓迎だ」と言うつもりはありま
せん。ただ、「国立大も『民営化』すべきだ」と言うであろう一般の人たち、
あるいは法案を「国立大学『民営化』法案」だと思っているであろう人たちに
対して、「そういう話ではないのだ」と語りかける必要があるように思います。

 既に同様の声が寄せられているようですが、気をつけないと「特権的な待遇
にしがみつこうとしている『抵抗勢力』」というレッテルを貼られてしまうか
もしれません。

 やはり、「学費が値上げされ、国立大学がお金持ちだけの大学になってしま
います」(私立大学との兼ね合いが問題になって来るでしょうが、そんなこと
を言えば「公立高校もいらない」ということになってしまう)とか、「国立大
学が高級官僚の天下り先になってしまいます」といった類の文面を付け加える
ことを考えるべきではないでしょうか。

 もちろん、「学問の自由」「大学の自治」の重要性を思わないわけではあり
ません。国立大がそうした自由を失うなら、次は公立大(実際、その後程なく、
文部科学省は「公立大も法人化できるようにしたい」との方針を正式に明らか
にしました)、私立大、ひいては一般社会へとその影響が広まって行くのでは
と危惧します。

 さればこそ、ここは国立大学が踏ん張らなくてはなりません。

 世間では医師という『特権階級』の牙城と目されているであろう医科大学の
片隅で、異分子(医師ではない)として密かに棲息している私としても、確か
に今の医師たちに言いたいことはたくさんあります。しかし、医学部・医科大
学も実は「金にならない」(手術の新しい方法を開発したからと言って、特許
を取るようなわけには行かないでしょう)のであって、医学部・医科大学が法
人化されて日本の医療や医学教育がよくなるとは到底思えません。 「無駄を
なくせ」と言われれば確かにそうなのですが、それと「金儲けをしろ」という
のは別の話です。

 第2回の意見広告では、ただコピーを掲げるだけでなく、ある程度まとまっ
た文章を掲げることも考えるべきかと思います(費用の問題、文面をどう取り
まとめるかなど実務的な困難はいろいろあろうかと思いますが)。

 以上、ただ大学教員だというだけで、その方面の専門家でもないのに余計な
ひとことであったやもしれませんが、思うところの一端を申し上げました」

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意見広告への申し込み:http://grape.c.u-tokyo.ac.jp/~hachisu/houjinka/
5月2日24時現在(二次)180名+(一次は終了)1340名
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[1] 首都圏ネット「4.17国大協法人化特別委員会「議事メモ」が明らかにするもの」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030503gijimemohihan-syutken.html
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    2003年5月2日 独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

「国大協は法人化特別委員会石委員長名で「国立大学法人化特別委員会の検討状
況について」(国大協企第9号)という文書を各国立大学長あてに送付した。こ
の文書は、「第13回国立大学法人化特別委員会(議事メモ)」と、4点の資料(
1,2,3,5)によって構成されている。既に、広島大学のホームページ
http://www.bur.hiroshima-u.ac.jp/~houjin/agency/specialcommittees/specomsiryou.htm 
には、資料1,2,3,5が掲載されているので、ここでは「第13回国立大学法人化特
別委員会(議事メモ)」を末尾に添付する。

   「議事メモ」をみるといくつかの重要な問題が存在することが明らかになる。

 第一に、文部科学省による法案内容の地区説明会で出された質問事項のなかに
は、文科省が「十分回答できていない事項」が存在する。それらについては「時
期をみて回答を示したい」と杉野主任大学改革官は述べている。法案の審議が開
始されているにも関わらず、「十分回答できていない事項」が存在することを文
科省自身が認めているのである。

 第二に、「議事メモ」では、法制化対応グループから提出された「「国立大学
法人法案」に対する見解」(資料3)について、「「法案の概要」で省令規定事項
とされていた内容を、法案で特段の定めを置かないとしても、特別な問題点では
ないとする法制化対応グループの見解が了承された」としている。しかし、我々
が特別委員会直後に行った複数の特別委員からの聴き取りを基に報告したように、
「「国立大学法人法案」に対する見解」が了承されたという認識は、特別委員の
中では支配的ではなかったのである(4月18日付「国大協執行部の“逃げ切り”路
線、17日の特別委員会で了承されず」及び4月19日付「国大協法人化特別委員会
(4月17日)追加情報」を参照されたい)。

 第三に、「議事メモ」では、「2月24日の理事会決定は、法案が出た段階で内
容を吟味し、特段の問題がある場合には国大協として対応を考えるというもので
あった」と述べている。しかし、「特段の問題がある場合には」という文言は2 
月24日の理事会には存在しなかったものである。2月24日理事会の「議事概要」
を正確に引用しよう。そこでは、「法案が国会に提出された段階でその内容を検
討し、国大協として表明すべきことがあれば内容をはっきり示して、理事会で承
認を得て発表するなり、あるいは臨時総会を開催して議論することも視野に入れ
て対応を検討する」と記されている。両者のニュアンスは明らかに異なっている。
「概要」と異なる内容を含む「法案」が提出されながら、「国大協として表明す
べきこと」がないと言い切れないから、「特段の問題がある場合には」という表
現にすりかえたのであろう。

 第四に、「議事メモ」には、「会長から、国立大学法人化に関する今後の対応
について、ペーパーにより提案があった」という奇妙な文章がある。実は、長尾
会長は特別委員会には出席しておらず、会長提案は事務局長によって代読された
という。「ペーパーにより提案」とはそのことを意味しているのであろう。とこ
ろが、「議事メモ」冒頭の出席者の項には、長尾会長の名がある。極めて重要な
意味を持つ特別委員会に、会長が欠席していたことをあくまで隠したかったので
あろうか。なお、資料4とはこの会長ペーパー提案であり、この提案が了承され
なかったために、同資料は各大学に送付されなかったと考えられる。

 第五に、「議事メモ」には、「政府等への要請事項のたたき台が席上で示され
た」とある。複数の出席者からの聴き取りによれば、これは、「国立大学法人制
度運用に関する要請事項等」という石特別委員長名の文書である。そこには“労
働関係法令などの適用猶予、免除措置”を国大協として政府に要望しようとする
ものであったという。これは、我々に寄せられた「文科省とその周辺が違法・脱
法行為の検討を始めた」という情報(首都圏ネットワーク4月24日付声明「違法・
脱法行為による国立大学法人化強行の検討を開始した文部科学省」参照)に対応
するものであろう。国大協執行部と文科省は一体となって、違法・脱法行為を準
備しようとしているのではなかろうか。
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[1a] 第13回国立大学法人化特別委員会(2003.4.17)(議事メモ)
     http://ac-net.org/dgh/03/417-kd-memo.txt
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日時:平成15年4月17日(木)15:OO〜17:00
場所:東京ガーデンパレス 須磨の間
出席者: 石委員長、長尾会長、松尾副会長
      北原、中村、牟田、隆島(代理:兵藤埼玉大学長)、富田、鈴木、
      磯野、佐々木、梶山の各委員
      川村、小早川、森本、若杉、神野、佐藤、北村、佐々木、長木
      の各専門委員

石委員長主催のもとに開会。
議事に先立ち委員長から、代理出席の紹介があった。

[議事]

1.委員及び専門委員の交代について

○ 第8常置委員会鮎川委員長の後任として、広島大学の牟田学長が委員に就任
した旨報告があった。

○ 宮島専門委員の後任として、東京大学の神野教授に専門委員(財務会計グルー
プ幹事)を委嘱した旨報告があった。

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[1a-1] 2.国立大学法人法案について
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(1)文部科学省による法案内容の説明会について

○ 文部科学省高等教育局大学課 杉野主任大学改革官から、国立大学法人法
案に関する地区説明会での質疑事項について、以下のような説明があった。

   ・ 地区説明会で出された質問事項のうち、十分回答できていない事項につ
  いては、時期をみて回答を示したい。それまでは、個別に問い合わせていた
  だきたい。

   ・理事の併任については、法律的な制約は無いが、学部長等との併任につい
  ては、それぞれの職責の重大さに十分留意して判断いただきたい。

(2)法制化対応グルーブの見解について

○法制化対応グループの幹事から、「「国立大学法人法案」に対する見解」
(資料3)について、説明があった。

○この説明にたいし、次のよう意見交換等が行われた。

   ・学部・研究科、附置研究所については、省令では規定しないこととなっ
   たため、中期目標の別表に記載することとなる。

   ・省令で規定せず、中期目標に記載することの評価は、いろいろある。省
   令で規定されると国の保障を得たような印象もあるが、中期目標は大学の
   意見を聞いて文部科学大臣が定めるものであり、大学の自主性を国が担保
   するとも言える。

   ・省令事項の改正は、国の方針により毎年行われるが、中期目標に書きこ
   むことで少なくとも6年間はその組織が保証され、安定性があるとの見方も
   ある.

   ・各大学の自主性・自律性の観点から中期目標に書き込むきことは望まし
   いとも言えるが、6年間しか保証されないという不安もある。

   ・安定性とコストに対する不安がある。それが保証されれば中期目標に記
   載することでも安心する。

  ・省令ではなく中期目標に記載することに種々の意見はあるが、省令事項と
  しないことに反対しなければならないとも思われない。

○これらの意見を参考に、(資料3)について一部の表現を修正するが、「法案
の概要」で省令規定事項とされていた内容を、法案で特段の定めを置かないと
しても、特別な問題点ではないとする法制化対応グループの見解が了承された。

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[1a-2] 3.国立法人化に関する今後の対応について
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○ 会長から、国立大学法人化に関する今後の対応について、ペーパーにより
提案があった。

○ このことに対し次のような意見交換等が行われた。

   ・2月24日の理事会決定は、法案が出た段階で内容を吟味し、特段の問題が
   ある場合には国大協として対応を考えるというものであつた。法案が出た
   ら国大協が何か対応するように一部で伝えられ混乱している。

   ・法案については、先程の審議で本特別委員会として特別な問題は無いこ
   とを確認しているので、会長のご提案のように、今後は国会の審議を見守
   ることでよいのではないか。

   ・会長提案の流れで対応することは了解できるが、国大協の対応をどうす
   るかは理事会マターであり、本委員会で決めることではない。最終的には6
   月総会前の定例理事会に提案し承認していただく段取りが必要である。

   ・会長提案のペーパーは、本特別委員会で、まず議論していただきたいと
   の会長の意向をまとめた内部資料であり、この内容をこの特別委員会で了
   承をいただいて外部に発表するような性格のものではない。

   ・「法案の概要」の段階で臨時総会なりを開催して、法人化を進める積極
   的な姿勢を明確に示すべきだったのではないか。

   ・国大協は今後どのように対応するのか、各学長に情報提供を行うことが
   必要である。

   ・6月の総会において、国立六学の法人化に関して国大協のこれまでの活動
   を総括するとともに、法案が予定する制度に対して、その運用や政・省令
   事項に対する注文や要請を盛り込んで対外的に表明することは、意味があ
   る。

○ 法案については、当面、国会における審議を見守ることとし、本委員会と
しては、6月総会に向けて国大協としての総括的見解を取りまとめる方向で検
討を進めることとした。

○ 総括的見解に盛り込む政府等への要請事項のたたき台が席上で示されたが、
十分調整されたものではなく、本特別委員会専門委員の各グループで検討の上、
次回に正式に提案することとなった。

4.具休的な諸課題への対応について

○ 文部科学省大臣官房 永山企画官から、平成16年度概算要求に関する具体的
事項について、配布資料に基づき次のような説明があった。

   ・16年度概算要求に関しては、5月末までに基礎額調、7月初旬に特殊要因
   (新規事頃)調、8月中旬に概算要求書を各大学から提出していただく。配付
   した資料の基礎額調は、3月中に依頼する予定であったが、諸般の事情で遅
   くなった。

   ・「平成16年度 国立大学法人教職員数試算基準(案)」及び「人件費試
   算単価表(案)はあくまで本調書を作成する上で必要となる試算方法を示
   したものであり、各大学における実際の配置や配分を規定するものではな
   い。

   ・「標準教職員数」の算定における標準教員数」は、現状を踏まえつつ大
   学設置基準等に必要な修正を加えて設定し、「標準職員数は、現状を踏ま
   えて設定した。

   ・各大学における実際の員数と標準教職員数の差は、最終的には特定教職
   員数において調整する考え方である。

   ・人件費試算単価表(案)を用いた人件費の試算では現実の配分より低くな
   るが、特定運営費交付金で調整する予定である。

   ・これらの資料は、数日中に各大学に送付する。

5.その他

(1)日本学術振興会からの依頼について

○ 事務局長から、日本学術振興会学術システム研究センター研究員に関する
依頼(資料5)について報告があった。

(2)次回の会議開催日

調整のうえ各委員に連絡することとなった。 
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[1b] 学長説明会(7地区)における質問事項について
http://www.bur.hiroshima-u.ac.jp/~houjin/agency/specialcommittees/specom13-2situmon.pdf
http://ac-net.org/dgh/03/417-kdk-2.txt
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○法人と大学の関係(第4条)

・一法人一大学が原則の根拠は何か

・国立大学法人と国立大学との関係はどうなっているのか。国立大学法人の職

員とは別に国立大学の職員がいるのか


○名称の使用制限(第8条)

・平成16年4月1日移行時の名称保護は大丈夫なのか


○理事(第10条第2項、第11条第3項および第13条第1項)

・学校教育法上の副学長の職務は学長を補佐するということだが、法人法では
理事の職務に「掌理し」という文書が加わった。より明確にラインに入るとい
うことか

・非常勤の理事は可能か

・併任は可能か(教授職のままで常勤で理事になることが可能か)

・理事の定数を見ると病院のあるところは1名増となっているが、病院長を理
事とすることを想定しているのか

・職員から理事となってまた職員に戻ることは可能か

・理事の人件費について各大学で賄わなければいけないのか

・理事が学部長を兼ねるとき、報酬はどのように調整するのか

・理事の要件に「学識」が入っているが、研究経験・業績が必要なのか

・OBでもよいのか


○監事(第10条第1項、第11条第4項、第12条第8項)

・監事は文部科学大臣任命だが、大学に照会があるのか

・監事は議事録に署名するのか(商法では必要である)

・企業では財政悪化に監事の責任が問われることがあるが、国立大学法人でも
責任を負うなら役員会の構成メンバーとすべきではないか

・監事の手当は国から交付されるのか


○役員会(第11条第2項)

・大学の設置は「国の意思」とのことだが、役員会の審議事項である設置・廃
止との関係は

・監事は役員なのになぜ役員会に入らないのか


○学長選考会議(第12条)

・学長選考会議は常設か

・学長任期はその都度定めるのか

・学長選考会議に現学長を加えることができるとしたのはなぜか


○役員の任期(第15条)

・先行の独立行政法人では、役員の定年について、65歳を定年としているが、
国立大学法人については定年があるのか


○守秘義務(第18条)

・学生に守秘義務が適応されるか

・経営協議会の委員に守秘義務は適応されるか


○経営協議会(第20条)

・経営協議会の人数が各大学の自由だと、委員の人件費はどのように措置されるのか

・経営協議会の中に常任委員会をつくることは可能か

・20条2項各号のすべてから選ぶ必要があるのか

・学長(役員会)は両審議機関の議に拘束されるのか


○教育研究協議会(第21条)

・教育研究評議会の規模は何人くらいで構成すればよいのか

・経営に関する事項を審議することは「違法」とならないのか

・現在の評議会の審議事項では「教員人事の方針に関する事項」となっている
が、なぜ「方針」がとれたのか


○学則について(第2条第8項、第20条4項第3号、第21条第3項第3号)

・学則については教育に関係した部分のみとなるのか

・学則も新たに定める必要があるのか

・学則や内規は法人の自由で文部科学省は関与しないのか


○業務等(第22条関係)

・業務(22条)の2号以下に対する財政支援は国の義務として期待できるのか

・収益事業はどこまで行うことが可能なのか


○大学附属の学校(第23条)

・附属学校は大学附属で、附属病院は学部附属にするということか


○外国人教員任用特別措置法の任期(附則第4項)

・現在任用されている任期付外国人教員については、法人化に際しどのような
扱いとなるか


○大学の統合問題(附則第17項)

・統合された大学が存続しないことになるのか


○教授会

・法人化後の教授会の役割はなにか


○移行期問題

・16年3月31日前任期満了の学長選考の場合にも、この法案に規定されてい
る考え方によるのか

・平成16年4月1日までの作業スケジュールのイメージは

・法人の設立が16年4月1日なのに法人法の施行が15年10月1日なのはなぜか

・経営協議会や学長選考会議は平成16年4月1日以降の設置でも構わないのか

・政省令事項以外は、すべて大学法人の自由ということでよいか。施行通達の
ようなものを発出する予定はあるのか

・移行に当たって、学長の任期や選考手続、学内委員会など組織に関する規程
の制定は教育研究評議会が行うのか

・法人の設立前に設立準備委員会等で学内規則をオーソライズできないか

・16年3月31日任期満了の学長選考会議の構成員は附則2条3項に掲げる
すべてのものか

・16年3月31日任期満了の学長の任期はどうなるのか

○その他

・法人化後は、旧帝大以外でも重点化できるのか。重点化する時にはどのよう
な手続きを踏む必要があるのか

・外国に分校を設けたりすることは可能か

・学部を新設したり改組したりするときにはどのような手続きが必要か

・入学定員は大学として定め、学内で融通することは可能か
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[1c] 法制化対応グループ:「国立大学法人法案」に対する見解 15・4・17
     2003.4.17国大協法人化特別委員会 配布資料3
http://www.bur.hiroshima-u.ac.jp/~houjin/agency/specialcommittees/specom13-3wg.pdf
テキスト版:http://ac-net.org/dgh/03/417-kdk-3.txt
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1.はじめに

政府は、本年2月28日に「国立大学法人法案」(以下「法案」という。)を
閣議決定し国会に提出した。これに先立ち、国立大学法人化特別委員会は「国
立大学法人法案の概要(以下「概要」という)が、国立大学等の独立行政法人
化に関する調査検討会議によりまとめられた「新しい「国立大学法人」像につ
いて」(以下「最終報告」という。)の描く国立大学法人像に沿って立案され
ているかどうかという観点から検討を行い、結論として「概要」は「最終報告」
から変動した点もいくつか見受けられるが、その基本的な枠、組みは、実質的
には「最終報告」の趣旨を踏まえそれを体したものとなっていると認められる
とする報告を公表したところであり(平成15年2月20日付「国立大学法人
法案の概要」に対する見解)、この報告は2月24日の国立大学協会理事会に
おいて了承された。以下では、法制化対応グループにおいて、このたび提出さ
れた「法案」と「概要」との間の相違点について、見解の整理を行った。

2 「概要」との相違点.

「概要」は、法案策定作業の途中段階における内容を示すものであったが「概
要」では「学部・研究科・附置研究所・附属学校(=各法人の業務の基本的な
範囲)は省令で規定する」こととされていたのに対し、成案となった「法案」
では、学校教育法の体系上国立学校と位置付けるために法令上の設置根拠を要
する附属学校は別として、学部、研究科及び附置研究所については特段の法令
上の定めを置かないこととされており、この点が唯一の相違点である。

3.評価

「最終報告」においては「学部等の組織はその性格上各大学の業務の基本的な
内容や、範囲に大きく関わるものであり、あからじめ明確にしておく必要があ
ることから「法令( 具体的には省令)等で明確化する方法を工夫する 」と
提言されていた。これを踏まえて、「概要」段階においては、学部、研究科及
び附置研究所を文部科学省令で規定するとしていた。

これに対して「法案」では学部等の組織を法令で規定しないこととしたため、
国立大、学法人の業務の中核である教育研究の基本的な内容や範囲を明確にす
ることによる国の責任が不明確になるのではないかという問題が指摘されてい
る。しかし、このような国の責任は学部等の組織を中期目標に記載することと
すれば同様に果たされるものと考える。

さらに、このような学部等の組織の取扱いについては、組織編制は各法人の裁
量を尊重するという独立行政法人制度の趣旨を踏まえたものであり、文部科学
大臣が制定する省令よりも各国立大学法人の意見に配慮して策定する中期目標
において記載する方が、実際に教育研究の実施に当たる各国立大学法人の自主
性・自律性の尊重の観点からむしろ望ましいとも考えられるところである。

したがって、法制化対応グループとしては、この点についても「法案」は実質
的に「最終報告」を踏まえていると判断してよいと考え「法案」化に当たって
特別な問題点は生、じていないと評価するものである。
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[1c1] [kd 03-02-04-1-1] 再録
「国立大学法人法(仮称)」閣議決定までの対応(首都圏ネットによる抜粋)

1月16日(木) 法制化対応G文科省打合せ

    ・法案に関する具体的意見交換
    ・1/31法人化特委に提出するレポート作成打合せ

1月24日(金) 法制化対応G文科省打合せ

    ・法案に関する具体的意見交換
    レポート作成打ち合わせ

1月31日(金) 第11回法人化特委

    ・「法案概要」について、法制化対応G作成のレポートを参考に検討
    ・検討結果を各大学に長し、事前の共通情報とするとともに、各大学の意
    見を求めることの了解を取る

2月10日(月) 文科省主催国立大学長会議

2月20日(木) 第12回法人化特委

    ・各大学からの意見を含め、文科省説明のあった「法案概要」に対する国
    大協としての対応協議
    
    ・前回検討のレポートを(修正し)法人化特委として了承することを検討

2月24日(月) 理事会

  ・3月初旬の理事会を繰り上げ、定例理事会の議題処理
  ・法人化特委で了承したレポートについて国大協として了承することを検討

2月末 国立大学法人法(仮称)案 閣議決定(目途)
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[2] 一橋大学教職員組合から石学長への要望書 2003.4.15
    http://ac-net.org/kd/03/415-hit-shimazaki.txt
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#(石学長が4/23の国会で、参考人として法案に賛成する立場から発言をす
る中で、多くの懸念も残っていると明確に述べたことは、この要望書の効力があっ
たからではないかと推測される。)



「一橋大学長
石 弘光殿
                         一橋大学教職員組合
                        執行委員長 嶋崎 隆

 ご承知のように、すでに独立行政法人法案について国会で議論が進んでおり
ます。私たち一橋大学教職員組合執行委員会は、全大教などの組織とともに、
この法案に見られる問題点について、新聞などで再三再四指摘してきました。
また2月19日の全学説明会においては、この法案のはらむ深刻な問題性につ
いて直接、学長に質問させていただきました(添付の組合ニュース、第4号参
照)。また組合ニュース第5号でも、全大教の批判的意見を紹介してあります。
私たちは独法化法案が全体として、国の教学にたいする責任を曖昧にし、経営
と効率性の論理を教育・研究に優先させ、学問の健全な発展を歪め、大学の自
主性・自立性を強く侵す恐れがあると考えます。

 すでに本学社会学研究科・社会学部も「国立大学法人案についての社会学研
究科教授会意見(案)」(4月9日教授会)において、上記法案について強い
危惧の念を発しております。私自身もその構成員であり、発言もしましたが、
おおいに同感する内容となっています。またさらに、学外の状況を見ますと、
本学よりもはるかに深刻な状況がうかがわれます。たとえば、進行中の大学改
革のなかで任期制のまったく恣意的な導入がいくつかの大学でおこなわれてい
ます。そしてつい最近、山形大学は「国立大学法人法案に関する理学部教授会
からの要望」(4月14日)を学長に提出し、「最終報告」において設置者が
国から国立大学法人に変更されたこと、教授会の役割規定のあいまいさ、など
について疑問点を提起しています。また東京大学大学院理学系研究科・理学部
も、「国立大学法人法案に対する政府見解の表明に関する要望」(4月15日)
を出しております。この要望書は、基礎科学の軽視の恐れ、中期目標・中期計
画の扱いが「最終報告」にいたって後退していること、大学の自律的機能の弱
体化の恐れ、などについて指摘しています。いずれの指摘にも、私たちはおお
いに同感する次第です。

 また4月3日衆議院本会議での議論のなかで、山口つよし議員(民主党)は
法人化法案を批判し、中期目標は大学からの届け出制に改めるべきであり、産
学連携の罠に気をつけるべきだ、と述べ、佐藤公治議員(自由党)も、同法案
の内容では、教育・学術研究が疎かになると批判しています。さらに石井郁子
議員(日本共産党)は、同法案が教育・研究にたいし国家統制を招き、基礎的
分野の学問が疎かにされるなどと批判をしています。
 それのみならず、学長が委員長を勤められる国大協特別委員会(4月17日)
では、法人法案について6月定例総会で議論するという執行部案に了承が与え
られず、同委員会の意見がまとまらないままに終わった、とも聞いています。
 以上のように、独法化法案は各方面から多くの問題をはらむものとして、強
い批判に晒されているのが実情です。

 さて聞くところによりますと、学長は4月23日の衆議院文科委員会におい
て、参考人として招致されるとのことです。学長は単に一橋大学にたいし責任
をもつというだけでなく、国大協全体においても重責を担ってきており、いわ
ば全国の国立大学に責任をもっております。衆議院文科委員会においても、研
究者としての良心にかけて主張されるように切に要望するとともに、事柄の重
大性に鑑み、国大協臨時総会をできるかぎり早期に開催されることを要求いた
します。
 そして、さらにこれからも、研究教育の現場の意見を重視することによって、
独法化法案の問題点を十分に理解され、大学人にふさわしい態度を取られるこ
とを心より期待いたします。

添付資料
・組合ニュース 第4号
・同、第5号
・本学社会学研究科・社会学部「国立大学法人案についての社会学研究科教授
会意見(案 )」(4月9日教授会)
・山形大学「国立大学法人法案に関する理学部教授会からの要望」(4月14日)
・東京大学大学院理学系研究科・理学部「国立大学法人法案に対する政府見解
の表明に関する要望」(4月15日)
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[3] 豊島耕一「文部科学委員会は「審議」をしていない」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030503sinngi.html
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「昨年の第155臨時国会で,私立大学に文部科学大臣の認証を受けた評価機
関の評価を義務づける問題法案,学校教育法の改正案が可決されました.これ
を「審議」したはずの衆議院の文部科学委員会の議事録を見ると,実は審議な
どほとんどしておらず,単に「調査」に始終しているだけである,ということ
がわかります.と言うのは,会議の時間と発言のほとんど(約210回の発言)
は,政府関係者への「質疑」であり,「討論」での発言はわずかに2回に過ぎ
ません.しかも驚くべきことに,この2回はどちらも反対討論であり,賛成討
論は全くありません.つまり賛成の意見は全くなかったにもかかわらず議案が
可決されたという,全く不可解な会議になっています.

同委員会の日程と議事形態,発言数は次のようになっています.
 10月30日 遠山文部科学大臣による提案の趣旨説明のみ
 11月 1日 質疑 約110回の発言(委員長を除く)
 11月 8日 質疑 105回の発言(委員長を除く)
        討論 2回
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/0096_l.htm#155

ふつう「審議」と言うとき,会議のメンバーが互いに意見を述べあい,論争す
ることを想定します.しかしこの委員会は,単に政府関係者を問いつめるだけ
で,メンバー同士での議論は全く行っていないのです.またこのようなやり方
では,質問側が次々と交替するのに対し,答弁側,特に大臣はそれに一人で対
応しなければならないと言うことになります.どうしても無難さを第一に考え
た発言にならざるを得ないのは,大臣や官僚の不誠実さのせいだけとは言えな
いでしょう.そして会議は政府側の時間浪費型の答弁で占領され,実質的内容
の薄いものにならざるを得ません.実際,最後の「討論」も,単に意見の言いっ
ぱなしで,それに対する賛成側の反論もないのです.

もちろん「質疑」という形態の中でも,委員自身の意見を表明することは可能
でしょう.しかし「政府への質問」(あるいは参考人への質問)という形式に
縛られた発言では他の委員への質問は不可能で,委員どうしの議論につなげる
ことは出来ません.

このような委員会のありかたは,その「説明責任」という観点からも重大な問
題を含んでいます.もし委員会が提案を可決するのであれば,少なくとも委員
メンバー自身の賛成の発言がなければ,なぜ委員会がそのような判断をしたの
かを理解することはできません.つまり,与党委員と委員会は,なぜこの法律
案を可決するのかという文字通りの「説明責任」を全く果たしていない,とい
うことになります.ただの一人も賛成討論はしないが賛成投票だけはする,と
いうのでは,与党議員は単に「党議拘束」によって作動する投票マシンに過ぎ
ないということになります.マシンには「説明責任」はありません.

840-8502 佐賀市本庄町1
佐賀大学理工学部  豊島耕一
toyo@cc.saga-u.ac.jp
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp
職場電話/ファクス 0952-28-8845」

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[4] 毎日「<基礎科学研究>遠山文相に推進求める提言 国立大の代表者」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030503mainiti.html
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「全国約50の国立大理学系学部、付置研究所、共同利用機関の代表者らが2
日、基礎科学研究の推進を求める提言を遠山敦子文相に提出した。

東京大大学院理学系研究科長の岡村定矩教授(天文学)ら5人が呼び掛け人と
なり、提言をまとめた。国会で審議中の国立大学法人法案は、共同利用機関や
付置研究所などの位置付けを明確にしていないため、評価が難しい基礎研究や、
複数の大学による共同研究は研究費が十分に得られず、衰退しかねないという。

提言は、こうした共同研究を正しく評価するシステム整備とともに、基礎研究
の大切さを的確に判断できる行政職「研究行政官」が中核となった政府組織の
設置を要望した。 【元村有希子】」

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