通信ログ
Subject: 6/10 文教科学委員会における議事中断の記録
国公立大学通信抄 2003.06.18(水)
http://ac-net.org/kd/03/618.html

--[kd 03-06-18 目次]--------------------------------------------
[1] 6/10 参議院文教科学委員会議事録より:櫻井議員の質疑(中断中)
[2] 6/16 「国立大学法人化を考える会」集会宣言
[3] 6/10 第三次意見広告の内容(3)
[4] 中西良孝氏(鹿児島大学)からのお便り「法人化反対についての私見」
[5] はがき署名活動の受付締切を7月10日に延長
 [5-1] ハガキ署名者の意見分類集計
[6] 6/17 朝日・北海道:北大の力 
 [6-1] (5)法人化  学内論議少ないままーー「法案先行」懸念消えず
 [6-2] (1)研究戦略(6/13)産学官連携への加速
 [6-3] その他
[7] 6/17 毎日新聞社説「法科大学院 これでは司法改革が危ない?」
[8] 6/15 朝日・山形「国立大法人化を語り合うシンポ 山形 」
[9] 6/07 リンク紹介:江頭 進「日記」6/7「独法化法案」に思う 
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江頭氏がウェブで公開されている日記「「独法化法案」に思う」[9]は、大学
内外の人に静かに強く訴える力があります。これほど問題が明かな法案がなぜ
可決寸前になっているのか、という問いかけから、大学の問題点を深く内省さ
れています。

何らかの困難において己の非を省みることは、研究活動における不可欠な習慣
であり大学関係者の多くは共感すると思います。しかし、大学がこれまで社会
に発信してこなかったから国立大学の独法化に社会が無関心だ、という見方は
現状誤認です。独法化について社会が無関心なことの第一の、そして最大の理
由は、誰もその内容を知らない、ということであり、その原因は、当事者の大
学人の大多数が沈黙しているからです。独法化の問題性を知っていながら大学
関係者は社会に発信してこなかったこと、それが、社会が無関心である最大の
原因です。意見広告への反応として、国立大学の独法化の内容を知らなかった
という驚きの声が多いことがそれを傍証しています。

江頭氏の省察は、独法化問題を離れ、現在の大学の根深い問題、大学社会の価
値観に根ざす深刻な問題に触れていると思います。(編集人)

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[1] 6/10 参議院文教科学委員会議事録より:櫻井議員の質疑(中断中)
http://ac-net.org/dgh/03/610-san-bunkyoukagaku.html
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「・・・

○櫻井充君 じゃ、もう一点お伺いしたいのは、要するに、今の段階ではまだ
中期目標なり中期計画などは議論されていないと、各大学ではされていないと
いうことなんでしょうか。

○国務大臣(遠山敦子君) 今の段階ではこういう法案の審議ということを横
目で見ながらいろいろ考えていただいていると思いますけれども、しかしそれ
は事実上の問題でございまして、特に今度の予算要求までにとか、そういうこ
とではございません。

○櫻井充君 考えていただいているというのは、大学側が自主的に考えている
んですか、それとも文部科学省側から、まあこれはなかなか難しいんですが、
働き掛けみたいなものはないけれども、何となく、文部科学省と大学の関係者
が何となく集まって議論されているということなんでしょうか。

○国務大臣(遠山敦子君) もちろん法案提出をいたしておりますから、そこ
でねらっている中期目標とは何か、中期計画とは何かということについて、大
学人の御理解も得て法案を出しているわけでございまして、そうした骨の部分
についての説明は大学の求めに応じて出しているわけでございます。しかし、
それについていつの時点からやれとか、そんなことは私どもとしてはもちろん
言っていないわけでございまして、それぞれの大学の準備の中でそういうこと
も取り上げてやるということが可能にしているというところでございます。

○櫻井充君 大学の求めに応じて、じゃもしかすると何らかの資料とか、そう
いうものも配付されている可能性もあるということなんですね。

 そうすると、もう一つは、今回の中期目標なりそれから中期計画ですね、大
学の関係者の方々からお伺いすると、私は文部省の方からお伺いすると、まず
ね、そんなに詳しく書かなくていいんですよと、大変な作業になるので、割と
漠としたものでいいですよというお話なんです。ところが、ところが大学の関
係者の方々とお話しすると、具体的な数字を出してくださいとか、そういうお
話があって、全く違っているんですね、中身がですね。

 これは、中期計画というのはどの程度の内容のものを書かなければいけない
のか、ここには一応簡単な七項目示されてきていますけれども、それぞれどの
ようなことをお考えなんでしょうか。

○副大臣(河村建夫君) 最初のスタートでございますから、大学側もある程
度のマニュアル、基本的な認識は文部科学省側と合わせたいということで、ど
ういうことが考えられているだろうかというようなことの問い合わせもあった
りして、文部科学省側としても大体こういうものが考えられるんじゃないかと
いう、中期計画の中で、あるいはそういう形で、その目標としては、教育研究
の質の向上、それから業務運営の改善、効率化、財務内容の改善、あるいは自
己点検・評価及び情報提供等の各事項を記載するというような形のものを示し
ておりまして、今、大学ごとに教育研究の自らの持つその特色とか地域性とか
そういうものに応じて検討をいただいておるところでございます。

 まあ、私のことを言ってあれですが、私の地元の山口大学なんかも、絶えず
教授陣や何か集まって自分たちの大学の目標をこの際きちっと立てなきゃいか
ぬということで既に協議をしておられるところもございます。

 そういうことで、それぞれの大学がやっておられること、特に教育研究の質
の向上ということについても、非常にそのことについて各大学、意を用いてお
られるようでありまして、研究水準をどうする、それから実施体制をどうする、
そういうような目標を今立てておられるというふうに伺っておるところでござ
いまして、そういうものを今お出しを、いずれお出しをいただくという方向で
ございます。

○櫻井充君 そうしますと、これは大学単位で出せばいいんですか、それとも
学部ごとに出さなきゃいけないものなんですか。若しくは、もう一つは、例え
ばこういうことが議論されているのかお伺いしたいんですが、参考資料などの
ような形で、各科ごとに、例えば私は東北大の第一内科というところにおりま
した。そこの第一内科なら第一内科でどういう研究をするのか、そういうもの
についてきちんとお示ししなきゃいけないんですか。

○副大臣(河村建夫君) 恐らく、各科いろいろお立てになる。それを大学が
お取りまとめをいただいて、大学全体の計画としてお出しいただくと、こうい
うことでございます。

○櫻井充君 そうしますと、各科ごとで例えば参考資料のような形で添付しな
ければいけないとか、そういうことは全くないわけですね。

○副大臣(河村建夫君) 大学協会側と協議したことの中に、いわゆる中期目
標、中期計画をお出しをいただく、そのほかに参考資料ということは、文部大
臣による提示・認可の対象外ということで、どうぞ、お付けいただくことにつ
いては構わないということにいたしておるところであります。

○櫻井充君 お付けくださいでしょうか、本当に。

○副大臣(河村建夫君) いやいや、大学側がこれを出したいとおっしゃるこ
とについて、それを除外はしないということであります。こちらから付けなさ
いということではございません。

○櫻井充君 昨年の十二月に、これ文部科学省として、御丁寧に一応、仮称、
しかも案とまで付けて未定稿という資料がございます。これは十二月の十日に、
どうも国大協と議論した際に使ったようなものなんですが、ここの中に、まず、
ここまで書いてあります。

 様式・分量は、A4版横長用紙にというんですか、横書き、十ポイント、一
ページ四十行、一行七十二文字、現段階では一大学当たりおおむね十から二十
ページ、中期目標、中期計画のほかに、その参考資料として、学部等に固有の
具体的事項を作成し、中期目標、中期計画の提出と同時に文部科学省に提出し
てくださいと、こうあります。おまけにです、それは学部、研究科、附置研究
所など各大学の基本的な教育研究組織ごとに固有のより具体的な事項を記載し
てくださいと。分量は、現段階では各組織ごと五ページ以内を一応の目安とし
てくださいと。文部省、文部科学省の資料としてもうこんな、提出されている
じゃないですか。要するに、今言っている答弁、全然違うじゃないですか。

○副大臣(河村建夫君) これは私、訂正させていただきます。

○櫻井充君 駄目だ、駄目だ。いい加減だな。いい加減だよ。大事なところじゃ
ないか。

○副大臣(河村建夫君) 文部科学大臣のいわゆる提示・許可の対象外という
ことでお出しをいただくということになっておりまして、私、ちょっと資料の
段を読み違えまして大変失礼しました。

 これは、ただ、言えることは、大学協会側といろいろ議論をした中で、やっ
ぱり一応目安としてきちっとした方針を出してもらいたいということで作った
ものであると伺っております。

○櫻井充君 目安として事細かにこうやって指示されているじゃないですか。
資料を添付して、「文部科学省に提出してください。」と書いてあるじゃない
ですか、各学科ごと。今の答弁、全然違うじゃないですか。

 じゃ、今まで議論してきている中で、要するに、文部科学省としては中期計
画は割と漠としたものでいいんですよとお話ししていたけれども、全然違うじゃ
ないですか。

 だから、私の友人たちは本当にいい迷惑を被っているんですよ、はっきり言
えば。もうこのために研究室しばらく休んで中期計画を書かされています。も
う十回以上ですよ、私が知っている教授なんかは。そんなことやっていて日本
の教育というのは本当に良くなるんですか。

 それから、信じられないことがもう一つありますが、これからは、ここに、
どこだっけな、医科歯科のところでやったやつの議事録の中に、これ五月二十
日です。事前関与型から事後チェック型へ転換するという、全然違うじゃない
ですか。もうこんな、事前、事前関与型の典型じゃないですか、こんなやり方
で。違いますか。

○国務大臣(遠山敦子君) 中期目標、中期計画というものは、その案はそれ
ぞれの大学から提出されるわけです。その中に、今おっしゃったような学科ご
との詳しい資料とかそういうものは要らないということでございます。

 その参考資料の中で、各大学の教育研究の内容にかかわるものについて、こ
れはむしろ大学側の意向というものもあったわけでございますけれども、参考
資料として出していただく。つまりそれは、中期計画、中期目標というものは、
漠として、何もその中身が抽象的過ぎるというようなことでは定めることにな
らないわけでございまして、その参考資料というものは、それは各大学の判断
において出すということでございます。しかし、それは認可ないし決定という
ものの対象外であるわけでございます。

 したがいまして、文部科学省としては、個別の研究者の研究テーマでありま
すとか、その個々のものではなくて、学部あるいは研究科、附置研究所などと
いった基本的な組織ごとの固有の具体的な事項を記載するということでござい
ます。

○櫻井充君 今そのようにおっしゃっていますけれどもね、中期目標、中期計
画、ああ、ここですね、要するに、大学教育研究等の質の向上に関する目標及
び中期計画の大学教育研究等の質の向上に関する目標を達成するために取るべ
き措置に関してこうやって書いてくれと。ここに、「提出してください。」で
すよ、「同時に文部科学省に提出してください。」と。選択してくれとは書い
ていません。

 ちょっとこれ、委員長、申し訳ないけれども、全然、大臣の答弁の内容とこ
れ、出されている資料と全く違います。これ、ちょっとね、まずこの資料を理
事会に諮っていただいて、今の答弁がいかに不適切かということを、改めて
ちょっとこれ時間取っていただいて、今のまま審議できません。

○委員長(大野つや子君) ちょっとそれでは速記を止めてください。

   〔午後零時十七分速記中止〕

   〔午後零時三十九分速記開始〕

○委員長(大野つや子君) 速記を起こしてください。

 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。

   午後零時三十九分休憩

   〔休憩後開会に至らなかった〕
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[2] 6/16 「国立大学法人化を考える会」集会宣言
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「わたしたち、「6.16国立大学法人化を考える会」参加者は、この集りを
通じて、あらためて国立大学法人化法案の深刻な難点を確認することとなりま
した。

  ところが、聞くところによると、理不尽な会期延長問題をめぐって、農水、
厚生労 働、総務などの諸委員会までストップしているなかで、ひとり文教科
学委員会のみが 開催されんかの気配があります。わたしたち集会参加者は、
参議院議員の良識に強く 訴え、この欠陥法案を廃案とされるよう求めます。
近々の委員会において、審議がう ち切られ、採決が強行されるという事態が
ゆめゆめ起こらないよう、要求します。こ れら二点を、第一会議室を埋める
170名の集会参加者の総意として決議します。             

                                    
「6.16国立大学法人化を考える会」参加者一堂           

         2003年6月16日 於 参議院 議員会館第一会議室」
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[3] 6/10 第三次意見広告の内容(3)
http://www.geocities.jp/houjinka
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「国民の皆さん

現在国会で審議中の国立大学法人法案は、短期的な知の果実を強引に摘み取ろ
うとして、日本社会の再生に必要な国立大学という全国97本の大切な樹を枯ら
すものです。

● この法案は人材と知識の効率的生産を急ぐ余り、文部科学省による全国の
国立大学の集中的コントロールという時代錯誤の方法を導入しようとするもの
です。それは創造的な人材と知識を生み出すために最も大切な自発性と創造的
精神を大学から奪うものです。

● いま日本の大学は、高等教育と研究の質においてこそ互いに競い合い、高
め合わなければならない時です。しかしこの法案とその背景にある文部科学省
の「遠山プラン」は、国立大学を書類上の数合わせと見当違いな生き残り競争
に駆り立て、根本から疲弊させようとしています。

● この法案は、国立大学を誤った方向に導くだけではありません。国立大学
を強引に中央省庁の天下り先にすることによって、大混乱に陥れようとしてい
ます。

● 日本社会再生の起点となるために、国立大学自身が大きく生まれ変わらな
ければなりません。しかし今必要な変化は、各大学、そして各教員の自発性に
基づくことによってのみ可能です。それは、上からの強制によって生み出せる
ものではありません。

法案にはこれだけの問題があります

1.大学が官僚=国の統制下におかれ、学問の自由がそこなわれます。「法案」
は国立大学の「独立」「民営化」とは、全く関係がありません。


  国会で審議中の「国立大学法人法案」では、各大学の教育・研究をはじめと
した一切の目標(「中期目標」と呼ばれています)が、「文部科学大臣が定め
る」ものとされています。各大学の自主性・独立性は全く認められていません。
こんなことは、戦前にもなかったことでした。また「法案」では、その目標を
達成するための措置・予算などのプラン(中期計画)も、文部科学省の「認可」
事項となっています。「国立大学法人法案」は、中央省庁の「許認可権」をで
きるだけ縮小しようとする行財政改革の本来の理念に、全く逆行する法案です。

2.大学が高級官僚の天下り先となり、構造的腐敗の温床になりかねません。


  「法案」によれば、国立大学などに全国で500名を越す「理事・監事」など
の「役員」が、新たに生まれます。この人達の給与に教育・研究・運営に必要
な費用が回されて、結局国民の税金(「法人」への「交付金」)や学生納付金
(授業料など)が使われます。しかも、決定権や認可権を中央省庁に握られた
各大学は、いわゆる「中央との太いパイプ」を求めて、あたかも多くの特殊法
人のように、学長を含めた理事などに天下り高級官僚を迎え始めるに違いあり
ません。こんな高級官僚の人生設計のための仕組みが、どうして国立大学の改
革になるのでしょうか。

3.学長の独裁をチェックする仕組みがありません。


  法案では、大学の学長の権限が強大です。学長は、各国立大学法人の内部の
「学長選考会議」が選考します。ところが、この「学長選考会議」の委員の過
半を、学長が決定することが可能です。つまり学長は、自分を含めた次の学長
を決定することができるのです。これは独裁国家の仕組みと同じです。仮に学
長が問題を引き起こしたとしても、大学の構成員や市民がそれをチェックする
ことはできません。

4.大学の財政基盤が不安定となり、授業料の大幅な値上げがもたらされます。


  財政基盤が不安定なまま、授業料などが各大学でまちまちになってしまいま
す。特に理科系の学部・学科を中心に、学生納付金(授業料・施設費など)の
大幅な値上げが予想されます。地方の中小大学のように財政基盤の弱い大学で
は、特にそのことが顕著に現れます。今の国立大学の比較的低廉な学費が高騰
したら、「教育の機会均等」の理念は一体どこへ行ってしまうでしょう。

5.お金儲け目当ての研究が優先され、基礎的科学・人文社会科学の研究や学生
の教育が切り捨てられてしまいます。


  学問・研究の成果は、長い目で見てゆくしか判断のできない性格を持ってい
ます。「法案」が定める「経営協議会」や「役員会」がトップダウン(上から
の命令)で目前の成果をあおっても、真の成果は期待できないのです。また、
現在の日本の学問・研究の水準は悪条件の下(高等教育・研究の関連予算は欧
米諸国のGDP比の半分程度で、OECD加盟国中最低)にあっても、決して諸外国
に見劣りするものではありません。おまけに大学評価に直結しにくい学生の教
育面は、「法案」の成果主義では軽視されてしまいます。一部のプロジェクト
研究にばかり予算をそそぎ込もうとする「法案」の考え方は、日本の学問・文
化に百年の禍根を残します。

6.この「法案」は、「違法・脱法」行為を行わない限り、実施することが不可
  能な「欠陥法案」です。


  国立大学協会は、5月7日、「国立大学法人化特別委員会委員長」の名で、会
員校に検討要請の文書を送付しました。驚いたことにその内容は、「労働基準
法」「労働安全衛生法」などの届け出義務や罰則規定の適用について、「運用
上の配慮」を関係行政庁にお願いしようというものです。「労働基準法」や
「労働安全衛生法」は、会社・法人など、どのような事業所でも必ず守らなけ
ればならず、違反すれば使用者が刑事罰に処せられる刑罰法規です。立場の弱
い「定員外職員」の人たちの失業問題も懸念されます。 「法案」は、種々の
違法・脱法行為が認められなければ、実施することができない「欠陥法案」な
のです。
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[4] 中西良孝氏(鹿児島大学)からのお便り「法人化反対についての私見」
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「・・・小生も意思表明した一人として法人化による懸念を述べさせていただ
きます。


  学問の自由がなくなり、スパンの長い研究が軽視され、効率のいい研究ばか
りが評価されるとなると、どうしてもgrant獲得のため民間企業との共同研究
が優先されます。産学連携という観点からは重要なことですが、大企業がある
政治団体と密接な関係にある場合(とくに、政治資金を提供しているような場
合)にはそのことが研究姿勢に影響を及ぼしかねないと思われます。企業の顔
色を窺いながら研究テーマを決め、政府や官僚に対してはっきりとものが言え
ない大学というのはいかがなものでしょうか?政治資金を供与している企業を
介して一部の大学人と権力・カネ目当ての政治屋(・・・家というのはしっか
りとした思想を持つ良識人に対しての用語なので、あえて政治家という表現は
しません)との癒着構造が生じることを危惧しております。もしかすると、大
学から政治資金を調達する(あるいは政治屋が強要)という事態が起こり得る
かもしれません。今、議論の的になっている政治資金規制法緩和(内訳の非公
開)問題にも関わってきます。


  小生は農学部教官ですので、もちろん産学連携も重要だと思っていますが、
われわれは企業のためだけに研究しているのではありません。農家への普及技
術の開発も大事です。農家からgrantを受けなくとも国の税金を使うからこそ
国民である農家のために日夜研究しているのです。」
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[5] はがき署名活動の受付締切を7月10日に延長
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#(群馬大学教授、近藤義臣氏より)

「大学関係者以外の一般の方からの御提案がありましたので、ハガキ署名活動
を7月10日まで受付締切を延長して行なっております.是非、一般の方々の
意思表示をお寄せください.」

宛先:〒376-0031 桐生本町二郵便局 留置 国立大法人化反対ハガキ署名
集計係 近藤。

集計整理のためハガキ裏面には横書きで、一人当り上から、ハガキの5分の1
の幅の中に以下をお書き下さい。一行目:郵便番号と住所。二行目:直筆で氏
名。三行目:国立大学法人法案の廃案へ賛成(分類:大学教員や一般など書け
る範囲で)。複数名署名の時は最大5名(5段)まで。御意見:自由形式又は
空白。受け付け締切日:7月10日。署名集計結果は市民の意志表示の証拠と
して、各種陳情や報道機関へ使わせて頂きます.

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[5-1] 近藤義臣氏の報告「ハガキ署名者の意見分類集計」
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一般の方の約半数75名、大学関係者の約70%35名は、意見の欄が空白で
すが、これは毎日新聞に載せた「6つの意見に賛成を表明」したと理解すべき
です.意見を書いた方達は、毎日新聞に載せた「6つの意見」を読んだ上で、
特に強調したい事柄を指摘したと考えるのが合理的です.

分類集計結果の特徴: 1.「学費値上げと貧富の格差による教育の機会均等
性と教育を受ける権利がなくなる」及び、2.「地方と中央の格差による高等
教育の平等性が損なわれる」の意見に、大学関係者より一般の方が多く有意の
差が見られる事と、一般の方に13.「母校がなくなる」があること.

5月30日一次締切現在のハガキ署名
(大学関係者:国公私立大学に現在勤務。一般:元大学勤務の方と学生を含む)
大学関係者   52名 
一般     142名
合計     194名

意見分類 (一人の人の意見に複数の意見が有る為、複数回答形式で集計)
大学:意見記述特に無し 35名
一般:意見記述特に無し 75名(内、女性42名、男性33名)

1.学費値上げと貧富の差による「教育の機会均等性が損なわれる」、

  「教育を受ける権利が奪われる。」
      大学: 3名。一般:18名。

2.高等教育の地方と中央の格差が生じ、「高等教育の平等性が損なわれる」。
      大学: 0名。一般: 7名。

3.教育現場への競争原理の持込は高等教育の根幹を崩す。
      大学: 4名。一般: 6名。

4.大学の民主的な運営を破壊する。(大学運営に教職員・学生も参加させるべき.)
      大学: 4名。一般: 7名。

5.大学の自主性・自治、学問の自由・独立を犯す。
      大学: 5名。一般:14名。

6.大学を国家の管理と統制下に置き、学問と教育の自由を奪う。
     (教育システム全体を統制下に置く一環である)
      大学:12名。一般:11名。

7.経済的競争原理の導入は、基礎研究と基礎教育の深刻な衰退を招く。
      大学: 7名。一般:11名。

8.研究機関としての大学が、企業の下請けや研究所に成り下がる.
      大学: 2名。一般: 1名。

9.教育・研究現場での労働基準法、教育基本法等の一般法を無視した悪法である。
      大学: 2名。一般: 6名。

10.高級官僚の天下り先となる大学法人を作るべきではない。
      大学: 3名。一般: 4名。

11.メディア等で、国民に詳しく説明すべし。
  大学の将来は国民によって決められるべきである.
      大学: 2名。一般: 4名。

12.教育は大切な事であり、国の税金で大学の運営を行なうべき。
      大学: 0名。一般: 2名。

13.母校がなくなる。
      大学: 0名。一般: 7名。
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[6] 6/17 朝日・北海道:北大の力 
目次:http://mytown.asahi.com/hokkaido/newslist.asp?k=28
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[6-1] (5)法人化  学内論議少ないままーー「法案先行」懸念消えず
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news01.asp?c=28&kiji=5
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「運営諮問会議の20日後、北大体育館で開かれた卒業式でのことだった。

あいさつの中で、中村学長は法人化に触れ、「大学運営の自主性、自律性の確
保が可能だが、同時に危惧(きぐ)が存在することも否定できない」として3
点を挙げた。

(1)国の国立大への財政支援が後退しないか(2)大学の教育研究に対する
評価が公正にされるのか(3)評価を受けるための書類作りで教育研究活動が
阻害されないか――。

こう問題点を指摘しながらも、最後は「法人化に向けての準備を鋭意行ってい
る」と締めくくった。・・・」
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[6-2] (1)研究戦略(6/13)産学官連携への加速
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news01.asp?c=28&kiji=1
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「・・・産学の急接近には警戒感も強い。

  北大教官の有志58人が10日、国立大学法人法案の慎重審議を求めた声明
書の中で、くぎを刺した。声明書は法学研究科の山口二郎教授が起草したもの
だ。

  「産学連携の名の下に、短期的に成果を上げ、利潤につながるような研究の
みが加速され、数十年後、数百年後という単位で社会に裨益(ひえき)するよ
うな学問が枯れてしまう恐れが強い」

  西村教授が研究する糖鎖も、そうだ。今でこそ脚光を浴びるが、遺伝子研究
が全盛だったころまでは、研究者からほとんど見向きもされない時代が長く続
いたという。・・・」
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[6-3] その他

(4)教養教育(6/16)
      http://mytown.asahi.com/hokkaido/news01.asp?c=28&kiji=4

(3)国際交流(6/15)
      http://mytown.asahi.com/hokkaido/news01.asp?c=28&kiji=2

(2) 入試改革(6/14)
      http://mytown.asahi.com/hokkaido/news01.asp?c=28&kiji=3

「「文章や資料を的確に把握・分析し、考えをまとめるという研究者に必要な
体系的な英語力を求めているようだ。大学院重点化の中で、研究に強そうな人
材を集めたいとの姿勢がうかがえる」
 札幌予備学院で英語科専任講師を務める松山博史さんは、こう分析する。
 「気づきにくいが、数学も変わった」。数学科専任講師の福井敏英さんはい
 う。
 問題用紙の表紙に2年前から注意書きが加わった。「採点では、結果を導く
過程を重視するので必要な計算・論証・説明を省くな」との内容だ。
 「数式を羅列するだけの答案が多い。言葉を補い、他人へのわかりやすい説
明を求めている。独り善がりになるな、ということでしょうか」
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[7] 6/17 毎日新聞社説「法科大学院 これでは司法改革が危ない?」
nhttp://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030617mainitisyasetu.html
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「裁判官、検察官、弁護士の法曹を養成する新しい教育機関、法科大学院(ロー
スクール)の設置認可申請の受け付けが文部科学省で始まった。法科大学院制
度の導入は司法制度改革の中核とされるが、取り巻く状況には難問が山積して
いるのが実情だ。

受け付けは今月末で締め切られ、11月末の認可を経て、来年4月には法科大
学院が開校する。法科大学院協会設立準備会のまとめなどによると、全国の7
0を超す大学が申請する見通しだが、大学数で6割強、入学定員で7割強が首
都圏、近畿圏に集中しそうだ。

総定員は6000人を超す。改革後の司法試験合格者は3000人なので、卒
業者の約7割を合格させるというもくろみは外れそうだ。だからといって認可
の時点で定員を絞り込むのは筋違いだ。今後の推移を見守るしかあるまい。

学費は今のところはっきりしないが、少数精鋭教育を目指す一方で実務家教員
の人件費がかさむことから年間100万円以上になると見込まれている。それ
だけでも志願者の門戸を狭めるのに、地方出身者に不利となる状況は機会均等
を図るためにも、幅広い人材を登用するためにも好ましくないことは言うまで
もない。授業料引き下げに努力することはもちろん、夜間コースの開設なども
不可欠だ。金融機関とも連携して奨学金制度を早急に設け、志願者に告知すべ
きでもある。

法科大学院に入学するための第一関門となる適性試験については日弁連法務研
究財団と大学入試センターがそれぞれ8月中に実施することになっているが、
各大学院の選抜試験については方法はもとより日程さえ明らかにされていない。
志願者の準備も考え、計画の策定、公表を急がねばならない。

施設や教員の陣容、カリキュラムなどについて、現在の司法試験で多数の合格
者を出している大学ほど優位に立つのは、ある程度は仕方がないとしても、法
科大学院を立ち上げることになった背景に、現行システムへの批判や不満があ
ることを忘れては困る。

現在の司法試験は合格率3%以下といわれる超難関で、大学の法学部の講義で
は不十分と、受験生の多くは大学在学中から司法試験予備校に通って知識を詰
め込む。大学入試前から通算で10年近くも受験勉強をした者でないと合格で
きない、とさえ言われている。

それでは豊かな人格、識見は培われないと、法科大学院では多種多様な人材を
集め、幅広い教養を身に着けさせる代わりに卒業後の司法試験の門を広げる。
同時に、合格者数も増やして市民の司法へのニーズに応えられる態勢を整える、
というのが司法制度改革の目指す方向だったはずだ。それなのに、司法試験予
備校にカリキュラム編成や教員派遣を頼む大学も少なくないという。法科大学
院が予備校化しては改革の意味がない。

法科大学院の行方は、司法制度改革全体の成否を左右する。開校まで9カ月、
関係者は改革の理念を改めて認識し、設立計画全体を再点検してほしい。」
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[8] 6/15 朝日・山形「国立大法人化を語り合うシンポ 山形 」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web30617mainitiyamagata.html
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「国立大学の法人化など、教育をめぐる問題を話し合う「市民シンポジウム」
が14日、山形市の山形大であった。国立大を法人化する法案は今国会で成立
する見通しだが、その結果、基礎科学の研究が手薄になったり、「大学の自治」
が脅かされたりするとの危険性が指摘された。

  山形大職員組合などの主催。県教組や全山形教職員組合の幹部も招き、小中
学校教育の現状や、教育基本法改正問題についても話し合った。

   国立大法人化については、全国大学高専教職員組合中央執行委員の品川敦
紀氏(同大理学部)が法案を解説。(1)文部科学省は国立大に補助金を出さ
なくてもよい(2)各大学は運営計画を同省に示して認可を受けなければなら
ず、違反すれば過料が課される(3)学長選考は必ずしも選挙で行わなくても
よい−−との規定になっていると指摘し、「大学の自治や学問の自由が奪われ
る」と批判した。」
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[9] 6/07 リンク紹介:江頭 進「日記」6/7「独法化法案」に思う 
       http://www.otaru-uc.ac.jp/~egashira/diary/20030607.htm
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org   
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