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[kd 03-08-27] 金沢大学で全学人事凍結
国公私立大学通信 2003.08.27(水)
http://ac-net.org/kd/03/827.html
次号:http://ac-net.org/kd/03/830.html
前号:http://ac-net.org/kd/03/826.html

--[kd 03-08-27 目次]--------------------------------------------

【1】8/27 仲正昌樹氏からのお便り紹介:金沢大学における全学教員人事凍結

【2】「(広島)県当局(大学企画管理室)による改革案の問題点」より
     http://www.enjoy.ne.jp/~sinoki/kangaeru/mondai.htm
    「県立広島女子大学の明日を考える会」 サイトより

【3】8/9 地学団体研究会第57回総会: 国立大学法人法の廃止を求める声明

【4】吉田文 著「アメリカ高等教育におけるeラーニング 日本への教訓」
     東京電機大学出版局 2003.3.20出版 3000円(税別)ISBN:4501619805
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/html/9976771509.html

【5】8/25 [he-forum 6171] 国立大学法人法(学長選考会議の条文)の解釈
     全大協森田書記長回答
     http://www.shutoken-net.jp/web030825_5zendaikyo.html
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【1】8/27 仲正昌樹氏からのお便り紹介:金沢大学における全学教員人事凍結
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「金沢大学で法人化後の大問題が二つほど急浮上しているので、お伝えします。

(1)法人化後の給与の算定が決まる来年一月まで、八月五日をもって全部局
の教員人事を凍結することが学長サイドで、評議会での審議を経ないで決定。
−−このことを、少なくとも法学部のスタッフは昨日(八月二十六日)に初
めて知らされましたが、一部の学部はインサイダー情報に基づいて、七月中
に欠員を埋めるための人事委員会を設置したそうです。「八月五日」問題は
現時点でも評議会にかかっていません。給与の算定次第で、その時点で欠員
になっているところを機械的に切る意図は明白です。

(2)全部局の定員の一五%を、学長の直接裁量下のポストとして吸い上げ、
COE向けに新学科などを創設する−−これも評議会で直接決定したわけでは
ありませんが、既に、その一五%を学内での競争に従って配分するという噂
が流れ、既にそれに向けて走り出そうとしている部局もあります。」

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【2】「(広島)県当局(大学企画管理室)による改革案の問題点」より
http://www.enjoy.ne.jp/~sinoki/kangaeru/mondai.htm
「県立広島女子大学の明日を考える会」 サイトより
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#(編集者の無断転載)

「 2003年5月16日 第1回 新県立大学に関する調整会議の開催
       女子大代表の委員は改革案に反対・拒否し、資料さえ持ち帰らず。
       2週間に1度の開催予定だが開催されていない。・・・・・」

「・・・・・ 広島女子大学は、80余年の歴史の中で実績を積み社会的評価を
うけてきました。加えて1995年の改組を通して、より総合的・学際的な大学に
整備されました。地域を支える多くの優秀な社会人・家庭人を世に送り社会的
に評価されてきたのは、幅広い豊かな教養教育とそれをベースにした専門人の
養成をおこなってきたからにほかなりません。それは、広島女子大学が文系・
理系の両学部から構成されており、なおかつ教員養成を担っているため、ほぼ
すべての学問分野を専攻する教員によって構成されているからなのです。

 こうした広島女子大学の総合性・学際性は、受験生から高い評価をうけてお
り、受験産業からは、少子化時代の大学生き残り競争においてもその将来性が
評価されています。

 にもかかわらず、県の提示案は、文系・理系の2学部体制を廃止するととも
に、小学校教諭免許取得の廃止をはじめ教員養成を解体する方向を明示してい
ます。つまり、広島女子大学という総合的・学際的な大学の解体・消滅にほか
なりません。

 しかも、県の提示案では、現在の豊富で多様な授業科目の一方的削減の方向
が提示されており、より豊かな教養教育・高度な専門教育の否定と相まって、
教育サービスの低下をまねかざるを得ません。・・・・・」

cf: 新県立大学の概要:
http://www.pref.hiroshima.jp/kankyo/daigaku/new/pdf/gaiyo.pdf

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【3】8/9 地学団体研究会第57回総会: 国立大学法人法の廃止を求める声明
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「先の国会において国立大学法人法および関連法が成立した.衆議院の文部科
学委員会,および参議院の文教科学委員会での審議では文部科学大臣や政府側
の答弁不能や訂正,おわびがくり返され,最終的に参議院で23もの付帯決議が
つけられるなど,法律の不備を残したままの強行決議であった.この国立大学
法人法は,憲法23条に保障された学問の自由を蹂躙するものであり,我が国の
歴史においても,また先進諸国においても例をみない希代の悪法である.

 国立大学法人法は,国立大学の設置者を法人とすることによって,国の費用
負担の責任を後退させ,文部科学大臣が定める中期目標などを通じて大学の研
究・教育の内容を国家統制しようとするものである.法人化により,各国立大
学法人は研究・教育よりも経営的観点を優先させざるをえず,授業料の引き上
げや,大学間・学部間格差を避けられないものとし,研究・教育の質の低下を
もたらさざるをえない.国立大学の法人化は直接金儲けにつながる研究ばかり
を優遇し,研究者や大学は競争的資金獲得にはしることになる.そして基礎的
研究や教育がおろそかになり,長期的視野に立?  て行われるべき地球科学を
はじめとする基礎科学の教育・研究 の発展に,重大な支障をきたすものであ
る.基礎研究・教育の停滞や後退は,日本の将来に大きな損失をもたらすもの
であることを強く危惧する.

 大学は本来,「学問の自由」と「教育を受ける権利」が十分保障されたなか
で,自由で活発な教育研究活動が行われることが必要である.政府は憲法23条
および教育基本法第10条の精神に基づき,大学に対する不当な支配をやめ,現
在主要国中で最低ランクにある高等教育費の国庫負担の大幅な増額をはじめ,
教育や基礎研究を充実させるための教育研究条件の整備・拡充に努めるべきで
ある.

 創立以来,学問の自由を守り,「国民のための科学」を求めて,地域に根ざ
した活動を行ってきた地学団体研究会は,国立大学法人法の廃止を強く要求す
る.

2003年8月9日
地学団体研究会第57回総会
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【4】吉田文 著「アメリカ高等教育におけるeラーニング 日本への教訓」
東京電機大学出版局 2003.3.20出版 3000円(税別)ISBN:4501619805
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/html/9976771509.html

Mainichi Intractive 2003.8.25 書評:
http://www.mainichi.co.jp/digital/e-learning/new/topics/200308/21-1.html
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#(リベラル・アーツとeラーニングの適合性、学生の社会化の問題、eラーニン
グへの支出増大、財政の圧迫の問題、講義の所有権や著作権、教員の雇用の問
題など、について議論があると紹介されている。)

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【5】8/25 [he-forum 6171] 国立大学法人法(学長選考会議の条文)の解釈
     全大協森田書記長回答
     http://www.shutoken-net.jp/web030825_5zendaikyo.html
    cf:品川敦紀氏の問 http://ac-net.org/kd/03/823.html#3
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公立大学改革まで、全国共通の画一的「トップダウン方式」で、役
所主導によって強引に進められようとしている。アレゼール日本*
(高等教育と研究の現在を考える会)の「大学界改造要綱」には、
フランスの国立大学が地方行政に委ねられている弊害が紹介されて
いるが、増加傾向にある特色ある知事の方々の類似した「英断」の
直撃によって、伝統と特色のある数々の大学が姿を消して、国籍不
明の大学群が日本各地に出現する、という危険はないだろうか。
* http://www.h4.dion.ne.jp/~soki/appel.html

編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
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