通信ログ
国公私立大学通信 2003.09.20(土)
http://ac-net.org/kd/03/920.html
前号:http://ac-net.org/kd/03/913.html
━[kd 03-09-20 目次]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】豊島耕一「東北大学が一市民を告発した問題」2003.9.19
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/UniversityIssues/on-ufo-ryo2.html
【1-1】国連規約人権委員会で出された日本政府に対する勧告
CCPR/C/79/Add.102 1998年11月19日 より
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/jinkenlibraly/treaty/liberty/report-4th/observation/index.html
【2】第17回国立大学法人化特別委員会議事次第
日時:平成15年9月4日(木)16:00〜18:00
http://www.shutoken-net.jp/web030914_4hojinkai_txt.html
【3】文科省・厚労省への裁量労働制適用要請2003.8.6
http://www.kokudaikyo.gr.jp/iken/txt/h15_8_6.html
【4】広島県立大学統合案に3学長が合意か
【5】横浜市立大学商学部臨時教授会決議 平成15年9月11日
プロジェクトR幹事会「改革案」に対する商学部教授会見解
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/20030917Togohantaiketugi.htm
【6】「労働安全衛生法違反のまま国立大学法人化をゆるしてはならない!」
河合利秀(名古屋大学理学部技術部)
【7】静岡大学教職員組合「国立大学法人静岡大学における就業規則作成
及び労使協定締結に係る「労働者の過半数を代表する者」を支持する署名
http://www.jade.dti.ne.jp/~suu/2003/syugyo_yoshi.htm
【8】大阪大学教職員就業規則(第一次案)についての意見
http://www.ne.jp/asahi/union/osaka-uu/seimei/iken030901.htm
【9】「国立大学法人と労使関係・労働条件」について 2003.9.20-21
全大教関東甲信越地区協議会主催 集中学習検討会IV:
http://www.shutoken-net.jp/web030818_3toushoku.html
【10】9/13号紹介「教職員組合の必要性に関する20のQ&A」より
http://ac-net.org/dgh/03/912-union-qa.pdf
【11】櫻井よしこ「 遠山文科相「国立大支配」の責を問う」
文藝春秋10月号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】豊島耕一「東北大学が一市民を告発した問題」2003.9.19
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/UniversityIssues/on-ufo-ryo2.html
「東北大学の「有朋寮」関連で逮捕・長期拘留」2003.7.25
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/UniversityIssues/on-ufo-ryo.html
-----------------------------------
東北大学による報告と、学生による報告が、対照して紹
介されている。
■東北大学「学生協だより」№24より
「○教官に対する傷害事件がありました
大学は、4月1日以降も国有財産である旧有朋寮建物を管
理する責任を負っており、特に旧有朋寮の現況の把握と
近隣住民の安全を図る必要があります。そこで、3月28
日に、学生協協議員、事務職員と工事関係者が旧有朋寮
の現況確認作業と近隣住民の安全確保のための同敷地の
仮囲い作業を実施するために現地に赴きましたが、寮生
と学内および学外支援者の計約40名に阻まれ実施できま
せんでした。その際、学生協協議員1名が学外支援者と
見られる者に突き倒され頭部に怪我をしました。大学内
の問題に学外者が支援者として参加し暴力を働くという
ことは、良識の府である大学においてあってはならない
ことです。傷害事件として警察に被害届けを出しました。
大学はこのような暴力を決して容認しません。」
■ 有朋寮ウェブサイトhttp://www.ufo.ac の記事より
http://www.ufo.ac/futo-taiho/0615rally.html#kityou
「(前略)3月28日の「現況確認作業」当日、有朋寮
は大学との誠実な話し合いを求めるため、寮の敷地入り
口にテーブルと椅子をセットし、討論の様子が市民も含
めた誰にでも分かるようマイクも設置しました。有朋寮
としての抗議文も用意し、この「現況確認作業」の不当
性を徹底的に明らかにしようとしました。マスコミも多
数取材に訪れました。そして有朋寮生は、全員が机を境
にして寮の敷地内で待機していました。
そこに大学の教職員約40名があらわれます。しかしそ
のいでたちは最初から異様なものでした。全員が手に手
にカメラやビデオを持参し、寮の敷地前に到着するやい
なや、「話し合いを」と要求する寮生を無視して、寮生
や支援者の顔を無許可で撮影し始めました。「写真撮影
はやめてほしい」という抗議も全く受け入れない、実に
挑発的なものでした。
当日は有朋寮生や東北大生の他にも、東北大学当局の横
暴を許さぬために多くの市民の方々が監視に来てくださっ
ていました。今回不当逮捕された全金本山労働組合の中
野さんもその一人です。
そうした中、教職員の中でもとりわけ*学部の**教授
は際だった動きを見せます。中野さんにしつこくまとわ
りついて無法な写真撮影を繰り返したあげく、突然自分
から腰を下ろして尻もちをつき、頭を抱えて「倒され
た!」と騒ぎ始めたのです。
それを見るや、指揮者(**学部の**教授)が「写真
を撮れ!」と号令をかけ、まわりにいた教職員が一斉に
「傷害事件だ!」「被害届けだ!」などと叫んで写真や
ビデオの撮影を始めました。勾留状の「被疑事実の要旨」
にあるように、『やにわに胸部付近を右手で勢いよく突
いてその場に転倒させ』るようなことが本当にあったの
ならば、**教授の体を抱えようとするものが一人くら
いいてもおかしくはないのに、誰も**教授に構うよう
なものはいませんでした。
※大学の発行した『学生協だより』に掲載されている
写真を見れば明らかですが、現場では中野さん一人を数
十人の教職員が取り囲むような状況でした。にもかかわ
らず、写真に写る教職員たちは、みなおしなべて頭を抱
える**教授を何事もなかったように淡々と見下ろして
います。 (後略)」
最後に豊島氏は次のように訴えている。
「このように「でっち上げである」という重大な指摘が
非常に具体的になされており,しかも一市民の人権に重
大に関わる問題であることを考えれば,大学関係者,特
に国立大学関係者が沈黙を続けていいかどうか疑問です.
また,大学の問題に関心を持つべき団体も同様です.個
人個人を取ってみれば,だれもがこの問題に関わらなけ
ればならないという義務はありませんが,しかし集団的
無関心はまずいと思います.
大学側にはもちろん説明責任があります.その告発によっ
て79日間も一市民が身体の自由を奪われるという事態
が生じているのですから,少なくとも疑念には答える義
務があると思います.学内しか閲覧できない文書だけで
はなく(上で紹介した「学生協だより」も学内のみアク
セス可),広く学外に向かって説明すべきだと思いま
す.」
#(日本の司法が国家や社会の秩序の維持に強い関心を
持ち、人権擁護を重視する裁判官を冷遇している現状を
考えると、この裁判が公平に行なわれるのか懸念される。
(cf: 第一回公判2003.8.14 (*2)) 国連規約人権委員会
から繰り返し日本政府が強い是正勧告【1-1】を受けて
いる代用監獄に「容疑者」を75日間余も拘留すること
を裁判所が許可したことは、上の懸念を強める。最高裁
でも争われる可能性もあるが、その際、元東北大学教授
の藤田宙靖最高裁判事が担当する場合には、どのような
判断を示すであろうか。
(*2) http://www.ufo.ac/kouhan/dakkan.html
なお、日本政府が「世論調査結果」や「公共の福祉」に
より人権抑圧を正当化していることを、規約人権委員会
が問題視し強く批判していることは、どの程度知られて
いるのだろうか。)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1-1】国連規約人権委員会で出された日本政府に対する勧告
CCPR/C/79/Add.102 1998年11月19日 より
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/jinkenlibraly/treaty/liberty/report-4th/observation/index.html
-----------------------------------
C.主な懸念事項及び勧告
6. 委員会は、第3回報告の検討の後に発せられたその勧
告が大部分履行されていないことを、遺憾に思う。
7. 委員会は、人権の保障と人権の基準は世論調査によっ
て決定されないことを強調する。規約に基づく義務に違
反し得る締約国の態度を正当化するために世論の統計を
繰り返し使用することは懸念される。
8. 委員会は、「公共の福祉」に基づき規約上の権利に
付し得る制限に対する懸念を再度表明する。この概念は、
曖昧、無制限で、規約上可能な範囲を超えた制限を可能
とし得る。前回の見解に引き続いて、委員会は、再度、
締約国に対し、国内法を規約に合致させるよう強く勧告
する。
・・・
22. 委員会は、起訴前勾留は、警察の管理下で23日間も
の長期間にわたり継続し得ること、司法の管理下に迅速
かつ効果的に置かれず、また、被疑者がこの23日の間、
保釈される権利を与えられていないこと、取調べの時刻
と時間を規律する規則がないこと、勾留されている被疑
者に助言、支援する国選弁護人がないこと、刑事訴訟法
第39 条第3項に基づき弁護人の接見には厳しい制限があ
ること、取調べは被疑者によって選任された弁護人の立
会いなしで行われることにおいて、第9条、第10条及び
第14 条に規定する保障が完全に満たされていないこと
に深く懸念を有する。委員会は、日本の起訴前勾留制度
が、規約第9条、第10条及び第14 条の規定に従い、速や
かに改革がされるべきことを、強く勧告する。
23. 委員会は、代用監獄制度が、捜査を担当しない警察
の部局の管理下にあるものの、分離された当局の管理下
にないことに懸念を有する。これは、規約第9条及び第
14条に基づく被拘禁者の権利について侵害の機会を増加
させる可能性がある。委員会は、代用監獄制度が規約の
すべての要請に合致されるべきとした日本の第3回報告
の検討後に発せられたその勧告を再度表明する。
・・・
35. 委員会は、日本の第5回報告の提出日を2002年10月
に指定する。 (訳注:訳文中の「締約国」は、日本を
指す。)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【2】第17回国立大学法人化特別委員会議事次第
日時:平成15年9月4日(木)16:00〜18:00
場所:学士会館203号室
http://www.shutoken-net.jp/web030914_4hojinkai_txt.html
-----------------------------------
I 議題
1. 政省令関連事項について
2. 概算要求関連事項について
3. 今後の進め方について
4. その他
II 資料
http://www.kokudaikyo.gr.jp/katsudo/data_houjin/h15_9_4.html
1. 国立大学法人法に関する政省令案の概要
2. 平成16年度国立大学法人等概算要求の構成
3. 平成16年度概算要求主要事項の概要
4. 平成16年度概算要求主要事項の説明
5. 国立大学法人化後の学生納付金の取扱いについて
6. 国立大学法人制度運用に関する協議の場の設定について(申し合わせ)(素案)
(参考資料)
1. 今年度中の課題への対応(案)
2. 国立大学法人の運営組織等に関するアンケート集計結果
3. 国立大学教員への裁量労働制の適用について
4. 次世代育成支援対策推進法の概要
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【3】国大協から文科省・厚労省への裁量労働制適用要請2003.8.6
http://www.kokudaikyo.gr.jp/iken/txt/h15_8_6.html
「国立大学教員への裁量労働制の適用について(要請)」
-----------------------------------
参考資料:大手町博士のゼミナール 2003.9.16 「広がる裁量労働制 」
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/dr/20030916md01.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【4】広島県立大学統合案に3学長が合意か
-----------------------------------
『中国新聞』2003年9月12日付
新県立大、05年4月の開学へ 広島3大学統合
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn03091205.html
「広島県は十一日、県立三大学を統合して開設する新県
立大の基本構想を策定した。三大学の計五学部十三学科
を四学部十一学科に再編する基本構想について、三大学
の学長も大筋で了承。新県立大の二〇〇五年四月の開学
が事実上、固まった。・・・」
cf:広島県立3大学再編問題 「4学部11学科」案改めて提示
毎日新聞広島版 2003年8月20日付
http://www.shutoken-net.jp/web030822_7mainichi.html
http://ac-net.org/kd/03/823.html#10
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【5】横浜市立大学商学部臨時教授会決議 平成15年9月11日
プロジェクトR幹事会「改革案」に対する商学部教授会見解
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/20030917Togohantaiketugi.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【6】「労働安全衛生法違反のまま国立大学法人化をゆるしてはならない!」
河合利秀(名古屋大学理学部技術部)
-----------------------------------
労働安全衛生法違反のまま
国立大学法人化をゆるしてはならない!
名古屋大学 理学部技術部 河合利秀
はじめに
大学法人化の議論のなかで、当局の労働安全衛生法に
対する認識と対応が混乱している現状に、大きな危機感
をもちます。
労働3法の基本理念において、一般事業所をどう捕ら
えるのかなどの解釈や、労働者ではない学生も「実験」
で危険物を扱ったり危険作業を遂行することをどう考え
るかなど、グレーゾーンの存在があって、十分整理され
ていない問題ではありますが、昨今の事業所事故や観客
を巻き込んだ事故例を考えますに、大学当局の理解は極
めて自分本位であり、社会常識とかけ離れた解釈である
と言わざるを得ません。このような解釈にもとずいて大
学法人の設計がなされていることに、大いに警告を発す
ると共に、教員の皆様方には大学人として「学生の安全
を守る」という観点を貫いた大学の制度設計と共に、と
もすれば教育研究最優先でおざなりになってしまう「安
全」に対する「意識改革」をお願いすべく、本文章を書
きました。まだ十分推敲できず乱文のまま投稿するのは
心苦しいのですが、事態が猶予のならない状況であるこ
とに免じ、お許し下さい。
1、労働安全衛生法違反の大学
国立大学の法人化は、これまで想定していなかったい
くつかの問題を浮かび上がらせました。その一つに、労
働安全衛生法があります。
ご承知のように、国立大学の行政職員は公務員であり
ますので、公務員法に則った人事管理がなされています。
それが、法人化によって、一事業所の扱いとなり、大学
で働く人々に「労働法」「労働組合法」「労働安全衛生
法」が適用されることとなります。
ここで問題となるのは、労働安全衛生法(以下、単に
労安法と省略記述する)に関する事項です。
労安法は、事業所で働く労働者が弱い立場であり、法
律で守らないと労働者の命と健康を維持できないことか
ら、事業者に対して「最低これだけは守りなさい」とい
う主旨で策定された法律です。従って、労安法における
危険物や毒物と取り扱い業務における管理規定や労働者
の健康管理に関する条文は、時代と共に補強され、詳細
を労働厚生大臣が定める施行令や労働安全衛生規則など
によってきめ細かく定めるという多重構造の法体系となっ
ています。
公務員労働者の安全と健康に関することは、公務員法
及び人事院規則等で規定されており、その扱いに大きな
違いがあります。
労安法以下の体系は、労働厚生省が各事業所に対して
行政処置や罰則も含めた強い処置を行うことができるの
に対して、公務員法では罰則もない「遵守」すればよい
ばけのものなのです。
これをよいことに、これまで国立大学では、人事院規
則違反もお構いなしに教育・研究を優先してきた結果、
労安法違反の職場実態が広範に出現し、教員自らも危険
な職場実態に麻痺して、このような環境を改善しないま
ま今日に至っていることです。先の国会討議で浮かび上
がったのは、このような国立大学の実態であり、しかも
その本当の姿がいまだに十分把握できない(法の解釈す
ら定まっていない!)という事実であります。
2、安全に無頓着な文部科学大臣・文部科学省・大学当局者、そして教授達
このような労安法違反の実態は、先の国会審議で明ら
かになったものですが、その解消のための施設予算を文
部科学省が特別に用意するかと思いきや、なんと「従来
の公費から捻出せよ!」と言う驚くべきものでした。こ
のことは、文部科学省は労安法違反の実態に責任を負わ
ず、もっぱら大学にその責任を押しつける不当なもので
あることはいうまでもありませんが、労安法違反の危険
な事業所実態を「学生の勉学環境」として押しつけて平
気でいる文部科学大臣や文部科学省の姿勢に、改めて強
い怒りを感じるものです。
それと同時に、このような違法性が大学内外に周知さ
れた状況では、法人化に進もうとする大学当局や指導的
立場の教員にも大きな責任が発生したことになるのでは
ないでしょうか。法人化後の大学では、業務上過失致死
傷立件や損害賠償を承知で教育研究を企画立案・遂行し
なければなりませんが、私たちにそのような覚悟ができ
ているのでしょうか?
今日の法人化の議論において、法人化の問題点を学長
の権力集中による自治破壊すら無関心で自己の研究成果
のみに専念する教員の姿に、大学の果たすべき役割や国
民の付託に応える学問の自由に根ざした教育研究の主催
者たる自覚を感じることができないのです。
3、学生が大学内で実験中に事故死したら「大学お取りつぶし!」
それでは、労案法違反の実態が如何に法人化後の大学
にとって恐ろしいものであるかを、考えてみましょう。
大学入試の採点ミスで学長以下関係教授が総動員で
「お詫び」を繰り返したことを思い出して下さい。この
ときの受験生は、人生の方向が狂ったかもしれませんが、
人生が完全に失われるものではありませんでした。それ
でも、一般社会からは厳しく糾弾され、関係する教授が
「お詫び行脚」をするという事件になりました。
それでは、もし不幸にして学生が大学の研究施設で事
故死したとしましょう。これまでは労安法違反の実態が
隠されていたので、損害賠償等の訴訟には至らないで穏
便に済んだかもしれません。しかし、法人化以後は全く
異なった状況下に大学が置かれるのではないでしょうか。
学生が実験中に事故死すつというような事件が発生す
れば、労安局や警察は民間の一事業所の事故と同じよう
に徹底して過失の有無を調べることになります。そして、
労安法違反を放置していた大学当局は厳しくその責任を
追及され、事故をおこした施設の管理者は「業務上過失
致死罪」で刑事処罰の対象となることは免れません。
このような事態ともなれば、当然のことながら、遺族
の思いは「労安法違反の実態を放置した大学の責任」に
向けられ、膨大な賠償金を要求されるでしょうし、社会
的にみても許されない行為として大学は厳しくその責任
を問われるでしょう。
国立大学のままであれば国に賠償責任が生じるのです
が、法人化後は独立採算なので、このような賠償は全て
大学法人の負担となります。病院を抱える大学は医療ミ
スによる賠償が法人を揺るがしかねないことを重く見て
いますが、これと全く同じ危険性が、実験系の研究室に
普遍的に存在するのですから、このような事件が続発す
れば、経営体力の脆弱な大学は存続すら危ぶまれる窮地
に陥ることは必定です。
4、世間の常識とかけ離れた大学
しかしながら、問題は施設の不備だけに留まりません。
文部科学省や大学の関心はもっぱら施設の不備に向けら
れていますが、労安法は「安全教育」の徹底を重視して
います。
学生は労働者ではありません。むしろ、学費を受け取っ
ている大学からみれば「お客さん」なのではないでしょ
うか。その「お客さん」を危険にさらすのであればなお
のこと、安全の徹底が重要だと考えます。ジェットコー
スターの事故例を見ればわかる通り、主催者側の責任が
一方的に問われるのです。
実験系の研究室では、学生が労安法に定める危険物質
を取り扱ったり、危険を伴う作業は当たり前のようにつ
いて回ります。これらの作業なしには実験は進められな
いのですから、教育・研究の前提が成り立ちません。
それではどうするか。
彼らに十分な安全教育を実施し、安全管理を徹底する
組織的な取り組みや実態を積み重ねること以外に方法が
ないことを肝に銘じるべきです。
もし皆さんのご子息が違法状況を放置している環境下
で実験しているときに事故に遭遇したとき、あなたはど
の様な態度をとられますか?
科学の進歩のためには多少の犠牲も仕方ない。我が子
は科学のために尊い命を捧げたのだ!などと本気で思い
ますか?
私は関係者の過失責任を徹底的に追及します。それが
以後の無為な事故死を防ぐ唯一の道だからです。
しかし、さらに驚いたことに、このような認識を、文
部科学省も、大学上層部も全く抱いていないと言うこと
です。
その証拠には、国大協が厚生労働省に対して、違反状
況を数年間猶予してほしい旨の要望書を出したことで明
白です。
猶予期間中は労安法違反は明白です。本来ならば違反
している作業は行えないことになります。このような不
安を抱えたままで、はたして「大学」の教育と研究が実
施できるのでしょうか。
まとめ
以上述べてきたように、労安法対応は極めて重要な事
項にもかかわらず、おざなりな対応で、違法状態を解消
しないまま法人化すれば、大学の命取りになりかねない
状況があることをしっかり認識した上で、法人化実施を
しばらく延期し、法的に十分準備を整えるのが本道では
ないかと考えます。
そのためにも、是非ともこの問題に関する徹底した討
論と啓蒙をお願いするとともに、法令違反のまま法人化
が実施されないよう、共に力を尽くしましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【7】静岡大学教職員組合「国立大学法人静岡大学における就業規則作成
及び労使協定締結に係る「労働者の過半数を代表する者」を支持する署名
http://www.jade.dti.ne.jp/~suu/2003/syugyo_yoshi.htm
-----------------------------------
#(趣旨説明に、就業規則の作成、労使協定の締結、労
使委員会委員の推薦・指名等についての簡潔な説明があ
る。)
「・・・全教職員の皆様に訴えます。私たち静岡大学教
職員組合とともに教職員の雇用と就業条件をまもるため
に、支持・賛同の署名へのご協力を心よりお願い申し上
げます。」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【8】大阪大学教職員就業規則(第一次案)についての意見
http://www.ne.jp/asahi/union/osaka-uu/seimei/iken030901.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【9】「国立大学法人と労使関係・労働条件」について 2003.9.20-21
全大教関東甲信越地区協議会主催 集中学習検討会IV:
http://www.shutoken-net.jp/web030818_3toushoku.html
-----------------------------------
日時:2003年9月20日(土)13時 〜 21日(日)13時
場所:東京大学農学部3号館会議室(営団地下鉄南北線「東大前」駅下車)
講義:深谷 信夫 茨城大教授・・・(労働法)
日程:第1日目 講義と検討(13時〜17時)
「国立大学法人就業規則作成の視点と論点」
フリーディスカッション(17時〜18時)
第2日目 講義と検討(9時30分〜13時)
「職員団体から労働組合へ・労働組合の組織と活動」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【10】前号紹介「教職員組合の必要性に関する20のQ&A」より
http://ac-net.org/dgh/03/912-union-qa.pdf
-----------------------------------
■Q10:教職員組合は、どんな形であれ「競争原理」や
「能力主義・成果主義」の導入に反対しているのですか?
■A:それらに「無条件に賛成」でも「絶対反対」でも
ありません。ただし、教職員の間の協力とサポートが不
可欠な、教育研究や医療活動の推進に障害を持ち込む
「競争原理」や「能力主義・成果主義」の導入には、同
意できないと考えています。特に、能力・業績測定が難
しい領域について無理に評価を持ち込むことは反対です
し、また生活保障の立場から、労働条件に関わる評価は
短期的なものであってはならず、長期的で多面的な評価
でなければならないと考えています。例えば、教育活動
の業績評価は慎重に行う必要がありますし、それを安易
に給与等に反映すると、教員同士の差別や対立が持ち込
まれ、教員同士のサポートが不可欠な教育活動に重大な
障害が生まれます。
評価を処遇に反映する問題については、次の4項目が
きわめて重要です。
(1) 評価の基準(どのような勤務内容をどのような基
準で評価するのか、あるいは評価させないのか)
(2) 評価のシステム(誰がどのような手順で評価する
のか、評価の客観性をどう担保するのか)
(3) 評価結果を処遇に反映するシステム(評価結果を、
どのような処遇にどの程度反映させるのか、あるいはさ
せないのか)
(4) 不服申し立てシステム(「いつ、誰と、どのよ
うに」行い、個人への組合のサポートが認められるのか)
具体的には、すでに「就業規則検討ワーキンググループ」
で検討を始めており、また広島大学当局の方針を分析し
ながら、なるべく早く組合としての原則を提案したいと
思います。
さらに長期的な教職員組合の役割として、「能力主義・
成果主義」について、公正さの立場からチェックするこ
と、組合員の知恵と力を結集して公正さの基準とルール
を充実していくこと、不当な評価の被害から組合員を救
済することが重要になってくると考えています。」
■Q12:「数を頼んで自分を守る」という組合のやり方
は性に合わない。やはり、自己責任の時代では、自分の
事は自分で守るべきではないでしょうか?
■A:自分は何もしないで他人や組織任せで、現状に安住
するというのは良くありませんし、組合はそれを目指し
ているのではありません。あくまでも、「一人は皆のた
めに、皆は一人のために」がモットーですし、それは、
「21世紀=共生の時代」を生きる理念ではないでしょう
か。
なんども繰り返しますが、法人化によって勤務条件が根
底的に変わります。たとえば、公務員のような「定員」
という概念はなくなりますが、その代わりに、「予算不
足」を理由とした待遇改悪が可能となります。また競争
原理と評価制度により、これまで同僚であった職員の間
に差別が導入される可能性が高くなります。これまで、
「組合は必要ない、自分のことは自分で守るし、それは
可能だ」と考えていた人は、経営側から「予算不足」や
「相対的な評価の低下」を理由とした「雇い止め」や
「首切り」、「給与の引き下げ」などを言い渡されても、
それに対抗する上で、一人で経営者とわたり合う以外に
交渉手段をもたない場合は、立場はきわめて弱くなるで
しょう。
また、どんな職場でも制度の解釈や運用、上部との関係
などで、必ず不合理な状況が生じます。また長い人生で
は、予想も出来なかった事情が生まれ、それまで順調だっ
た勤務環境が激変する事態がいつ生じるかわかりません。
そのような時に、一人で問題解決が出来るのでしょうか。
民間企業で吹き荒れているリストラ解雇では、組合のあ
るところでは非組合員の中間管理職の人たちが集中的に
被害にあっていますし、組合のないところではほとんど
無法状態です。後者では、特に若年労働者に矛盾が集まっ
ています。
勤務条件の確保と改善のためには、労働組合がどうして
も必要になります。広島大学教職員組合は、法人化後に
労働組合として認められれば、組合員の雇用の確保を保
障し、労働者を守る団体となるのです。」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【11】櫻井よしこ「 遠山文科相「国立大支配」の責を問う」
文藝春秋10月号
-----------------------------------
『文藝春秋』2003年10月号 大学の危機
櫻井よしこ 遠山文科相「国立大支配」の責を問う
小見出し
研究費が天下り文科官僚に食いつぶされる
官僚栄えて学問滅ぶ
教授一人百五十万円の負担
行政改革のとばっちり
立法者としての責任を取る
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
国公立大学通信ログ:http://ac-net.org/kd
登録と解除の仕方:http://ac-net.org/kd/sub.html