立命館学園で働く方々へ Dear colleagues, ◇◇ APU常勤講師支援カンパ総額は7万7千円(目標額120万 円の6%)になりました。本来、こういう事件のための「保険」 として教員で「闘争資金」を積みたてておくとよいですが、今回 のような事件が起きたときに教員が相互に支え合う慣習ができて いれば不要です。そういう慣習は事例が重ることで形成できるよ うに思います。この意義もありますので、ぜひ、多くの方がカン パされますように。 滋賀銀行南草津駅前支店 普通預金口座 633143 加入者名:立命館教員ネット 「権利の上に眠る者は保護せず」という格言があるそうです。ど んなに正当な権利を持っていても、その権利を主張しない者は (法律は)保護しない,という意味だそうですが、日本社会では、 義務を懸命に果せば権利を主張しなくても報われる、という思い が人々の心の底に今でもあるように思います。しかし、義務を懸 命に果すが権利は主張しない人がいるとシメタと思う経営者が日 本社会の勝ち組となりつつあり、立命館でも経営者は日本社会の 伝統を捨てて、権利を主張しない構成員の権利は無視することを 宣言すると同時に、権利を主張する構成員を押さえつけることに 膨大なエネルギーと資金を投入しているのが現状です。この現状 では、立命館で働く者も日本社会の伝統的価値観を一旦放棄し、 欧米の法治国家における市民に見ならって自分の権利を主張する ことが「立命館の民主主義」を蘇生させるのに不可欠のようです。 その蘇生に失敗すれば、立命館学園は、働く者の大半が利用され るだけ利用されて捨てられる、おぞましい組織となるでしょう。 今回、基本的人権の侵害に対し、毅然と裁判所に判断を求めた若 い同僚の勇気ある行為は、立命館の今後と私たちにとって、測り しれない意義を持っています。私たちがこの方を支援できるかど うかは、新しい「立命館の民主主義」が形成できるかどうかを左 右すると言っても過言ではないかもしれません。 支援の方法:http://ac-net.org/rtm-net/index.php?#shien ◇◇ 先週金曜日に、APUの現状についての現場からの報告があ りましたが、【1】はその感想。 ATU(Almost True University)についてのブログが昨年あり ました。今はまだATUでないとしても、APUがATUになる 日は近い、という印象を受けました。 しかし、RU(立命館大学)でも教授会での投票を経ない教員人 事が少しずつ始まったころから、教員の士気は低下しはじめ、批 判もしないが協力もしない、立命館には関心を持ちたくもない、 という思いが序々に広がりはじめ、今ではかなりの教員がそうい う気持ちでいるのではないか、とも想像されます。教員だけでな く職員の方々の大半も同様かもしれません。 常務理事が全権を掌握するために昨年から仕掛けている奇襲攻撃 への反撃が、教授会でも組合でも腰碎けとなりつつある現状を考 えると、RUも幹部職員主導のATU(Almost True Univ) となる は日も遠くはないのかもしれません。 ◇◇ このことを象徴するような小さい事件があります。APU校 友会則が先月改訂され「会則の変更は理事が行い、会員に報告さ れる」となったそうですが、留学生のブログ【2】は、十文字原 (APU所在地)の民主主義は会則改訂日に死んだ、という感想 を書いています。 「トップが決め現場に通達する」という統治システムは、立命館学 園全体で確立されつつあるものです。「立命の民主主義」や「全 構成員自治」は、実質的には「戦前の民主主義」である「衆議統 裁」(集約された意見を参考にしてトップが決める)に退化して きましたが、一昨年の隠密裏の寄付行為改訂で、それが明文化さ れました。民主主義は十文字原だけでなく、等持院でも野路でも、 昨年の奇襲攻撃で瀕死の重傷を負い、虫の息です。復活するとし ても、過去の「立命の民主主義」ではなく、新しい「立命の民主 主義」の誕生を通してでしかありえないような、ほぼ完敗に近い 危機的状況が続いています。 ◇◇ 留学生の経済的な困窮を助けるために研究費を流用した理工 学部教員の処分が報道されました【3】。20日間停職の懲戒処分と なりましたが、衣笠学舎の法人掲示版に昨日公示された、文学部 のセクハラ教員に対する懲戒処分「1ヶ月停職」とほぼ同じ重さで す。これらの二件が学生に与えた影響の性質が正反対であること が処分の際にもう少し配慮されれば、学生を大事にする立命館の 姿勢を明らかにできたのではないかと感じます。 研究費流用の件についてだけは、立命館のホームページでも詳し く報告されていますが【3-1】、その文書には、「再発防止」とい う問題意識以外には何も感じられず、今回事件で明るみにでた留 学生の経済的困窮問題について大学は調査する意図すらないよう です。また、事件を誘発した無理な「国際化路線」の見直しも全 く視野にないようです。 今回の事件が何の「教訓」にもならないとすると、留学生の経済 的困窮は放置されたままになるでしょうし、何らかの方法で強制 されない限り留学生を受けいれる教員はいなくなるでしょう。立 命館の経営者が「国際化」に真の関心などないことが再確認され た事件でした。 ------------------------------ 【1】7月28日:組合・衣笠フォーラム・BKC月曜会共催: 「APUの教育と研究」の編集人の感想 ------------------------------ (括弧内は、講演とは関係のないコメント。) 7月28日に組合・衣笠フォーラム・BKC月曜会の共催でAP U専任教員の方が話しをされました。学内のことを学外で語るこ とがAPUでは禁止されているも同然のように感じられましたの で、具体的な内容は紹介できませんが、全体の印象だけ紹介いた します。 最初に、APUの構造的な面として、場所、文化、設備、教員等 について触れられました。場所としては、別府は国際的にも国内 的にもアクセスが不便であり、都会的要素・芸術文化・経済活動 等がないので国際大学としての立地条件はとても悪いこと、図書 館には研究活動を支える機能が想定されていないこと、等に触れ られました。 研究や教育の実態の種々の具体的な話は紹介できませんが、AP Uでは、教員の研究活動は有害無益なものとみなされているよう です。(今年から教員電話帳でAPU上級講師の居室が「執務室」 となっていることが、それを傍証しています。) 教員側では、大学を批判する人もいなくなったが、義務を越えて 大学に協力する人もいなくなったようです。義務以上の協力を教 員に求めるには何らかの方法で「脅す」以外には手段がなくなっ ているのではないかと推測されます。 これでは、APUにとって本当の戦力となっている教員の大半は 次の職を捜しているはず(*)で、APUが大学としての機能を 失うのは時間の問題かもしれない、そして大学としては機能して いないことが白日の下に曝されるのも時間の問題かもしれない、 と暗然となりました。 そうなっても、楽に卒業させてくれること以外に大学への関心が ない大多数の日本人学生には余り問題にもならないかもしれませ ん。しかし意欲のある国際学生の落胆と怒りは大きはずで、AP Uの「実態」は既に世界各地に広く伝えられているでしょう。美 しい建物や催し物の映像を満載したパンフレットをどれほど大量 に世界に流布させても、優秀な国際学生を集めることは極めて難 しくなっていくのではないでしょうか。 政府高官も含め、多くの人に夢をもたせているAPUを、本当に その夢に近づける努力をすることが重要で、そのためには、夢と 実態の乖離を隠蔽することに費している膨大なエネルギーを、A PUの理念の実現に少しでも回すことが何よりも重要なのではな いかと思います。 APUという美しい箱を作ることは容易なことではなく経営者に しかできないことです。しかし、この箱の中に真のAPUを形成 することは、息の長い困難な事業で、教育活動と研究活動の経験 のない者が引き受ける種類のことではありません。餅は餅屋です。 クリティカルな時が目前に迫っており、APUの箱を作った人達 は、箱の中身を作れる教員集団に、一刻も早くバトンタッチしな ければなりません。しかし、そのようなバトンタッチを指揮でき そうもない立命館学園理事会の硬直化した現状こそ、APUの危 機の真の原因ではないかと感じました。 ーーーーーーーーーーーーー (*)参考:7月14日締切で少くとも13名のAPU教員募集がありまし た: http://ac-net.org/rtm/f/apu-kyouinboshuu.pdf 会計学:若干名 開発経済:若干名 メディア論:1名 比較社会論:1名 開発社会学:1名 日本の文化・社会、歴史:若干名 アジア太平洋地域の伝統・宗教・文化・民族:1名 マネジメント・経営学:若干名 マーケティング、イノベーション&ニュービジネス:若干名 ツーリズム&ホスピタリティ:若干名 健康・環境・生命:若干名 国際戦略:1名 情報コミュニケーション技術(ICT):若干名 任用期間の記述が不思議で、 (1)5年間 (「大学の教員等の任期に関する法律」に基づく任期制教員) または (2)定年まで(教授65 歳、助教授60 歳) または (3)1年間(以降、双方の合意により1年間の任用期間で2 回を上限 に更新することがあり得る) となっていて、いずれかは「任用決定通知時に連絡する」と書いています。 ------------------------------ 【2】(ブログ紹介)between apu & me: 2006.8.1 APU Alumni Association Highlights http://www.beautiful-people.org/betweenAPUnMe/?p=60 ------------------------------ 立命館アジア太平洋大学校友会則16条 「Any revisions to or deletions from the Association Regulations will be carried out by the Board of Directors and reported at the Student & Alumni Association Assembly.」 (「会則の改訂や削除は、理事によって行われ、学生と卒業生年会 で報告される。」)について、次のコメントがあります。 Translation: the AAA's committee can add, change or delete anything it wants from the regulations as long as it informs its members afterwards. Can somebody pick up my head please, it just fell off again. If democracy ever lived on Jumonjibaru, it died on July 16, 2006. (素訳:翻訳すると「交友会理事は、会員に後で報告するのであ れば、会則に何を付け加え、何を変更し、何を削除しても良い。」 となる。(中略)十文字原に民主主義が生きていたことがかりに あったとしても2006年7月16日にそれは死んだ。) ------------------------------ 【3】毎日新聞 2006年7月31日 研究費流用:英国籍の男性助教授 を懲戒処分 立命館大 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060801k0000m040129000c.html ------------------------------ 立命館大は31日、研究費を留学生の生活費などに流用していた理 工学部の英国籍の男性助教授(45)を停職20日の懲戒処分にし たと発表した。流用総額は442万円。 立命大によると、助教授は研究室の大学院生6人名義で架空のアル バイト費を請求し、01~04年度に受給した文部科学省からの補 助金約299万円と学内研究費約143万円を流用。バングラデシュ などからの留学生8人に渡航費、生活費などとして1人3万~20 0万円を渡した。助教授自身も別に約80万円を拠出した。既に卒 業した留学生2人からは約50万円が助教授に返還されたという。 立命大は助教授に流用分の返還を求め、補助金を文科省に返還する。 問題を受け、立命大は研究費適正執行監査委員会を設置する。川村 貞夫副学長は会見で「社会からの期待と信頼を踏みにじるもの。大 学として十分反省している」と陳謝した。【中野彩子】 ------------ 朝日新聞 2006年07月31日 研究費流用440万円、助教授を懲戒処分 立命館大 http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200607310196.html 抜書 『同助教授は「経済的に困窮している留学生をなんとかしてあげ たかった。全額を返済したい」と話しているという。』 ------------ 京都新聞 2006年7月31日 停職20日の懲戒処分と発表 立命館大教員、研究費流用問題 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060731-00000052-kyt-l26 抜書 『川村副総長は「優秀な留学生を呼びたいが経済的に苦しいので 助けたのだろう。大学として十分反省し、研究費の不正使用を防 止する取り組みに全力を尽くす」と話した。』 ----------------------------------- 【3-1】2006年7月31日 立命館大学 Headline News 研究費の目的外使用にかかわる調査結果と 再発防止に向けた取り組みについて http://www.ritsumei.ac.jp/mng/gl/koho/headline/info/2006/08/kenkyuhi.htm ============================== 配信数 3863