茨木キャンパス用地購入計画に対する学内での批判が渦巻くなかで総合企画課が「補足説明」【5】を出しましたが、「教員体制の強化だけが教学の質向上ではない」として、茨木キャンパス用地購入も教学の質の向上に重要だと言いたいようです。しかし教員体制の飛躍的強化なしに教学の質向上はありえませんが、茨木キャンパス用地を購入しなくても教学の質向上は可能なことは明らかと思います。
さらに、今でも不足している個研室は、大幅な教員増があれば茨木キャンパス用地を購入しなければ建設できない、と言いたいようですが、茨木キャンパス用地を購入したあとには個研室不足が喫緊の問題となるような規模の教員増など不可能になります。茨木キャンパス用地を購入し3キャンパス体制になれば、その他に目白押しになっている一刻の猶予もならない教学施設不備の解決のために膨大な箱物費が必要となることを考えれば、教学の実質的な質向上に結びつくような教員体制強化や定員減(あるいは大規模な経済的奨学金)に必要となる規模の経常経費増は論外となることも明らかに思われます。
産業社会部教員有志の決議が公表されました【1】。すでに9月決定への反対決議をした教授会が衣笠であると聞きますし、来週にはBKCでも9月決定への反対決議を予定している学部があります。
経済学部の藤岡教授は衣笠・BKCの2キャンパス化を当時積極的に推進したそうですが、文理融合の理念は失敗に終わり、総合大学であった立命館が単科大学の単なる集合体に変容しつつある「衣笠・BKC2キャンパス化の負の遺産」に言及して、第3キャンパス構想を危惧しています【6】。それぞれのキャンパスが、それ自身で総合大学としての内容がなければならないという主張は、経営サイドからの指摘「学園のアイディティティーの形成、教学の一体化、課外活動、事務体制、効率的な管理運営とランニングコストなどを考えれば、ひとつのキャンパスが一番良い。」「二拠点に伴う様々な問題に直面していることは、各部門の現場で関係者が日々経験していることである。二拠点より三拠点の方が、さらに問題を多く抱えることは明瞭である。」【5】と相補って3キャンパス構想の無思慮さが際だって感じられます。
このように、教育研究部門の立場からの批判だけでなく、経営部門の立場からの強い批判【3】【4】があるわけですが、元総長・理事長室長の理事宛の勧告書簡【3】には、あまり学内で情報共有されていない種々の計画や問題にも言及があります。深草から長岡京への移転でキャンパスが狭くなること、深草の跡地は龍谷大学が購入すること、4・4・4の一貫教育を実施する際に「小学校の4年・5 年・中学校の1年・2年」の4年教育のために、付属小を北大路から長岡京へ移転する必要性が生じる可能性があること、慶祥高校の札幌市内移転計画など、どの程度の人が知っていたのでしょうか。また、付属校移転に必要な資金は付属校がこれまでに積み立てた範囲でまかなうそうですが、土地代は現キャンパスの売却費とある程度相殺できるとしても、最低80-90億円が必要という校舎建築費は、厳しい財政事情が推測される付属校で積み立てた資金内で済むのでしょうか。
「総長公選制を実現し学園民主主義を創造する会」事務局の批判文書【2】は、種々の「背任行為」の疑惑を指摘していますが、土壌汚染問題を学内で周知していなかったことは「役員等倫理規程」に抵触すると批判しています。汚染除去が済んだことが確認されたとしても、かつて土壌汚染があったことはキャンパスイメージを傷付け、受験生や父母に対する相当な疎力となることは自明なことで、まさに、学園の損失と不利益が生じる選択を、そうと知りつつ、推進してきたことは、「役員等倫理規程」に反する行為であることは自明なことです。しかし直接的な損失ないし不利益を証明するのは難しいことですから、残念ながら「証拠不十分」で懲戒処分には結びきそうになく、この意味で「役員等倫理規程」は「ザル法」の典型であることがわかります。
3キャンパス構想について、大学全体の発展を考えたときに、教育研究部門からの批判の轟音だけでなく、経営部門からでも危惧する声が明確に聞こえてくるなかで、教育研究部門の長が1月頃から隠密裏に3キャンパス構想を推進してきたという経緯は極めて残念なことです。推薦委員会が総長候補を推薦する時が近づいていますが、立命館の将来を左右する重大事を学内合意なしに陰で推進するような人達ばかりが推薦されるようなことがないことを願っています。
┌─── │新キャンパス移転問題について精力的に議論を積み重ねてきた産業 │社会学部の教員有志が、全学に向けて決議(案)を公表しました。 │以下、決議(案)の趣旨に関する説明文と決議(案)本文を掲載し │ます。なお、9 月13 日現在では、産業社会学部内で40 名の賛同者 │が得られたとのことです │ │┌─── ││産業社会学部教員有志決議の公表にあたって ││ ││この間産業社会学部では、新キャンパス問題が学部改革ときわめて ││密接な関連を持ち、教学的問題としても看過し得ない重要なものと ││して捉え、7 月最後の教授会が終わったあとも、引き続き学部・大 ││学院改革委員会を拡大し、教員多数の参加の下でこの議論について ││議論してきました。しかし理事会サマーレビューで出された方針は、 ││9 月28 日常任理事会での議論を最終のものとする,きわめて乱暴な ││ものです。このため産業社会学では夏休み中にもかかわらず、8 月 ││中に三回説明会および教員集会を開催しこの問題を議論してきまし ││たが、財政計画も教学の見通しも十分明確でない中でこのような将 ││来を縛る決定を行うことは断じて認めがたいという結論となり,そ ││のことを理事会ばかりか幅広く全学に呼びかけていくべきであると ││いう意見にまとまりました。そのためいま決議案を作製し、まず産 ││社教員内部で議論を始めています。30 名を超える教員が現在賛同し ││ていますが、9 月に入り多数の教員が帰り始めた段階で、圧倒的多 ││数の教員による声明としたいと思っています。決議案はまだ不十分 ││なものですが、日程上議論を集めていくことが必要と思いますので ││まず学部外にもこの決議案をお知らせし、皆様にも呼びかけていき ││たいと思いまお送りするものです。 ││ ││どうぞ宜しくお願いいたします。 ││ ││┌─── │││新キャンパス問題に対する産業社会学部教員有志の決議(案) │││―理事会に対して「第3のキャンパス」について10 月決定に固持す │││ることなく議論をつくすことを求め、全学的議論を呼びかける決議― │││ │││ 産業社会学部教員有志 │││ (代表;斉藤真緒、峰島厚、山下高行) │││ │││理事会7 月21 日付けの文章により新キャンパス設置の提案がなされ │││た。産業社会学においてもこの提案を受け、教授会での議論に引き │││続きすでに設置されている学部・大学院改革検討委員会を中心に検 │││討を開始した。それは、キャンパス拡大の問題は学園の将来ばかり │││か、本学部も含み直近に予定されている各学部教学改革にも多大な │││影響をあたえるからである。それゆえ産業社会学部では7 月の教授 │││会議論に引き続き、8 月に入っても学部改革検討委員会を拡大開催 │││し議論を続けてきた。 │││ │││しかし8 月3 日、4 日に行われた理事会サマーレビューでは、いく │││つかの学部より十分時間をかけて議論を行うべきであるとの声が上 │││げられていたにもかかわらず、新キャンパスについては9 月29 日の │││常任理事会にて最終討論とすることが示された。 │││ │││産業社会学部教員有志は、学園の将来に大きく関わるこのような決 │││定を、学園構成員による十分な検討と議論が行われないまま、10 月 │││決定を前提に拙速に決めていこうとすることに断固反対し、そのこ │││とを理事会および学園の全構成員に表明するものである。 │││ │││第一に、新キャンパスの設置は、各キャンパスにおける物理的配置 │││のみならずそこにおける教学展開、具体的な実行手順、現存する学 │││生への影響など総合的かつ慎重な検討を行い、それにもとづいた十 │││分な全学的討議を経て合意形成を行っていくことが必要である。議 │││論の提示の方向も、このような大きな決定を行う上で生じうる可能 │││性と脅威の両面を慎重に検討したものでなくてはならず、可能性を │││一面的に評価したものとなっている。 │││ │││第二に、新キャンパスの設置は、言うまでもなく学園の将来方向を │││大きく規定する問題である。それゆえその議論のためには、まず何 │││より財務も含めた全体計画のマスタープランが示される必要がある。 │││その内容もなにも決まっていない段階で、現在の課題をもとにただ │││適当な候補地があったという理由だけで新立地への展開を決めるこ │││とは、将来の禍根を残す拙速な決定であるとのそしりを免れ得ない │││であろう。新中期計画の議論においても2014 年以降の学園規模や学 │││費についての長期的見通しや方針が決まっていない段階でこのよう │││な決定を性急に行う根拠はどこにあるのだろうか、きわめて疑問で │││あると言わざるを得ない。 │││ │││第三に、このような長期的な影響が予測される重大な問題について、 │││十分な全学的討議を経ず理事会が先行決定することは、この間積み │││重ねてきた学園ガバナンスの見直しの努力を台無しにするものであ │││る。各学部教授会は本方針が提示されて以降、おおよそ一回程度の │││教授会議論しか行われておらず、最終討論が9 月29 日であるならば、 │││産業社会学部では実質上、臨時に開催される教授会一回のみの審議 │││でこのような方針を決定していくことになる。またその議論がどの │││ように集約、反映されるかも、提示されている日程からは定かでは │││ない。これでは総長、理事長がこれまで表明してきたガバナンスの │││反省とは何であったか疑問とせざるを得ない。現在議論している新 │││中期計画が目指している、質的向上を担保するためにうたっている │││「全学一致で進める学園運営」とは何なのであろうか。このような │││学園の将来の根幹をなすきわめて決定的な問題が、学園構成員にき │││ちんとしたデータや見通しが示されず、十分な議論なしに決定され │││る中では、新中期計画の議論を行うことは困難である。 │││ │││以上から、産業社会学部教員有志は9 月末に最終討論とするという │││理事会の提示する議論日程を撤回し、全構成員の十分な議論のもと │││に検討を行うことを断固要求する。またそのためにも、理事会は根 │││拠となる必要なデータや資料を開示し、何よりも将来の見通しを総 │││合的に検討したマスタープランを全構成員に提示すべきである。中 │││身の決まっていない立地優先の議論は、大学100 年の計をもってお │││こなう、責任ある議論とはとうてい考えることはできない。産業社 │││会学部有志教員は、このような「決断」を全く受け入れることはで │││きないということを強く述べておきたい。 │││ │││以上 ││└─── │└─── └───
¶抜粋 1) 京都新聞記事の重大な問題点 1-1) 茨木新キャンパス構想は新中期計画での合意事項ではない 1-2) 山ノ内浄水場跡地が狭いとの評価は正しいのか ┌─── │記事には、「山ノ内浄水場跡地も考えたが4 万 6 千平米と狭いこと │から茨木市を優先した」とあるが、奇しくも 27 日京都新聞夕刊の │報道の前日、同じく京都新聞から「山ノ内浄水場 跡地活用 大学施 │設誘致に決定」との記事が報道された。この記事の内容やホームペー │ジで公開されている跡地活用方針検討委員会(以下、「活用委員 │会」)の議事録や資料を見れば明白であるが、この間、特別委員会の │事務局が出していた山ノ内浄水場跡地は「狭い」との評価は完全に │作為的に作られたものであり、新キャンパスの対象地から除外した │最大の前提条件が崩れていることが明らかとなった。 │ │活用委員会の資料では建設可能な建物総面積は99,000平米で現衣笠 │キャンパス(164,000 平米・西園寺含む)施設総面積の6 割にあたる。 │特別委員会の比較表では、茨木 20 万平米、山ノ内 10万平米として │茨木優位としているが、現在の狭隘化解消とゆとりの創出にはどの │程度の面積が必要なのか。この 99,000平米は存心館 10 棟分に相当 │するがこれでも不足するのか。また、活用方針検討委員会では、土 │地の用途指定を工業地域から近隣商業地域へ変更し、 誘致条件を高 │めるため高さ制限(20m→31m)、容積率(200%→300%)の緩和も想定し │ており、これが実現すると建設可能面積は 1.5 倍となり衣笠キャン │パスと同規模の施設の建設が可能となる。 └─── II 茨木市長の市議会での説明と学内説明との大きな矛盾 III 茨木キャンパス予定地の土壌汚染問題 1) 第三者(もしくは本学研究者)による土壌汚染調査の必要性 ┌─── │しかし、施設建設に際し土壌汚染が明らかになれば、開設時期に大 │きな影響を与えるだけでなく、危険なキャンパスという社会的評判 │が定着し、 移転する在学生だけでなく受験生からも父母からも高等 │学校からも極めて厳しく評価されることとなる。 └─── 2) 土壌汚染情報の隠蔽は「役員等倫理規程」に抵触する ┌─── │この点、7月に全教職員に配布された「RUキャンパスに関する将来構 │想」(以下、「7月文書」)では、土壌汚染問題について一言も触れら │れていない。サッポロビールのHP上ですでに公開されている同社の │土壌汚染問題について、学園執行部がまったく認識しないま ま交渉 │していたがゆえに「7月文書」に記述しなかったとすれば、学園執行 │部、とりわけその交渉担当者は役員としての資質に欠け、無能のそ │しりを免れないであろう。 │ │これとは反対に、学園執行部がサッポロビールの土壌汚染問題を認 │識していたにもかかわらず、茨木キャンパス取得にかかる土地売買 │契約の強行という既定路線を完遂するために、これに支障のある情 │報は公表しないということであれば、立命館学園の全構成員に対し │てきわめて不誠実な対応、というよりもむしろ、今年5月に制定され │た「役員等倫理規程」にも抵触する行為であるといえよう。けだし、 │「役員等倫理規程」では、役員は「職務の遂行にあたっては、本法 │人および設置する学校の発展に尽くし、誠実にこれに取り組み、 損 │失、不利益を生じさせないよう努める」とあるからである。 └─── むすび――総長選挙と連動させた情報操作は許されない ┌─── │茨木新キャンパス問題との関連では、この他にも情報操作に近いこ │とが何点か指摘できるが、とりわけ重要なのは、そもそも、なぜ、 │交渉の相手方であるサッポロビールとの関係で、土地売買契約の締 │結日が10月31日に予定されている総長選挙の投票日直前の10月 29日 │なのか、という問題である。茨木新キャンパス取得について、問題 │なのは、学園財政上初期投資の規模だけでも数百億円を要する事業 │だということだけではない。立命館学園が茨木展開を図ることにな │れば、京都・大阪・滋賀の3拠点と、これに大分を加えれば 4拠点に │点在する大学ということになるが、その場合の立命館の固有のアイ │デンティティーとは一体何なのか、それぞれのキャンパスごとのコ │ンセプトやグランドデザインはどのように構想されることになるの │か、といった50年先を見通した大学全体の将来像についての合意形 │成が不可欠である。新しい民主的な学園執行部の創出が展望される │まさに総長選挙投票日直前に、民主的な合意形成を無視してサッポ │ロビールとの間で土地売買契約を強行するごとき蛮行は、厳しく戒 │められなければならない。 │ │なぜ茨木キャンパス取得に学園執行部は猛進するのか。こうした経 │緯の背後にはどのような事情が隠されているのか。私たちは学園執 │行部の行動をつねに注視して行かなければならないであろう。 └───
抜粋: (1)マスコミ報道とかかわって(略) (2)茨木市長の説明ならびに答弁とかかわって(略) (3)山の内浄水場問題ともかかわって(略) ┌─── │8月25日のマスコミ報道によると、京都市は山の内浄水場跡地を大学 │用の敷地として12月に公募することを決めたとされている。もとも │と衣笠キャンパス狭隘の克服対象として第一候補になるのではない │かとしていた土地である。 │ │当時(2009年秋)、この問題で立命館側の予備折衝の窓口となってい │たのは****部付部長と**常務であった。しかし両名からは │「めどが立たない」との報告があり、その直後に両名から茨木のサッ │ポロビール工場跡地購入が**理事長に進言された。 │ │山の内浄水場は衣笠キャンパスと朱雀キャンパスの中間にあり、朱 │雀キャンパスにあるロースクール、公共政策大学院へは地下鉄東西 │線で一駅である。したがって政策科学部や法学部のキャンパスとし │て使えば、京都ブランドは保持され、かつ衣笠キャンパス狭隘問題 │も解決でき、朱雀との連携も便利になり、同志社の今出川キャンパ │スとも大阪からの通学時間がほぼ同じ条件となる。 │ │したがって改めてここを有力候補の一つとして追求すべきであろう。 │もちろん競争入札であるから絶対に購入できるものではないが、対 │象外にするべきものではない。 │ │ところで奇異なことは、昨年の秋の時点では「山の内はめどが立た │ない」つまり「不可能である」との理由で別の場所として急遽、茨 │木のサッポロビール工場跡地が提起されたのであるが、今回の新聞 │報道によると大学側からのコメントと思われる内容として「山の内 │は狭いので茨木にした」という趣旨の記事になっている。 │ │この立命館大学がマスコミに行った説明だと、京都市から山の内浄 │水場跡地の公募があっても応じないことになる。 │ │山の内浄水場は4,6ヘクタールあり、衣笠キャンパスの狭隘さを克服 │するには十分な面積である。しかも大学の利用も考慮して高さ、容 │積率、建蔽率も緩和するとしている。なにをもって「狭い」という │のか。提案者は明確に説明する義務がある。 │ │結局、茨木キャンパスは衣笠キャンパスの狭隘克服が主たる目的で │はなく、どこでも議論したことがない第三キャンパスの設置が自己 │目的化していることになる。そのために12000名とか経営学部とかと │いう事が出ているのである。 │ │今回配布された「補足文書」を含め新キャンパスの提案者達が作成 │した文書を読むと「茨木」と「山の内」の比較表を掲載し、総合的 │に検討するなら「茨木」を採用せざるを得ないとの結論付を行って │いる。 │ │この比較表の最大の問題点は、立命館を三分割する第三キャンパス │の適地としての比較表であって、衣笠キャンパス狭隘克服のための │校地としての検討をするためのものではないことである。 │ │そもそも現時点でキャンパス問題を検討するとすれば、その出発点 │は衣笠キャンパスの狭隘さをどのようにして克服するかである。 │ │第三キャンパスなどは「新中期計画検討委員会」のどこでも議論さ │れてこなかった。もしもそれを論議するなら私の「7月文書」ならび │に、他の多くの人々が述べているように、立命館の戦略的展望の検 │討の上で総合的に検討すべきであって、そんなことを9月末集約、 │10月契約などできることではない。 │ │「7月文書」と重複するが、そもそも学園のアイディティティーの形 │成、教学の一体化、課外活動、事務体制、効率的な管理運営とラン │ニングコストなどを考えれば、ひとつのキャンパスが一番良い。だ │からこそ立命館は1970年代に広小路キャンパスをやめ衣笠へ一拠点 │化を図ったのである。しかし科学技術の発展に見合う理工系、自立 │できる規模の理工系をめざすためには、当時の国土法や文部省の抑 │制事項による制限ために郊外に出ていかざるを得なかったのである。 │ │その際に滋賀県並びに草津市から65ヘクタールに及ぶ校地の無償譲 │渡を受けたのである。しかし二拠点に伴う様々な問題に直面してい │ることは、各部門の現場で関係者が日々経験していることである。 │二拠点より三拠点の方が、さらに問題を多く抱えることは明瞭であ │る。したがって三拠点などということは、その問題点を明確にした │上で、対策も含めて総合的に慎重に検討すべきであると申し上げて │いるのである。 │ │衣笠キャンパスの狭隘を克服するためには、たとえ「山の内」がダ │メでも京都市内でしかるべき土地があれば、そこを確保し推進する │のも一つの選択である。茨木に第三キャンパスを確保するというの │は、衣笠キャンパスの狭隘克服と別の次元の話であり、別途おちつ │いて総合的に検討すべきことである。 │ │「京都市内に適当な土地が無いが、どうしても存心館や清心館の建 │て替えを急ぐというなら、第一体育館の後に 存心館、存心館の後 │に清心館というやり方で建て替えをしながら、しかるべき土地が確 │保できれば、そこに政策科学部などを建設するというのも検討すべ │きやり方である。いずれにしても茨木ありきで、ことを急ぐ必要は │ない。 │ │ところで提案者は常任理事会などで「山の内は競争入札になるので │値段も上がる可能性がある」と言っている。それでは茨木は競争入 │札にはならないのか。茨木について「競争相手が出てきたので10月 │をタイムリミットにして契約しなければならない」と言っているの │は誰か。提案者ではないか。 │ │現在、複数の学校が山の内浄水場を移転先の候補地としていること │が京都市に意思表明されている。 │ │別途であるが、龍谷大学は瀬田キャンパスの国際文化学部を深草キャ │ンパスへの移転を推進しようとしている。すでに発表されているよ │うに同志社の文系はすべて今出川キャンパスを中心として京都市内 │に移転させることになっている。また最近、報道された所によると │府立大学と府立医科大学、それに京都工業繊維大学が、府立大学の │敷地において教養課程を合同で展開し、府立大学農場を公開的敷地 │して展開する構想を打ち出している。いずれにしても各大学は「京 │都ブランド」を生かそうとしとているのである。 │ │なお学園は深草にある立命館中・高等学校を長岡京市に移転しよう │としているが、提案者達は深草キャンパスを龍谷大学に売却するこ │とを提案している。 └─── (4)ゼネコン四社から出向受け入れについて ┌─── │ところで茨木キャンパス問題が突然浮上する前に、私は立命館が6月 │1日からゼネコン4社(竹中工務店、鹿島建設、熊谷組、戸田建設)か │ら各1の出向社員を受け入れていることを発見し、やめるべきである │と文書で進言しました(6月28・29日、7月4日)。 │ │非営利法人である学校法人が、立命館の建設工事請負対象となる営 │利企業であるゼネコン4社から1年単位で出向社員を受け入れると言 │うことは、立命館の情報が筒抜けになるという点で、また4社による │談合の温床になる危険があり、やめておくべきであると申し上げた。 │ │しかもこれらの決定が、常任理事会はおろか常務会でも報告審議さ │れず、**常務と**部長による**理事長への説得、財務部の稟 │議で**理事長の決済だけで実行されたという異常な運営が行われ │た。これでは問題が生じた時は、理事会をはじめとするいかなる機 │関も責任を負えず、**理事長と**常務だけが責任を取らざるを │得なくなるので、今からでも止めるべきであると進言しました。 │ │常任理事会ならびに部次長会議において、私の進言ともかかわって │**常務から報告があり「法的には問題がない」とか「他でも行わ │れていることである」と説明された。しかし学部長理事ならびに部 │次長の間からは反対や批判、疑問は出たが、誰ひとりとして賛成す │るのが無く、提案者の方から「改めて整理して報告しますと言った │きりで、今に至るもなんの報告もされていない。 │ │ところで衣笠の第二体育館は竹中工務店が落札した。またBKCのスポー │ツ健康科学部も竹中工務店が請負工事した。そして今回、問題になっ │ているサッポロビール茨木工場跡地を**部長・**常務を通じて │持ち込んだのも竹中工務店である。茨木キャンパスが実施された場 │合は、竹中工務店を中心に先のゼネコン四社が分け合う危険がある。 │ │いずれにしても様々な問題点、究明すべきことが多すぎる茨木キャ │ンパス問題については秋の総長選挙を経て、新総長の下で仕切り直 │しをしてじっくりと検討すべきである。 │ │なお急ぐ理由として「競争相手が出来たので10月がタイムリミット │である」と説明されているが、立命館にとってはまず「今、急いで │何百億円もかけて茨木に第3キャンパスを設ける」ことの是非につい │て検討することが先決である。 │ │その事の合意もないままに、やみくもに購入することは間違いであ │る。設置する必要がなければ競争相手にもならない。「とりあえず │土地の購入だけでも」などという金額でもなければ「大学移転」と │いうことで茨木市を巻き込んでおいて「土地だけでも購入」という │ことにはならない。 │ │ところで誰が「購入する」と申し入れているのか。私が業界筋を調 │査した限りでは12ヘクタールもの土地、しかもつい最近まで土壌汚 │染の除去を行っていた土地を購入し、大規模な開発を予定している │業者は掌握できなかった。 │ │常任理事会での口頭報告では学校法人が開発会社と組んで学校を建 │設し、それにより土地の付加価値を上げて宅地開発をするなどとさ │れている。しかし茨木駅前の大規模開発で「10月がタイムリミット」 │という切迫した話にもかかわらず、そのような話は現在のところ茨 │木市においてもマスコミにおいても全く掌握されていない。「ある」 │と言うなら、責任を持って開示し、議論に耐えられるようにすべき │である。 │ │いずれにしても今回の話は、立命館大学の将来を決めるような大規 │模な提案にもかかわらず、あまりにも情報開示が少なすぎる。これ │らは提案者の責任に属する問題であることを警告しておかざるを得 │ない。 └─── (5)立命館高校の長岡京移転ならびに慶祥高校とかかわって ┌─── │私は、先の「七月文書」において立命館高校の長岡京移転計画(土地 │代は別にして校舎の建設費だけで新たに最低80-90億円が必要)の財 │政的展望を明らかにすべきであるとしました。そうでないと他の附 │属校を含めて、あとになって「そんなことは聞いていない」とか │「附属校にそこまでお金をつぎ込む必要があるのか」と揉めますよ │と申し上げた。 │ │さらに長岡京移転構想が持ち上がった時点で私が進言していたこと │が二つある。それは予定されている土地は、現行の深草より面積が │狭いので「後になって、校地が足りなのでグランド用地を購入した │いなどと言いませんね」と質したが、担当者などからは「たしかに │深草より狭いですが、有効面積は長岡京の方が広いので、そのよう │な心配はありません」と言うことであった。このことも明確に確認 │しておく必要がある。もう一つは、現在、一貫教育部で小・中・高 │の12 年間教育を4:4:4で行うという教学体系が検討されている。導 │入する場合、現在の北大路にある立命館小学校と長岡京に移転する │立命館中・高等学校の間で「小学校の4年、5年、中学校の1年、2年 │はどこでどのように教育するのか」も明確にしておく必要がある。 │後になって「立命館小学校の移転」などと言いださないことをはっ │きりさせておく必要がある。 │ │さらに、その後判明したところによると「慶祥高校対策委員会(仮 │称)において学園首脳部の一部から「現在の場所では生徒が集まらな │い」として「札幌市内のしかるべきところに移転すべきである」と │の意見が出されている。これは100億円以上かかる事業である。 │ │政策科学部もそうである、慶祥高校についても偏差値、意欲性とも │に高い生徒を、高い倍率で受け入れていた。まず何よりも、それが │後退したことを分析し対策をたてるべきである。それを場所の問題 │にし、設置後わずか十数年で移設するなどの構想が社会的に明らか │になれば「立命館は他にすることがないのか、よほどお金の使い道 │に困っているのか」と世間の笑い物になるだけである。 └─── さいごに ┌─── │前回も述べたことで蒸し返したくないが、政策に絶対的真理はなく │相対的選択である。しかしそのさい重要なことは、一般的な必要性 │だけではなく、財源、投資効果、限られた資源の相対的重点化が必 │要である。 │ │理事会は先人から預かった財産を適切に管理・運営し次の世代に引 │き継いでいく義務を負っている。今日までなんら問題にもなってい │なかった経営学部の移転を含めて何百億円も投資し、3号基本金を使 │い果たし、教学、課外、管理運営、ランニングコストなど多岐にわ │たった問題を含む茨木への第三キャンパス設置については、将来に │禍根を残さないように、多面的に慎重に検討し可否を決定する義務 │がある。 │ │ましてや慶祥高校の移転のために今、急いで100億円を超える出費な │ど行う必要はない。立命館高校の長岡京移転についての財政的展望 │も明確にする必要がある。 │ │理事会は、決して特定の学部や学校の利害得失だけで判断するので │はなく、立命館全体の将来に責任を負う立場で決定する必要がある。 │ 以上 │ │本文書に対する、ご意見、質問、また立命館に関する新たな情報提 │供があれば下記までお知らせください。私は情報源は秘匿しご迷惑 │はおかけしません。 │ │鈴木元 │ 現在、日本ジャーナリスト協会会員、日本ペンクラブ会員 │ 中国(上海)同済大学アジア太平洋研究センター顧問教授 │ 日本モンゴル政治経済懇話会理事 │ │鈴木元のメール shagime@mtf.biglobe.ne.jp └───
┌中村教担理事── │○わたしとしては、この間、信頼回復に向けて努力してきたつもりであるが、 │決め方、議論の収束のさせ方がまた学内の不和対立を大きくする、それは一 │方的に理事会の責任があることになると思うが、これを抱えて動き出すとい │うことは、慎重であるべきであると考えている。 │ │○組合の主張とこういう発言をしたということを常任理事会に伝える。決め方 │が大事である。9月末の迎え方についても大事である。教学議論が阻害され │てはいけない、ということも強調して発言したい。皆さんの思いも伝え、論 │点の継承をしたい。 └───
┌─(6)今後の進め方── │もしこの構想が実現すると、立命館大学としては、京都、滋賀、大 │阪の3 つのキャンパス配置となり、立命館大学のプレゼンスも大き │く変化することになります。当然メリットとデメリットがあり、3 │キャンパス展開により困難な課題も生じる可能性があるでしょう。 │しかしそれを上回る可能性、ポテンシャルが大阪・北摂の交通至便 │なキャンパスにはあると考えます。大阪で立命館のプレゼンスを高 │め、3 つのキャンパスの展開を、新キャンパスのみならず、立命館 │全体のゆるぎない基盤の確立へとつなげなければなりません。 │ │そのためにも、それに相応しい教学展開が必要です。それは大阪だ │けではなく、新キャンパス展開によってこれまでの条件上の制約・ │限界を克服し、改善の条件が生み出される衣笠キャンパス・BKC も │同様です。例えば、財政的に人的強化は可能であっても、衣笠では │個人研究室不足でこれ以上の大きな教員体制の増強には施設条件上、 │困難が伴います。教員体制の強化だけが教学の質向上でなく、また │これは一例に過ぎませんが、様々な質向上のための議論を、今後、 │全学で旺盛に取り組んでいかなければなりません。 └───
新中期計画=R2020に対する意見書 ーー大学教育の質とは何か、どう向上させたらよいかーー 2010/7/12 藤岡 惇(経済学部) ○教育の「質」とは何だろうか ○教育目的を考える前提ー大学をハンバーガー・ショップにしてもよいか ○上品な大学と下品な大学を分かつもの ○新中期計画案の弱点ーー目標と内容の齟齬 ○学部の教育目標を考える視点ーー学問特性によって2つに分かれる ○学部間のボーダーを超える2つの道 ○BKC開設にみる多キャンパス化の落とし穴 ┌─── │いま、キャンパスの狭さを突破するためと称して、第3キャンパス │の開設の必要が一部で議論されています。私は第3キャンパスの開 │設に何が何でも反対するものではありませんが、BKCの開設がも │たらした負の遺産を直視し、その誤りを繰り返さないでほしいと申 │し上げたい。相当に離れた地点に別のキャンパスを開くばあい、そ │れぞれが総合大学でありつづける必要があります。そうでないと、 │教養教育がいっそう無責任化し、立命館の教学理念の空洞化が進み、 │総合大学の「ばらばら解体事件」が最終局面を迎えることになるか │らです。 │ │衣笠からBKCが分かれて、何がおこったのか。当時2キャンパス │化を推進した私自身の贖罪の念をこめて申すのですが、BKCでは │「文理融合」という建学の理念はついぞ明確にならず、文理融合イ │ンスは蒸発してしまい、「理想なき現実主義の人材」 を育てる場 │に傾斜していきました。衣笠のほうが「現実主義なき理想家の人材」 │を生み出すようになったかどうか、私には判断する力がありません。 │ただBKCを見る限り、学生のほとんどが、平和ミュージアムの存 │在を知りません。立命館の教学理念を具現する科目たる「立命館で │平和を学ぶ」は最近まで理工学部の学生は履修することができませ │んでしたし、生命科学部などは、その状態が続いています。 └─── ○全学学生の経済教養育成に責任をもつ経済学部を