見解をまとめるにあたって
2000年9月14日 福井大学教育地域科学部教授会
戦後50年を過ぎ、いま日本の教育のあり方が大きく変化しようとしている。社会状況や産業構造の急激な変化、あるいは、学校をめぐる学級崩壊、いじめ、不登校、校内暴力、学力低下等の教育問題や、学校にとどまらず現代社会を揺るがす「社会問題」と化している少年の自殺、殺人事件等の問題は、いずれも学校教育及び教師教育の抜本的な改革を求めている。
文部省はこれらの問題に加えて少子化による教員需要の低下問題を含め、長期的観点に立った教員養成系学部の果す役割やその組織・体制のあり方について指針を得るべく、2000年8月に「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会」を発足させ、来春ないしは来夏には基本的な考えをまとめるという。一方、日本教育大学協会独立行政法人化問題検討特別委員会も、「21世紀の教育系大学・学部の在り方」としてまとめ、改革のための方針を公表しようとしている。これらの動きに呼応し、一部のマスコミを通して、一定の方向への誘導をも意図するかのような教員養成系学部の再編・統廃合報道が行われている。
このような状況下にあって、教員養成を担う学部は、当事者としての真価がいま問われている。教員養成を担う学部は、「一府県一教育学部・大学の原則」に立って、惑わず地域に耳を傾け、地域との連携の中で具体的に何をなすべきか方針を公表し、地域に問うていくことが求められており、また、それをすることが責務である。ややもすると単なる財政問題、あるいは、短絡的な対症療法的政策になりがちな教育改革を、地域の学校と大学と行政が協同して進める地域ネットワークの課題として位置づけ、そして、教育に関連する職業人の生涯学習機関、つまりは開かれた大学として提起していくことが、地域における教員養成系学部の使命である。
福井大学教育地域科学部は、地域に根ざした教師教育のあり方をここに明らかにし、改革の一層の努力を決意するとともに、多くの教員養成系学部・大学に訴えるものである。
要旨
21世紀には、より質の高い学習の機会を生涯にわたってすべての人に保障する社会の実現が求められている。学校教育の改革と開かれた高等教育の実現はそのための不可欠な条件であり、大学における教師教育改革は両者をつなぐ重要な環をなしている。
とりわけ、現在の教育が直面している問題を打開し、ゆたかで質の高い学び合 う共同体としての学校を実現していくことが強く求められている。この教育改革 の実現のためには、学校・行政・地域・大学が手を携え、共同で探究し実践して いくことが不可欠となる。教育系学部・大学院は、地域における学校改革のため の取り組みに参画し、教師の実践的な力量形成を支え、そのネットワークの拠点 としての役割を果たしていくことが求められる。
戦後、「一府県一教育大学・学部の原則」に立って設置された教育系学部・大 学は、21世紀に向けて、地域に開かれたゆたかな生涯学習を実現し、地域の教育 改革実現のために、学校と行政・地域と連携し、さらにきめ細かな地域ネットワー クの拠点としての役割を発展させていくことが求められている。
これらの役割を果たしていくことは、地域にねざした教育改革を実現していくために、教育系学部・大学院が果たすべき責務である。
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