Subject: [kd 03-02-09] 法案概要についての要望等・朝日新聞の回答
Date: Sun, 09 Feb 2003 

国公立大学通信 2003.02.09(日) --[kd 03-02-09 目次]-------------------------------------------- [1] (転載)2002-12-25 版 国立大学法人法(骨子素案) [2] (転載)東大職組:学長会議(2/10)における東京大学の対応について(要望)  [3] (転載)宮崎大学教職員組合2/6:宮崎大学長へ要望書 [4] (転載)北大ネット2/6:法案概要の問題点および国大協の対応についての見解 [5] (転載)全大教中央執行委員会2/4 「国立大学法人法案の概要」に対する声明 [6] (転載)朝日新聞論説委員室から国立大学独法化阻止全国ネットワークへ回答 [7] (紹介)早瀬 貫「太平洋戦争と朝日新聞ー戦争ジャーナリズムの研究」 [8] (紹介)加藤周一「学ぶこと・思うこと」 岩波ブックレット 2003.1.17 [9] (投稿2/6)「文部省省議「敗因の分析」」についての編集人感想へのコメント [10] (投稿2/6) A.D.氏(大学教員)の意見 [11] (投稿2/8) 青野透氏からの金沢大学での教養教育の試みの紹介 ----------------------------------------------------------------- 12月25日の段階の「国立大学法人法(骨子素案)」がネットで公開されました[1]。 この原案では、国立大学法人が総務省独立行政法人評価委員会の評価を受ける ことが明記されています。法案自身が存在するにもかかわらず概要しか提示し ないことは、上記のような重大な点の開示を阻む効果があります。 多くの大学で、種々の団体や部局が学長への要望を出しています。編集人が 属する部局の教授会(2/7)では、法案概要が従来検討してきたものとは大き く変化しているため臨時国大協総会の開催が必要であること、国立大学法人の 強いトップダウン組織へのカウンターバランスとして、全構成員から選出され る委員によるボトムアップのチェック機構が法的に規定されるべきこと、の2 点を、大学から国大協に伝えるべきだ、という意見に対し、部局長が理解を示 し、学長に働きかけることになりました。 ----- 全国ネットワークの「社説1/16における誤報について」という朝日新聞への 公開抗議書[kd 03-01-26-11]に対し、朝日新聞論説委員室から「「法人化さ れる見通し」などの表現がより正確だった」という驚くべき回答[6]がありました。 「2004年に国立大学が独立行政法人化する」というの記事も正確であったと主 張しているわけです。政治的状況を観察し議決される確率がきわめて高いとし ても、それが重大な争点を孕む問題である以上、それを既定事実として伝える ことの問題性は「どの程度正確かどうか」という種類のことでは全くありませ ん。この驚くべき報道感覚は、時代を先駆けるように戦争を鼓舞していった戦 前の新聞社の報道感覚[7]と本質において何も変りません。 ----- 前回の「文部省省議「敗因の分析」」に関する感想は太平洋戦争についての 常識不足による、という叱責がありました[9]。科学者や官僚は「敗戦必至」 と最初からわかっていたという指摘です。 それにもかかわらずなぜ開戦になったか?それを理解する一つの鍵は、昨年 6月に83 歳の加藤周一氏が学生に向けて話したところにあるように思います [8]。「私達の世代が若いころに犯した過ち」、それは、「いつまでも黙って いたこと」であると氏は言っています。沈黙は政治的には積極的な「賛成」で あることを看過したことであった、と。 ----- 他に、投稿が2件ありました。A.D. 氏は、独立行政法人化に反対だが、いまの 国立大学にも反対である、と述べ、講座制の弊害、人事交流の不足、科研費の 配分法、の3点を指摘しています。青野氏は、学生の発案に基づく講義の試み を紹介しています。 なお、投稿は、原則として全文をウェブに掲載し、通信では抜粋を紹介する方 針です。また、ファックス等で編集人に対しても匿名で投稿されたものは、情 報の信頼性が確認できませんので受けつけません。 ----------------------------------------------------------------- [1] 2002-12-25 版 国立大学法人法(骨子素案) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030207houannkouhyou.htm ----------------------------------------------------------------- #(国立大学法人が、総務省独立行政法人評価委員会の評価対象であること が明記されている。) 「独立行政法人化反対首都圏ネットワーク事務局: 2003年2月7日   このほど本事務局は、「国立大学法人法(骨子素案)」を入手した。ここで 公開するのは、先に公開した「国立大学法人法の概要」のうち、12月25日段階 の版に対応した法案全文であると考えられる。  この国立大学法人法(骨子素案)は、「骨子素案」と題されているように、 検討途上の版とみられるが、「骨子素案」という限定を付していない最新版 (H15.1月版)が存在すると聞く。  この文書を公開する目的は、国立大学にとって、もはや「概要」をもとにし た議論を行うだけでは不十分であり、早急に法案全文に対する検討を行うこと が不可欠と考えるからである。  ここで公開した版を見るだけでも、国立大学法人法の基本的骨格・法の構造 そのものが、まさに独立行政法人通則法を「丸のみ」したものであること、 「通則法の必要な規定を準用」(概要1月版)したものではなく、通則法から、 たとえば特定独立行政法人(公務員型)にかかわる箇所を部分的にはずした、 という性格を持つことが分かる。  私たちは、法案全文の即時公開を求めるとともに、各大学で「国立大学法人 法」の最新版を早急に検討するよう訴えるものである。」 ----------------------------------------------------------------- ----------------------------------------------------------------- [2] 東大職員組合:学長会議(2月10日)における東京大学の対応について(要望)  http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030207webtousyokuyoubou.html -----------------------------------------------------------------                                 2003年2月6日 東京大学 総長 佐々木 毅 殿                         東京大学職員組合                          執行委員長 小林 正彦   学長会議(2月10日)における東京大学の対応について(要望)  本学に対する貴殿の日頃のご尽力に敬意を表します。  先日の交渉(1月10日)でも述べられていたように、来る2月10日には 文部科学省が開催する国立大学長会議が予定されている。  そこでは、1月31日の国大協法人化特別委員会で公表された「国立大学法 人法案の概要」(平成15年1月)が説明される予定である。(国大協第21 号別紙2)すでに、昨年12月25日版にもとづく「法案概要」に対する批判 が、各地で展開されている。今回公表された「平成15年1月」版では、こう した批判を受けてか、従前と比較していくつかの修正が施されている。しかし、 「法人組織」(経営)と「大学組織」(教学)を事実上分離し、国の財政責任 も明確に規定されず、通則法の準用を掲げるこの「法案概要」が、少なくとも 調査検討会議の「最終報告」からも逸脱していることは明白である。また、東 京大学のUT21会議が文科省へ出したと言われる「新国立大学法案」および報告 書(昨年9月30日付)と比べても、組織運営の面での違いは歴然としている。  こうした点を顧みるならば、来る学長会議で東京大学が取りうる対応は、示 された「法案概要」への疑義を発することであり、自らが取りまとめた「新国 立大学法案」などをもとに見解を公表し、広く学長諸氏に議論を呼びかけるこ とであろう。  私たちは、学長会議において東京大学が学内での検討にもとづいて「法案概 要」への確固たる意見を表明し、行政の圧力によらない大学が主導する「大学 改革」へと方向転換させる先頭に立つことを要望するものである。」 ----------------------------------------------------------------- ----------------------------------------------------------------- [3] 宮崎大学教職員組合執行委員会:宮崎大学長へ要望書2/6   http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030207miyazaki.html --------------------------------------------------------------                          2003年2月6日 宮崎大学長 藤原宏志 様                      宮崎大学教職員組合執行委員会                          執行委員長 橋本修輔  国立大学法人化問題に関し、   国大協「臨時総会」を開催し、充分な議論を求める要望書 日頃、宮崎大学の民主的な管理運営と教育研究の発展に御尽力されておられる ことに敬意を表します。 さて、2月3日に開催された臨時部局長会では、1月31日の国大協法人化特 別委員会で文部科学省から提示された「国立大学法人法案の概要(以下、「概 要」と記す。)」については、2月13日の「臨時評議会」で検討し、2月1 5日までに宮崎大学としての意見を国大協に提出することにしたと伺っていま す。  国立大学法人法案と関連法案が示されないままで、今回の「概要」のみについ て検討することは問題ですが、公表された「概要」だけからも、このような法 案に基づく大学は、「学問の自由」と「大学の自治」が保障されないだけでな く、我が国の学術・文化に深刻な悪影響を及ぼすものであり、到底、容認でき るものではありません。 国大協執行部は2月20日の法人化特別委員会と2月24日の理事会を経て、 国大協として、この「概要」を容認してしまうのではと危惧されます。 国大協は、「概要」の内容とそれに基づく大学像について、国立大学の教職員 からの意見を時間をかけて充分に聞くことです。国大協は拙速に「概要」を容 認するべきではありません。 国大協執行部は、少なくとも、2月24日の理事会を「臨時総会」に変えるか、 閣議決定前に「臨時総会」を開催し、この問題について充分な議論を尽くすべ きです。 我々宮崎大学教職員組合は、藤原宏志宮崎大学長が他大学の学長とも連帯し、 国大協会長に対し、この問題について早急に「臨時総会」の開催を要求し、そ こで充分な議論をしていただくよう、要望します。」 ----------------------------------------------------------------- ----------------------------------------------------------------- [4] 北大ネット2/6:法案概要の問題点および国大協の対応についての見解 http://ac-net.org/dgh/03/206-hu-net.html ----------------------------------------------------------------- 「 2003年2月6日 北海道大学長 中村睦男殿 独立行政法人化問題を考える 北大ネットワーク世話人代表 服部昭仁 「国立大学法人法案の概要」に対する意見表明に関する要望 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 さて、過日、国大協より各国立大学に送付された「国立大学法人法案の概要」 (平成15年1月、未定稿)について、私どもは、別紙の通り見解をまとめまし た。 つきましては、2月8日に開催される国立七大学副学長会議、2月10日の国立 大学学長会議、および2月20日の国大協法人化特別委員会等の場において、あ るいは、2月15日締切と伝え聞く国大協事務局への意見提出の機会を通し、こ れらのことを北海道大学の意見として表明されるよう、貴職に要望いたします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2003年2月6日 「国立大学法人法案の概要」の問題点および国大協の対応についての見解 「1. 「「最終報告」(「新しい『国立大学法人』像について」平成14 年3月26 日)」)による国立大学の法人化は、大学の発展を阻む危険性が高いが、「国 立大学法人法案の概要」(平成15年1月、未定稿)法案概要は、「最終報告」 と比しても以下の諸点において大きく相違しており、問題がある。 (1) 国立大学の設置者を「国」とせず、「国立大学法人」としている。 ・・・・・・ (2) 教学事項を審議する「教育研究評議会」と経営事項を審議する「経営協議 会」を完全に分離している。 ・・・・・・ 2. 以上のように、「法案概要」は、国大協がその「制度設計に沿って、法人 化の準備に入ることとしたい」としてきた調査検討会議の「最終報告」と大き く異なる内容を含むものである。したがって、「法案概要」に従った国立大学 法人化の是非を判断するためには新たな検討が不可欠である。その検討の方法 等について審議し「法案概要」に対する態度を決定するために臨時学長会議を 緊急に開催することを要望する。 ----------------------------------------------------------------- ----------------------------------------------------------------- [5] 全大教中央執行委員会2/4 「国立大学法人法案の概要」に対する声明 http://www.zendaikyo.or.jp/dokuhouka/zendaikyo/03-2-4seimei.htm ----------------------------------------------------------------- 「・・・  5. 以上、簡単に指摘した問題点だけでも「概要」は受け入れがたいもので ある。私たちは、全国の教職員組合・教職員の統一と団結をさらに強め、高専、 公立大学の法人化問題も含めて国民の皆さんの理解と支持を拡大することによっ て、「国立大学法人法案」の廃案を目指すものである。同時に、学問の自由と 大学の自治を守り、「非公務員型」問題をはじめ教職員の身分・権利擁護の立 場から、国会での修正、附帯決議等を含め、大学関係者はもとより、地域・国 民の皆さんと共同し、ねばり強いとりくみをすすめるものである。」 ----------------------------------------------------------------- ----------------------------------------------------------------- [6] 朝日新聞論説委員室から国立大学独法化阻止全国ネットワークへ回答 http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/news/asahi.html ----------------------------------------------------------------- 「国立大学独法化阻止全国ネットワーク事務局長 豊島耕一様 拝復  1月22日付のお手紙を受け取りました。  1月16日付の社説についてお答えいたします。  2002年6月、政府の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針200 2」が閣議決定されました。そのなかに、国立大学の法人化について04年度 をめどに始める、という文言があります。ご承知のように、政府は04年4月 の法人化を前提に、法案づくりをはじめさまざまな準備をしており、実現は確 実と思われます。また、国立大学の法人化は、予算など国の関与の方法の大枠 をみると、広い意味で独立行政法人の概念にあたるといえます。  社説のなかでは、大学の準備が手探りの状態であることや、「国立大学法人 へと名前が変わるだけ」というさめた見方もあれば、「危機」という受け止め 方があることも紹介しています。  上記の状況を踏まえて、紙面では「来年4月に国立大学が独立法人化される」 との表現を使いました。 ただし、ご指摘の通り、法人化について国会で関連の法律が成立したわけでは ありません。「法人化される見通し」などの表現がより正確だったと思います。  今後とも、記事の内容や表現について、いっそう注意を払っていきたいと思 います。  ご指摘、ありがとうございました。                       2003年1月29日                       朝日新聞論説委員室 」 ------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------ [7] 早瀬 貫「太平洋戦争と朝日新聞ー戦争ジャーナリズムの研究」 新人物往来社 2001.4.25 ISBN 4-404-02919-5 ------------------------------------------------------------ (序文:http://home10.highway.ne.jp/taiasa/about%20taiasa.htm p442 「・・・ 朝日新聞はこのような6つの特徴(*)を示しながあら明けても 暮れても「戦争、戦争、戦争」を連呼しつづけたのである。普通の日本人が特 段の前提もなく、自然自然と「米英討つべし」という意識が確立し、積極的に 戦争に協力しようというとになると思う。その点で朝日新聞の戦争遂行に果し た役割は絶大と言わねばならない。その大きさは昭和天皇の象徴としての行為 など比較にならないほど巨大なものである。稲垣武氏の著した『朝日新聞血風 録』という本によると戦後、朝日新聞は旧陸海軍のことを「蛇蝎のごとく」嫌 悪していたというが、戦時中の朝日新聞の記事を見る限り、朝日新聞もまた一 方の主役である。さしずめ、旧陸海軍が東の横綱であるなら、朝日新聞は西の 横綱といったところであろうか。 ・・・ドイツと違い、国全体でひとつの流れとして戦争に突入していった日 本の場合、いろいろな社会勢力、職能集団の戦争に果した役割が克明に究明さ れるべきである。その場合、朝日新聞をはじめとするマスコミの役割は非常に 大きなものがあると言えるのではないか。朝日新聞に限らず各集団(例えば 「学校の教師」)の戦前、戦中における行為を解明し、その責任を明らかにす ることが、真の平和国家への第一歩と考えるものである。また、そうする過程 で、日本が進むべき方向というものが自然に見えてくるのではないか。・・・」 (*) 1) 正義の戦争だ! 2) 大東亜の盟主日本 3) 陸海軍以外には厳しい眼 4) 我が友ナチス・ドイツ 5) 優秀な海外特派員 6) 天皇家を神格化 ------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------ [8] 加藤周一「学ぶこと・思うこと」 岩波ブックレット 2003.1.17 http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0092860/top.html ISBN4-00-009286-3 C0336 (2002年6月6日、東京大学教養学部自治会開催の講演会より) ------------------------------------------------------------ p22 「ここでは日本の戦後の歴史、だいたい半世紀ぐらいの歴史を振り返って みますが、その中で日本は大きく変ってきました。ここで問題にしたいのは、 その変り方です。・・・その変り方の特徴は、時間軸に沿って、だんだんに、 少しずつ変わってきたことです。私はそれを「なし崩し過程」と言っています。 急には変らない。だんだんに、少しずつ、しかし、常に特定の方向に変ってく るのですね。あるところで急に変われば、「賛成か、反対か」ということにな ります。・・・ところが、そうではなくて、少しずつ変わると、反対する人も 賛成する人も、変わり方がわずかだから、「まあ、大したことではない」とい うことになります。そのつぎにまた少し変わる。・・・30年後には、30年 前に言っていたことといま言っていることは、唖然とするほどちがう、という ことになります。それが「なし崩し」の変わりかたなのです。」 p46「反対していない、ということは、すなわち、賛成の意思表示なのです。 ・・・沈黙は必ず現状を承認する「発言」なのです。」 p48「日本の社会では、「みんなで渡れば恐くない」ということがよく言われ ます。・・・自分の意見よりも、みんなが言うことが正しいということですね。 これは個人主義ではありません。それでは個人の自由はなくなってしまいます。 しかし、「みんなで渡れば恐い」ことだってあるのです。・・・一つの集団の なかに、少数グループがあり、あるいは個人の少数意見が生かされたりしてい ないと、その集団は方向転換することができなくなってしまいます。なぜなら、 集団の方向転換は、集団内部の少数意見が、ある日多数意見になったときに起 こるからです。・・・」 p53 「いまの日本の社会のあり方に対して、あなた方はいつまでも黙っていて はいけないでしょう。それは私たちの世代が若かったときにおかした過ちです。 自分で考えてください。あなた方が自分の頭で判断を下す必要が出てきている、 いまの社会は、そういう状況になっています。そのためには、まず「思うこと」 です。そして、もっと「学ぶこと」が必要です。たしかに日本国は改革を必要 としていると思います。もし、私がこれまで言ってきたような改革や革命が実 現することがあるとすれば、それはきっとあなた方がやることだと私は思って います。」 ------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------ [9] 「文部省省議「敗因の分析」」についての編集人感想へのコメント ------------------------------------------------------------ 「Subjectの文書に関してコメントがあります。 戦史に詳しければ常識なのですが、最近はそうでもないのかもしれません。個 人的には、戦前の日本がとにかく悪い方へばかり舵を取ってきた判断の積み重 ねに興味があるものです。 > 学徒動員局長の「科学者の戦争協力不足」という批判。科学者達は実質的 > に戦争協力を拒否していた可能性はないのかとも推測しました、が、何か > ご存知の方が居れば教えてください。 「科学者達」とくくるのは無理があると思います。動員されていたのは事実 でしょうが、基本的な工業力が不足していたわけですから、研究段階を出るこ とがなかったということでしょう。 まともな「科学者」なら敗戦は自明として、その後につながるような「軍事 とみせかけの」研究をしていた可能性もあります。理研の原爆開発はそういう ものだったかもしれません。 > 有光局長自身は「科学ガ功利的ニノミ扱ハレタリ」と述べています。また、 > 官房文書課長兼考査課長の「合理性ノ教育、個人完成ノ点ガ昭和16年国民 > 学校以来失ハレタリ。」も意外です。一部の官僚は、敗因の分析だけでな > く開戦自身への反省にまで踏み込んで発言したのではないか、と推測され > ました。 意外ではありません。「敗戦必至」を知りながら開戦したわけですから、当時 のエリートである高級官僚が戦時を通じてこのような意見を持っていてもある 意味では当然です。戦中に発言すれば恐らく治安維持法を悪用して逮捕された でしょうが。 > なお、8月15日の午後には、東京帝国大学は学部長会議を開き軍事研究の中 > 止を申し合せたそうですが、時局への対応の素早さは見事です。 (編集人) 時局への対応というべきか、圧迫されてきたものがようやく解放されたという ことでしょう。「素早い対応」ではなくて、待ち望んでいた自由がやってきた のです。当時の大学人にしてみれば当たり前の対応ではなかったのでしょうか。 8/15の段階は未だ治安維持法が有効でしたから、これらの発言がどこまで公に されたのかはわかりませんが。 -------------------------------------------------------------- -------------------------------------------------------------- [10] A.D.氏(大学教員)の意見 http://ac-net.org/kd/03/206-AD.html -------------------------------------------------------------- #(国立大学教員のA.D.氏からメールを頂きました。実名掲載希望でしたが、 特定の個人への批判となりますので編集人の判断で頭文字のみにしました。全 文は上のページに転載し、抜粋のみ紹介します。) 「・・・私にとっては、独立法人化も反対ながら、現在の大学の有り様にも反 対なのです。・・・」             意見 「・・・もちろん、こんなこと(独立行政法人化)で日本の大学が活性化され る、とは私にも全く思えません。今まで以上に目先の研究、すぐ結果が出る研 究、すぐ儲けにつながる研究、にみんな殺到することでしょうね。それは学問 の死、につながるのでしょうが・・・。定年間際の私としては、やってみれば いい、あとは野となれ山となれ(Apres moi, le deluge!)の心境、と言ったら 非難殺到でしょうね。ですが、日本の国立大学、そして国立大学協会には、自 浄能力、自治能力がなかったのですよ。その「ツケ」を今支払わされようとし ているのです。・・・・・・ では、今の日本の国立大学での、特に、国際競争力というときの理科系学科で の「活性化」を阻害しているものは何だろう?と考えてみましょう。 (1)私は一番目に、それは「講座制」だと思います。なぜ教授だけに全権が 与えられているのですか?私は助教授というだけで、院生の配属も許されなかっ た。自分で言うのもなんですが、私の専門分野では、アメリカの学会で、日本 人としてはただひとり招待されたこともありました。しかし、私の職場では、 そういう、自分で研究テーマを決め、実行し、世界に伍していける一人前の研 究者であっても、教授でない限りは勝手は許さない、という「講座制の縛り」 は、自分の経験に照らしても絶対に「いい」制度とは思えません。にもかかわ らず、「講座制」を廃止しようという大きな流れは、最後まで国立大学からは 出てきませんでした。なぜアメリカではノーベル賞級の成果がどんどん出てい るのですか?少なくとも、講座制のせいではないのです。 (2)「講座制」に関連していますが、「人事交流の無さと学閥」。これも日 本の国立大学の活性化を阻害してきました。自分の出身大学で教授にまで上り 詰めることを良しとする風潮。自分の先輩や後輩にかこまれた、ぬるま湯の気 持ち良さ。私は、国立大学協会で、たとえば「全国立大学は、自校出身者の割 合を、10年で40%以内に押さえる。ここで、助手および教授は、内部昇格 を許さない。」といった決議をするだけで、大学の活性化は大幅にすすんだ筈、 と確信しているのですが、今となっては遅すぎます・・・ (3)活性化への最大の阻害要因は、研究費の配分法です。日本での研究費配 分は、あくまでも少数の学界ボスに任せる傾向が強い、という点で、アメリカ の、例えばNSF(全米科学財団)でのような、国から独立した組織で、5万 以上もの一人前の研究者による相互審査に委ねるやり方、とは際だった違いが あります。・・・非民主的なやり方を温存したままで、大学改革とか、独立法 人化による競争原理の導入、とか言ったところで、そもそもスタートから差が ついているのですから、金持ち大学は、そして金持ち研究者は、ますます金持 ちになるだけのことでしょう。・・・」 -------------------------------------------------------------- ----------------------------------------------------------------- [11] (投稿2/8) 青野透氏からの金沢大学での教養教育の試みの紹介 全文:http://ac-net.org/kd/03/208-aono.html ----------------------------------------------------------------- 「始めまして。金沢大学教養教育機構教務・学生委員会委員長の青野透(法学 部教授)と申します。本日は、大学改革の新たな試みを紹介させてください。  金沢大学の教養教育では、今年度より、学生自身が企画した科目が開講され ました。全国の大学でも全く初めての取組のはずです。  すでに、以下のように朝日新聞の大阪本社版で紹介されましたのでご存知の 方も多いとは思います。  「授業改革、学生発で 金沢大、講師・題材を自ら選定 【大阪】        2002年11月24日 朝刊 011ページ 教育1    ・・・」  できれば感想を以下のメールアドレスへいただければ幸いです。  ちなみに、私は、教育改革も(専門で研究している)医療改革も、学生や患 者が主体にならなければならないという点では全く同じように捉えることがで きるという立場です。  以上。 青野 透 http://www.law.kanazawa-u.ac.jp/aono/ aono@sgkit.ge.kanazawa-u.ac.jp 」 ----------------------------------------------------------------- ----------------------------------------------------------------- 連絡等は以下を Subject 欄に記して(引用符「"」は不要)編集発行人へ  配信停止:"no kd"  転送等で受信された方の直接配信申込:"sub kd"  配信希望の情報・意見・提言等:"[kd]・・・"(・・・はタイトル等適当に) 匿名希望の場合は明記してください。 ----------------------------------------------------------------- 編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org 国公立大学通信ログ:http://ac-net.org/kd ----------------------------------------------------------------------