通信ログ
Subject:国立大学法人法案、会期内に成立せず
国公立大学通信 2003.06.17(火)

--[kd 03-06-17 目次]--------------------------------------------
[0] 6/16 国会情勢速報 No.21(03.6.16) 国立大学法人法案、会期内に成立せず
[1] 6/12 ドクター桜井の日本診療  ◇久しぶりに委員会が止まりました。
[2] 6/15 共同通信 故郷豊橋で小学生らと交流 小柴さん、市民栄誉賞受賞
[3] 6/16『中国新聞』社説  国立大学の法人化 長期の視野欠かせぬ  
[4] 6/16 鹿児島大学教職員組合:国立大学法人法案の廃案を求める要望書
[5] 6/16 全院協:国立大学法人法案の慎重審議・廃案を求める要請書
[6] 6/11 一橋大学大学院院生自治会理事会: 法案にたいする反対意見書
[7] 6/15 東京大学教養学部学生自治会から参議院文教科学委員への要請書
---------------------------------------------------------------------- 

昨日の国会内集会[0]では、法案がもたらす災厄について国立大学の将来を真
剣に心配してくださっている、櫻井よしこさん、そして議員の方々の、法案批
判の声を直かに聞くことができましたことは、とても力つけられる思いがしま
した。また学生さんたちの法案批判の声や公立大学からの地方独立行政法人制
度の問題の指摘などがありました。以前ご紹介しました、NPO設立準備をし
ているサイコムジャパンのかたが、大学毎の奨学金制度や、複数の大学評価の
重要性を説明しました。これらの提言は、それらの提言の実現を困難にする国
立大学法人法案への批判ともなっていると思います。

審議を止めた櫻井議員[1]は、大学の医学部での研究経験から、研究が当初の
目標とは異るところに大きな成果が得られるのが普通であることを具体的に述
べられて、6ヶ年計画をたてるソビエト型国立大学法人大学の問題性の根幹を
研究者の視線から鋭く批判されました。

国立大学関係者からも発言が多くありました。民間的経営手法の花型である
「リストラ」が国立大学法人でも日常茶飯事となるのにどうして無関心なのか、
みな自分だけは大丈夫と思っているのだろうか、という趣旨の発言がありまし
た。戦場では自分だけには弾丸が当らない気がすると言います。それと同じ心
理でしょうか。きちん研究と教育をしていればリストラされない、という錯覚
は、民間企業の実情を知ればなくなるのではないでしょうか。

最後に、新潟大学の渡辺勇一さんが、財政危機だから国立大学縮小も仕方がな
いと勘違いしている大学人が居るようだ、と注意されました。5年で24兆円
という膨大な予算投下が現在進行中の第二期科学技術基本計画で約束されてい
るが、それは国策に合う研究にのみ重点投資され、学問のような無駄なことを
している国立大学のリストラが行なわれるのだ、という趣旨のことを説明され
ました。関連ページ:http://ac-net.org/dgh/99b30-watanabe.html
http://ac-net.org/home/watanabe-y/11029-pubcom.htm

                  □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 

本日予定されていた文教科学委員会は中止となり、国立大学法人法案は会期中
には成立しませんでした。会期中に審議が終らないような問題法案には、世紀
に一度の大学改革の設計図として信頼性がありません。(編集人)
----------------------------------------------------------------------

----------------------------------------------------------------------
[0] 6/16 国会情勢速報 No.21(03.6.16) 国立大学法人法案、会期内に成立せず
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030617kokkaijouhou21.html
----------------------------------------------------------------------
◎国立大学法人法案、会期内に成立せず

「10日以来審議中断していた参議院文教科学委員会の理事懇談会が16日18時30
分から開かれました。与党理事は、17日委員会を開催し採決を行うよう主張し
ましたが、会期の延長に反対する野党が「延長が提起されている以上、明日の
審議には応じられない」と反論しました。その結果、17日委員会は開催されず、
法案の会期内成立は不可能となったわけです。理事懇談会の日程も決まってい
ません。本来、会期は18日までであり、ここで法案は廃案とすべきですが、政
府・文科省は延長国会に入るや、一気に強行採決を行う危険性があります。19
日か遅くとも24日には再開される委員会に対する警戒を強め、法案の廃案めざ
し、闘い抜きましょう。

◎国会内集会、170名以上の参加で大成功、櫻井よしこさんら、法案反対を訴
える

 国立大学法人法案と大学に未来を考える国会内集会が、16日12時30分より参
議院議員会館第一会議室で行われました。会場は満員で立ち見の参加者も出る
ほどとなり、熱気に包まれました。参加者は170名をこえました。

 はじめに、呼びかけ人の櫻井よしこさん、小林正彦さんから国立大学法人法
案の問題点について、会場への訴えがあり、ついで、衆参両院の民主党、共産
党、国連(国会改革連絡会議)の各会派の多くの議員および議員秘書の方々か
ら、これまでの国会審議の特徴と廃案を目指す取り組みについて紹介がありま
した。つづいて、意見広告の会から、広告への反響が紹介されました。各大学
からは、大学の現場が抱える問題点と乖離するだけでなく、現場の状況をさら
に悪化させることになる法人法案への反対意見の表明が相次ぎました。

 会場では、NPO法人や学生代表からの発言もあり、市民・学生の立場から
今回の法人法案をとらえ直す視点の重要性が浮き彫りとなりました。横浜市立
大学や東京都立大学など、公立大学の独立行政法人化問題を抱える大学からは、
公立大学の問題と国立大学の問題を結合して考えることを求める声があがりま
した。

 集会では集会宣言が採択され、即座に議員への要請行動が行われました。こ
れが理事懇談会の結果に大きな影響を与えたことはまちがいありません。集会
にはこれまでになく広い立場の人々が参加したことを強調しておきたいと思い
ます。
----------------------------------------------------------------------


----------------------------------------------------------------------
[1] 6/12ドクター桜井の日本診療  ◇久しぶりに委員会が止まりました。
http://www.uranus.dti.ne.jp/~sakurai/mm-mag2.htm
メルマガ登録:http://www.mag2.com/j/14/01/0001.htm
----------------------------------------------------------------------

「◇久しぶりに委員会が止まりました。

 火曜日、国立大学の独立行政法人化について、文教科学委員会で質問。この
法案の問題点は、一言で言えば、大学教育に対して文部科学省の関与を強める
ことである。

 国立大学の研究等の実績を評価するために、中期目標や中期計画を作成する
のだが、これを定めるのは各大学ではなく、なんと文部科学大臣なのだ。大臣
に研究の内容などわかるはずも無く、大学の自主性に委ねるのではなく、文部
科学省が決定するのだから、憲法23条に示されている学問の自由を侵しかね
ない。

 これまで文部科学省は「中期目標や中期計画は簡単な内容でかまいません」
と答弁していたにも関わらず、実態は全く違っていた。昨年の12月に配布さ
れていた資料によれば、紙の大きさから文字の大きさ、行数まで事細かに指定
している。それだけではない。中期計画に記載すべき内容も指定してあり、お
まけに極めて量が多いのだ。私達は、中期計画は大学全体のことを書けば良い
と思っていたのだが―実際委員会ではそのように答弁していたようだが―学部、
研究科ごとに5枚程度にまとめて、文部科学省に提出するように求めているの
だ。これだけでも問題なのだが、法律が成立する前にこの中期目標、中期計画
を書かせている。つまり、国会軽視も甚だしいのだ。

 これらの点を指摘し、文部科学省の答弁に納得がいかなかったので、審議は
中断されることになった。すぐに理事懇談会が開催され、文部科学省は各大学
に配布した資料を回収するとともに、大臣が謝罪するので、委員会を再開して
欲しいと提案してきた。しかし、そのようなことで済まされる内容ではない。
国会軽視、虚偽答弁、私は大臣の首が飛ぶようなことだと思っている。

 本当に文部科学省はひどい役所である。この資料を配布して各大学に中期目
標、中期計画をグリグリ書かせていたにも関わらず、各大学から要請があった
ので、資料を配布しましたと平気な顔をしてうそをつくのだ。私の言い分と文
部科学省の言い分とどちらが正しいのか、きちんと決着を着けて欲しいものだ。

 ところで、不思議なことに、委員会が止まっているにも関わらず、マスコミ
の報道は一切ない。国立大学の独立行政法人化は何も問題がないとでも思って
いるのだろうか。文部科学省はゆとり教育で、子供たちの学力を低下させただ
けではなく、今度は高等教育に必要以上に関与し、自由な教育や研究の場を奪
おうとしている。文部科学省の解体こそが日本再生の第一歩かもしれない。

・・・
            参議院議員・医師 桜井充」
----------------------------------------------------------------------


----------------------------------------------------------------------
[2] 6/15 共同通信 故郷豊橋で小学生らと交流 小柴さん、市民栄誉賞受賞
      http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030615mainiti.html
----------------------------------------------------------------------

「ノーベル物理学賞を昨年受賞した小柴昌俊東大名誉教授(76)が15日、
生まれ故郷の愛知県豊橋市の市民栄誉賞を受賞、授与式出席のため訪れた同市
でゆかりの小学校なども訪問し、子供たちから大歓迎を受けた。小学4年から
5年にかけて通った東田小では、小柴さんへのメッセージや将来の夢を児童ら
が書いた色紙で作ったレイを首にかけてもらい「ありがとう」と目を細めた。
小柴さんは児童らに「本当にやりたいことを見つけてほしい」と優しく語り掛
け、「やればできる」と励ました。著書の「心に夢のタマゴを持とう」にちな
んだ卵形の焼き物を作るための粘土に手形を押した。また市内の豊城中も訪問
し、生徒や保護者など約1000人を前に講演。「小学校の終わりから中学に
かけて記憶力が一番働く。今のうちに何でも覚えて」と呼び掛け、宇宙の歴史
や分子の構造などを分かりやすく解説した。豊橋市内のホテルで行われた授与
式で小柴さんは、国立大の法人化について「すぐに採算が約束できない基礎科
学は冷や飯を食わされる。基礎科学のための財団をつくるので応援してほしい」
と危機感を訴えた。」

----------------------------------------------------------------------
[3] 6/16『中国新聞』社説  国立大学の法人化 長期の視野欠かせぬ  
----------------------------------------------------------------------

「これも小泉純一郎首相が掲げる「聖域なき構造改革」の一環だろう。現在、
参院で審議中の国立大学法人化関連六法案である。国の財政再建最優先から、
あらゆる分野での民営化を促す流れはとどまる所を知らない。改革が必要なの
は当然としても、即効性が見えにくい基礎研究にまで短期の目標管理や成果主
義を導入すれば、角を矯めて牛を殺すことになりかねない。

 法人化では教授会中心だった従来の大学運営を改め、学長の権限を強めてトッ
プダウン型とする。委員の半数に学外の有識者を充てた経営協議会を設ける。
大学ごとに六年間の中期目標を決めて文部科学相が認可し、新たに設ける評価
委員会での査定結果を交付金配分に反映させる。遠山敦子文科相が言う通り
「明治の国立大学設置以来の大改革」には違いない。

 肝心の大学関係者の間では賛否が分かれている。広島大の牟田泰三学長は
「ぬるま湯につかっていた面がある国立大は新しい展開をすべきだ」と支持を
表明しているという。産学官連携を強める立場からは、歓迎する向きが強かろ
う。経済産業省の幹部が大学の現状を批判し「愚にもつかぬマルクス経済学な
どを教えている」と述べたことがある。確かに、国民の税金が投じられる研究
が時代や社会に背を向けていては、国費の無駄遣いとそしられてもやむを得ま
い。

 しかし、だからといって当面の時流に棹(さお)さした研究を優先するばか
りでは、国立大が国家百年の計を担うのは難しい。ノーベル物理学賞を受賞し
た東京大の小柴昌俊名誉教授は「法人化で独立採算となると、四、五年以内に
産業への見返りがないような研究は冷や飯を食わざるを得ない。理学部や文学
部はどうなるのか」と懸念している。まったく同感だ。

 産学官の連携には、国立大だけでなく国や地方自治体、民間企業の試験研究
機関などとの協力と役割分担が欠かせない。大学だけが先走って産業界に迎合
する必要はないし、そんなレベルの研究では中長期を視野に入れた産業の活性
化には寄与しないだろう。

 大学ごとに中期目標を文科相が認可し、第三者機関である評価委員会の判断
が交付金配分に反映されるという仕組みに反発する大学人も少なくない。鹿児
島大の田中弘允前学長は「官僚が強力な権限を持ち、大学への規制が強化され
る」とみる。「官から民へ」の構造改革の建前にも逆行している。

 「開かれた大学」をめざす経営協議会も、学外委員の人選が問題である。短
期間で目に見える成果を求めるあまり、産業界に偏重する恐れはないか。国民
の多様な要望に応じる必要があろう。社会には学問の道を志しながら断念した
多くの人がいる。大学人はそんな人たちを思い起こし、制度改革に頼るのでは
なく、自らを律してほしい。」

----------------------------------------------------------------------
[4] 6/16 鹿児島大学教職員組合:国立大学法人法案の廃案を求める要望書
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030616kagosima.html
----------------------------------------------------------------------
平成15年6月16日

参議院・文部科学委員会委員       様

国立大学法人法案の廃案を求める要望書

                       鹿児島大学教職員組合

 一世紀を越す歴史を持つ国立大学制度を完全に廃止し、新しい大学制度を設
計する「国立大学法人法案」の審議が貴文教科学委員会で進行しています。 

 衆議院での審議を通し、新制度が大学を中央官庁の直接的な指揮下におくこ
とが明らかにされ、大学の自律性が高まるかどうか、疑問はますます深まりま
した。参議院の審議では、国会審議よりはるか前に、文部科学省が国立大学に

新制度への移行準備を詳細に指揮していたことが明らかになり、行政による国
会軽視が問題となって審議が中断致しました。

 今回の法案において、「大学は中期目標を掲げ、実現に向け中期計画を立て
ること」となっています。しかし、中期目標を決めるのは文科相であり、中期
計画も文科相が承認するとし、実質的に文科省の官僚の主導で決めた目標と計
画のもとで大学が運営され、その成果を文科省の下に置く評価委員会が評価す
るものとなっています。大学運営の細部について、始めから終りまで文科省が
これだけ関与する制度は、国立大学の法人化ではなく、「文科省立大学」への
移行ではないかという疑問が出てきて当然ではないでしょうか。

 このような法案が、これからの国民の高等教育を担うに値するものであると
は到底思えません。

 参議院・文部科学委員会委員        様におかれましては、「国立
大学法人法案」に対して「国家100年の計」を誤らない正しい判断を下され
る事を強く要望致します。

----------------------------------------------------------------------a
[5] 6/16 全院協:国立大学法人法案の慎重審議・廃案を求める要請書
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030616zenninnkyou.htm
----------------------------------------------------------------------

国立大学法人法案の慎重審議・廃案を求める要請書

                  2003年6月10日 全国大学院生協議会

 全国大学院生協議会は、国立大学法人化法案についての慎重審議を求めると
ともに、同法案の廃案を強く求めます。

 私たち院生は、同法案による以下のような影響について懸念しています。

第一に、国立大学で研究にいそしむ大学院生に対する学費の値上げの可能性で
す。国立大学の法人化によって国の財政責任が弱まり、学費負担が大幅に増え
るのではないかと、強く危惧しています。これまでの審議で国立大学特別会計
が抱える1兆3000億円の借入金が各大学に押し付けられることが明らかになり
ました。こうした「負債」が大学院生の学費負担増といった形であらわれるの
ではないのかと強く危惧して います。

第二に、国立大学における大学自治の空洞化が進んでしまうことです。大学の
研究を文部科学大臣が「中期目標」として認可するとしている点、経営協議会
のメンバーの1/2以上を学外者とする点など、大学での学問研究に対する文科
省や産業界による介入が強まり、学問の自由の侵害、基礎学問の衰退するので
はないかと懸念します。大学自治の空洞化によって私たち大学院生の要求が大
学運営に届きにくくなることを強く危惧しています。

 本法案は国立大学にかんするものですが、私立大学や公立大学の大学院生か
らも慎重審議を求める声が出されています。
 例えば、国立大学法人化によってトップダウン型の大学運営方式が定着し、
公立大学や私立大学における大学自治も同様のトップダウン型に変更されてい
くのではないかという不安です。さらには、学費の水準が「国立大学に準じる」
というかたちで決められてきた大学が多いため、連鎖的な学費の値上がりが懸
念されます。
この法案が成立することで、大学院生の「研究環境切下げ競争」が始まるので
はないか、これが国立大学以外で研究している大学院生の意見です。

こうした私たち大学院生のこうした懸念は、国会審議の中でも全く払拭されて
いません。同法案はあまりに曖昧であり、私たちは大きな不安を感じています。
同法案の慎重審議とともに、廃案を強く求めます。」

----------------------------------------------------------------------
[6] 6/11 一橋大学大学院院生自治会理事会: 法案にたいする反対意見書
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030616zenninnkyou.html
----------------------------------------------------------------------

国立大学法人化法案にたいする反対意見書
            2003年6月11日 一橋大学大学院院生自治会理事会

私たち一橋大学院生自治会は、現在国会で審議されている国立大学法人化法案
に反対する。私たち院生の眼から見ても、現在の国立大学がさまざまな諸困難
を抱えていることは確かである。しかし今回の国立大学法人化法案は、そうし
た国立大学の諸困難を解決しないばかりではなく、さらにいっそう悪化させる
ものである。

第一に、高等教育への国の財政責任が後退することである。度重なる学費の値
上げ、奨学金の削減によって、私たち大学院生が抱える経済的負担はもはや限
界にきている。法人化への移行とともに、大学への国の財政責任が弱まり、学
費が今以上に高騰することが確実視されているが、このことは大学院生の生活・
研究環境にたいして深刻な打撃を与えるものである。

第二に、大学の自治を形骸化の危機に追いやることである。特に今回の法案で
は、学内におけるさまざまな諸権限を学長に集中 させることが企図されてい
る。しかし一橋大学では、全構成員自治の理念のもと、これまで教官・職員・
学生がそれぞれの立場から大学運営に参加してきた。その結果、学内の各層の
間の意志疎通が日常的に滞りなく行われ、スムーズな大学運営が行われている。
逆に今回の法案のように学長に諸権限を集中させトップ・ダウン式の意思決定
を行うことは、大学の運営においてさまざまな摩擦を引き起こすことになり、
スムーズな大学運営が達成されないと考える。

第三に、学問の自由にたいする侵害が危惧されることである。今回の法案では、
文部科学大臣の定める6年間の中期目標にてらして、大学の教育研究への評価
が下されることになっている。しかし大学における教育研究は、それぞれの分
野によって独自の特性を備えており、これらを一律に評価することはできない。
また、そもそも教育研究にたいして公正な評価を下すことのできる明確な基準
を定めることができるのかという疑問も残る。

以上の理由から、私たち一橋大学院生は、国立大学法人化法案の廃案を求める
ものである。国立大学の改革は、政府による「上から」の施策として行われる
べきではなく、大学の構成員相互の対話と批判、および大学構成員と広範な社
会とのあいだの対話と協力によって行われるべきものであり、そうすることに
よってはじめて各大学がそれぞれの地域や学問の特性に応じた個性を発揮する
ことができるようになるものと考える。」

                                    
  以上

----------------------------------------------------------------------
[7] 6/15 東京大学教養学部学生自治会から参議院文教科学委員への要請書
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030616komabajitikai.htm
----------------------------------------------------------------------

参議院文教科学委員 _ __  __     _様

要請書

私たち東京大学教養学部の学生は、国立大学法人法案の廃案を求めます

2003年6月15日

東京大学教養学部学生自治会正委員長 藤田智久 

同副委員長 平塚順  

同書記長  石田精一郎

2003年6月5日、東京大学教養学部学生自治会はその最高意思決定機関で
ある代議員大会を開催し、177人の代議員やその他一般学生の参加のもと、
国立大学の法人法案の廃案を求める提案を賛成:128票、反対:22票で可
決しました。提案主文は以下の通りです。

学費の大幅値上げや学生の自主自治活動への規制強化をもたらし、学問の自由
を破壊する国立大学法人法案の廃案をもとめよう。

教養学部学生自治会はこれまでも、1999年と2001年に全自治会員によ
る学生投票で国立大学法人化反対の決議を挙げました。また、学内では東京大
学職員組合などの教職員組合が反対決議を挙げていますし、いくつかの教授会
から法案の数々の問題点を指摘する見解や決議が出されています。佐々木毅東
京大学総長は、参議院の参考人質疑の際に法人法案の支持を表明しましたが、
それは東京大学構成員の総意では決してありません。

学生からは国立大学法人法案について危惧の声が上がっています。「即座に利
益とはならない研究が自由にできなくなるかもしれない」、「学費が上がりそ
うなので困ります」、「学費が上がるだけで何も利点がないと思う」、などの
意見が寄せられています。

教養学部では、全学生のおよそ五人に一人が、日本育英会の奨学金を受けてい
ます。先日の審議でその廃止・独立行政法人化が決まり、奨学金の縮小が懸念
されています。さらに国立大学の法人化が決まれば学費が著しく上昇するのは
明らかです。現在でも多くの東京大学の学生がアルバイトにあまりに多くの時
間を割かれ、十分な時間を学問に費やすことができなくなっているのですが、
大学が法人化されれば、金銭的な理由で大学を去らざるを得なくなる学生が多
数発生するでしょう。

また、学内では目に見える形で学生への自主自治活動への規制強化が進んでい
ます。2001年には学部当局による一方的な決定により駒場寮が廃寮となり、
私たち学生は大きな活動拠点を失いました。最近でも学生の自主自治活動に大
きく関わる学内問題を学部当局が学生との交渉を介さずに進めたり、些細なこ
とが原因で、ある学生団体の体育館の使用が一方的に停止されるなど、様々な
点で学生の自治自治活動への規制強化が見られます。

これらの原因は国立大学の法人化の問題と強く関連していて、国立大学が法人
化されれば学生の自主自治活動は無駄なものとされ、更なる規制強化が行われ
るのではないかと考えられます。

是非、国立大学の法人法案に反対するよう、お願い申し上げます。

以上

連絡先:
東京都目黒区目黒区駒場3丁目8番地1学生会館208
電話・FAX:03−5454−4344
E−mail:todaijichikai@yahoo.co.jp
----------------------------------------------------------------------

----------------------------------------------------------------------
編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org   
通信ログ:http://ac-net.org/kd
登録・停止方法:http://ac-net.org/kd/a.html
転載・転送歓迎。ただし URL "http://ac-net.org/kd" を併記してください。
----------------------------------------------------------------------
配信数 27458