通信ログ
国公立大学通信 2003.07.05(土)

--[kd 03-07-05 目次]--------------------------------------------
[1] 7/1 民主党菅代表定例記者会見  2003年7月1日より

[2] 7/5 都道府県知事への書簡「国立大学法人法案について注意を喚起します」

[3] 7/3 東京大学史料編纂所教職員有志より参議院文教科学委員への書簡

[4] 7/5 豊島耕一氏の提案
 [4-1] 議員は週末地元に
 [4-2] 各地で宣伝をお願いします
 [4-3] 宣伝活動のユビキタス化

[5] 7/2 日経  独立行政法人の理事長 月給最高161万円 総務省が初公表

[6] 5/28瀧澤博三『大学政策転換への疑問−−どうなる?「グランドデザイン」』
      アルカディア学報 NO 120, 教育学術新聞 2003.5.28  掲載

[7] 日本私大教連サイトより
 [7-1] 私立大学・高等教育をめぐる動き(報道クリップ集)
 [7-2] 基礎データ(学費、奨学金、家計負担の詳細なデータ)

[8] Publicity No 676 より:イラクに派遣されるのは、北海道の陸自部隊か
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イラク特別措置法が衆議院本会議で可決されましたが、
採決の際に著名な与党議員で棄権した方や、反対した方
が居ました。文教科学委員の分布は与党11野党9です
ので、与党議員の3名の方が棄権すれば逆転します。党
議に反しての投票は付合い上難しいとしても、中央省庁
にとっては生命線の一つかも知れませんが、与党にとっ
ての生命線である法案ではないのですから、棄権くらい
は許されるのではないでしょうか。

  たとえば、有馬朗人議員は棄権を検討する理由は多々
あると推測されますし、著名人議員の方々は党議にとら
われず、ご自身の判断に基き、信念を持って、投票ある
いは棄権されれば、国民からの支持に応えるものになる
と思います。

       □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 

  45都道府県知事に確実に届くはずのアドレスリスト
を作成し、国立大学法人法案に注意を促すメールを送り
ました[2]。なお、2県(青森・山形)だけは県サイト
で、該当アドレスが見つかりませんでした。

戦後、日本の目覚ましい発展を支えてきたと言われてき
た中央省庁による国家管理体制が、日本の進展を阻む足
枷となっていることが誰の目にも明らかになった今、地
方分権の推進は日本にとっての最優先事項です。しかし、
認証評価機関制度の導入や私学直接補助への移行により、
私立大学を含む全高等教育機関への文部科学省の権限が
拡大されつつあります。その権限を決定的なものにする
国立大学法人法案は、地方分権化のプロセスで重要な役
割を担うであろう国立大学の多くを政策的に縮小させる
点でも、日本社会の発展を阻害する「天下の悪法」であ
ることは明白です。

  秋に総選挙があるようです。国立大学法人制度におけ
る大学が「中央省庁の、中央省庁による、中央省庁のた
めの、大学」であることの認識が日本全体に急速に広がっ
ていますから、そのような国立大学法人法案の強行採決
に協力する政党は、選挙戦におけるかなりの不安材料を
背負うことになるかも知れません。

       □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 

  都道府県知事への連絡法は各都道府県庁HPから簡単
にわかることですが、面倒なかたは、全都道府県知事へ
転送しますのでご連絡ください。知事ないし秘書課のア
ドレスがHP上で見あたらない2県を除く45都道府県
知事に転送します(編集人)。


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[1] 7/1 民主党菅代表定例記者会見  2003年7月1日より
http://www.eda-jp.com/dpj/kan/030701.html
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■竹中金融担当大臣と遠山文部化学大臣は、大臣として
資質を問われている

(略)

同じ参議院で先日の質疑の中で、わが党の桜井充参議院
議員が、文部科学大臣との質疑の中で、遠山大臣のほう
から委員の差し替えで出てきた桜井議員に対して、『途
中から突然委員におなりになったわけでございまして』
と、ポッと出てきた、という言葉も使ったというふうに
報告も聞いております。

しかし桜井充議員というのは、かなりしっかり勉強して
いる議員でありまして、それまでの議事録を精査した中
で、特にいま問題になっております国立大学の独立法人
化の問題では、文部省ががんじがらめに、国立大学を法
人化した場合にコントロールしようとする。さらにそこ
に、一つの学校に10人ないし10数人の天下りを配置しよ
うとする事柄について厳しく指摘し、何度も質疑が止まっ
ているわけでありますけれども、こういう中で失言とし
て謝ったということでありますが、大臣がそうした委員
の差し替えについて、差し替えがあたかも不当であるか
のようなことを言うのは許し難いことだと考えています。

文部省出身の官僚でなければ文部大臣になれないのかと、
そういう官僚出身の大臣だからこそ、逆に言えば官僚の
作文しか訴えられないのではないか。そのことをよく自
分に言い聞かせて、桜井充議員の提起している問題に対
して、きちっとした答えが出せないようであれば、これ
また文部科学大臣としての資質が問われることになる。

別にこの言葉一つを取り上げているわけではなくて、本
来規制を少なくする、緩和する方向で独立法人、あるい
は国立大学の法人化というのが議論されてきたにもかか
わらず、まったく逆の方向に進んでいる。このことにつ
いての責任は極めて重い。このことについても、わが党
としてはまさに重大視をして臨んでいきたいと思ってお
ります。」

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[2] 7/5 都道府県知事への書簡「国立大学法人法案について注意を喚起します」
http://ac-net.org/dgh/03/705-to-chiji.php
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                                  H15年7月5日(土)
都道府県知事のみなさま
Cc: 教育行政担当者のみなさま

初めまして。

北海道大学で数学の教育・研究に従事しています辻下徹
と申します。現在、国会で審議されている国立大学法人
化関連諸法案について、お伝えしたいことがあり、メー
ルで恐縮ですが、お便りいたしました。

この諸法案は、国立学校制度全体を完全に廃止し、国立
大学・国立高専等を広義・狭義の独立行政法人(≒政府
の受託企業)に変える政策に基づくものです。この政策
には日本の将来にとって憂慮すべき重大な問題点がいく
つもあることを大学関係者は絶えず指摘してきましたが、
実質的にはほとんど何も考慮されないまま法案となって
国会に上程された経緯があります。そのため全野党が法
案に強く反対し、4月からの国会審議において、いくつ
かの問題点が争点となり、会期末の6月18日までには
成立しませんでした。しかし会期が延長されたため、与
党が採決を強行し全法案が無修正のまま成立する可能性
が極めて高い日々が続いています。


国会で十分に吟味されていない問題点の一つは、文部科
学省が「遠山プラン」で表明した国立大学の大規模な統
廃合の方針です。いくつかの地域での反対運動が展開さ
れたため、この方針の実現は若干遅れていますが、何も
変更されていません。この法案が成立しますと、「客観
的評価」により小規模国立大学の統廃合が粛々と進み、
それで浮く資源が大規模大学の拡充に回されることは、
大学構造改革の中に明示的に掲げられており「重点化政
策」によって必至です。

国会審議でも、地方の国立大学への影響の懸念が言及さ
れていますが、文部科学省の答弁では、地方の国立大学
を大事にして行かなければならないと述べながらも、悪
影響を防ぐ具体的なものは用意していない、との明言
(*)があります。不可避と予想される大多数の国立大
学への悪影響に対し「運用上の配慮」以外に何も具体的
方策が法的に用意されていない法案は、日本社会の健全
な発展に不可欠な地方分権への流れを阻害するものであ
ることは論をまたないと思います。
 (*)6/10 参議院文教科学委員会:内藤委員の質問へ
  の河本副大臣答弁


各地の主要紙は、国立大学法人法案の問題点をかなり正
確に報道していますので、法案の問題性についての認識
は各地で高まっていると思います。しかし、いまに到っ
ても、どの大手紙も、国会審議について実質的報道をし
ようとしていないため、地方への悪影響が不可避の国立
大学法人化諸法案に対する、日本各地の疑義の声が議員
には届かず、国会審議で反映されていない状況です。

大都市の声しか国会審議に反映されないことは日本の将
来にとって憂慮すべきことと思います。ぜひ 、皆様か
ら、参議院での慎重審議を求める声を挙げ、地方公聴会
等の開催を要請し、また、地元の議員の方々に働きかけ
ますよう、お願い申しあげます。


ご参考までに、5月7日の衆議院文部科学委員会で参考
人として発言され、地方分権との関連についても述べら
れた、田中弘允前鹿児島大学長のご意見を添付します。

また、6月10日に読売新聞に掲載された全面意見広告
の内容を添付します。これは、日本の将来に大きな影響
がある国立大学法人法案について大手新聞が報道しよう
としないことに危惧の念を持ち、2000名余の国立大
学教員有志が法案の廃案を国民に直接訴ったえたもので
す。

また、大学関係者を主な対象としている「国公私立大学
通信」というメール通信をご参考までに別便でお送りし
ます。

辻下 徹

(略)

衆議院文部科学委員会(5月6日)議事録より:田中弘允氏意見陳述
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/156/0096/15605070096011a.html

(略)

意見広告の会:http://www.geocities.jp/houjinka
読売新聞6月10日意見広告
http://ac-net.org/dgh/03/610-ikenkoukoku.html
i-mode: http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/imode/adindex.html

(略)

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[3] 7/3 東京大学史料編纂所教職員有志より参議院文教科学委員への書簡
http://ac-net.org/dgh/03/704-shiryou-u-tokyo.php
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                 2003.7.3
親愛なる議員のみなさまへ

          東京大学史料編纂所教職員有志

 突然のファクスをお許し下さい。

 日頃の国会議員としてのご活躍に敬意と感謝の念を表
します。また今国会においては、いったん衆議院を通過
した国立大学法人法案を、参議院にて慎重なご審議され
ておりますことは、「良識の府」としての参議院の役割
をあらためて認識させるものであり、敬意を表します。

 私たちが勤務する東京大学史料編纂所は、明治時代以
前の我が国に関する歴史を調査・研究する人文系大学附
置研究所です。2度(1996年・2001年)にわたる外部評
価も実施し、研究所の活性化に努めて参りました。

 ご承知の通り、日本史という学問は、明治・大正・昭
和と時の政府の介入を受けて、大きく歪められてきたと
いう苦い過去を背負っております。そうした観点に立ち
ますと、文部科学大臣が中期計画・中期目標を決定し、
文部科学官僚が研究内容にまで大きな発言権を持つ今回
の法案に、強く危惧の念を抱かざるを得ません。また理
事など新しい多額の人件費が発生するとのこと。現場で
研究を行う、あるいはそのサポートをする人々の待遇を
悪化させてまで、こうした人件費を発生させることが、
研究の発展のために必要であるのか、多いに疑問です。

 以上のような点を含め、今回の法案では、職員の非公
務員化など、将来に深刻な影響を及ぼす可能性のある数
多くの重大問題が、未解決のまま積み残されております。
このことは、この間の審議でもはや明らかであろうと思
います。この状態で来年4月より法人化を強行するなら
ば、教育・研究現場は取り返しの付かない混乱に陥るこ
とになります。研究と教育のための貴重なお金や時間が、
必要のない混乱のために失われることでしょう。果たし
てそれだけのリスクを負うことが本当に必要なのでしょ
うか。

 以上の点をお酌み取りいただき、決して強行採決など
なさらぬよう、是非ともお願い致します。

 突然の非礼を重ねてお詫び申し上げますとともに、今
後のご活躍をご期待申し上げます。

#(18名署名)

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[4] 7/5 豊島耕一氏の提案
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[4-1] 議員は週末地元に

与党議員の出身地をHPで調べた結果をお知らせします.
週末議員は地元に帰りますので,議員本人や後援会関係
者,恩師など,議員とつながりのある人がいないかぜひ
考えて下さい.大分出身が2名もいます.

大野つや子 自民党 岐阜
仲道 俊哉 自民党 大分
橋本 聖子 自民党 北海道
山本 香苗 公明党 大阪
有馬 朗人 自民党
有村 治子 自民党 石川県生まれ,滋賀県・東京育ち
大仁田 厚 自民党 長崎
北岡 秀二 自民党 徳島
扇 千景  保守党
後藤 博子 自民党 大分
中曽根弘文 自民党 群馬
草川 昭三 公明党 愛知

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[4-2] 各地で宣伝をお願いします
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「佐賀大学では,組合関係者を中心に有志で,明日13
時から佐賀市中心街,玉屋前で宣伝活動をすることにし
ました.学生の参加の可能性もあります.東京に皆が行
くわけにはいかないので,皆さん各地で宣伝をされたら
どうでしょうか.メールをいただければ地域ごとの会員,
賛同者のアドレスをお知らせします.この週末,何もし
ないで火曜を待つということは考えられないと思います
し,それでは悔いが残るでしょう.

強行採決の差し迫った危機という最もきびしい状況であ
ると同時に,この問題が今ほど国民に知られているとい
うこともかつてなかったことです.つまり危機と有利さ
との両方が最高レベルにあるのです.今をおいてほかに
パワーを全開するときはないでしょう.この数日,メディ
アでどれほど取り上げられるかがこの問題の行方を大き
く左右します.地方での宣伝活動は地方紙で取り上げて
もらえる可能性があります.

「毎日」1日の全面広告を畳の大きさに拡大コピーする
ことで,簡単に良い宣伝パネルができるのではないでしょ
うか.」

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[4-3] 宣伝活動のユビキタス化
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「徒党を組んで場所と時間を決めて街頭に出なくても,だ
れでもいつでも宣伝活動はできます.隣近所に「毎日」
広告のコピーを配って回りましょう.いわば宣伝活動の
「ユビキタス化」です.

近所の小企業の経営社宅を訪問し,「税金泥棒の話です」
と新聞コピーの左上を指さしました.反応は抜群で,い
ろんな会合で宣伝するからと,コピー10部を受け取ら
れました.「毎日」広告のパワーは抜群です.」


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[5] 7/2 日経  独立行政法人の理事長 月給最高161万円 総務省が初公表
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030703nikeei.html
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「独立行政法人の理事長の月給は最高で約161万円に
のぼることが1日に総務省が初めて公表した2002年
度版「独立行政法人評価年表」で明らかになった.最も
高かったのは産業技術総合研究所の理事長.次いで日本
貿易保険の122万円, 経済産業研究所の約117万
円の順で,いずれも 経済産業省の所管する法人だった.

 昨年9月1日時点で全59法人の常勤役員は179人.
その57.5%に当たる103人が中央省庁からの「天
下り」.また,全法人の理事長や理事の数は計160人
で,産業技術総合研究所のように理事長のほかに理事を
11人も置く法人もあった.特殊法人の独立行政法人化
が始まった2001年4月と今年1月時点を比較すると,
法人数は57から62に増加.職員数も17,664人
から958人増え,18,622人となった.」

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[6] 瀧澤博三『大学政策転換への疑問−−どうなる?「グランドデザイン」』
      アルカディア学報 NO 120, 教育学術新聞 2003.5.28  掲載
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 	       大学政策転換への疑問
	   どうなる?「グランドデザイン」

	    瀧澤 博三 帝京科学大学長
      

〈大学市場化の急展開〉

大学の「冬の時代」とは、凍てついた動きのない時代で
はなく、冬というイメージからはほど遠い激しい戦国時
代であるらしい。大学市場という縮小するパイをめぐっ
てそのシェアー争いのゲームに参加するプレーヤーは、
多様化し増える一方である。

最初は公立大学の新設ブームと短期大学の四年制への転
換であった。短大の経営が困難だからといって四年制に
なっても、これは一時しのぎにしかならないことが目に
見えていながら、基準に合致すれば淡々と認可を続ける
行政の姿勢に戸惑いを覚えたが、いずれにせよ結果とし
て、大学の数は増え続けている。大学の全入時代到来を
予告して世間に衝撃を与えた大学審議会の平成九年の答
申「高等教育の将来構想」以降を見ても、私立大学の数
は、平成十年一三校、十一年一三校、十二年二二校、十
三年一八校、十四年一六校、十五年一四校と増えつづけ、
公立大学も同じ期間に一九校増えている。

二番手は国立大学の法人化である。来年四月に予定され
ている法人化の制度設計はできたようだが、その運営の
実態がどのようになるのか、われわれにとっては未知数
が多い。しかし、独立の経営体として相応の自律性を持
ち自己責任を負うとされる以上、経営の基盤となる学生
数の確保には、これまでと違って強い関心を持つであろ
うから、私学にとってシェアー争いの強力な相手になる
であろうことは想像に難くない。

三番手として、全く予期しなかった手ごわい相手が現れ
そうな気配がある。株式会社の大学への参入である。当
面はいわゆる構造改革特区に限定した問題であるが、こ
の構造改革特区の考え方は、特区での成功例が全国的な
規制改革へと波及していくことを期待しているわけだか
ら、将来、株式会社立大学が全国化する可能性は高いと
思わなければいけないのだろう。新しいビジネスを起こ
し経済を活性化させようとの特区の考えに基づくものだ
けに、株式会社立大学は消費者サービスに徹した行動様
式を取り、大学のサービス産業化のトップを切って大学
の市場競争を本格化させるに違いない。

このような大学市場への新規参入ラッシュに加えて、こ
れまで高等教育行政のとして重要な役割を担ってきた高
等教育計画の考え方が、いわゆる工業(場)制限制度の
廃止とともに払拭され、大学の量的規模や地域的配置の
調整というとは行政の仕事ではないと考えられるように
なったらしい。設置等が自由化さ、大学市場の多様な担
い手が揃うことによって大学の市場化が急展開する環境
整ったわけである。


〈大学政策における「調整」の役割〉

大変古い話になるが、中央教育審議会の四六答申が高等
教育計画策定の必要性謳って以来、数次にわたって高等
教育計画が策定され、政策の柱として位置付られてきた。
高等教育機関の量的規模と全国的な配置に政策的な調整
を試みたれらの計画は、その意図どおりの実現を見なかっ
た面もある。特に平成四年をークとする一八歳人口の急
増急減期を超えるに際しては一定の規模の想定をすこと
が困難となり、「計画」という用語も放棄することとなっ
た。それに加え、政府の構造改革の流れに沿って設置認
可等の事前規制は漸次緩和されてきた、それでも大学審
議会においては平成九年の答申「高等教育の将来構想」
でも、十年の答申「21世紀の大学像」においても、進
学率の急激な変化(上昇)をけ、高等教育全体の質の維
持向上を図るため、大学等の新増設の認可は抑制的対応
するという方針を示していた。このように高等教育計画
は、「計画」というより柔らかい「調整」へと変化して
きたが、それでも行政によるこのような設等の調整の努
力は大筋において大きな役割を果たしてきたし、その役
割は国民も支持されてきたと思うのである。


〈「調整」か「自由と自己責任」か〉

今回、学校教育法の改正と併せて諸規則等の改正が行わ
れ、学部の設置も一部認可を要しないようになるなど設
置等の規制緩和が一段と進められることになった。この
一連の改正についての文部科学省の説明から理解される
ところでは、認可手続き等の問題以外にもう一つ重要な
ことが含まれているようである。それは、医・歯など若
干の分野を除いて、大学の量的規模や地域配置について
の調整は今後一切考えないということである。その反面
を言えば、大学教育の供給過剰による大学の淘汰は自己
責任の問題であり、行政は関与しないという姿勢を示し
たことになる。

規制改革を徹底して行けば、結果については自己責任と
いう考えに到達することは極めて論理的である。しかし、
これまで大学政策の柱とされてきた規模・配置の調整が
なぜ今不要になったのか、規制緩和の理念と大学政策の
考え方はどのように調整されたのか、かみ合った議論が
どのように行われたのか、その辺のことは国民に説明さ
れたのだろうか。

大学経営への参入の自由化を進めれば、大学が活性化す
るというプラスの部分あるだろう。しかし反面で供給過
剰による資源の浪費、一部での教育の劣化、生・保護者
の不安・動揺などマイナス面が予想されることは今更言
うまでもなことである。マイナスの不安があるからこそ
努力と競争があり、活性化と質の上があるのだという説
明で納得する人がいるのだろうか。日本経済の再生は国
の一番の関心事である。そのための規制改革の声は当然
大きくなる。大学政策論理はこの経済・財政の論理とか
み合っておらず、声の大きさに圧倒されていだけとしか
思えない。


〈政策転換への疑問〉

大学政策を大転換し、大学の規模・配置の調整という課
題をすっぽりと切り捨てるというのであれば、その前に
まず、これまでの政策の十分な評価が必要だろう。高等
教育計画の政策にどのような成功と失敗があったか、行
政による設置等の調整がどのようなメリットを生み、反
面でどのようなデメリットを生んだかが明らかにされな
ければならない。その上で、今後の大学政策にどういう
形の調整の役割が求められるか、あるいは行政による調
整という事前規制の機能は廃止すべきか、そして後者の
選択をした場合には自由な競争と自己責任の原則の下で、
どのような大学の全体像が想定されるのかを説明してほ
しいと思う。構造改革の論理だけで大学政策の転換を図
るとすれば、それは時流に流されただけのムード的な選
択だと考えざるをえない。 

大学市場の長期的な縮小傾向が続く中での市場参入の自
由化に、特に私学の中では不安が大きい。国立大学の法
人化によるシェアー競争の激化の予想もあって、私学側
からは、国・公・私を含めた高等教育の全体像(グラン
ドデザイン)を描き、公正な競争条件を構築するよう公
財政支出を含む教育費負担のあり方を示すべきだという
声が大きくなっていることは当然のことである。

昨年は中央教育審議会でも高等教育のグランドデザイン
について検討していると聞いていたが、今年三月に出さ
れた同審議会の答申「新しい時代にふさわしい教育基本
法と教育振興基本計画のあり方について」の中で「参考」
として示されている「計画に盛り込むことが考えられる
具体的政策目標の例」を見ると、現在の大学政策の主た
る関心事は「国際的競争力のある拠点的な大学づくり」
にあり、将来の大学の全体像をどのように捉えようとし
ているのかは全く窺い知ることができない。八割を占め
る私学を含めた全体像はすでに政策の視野から抜け落ち
ているかのようである。全体像を決めるのは市場である
と割り切った結果なのだろうか。

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[7] 日本私大教連サイトより
       http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~jfpu-shi/shidai/

[7-1] 私立大学・高等教育をめぐる動き(報道クリップ集)
http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~jfpu-shi/shidai/ugoki_index.htm

[7-2] 基礎データ(学費、奨学金、家計負担の詳細なデータ)
http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~jfpu-shi/shidai/josei/data/contents.htm

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[8] Publicity No 676 より転載:イラクに派遣されるのは、北海道の陸自部隊か
       http://www.emaga.com/info/7777.html
http://www.emaga.com/bn/?2003070012154603012398.7777
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神浦元彰(軍事アナリスト)の「J−RCOM」
〜激動する世界の最新軍事情報を発信〜
http://www.kamiura.com/new.html

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■タイトル  イラク支援 10月にも本格展開  特措法 きょう衆院通過 
(朝日 7月4日 朝刊) 

■要約
イラク支援特措法は昨日、衆院特別委員会で与党3党の賛成を
得て可決された。本日にも衆院本会議で可決され、7日から参
院で審議が始まり26日の会期末には成立する見通しだ。

政府は9月にも基本計画を閣議決定して、10月にもイラクに
本格展開する予定だ。

■コメント
イラクに派遣されるのは、北海道の陸自部隊のようである。

北海道の部隊というのは、九州や西日本の部隊が北朝鮮の崩壊
に備えているので、北海道に矢があたったのだろう。

92年のカンボジアPKOのとき、総選挙をポル・ポト派が襲撃
すると噂が流れ、自衛隊員に戦死の可能性が高まったことがあ
った。確か、あの時の派遣部隊も北海道の施設部隊だった。い
たたまれなくなった自衛官の妻たちが、早く帰国させるように
政治家に請願したことがあったという。

まさにその時、私はカンボジア西部のポル・ポト派の支配地域
で取材していた。そしてポル・ポト派に自衛隊襲撃の動きがな
いことを北海道新聞に寄稿した。もし本当にポル・ポト派が自
衛隊を襲撃するなら、命をかけても止める覚悟をしていた。

今回はイラクに派遣される自衛官がかわいそうである。軍事に
ついては何も知らないし、知ろうともしない政治家に派遣を命
令させる。もし自衛官が戦場に行くなら、自衛官(軍)以上に
政治家は現状の問題点を理解する必要がある。それが国会で行
われた経緯はない。

昔、中曽根と言う総理大臣がいた。彼の母体は小派閥で、多く
から短命内閣と呼ばれて誕生した。

ところがアメリカに対して、徹底的に軍事貢献することで後ろ
盾を得た。それが長期政権に繋がった。

小泉首相はアメリカに対して徹底的に軍事貢献することで後ろ
盾を得て、長期政権に繋げたいのだろう。

しかしそれは、自衛隊員の犠牲を差し出して、自己の政権を維
持したいのと同じことである。そのように歴史に刻まれる。


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  配信停止連絡は
       no-kd
  配信停止るアドレスが、連絡状の発信アドレスと異る場合は
	no-kd-1
  二度目の配信停止連絡の場合は、
	no-kd-2
登録等:http://ac-net.org/kd/a.html
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
国公立大学通信ログ:http://ac-net.org/kd
転載・転送歓迎。ただし URL "http://ac-net.org/kd" を併記してください。
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