通信ログ
国公私立大学通信 2003.09.13(土)
http://ac-net.org/kd/03/913.html
前号:http://ac-net.org/kd/03/909.html

--[kd 03-09-13 目次]--------------------------------------------

【1】国立大学法人評価委員会令の制定に関するパブリックコメント
   藤田正一氏(北海道大学)提出

【2】フォーラム「「産学連携」国立大学法人化後の職務発明」について
     (メールマガジンBTJ のコメントを読んでの感想)

【3】「都立4大学の統廃合をめぐる危機の現状」より
    http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/tohaigonokiki.htm

【4】(投稿)佐藤清隆氏からのメッセージ
    国立大学ではたらく皆様へ   教職員組合への加入を訴えます
    http://ac-net.org/dgh/03/912-union-qa.pdf

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【1】国立大学法人評価委員会令の制定に関するパブリックコメント
   藤田正一氏(北海道大学)提出
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「                        平成15年9月10日

文部科学省高等教育局
高等教育企画課企画係 御中

                藤田正一
                北海道大学大学院獣医学研究科教授 

     「国立大学法人評価委員会令」に対する意見

上記法令の概要では、国立大学法人評価委員会の所掌事務等の記述はあるが、
委員会の権限と業務が明確で無い。

国立大学法人化に伴い設置が予定されている国立大学法人評価委員会そのもの
の存在が憲法の保証する学問の自由の精神に抵触しかねない。従って、国立大
学法人評価委員会令の制定にあたっては、この委員会の業務と権限を、学問の
自由の精神に抵触しない範囲に限定する縛りを明確にし、法令に明文化する必
要がある。違憲法令とならない様、十分に配慮いただきたい。」

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【2】フォーラム「「産学連携」国立大学法人化後の職務発明」について
     (メールマガジンBTJ のコメントを読んでの感想)
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   BTJ(Bio Technology Japan)は6万人を越す講読者を持
   つというバイオ研究者向けの日刊メールマガジンである。
   最近は国立大学法人化後の国立大学への産業界の思いを
   率直に代弁しているように感じるが、9/12号では9/11 
   に開催された先端技術フォーラム「「産学連携」国立大
   学法人化後の職務発明」*1 の、報告が掲載されていた。

   その中で、BTJ の編集者である宮田氏(日経BP社先端技
   術情報センター長)は、法人化後の国立大学は、知識資
   本主義に突入した日本の産業が復活する鍵を握るもので
   あり、大学人は今は「マインドセットを劇的に変えるべ
   き時」を迎えている、という趣旨の主張されている。
   「今回の質問でも、企業に国立大学法人後に共同研究や
   知的財産の分配がどうなるか情報開示が進んでいないた
   めに、ただでさえ今までの共同研究の経緯から相互に不
   信感のある大学と企業の溝が広がっているように感じる」
   という感想も書かれているが、「不信感」の規模を誤認
   されているのではないかろうか。

   産業界向けの「装置」を無数に組込んだ国立大学法人制
   度を、大学の意向を露骨に無視して力づくで実現し、さ
   らに、マッチングファンド制度*2が象徴するような、産
   学連携をしなければ予算が十分に来ない種々の財政誘導
   法を次々と導入するだけでなく、「経常的研究費」がな
   くなりつつある中で、全分野に開かれた競争的研究費と
   して全研究者が依存せざるを得なくなりあつつある科研
   費まで、来年度から産業界にも開放させた(*3)のだから、
   大半の大学関係者の産業界への不信感は埋めようがない
   ものとなっている。力と金を背景に、産業界に大学人を
   奉仕させるべく「マインドセットを劇的に変えよ」と迫っ
   ても、すでに風化していた、産業界への嫌悪感を大学に
   蘇えらせるだけであろう。(編集人)

*1)http://biotech.nikkeibp.co.jp/news/detail.jsp?id=20021709

*2) 経済産業省大学発事業創出実用化研究開発事業
(通称:マッチング・ファンド)前年度補正予算30億円。
    http://www.waseda.ac.jp/rps/fund/

cf: 産学連携誘導の意匠一覧
http://www.cjr.shizuoka.ac.jp/renkei_update/sangaku_4.html

*3) http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/f_03091101.html

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【3】「都立4大学の統廃合をめぐる危機の現状」より
http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/tohaigonokiki.htm
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 2003.9.9 東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

1.急変した事態

 都立4大学(東京都立大学・科学技術大学・保健科学大学・都立
短期大学)は現在、統廃合をめぐって重大な危機に直面しています。
石原知事のもとで東京都は、現存する都立4大学を一つにして、
2005年4月、新大学を独立行政法人のもとで発足させるとして、去
る7月まで4大学と協議しながら、その構想を準備してきました。
しかし、8月1日の記者会見の場で石原知事が、これまで検討・準
備されてきたものとは学部構成・キャンパス配置など全く異なる構
想を発表するとともに、都大学管理本部は現大学総長・学長に、こ
れまでの大学側も加わった検討組織は前日をもって廃止されたこと、
大学管理本部側により大学代表者を加えない新たな検討組織を立ち
上げることを通告しました。その後、管理本部は、現在進めようと
していることは「大学の統合」や「新大学への移行」ではなく、4
大学の廃止と新大学の設立であるとして、事実上現大学を排除する
形で、新大学の設立準備を進めようとしています。

 このような事態は、私たち都立4大学で教育・研究に携わる教職
員にとって深刻であるばかりでなく、都立4大学がこれまでに多く
の教職員や卒業生らとともに築き上げてきた教育・研究の歴史と有
形無形の財産を台無しにし、さらにこのような大学改変が許されれ
ば、大学の自治と民主主義の乱暴な破壊として日本の大学全体にとっ
ても重大な影響を与えると考えられます。

 以下に、都立4大学の改革をめぐるこれまでの簡単な経過と、現
在起きている問題についてお知らせし、現在の事態への皆さんのご
理解とご支援をお願いいたします。


2.都立4大学の改革・統合をめぐるこれまでの経過

(1) 国立大学の独立行政法人化や大学再編の動向が全国的に広が
る中、都立4大学の改革・統合問題は、石原知事の誕生した1999年
春以降、急速に浮上してきました。2000年1月以降知事は、夜間部
を廃止し私学に売却もあり得る、4つの大学を束ねスタンフォード
のような大学をつくり、大学から東京の教育を変えるなどと大学改
革について発言しはじめました。そこでの主な内容は産業活性化の
ための産学協同、財政効率化、「入学しやすく卒業しにくい大学」
などでした。

 大学側はこうした動きに対し、知事からの圧力を感じつつ、大学
側による主体的な改革構想の策定に向けての努力を行いました。
2000年1月には都立大学が改革案策定のための新たな体制をつくり
「東京都立大学改革計画2000 」を策定するとともに4大学が連携
して主体的に構想をつくることを意図しました。

 しかし知事は、大学側のこうした構想を受け入れず、都庁内に大
学等改革担当室を設置するとともに、大学に対して、2000年秋に発
表する「東京構想2000」に盛り込む計画案を作成するように求めま
した。さらに同年夏には知事は都立の大学の外部監査を行わせまし
た。発表された外部監査報告は、大学の総経費から授業料収入など
を除いた額を「赤字」とし、4大学の統合と教職員の削減などを提
言しました。

 そうした中、都立大学では知事の意向も受け入れる形で、同年7
月、社会との連携を担う機関の新設・拡充、学生が「出口」で評価
されるような学部教育改革、初等教育から高等教育までの改革を促
す入試改革などを柱とした「新・東京都立大学改革計画2000」を策
定するとともに、「効率化」の要請に応えるためB類廃止を決定し
ました。

 東京都は同年12月、「東京構想2000」を発表しましたが、そこで
はそれまでの大学側の検討は十分反映されず、「都立の大学を改革
し新しい大学のモデルをつくる」ことを目的に、入試改革や独立行
政法人化などが提言され、2001年夏に「東京都大学改革大綱」を策
定するとされました。


(2) これ以降、都側の主導のもと、大学側と都側とが協議しなが
ら改革案を検討していく体制がつくられていきます。2001年2月に
都大学等改革担当室から「東京都大学基本方針」が出されるととも
に、3月には都教育長、総務局長、4大学総長・学長などからなる
大学改革推進会議が設置され、大学改革大綱の検討が進められまし
た。

 7月には都庁内に大学管理本部が設置されるとともに、東京都大
学運営諮問会議が設置され、知事から「都立の大学のありかた」に
ついて諮問が行われました。

 11月、「東京都大学改革大綱」が発表されました。これには4大
学を統合し短大を廃止した上で2005年4月に新しい大学を発足させ
ることが示されました。基本的な考え方として、「教育機能の強化」
「都民生活・都政への貢献」「設置形態及び管理運営体制の見直し」
をおこなうことがうたわれ、具体的には入試方法の改善や高校との
連携強化、教養教育を重視した学部教育、多様な履修システム、ロー
スクール・ビジネススクールなどプロフェッショナルスクールの設
置、産学公連携センターの設置や都政との連携、独立行政法人化、
非公務員化、法人の長と学長との分離、評議会・教授会権限の限定、
任期制の検討などが盛り込まれました。

 これを受けて2002年5月には、都立新大学設立準備委員会が、教
育長・大学管理本部長・4大学総長学長をメンバーとして設置され、
この7月までこの体制のもとで、新大学の設置準備が行われてきま
した。その基本的骨格は、人文・法・経済・理・工・保健科学の6
学部、人文科学研究科・社会科学研究科・理学研究科・工学研究科・
都市科学研究科・保健科学研究科などの大学院に加え法科大学院・
ビジネススクール・先端技術研究科などの設置、学部教育について
は保健科学研究科の2年生以上を除き南大沢キャンパス、教員定数
515名(現4大学867 名)、学生数1500名などとされていました
(注1)。

 この間、4大学の教職員は、理事長・学長の分離や経営部門の権
限の強さなどをはじめ、様ざまな問題点を批判しつつも、現在在籍
する学生・院生への教育責任や将来入学してくる学生・院生にとっ
て少しでもよい大学にしていくために、準備作業に労を惜しまず協
力してきました。統合に伴う人員の再配置計画から教育課程編成、
新しい学部教育体制に必要な時間割の検討から教室等の確保計画、
研究室の再配置計画など、2005年4月発足に向けての作業は大変な
ものでした。(なお、昨年末までの経緯詳細は、大串隆吉「〈緊急
報告〉東京都立の大学の統廃合・法人化に至る道」『教育学研究』
70巻2号(日本教育学会)をご参照ください。コピーがご入用の方は、
都立大学教育学研究室乾または大串(fax0426-77-2083)または東京
都立大学・短期大学教職員組合(tel0426-77-0213)まで。なお、知
事会見の直前までいかに、新大学計画が具体的に進み、最終段階に
なっていたかは別記(注2)参照)


3.8月1日以降の事態

 このような準備作業が設立準備委員会のもとで進行しているさな
かに、8月1日にこれまでの構想を一切覆す知事の記者会見が行わ
れました。記者会見にあわせて大学管理本部から発表された「都立
の新しい大学の構想について」は、「大都市を活かした教育の実現」
などがうたわれ、南大沢キャンパスに都市教養学部と都市環境学部、
日野キャンパス(現科学技術大)にシステムデザイン学部、荒川キャ
ンパス(現保健科学大)に保健科学部を配置するとともに全寮制
(50人)の「東京塾」を設置するなど、これまで設立準備委員会で
検討・準備されてきたものとは全く異なる内容になっています。
(詳しくは、東京都ホームページ・報道発表2003年8月1日付を参照。
ホームページのアドレスは、次のとおり。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2003/08/70d81100.htm )

 これらのことは知事の記者会見の直前に、大学管理本部長より4
大学の総長学長に一方的に伝えられました。その際、大学管理本部
長からは、従来の検討体制は7月31日をもって廃止されたこと、新
たな検討体制を立ち上げ速やかに動かしていくこと、この構想は知
事の公約の実現であること、今後はこれに責任をとれる者が計画を
担うことなどが告げられたといいます。

 8月29日には、科学技術大学学長・保健科学大学学長・都立大学
人文学部長。法学部長・経済学部長・理学研究科長・工学研究科長
の7名が大学管理本部に呼ばれ、新たな検討体制への参加を要請さ
れました。そこで大学管理本部長からは、新大学設立本部のもとに
教学準備委員会と経営準備室を設置し、教学準備委員会は西澤潤一
座長(岩手県立大学学長)のもとに外部有識者と学内教員を任命す
ること、学内教員については基本構想に積極的に賛同しかつ旧大学
の資源に精通した者を任命したくその意志を確かめるため7人に集
まってもらったことなどが告げられました。

 その際、新「構想」を発表した背景として、a「大学改革大綱」
発表以降に工業等制限法の廃止等の社会状況の変化があること、b
「新大学の教育研究に関する検討会」の専門委員から東京全体の都
市計画や研究所資源が視野に入っていない、都心部が計画に組み入
れられていない、経営的視点が欠けている、学生や卒業生の受け入
れ先の視点がない、国際性が貧弱などの問題点が指摘されたこと、
c 都議会自民党から大綱への厳しい意見があることなどが、あげ
られました。なお「新大学の教育研究に関する検討会」とは、知事
の指示でこの5月に急遽設置されたもので非公開で議事録も公開さ
れておらず、そのメンバーすら8月まで明らかにされていませんで
した。したがって上記の「問題点の指摘」が果たして正式に答申さ
れたものなのかすら不明で、ましてや自民党の「厳しい意見」は伝
聞に過ぎません。さらにこの席で大学管理本部長は、あくまで「大
学の統合」や「新大学への移行」ではなく、4大学の廃止と新大学
の設置であることを強調し、さらに大学の廃止・設置は設置者権限
であり、旧4大学は新大学設計の上での資源の一つであると述べま
した。

 この大学管理本部長の説明と参加要請にたいし、人文学部長は保
留、2学長と4学部・研究科長は参加を受諾しました。教職員組合
が都立大学5学部・研究科長に会見を求めたところ、所用で会見に
参加できなかった法学部長、保留した人文学部長を除き、経済学部
長・理学研究科長・工学研究科長は、構想に賛同したわけではなく
教育・研究を守りよりよくする立場から、学部・研究科に責任を負
う立場で参加したとのことでした。また人文学部長もその後、他の
学部長と同じ立場から積極的に意見を述べるためという理由で、人
文学部臨時教授会の了承のもと参加することになりました。しかし
大学管理本部側は、学長や学部長・研究科長など大学・学部・研究
科を代表するのではなくあくまで個人として(したがって学部など
からの意見を反映させることはおろか、準備委員会での検討の様子
についても学内に公表しないことを求めるなど)、さらに一方的に
示された基本構想に賛同することが前提ということを強権的に押し
つけてきています。


4.問題点

 以上からもわかるように、ここに至る経過と現在都立4大学が直
面する事態には、多くのきわめて重大な問題があります。

 第一にその進め方です。知事がその権限を持って(あるいは権限
を越えて)大学に対して圧力を加え、さらには言うことを聞かなけ
ればいまある大学を一方的に廃止し、一方的に新しい大学をつくる
としています。これは大学の自治と学問の自由を完全に踏みにじる
ものです。またそればかりでなく、知事のもとで東京都が決定した
「大学改革大綱」(2001年)について、それを何ら正当な根拠なく
覆していることです。「大綱」を変更する根拠としてあげられてい
る「新大学の教育研究に関する検討会」はすでに述べたように密室
のもとでおこなわれたものですし、また「都議会自民党との日常的
な折衝」のなかで出された批判などは密室政治そのものです。行政
レベルの公開と民主主義・アカウンタビリティすら踏まえていませ
ん。

 さらに変更を必要とする根拠の内容についてみれば、社会状況の
変化としてあげられる工業等制限法の廃止・都市再生特別措置法の
制定・知的財産基本法の制定などはそれまでに検討されてきた構造
を根本から覆す根拠とは、とうていなり得ません。また、専門委員
や自民党都議からの意見として伝聞的に伝えられたもののほとんど
は2年前に出された「大学改革大綱」へのものであり、その後の検
討・準備の中で豊かにされたものは全く無視されています。その結
果、例えば「国際性の視点が貧弱」としながら、7月までの構想に
含まれていた日本語教育学コースなどは、新「構想」では失われて
います。

 第二にその内容です。都市教養学部や都市環境学部など、学問的
な裏付けもあやふやなものが並べられている一方、例えば現人文学
部については、日本文学・中国文学・英文学独文学・仏文学など文
学系の学科・専攻がなくなり、さらに哲学・史学・教育学なども失
われる可能性があります。また、法科大学院を準備しているにもか
かわらず基礎となる法学部は構想にはありません。また学部構想は
示されましたが、大学院については未だその構成や設置時期すら不
明です。こうした中で、将来入学する学生・院生への教育はおろか、
現在在籍する学生・院生の教育に卒業まで責任の持てる体制が確保
できるのかどうかも全く不明です。

 第三に4大学の教職員の雇用・身分が全く不明確な状態です。こ
れまでも分限免職は行わないとしながらも、大幅な教員定数減によ
り多くの教員が過員状態になることが見込まれていました。しかし、
今回の新「構想」発表では任期制・年俸制などがうたわれる一方で
雇用の継続については一言も触れられていません。とくに「旧大学
の廃止」などの言葉からは、事実上の選別がおこなわれる危険すら
感じさせる状況にあります。しかも、選別の基準として強圧的トッ
プダウンを受け入れるか否か、という明らかに思想信条の自由を侵
す基準が使われようとしているのです。

 以上、9月6日現在の都立4大学の状況です。現在の状況につい
て、より多くの方々にご理解頂き、関心と支援を寄せられるよう、
お願いします。


(注1)東京都公式HP、「これまでの報道発表」調査・報告、
2002年5月17日、「都立の新大学の基本構想及び設立準備委員会の
設置」
(http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2002/05/60C5G500.HTM)

(注2)第13回 都立新大学設立準備委員会企画調整委員会 会議次第
  
平成15年6月23日 午前9時30分から 
都庁第一本庁舎25階 115会議室 
  
1  大学管理本部転入幹部職員の紹介
2  前回議事要録の確認
3  大学管理本部職員異動に伴う設立準備委員会の各委員会・部
      会等の委員の変更について【報告】
4  公務員養成課程WGの検討状況について【報告・審議】 
5  学生支援WGの検討状況について【報告・審議】 
6   「東京未来塾(仮称)」の検討状況について【報告・審議】
7   教育課程.教務分科会の検討状況について【報告・審議】 
8  入学者選抜分科会の検討状況について【報告・部会依頼事項】
9   産学公連携について【報告】
10  新大学の施設整備について【報告】   
11 そ の 他  
    
配付資料 

1  大学管理本部幹部職員名簿 
2-1 第12回都立新大学設立準備委員会企画調整委員会議事要録(案) 
2-2 各分科会・部会の開催状況・予定(平成15年4月以降)
3  都立新大学設立準備委員会 各委員会等委員名簿
4-1 公務員養成課程(仮称)の検討について(まとめ)
4-2 公務員養成課程(仮称)履修モデルイメージ 
4-3 公務員養成課程WGメンバー名簿
4-4 学部教育における公務員養成の検討について
5-1 学生支援WGメンバー名簿 
5-2 新大学での就職支援について
5-3 新大学での留学生受入れについて
5-4 大学改革での留学生受入れについて

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【4】(投稿)佐藤清隆氏からのメッセージ
         国立大学ではたらく皆様へ   教職員組合への加入を訴えます
        http://ac-net.org/dgh/03/912-union-qa.pdf
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国立大学ではたらく皆様へ   教職員組合への加入を訴えます

                           2003年9月

                    広島大学教職員組合執行委員長
                                      
                              佐藤清隆

 最近の報道によれば、悪化する職場のメンタルヘルス問題は深刻な事態となっ
ています。たとえば、5年連続3万件を超えた自殺のうち、「経済生活や勤務問
題」を理由とするものが増加しています。さらに、メンタル・ヘルス研究所の
調査では、「心の病」のため1月以上休業している組合員がいる組合の割合は、
3000人以上の組合では81.5%にものぼり、その状態は悪化する傾向にありま
す。その原因として、リストラによる就労不安に、業務の多忙化と成果主義が
重なったためという考えが有力です。

 このような深刻な例をあげる理由は、国立大学法人化の究極の姿と関係する
からです。大幅な財政カットをしながら教職員ひとりひとりを成果主義で競わ
せて、トップダウン運営で短期的な成果をめざす現下の法人化の行く末は、も
しもセーフテイネットが整備されなければ、上述のような事態を生む労働環境
を全般的に日常化させるのではないか。そのような環境では、国民の期待に応
えた優れた教育や研究、医療活動ができるはずもない。本来は楽観主義者の私
ですが、心の底から危惧せざるを得ません。

 「そうなってはいけない、そうなるはずはない」と思いつつ、「そうなるか
も知れない」との思いを否定できない。その逡巡を振り切って、「そうならな
いためのセーフテイネットづくり」を、教職員組合に託して頂きたいと思いま
す。

 広島大学教職員組合(*1)では、組合には入っていない方々が組合に対して疑
問に思われていると予想される事柄を20項目に整理して、それぞれに私ども
の考えを回答した、『Q&A』を作成しました(*2)。

全国の皆様にも、是非ご紹介したいと思います。

(編集人註*1) 広島大学教職員組合サイト:http://home.hiroshima-u.ac.jp/union/
(編集人註*2) http://ac-net.org/dgh/03/912-union-qa.pdf に転載

***

   「教職員組合の必要性に関する20のQ&A」の
   question一覧(全文は別途参照(*3))

   Q1:法人化されて、非常勤職員も広島大学で働き続け
   られるのでしょうか?

   Q2:確認しますが、私たちの給料はこれからは人事院
   勧告では決まらないのですね?

   Q3:なぜ「法人化されると労働組合の役割が重要にな
   る」のですか?

   Q4:組合に入るメリットを、もっと詳しく説明してく
   れますか?

   Q5:法人化後は、色々と労使で取り決めねばならない
   ことがあることはわかりましたが、そこに組合はどのよ
   うに関わるのですか?

   Q6:過半数代表に、現在の教職員組合がなれるのです
   か?

   Q7:運営費交付金で人件費や研究費が決まるから、組
   合が交渉しても、労働条件や研究条件をあまり左右でき
   ないのではないでしょうか?

   Q8:非公務員化されたあと、公務員の時と労働条件や
   福利厚生が変わるかどうかが気になるのですが、組合か
   ら働きかける余地はありますか?

   Q9:法人化してからなら組合に入ってもよいのですが、
   今入らなければいけませんか?

   Q10:教職員組合は、どんな形であれ「競争原理」や
   「能力主義・成果主義」の導入に反対しているのですか?

   Q11:組合は、「任期付き職員」をどのように捉えてい
   ますか?

   Q12:「数を頼んで自分を守る」という組合のやり方は
   性に合わない。やはり、自己責任の時代では、自分の事
   は自分で守るべきではないでしょうか?

   Q13:「これだけ景気が悪く、国と自治体に666兆円も
   の大変な借金がある状況では、公務員給与を下げる人事
   院勧告は当然。民間は厳しいのに、公務員は恵まれてい
   る。大学は特にそうだ。非公務員化されても仕方がな
   い。」という声があり、それに抵抗する組合は、社会の
   支持を得られないのではないでしょうか?

   Q14:組合はよく「たたかう」とか、「・・・のたたか
   い」という言葉を使うので、組合は「何でも反対」と見
   られていませんか?

   Q15:組合に入ると、経営者に差別待遇されませんか?

   Q16:過激な団体交渉を行ったり、思想・政治的に偏向
   しませんか?

   Q17:組合の組織や財政はどうなっているのですか?

   Q18:組合費が高いのではないですか?

   Q19:各種連合体へ加盟しているのですか?

   Q20:組合に入ると役員が回ってきて忙しくなり、業務
   に支障が生じませんか?


(編集者註*3):
全体を http://ac-net.org/dgh/03/912-union-qa.pdf
に置きました。Q13への回答だけ転載します:

「Q13:「これだけ景気が悪く、国と自治体に666兆円も
の大変な借金がある状況では、公務員給与を下げる人事
院勧告は当然。民間は厳しいのに、公務員は恵まれてい
る。大学は特にそうだ。非公務員化されても仕方がな
い。」という声があり、それに抵抗する組合は、社会の
支持を得られないのではないでしょうか?


A:多くの難しい問題が含まれている質問で、ここで完
全に回答することはできませんが、問題点だけを指摘し
ます。

まず、国と自治体がななぜ景気が悪いのかについての問
題提なぜ借金大国になったのか、そして、な起です。
666 兆円という大きな借金は、ムダな公共事業に毎年50 
兆円もの予算を投入するなどの公共投資が主な原因です。
一方、今年度(平成15 年度)の賃下げ勧告で削減され
る予算は725 億円程度と桁が違い、国の借金地獄解消に
役立つようなものではありません。また、高等教育費へ
の国の出費は先進国でも最低水準で、それも借金大国化
の原因ではありません。

一方で景気が悪化している原因のひとつに、「賃下げの
悪循環」というものがあります。賃金が「賃上がらない
と、物を買おうとしない。とくに人事院勧告は、公務員
だけでなく賃金などが人勧に準拠している民間労働者な
ど、3,500 万人の生活にも影響しています。「民間の賃
金が下がるから公務員も下げる」という論理で人事院勧
告による賃下げがおこなわれると、さらにそれが民間賃
金の切り下げにつながる、という悪循環です。これを、
断ち切る必要があるのです。さらに非公務員化には、高
等教育への国の責任をさらに軽減し、教職員の身分を不
安定化させて教育研究水準を低下させる危惧が含まれて
います。

なお、定員削減下でも「大学改革」に伴う仕事の量は増
大し、とくに多くの大学事務職員のサービス残業は日常
化しています。すでに「公務員は楽だ」という議論は、
実態に合うとはいえません。そもそも、公務員の生涯給
与も、民間に比べると決して有利ではありません。にも
かかわらず多くの仲間が、さまざまな努力を経て国立大
学への勤務をめざしたのは、「社会全体への奉仕者」と
して身分を保証された公務員として、高等教育研究や医
療活動に従事したいと願ったからです。

最近出版された「豊かさの条件」(暉峻淑子、岩波新書、
2003 年)にあるように、日本の勤労者の勤務条件は最近
になってさらに悪化しており、民間と手を携えながら、
「労働条件のデフレ・スパイラル」を、どこかで断ち切
ることが必要ではないでしょうか。」

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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
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