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国立大学独立行政法人化問題 週報
Weekly Reports No.26 2000.10.16 Ver 1.01
独立行政法人化問題 週報 Weekly Reports No.26 2000.10.16 Ver. 1.01
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(ミラーサイト http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-26-00a16.html)
総目次:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html
===============================目次===================================
[26-0]発行者より
[26-1]国会質疑 大学の独立行政法人化について(2000.8参院文教・科学委員会)
[26-2]2000.7.18学術審議会学術研究体制特別委員会(第17期第4回)
[26-3]佐賀県議会「国立大学の独立行政法人化について慎重対処を求める意見
[26-4]第4回 国立大学協会設置形態検討特別委員会(議事の概要)
[26-5]国立大学制度研究会(東大)報告書「国立大学の法人化について」
[26-6]名古屋大学資料09/07
[26-7]福井大学教育地域科学部教授会の見解より
[26-8]榊原英資氏「文部省はまた「愚者の楽園」をつくるのか」
[26-9]黒木比呂史氏「国大改革最前線ルポ」(論座2000.11月号254-267)より
[26-10]豊島耕一氏の公開書簡「全大教加盟の組合執行部の皆様へ」より
[26-11]中島謙一氏「平成9年独法化反対(佐賀大)声明は死んだのか?」より
[26-12]辻下:白川氏のインタビューを聞いて(独法化問題会議室より)
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[26-0]発行者より
文部大臣が国会答弁[26-1]で「(学長に)独立行政法人化のよさがご理解いた
だけるよう」調査検討会議で努力したいと述べている。国立大学協会の特別委
員会[26-4]議事録には、調査検討会議で文部省が「可能な限り通則法の仕組み
の中で制度化を考えて,通則法で無理なのか、ぎりぎりまで詰めて,その上で
是非を判断する方向でいきたい」と明言している(判断するのは誰か?)。そ
れと呼応するがごとく、東大の国立大学制度研究会の報告書[26-5]には、独立
行政法人の「スキーム」は国立大学にも利用できると明言している。名古屋大
学は通則法に特例措置を加えるとどうなるかを例示する資料[26-6]を公表した。
文部省−東大−名大はまるで示し合わせたように、誰も納得しないよう論理を
平気で展開しているように見える。ミスター円の榊原氏[26-8]は独立行政法人
化には賛成しながらも、文部省の支配が続く限り無意味であることを強調して
いる。しかし、高等教育局長が国立大学の役割として「・・・社会に変な動き
があったときに警鐘乱打したり啓蒙したりするような役割もある」と述べてい
る[26-11]。いままさに、教育と研究の場を大きく歪めかねない「変な動き」
があるのである。国立大学に数百ある教授会は独立行政法人化について意見表
明すべき時である。それなしに、社会に対する大学のアカウンタビリティを語
るのは偽善であろう。
白川氏のノーベル賞受賞[26-12]の業績は、教育と研究が不分離の中で流行
遅れを気にせずライフワークを追究できる国立大学でこそ成就したものではあ
るまいか。そういった研究の場が国立大学の独立行政法人化を契機として日本
から姿を消すのである。
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[26-1]国会質疑 大学の独立行政法人化について(2000.8参院文教・科学委員会)
『文部科学教育通信』2000年10月9日号(Vol.1 No. 13)pp. 32-33
【質問】雑誌「論座」九月号に、大学の独立行政法人化をめぐって国立大学九
十九大学学長へのアンケート結果(九十大学が回答)が掲載されている。それに
よ ると、法人化はプラス、マイナスどちらとも言えないが七二%で、具体的
な制 度設計が示されていないので判断が難しいことを主な理由として挙げて
いる。 マイナスが一五%で、理由としては行革本部のペースで進んでいるの
ではない かとか、競争原理、効率というものが果たして大学の自主性、自律
性というも のを護ることができるのかということが言われており、特に地方
の大学と教育 関係の大学が非常に危惧を抱いている結果が出ている。プラス
になるは一三% である。
この調査結果について、どのような意見をお持ちか、伺いたい。
【文部大臣】お話のあった「論座」はまだ読んでいない。局長がお書きになっ
たということもあるが、すぐ読んで勉強したい。
いずれにしろ、国立大学の独立行政法人化は、たしかに新しい、ある意味で
は明治以来の大きな改革であり、いろんな不安といろんな思いと評価があると
思う。私もあちこちで大学の先生と会うが、一番の問題はやっぱり財政的な問
題が上げられる。
閣議決定では、平成十五年度までに独立行政法人化についてどうするべきか
結論を出せとされているが、文部省としては平成十三年度中に一つの指針、方
向性を出すべく、現在、調査検討会議を開催し、いろんな調査をしたり勉強し
たりしているところである。
ご指摘いただいた点は、ある意味では議論の過程において出されたところで
あろうし、独立行政法人化のよさがご理解いただけるよう、また実行できるよ
うな形でどうあるべきか、さらに研究して進めてまいりたい。
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[26-2]2000.7.18学術審議会学術研究体制特別委員会(第17期第4回)
・特定研究領域推進分科会運営会議(第17期第3回)合同会合議事録
http://www.monbu.go.jp/singi/gaksin/00000300/
(○:委員、△:事務局)
○ 国立大学が、独立行政法人化した場合、国立学校特別会計はどうなるのか。
△ 現在、国立学校特別会計がどうなるのかは明らかではないが、文部大臣が
昨年9月の国立大学長会議で見解を述べており、国立学校特別会計制度が現在
持っている利点については維持していく、という大きな方向は示されている。
国立学校特別会計自体大変厳しい財政問題を抱えているが、その利点を維持す
る中で特別会計の制度が持っている様々な平衡化を図る機能を維持していくこ
とが大きな課題となっている。
○ そうすると、特別会計制度があることによって、最低限は入って来るとい
う利点と、これ以上増やせないという欠点とを秤にかけたときに、最低限は入っ
て来るという利点の方が大きいという判断なのか。
△ 一言で申し上げることは大変難しい。国立大学といっても様々なタイプの
大学があるので、一律に考えていくのではなくて、いくつかの考え方の要素が
あろうかと思う。これから考えていくべき大きな御指摘だと思う。
○ 国立学校特別会計というのは、個々の大学へ予算を付けるよりは、全体と
して予算を付けて、それぞれの大学の需要に弾力的に応えるというような狙い
でできたシステムで、かなり有効に機能していたと思う。かつては、特別会計
への一般会計からの繰り入れは8割だった。現在は、財政が厳しくなってきた
から6割を切っている。予算編成のプロセスでは、最初の財源の割り振りの際
に特別会計にまわす額が、中身を精査する前に決まってしまう。また、毎年の
一般会計からの繰入額は大きく変更できないため、施設費はなかなか増えない。
しかも、予算の大部分を占めるとなると伸ばしにくくなる。これを何とかして
くれというのが、次期科学技術基本計画なので、その知恵をどうやって出して
いくかということを重く受け止めてやっていただきたい。その際に、構造的に
学術国際局がその責任を全て負うのではなくて、官房や文教施設部に当事者意
識を持たせるようにしないと、しっかりとした解答が出ないのではないか。
○ これは文部省の中で、総合的に政策として考えていくことはできないのか。
例えば、国立大学の大学院整備が認められて、どんどん大学院が増えているが、
建物は55%しか建っていない。およそ半分の大学は、大学院ができたが研究
室が無いという状況になっている。これは非常に不合理だと思うので、例えば
少なくとも3年以内に建物を建てるという制約がないと大学院の設置を認めな
いとか総合的に考えていかないといけない。各部局でバラバラに予算要求をし
ていてもいつまでも施設は建てられない。
△ 大学院の重点化は、平成3年の大学審議会の答申を踏まえて定員の倍増を
進めてきた。また一方で、ビッグプロジェクトは予算的に施設整備費の中でやっ
てきた。事務的には、学術国際局、高等教育局、文教施設部での突き合わせを
行い、政策的な方向付けをし、例えば文教施設部では総合研究棟を作って、特
色を出していこうとしている。そういった議論と、科学技術会議での議論を単
に学術国際局だけの議論とするのではなくて、今後他局ともすり合わせてやっ
ていきたい。」
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[26-3]佐賀県議会「国立大学の独立行政法人化について慎重対処を求める意見
書」を全会一致で採択(2000.10.4)
http://endo.phys.saga-u.ac.jp/union/saga/temporal.html
「..こうしたことから、独立行政法人化については、慎重な審議・検討を尽
くし、特に、地方都市に位置する国立大学については、その教育・研究の基盤
の充実、強化に配慮し、国立大学全体の均衡ある発展に努めることが必要であ
る。
よって、国会及び政府におかれては、次の事項について実施されるよう強く
要望する。
1.国立大学の独立行政法人化については、地方の国立大学の実情を充分に
配慮すること。
2.佐賀大学などの地方国立大学をより地域に根ざした大学として発展させ
るため、教育・研究基盤を充実させること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成12年10月4日 佐賀県議会
衆議院議長 綿貫民輔様
参議院議長 斉藤十朗様
内閣総理大臣 森 喜朗様
大蔵大臣 宮沢喜一様
文部大臣 大島理森様
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[26-4]第4回 国立大学協会設置形態検討特別委員会(議事の概要)
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/s121010-11.htm
第1回 人事制度委員会」(9月4日開催)の報告より
「当日出された主な論議は,次の通りである。
(a)賢人会議と調査検討会議の関係について議論があり,形式的には賢人会議
の下部機構であるが,実質的には別である,返答であった。
(b)企画立案は中央省庁,実施は独立行政法人という枠組みの中に国立大学を
入れるのは疑問という議論があり,大学の教育研究を進める上での企画立案は,
国の政策立案機能とは自ずからレベルが異なるという議論があった。
(c) 文部省は法人化のユニットを1大学1法人と説明しているが,これに関
連して国と地方自治体の共同で設置するという選択肢も考えられるのではない
かという質問があったが,文部省の答えは,地財法の関係もあり,否定的であっ
た。組織業務委員会は,独法化後の国立大学の組織,業務等に関する調査検討
を行うことを目的とし,当日は配付資料に基づき,独立行政法人制度の概要,
国立大学の独法化問題の主な経緯の説明があった後,委員会の役割・検討対象
に関して意見交換があった。
(d) 独立行政法人化は通則法のスキーム内でのみ検討するのかということに
関しては,可能な限り通則法の仕組みの中で制度化を考えて,通則法で無理な
のかぎりぎりまで詰めて,その上で是非を判断する方向でいきたい,という回
答であった。
(e) 第2回「人事制度委員会」で,文部省は具体的な検討項目を示すと思う
が,人事制度の検討を進める上で,組織のあり方が深く関連し,「組織業務委
員会」の検討状況を理解していないと対応できないということもあるので,場
合によれば,「組織業務委員会」に陪席することも必要かと考える。この点,
後程議論願いたい。 」
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「専門委員会D」(財務会計)の検討状況
「意見交換の中で,専門委員より,文部省「財務会計委員会」に個人資格で参
加しているが,その席では自らの見解を述べてもよいのか,という質問が出さ
れた。これに対しては,専門委員会では意見の相違が生じないよう議論を尽く
したいが,専門委員会で決めたことは,でき得れば応援して欲しい,と返答し
た。」
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[26-5]国立大学制度研究会(東大)報告書「国立大学の法人化について」
研究会は20名からなり、法学政治学研究科4名・経済学研究科3名・事務局
5名、その他次から各1名:農学・医学・理学・総合文化研究科・東洋文化研
究所・社会科学研究所・生産技術研究科・大学総合教育研究センタ。文部省内
で研究会が開かれていたという話しも伝わっている。
p15「要するに、通則法は、本省が行なう企画立案から分離された実施部門
がその事務・事業を効率的に推進するためのスキームを与えるものとして参照
しうるが、相当に換骨奪胎しなければ国立大学には適用しがたいことも明らか
である。..東京大学の態度は、従来から通則法そのままの形で国立大学を法
人化することに反対してきたのであって、前述のように、通則法を修正する形
でそのスキームの骨格部分を取り入れることまで否定するものではない。」
とある。スキームの骨格部分には「評価に基づく3〜5年毎の改廃審査」があ
るが、これだけで大学を行政に完全従属させるに十分なことに気づかないのだ
ろうか。しかし、この点には触れておらず、単に評価が運営交付金の増減を目
的とすることを批判しているに留まっている。これまで以上の行政指導が予想
されるにもかかわらず、それを遮断する制度的提案はない。
p8には「東大にとっては法人格取得は大学改革にとっても必要な一つのステッ
プである」とある。こういった部分を拾い集めれば「国立大学は独法化を価値
あるものとして積極的に受け入れた」という筋書きが出来上がり、政府の責任
が問われる恐れなく独法化が成就してしまうだろう。大学院重点化のときに東
大が<犯した罪>への反省というものはないのか、と思わずにはおられない。
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[26-6]名古屋大学資料09/07
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/00a/nagoya-u.html
これは独立行政法人通則法を基盤として昨年9月の国立大学協会第一常置委員
会の中間報告にある特例措置を入れた「国立大学通則法」ともいうべき内容で
しかない。
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[26-7]福井大学教育地域科学部教授会の見解より
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/009/15-fukui.html
◆見解をまとめるにあたって◆
2000年9月14日 福井大学教育地域科学部教授会
戦後50年を過ぎ、いま日本の教育のあり方が大きく変化しようとしている。
社会状況や産業構造の急激な変化、あるいは、学校をめぐる学級崩壊、いじめ、
不登校、校内暴力、学力低下等の教育問題や、学校にとどまらず現代社会を揺
るがす「社会問題」と化している少年の自殺、殺人事件等の問題は、いずれも
学校教育及び教師教育の抜本的な改革を求めている。
文部省はこれらの問題に加えて少子化による教員需要の低下問題を含め、長
期的観点に立った教員養成系学部の果す役割やその組織・体制のあり方につい
て指針を得るべく、2000年8月に「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関
する懇談会」を発足させ、来春ないしは来夏には基本的な考えをまとめるとい
う。一方、日本教育大学協会独立行政法人化問題検討特別委員会も、「21世紀
の教育系大学・学部の在り方」としてまとめ、改革のための方針を公表しよう
としている。これらの動きに呼応し、一部のマスコミを通して、一定の方向へ
の誘導をも意図するかのような教員養成系学部の再編・統廃合報道が行われて
いる。
このような状況下にあって、教員養成を担う学部は、当事者としての真価が
いま問われている。教員養成を担う学部は、「一府県一教育学部・大学の原則」
に立って、惑わず地域に耳を傾け、地域との連携の中で具体的に何をなすべき
か方針を公表し、地域に問うていくことが求められており、また、それをする
ことが責務である。ややもすると単なる財政問題、あるいは、短絡的な対症療
法的政策になりがちな教育改革を、地域の学校と大学と行政が協同して進める
地域ネットワークの課題として位置づけ、そして、教育に関連する職業人の生
涯学習機関、つまりは開かれた大学として提起していくことが、地域における
教員養成系学部の使命である。
福井大学教育地域科学部は、地域に根ざした教師教育のあり方をここに明ら
かにし、改革の一層の努力を決意するとともに、多くの教員養成系学部・大学
に訴えるものである。
◆要旨◆
21世紀には、より質の高い学習の機会を生涯にわたってすべての人に保障する
社会の実現が求められている。学校教育の改革と開かれた高等教育の実現はそ
のための不可欠な条件であり、大学における教師教育改革は両者をつなぐ重要
な環をなしている。
とりわけ、現在の教育が直面している問題を打開し、ゆたかで質の高い学び
合 う共同体としての学校を実現していくことが強く求められている。この教
育改革 の実現のためには、学校・行政・地域・大学が手を携え、共同で探究
し実践して いくことが不可欠となる。教育系学部・大学院は、地域における
学校改革のため の取り組みに参画し、教師の実践的な力量形成を支え、その
ネットワークの拠点 としての役割を果たしていくことが求められる。
戦後、「一府県一教育大学・学部の原則」に立って設置された教育系学部・
大 学は、21世紀に向けて、地域に開かれたゆたかな生涯学習を実現し、地域
の教育 改革実現のために、学校と行政・地域と連携し、さらにきめ細かな地
域ネットワー クの拠点としての役割を発展させていくことが求められている。
これらの役割を果たしていくことは、地域にねざした教育改革を実現してい
くために、教育系学部・大学院が果たすべき責務である。
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[26-8]榊原英資氏「文部省はまた「愚者の楽園」をつくるのか」
(論座2000年11月号p268−277 )より
「この十年、二十年、文部省が推進してきた教育改革は、基本的にまちがいだ
とぼくは思っている。日本は今、国際社会から孤立している。とくにアジアの
なかでの孤立は深刻で、今後、おそらく国際的な場面で目本が立ち行かなくな
る可能性は非常に高い。日本はドメスティックで閉鎖的な国になってしまった。
その最大の原因は教育にある。子どもの学刀低下や国際的に見た大学のレベル
の低さなど、初等中等教育、高等教育を取り巻く状況は厳しい。
とりわけ、ぼくが危機感を持つのは、国際的に見て、日本のいちばん強かっ
た初中教育が崩れてしまったことだ。その一結果、大学においても世界的に通
用するような教育がなされなくなっている。昨年来、国立大学の独立行政法人
化問題が議論されているが、文部省主導の閉鎖的な教育行政が変わらないかぎ
り、日本の大学は改革されないのではないだろうか。」
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[26-9]黒木比呂史氏「国大改革最前線ルポ」(論座2000.11月号254-267)より
「...
だが、大学の現場でこの間、取材にあたってきた私からみれば、いくつかの
疑問を捨て去ることができない。なぜ大学改革が独立行政法人という形をとら
なければいけないのか。昨年九月に文部省が示した特例措置に沿って改革が進
められるのなら、独法化しなくとも国立大のままでも同様の改革ができるので
はないか。そもそもなぜ行政改革のために教育が使われるのか。しかし、これ
までの取材でわかったのは、事態は「どうにもならないところまで進行してい
る」ということである。
...
ただ、本来、大学改革論議は、こうした私大も含めたグランドデザインのもと
で、また、改革の哲学が確立されたうえで進められる種類のものではなかった
か。さらにいえば、現在の大学が抱える少子化の問題にしろ、基礎研究力・国
際競争力の向上にしろ、おしなべてこの国が迫られている課題ばかりである。
それが文部省と総務省とのせめぎあい次第でいかようにも変わる情勢でいいの
だろうか。
もっとも、文部省の融和姿勢の前提でみる「特例借置」のスキームが崩れる
ような事態になれば、「結論」の見えた独法化論議にしても、かえって「パン
ドラの箱」が開き、広範な国民論議が起きることになるかもしれないが..。」
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[26-10]豊島耕一氏の公開書簡「全大教加盟の組合執行部の皆様へ」より
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/letterzdk.html
「...
つまり「国立学校設置法」に根拠を持ち,役所,すなわち文部省から曲がり
なりにも独立した存在としての「教育機関」であったものが,単なる文部省
の一下部機関になろうとしているのです.戦後50数年の国立大学の歴史に終止
符を打ち,「生き残り」は文部大臣の慈悲次第という文字どおり文部省傘下
の「行政機関」に,です.これはかつてのどのような「大管法」もなし得なかっ
たことです.別の言葉で言えば,憲法23条の実質改憲と教育基本法10条の停
止です.通則法を一読された人は,これが誇張でも何でもないことを理解され
ると思います.
このような性質の問題に「条件闘争」はありません.最悪のケースのその最
後の決定的な瞬間,すなわち法律が国会を通過する瞬間まで,阻止のためのあ
らゆる努力をすべきなのです.」
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[26-11]中島謙一氏「平成9年独法化反対(佐賀大)声明は死んだのか?」より
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/knews15.htm
「...
前記の高等教育局長の発言の中にはいくつか注目すべきものがあるので紹介
しておきたい。同局長は国立大学の役割として「・・・社会に変な動きがあっ
たときに警鐘乱打したり啓蒙したりするような役割もあるわけです」と述べ
ている。つまり、大学には社会の木鐸としての役割があると言っているのであ
る。社会の木鐸としての役割を保証するために、戦後の大学に自治が導入され
たことは周知のことである。この歴史的な事実は同局長も認識をしていて「日
本の場合、戦前の苦い経験を踏まえて、・・・」と言っている。大学の自治に
ついて、何かにつけてそれを認めたがらない文部省の官僚ですら、この程度の
理解は示しているのである。
...」
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[26-12]辻下:白川氏のインタビューを聞いて(独法化問題会議室より)
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/read.bbs?BBS_MSG_001013075737.html
a「少年時代から深い関心を持っていたものの一つプラスティックに大学で取り
組むようになり、助手時代に学生実験で、触媒を誤って通常の千倍入れて失敗
したときに出来た薄片に魅せられ10年取り組み(その当時、テーマは流行遅
れという風に見られていたとのこと)、その後アメリカでの共同研究で最後の
ステップがクリアされ金属に替わるプラスティックが見出される−−−いわば、
(日 本の大学では許される)研究者兼教育者の自然なライフスタイルから、
時代を画し世界を変貌させた研究が熟していった点を強調したいように思いま
す。こういうライフスタイルは、今でも、日本の大学では至る所に見られるも
のですが、そういう場でしか実らない研究果実の象徴のような気持ちがしまし
た。
教育と研究を分離し、こういった<効率の悪い>研究スタイルを日本の大学
から一掃することが、政府の基本方針ということができると思います。」
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◆国立大学独立行政法人化問題サイトの入り口
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/
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発行者: 辻下 徹
homepage: http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/tjst/
e-mail: tujisita@geocities.co.jp
総目次:
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html
登録 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/mg2.html
発行部数 1024 (2000.10.15現在)
内訳:Mag2:579 / CocodeMail:319 / Pubzine:60 /Macky!:33 / emaga:21 / melma:12
その他直送 約 200 /ダイジェスト版直送 約 2000
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End of Weekly Reports No.26 2000-10-16
**この週報は発行者の個人的な意思で行っています**
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