==> |Back Number総目次と登録国立大学独立行政法人化の諸問題
直接配信希望の方は Subject 欄に sub wr と書いたメールを
tujisita@math.sci.hokudai.ac.jpに送ってください。
メールマガジンサービスを利用される方は下欄を利用してください。

visits since 2002.4.21

国立大学独立行政法人化問題週報

Weekly Reports  No.88 2002.4.21 Ver 1

http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-88.html
総目次:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/all.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━               目   次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [88-0] 内容紹介  [88-0-1] 国立大学協会臨時総会決議の「権威」  [88-0-2] 藤田宙靖氏の「独法化か民営化か」論  [88-0-3] 「独法化で何も変らない」懸念が示す文部科学省の楽観  [88-0-4] 「大学の研究評価も社会的・経済的見地から」  [88-0-5] 個人情報保護法案問題と独立行政法人化問題の相似性 [88-0-6] 有事法整備の真意は [88-1] 国大協臨時総会2002.4.19  [88-1-1] 国立大学協会会長談話(案)2002.4.19  [88-1-2] 報道記事   [88-1-2-1] 4/20 北海道新聞:「法人化」国大協が承認/一部に異議   [88-1-2-2] 4/20 日経 国大協、法人化を了承/異例の挙手採決   [88-1-2-3] その他  [88-1-3] ◆総会での学長発言(記事より)(ML university より)  [88-1-4] 独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局 2002.4.18   [88-1-4-1] 国大協臨時総会は「検討結果」を了承できない02.4.16   [88-1-4-2] 「「国立大学法人」は「民営化」への対抗案か?」02.4.18  [88-1-5] 北大教職員有志より北大評議員への要望とメッセージ2002.4.17 [88-1-6] 北大教職員組合三役・北大学長会見4/9 記録より  [88-1-7] 声明 4/9-4/17 [88-2] 独立行政法人化関係の意見・論説等  [88-2-1] ◆長尾 眞「国立大学の法人化」  [88-2-2] ◆本間政雄「国立大学に経営力を/形だけの改革にしないために」  [88-2-3] 読者から「独立行政法人大日本帝国陸海軍!」2002.4.19  [88-2-4] 藤田宙靖「国立大学独立行政法人化について」2001.7.15 [88-3] 文科省意見募集  [88-3-1] ◆文部科学省における研究及び開発に関する評価指針(草案)抜粋  [88-3-2] 中教審中間報告     [88-3-2-1] 「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」   [88-3-2-2] 「大学院における高度専門職業人養成について」   [88-3-2-3] 「法科大学院の設置基準等について」 [88-4] ◆情報保護法案  [88-4-1] 「情報保護法案の諸問題」のページ   [88-4-1-1] 「情報保護法案の諸問題」のページについて  [88-4-2] 個人情報保護法案への文筆家等29名の反対の声02/5/29 抜書  [88-4-3] 米沢泉美「ネットワーカーを直撃する個人情報保護法案」02/4/8  [88-4-4] 「表現の自由を制限する個人情報保護法案に反対する共同アピール」 [88-5] 引用  [88-5-1] 脇山俊「行きづまるアメリカ資本主義 」  [88-5-2] 石田収「新聞が日本をダメにしたーー太平洋戦争扇動の構図」  [88-5-3] 田中 宇「日本の有事法制とアメリカ」2002年4月18日   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━           本       文 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [88-0] 内容紹介 [88-0-1] 国立大学協会臨時総会決議の「権威」 4月19日の国立大学協会臨時総会は報道関係者の傍聴が許された。記事によ れば、意見の大半は最終報告に対する批判であったが、「会長談話(案)」 [88-1-1]は賛成多数で了承されたという。国立大学に自立した精神が健在であ ることを社会に示した会議ではあったが、大手の大学から、「仕方がない」 [88-1-6]ではない、歴史的決断にふさわしい真摯な意見表明はなかったことは 残念である。  任意団体に過ぎない国立大学協会の「決定」は、議論を尽くした上での合意 点しか正当な影響力を持たない。長尾氏自身が「国,大学,経済産業界の妥協 の産物」と明言[88-2-1]している中間報告からさらに大学が譲歩を強いられた 最終報告をなぜ無理に了承したのか。産学官連携ではなく産学官癒着が進行し 始めている兆候ではないのか。  国立大学協会の結論は各大学を縛る権限はない。各大学で、学長は全構成員 を説得する義務がある。説得が成功したかどうかを全学投票で確認する義務も ある。構成員の思いを封殺したまま、上からの独法化路線を突進する大学は、 多くの問題を抱えることになるだろう。 ---------------------------------------------------------------------- 藤田宙靖氏の「独法化か民営化か」論 藤田宙靖氏は、昨年7月の講演[88-2-4]において、小泉政権になり「国立大学 か独法化か」から「独法化か民営化か」に問題がシフトしたと主張している。 この講演内容は国立大学協会会員には伝わっていただろう。民営化への盲目的 恐怖が最終報告への没理的承認をもたらした可能性はある。しかし独立行政法 人化反対が民営化に直結する可能性は低い、という分析[88-1-4-2]は妥当であ ろう。一方、独法化後の民営化は、大学側に反対の余地が政治的に皆無である だけに粗悪なものとならざるを得ない。民営化を回避するために、民営化の準 備ともなる独法化を容認することは思慮に欠ける。 ---------------------------------------------------------------------- [88-0-3] 「独法化で何も変らない」懸念が示す文部科学省の楽観 論座5月号に本間政雄氏(京都大学事務局長)の論説「国立大学に経営力を/ 形だけの改革にしないために」が掲載されている[88-2-2]。独立行政法人化後 の大学運営に対する文部科学省幹部の意気込みが伝わってくる。独法化で「何 も変らない」懸念も表明されているが、独法化のリスクについて余りに楽観的 な見通しではないか。上からの一貫性のない「大学改革」に振り回されること に教育・研究の現場は倦み果てている。独法化が、広汎な士気低下をもたらし、 飴と鞭の駆使が、誇りと喜びを原資とする創造性を大学から駆逐し、大学全体 の活力が衰退するリスクを多少は認識すべきではないか。 ---------------------------------------------------------------------- [88-0-4] 「大学の研究評価も社会的・経済的見地から」 文部科学省が種々の意見募集をしている。その中に、大学の研究評 価にも関係する1万字ほどの報告書案がある[88-3-1]。研究評価に社会的・経 済的見地を導入する重要性を繰り返し、「成果を享受する産業界、一般の立場 で意見を述べられる者や波及効果、費用対効果等の分析の専門家等の外部有識 者」を評価者とすることを提案している。学術研究・教育活動に無縁な者に、 経営も評価も委ねる国立大学法人から、研究教育を外注する大学会社への道の りはそれほど遠いものではない。また、評価者の名前を伏せることを容認して いる点は、大きな後退ではないか。 ---------------------------------------------------------------------- [88-0-5] 個人情報保護法案問題と独立行政法人化問題の相似性 現在の焦点の一つ、個人情報保護法案問題[88-4-1]は、国立大学独立行政法人 化問題と似た構造を持っている。まず、何が問題かをわかりにくくする巧妙な 政治的煙幕が張られているため国民的議論が湧かない。「表現の自由」を根底 から脅かすものであることを明確に認識できるのは公的言論活動を展開してい る作家や独立したジャーナリストだが、その反対意見[88-4-2]は「既得権を守 ろうとしているだけではないか」と一般社会に受け取られている節がある。こ れも、「学問の自由」を脅かすものとして独立行政法人化を反対している国立 大学教員達が置かれている状況に似ている。  また、一部マスコミの過剰取材やプライバシー侵害などが原因と思われるジャー ナリズム全般への人々の不信感は、種々の不祥事が原因と思われる国立大学全 体への不信感と同じように、反対の声に人々の耳を閉ざしている。  さらに、もう一点似たところがある。大手マスコミは、個人情報保護法案の 規制対象外とされたことにより安心し、「表現の自由」が広汎に制限されるこ とについては申し訳程度にしか報道していない。ちょうど、大手の大学が独立 行政法人化で得をする面もあるためか、「学問の自由」の縮小への懸念が余り ない現状とも似ている。  「学問の自由」と「表現の自由」に対する強力な法的規制が導入されようと している今、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力 によつて、これを保持しなければならない」という憲法の呼びかけに素直に耳 を傾けなくてはいけない時が来ているのではないだろうか。 ---------------------------------------------------------------------- [88-0-6] 有事法整備の真意は 性格は違うが、同じように国民的議論が不可欠な「戦時の法整備」が、なぜか 急がれている。その理由は、間も無く有事法など不要になるからだ、と田中宇 氏が指摘している[88-5-3]。それが正しいとすると、間も無く必要なくなる法 律をなぜ急いで立法しようとするのか、そこに立法の真意を見抜く鍵があるの ではないか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [88-1] 国大協臨時総会2002.4.19 ---------------------------------------------------------------------- [88-1-1] 国立大学協会会長談話(案) 「新しい「国立大学法人」像について」(最終報告)に関しての 国立大学協会会長談話(案)                                   平成14年4月 日                        会長 長 尾  真 1. 国立大学協会のこれまでの努力  国立大学協会は、国立大学協会の法人化に関し、平成12年6月の第106 回総会において、「独立行政法人通則法をそのままの形で国立大学に適用する ことに強く反対」し、設置形態検討特別委員会を設置してあるべき姿について 考え方をまとめる一方、これを踏まえて文部科学省の調査検討会議に積極的に 参画し、本協会の意見を述べるとともに、各方面に対し政策提言を行ってきた。  その結果、昨年9月末に出された調査検討会議の中間報告は一定の評価がで きるものとなったが、なお不十分な点については意見を提出するとともに、調 査検討会議においてもあるべき姿について最終報告書に盛り込まれるよう、最 大限の努力をしてきた。 2. 最終報告に対する評価  今回調査検討会議がまとめた最終報告については、例えば、中期目標の策定 に関して、文部科学大臣が定めるとはいえ、大学側がその基本的な目標に基づ いて提出した原案を十分尊重して行うための制度的な担保が加えられるなど、 中間報告からかなりの改善点が認められる。  組織業務、人事制度、財務会計制度においては、多くの重要な部分は実質的 に各大学の規則レベルに委ねられることになった。例えば、学長選考における 大学構成員の意向聴取の取り扱いや教員人事における大学の自主・自律の精神 の堅持などを、それぞれの大学の持つ歴史と個性にしたがって大学自身が決め るべきことは、法人化が大学の自主性・自律性の発揮をねらいとしている主旨 からして、妥当なものである。  国立大学教職員の身分については、非公務員型とされた。これによって教官 の活動についての自由度が高まるほか、能力・実績に応じた教職員の処遇など、 多様な可能性が開かれよう。また、非公務員であるとはいえ、退職手当の期間 通算や医療保健、年金、宿舎などについて、国家公務員と同じ扱いにするなど の点も評価できる。ただ、教職員の就労規則や給与基準の決定、教職員の大学 間の異動問題など、今後関係者において更に努力や手当てを要する諸課題も存 在する。 3. 国立大学協会の考え方  戦後の大学改革による新制国立大学は、日本の復興と発展の原動力となり、 日本が世界の大国として活躍するための基礎を築くなど、大きな貢献をしてき た。それから半世紀を経て行われつつある今回の大学改革は、法人化によって 国立大学それぞれの自己責任をより一層明確化し、その自主性・自律性によっ て教育研究の高度化と国際的レベルにおける発展を可能とすることを目指して いる。  今回まとめられた最終報告は、国立大学法人化についての基本的な枠組であ り、全ての内容を書き込んではいないが、全体として見るとき、21世紀の国 際的な競争環境下における国立大学の進むべき方向の制度設計として同意でき るものになっている。国立大学協会は、この最終報告を基に法人化の準備に入 ることを決定する。  文部科学省をはじめ政府においては、各国立大学が混乱なく国立大学法人に 移行し、自主性・自律性を十分発揮しながら日本の高等教育と学術研究の更な る発展に大きく寄与していけるよう、最大限の誠意ある適切な対応をしていた だきたい。特に法人化後においては、各国立大学の意向と自主性・自律性を十 分に尊重し、各大学が個性の輝く大学としてより良い発展をするよう、財政面 を含め支援の充実を強く要請する。  なお、国立大学の教職員の身分の問題については、これまでの経緯もあり、 教職員が安心して職務に専念できるよう、法人への移行段階も含め十分配慮す ることは、文部科学省の責務であることを付言しておきたい。 4. 国立大学協会の今後  国立大学協会は、国立大学の意義ある法人化を目指して、今後の法制化作業 も含めて、あらゆる段階の諸側面についても引き続いて意見を述べ、真に自主 性・自律性をもてる国立大学法人が実現するよう努力を続けてまいりたい。  昭和25年7月に発足した国立大学協会は、国立大学が法人化することによ り、今後は各国立大学法人の全体としての連絡調整や共通課題への対応等の機 能をこれまで以上に適切に担うことが見込まれるため、我が国の高等教育・学 術研究の発展に寄与する協会として生まれ変わるべく、その在り方について早 急に検討を開始したい。 」 ---------------------------------------------------------------------- [88-1-2] 報道記事 ---------------------------------------------------------------------- [88-1-2-1] 4/20 北海道新聞:「法人化」国大協が承認/一部に異議 準備へ特別委設置 2002年4月20日朝刊 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/419-kdk-news.html#doushin 「全国の国立大学で組織する「国立大学協会」(会長・長尾真京都大学長、全 国九十九大学、うち道内七大学)は十九日、東京都内で臨時総会を開いて、文 部科学省の調査検討会議が三月にまとめた、国立大学の独立行政法人化の最終 報告の受け入れを、賛成多数で承認した。国大協が「独立行政法人化」を認め たのは初めて。 ただ、総会では鹿児島大や静岡大など一部の大学から「研究教育の自主性・自 立性を犠牲にする」と受け入れ反対や疑問の意見が出たため、異例の挙手によ る採決となった。 二○○四年度予定の法人化に伴い、国大協自体は自然消滅するとして、今後の 組織の在り方と、法人化に対応するための特別委員会を国大協内にそれぞれ設 けた。総会後の会見で、長尾会長は三年後の法人化に向けて全力で準備を進め ると決意表明をする一方で、「今後、どんな問題が起きるのか不透明なので、 一年後に無理があると分かったら(延期などを)意見表明することもあり得る」 とつけ加えた。 この承認に対して、北大教官有志でつくる「独法化問題を考える北大ネットワー ク」世話人の一人、辻下徹・同大大学院理学研究科教授は「九○年代、大学間 の予算格差の拡大や、行政指導の強化が進み、大学全体が疲弊した。それをさ らに徹底する独法化で大学は活力を失う」と受け入れ方針を批判した。その上 で「国立大学法人法案を審議する国会は国大協の意見に左右されず独自の判断 を示してほしい」と話している。 」 ♯(取材ではもう少し色々と言った: 「日本社会は、産・官・財界からの重役群が采配を揮う企業様態の大学を本当 に望んでいるのでしょうか。 高等教育予算の実質的削減、予算配分権を利用した行政指導の強化が進行し、 大学間の予算格差が拡大した90年代の「大学改革」で日本の大学全体が疲弊 し士気が低下しているように思います。その方向をさらに徹底する独法化で大 学は止めどなく活力を失っていくことが心配です。「独立行政法人化で何も変 らない」ことを懸念する声が官僚にあるようですが、独立行政法人化の持つリ スクについて余りに楽観的な見方ではないでしょう。 各大学は、官と二人三脚で独立行政法人化を進めてきた任意団体に過ぎない国 大協幹部に盲従することなく、当事者として責任ある判断を示してほしい。ま た、国会は超党派で国立大学法人制度の是非を議論し国大協とは異る見識を示 して欲しい。」) ) ---------------------------------------------------------------------- [88-1-2-2] 4/20 日経 国大協、法人化を了承/異例の挙手採決 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/419-kdk-news.html#nikkei 『日本経済新聞』2002年4月20日付 国大協、法人化を了承 国立大、2004年移行へ 異例の挙手採決  国立大学協会は十九日の臨時総会で、法人化の基本制度をまとめた文部科学 省の最終報告を賛成多数で了承した。長尾真国大協会長(京大学長)は「今回 まとまった法人像は二十一世紀の国際的競争環境下で国立大学の進むべき方向 としておおむね同意できる」とのコメントを発表した。国立大は二〇〇四年を メドに法人化に向け改革に踏み出す。  総会では地域間格差や現状での経営体力の格差などを巡り、地方大学から不 安の声が多く出た。また、予算配分システムの根本ともなる各大学が策定した 中期計画を「文部大臣が認可する」としている点について、大学自治の観点か ら疑問視する声もあった。  競争原理の導入を評価し、賛成を表明する学長もいたが、意見を表明するの は反対する学長が多かった。このため、全会一致が原則の国大協としては異例 の挙手裁決を実施、賛成多数で国立大学法人への移行を了承した。  総会後、記者会見した長尾会長は「国立大全体が法人化を決心したことは大 きい。自分の大学を光輝くものにすべく全教員が団結して頑張るスタートポイ ントだと思う」と意義を強調した。  国大協は同日、法人化移行に向けた特別委員会を設けることを決定。各大学 に移行のガイドラインを示すほか、新法人の設置根拠となる新法の内容につい ても検討する。  「格差なお」地方に不安  国大協臨時総会の各大学の意見表明では、地方の大学から「非公務員型」の 身分への不安の声が上がったほか、地域間格差への強い懸念が示された。改革 を支持する大学は「このままでは大学は衰退するだけ」と訴え、現状への強い 危機意識がうかがわれた。  「非公務員型」への不安の声を上げたのは福井大。「産学連携など兼職が可 能という理由は教員なら分かるが、職員まで引きずり込むのは納得できない」 と強く訴えた。  宇都宮大は「長い歴史の中でも地方大は旧帝大との格差に耐えてきた」と指 摘。「旧帝大は自由度が増すかもしれないが、地方はバラ色とは思えない」と 地力の違いがある中での移行に不安を隠さなかった。  地域間格差への懸念は賛成派にも根強く、「やらざるをえない」とした弘前 大も、「今後の法人化特別委で格差問題を取り上げて」と条件を付けた。業績 に応じた予算配分の基となる第三者評価について「合理的評価方法の確立には 時間がかかる」(新潟大)との指摘もあった。  一方、山梨医科大との統合を予定している山梨大は「宝物は新しいことをや る中にある。それを避けていては何も得られない」と意義を強調した。」 ---------------------------------------------------------------------- [88-1-2-3] その他 4/20 しんぶん赤旗:"国立大法人化を準備":国大協総会で会長談話採択 批判も続出 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/419-kdk-news.html#akahata 4/19 Nikkei Net :2004年度からの国立大法人化を了承・国大協 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/419-kdk-news.html#nikkei 4/19 共同通信:文科省の法人化案受け入れ 国大協、移行準備が本格化 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/419-kdk-news.html#kyoudo 4/19 NHKニュース:国大協 文科省最終報告に同意 法人化に向け準備へ http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/419-kdk-news.html#nhk 4/19 産経新聞速報 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/419-kdk-news.html#sankei 4/19 asahi.com :国立大法人化、国大協会長が「おおむね同意」と談話 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/419-kdk-news.html#asahi 4/19 Mainichi Interactive :国立大学協会:臨時総会で独立法人化を了承 04年度にも実施 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/419-kdk-news.html#mainichi ---------------------------------------------------------------------- [88-1-3] ◆総会での学長発言(記事より)(ML university より) 弘前:  (日経)「やらざるをえない」「今後の法人化特別委で格差問題を取り上げて」 岩手:  (朝日)「拙速だ。東大・京大を中心とした政策の中で動かしてほしくない」  (赤旗) 談話には賛成だが、旧帝大・大都市大学と地方大学の格差を問題にす る意見 新潟:  (日経) (第三者評価について)「合理的評価方法の確立には時間がかかる」 宇都宮:  (日経) 「長い歴史の中でも地方大は旧帝大との格差に耐えてきた」 「旧帝大は自由度が増すかもしれないが、地方はバラ色とは思えない」  (赤旗) 談話には賛成だが、旧帝大・大都市大学と地方大学の格差を問題にす る意見 千葉:  (赤旗)「教職員の非公務員化は将来の民営化につながるのではないか」 山梨: (日経)「宝物は新しいことをやる中にある。それを避けていては何も得られ ない」 静岡:  (北海道)「研究教育の自主性・自立性を犠牲にする」 名古屋:  (赤旗)「非公務員型の選択は調査検討会議連絡 調整委員会でも唐突に出て      きた。財界や私学の委員の中で反対意見は通らなっかた」 滋賀: (朝日)「報告から大学の自治は読み取れない」 (赤旗)「非公務員とするなら大学自治を保障する規定が必要」 富山: (共同)「効率化優先で基礎的な学問は守れるのか。地方大は苦しい立場になる」 福井:  (日経)「産学連携など兼職が可能という理由は教員なら分かるが、職員まで引      きずり込むのは納得できない」 宮崎:  (赤旗)「全学教員の意見を聞いて参加した。競争原理を知的生産の場の大学に      導入することに強い反対がある」 鹿児島:  (毎日)「独立法人化は大学の自主、自律に対する規制強化につながる」  (共同)「中期目標を文科相が認可することになっており、大学の自主、自立が失     われる」  (赤旗)「独法化で、中期目標、業績の数値化、評価結果の予算への反映というサ    イクルに 組み込まれ、規制強化になる。学問の自由、大学の自主性を失う」  (北海道)「研究教育の自主性・自立性を犠牲にする」 学長の一部:  (NHK)「法人化は大学の教育や研究の評価が大学の予算に反映され、小規模な地方     大学に不利だ」 ---------------------------------------------------------------------- [88-1-4] 独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局 2002.4.18 ---------------------------------------------------------------------- [88-1-4-1] 国大協臨時総会は「検討結果」を了承できない2002.4.16 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/020416seimei.htm 「2002年4月1日に国大協の設置形態検討特別委員会は、「最終報告「新しい 『国立大学法人』像について」の検討結果」と題する文書を作成した。この文 書は、4月12日の臨時理事会に提出され、そこで「大筋で了承」されたと言う (『日本経済新聞』4月13日付)。4月19日の臨時国大協総会は、この文書とそれ を「了承」した臨時理事会の立場を検討する決定的に重要な場となる。 この文書の内容は以下にみる通り、国大協の従来の立場と照合してみても、極 めて問題の多いものである。臨時総会では、この文書を批判し、国大協の立場 の明確化をはかることが強く求められる。 一、「総評」について 「検討結果」では、「最終報告の法人像は、(中略)国立大学におおむね適合的 な法人像になっている。」とする。しかし、最終報告は独立行政法人通則法の 基本的枠組みをそのまま踏襲するものであり、「通則法にもとづく法人化に反 対」という国大協の従来の立場から見て、どうして「おおむね適合的」と言え るのか理解に苦しむ。この問題は、憲法23条の「学問の自由」と大学自治の根 幹に関わるものであり、「おおむね」などという曖昧な表現で解消しうる論点 ではない。 また、「検討結果」は、「最終報告」が「高等教育・学術研究等への効果的で 十分な支援について責任が問われる」としていることをもって、「国の責任が 明示されている。」と評価するが、「最終報告」には、具体的に高等教育予算 をどうするのか、まったく明言されていない。それをどうして「明示されてい る」と読むことができるのだろうか。 そもそも、中間報告に対する国大協の「意見」(2001年10月29日)においては、 「国と大学の関係」について、「国の管理を最小化するといった観点が必要」 と述べていた。「最終報告」を全体として見れば、構造改革の一環として、産 業競争力強化のために大学を利用し、むしろ「国の管理」を最大化することが 目的となっている。これを批判しない「検討結果」は、国大協の基本的見地さ え裏切るものとなっている。 二、運営組織 「検討結果」は「最終報告」が経営と教学の一致をうたっている点を評価して、 「一定の配慮がなされている」としている。しかし、この運営組織案は、評議 会から経営権限を剥奪することを目的としたものと見なければならない。加え て、運営協議会が「主に経営に関する」と「主に」が追加され、教学にも介入 する余地を作ったことを過小評価している。さらに、国大協の中間報告に対す る意見では、「運営協議会」が「経営」事項として審議する事項を、「明確に 列挙して特定すべきである」としていた。そうした限定が最終報告では実現さ れていないばかりか、教学への容喙も可能となっていることを、いったいどう 考えるのか。 三、非公務員型 「検討結果」では、「非公務員型の長所」について縷々語っているが、非公務 員化が教職員の身分に関わるものであるだけでなく、教育公務員特例法の不適 用を最大の目的としていることに触れていない。さらに、「非公務員型で任期 制を広く導入するための法整備や労使関係を円滑に処理する仕組み、国家公務 員に準じる公共性の確保、職員身分の切り替えに伴う各種の代替措置や移行の 問題など、なお検討課題が多い」としている。そうであるのなら、第一に、こ のままの形態では非公務員型は不可能であると結論するのが当然である。第二 に、ここで国大協は任期法の三類型をこえて任期制を大々的に導入する立場に 移行している。第三に、非公務員化の問題は、国立大学にとどまらず、旧国研 の非公務員化に道を開くと同時に、教特法が事実上準用されていた私立大学の 自治にも決定的な影響を与えることが看過されている。 四、教員等の人事 「検討結果」は教員等の人事について、国大協が教特法に代わる法令化を求め てきたとしている。しかし、「最終報告」では法令化について全く語っていな いのであるから、この点でも国大協の意見は容れられていない、と解すべきで ある。また、学部長等の選考について「教員と同様の基準・手続き等を採りう ると解する」と言う。「解する」というのは希望的観測であろうか、それとも 「落し所」を探る姑息な手段であろうか。 五、学長選考 この点では、「検討結果」は「ある程度大学ごとの工夫の余地も残すものと理 解する」としているが、文部科学省が「工夫の余地」を認めることの保障はな い。大学構成員による学長選挙を極力排除しようとする最終報告は、ついには 「意向聴取対象者」なる嗤うべき概念まで生み出している。学長の解任につい ても、文科相の発議によって解任手続きが開始されることに全く警戒心がない ことに驚かされる。 六、目標・評価 中期目標については、「最終報告」では、「文部科学大臣」が「定める」とし ている。「定める」というのは、文言の上でもまたスキームの点からも通則法 そのままであり、どのような限定を設けたとしても、国大協の立場から見て到 底容認できるものではないはずである。本来、国大協の立場は「各大学が「作 成」し、文部科学大臣が「認可」するという方式を採用すべきである」(中間 報告への意見)であった。私たちは、もとより「認可」という形態を容認する ものではないが、よしんばその立場を取ったとしても、文科相が「定める」と いう最終報告は、国大協の立場と矛盾することは明らかである。 ところが、「検討結果」では「かなり大学らしい特徴が出るようになった」と 評価しており、全く理解できない。国大協の中間報告に対する意見では、「学 術研究と高等教育の特性にさらに配慮していく必要がある」と述べていたが、 国大協は、最終報告ではいかなる「配慮」によって「大学らしい特徴」が出る ようになったと評価するのか明示する責任がある。これは「運用上の考慮」に よっては解消することのできない根源的な問題である。 七、財務会計 「検討結果」が言うように、「最終報告」には、「高等教育や科学技術・学術 研究に対する公的支援を拡充する」具体的な方法は書かれていない。具体的な 方法なしの「口約束」だけでは、法人化を受け入れる論拠となりえない。そも そも、国大協の中間報告に対する意見書では、財政的基盤の問題を「法人化の 前提となるべき」ものと述べていた。「前提」が実現されていないのだから、 「法人化」も不可能というのが論理的帰結である。 おわりに 総じて、「検討結果」では、一方で、国大協のこれまでの立場から見て、問題 である点を種々列挙しているにもかかわらず、結論のみが「おおむね適合的」 という容認路線となっている点が不可解と言う他ない。「検討結果」は、はじ めに容認を前提として、あとから看過に看過を重ねた「論拠」を連ねるという 形式を取った摩訶不思議な文書である。このような文書を国大協として認める などということはありえない。」 ---------------------------------------------------------------------- [88-1-4-2] 「「国立大学法人」は「民営化」への対抗案か?」2002.4.18 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/020418syutokenminwika.htm 「「国立大学法人化」(=独立行政法人化)がうまくいかなければ「民営化」 になる、という議論が一部に流布している。かなり以前から、文部科学省サイ ドはそういう”情報”を流してきた。だが、こうした議論は、根本的には「独 法化」を飲ませるための”脅し”の議論に他ならない。  今、国大協臨時総会を前にして、この”脅し”の議論を論破しておくことが きわめて重要になっている。  結論から言えば、大学側が「独法化」、具体的には「最終報告」の線を拒否 すれば、即「民営化」の線で確定する、というのは錯覚にすぎない。 その上、以下に示すように、こうした「ストーリー」には現実性がない。  第一に、「独法化」構想の中心的な推進勢力である経済産業省の基本戦略は、 科学技術開発のために莫大な国家資金を投入し、国家的プロジェクトとしてこ れを推進することにある。彼らにとって、現在の国立大学が「民営化」されて、 自由な運営をするようになることがよいのかどうか、答えは明白である。彼ら には、独法で国家統制が効き易い形にしておくことがむしろ必要なのである。 経済の活性化に向けて、すでに独法化された国研と国立大学(法人)+αを総 動員する、という構想からすれば、「民営化」はピント外れということになろ う。 また、独立行政法人化問題の端々にあらわれる、日本独特の”国家主義”的 な「思惑」からも、また、文部科学省の「省益」からしても、「民営化」路線 が容易に進むとは思われない。  第二に、「民営化」を具体的にどのように実行するのか、これはむずかしい 問題である。4月3日の経済財政諮問会議で、国立大学の法人化について1年前 倒しの要求が出たように、「独法化」を進める勢力は急いでいる。こうした 「焦燥感」にかられ、大学に対する「奇跡頼み」の人々にとっては、今から 「民営化」で出直しということになれば、さらに何年かかるか分からず、彼ら の側でもそのような路線を本気で考えてはいないはずである。 いずれにせよ、仮に「民営化」の線が出てきたら、大学側がこれにまた反対 すればよい、というのが結論である。  今後の大学側が取りうる道は、簡明には、次のようになろう。  まず、「独法化」は大学として受け入れられない。ついで、「民営化」の構 想が出るなら、それにも反対する。もちろん、前述したように「民営化」の構 想自体、簡単に具体化できるわけではない。そのため、「民営化」論に対して は、その内容に即して批判することも必要である。 いずれにしても、大学側は、大学自身の論理でこれを判断するということが 核心となる。 さらに、「独法化」を阻止しうるほどの力を大学側がつくれるなら、「民営 化」に対してもそれ以上に強く大学側の力が結集されることになろう。そうな れば、その後に提案されるものは、今とはずっと違ったものになると考えるの が自然である。  逆に言えば、「民営化」の”脅し”に屈服して大学側が「独法化」(=「最 終報告」)に従うならば、その後により悪い意味での「民営化」も入りやすい。 大学側が”脅し”に屈服せずに、「最終報告」を葬るなら、それだけ変な「民 営化」も入りにくいのである。」 ---------------------------------------------------------------------- [88-1-5] 北大教職員有志より北大評議員への要望とメッセージ2002.4.17 ♯(4月17日の北大評議会に最終報告了承の可否を議題とすることを求める 北大12部局38名の教職員有志の要望とメッセージ。41名の評議員に送付) ----------------------------------------------------------------------                   要望  日本の国立大学制度を廃止し国立大学法人(仮称)制度を作ることを承認す るかどうかの決断を国立大学は迫られています。しかし、国立大学法人(仮称) 制度の設計図となる調査検討会議報告は、今現在の社会情勢の影響を強く受け ており、世紀に一度とも言える大改革に必要な長期的視野を欠いています。大 学制度の未来を左右する重大な意思決定において、独自の意見を表明すること なく国立大学協会の判断に従うことは、「基幹大学」を標榜する北海道大学に 相応しいものではありません。  本日17日の評議会では、最終報告承認の可否を議題とし、法人化検討WG の意見を鵜呑みにせず、基幹大学の最高意思決定機関に相応しい実質的審議を 展開したのち表決し、学長が北海道大学の判断を19日の国立大学協会臨時総 会で表明できるようにすることを望みます。  また、評議員という立場は北海道大学教職員から負託されているものである という事を尊重され、当該問題を議題とせずに不作為に最終報告を了承するよ うなことのないよう強く要望します。  なお、全教職員の生活基盤に関わる議題である以上、審議詳細を全教職員に 知らせる責務が評議会にはあります。発言者名を記した詳細な議事録を公開し、 当該審議結果に対する各評議員の責任を明確にして下さいますようお願い致し ます。             評議員へのメッセージ 「賛成にせよ,反対にせよ,なぜ「北大」として意見表明しない(出来ない)の か不思議でしかたがありません.北大構成員に意見を聞く作業をしないのもと ても不思議です.」 「職員には情報が流れないし、意見を言う場もない。独法化で管理強化、競争 激化、教育軽視が進むだろう。身分が一方的に国家公務員を剥奪されようとす るのは、全く納得できない。他省庁と比べ昇格がずっと悪く、その果てに非公 務員化とは許せない。裁判にでも訴えたい気持ちだ。」 「北海道大学の評議会は、通則法に基づく国立大学の独立法人化には反対であ るとの意志表示を行ったが、その後今日に至るまで、この決定を変更したこと はない。したがって、19日の国立大学協会の臨時総会において審議される、 (通則法に基づく)国立大学法人像に関する最終報告に対しては、明確に反対 の意志を表明することが北海道大学の最高意志決定機関としての道理であり責 務でもある。」 「評議会の意志決定を議決という形できちんと行ってほしいし、それが評議会 をきちんと機能させる事に必須だと思います。これまでも非常に多くの慎重な 審議が行われていることを疑うわけではありませんが、節目の時としては、こ れまでの審議の総括としての議決(全員が同じ意見に集約される必要はありま せんが)をしてほしいと思います。」 「有事法制化問題と同様、わが国の行く末がどうなるか憂慮に耐えません。独 法化に対しての意見表明を当事者がしないで誰がしてくれるのでしょうか。」 「個別大学の生き残りに汲々とし、日本の学術と高等教育の発展の見地から政 策動向にコミットしようとしない国立大学に存在意義などありません。独法化 は、国立大学をまさしくそうした機関へと変えていくものです。国立大学を構 成員がコントロールできる今、北大は独法化に対する学内の意思を確かめ、そ れを社会に表明すべきで す。」 ---------------------------------------------------------------------- [88-1-6] 北大教職員組合三役・北大学長会見4/9 記録より http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/htm/gakuchokaiken0409.html 組合:最終報告に対する考え、対応について伺いたい。 学長:国大協を通して大学の意見を反映していきたい。北大の意見を出すこと    はしない。国の方針であり止むを得ない。法案化の段階で大学の裁量、    大学の自主性・自立性の余地が残されることを期待している。 組合:北大の最高責任者及び研究者として最終報告をどのように評価している のか。 学長:中期目標は大学が原案を作るから文科省も配慮・尊重してくれるだろう    。結局は大学がきちんとした中期目標を作れるかどうかの力量が大事。    通則法のスキームはまぬがれなかったが、大きな流れの中でこのような    結着になったのは止むを得ない。 組合:最終報告のスキームは通則法そのものだ。大学人がどう発言していくか    が大事だ。 学長:民営化ではない。国立大学は税金で成り立っているから、国が責任をも    つ通則法の大枠がある。自主性・自立性ばかり言うと大学は自分でやれ    と国から言われる。 組合:教職員の非公務員化、大学の管理運営方式については。 学長:国大協の委員は「公務員型」を主張したが少数で受け入れられなかった    。非公務員型になっても、従来の身分保障は貫かれる。教特法の精神は    大学の就業規則で定めることになる。非公務員化で「兼業」のメリット    も否定できない。止むを得ない。 組合:制度が大きく変わろうとしている。毅然たる態度が必要だ。 学長:大学の管理運営に学外者が参加するが、現在でも運営諮問会議に学外者    が参加している。大学教官だけで大学を経営できるのか。経営のプロ、    外部の意見も必要。問題はどういう人を入れるかだ。大学の自主性が生    かされるようにすることが大事。 組合:最終報告のなかで、良いと思う点はあるか。 学長:この報告のめざすところは教育の活性化だ。国立大学は、学生サービス    では私大より劣っていた。コスト意識、事務職員の専門性等も弱かった。 組合:学内の機関や国大協等で最終報告の問題点を指摘し、毅然たる態度をと    る必要があるのではないか。 学長:道内7大学長会議で出された要望は国大協理事会に提出する。 組合:最終報告に対する国大協の態度が非常に重要。よって4月19日の国大協    臨時総会で国大協がどういう判断をするか注視している。また、学内の    教職員へ説明会等を検討してほしい。 学長:説明会の要望は、要望として承った。 組合:学長の考え、対応は不満だ。50年に一度の大改悪が行われ、大学の自治    ・民主主義が崩壊しようとしている。 学長:止むを得ない部分もある。大学の自治が崩壊しないようにしていく。 組合:教特法の対象からもはずれることになる。 学長:教特法ははずれても、憲法ははずれない。学問の自由は守れる。国大協    の委員は頑張ってくれた。 ---------------------------------------------------------------------- [88-1-7] 声明 4/9-4/17 4.17 岐阜大学地域科学部教授会の「見解」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3822.htm 4.17 京都大学職員組合の総長宛要望書 http://web.kyoto-inet.or.jp/org/ku-union/topics/ 020419kokudaikyo-yobou/020419kokudaikyo-youbou.html 「・・・・私達職員組合は、今回の国立大学協会臨時総会という重要な場にお いて、長尾総長 は文部科学省の政策をとりまとめる立場で行動するのではな く、京都大学の代表・総 長の立場で、京都大学とその職員の意見を明確に主 張していただきたいと強く要望い たします。京都大学のみならず、全国の各 大学で起こっている悲鳴にもにた切実な意 見や要求に耳をかさず、大学と大 学人の意見を代表しようとされないのであれば、長 尾真総長は国立大学協会 会長の職を辞すべきであると考えます。」 4.16 林 良博(全国農学系学部長会議前会長)「新しい『国立大学法人』像に ついて」に対する見解 http://vert.h.chiba-u.ac.jp/kanko/buchokaigi/kenkai.htm 4.16 新潟大学職員組合の学長と評議員宛要請書 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/netre4135.htm 4.16 北海道大学教職員組合から北大評議員への申し入れ http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/htm/mousiire0416.html 4.15 奈良県国立大学付属学校園教職員組合から奈良教育大学長・奈良女子大 学長へ要望書提出 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/netre4123.htm 4.15 東京学芸大学教職員組合執行委員会から東京学芸大学学長へ要望書提出 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3795.htm 4.15 千葉大学教職員組合執行委員長から千葉大学長へ要望書提出 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3795.htm 4.12 東京大学職員組合から33大学教職組委員長へのアピール http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3780.htm 4.12 hu-news 02-04-12「国立大学協会の意見書10/29が全否定された今す べきことは何か」 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/doc/bb-2002.html#01a29-kdk 4.12 東京大学職員組合による4・12国大協理事会への要請行動 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/020412yousei.html 4.12 東京大学職員組合 東京大学長への要望書 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3779.htm 4.11 福井大学教職員組合 独立行政法人化・非公務員化に反対し、「最終報告」 の撤回を求める決議 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/netre4125.htm 4.11 名古屋大学職員組合 名古屋大学長への要望2002.4.11 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3782.htm 4.11 独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局:4.19国大協臨時総会へ の提言 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3761.htm 4.10 西島勝一(東大生産技術研究所技術専門官)「職員からみた国立大独法化 「最終報告」長期展望もてる研究危うく」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3777.htm 4.09 国立大学独法化阻止全国ネットワークから国大協理事と全学長への手紙 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/letter0204.html 4.09 北大教職員組合・中村睦男北大学長会見 http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/htm/gakuchokaiken0409.html 4.08 鹿大教職員組合・田中鹿児島大学学長2002.4.8会見 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3751.htm 4.09 首都圏ネット:3・6最終報告案から3・26最終報告への変化の本質: 分析 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/36-2326bunnseki.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [88-2] 独立行政法人化関係の意見・論説等 ---------------------------------------------------------------------- [88-2-1] 長尾 眞「国立大学の法人化」 IDE(民主教育協会)2001年12月号 <「国立大学法人」のすがた> P2〜4 「最近,1343年に創立されたイタリア4番目に古い伝統をもつピサ大学の学長 ルチアノ・モディカ氏と話す機会をもった。氏はイタリア大学長会議の議長と しても精力的に活躍している数学者である。イタリアの大学もご多分にもれず 数年前から大学がオートノミーをもつように改革されたという。予算は国から 大枠でもらい,人件費・研究費に自由に割りふって使えるようになっている。 コンソーシアムを形成するなど,産学協力も10年前には考えられなかったよう な状況で,大学間での競争も進んでいるようである。イギリスはもちろんのこ と,フランスやドイツでも産学協力はますます盛んになり,とくにイギリスな どでは教育についても,社会人教育などをふくみビジネスとしての観点がます ます強まっている。中国などでも大学が積極的に会社を設立するなど,同様の 方向へ進んでおり,世界の主要国の大学は急激に変化しつつある。  こういった方向への変化は是認するとしても,多くの大学学長はその行きす ぎを心配していることも事実である。モディカ氏の話では,イタリア政府はIT やバイオ,・・・・・に力を入れる方針で研究費を出しているが,大学から自 由な発想で種々のプロジェクトを申請しても,これは国の重点政策になってい ないからといって,なかなか認められないので,広く基礎研究に研究費を出し たうえで,重点分野に投資するという考え方であるはずだと抗議しているとい う。日本の状況とそっくりなのに驚かされた。  国立大学の法人化の問題が政府の行財政改革の一貫として大幅な国の定員削 減という動機から出てきたことは,国にとっても国立大学にとっても不幸なこ とであった。国立大学協会が,国の定めた独立行政法人通則法は,大学の社会 に対して果たすべき役割,使命,機能からして,全くそぐわないものであると して,反対したのは当然である。これは自民党の文教部会でも認識するところ となり,約2年間にわたる種々の立場からの議論とやりとりによって,独立行 政法人通則法とはかなりちがった,これからのあるべき大学の姿に少しは近づ いた枠組みを「国立大学法人」として描きだすところまできた。  文部科学省の調査検討会議がとりまとめた「新しい「国立大学法人」像につ いて」(中間報告)がそれであるが,この会議には種々の異なった立場の人た ちが参加していたため,妥協の産物とならざるをえず,国,大学,経済産業界 のいずれにとっても不満の残るものとなっている。国立大学改革の主眼点は, 大学に自主性・白律性を持たせ,厳しい競争的環境のなかで切磋琢磨させるこ とによって活性化し,よりよい発展をさせるところにあると考えられる。しか し中間報告は,国立大学に対する不信感が色濃く出たものとなっており,かな らずしも大学の自主性・自律性を十分に保障するものとはなっていない。場合 によっては,中期目標,中期計画によって大学に対する国側のコントロールが 行なわれることになるかもしれず,その運用の仕方によっては大学の自主性・ 自律性が実質上保てなくなる可能性もある。国,大学,社会の高等教育に対す る見識が問われるところである。この中間報告には,大学というものの本質か らみたときの問題が残っているし,実際の運用という点から心配なこともあり, 今後さらに詳細を詰めてゆく必要がある。  大学が自主性・自律性を獲得するということは,同時に多くの危険性を背負 いこむことであり,われわれは当然のこととして自己責任を負う覚悟をしなけ ればならない。どんなシステムも長所・欠点をもっており,やってみなければ わからない部分は多くあり,進みながら欠点を補い,長所をのばしてゆくとい う考え方をすべきであろう。国立大学法人を活性化し発展させてゆくのは,国 の施策における考え方とともに,われわれ大学人すべての自覚と努力にかかっ ているのである。学問の自由,大学の自治という立場から,中間報告を厳しく 批判し,激しく反対する大学人もいるが,これまでの日本の国立大学の実態を われわれ自身が真撃に反省し,国立大学の社会的公共的責任を十分に自覚し, これを実践に移してゆくことをせずに,いわば教条的に反対を主張しているだ けでは,社会はそれを受容せず,大学を破滅に導いてゆくだけであろう。  大学の姿はその枠組みできまる面も大きいが,その実質は国や社会と大学人 との力関係によってきまるものである。学問の自由や大学の自治は与えられる ものでなく,学問研究と教育という行為から必然のものとして,内発的な要求 として出てくるものであり,大学人の不断の努力によって獲得し,保持しつづ けられるべきものであることを,ここでもう一度よく認織しなければならない だろう。国立大学法人法の枠組みが欧米の国々のものに類似したものとなって も,それを運用してゆく大学人や,行政当局,産業界,さらには社会全体がそ の実賢をつくって行くのである。その点では,学問を築きあげ,学問を大切に し,また尊敬してきた数百年の伝統をもつ欧米の大学と社会に一日の長がある ようにみえる。  いずれにしても,一般に制度というものは国民性に合ったものでなければ, いかに良い枠組みをつくっても,うまく機能しない。われわれは日本人の国民 性に合った形式と実質をもち,健全な発展をしてゆくであろう大学の姿を,今 後とも追求してゆく必要がある。  日本には高等教育・研究政策がない。したがって時の社会的・政治的な圧力 によって具体的な施策がゆれ動き,長期的にみると矛盾したものとなってしまっ ているという指摘は正しい。しかし文部科学省が高等教育・研究政策を全く持っ ていないわけではないだろう。それを明示的に高等教育の世界,社会に対して 示していないがために,これを公に議論することができず,結局あちこちで矛 盾が生じ,また歪んだものとなってゆくのである。  こういったなかで,去る6月に唐突に出されたいわゆる遠山プランで,国立 大学再編統合やトップ30大学,産業界へ協カする大学といった施策が鮮明に 打ち出された。このプランは,文部科学省としてはこれからの日本の高等教育・ 研究政策の方向を示したつもりのものなのであろうが,これはあまりにもお粗 末なものでありすぎた。しかもこれが公の議論のたたき台として出されたもの であればよかったのであるが,文部科学省の決定事項として出されているとこ ろに問題があるといえるだろう。また政策としてはあまりにも短期的な施策に なり下がっており,しっかりとした長期的ビジョンに欠けるものであり,これ では日本の将来が危ぶまれると言わざるをえない。日本の将来を支える高等教 育・研究政策をこれから真剣に検討する場がもうけられるべきであろう。」 ♯(註:12月に転載許可を要望したところ、著者の了承は得たがIDE 編集部 からは3月以降という条件が付けられた。転載許可の依頼状の一部: 「教条的に反対することが大学を破滅に導く危険性と同じ程度に、日本社会が 本当に必要としているものを考えずに、現在、圧倒的権力を持つ政官集団の要 求に対し、毅然とした批判的姿勢をとらずに譲歩し続けることには、大学を破 滅に導く危険性があるだけでなく、日本社会そのものを劣化させるものと、と 思っています。 私を含め現場の者は独立行政法人化に教条的に反対しているのではなく、「国 立大学の社会的公共的責任を十分に自覚し,これを実践に移してゆく」ことが 著しく困難になっていくことを実感として感じているからです。教条だけで激 しく反対し続けることはできるものではないと思います。」) ---------------------------------------------------------------------- [88-2-2] ◆本間政雄「国立大学に経営力を/形だけの改革にしないために」 (京大事務局長)論座2002年5月号特集大学の再生法 http://www3.asahi.com/opendoors/span/ronza/index.html ---------------------------------------------------------------------- [88-2-3] 読者から「独立行政法人大日本帝国陸海軍!」2002.4.19 「警察と自衛隊は独立行政法人になりうるであろうか。無論ありえない。採算 性を重視して、戦車や戦闘機の稼動率を高めるために、あちこちで紛争を起こ されてはたまったものではない。でも独立法人化した、教育、医療機関が、あ ちこちで騒動をおこして、存在意義を誇示したらどうなるか、こっちは国民各 位は心配していないのだろうか? 大学は学生の就職が良くないと立ち行かない。教員ももう公務員ではないので、 また給与査定もあるので,今までのようにはいかない。で採用する企業に迎合 する必要がでてくる。教授は企業出身者が優先される(無論、現在の企業内研 究者には非常に優秀な人が多く、機材や資金が大学よりはるかに良いので、単 に企業出身であるからという意味ではない。小生の父も企業の研究者から教授 になった。)。さらには利益を求めてベンチャーとやらを始めて、理学部だろ うが法学部だろうがみな経営工学だらけになろう。事実、本来の設立目的と離 れた方向での変化は医学系では特に既に顕著である。臨床系学部は事実上臨床 とは縁のない、研究費を貰いやすいインパクトファクターの高い遺伝子工学一 色となっている。そして最後に、均等割りの国家予算配分ではなく、”競争原 理”とやらの導入があれば、実力のない大学ほど決定に影響をもつ官僚経験者 が教授に採用され、幅を利かすのも必定であろう。あちこちで、官僚的発想 (自己の研究対象の深化ではなく、コンセプトやらビジョンやら制度改革ETC の横行!)で、既に会議バブル状況(独立関係の会議の経費は全国で数押wN円 はかかっていよう。時間は考えたくないほど!)が発生しているが、ますます 酷くなるのは目に見えている。 昭和初期の軍縮に危機感を抱いた軍部が、その存在意義を誇示するためにおこ なった独り善がりの行動が226事件であり、これを内部で鎮圧した、統制派 (!)がさらに泥沼の日中紛争、最後は太平洋戦争を引き起こした、あの教訓 はどこにいったのであろう?。 あやしげな”評価”なるものの横行と、”独立採算”という、国家的規模の投 資と必要とする教育と研究にそもそも向かない概念の横行は、結果として、独 立暴走法人化を招くことは必定である。評価に対して報酬を与えるシステムで はよぼどその評価を検討しないと、トンでもない方向に暴走する。ところが智 慧ほど評価の困難なものはないのだ。教育ほど評価に時間がかかるものはない のだ。 そして、シビリアンコントロールを市民監視と翻訳せず、文民統制(本当は文 官あるいは官僚統制としたかったのであろう。)と翻訳する官僚に引っ張られ てできる、”独立”の意味は、市民からの”独立”(そして官僚への従属!) という、肌に粟を生じさせるものなのである。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [88-2-4] 藤田宙靖「国立大学独立行政法人化について」2001.7.15 http://seri2.law.tohoku.ac.jp/~fujita/shigakubu-20010715.html 「私には、国立大学の独立行政法人化の是非をめぐる問題は、二年前とは若干 様 相を異にし、実質上、「従来通りの国の直営方式かそれとも独立の法人化 か」という選択肢の問題から、むしろ、「独立行政法人化かそれとも民営化か」 という選択肢に変わって来ているように思われる。」 「大学人にとっての問題の困難さは、・・・大学の独立性・自律性を強調すれ ば するほど、「それならば民営化しろ」という方向の議論を招き、他方で、 国の財政的支援の必要を強調すればするほど、「それならば、それなりの国の 監督に服すべし」という議論を招くことになる、という二律背反である」 ---------------------------------------------------------------------- [88-3] 文科省意見募集 ---------------------------------------------------------------------- [88-3-1] ◆文部科学省における研究及び開発に関する評価指針(草案)抜粋 http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/020306.htm ♯(4月30日まで意見募集中。約1万字の指針。「評価実施主体の定める選 任方法に従い選ばれた評価者が、評価実施主体の定める評価の目的、方法等に 則り、その専門性を発揮して行う。」とあり、研究者が主導権を持つ評価とは なっていない。また、評価における分野間比較は、学術的見地ではできないこ とを理由に社会的・経済的見地から行うことを提言し、「成果を享受する産業 界、一般の立場で意見を述べられる者や波及効果、費用対効果等の分析の専門 家等の外部有識者」を評価者に加えることを提案。これで、国立大学法人大学 では、経営も評価も学術研究経験のない者が指揮権を持つことになる。なお、 大学教員の研究評価については、大学の特別な性格を配慮することを強調する が、具体的には客観的指標を収集・蓄積し活用することしか提言していない。) ------------------------------------------------------------------------ 文部科学省における研究及び開発に関する評価指針(草案)抜粋 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 研究評価部会 平成14年3月日 第1章基本的考え方 1.4評価システムの構築 ・・・ さらに、独創性、革新性、先導性等の科学的・技術的意義に係る評価(科学的・ 技術的観点からの評価)と、文化、環境等も含めた国民生活の質の向上への貢 献や、成果の産業化等の社会・経済への貢献に係る評価(社会的・経済的観点 からの評価)を区別し、研究開発の特性に応じた適切な評価を行う。例えば、 研究開発施策等の評価において、分野の異なるプロジェクトの比較や、分野の 優先度の設定が必要な場合には、科学的・技術的観点からの評価のみにより判 断することは困難であり、社会的・経済的観点からの評価も重視する。 文部科学省内部部局及び研究開発を行う機関等は、評価システムの運用状況及 び国内外の動向を踏まえ、評価システムを見直す。また、効果的・効率的な評 価を行うため、評価に関する客観的な情報・データ等を収集・蓄積する。さら に、評価は研究開発活動の効果的・効率的な推進に不可欠であることから、必 要な予算、人材等の資源を確実に拡充し、充実した評価体制を整備する。 ・・・ 第2章 共通事項 2.1評価実施主体 評価実施主体とは、評価の実施に当たっての全般的な責任を有するものである。 評価実施主体は、各々の使命や任務に照らし、対象となる研究開発活動の性格、 内容、規模等に応じて、質の高い実効性のある評価が行われるように、具体的 な仕組みを設計する。具体的な評価は、評価実施主体の定める選任方法に従い 選ばれた評価者が、評価実施主体の定める評価の目的、方法等に則り、その専 門性を発揮して行う。評価者が行った評価に基づき、評価実施主体が最終的な 評価結果を決定し、公表するとともに、適切な活用に供する。 2.2評価者 2.2.2評価の観点に応じた評価者の選任 ・・・・ 科学的・技術的観点からの評価においては、評価対象の研究開発分野及びそれ に関連する分野の研究者を評価者とする。社会的・経済的観点からの評価にお いては、評価対象と異なる研究開発分野の研究者、成果を享受する産業界、一 般の立場で意見を述べられる者や波及効果、費用対効果等の分析の専門家等の 外部有識者を加えることが適当である。 2.3 評価時期及び評価方法 2.3.4評価に当たり留意すべき事項 2.3.4.1優れている点の積極的な評価 ・・・・ 評価実施主体は、研究開発の目的・目標を明確にさせた上で、その意義や達成 度を評価することを基本とするが、抽出した評価項目全体を平均的に判断する ばかりではなく、場合によっては優れている点を積極的に取り上げる。また、 失敗も含めた研究の過程や計画外の事象から得られる知見、研究者の意欲等に も配慮する。さらに、被評価者が達成度を意識する余り当初の目標を低く設定 することがないよう、高い意義を有する課題に挑む姿勢を考慮する。 ・・・・ 2.3.4.3客観的な情報・データ等の活用 評価実施主体は、評価者の見識に基づく判断を基本とするが、評価の客観性を 確保する観点から、研究開発分野毎の特性等に配慮しつつ、可能な限り、論文 被引用度、特許の活用状況等の客観的な情報・データ等を評価の参考資料とし て活用する。 ・・・・ 2.3.4.6基礎研究等の評価 基礎研究については、その成果は必ずしも短期間のうちに目に見えるような形 で現れてくるとは限らず、長い年月を経て予想外の発展を導くものも少なから ずある。このため、評価実施主体は、画一的・短期的な観点から性急に成果を 期待するような評価に陥ることのないよう留意する。その際、科学的・技術的 観点からの評価が基本となるが、社会的・経済的観点からの評価を考慮すべき ものがあることに配慮する。 ・・・・ 2.3.5評価方法の見直し 評価実施主体は、科学技術の急速な進展や、社会や経済情勢の変化等、研究開 発を取り巻く状況に応じ、評価項目・基準等を見直す。 2.4評価結果の取扱い ・・・・ 2.4.1評価結果の公表、資源配分等への反映プロセス 評価実施主体は、評価結果を原則公表するとともに、研究開発の企画立案に責 任を有する部門や資源配分等に責任を有する部門に適切に周知する。また、評 価結果が他の評価にも有効であることに留意し、必要に応じ関係部門に周知す る。それらの部門は、評価結果を受け、研究開発施策や機関運営等の改善や、 資源配分等への反映について検討する。その上で、文部科学省内部部局及び研 究開発を行う機関等はこれらの検討結果や反映状況も含め公表する。 ・・・・ 第3章 対象別事項 3.2研究開発課題の評価 3.2.1共通事項 3.2.1.4評価者名の公表における配慮 評価実施主体は、評価者名の公表に当たって、研究者間に新たな利害関係を生 じさせないため、必要に応じ個々の研究開発課題に対する評価者が特定されな いよう配慮する。 第4章 研究開発や機関の特性に応じた配慮事項 4.1大学等における学術研究の評価における配慮事項 4.1.1基本的考え方 4.1.1.4評価の際の留意点 4.1.1.4.2評価の方法 定量的指標による評価方法には限界があり、ピア・レビューによる研究内容の 質の面での評価を基本とするが、評価の客観性を高める観点から、論文被引用 回数、特許の取得状況等の客観的データを収集・蓄積し、これを適宜参考資料 として活用する。 人文・社会科学の研究は、人類の精神文化や、人類に生起する諸々の現象や問 題を対象とし、これを解釈し、意味付けていくという特性を持った学問であり、 個人の価値観が評価に反映される部分が大きいという点に配慮する。 4.1.2対象別の評価方法 4.1.2.3研究者(注)の業績評価 ・・・・ (注)大学等における「研究者」の範囲について 大学等は多様な内部組織から構成されており、各組織の設置目的も、教育、研 究、社会貢献など多元的な要素を総合したものであることが多い。このため、 教員の活動状況もその所属組織によって様々であり、すべての教員を研究業績 により評価される「研究者」として一律に位置付けることは必ずしも適当では なく、教員の中には「教育者」として教育活動により評価されるべき者や、研 究計画の企画等への貢献によって評価されるべき者も少なくない。大学等にお ける教員の業績を評価するに当たっては、この点を十分考慮して、一面的な評 価にならないように留意するとともに、研究業績によって評価する「研究者」 の範囲について適切な考慮が払われるべきである。 ---------------------------------------------------------------------- [88-3-2] 中教審中間報告   http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/020405.htm ---------------------------------------------------------------------- [88-3-2-1] 「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」(中間報告) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/020401.htm ---------------------------------------------------------------------- [88-3-2-2] 「大学院における高度専門職業人養成について」(中間報告) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/020402.htm ---------------------------------------------------------------------- [88-3-2-3] 「法科大学院の設置基準等について」(中間報告) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/020403.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [88-4] ◆情報保護法案 ---------------------------------------------------------------------- [88-4-1] 「情報保護法案の諸問題」のページ http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/kjh/index.html ---------------------------------------------------------------------- [88-4-1-1] 「情報保護法案の諸問題」のページについて http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/kjh/about.html 「「個人情報保護法」問題は、一見すると「個人情報を保護する法律は当然必 要でしょう、何が問題なのですか」と思わせる見かけを作っているため、国民 的議論が湧きにくい厄介な問題です。 プライベートな情報を多量に保持する者は、多くの人に力を及ぼす潜在力を持 ちます。個人情報保護法の当初の意図は、改正住民基本台帳法成立により間も 無く実現する予定の全国民の個人情報電子データベースに潜在する社会統制の 可能性を制御することにありました。 しかし、法案は当初の目的を失念していることに懸念を覚えます。種々の個人 情報漏洩事件をきっかけに、法人や個人による多量個人情報の利用を規制する ことに重点が移ってしまいました。また、「個人情報」という言葉の多義性を 利用し、公人の公的行動に関する個人情報の隠蔽を容易にしたり、あるいは、 インターネット上の言論活動を広汎に規制する可能性も準備されています。 私は国立大学教員として国立大学の独立行政法人化問題に関心を持っています が、政府公報を超えてこの問題を掘り下げて扱う報道がほとんどないことに危 惧を覚え、インターネットを通して独立行政法人化は大学を政府の強い統制下 に置くこと、それは「学問の自由」を「箸の上げ下ろしの自由」に退化させ、 学術研究の多様性衰退による弱体化をもたらすと共に、大学のもつ批判力を奪 うことを訴えてきました。残念ながら、インターネットによる情報流布力はマ スメディアと比較して無に近い現段階では、独立行政法人化政策の危険性を日 本社会は理解するまでに到っていません。 政府に容易に統制される既存マスメディアと異り、インターネットは人類が経 験したことのない種類の自由なマスメディアに成長する可能性を秘めています。 その芽を摘むような動きは人類の進歩を阻むだけでなく、ITに基づく徹底し た統制社会へ人類を導くものです。そのような危険な動きの具体化を注視する ことを目的としたページです。 ---------------------------------------------------------------------- 憲法が保障する自由が社会・経済の混乱に乗じてなし崩し的に消滅しそうな今、 日本国憲法第12条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不 断の努力によつて、これを保持しなければならない」と叫んでいます。 第21条「言論の自由」が個人情報保護法案で危機に曝され、第23条「学問 の自由」は国立大学の独立行政法人化で危機にさらされていますが、巧妙な政 治的煙幕が張られているために、問題点を認識し危機性を警告できる者は当事 者に限られています。そのため「既得権を守ろうとしているのではないか」と いう風に見えてしまうことが、今の日本の危機的様相と言えるでしょう。 また、国立大学独立行政法人化問題では、大手の国立大学は資金面で得する所 もあるためか「学問の自由」喪失への反対の声もほとんど聞こえないように、 個人情報保護法案問題でも、大手のマスメディアは規制対象外に置かれて安心 し「言論の自由」への脅威を警告する声も呟きのようです。このような低レベ ルの政治的操作を受けいれてしまうこと自身、アカデミズムとジャーナリズム の衰退を如実に物語るものです。 願わくば、「学問の自由」と「言論の自由」が直面している未曾有の危機が、 アカデミズムとジャーナリズムの覚醒と復興をもたらさんことを。」 ---------------------------------------------------------------------- [88-4-2] 個人情報保護法案拒否!共同アピールの会Webサイト> 反対の声抜書 2001.5.29 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/ 青木雄二(漫画家) 「・・・「個人情報保護法案」は過去の暗い歴史に逆戻りする危険性を多分に 含んでおり断乎反対しなければなりません。」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#01 朝倉喬司(ノンフィクション作家) 「・・・法のいう「保護」の名のもとに、肥大化した権利主張が横行する“光 景”なども遠望される。」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#02 有田芳生(ジャーナリスト) 「・・・ジョージ・オーエルが書いた『1984年』の世界は、いま私たちの 眼前に訪れつつあるのではないか。」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#03 井上ひさし(作家) 「・・・最近、この国に、あったことをなかったことにする、なかったことを あったことにするという、大きな黒い意思が流れている。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#04 魚住昭(ジャーナリスト) 「・・・今の日本は「鵺(ぬえ)のような全体主義」(辺見庸氏の言葉)に覆 われようとしている。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#05 大谷昭宏(ジャーナリスト) 「・・・なぜ、私たちはそんな不自由な国に逆戻りする道を選ぶのか。なにゆ えに、子供たちに、孫にそんな息苦しい社会を残すのか。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#06 桂 敬一(東京情報大学総合情報学部・教授) 「・・・いま日本では、これらの法制度や規制の仕組みが、名前こそ先進国の それらと同じ表現をとるものの、実質は、学者の無節操、マスコミの不勉強、 国民の市民性の欠如に乗じた狡猾な行政によって、政府の権限の無際限な肥大 化を許す法制度として、なにごとも政府の有権解釈に委ねられる国家規制シス テム―「良民」をお上にすがらせるシステムとして、実現されようとしている。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#09 乙骨正生(ジャーナリスト) 「(マルティン・ニーメラーの詩)・・・ある日ついにナチスは教会を弾圧し てきた そして私は牧師だった だから行動に立ち上がった が、その時はす べてが あまりに遅過ぎた・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#08 最相葉月(作家) 「・・・蓋をあけてみると、いつのまにか言論封殺の手段にもなりかねない悪 法へと変貌している。目的と結果がこれほど乖離した法案があるだろうか。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#14 齋藤貴男(ジャーナリスト) 「この法案の内容が審(つまび)らかになってからというもの、ふと立ちつく してしまうことが幾度もあった。仕事をしている時。家族や友人と談笑してい る時。こんな自由な時間は、もう永遠に失われるのではないかという恐怖に囚 われるのである。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#15 崔洋一(映画監督) 「・・・現状がグラついたら新しい法律を作って(権力にとって)余分なも の、つまり、決して味方でないもの、もしくはそういう方向にやがて変質する であろうものに網をかけてくる……それがこの法案だろ?・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#16 佐野眞一(ノンフィクション作家) 「・・・杜撰で悪辣で時代に逆行する法案の成立は、言論の危機にとどまらず、 日本と日本人が国際的笑い物になることに等しい。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#18 澤地久枝(作家) 「・・・ただ、この言論の自由は天から降ってきたわけではない。守らなけれ ば奪われる。それを知っておく必要があると思うのです。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#19 芹沢俊介(評論家) 「・・・「個人情報保護法案」のようなものが出されることに気持ちの悪さを 感じます。そしてこういう法案が提出される背景に何があるのかが気になりま す。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#21 田島泰彦(上智大学教授) 「・・・「自分たちも免除の仲間に入れろ」などと権力におこぼれを求めるの は止めて、こんな悪法を断じてつくらせないために全力を注ぐことが求められ ていると思う。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#22 武田徹(ジャーナリスト・評論家) 「あらかじめ悪かったものが更に悪い方向に変わる――、そう感じる。個人情 報漏洩で社会に被害を与える可能性が最も高いのは警察や自治体だ。が、法案 はそれらを相手取らずむしろ報道を縛ろうとした。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#25 田中康夫(長野県知事 ) 「・・・大体個人情報保護法という名前が、役人がつけたのか政治家がつけた のか知らないけど、羊頭狗肉という言葉にすら値しないくらいに卑劣な用法だ ねえ。はっきり言えばいいじゃないですか。「記者クラブ制度保護法」って。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#27 田原総一朗(評論家) 「・・・それにしても、法律をつくる側、つまり“権力”にからむ連中たちを、 雑誌ジャーナリズムから遮断して守る。こんな意図みえみえの法律をつくらせ るわけにはいかない。断固として!・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#26 永江朗(フリーライター) 「・・・「個人情報保護法案」のなにがいやかって、それがとことん甘い言葉 でできていることである。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#28 久田恵(ノンフィクション作家) 「この法案を耳にした時、自分の人生を否定されたようないいようもない怒り を覚えた。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#30 日名子暁(ルポライター) 「・・・「個人情報保護法案」が成立すれば、まず、このケースのような弱い 組織、個人が“見せしめ”のために逮捕される。それは私でもあり、あなたで ある。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#31 福田文昭(カメラマン) 「・・・「取材相手の許可なしには情報収集もできなければ、書くことも許さ れない」と法案には高らかに。一切の一切の批判は許さないぞとすごんでいる。 権力者から満面の笑みがもれる。完璧だ。ぱちぱち。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#32 宮崎哲弥(評論家) 「・・・悪知恵だけはよく回り、国民の「良識」を信じない一部の為政者、法 吏はこいつに目をつけた。奴等は「個人情報保護」を謳う法律の中に、マスコ ミ報道を縛る内容を密かに滑り込ませたのだ。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#37 宮崎 学(作家) 「・・・国民のプライバシーをまもることなどにかけらほどの関心はない、ま もろうとするのは、飼い犬のスキャンダルである。このことによる最終的な利 益を享受できるのは官僚である。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#38 宮台真司(経済アナリスト) 「・・・破防法と同じく“抜かずの宝刀”的な形で多くの人間を威嚇するため に使われる可能性が高いんですが、非常に強力な法律です。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#39 森永卓郎(経済アナリスト) 「・・・苦しいときには皆、強いリーダーを求める。しかし、その強いリーダー が必ず行うのは厳しい言論統制、思想統制なのだ。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#42 安田好弘(弁護士) 「・・・私もいろいろと法律を見る機会があるわけですが、これほど乱暴で、 杜撰で曖昧で、しかし国家意思や政策目的がはっきりしている法律はない。極 めて高度かつ確信的な意図によるものだろうと私は思います。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#43 吉岡 忍(ノンフィクション作家) 「・・・権利の主体としての人間の側面をそぎ落とし、責任と義務ばかりの檻 に閉じこめる個人情報保護法案に、だから私は反対する。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#44 吉田司(ノンフィクション作家) 「・・・この法案がもつ“治安維持法”的本質を国民の前に明らかにし、バブ ルをバブルとして葬り去らねばならないと思う。・・・」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/hantaiseimei.htm#45 ---------------------------------------------------------------------- [88-4-3] 米沢泉美「ネットワーカーを直撃する個人情報保護法案」2002/4/8 http://wsf.miri.ne.jp/cntlinfo/resources/networker.html ---------------------------------------------------------------------- [88-4-4] 「表現の自由を制限する個人情報保護法案に反対する共同アピール」 http://www.jbpa.or.jp/kojinjoho-onegai.htm 賛同者募集(第一次集約期限5月2日) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [88-5] 引用 ---------------------------------------------------------------------- [88-5-1] 脇山俊「行きづまるアメリカ資本主義 」 日本放送出版協会 1995 ISBN 4-14-0001756-2 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140017562/ p5 「・・・しかし、アメリカ資本主義の繁栄をもたらしたのは含理主義であっ たが、今、アメリカ資本主義を行きづまらせているのも含理主義である。アメ リカの個人主義的、合理主義的経営が、さまざまの矛盾に逢着しているとき、 それをモデルとして日本の経営の将来像を描くことが果たして望ましいことな のかどうか。読者は本書を参考にして御賢察いただきたい。本書は筆者のアメ リカ企業勤務の経験に基づいてその実態を紹介しようとするものである。・・・」 p36「・・・ビジネススクールに限らず、アメリカ社会全体が、人間関係と人 間心理軽視の傾向があり、ここにもアメリカの行き詰まりの大きな原因がある。 アメリカの企業経営における人間関係の拠り所は、経済的インエンティブを与 えれば、人間は効率的に働くという単純な前提だけである。リーダーシップ、 チームワーク、従業員参加などすべて、微妙な人間心理に基づいているにもか かわらず、これを軽視している。・・・」 p178 「高利益率を目指すすべきでない 日本の企業経営は、アメリカに倣って、もっと株主重視、利益重視の方向へ転 向すべきである、あるいば転向せざるを得ないと考えるべきだろうか。しかし、 すでにくり返し書いたように、利益重視の楯の裏側は、シェア低下、ひいては 貿易赤字、雇用の縮小である。高利益率重視の経営に固執するのは、アメリカ などごく一部の国だけであり、ほとんどの有力な工業国は、新興工業国も含め て、シェア指向である。そういう状況の中であえて、高利益率重視の方針に転 向するのは、せっかくの強力な武器を捨てて、敗色濃厚な陣営に参加するのに 等しい。この場合、株主は、高率配当を望んで低収益の投資を差し控えるよう になり、しかも資本の国際間移動も活発になるので、日本の資本コストは上昇 するという懸念もある。しかし、発展途上国を含めて、世界の圧倒的多数の国 が、利益重視の方針をとっていないのだから、日本の投資家が高利回りを得た いならば、アメリカなど一部の先進国、または、キャピタル・ゲインに期待し て高度成長中のアジア諸国の有価証券を買うしか方法はない。しかし高利益率 指向国の世界におけるシェアは低下する宿命にあるのだから、その貿易取支は 悪化し、したがってこれらの国への投資は、為替リスクが大きい。また、アジ ア諸国に対する投資が安心して大量に行われるようになるのは、もっと先のこ とだろう。結局、株式投資の利回り低下は、さし当たりは、社債、銀行預金な ど他の金融資産への投資を増やし、海外への資本の大量移動は見られないだろ う。・・・・」 ---------------------------------------------------------------------- [88-5-2] 石田収「新聞が日本をダメにしたーー太平洋戦争扇動の構図」 現代現代書林 1995 ISBN 4-87620-829-8 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4876208298/ 191 「「大本営発表」と記者クラブ制度  日本の新聞記者は長年、ガイドラインに添って報道する習慣を保持してきたた め本来の自由な報道、真実の報道という面からはほど遠いものになっている。 新聞がステレオタイプでどれをとっても同じというのはこういう点にも起因し ているといえよう。  こうした側面に大いに貢献しているのが日本独特の記者クラブ制度である。 記者クラブ割度は極言すれば形を変えた「大本営」発表である。当局は記者ク ラブに頻繁に記事を流す。記者はそれを新聞記事スタイルに変えるだけでよい。 考えようによればこれほど楽な仕事はない。とにかく椅子にじっと座っている だけで仕事ができるわけである。だが、当局は決して真実を提供しているわけ ではない。当局は自らの利害にあうようにマスコミを宜伝に使っているだけで ある。  こうした記者クラブの弊害は長年いわれてきたが、なかなか改善することが できない。実際、記者クラブで仕事をすると記者会見の場をはずすというのは なかなかできない。というのはそこにいるだけでかなりの情報が手にはいるか らである。これをみずからの独自取材だけでカバーするというのは至難の技で ある。こうしたこともあって当局はなるべく発表を増やし、記者があまり動け ないようにする。だが、記者会見も一つや二つならともかく、一日に五つも六 つもあるとかなり疲れる。疲れたら「しんどいから独自取材をさぼる」という ことになってしまう。ある種の蟻地獄のような状況があるのである。  だが、こうした弊害は紙面となって現れてくる。「新聞はどれをみても同じ。 題字を隠したらどの新聞かわからない」といわれるのもこうした弊害がでてい るからである。産経新聞がここ数年「産経新聞はモノを考える新聞です」とい うキャッチフレーズをうちだしているのも、逆説的に言えばいかに日本の新聞 ものを考えていないかの現れである。こうした問題を乗り切るには記者の強い 目的意識が必要だが、記者のサラリーマン化はかなり進んでいるのが現状だ。  同時に日本のマスコミは大部数主義にとらわれている。欧米では大部数を持 つ新聞は大衆紙といわれ、高級紙ではないとされるが、日本の新聞ほすべて大 衆紙で部数拡張を重要な業務としている。例えば、読売新聞は最近発行部数が 一時的に一千万部を越し、この大部数を一つのキャッチフレーズにしている。 だが、一つの新聞を何千万という人が読むというのは考えただけでそら恐ろし い事であると同時に、それだけの読者に満足してもらえる紙面というのはどう しても歯切れの悪いことなかれ主義が多くなってしまう。その結果、この新聞 は一体何をいいたいのかわからなくなってしまい、世論を代表し、世論を導き 、批判精神を発揮するという本来の使命が失われてしまう。そのため、生じる のはこれまでの主張を繰り返しておけばよいという「保守的論調」になってし まうことである。世の中が大きく動いていない時であればこれでもそう大きな 弊害はでないが、今日のように二十一世紀へ向け、世界が大きく変動している ときにはこうした姿勢は極めて問題が多い。  新聞は「社会の木鐸」といわれ、その主張が大きな役割を果たしているだけ に、こうした姿勢は自らの自殺行為といえるものである。 ・・・・  現在の日本の状況はマスコミにとってのある種の危機的状況といえる。 マスコミが世論をリードせず世論の最後を走っている感すらあるのである。」 ---------------------------------------------------------------------- [88-5-3] 田中 宇「日本の有事法制とアメリカ」2002年4月18日   http://www.tanakanews.com/c0418jpus.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題に関連する情報(主に新聞報道・ オンライン資料・文献・講演会記録等)へのリンクと抜粋を紹介。種々のML・ 検索サイト・大学関係サイト・読者からの情報等に拠る。転送等歓迎。 【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ ひ読んで頂きたいもの。 【関連サイト】http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp ------------------------- 発行部数(括弧内は4/5からの増減) (2002.4.21 現在) 1737(+18): Mag2:997(+4)|CocodeMail:391(+3)|Pubzine:96(-1)|melma:80(+3)|  melten:56(+1)|melonpan:46(+10)|Macky!:42(-2)|emaga:29(0) 直送 860(北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・国会議員等) ------------------------- Digest 版 Mailing List (国立大学通信,he-forum,reform,aml,d-mail) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End of Weekly Reports 88
メールマガジン国立大学独立行政法人化問題週報
めろんぱん
E-mail