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国立大学独立行政法人化問題週報

Weekly Reports  No.89 2002.5.07 Ver 1.1

http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-89.html
総目次:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/all.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [89-0]国家無謬説の危険性 [89-1]国会文部科学委員会・文教科学委員会議事録より抜粋  [89-1-1]衆議院文部科学委員会2002年4月5日における文部科学大臣発言   [89-1-1-1]「ほとんどがこれは大学人でございます、大学人がみずから自分たち   [89-1-1-2]「そして大学人の間での合意を得て、今回の調査検討会議のレポ━ト  [89-1-2]大仁田厚議員  [89-1-3]武山百合子議員  [89-1-4]石井郁子議員  [89-1-5]山本香苗議員  [89-1-6]林紀子議員 [89-2]大学の動き  [89-2-1]4.19国大協臨時総会における議事運営の実態   [89-2-1-2]国立大学協会会長談話2002.4.19(案)  [89-2-2]宮崎大学評議会決議2002.5.2  [89-2-3]「国立大学法人」に関する説明会(宮崎大学主催 2002.4.26)の概要   [89-2-3-1]国立大学協会臨時総会前の宮崎大学学長説明会の概要  [89-2-4]北海道大学教職員組合声明2002.4.25  [89-2-5]山形大学憲章プロジェクトチーム 2002.4.19  [89-2-6]弘前大学学長説明会の様子(抜粋)2002.4.25  [89-2-7]千葉大教職組の学長宛質問状 [89-3]本の紹介  [89-3-1]喜多村 和之「大学は生まれ変われるか―国際化する大学評価のなかで」  [89-3-2]新藤宗幸著「技術官僚 ― その権力と病理」  [89-3-3]佐々木毅他編公共哲学6「経済からみた公私問題」 [89-4]記事など  [89-4-1][理系白書]第3部 文系の王国 毎日新聞2002.4.16  [89-4-2]団藤保晴「いつまで手直し主義で逃げるのか」 (2002/04/25)  [89-4-3]全教員に任期制導入/2003年開学の県立保健福祉大(神奈川新聞2002.4.24)  [89-4-4]週間現代5月4日号より:麻生議員発言   [89-4-4-1] 関連情報:Yahoo! JAPAN BBS コメント  [89-4-5]喜多村和之「基準認定の意味と役割―米国の大学評価事業に参加して」  [89-4-6]鋤柄 光明「調査団から見た大学評価―NEASC実地調査に参加して」 [89-5]個人情報保護法案関係  [89-5-1]北海道新聞 評論シリーズ「メディア規制3法案を考える」   [89-5-1-1]No5(4.30): No5(4/30):青野 渉(札幌弁護士会)「本来は、   [89-5-1-2]No4(4/29):佐久間達哉(法務省人権擁護局調査救済課長)   [89-5-1-3]No3(4/28):高井 潔司(北大大学院国際広報メディア研究科教授)   [89-5-1-4]No2(4/27):岡村 勲(全国犯罪被害者の会代表幹事)「・・・・/マ   [89-5-1-5]No1(4/26):鳥越俊太郎(キャスター)「・・・・/私たちの世代は、  [89-5-2]阪上善秀自民党議員が個人情報保護法を批判し内閣委員が辞任  [89-5-2]「個人情報保護法制に関する表現者の「マニフェスト」」  [89-5-3]朝日新聞4/24 日本新聞協会、個人情報保護法案などに断固反対の声明  [89-5-4]日本新聞協会の声明全文 [89-6]意見など  [89-6-1]豊島耕一「政府が実施を急ぐ独立法人化ーー大学の“独立”は逆に失わ  [89-6-2] 渡邊信久「国立大学法人化による権力介入の可能性に不安」  [89-6-3]週報読者からの便り ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [89-0] 国家無謬説の危険性  今の日本では多くの人は「国」という巨大なシステムを素朴に信頼して生き ていることに気づいていないように見える。それをいつも疑って生きることは 人にはできないし、その必要はないと思うが、それだけの信頼を得ている巨大 なシステムが暴走するときの災厄は大きいことを頭の片隅に置くことは必要で はないか。暴走の可能性を秘めた巨大なシステムへの信頼は醒めた信頼でなけ ればなるまい。  半世紀前、このシステムが自らの意思を持ち大学を頭脳に取り込み軍隊を手 足としメディアを声帯とする巨神となって君臨した。  この巨神が残したアジア一帯の廃墟と犠牲者の墓の前に立ち、巨大システム の暴走をあらゆる手段で予防しようという決意を具体化したものが日本国憲法 であった、と考えたい。国という巨大システムが自らの意思を持ち頭脳と声帯 と手足を備えた巨神となって再臨することを防ぐ安全装置として、主権在民を、 学問の自由を、言論の自由を、軍備の放棄を、法システムの基盤に据えたので はなかったか。  巨神と化した国の恐ろしさへの実感が風化しつつある今、憲法に刻まれた安 全装置の存在理由を人々は理解しなくなってきたようだ。「なぜ、こんな時代 遅れの装置が必要なのか?主権在民を良いことに国民は利己的な主張するため に政治家は堕落し、言論の自由を良いことにマスコミは言論の暴力を憚らない し、武装せずに国を守るなどというのは無責任極まる楽観主義だし、学問の自 由を良いことに大学では無意味な研究が横行している」、こういった声が徐々 に広がり最近では大音量で語られるようになり、ついに、今の国会では、個人 情報保護法案・有事法制三法案が可決される可能性が出てきており、また、来 年の国会では、国立大学を巨大システムの頭脳に取り込む独立行政法人化も決 まる可能性も高まっている。  心配なことは、これらの法改正を支持し推進する人達は「国」というシステ ムが無謬であると考えている自らの楽観に気付いていないことだ。「政治家の 汚職」・「マスコミの暴走」・「大学の沈滞」・・・これらのキャッチフレー ズで憲法を批判し弱体化させる政策を進める主張には、民主主義・メディア・ 大学の果たしている役割について、木を見て森を見ない視野の狭さを感じる。 悪を駆逐する方法がより大きな悪をもたらす例は少なくない。日本社会の人々 が日々の創意と努力で忍耐強く解決していく以外に方法がない問題を、巨大な システムに頼れば一気に解決できるという幻想に惑わされて憲法という封印を 解くことは、ITによる高度な神経系を持つ新種の巨神誕生へのゴーサインと なることを正視すべきではないか。              (発行者) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [89-1]国会文部科学委員会・文教科学委員会議事録より抜粋 ---------------------------------------------------------------------- [89-1-1]衆議院文部科学委員会2002年4月5日における文部科学大臣発言 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/405-shu-monbu-ishii.html#tym 「・・・・・この新しい「国立大学法人」像についてというレポートは、三月 二十六日に出されましたけれども、これは国立大学等の独立行政法人化に関す る調査検討会議という会議体で十分に議論をされ、五十数回に及ぶ、専門家、 ほとんどがこれは大学人でございます、大学人がみずから自分たちの制度の将 来について真剣に議論をして到達した一つの結果が、今議論になっております ような中期目標の定め方であり、中期計画の定め方であるわけでございます。 しかも、その中に尊重義務、配慮義務、それだけのことを明確にうたって、そ して大学人の間での合意を得て、今回の調査検討会議のレポートが出たわけで ございます。」 ♯国会で、事実に反する発言をすること、あるいは、事実と異ることを思い込 ませかねない発言をすること、は許されることなのだろうか。 ---------------------------------------------------------------------- [89-1-1-1]「ほとんどがこれは大学人でございます、大学人がみずから自分たち の制度の将来について真剣に議論をして・・・」 ♯「協力者」の大半が国立大学教員のように聞こえるがそうではない。調査検 討会議の協力者の設立時メンバーの内訳*1は(国立大学長16名)(国立大学副学 長3名)(国立大学部局長2名)(国立大学教員 9名)(共同利用機関長4名)(文部省 所轄機関 2名)(国立大学事務局長 3名)(公立大学長3名)(私立大学長 6名) (私 立大学教員3名)(学校法人等理事長4名)(財界人 4名)(マスコミ関係者4名) (そ の他2名)。国立大学の教学関係者は30名で半数に満たない。しかも、その 中で専門委員と呼ばれる国立大学教員9名の多くは法学系教員で、しかも、数 年前から、改革しなければ民営化される、という類いの危機感を煽り*2、ある いは、「飴と鞭のあるところで初めて独創的な研究が生まれる」と主張し*3、 国立大学運営者に文部科学省路線を説得してきた人達が含まれている *1 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/tkk/meibo.html#shozokubunrui *2 http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/Alink_niigata990528.htm *3 http://www.mnaito.com/diet_no154/univ_03.htm cf:豊島耕一氏による批判:「「国家存亡の危機」,コップの中での再演」 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/uchida.html ---------------------------------------------------------------------- [89-1-1-2]「そして大学人の間での合意を得て、今回の調査検討会議のレポート が出たわけでございます。」 最終報告とほぼ同じ内容の中間報告案に対する各協力者からの意見を集めた約 2万2千字の文書*1があるが、それを見れば、各委員会での議論が中間報告に は十分反映されていないことが歴然としているーー肝心なものは無視されるか、 単にリップサービス的に報告に盛り込まれただけである。さらに、昨年9月の 中間報告以後の半年は、連絡調整委員会*2において、4委員会の座長を中心と した協力者12名*2が文部科学省官僚に囲まれて会議が続けられただけである。 このメンバーの中の国立大学関係者6名(と国立大前学長2名)には国立大学 協会の中で強硬な独法化推進派が含まれており、また、経済財政諮問会議議員 で小泉内閣の一員と言ってもよい本間氏も含まれている。他の調査検討会議協 力者50数名は、連絡調整会議内容を月遅れでしか知らされず、最終報告直前 に短期間に意見を求められただけという。また、会議の外の「密室」で実質的 議論が進行した疑いが濃い。実際、会議の議事録*3では、唐突な提案に対し驚 きの発言もなく形だけの反論が発言されているだけである。なお、中間報告へ のパブリックコメント130通余*4について検討された形跡は全くなく、文部 科学省が「国民の意見を聞いた」と言っても、誰をも納得させることはできな いだろう。国会議員は「調査検討会議の報告が大学関係者の意見を反映したも のである」という行政の主張を鵜呑みにすべきではない。三権分立の日本の政 治制度では、与党議員にもそのことが義務として求められる。 *1 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/j130730-1.htm *2 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/heretic.html *3 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/221-tkk.html *4 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/doc/tkk-report.html#pcomments ---------------------------------------------------------------------- 連絡調整委員会協力者 長尾 真  京都大学長 阿部博之  東北大学長 石 弘光  一橋大学長 松尾 稔  名古屋大学長 鈴木章夫  東京医科歯科大学長 堀田凱樹  国立遺伝学研究所長 本間正明  大阪大学大学院経済学研究科教授 阿部充夫  放送大学教育振興会理事長 小出忠孝  愛知学院大学長 田中健藏  学校法人福岡歯科学園理事長 梶井 功  前東京農工大学長 中嶋嶺雄  前東京外国語大学長 ---------------------------------------------------------------------- [89-1-2]大仁田厚議員: ◆再編統合の意味について http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/402-san-bunkyou-ohnida.html#saihen ◆私立大学との関係 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/402-san-bunkyou-ohnida.html#shigaku ---------------------------------------------------------------------- [89-1-3]武山百合子議員: ◆JST(科学技術振興事業団)とTLOの関係 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/405-shu-monbu-takeyama.html#JST ---------------------------------------------------------------------- [89-1-4]石井郁子議員: ◆教育研究基盤校費 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/405-shu-monbu-ishii.html#kiban ◆最終報告(目標・評価) http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/405-shu-monbu-ishii.html#houkoku ---------------------------------------------------------------------- [89-1-5]山本香苗議員: ◆工藤局長の脅し発言 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/402-san-bunkyou-yamamoto.html#threat ◆国立大学法人会計の特徴 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/402-san-bunkyou-yamamoto.html#kaikei ◆国立大学の資産評価 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/402-san-bunkyou-yamamoto.html#shisan-hyouka ◆学生不在 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/402-san-bunkyou-yamamoto.html#gakusei ---------------------------------------------------------------------- [89-1-6]林紀子議員 ◆非常勤講師問題 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/402-san-bunkyou-hayashi.html#hijoukin ◆国立大学病院の看護体制の問題 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/402-san-bunkyou-hayashi.html#fuzokubyouin ◆独立行政法人化の問題 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/402-san-bunkyou-hayashi.html#dokuhou ◆有馬元文部大臣の約束 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/402-san-bunkyou-hayashi.html#arima ◆工藤局長の雑誌発言 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/402-san-bunkyou-hayashi.html#kudou ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [89-2]大学の動き ---------------------------------------------------------------------- [89-2-1] 4.19国大協臨時総会における議事運営と、設置された2つの特別 委員会について(2002年5月2日独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3896.htm 「さる4月19日に開催された国大協臨時総会は、「会長談話」を賛成多数で承 認し、「(文科省の調査検討会議が出した)最終報告の制度設計に沿って、法 人化の準備に入る」との決定がなされた。また国大協執行部は、臨時総会につ いて報道陣には公開しながら、国大協を構成する各大学の教員の傍聴は認めな いという理解しがたい措置をとった。  今回の臨時総会について、諸情報から判断すると、総会の議事運営そのもの が、国立大学の将来を決定するに相応しいものとは到底言えないことが明らか となった。すなわち、「最終報告」に対する議論はおろか、ほとんど実質的な 議論を重ねたとは思えないとはいえ、国大協の正規機関が出した文書である 「設置形態検討特別委員会報告(02年4月1日付)」の検討さえ行わずに、冒頭 から「会長談話(案)」の審議に入ったのである。  臨時総会の招集状には、第一に、「設置形態検討特別委員会報告」の項があっ た。そのため、一部の学長からは、「まず、設置形態検討特別委員会の報告か ら審議すべきではないか」と、議事進行に関する意見が出されたのは当然のこ とと言えよう。  そもそも、議事進行の常道からすれば、臨時総会では、まずはじめに、これ まで国大協が確認してきた諸基準との関係で「最終報告」を厳密に議論し、 「最終報告」に対する賛否を決めた上で、次に会長の談話を作成することが、 事柄の順序である。しかし、臨時総会では「最終報告」を厳密に議論すること もないまま、いきなり「会長談話(案)」のみが議題とされ、わずか2時間程 度、20名ほどの学長による意見陳述がなされただけであった。そして、挙手に よる賛成多数として「会長談話(案)」が承認されている。こうした重要案件 では当然行われるべき、賛成・反対・保留の数も確認されないという、杜撰な 議事運営だったのである。  日本の大学の将来にかかわる重大な意思決定が、かくも無責任な議事運営に よって行われたことに、私たちは深い憤りを表明する。なお、臨時総会では、 「国立大学協会の在り方検討特別委員会」と「国立大学法人化特別委員会」の 2つの特別委員会が設置された(末尾の資料参照)。私たちは、両特別委員会 が、「設置形態検討特別委員会」のような無責任な運営方法ではなく、今後の 大学の在り方に責任を果たすために広範な教職員の意見を求めつつ、真摯な議 論を行う場となることを、改めて要求するものである。 (なお、現在の状況に対する分析・批判等は、後日にあらためて公表する予定 である。) ♯(以下の資料は略) ---------------------------------------------------------------------- [89-2-1-1]国立大学協会会長談話2002.4.19(案) 「新しい「国立大学法人」像について」(最終報告)に関しての談話 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3853.htm PDF:http://www.kokudaikyo.gr.jp/katsudo/data_soukai/pdf_14_4_19/2.pdf ---------------------------------------------------------------------- [89-2-2] 宮崎大学評議会声明 平成14年5月2日 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3899.htm                         平成14年5月2日                           宮 崎 大 学       「新しい国立大学法人像」について 平成9年10月、宮崎大学評議会は「国立大学の独立行政法人化に反対する」 決議を行っている。平成14年4月19日、国立大学協会は臨時総会を開き、 国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議(以下、調査検討会議と 略称する)から示された「新しい国立大学法人像について」(最終報告)に 関し、「この最終報告の制度設計に沿って、法人化の準備に入ることにした い」と決議し、会長談話の形で公表した。この事態に関連し、宮崎大学は下 記のように態度を表明する。                 記 1.「新しい国立大学法人像」は本学が平成9年に示した「設置形態の在り方 の見直しが制度化される仕組みは、大学の教育研究活動を阻害し、(中略) 学術研究水準の低下をきたすとともに、教育の機会均等にも影響を及ぼしか ねない」とする懸念を払拭するものではない。したがって、国大協が「新し い国立大学法人像」を容認する決議を行ったことに遺憾の意を表明する。 2.本学法人化問題調査検討専門委員会が指摘した「新しい国立大学法人像」 における問題点については、これから始まるであろう法制化の動きの中で引 き続き対応策を講じる。 3.国立大学の法人化に関する本学の基本的立場は前項までに示したとおりで あるが、法律にもとづき設置された国立大学である以上、国立学校設置法が 改定されようとしている事態に対応する体制と準備を整える。 4.国立大学法人化の目的には自主・自律の体制を創ることにより、大学の自 由度を高め、より高度な教育研究能力を創出することにあると謳われている。 宮崎大学は、大学の自治を堅持し、より以上に自立の自覚をもつことの重要 性を再認識するとともに、「地域に根ざしグローバルにはばたく」大学づく りに邁進する決意を新たにする。 ---------------------------------------------------------------------- [89-2-3]「国立大学法人」に関する説明会(宮崎大学主催 2002.4.26)の概要 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3877.htm ---------------------------------------------------------------------- [89-2-3-1]国立大学協会臨時総会前の宮崎大学学長説明会の概要 http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/index.htm#04/25_6 ---------------------------------------------------------------------- [89-2-4]北海道大学教職員組合声明2002.4.25 国立大学の独法化を容認する国大協臨時総会の結論に抗議する! http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/htm/seimei0425.html ---------------------------------------------------------------------- [89-2-5]山形大学憲章プロジェクトチーム 2002.4.19 ◆山形大学憲章案 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3870.htm ---------------------------------------------------------------------- [89-2-6]弘前大学学長説明会の様子(抜粋)2002.4.25 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/425-hirosaki.html ---------------------------------------------------------------------- [89-2-7]千葉大教職組の学長宛質問状 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3850.htm ・・・さらに、長尾会長が「法 人化に教条的に反対するのでなく...」と述べ られたと報道されていますが、この発言 が事実であるならば、それへの強い 怒りを表明するものであります。私達は、国立大学の独立行政法人化が大学の 自主性を奪い、国家への一層の従属をもたらす現実的危険があるから、批判し てきたのであります。各大学教職員組合や大学関係者から出されたこうした批 判への公式の回答もないまま、批判者に"教条的"というレッテルを貼るのは、 国大協会長のなすべきことではありません。・・・・ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [89-3]本の紹介 ---------------------------------------------------------------------- [89-3-1]喜多村 和之「大学は生まれ変われるか―国際化する大学評価のなかで」 中公新書1631 (2002/03/01) ISBN: 4121016319 抜粋 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121016319/ ---------------------------------------------------------------------- p90 「「沈滞した」日本の大学に刺激を与え互いに切瑳琢磨させるために目標を設 定し、「公正で客観的な」「第三者機関」によって厳正な評価を行い、順位を 決めて、資金をインセンティブとして重点的に投資する、というのが文科省の 筋書であろう。これは公的資金の有効活用という政府の目的からすれば当然出 てくる政策ではある。しかし、このシナリオが意図通り達成されるためには、 たとえば少なくとも次のような疑問がクリアされていることが前提となるだろ う。 (1)研究・教育の質的向上のためには、自由放任的な学術研究にゆだねるより は政府の意図的な重点投資政策のほうが有効な戦略である。 (2)評価を公正かつ厳正に行えるだけのインフラ、方法論、データの裏付けや 蓄積が整備されている。 (3)評価と資源配分とを直接結びつける政策は、いかにしたら威信や資金を確 保できるかという戦術的競争をあおるのではなく、長期的な教育・研究の質の 向上・発展につながる刺激策となる。 (4)特定の数を上限とする重点政策は、やがてその順位に入らない大多数の高 等教育機関から構成される高等教育システム全体の底上げにつながる。 (5) 重点化政策は政府みずからが大学間の格差を明確にし、序列化を進めるこ と、つまり大学ランキングがはらむ問題を拡大再生産する役割を果たす結果に はならない。  しかし、いかなる政策にもメリットもあれば思いがけない副作用もある。に もかかわらず、性急な断行をもとめる政治や行政は後追いの研究など待っては くれない。つまりもはやとどめる術がないままに現実はどんどん進んでいくの だ。それが政策というものの強さであり怖さである。  高等教育や研究・開発への公的投資の低下が指摘されている今日、競争的資 金が学術研究や高等教育に少しでも回されることは必要であり、世間ではこう した方針に喝采し、公金を支出する以上、競争的な資源配分と評価を行うこと は当然と考える人が多いであろう。  しかし大学においては、学問の分野にもよるが、競争原理を導入すれば向上 の刺激になり、カネさえ増やせば教育・研究の質が向上するという保証はかな らずしも自明のことではない。また、研究費欲しさに魂を売り渡すという学問 の自由にかかわる重大問題も副作用として出てくる可能性もある。  その前提として人事の流動化や柔軟な研究・教育条件の整備などのインフラ が不可欠なことは識者の指摘するとおりである。問題はこうした投資の政策が、 長期的かつマクロな展望から日本の学問を育成し、世界に誇るべき大学を形成 できる方法であるかどうか、つまりその政策意図が正しく達成できるかどうか ということである。 評価の対象は学問専門分野別で大学院の博士課程であるという。しかし、研 究を重視し、大学院博士課程の専攻を対象とすればその面で充実している国立 大学が圧倒的に有利になり、そのなかでも旧制帝国大学系の大学院重点化大学 が圧倒的に有利になるだろう。そうだとすれば、結果的には従来の国立大学の 階層構造をいっそう強化するという結果になりかねない。さらに公・私立大ま で競争に巻き込んで、「客観的」で「公正」なデータでやはり国立に多くの資 源をまわすことを正当化する結果にはならないのだろうか。第三者評価によっ て「重点化」の組織を選定するというが、評価の理論および方法の面で十分な 蓄積をもたない日本の場合、どのようにして公正な評価が実施できるかも疑問 が多い。 評価が資源配分の目的で行われる場合には、政策意図とは異なり、研究・教育 の改善・向上という目的が、いかにしたら資金を獲得できるかという手段に変 質してしまうおそれも強い。同時に大学の威信獲得の手段と化し、大学の序列 化をいっそう進めることにもなり得る。つまり大学間の健全な競争のみならず、 生き残りをかけた戦いをあおる可能性もはらんでいる。こうした負の副作用を いかに最小限にとどめるかという方策が考えられなければならない。  著者が危倶する最大の問題点は、教育・研究の評価を、「客親的」で「普遍 的」な基準や「目にみえる指標」(たとえば、論文発表数、被引用数、学会で の受賞数、科学研究費の取得数などといった数値)を導入し、それによって測 定しようという傾向が支配的になってくることである。いうまでもなく学問に は数値やデータでその質を表現できやすい領域の分野と、芸術、文学などのよ うにそうした指標では表現しがたい領域のものとがある。成果や実積としては 目立たず、学界の関心の対象にもなりがたいが、その分野の地味な長期的研究 が大きな発見につながったりする場合も少なくない。みえる証拠を強調するあ まりに、このカテゴリ−に入らない学問の価値をそこなわないようにするには どうしたらよいかという問題も解決されなければならないだろう。  いまひとつの問題は、質の評価と資源配分とを直結させ、そのプロセスのな かに、政府の関与が強まってくるのではないかということである。一方で大学 設置基準の大綱化をはじめとする規制緩和と自己責任の強調によって大学の自 律性と自己改革を奨励しながら、他方で評価というムチと予算誘導というアメ を与えて大学を制御するというのは、政策的にも整合性がみられないし、従来 の規制緩和と自己責任の強調という政策とは逆行することになる。同時に明治 以来の政府主導による資源集中投資によって効率化を追求するという近代化路 線は、すでに歴史的役割を失っているのではないだろうか。 ---------------------------------------------------------------------- p166「これまで多くの政策関係者は、評価がそのような基本的な問いかけにま で進行する危険を阻止しようとして、問題の解決を制度改革の問題にすりかえ たり、大学評価の問題を、技術的、財政的な問題に矮小化しようと試みてきた といえないだろうか。たとえば国立大学の法人化論は、なぜ国立大学が必要な のか、国立であることの根拠は何かという原理的な問いを、法人化という制度 論にすりかえる役割を果たしてきたとみることも不可能ではない。それではオ ルテガのいうように本質的な問いを欠いた大学改革になってしまうのではない か。 こんにち大学は厳しい評価と批判の対象とされているが、それは裏をかえせば 現代社会の直面する問題を解決するために大学への期待が大きいことを意床す る。知の創造、伝達、応用の機能を循環的に営むシステムとしての大学がもつ 可能性に世界は熱いまなざしを注いでいるのだ。知識社会に向かう現代におい て、教育と研究、なかんずくその両者を担う大学こそは、むしろ発展の機会に ゆたかに恵まれているといっても過言ではない。大学はいま自己を自律的に分 析評価し、みずからの存在価値と固有の役割を世間に向けて大学の立場から、 毅然として、しかしわかりやすく主張する必要がある。大学はそのためには、 教育・研究の主体である「第一者」としての自己評価を行うとともに、その直 接の対象である「第二者」としての学生や保護者からの評価を受けとめるべき だろう。そしてその結果をしかるべき形で情報公関していく必要がある。  しかし大学が主体的に行う評価に対して、今日起こっているのは、「第三者」 による外部からの評価の要求である。これに対しては、大学は二つの立場をと り得る。  ひとつは大学みずからが第三者評価機関を創造することである。そのために は大学はその評価を社会に納得させ得るような信頼性と権威のある実質をそな えたものに創造していかなげればならない。それは学問の教育・研究の論理か ら大学の価値を公開し、これを社会に納得させるに足るものでなげればならな い。そして大学には、アシュビーのいうように、社会の要請に応えていく「適 応」の機能と、学問の自由と自治という固有の守るべき「持続」の機能とがあ ることを訴え、広く社会に理解をもとめていく必要がある(アシュビー、一九 九五)。それは大学がたんに自己の生き残りをはかるという消極的で矮小化さ れた意図からではなく、人類の英知が生み出した大学制度という知の文化拠点 を維持し発展させていくことが、大学に直接関係する者の義務でもあるからで ある。大学は一時の政治や経済の道具ではなく、永遠の知の探求と伝達を使命 とする社会制度だからである。  しかしもし大学がこれに成功できなければ、その役割は、大学以外の政治、 経済、行政、そして納税者などの論理によってつくられる第三者評価機関にゆ だねられることになるだろう。この機関は、評価と結びついた資源配分という 強大な権限を通して、学間の論理以外の論理によって、大学を支配することに なり得る。そうなれば大学は産業と市場の競争原理によって翻弄される可能性 が高い。この力に対抗するには、大学がたんに社会からの干渉に反対するといっ た防衛的な大学自治論ではとうてい不可能であろう。  学問の自由とその制度化としての自治を喪失した大学は、もはや大学の名に 値しない。仮に大学の形態は保ち、生き残りは保てたとしても、それはもはや 大学ではないと著者は考える。「大学は時にはあえて時代遅れになることを選 ぶ勇気をもたなければならない」とはアシュビーの言葉だが(アシュビー、1 995)、著者も大学の最後のとりでは自由と自立であり、そのことが社会に 最善の貢献をなし得る条件であることを確信するという意床での「保守主義者」 である。  こうした大学の危機を救うひとつの手段が、大学自身による自律的評価であ り、新しい時代に合った自治の観念の確立である。そしてその根底には、現代 における大学とは何かという問いに答えるに足る大学論と、高等教育システム 全体をゆるやかにつつむ新しいグランドデザインが必要となる。その課題に応 えるのは本書の範囲と著者の力量をはるかに超えているが、本書ではそうした 問題の重要性だけは指摘しておきたい。  くりかえすが、大学が自己の存在意義を明らかにし、これを社会に納得させ るような実質を示せないならば、大学に代わるものがあらわれて、その役割を 襲うことになるかもしれないし、あるいは大学として死んだまま制度としては 生き残ることになるのかもしれない。その意味で、21世紀の大学は、大学と しての存在意義と再生を試される、さしせまった挑戦にさらされているのであ る。」 ---------------------------------------------------------------------- [89-3-2]新藤宗幸著「技術官僚 ― その権力と病理」 http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0203/sin_k57.html ---------------------------------------------------------------------- [89-3-3]佐々木毅他編公共哲学6「経済からみた公私問題」 東京大学出版会 ISBN4-13-003416-2 発題1 猪木武徳「公私の問題と自発的な中間組織」 ♯(競争原理に伴う不正・視野短期化等の副作用を回避するシステムの模索が テーマ。視野短期化の部分は、国立大学に導入されようとしている人事システ ムへの警告とも読むことができよう。) p9 「・・・・この「視野の短期化」はすでにいくつかの重要分野で起こって いる。 (1) 人材評価の短期化 例として,企業内の人事処遇制度のうちで,年俸制を強くすすめる論,あるい はもっと単純に,「能力給」こそが公正な処遇方法だと主張する論などが挙げ られよう。こうした主張は,先にふれたような長期的な視野と観察に基づく慎 重な処遇制度とは基本的に相容れない.年ごとの評価が直接的に年々の報酬に リンクするような年俸制(大企業管理職に広まっている年俸制は,プロスポー ツ選手のような純粋型ではないが)は,基本的に一年ごとの短期評価だからだ.  日本の長期雇用や年功的に平均賃金が上昇するシステムは「非競争的だ」と 思い込んでいる論者が多いが,これは大きな誤解である.平均賃金はたしかに 年とともに上昇しているが,個別の賃金の格差(チラバリ)は勤続や年齢とと もに増えているからだ.したがって賃金が年とともに上昇するということと, 企業内での競争が激しいということには何の矛盾もない.賃金が年功的に上昇 するということは,力を発揮する人もしない人も,同じように年功的処遇を受 けるということを意味するわけではないのである.  能力の評価に時間をかけ,短期的な決着を避け,長期的な視野での競争で人 材を選抜していくのが,これまでの日本の人事管理の特質であり,長所であっ た.それは,短期的に人材を育てるということも,人間の力量を判断すること も難しいという考えに基づいており,長期的な視点のもとではじめて,個人も 組織全体も,リスクをとりながら新しい創意・工夫に挑戦できる,という見方 から出ている.自己責任の原則のもとで,リスクをとってはじめて利潤を得る ことができるという自由競争の大原則を考えれば,リスクを回避する傾向を生 むような短期評価のシステムが,もはや経済活動に生気を与えることができな いのは当然であろう.短期決戦は,一見競争を活発化するかに見えるが,実は リスクをとろうとする人々の心理を萎縮させてしまう傾向を生む場合が多いの である.すくなくとも,リスク回避的な人間が,大きな賭けに打って出るとい うことは起こりにくい。  このような視界の長短に起因する問題は、人事制度だけではなく、R&D(♯ 研究開発)活動にも発生している。この点にも触れておこう。 (2) R&D の外部化 ・・・・研究者の世界も例外ではない。早い段階で頭角を現すためには、かなり 短期的な競争で、ある程度の成果を出さなければならない。評価のシステム自 体が短期化しているため、短時間で、あるいは早い段階で自分の能力を示さな ければならない。その結果、時間のかかる大きな問題に取り組む人々は少なく なる。誰しもリスクは避けたいと思うからだ。・・・・」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [89-4]記事など ---------------------------------------------------------------------- [89-4-1][理系白書]第3部 文系の王国 毎日新聞2002.4.16 【4】転換期に活躍の場 理系の長所を活用 (4月16日 ) http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/science/hakusyo/03/04.html 【1】霞が関に昇進不文律 http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/science/hakusyo/03/01.html ---------------------------------------------------------------------- [89-4-2]団藤保晴「いつまで手直し主義で逃げるのか」 (2002/04/25) 団藤保晴の記者コラム「インターネットで読み解く!」第117回 http://dandoweb.com/backno/20020425.htm ♯(高等教育フォーラムで団藤氏が受けた種々の批判について全く言及してい ない点が良く理解できない。) 例: 団藤氏の国立大学批判の論点への左巻氏からの質問: http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/4358.html への言訳的回答 http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/4381.html 私立大の方からの疑念: http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/4485.html 企業研究者からの疑念 http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/4604.html http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/4571.html 近藤義臣氏「団藤氏(記者)への質問と投稿文を読み解く」 http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/4603.html http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/4594.html ---------------------------------------------------------------------- [89-4-3]全教員に任期制導入/2003年開学の県立保健福祉大(神奈川新聞2002.4.24) http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/index.htm#04/25_7 ---------------------------------------------------------------------- [89-4-4]週間現代5月4日号より:麻生議員発言 http://www.math.tohoku.ac.jp/~kojihas/reform/04147 記者:「この一年間で,小泉改革の具体的な成果といえるようなものが何かあ りますか.」 麻生:「東京大学がなくなる.国立大学がすべてなくなることを決めたのがやっ ぱり大きいでしょうね.国立大学は全部なくなりますから.独立大学法人に変 わる,そして数年後には,できるところから民営化ですよ.・・・・」 ---------------------------------------------------------------------- [89-4-4-1] 関連情報:Yahoo! JAPAN BBS コメント http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=ED&action=m&board=1086166& tid=9qna9bga4nfhna99tc0afka1bfm2bda1aa&sid=1086166&mid=5192 ---------------------------------------------------------------------- [89-4-5]喜多村和之「基準認定の意味と役割―米国の大学評価事業に参加して」 アルカディア学報 No. 71(2002.4.3) http://www3.ocn.ne.jp/~riihe/arcadia/arcadia71.html ---------------------------------------------------------------------- [89-4-6]鋤柄 光明「調査団から見た大学評価―NEASC実地調査に参加して」 アルカディア学報 No. 72(2002.4.10) http://www3.ocn.ne.jp/~riihe/arcadia/arcadia72.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [89-5]個人情報保護法案関係 ---------------------------------------------------------------------- [89-5-1]北海道新聞 評論シリーズ「メディア規制3法案を考える」 ---------------------------------------------------------------------- [89-5-1-1]No5(4.30): No5(4/30):青野 渉(札幌弁護士会)「本来は、 国や行政機関等が持つ大量の個人情報の漏えい、不当な利用を防ぐねらいで始 まった立法化の論議が、気が付けば民間の情報管理や報道に、強い規制を求め る内容にすり替えられている。肝心の行政機関に対する規制が抜け落ちている 点に、国の欺まん的な意図を感じる。三法案の速やかな廃案が必要だ。・・・・・ 本来国民が望む個人情報保護には全く機能せず、一方で行政に巨大な裁量権を 与え、メディアを含めて民間には厳しい規制を及ぼして国が情報をコントロー ルするという内容で、あらうる観点からみて欠陥法といえる。・・・」 ---------------------------------------------------------------------- [89-5-1-2]No4(4/29):佐久間達哉(法務省人権擁護局調査救済課長) 「人権擁護法案は、差別・虐待等の人権侵害の被害者を簡易・迅速・柔軟に救 済するため、独立行政委員会である人権委員会を担い手とする新たな人権救済 手続を整備することなどを目的としています。・・・この法案は、報道や取材 に新しいルールを設けるものではありません。・・・」 ♯(法務省人権擁護局は「人権委員会」事務局に改組の予定。) ---------------------------------------------------------------------- [89-5-1-1-1]人権フォーラム21−人権擁護法案への見解(改訂版)− 「国連パリ原則にもとづく政府から独立した実効性のある国内人権機関にむけ 審議を尽くそう!」2002年 4月8日 http://www.mars.sphere.ne.jp/jhrf21/Campaign/20020408.html ♯(メディア規制3法という呼称は、マスメディアの自己中心性を示している。 人権擁護法案の持つ問題の中の一部に過ぎない「メディア規制」だけを問題に すれば、そこをクリアすれば良い、ということに成りかねない。) ---------------------------------------------------------------------- [89-5-1-3]No3(4/28):高井 潔司(北大大学院国際広報メディア研究科教授) 「官が法でメディアを規制することは、政府の行き過ぎや政治家の腐敗などを 監視、チェックするメディア本来の機能を大いに損なう。・・・・/元新聞記 者の立場からみると、法案について記者個人の危機感が薄いことが気にかかる。 マスコミは国民の「知る権利」を代行すると称するが、法によって守られては いない。その意味で取材者の立場は弱い。さらに法で規制を受けることは、今 日、明日の取材に影響する事態なのに、実感が乏しいのではないか。/・・・・」 ---------------------------------------------------------------------- [89-5-1-4]No2(4/27):岡村 勲(全国犯罪被害者の会代表幹事)「・・・・/マ スコミがしっかりしないと、社会がおかしくなる。政界疑獄を暴き出すなど、 民主主義に必要なことは言うまでもない。だからといって、被害者を泣かせる 現状は許されない。/人権擁護法案などメディア規制三法案に対して、マスコ ミは自主対応が先決と口をそろえる。しかし私は自分で自分の手足は縛れない と思う。/しかも、自主規制はかえって危うい。マスコミ自らが社会を変な方 向に導くのではないか。昭和天皇崩御時の報道を思い起こしてほしい。/マス コミの力が強いうちに、政府ときちんとやりとりし、自らを戒める防波堤とし て法の整備をした方が良いと思う。」 ---------------------------------------------------------------------- [89-5-1-5]No1(4/26):鳥越俊太郎(キャスター)「・・・・/私たちの世代は、 まだいい。問題は、今後マスコミに入ってくる若い世代である。個人情報保護 法を前提にモノを考える状況ー私は、それを恐れているのだ。」 ---------------------------------------------------------------------- [89-5-2]阪上善秀自民党議員が個人情報保護法を批判し内閣委員が辞任 (住民台帳基本法施行凍結も主張) Mainichi Interactive 2002-04-27-03:01 http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20020427k0000m010187000c.html asahi.com http://www.asahi.com/politics/update/0426/015.html ---------------------------------------------------------------------- [89-5-2]「個人情報保護法制に関する表現者の「マニフェスト」」 (吉岡 忍起草 2002.3、サンデー毎日4月21日号) http://www.interq.or.jp/japan/s9d/manifest.htm ---------------------------------------------------------------------- [89-5-3]朝日新聞4/24 日本新聞協会、個人情報保護法案などに断固反対の声明 http://www.asahi.com/national/update/0424/033.html ---------------------------------------------------------------------- [89-5-4]日本新聞協会の声明全文 「個人情報保護法案と人権擁護法案について、日本新聞協会は繰り返し「報道 の自由」に十分配慮するよう求めてきた。それにもかかわらず、政府提出の両 法案は、われわれの主張をほとんど無視し、憲法で保障された「表現の自由」 に政府が介入する道を開くものとなっている。  個人情報保護や人権擁護を名目にして、報道の自由を不当に制約したり、報 道機関を監督する主務大臣を置いたり、取材・報道活動を独立行政委員会の裁 量にゆだねるなど、報道機関の死活にかかわり、断固反対する。  報道による人権やプライバシー侵害の問題は、報道機関の自主的な対応で解 決を図るべきである。民主主義の根幹をなす国民の「知る権利」はあらゆる機 関から独立したメディアが存在してはじめて保障されるとわれわれは固く信じ る。pressNet 解説:「日本新聞協会理事会が決定した声明は、1987(昭和62) 年5月の朝日新聞阪神支局で起きた同社記者殺傷事件以来15年ぶり。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [89-6]意見など ---------------------------------------------------------------------- [89-6-1]豊島耕一「政府が実施を急ぐ独立法人化ーー大学の“独立”は逆に失わ れる恐れ」「週刊金曜日」2002年4月19日号、45〜47ページ http://www03.u-page.so-net.ne.jp/ta2/toyosima/daigaku/UniversityIssues/kinyoubi020419.html 「政府は二〇〇四年度にも,大学を国の行政組織から独立させる「独立行政法 人化」を実施しようとしている。 目論見通りにいくと、「独立」の言葉とは裏腹に、文部科学省の規制力が強ま り、大学の廃校か存続の権限さえも大臣が握ることになる。憲法や教育基本法 が保障する「学問の自由」「大学の自治」に真っ向から挑戦する制度改悪だが、 反対の動きは極めて鈍い。 ------------------------------------------------------------------------  国立大学を「国の組織から独立させる」という美名のもとに、実は文部科学 省(以下、文科省)の恐るべき権限強化が目論まれている。政府が実施を急い でいる「国立大学の独立行政法人化」(独法化)がそれだ。  同省の「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」(以下、調査 検討会議と略)は三月二六日、すべての国立大学を「法人化」するという最終 報告を提出した。これを報じた新聞などの紙面には、「国の規制を外れる」と か「大学独自の決定に」といった言葉が散りばめられているが、注意深い読者 には文科省による大学の「中期目標」の設定という項目が目に入ったはずだ。 大学を行政機関に変える  独法化とは、行財政の効率化の名の下に、行政機関を企画部門と実施部門に 分離し、前者を中央官庁に移し、後者だけを「独立」させるというものである。 「中期目標」とはその「企画部門」による「立案」に相当する。一般の行政機 関にとってもこのような分離が妥当とも思えないが、そもそも大学は行政機関 ではない。このような制度を大学に当てはめることは,単に不適切というだけ でなく、以下に論じるように教育基本法や憲法との深刻な矛盾を生じる。  「独法」制度における「中期目標」とは要するに「官」すなわち文科省によ る大学への命令であり、最終報告によるとその達成度によって予算がコントロー ルされる。さらには大臣が廃校の権限までも持つという世界にもまず例を見な い、また戦前でさえ行われなかったような政府による一元的支配の制度である。 「中期目標」として挙げられている項目は抽象的であり、大学にまで「教科書 検定」や「学習指導要領」が押しつけられても不思議ではない。  高校までの公立学校に対する文科省の官僚的支配は揺るぎないまでに完成し ており、教師の自由は大きく制限され、そのあり方が保守派からも「画一的」 と批判されるまでになっている。しかし大学に関しては、曲がりなりにも「学 問の自由」や「大学の自治」という考えが歯止めとなって、今日まで文科省と いえども大学をあからさまに(裏は別として)統制することは出来なかった。 それが「法人化」という呪文によって一挙に可能になろうとしているのである。 大学自治への挑戦  現行制度と比較すれば独法化が「独立」の名に値しないことは一目瞭然であ る。次ページの表を参照いただきたい。「中期目標」や「中期計画」なる概念 や、それを役所が大学に下付・許認可するなどという制度は現行制度にはない。 「目標」に相当するものを強いて探せば教育基本法一条の「教育の目的」であ ろう。これは国会が決めた法律であり役所が決めるものではない。「計画」に ついては、現行では国立学校設置法に、各大学の評議会がこれを「審議」する とある。法律に書かれた審議という言葉は「話題にしてもよい」などという意 味ではあり得ない。その効力の強弱は別として、何らかの決定権を伴わなけれ ば意味がない。どの法律も文科省にこれを越える権限を与えてはいない。独法 化ではこれが完全に覆るのみならず、国会が関与する余地もない。すなわち 「官」による独裁制である。  文部省(当時)の高等教育局長でもあった大崎仁氏が所長を務める「国立学 校財務センター」が二〇〇〇年一月に出した、欧米主要国の大学の状況をまと めた報告書がある。それによると、「政府による目標の指示、実行計画の認可、 変更命令というような『独立行政法人』的手法を採っている例はない」と断じ ており、この「中期目標」などの制度が国際的にも異常なものであることが分 かる。  評価制度についてもやはり文科省の権限が強化される。現在の「大学評価・ 学位授与機構」の評価制度にも問題があるが、独法化制度ではさらに文科省に 設置される「国立大学評価委員会」による評価が加わり、しかもその結果が各 大学への資金配分に直結される。国会による予算審議権は事実上廃止される。  さらに強烈なのは大臣の廃校権限である。かつての大学紛争時代に「大学管 理法」(大学の運営に関する臨時措置法)が国会で大きな争点となったが、そ こには大臣による業務停止の権限が規定されていた。しかしそれは「紛争」が 長期に解決しない場合だけである。独法化制度では「紛争」など関係ない。大 臣の評価次第で「所要の措置」、すなわち継続か廃止かの措置が取られるので ある。  独立行政法人の「独立」の名に値するかも知れない数少ない例は、最後の欄 にある会計制度であろう。国からの金が細かく使途を限定されずに運用できる というのはその通りかもしれないが、金額自体はそれこそ「独立」の名のもと に減らされることが想定されており、このため授業料の値上げが必至と見られ ている。世界的にもすでに最高水準にあるわが国の学費がまたさらに押し上げ られることになるだろう。  先に挙げた調査検討会議の「最終報告」には新たに職員の「非公務員化」が 盛り込まれた。これについてはマスコミは一様に「自由が拡大」という見方を しているが、果たしてそうだろうか。これはすなわち「教育公務員特例法」の 身分保障の適用対象から外されるということであるが、この法律は「学問の自 由」を人事の面で支えるものとされている。身分保障の廃止は、経営側に取っ ては「自由に」解雇出来ることではあろうが、教職員にとっては自由への抑圧 になりかねない。  以上見たようにこれは、独立行政法人制度の「独立」という言葉とは正反対 に、文科省の大学支配の合法化以外の何ものでもない。このような制度が実現 してしまえば、大学は今まで以上に国民にではなく「官」にばかり気を使い、 天下りが横行し、研究は論文数にこだわって短期的成果ばかりを求めるように なるだろう。そして何よりも大学が社会に対して持つべき重要な役割、すなわ ち批判者としての役割は最低限のレベルに落ち込むだろう。そのような国家が どのような危険な道を辿ったかは、我が国の近い過去を見れば明らかである。  すなわち独法化とは、憲法二三条の「学問の自由」とその保障としての「大 学の自治」に対する、そして教育への官僚支配を禁止した教育基本法一〇条に 対する真っ向からの挑戦なのである。言い換えればこの制度は「悪い」という よりむしろ違法なのである。憲法や 教育基本法に罰則がないから見過ごされ ていいというものではない。 公務員削減が発端  政府が国立大学を独法化しようと決めた動機は、これで公務員数を大幅に削 減できるという「行革」の「数合わせ」にあった。当初は文部省もこれに反対 していた。一九九七年一〇月、当時の町村信孝文部大臣は、記者会見で「独立 行政法人のねらいは、効果的な業務の実施にあるが、文部大臣が三〜五年の目 標を提示し、大学がこれに基づき教育研究計画を作成、実施する仕組み、及び 計画終了後に、業務継続の必要性、設置形態の在り方の見直しが制度化される 仕組みは、大学の自主的な教育研究活動を阻害し、教育研究水準の大幅な低下 を招き、大学の活性化とは結びつくものではない」と表明している。  しかし、意外にも国立大学出身の有馬朗人文部大臣(当時)が独法化を決定 し、その後はお決まりの官主導による「関係者の合意」のシナリオが進められ ていくことになる。  文部省(当時)による独法化表明の後も、いくつかの教授会や全国理学部長 会議、農学部長会議が反対を表明するなど大学の抵抗は見られたが、全学長で 組織する国立大学協会(国大協と略称)が「調査検討会議」に二〇〇〇年六月 に参加を表明するや、反対の声は急速に衰えていく。大学側の意気地無さもさ ることながら、教育基本法一〇条に反すると思われる長年の文部省による大学 支配の常態、すなわち予算や組織再編をめぐっての「構造的な脅し」が強く作 動し、大学首脳部が「反対」を口にすることはなにがしかの覚悟を要する事態 になっている。  その結果「自分の大学の生き残りのために重要なのは独法化への対応だ」と いう言説が、首脳部だけでなく「下から」も発せられるようになる。しかし 「生き残り」とは社会の中での「自然淘汰」のことを意味するのではなく、文 科省によって「殺される」という意味であることは、同省自らがこれを証明し た。昨年六月一四日、文科省の工藤高等局長が国立大学の学長らを前にして、 「努力が見られないと・・・見捨てていかざるを得ない局面があるかもしれな い。・・脅しをさせていただく」と言ったのである。  脅しは十二分に効果を発揮し、多くの大学が、独法化に反対するどころか、 やみくもの「再編・統合」に忙しい。全国の国立大学の学長が一官僚の恫喝に ひれ伏すという光景は、もはや奇観と言うほかはない。 改革の主体は誰か  組織としての批判勢力で最大のものは国立大学・高専の教職員組合の全国連 合「全国大学高専教職員組合」(全大教)である。この組織はニュアンスの違 いはあれ今日まで独法化反対を堅持している。一方、日教組の大学部門である 「UPIセンター」の責任者は、筆者との会見で独法化に反対ではないと述べ た。「大学自治を守る方策が取られるはず」との予想からだが、是非とも調査 検討会議の「最終報告」を吟味し、それが根拠のあることかどうかを再検討し ていただきたいと思う。  この問題で最も責任を負うべきは大学の教授会であるが、ほとんどの教授会 は沈黙して「アカウンタビリティー」に背いている。しかし「最終報告」以後、 一部ながらこれへの批判決議なども上がってきている。  反対運動に勢いがないもう一つの原因は、当然の事ながら大学は多くの問題 や欠陥をかかえており、しかも大学の自発的な改善能力には限界があるという 事実にある。どのような組織でも「他者」の介入がない限り健全さは維持でき ないというのは普遍的な原理である。  そこで私は改革の出発点として二つのことを提案したい。まず、大学改革と 大学運営への「学生参加」を認めることが重要だ。これは一九九八年のユネス コ「21世紀に向けての高等教育世界宣言」で強調されていることでもある。次 に、各大学には「運営諮問会議」が数年前から設置されているが、現状の「お 偉方人事」を排し、メンバーに学生とともに地域の市民に加わってもらうこと で、大学運営への市民参加に道を開くべきである。これらは教育基本法一〇条 が言う「国民全体に対し直接に責任を負つて行われる」ための重要なステップ になるはずだ。  政府の経済財政諮問会議は、大学の独法化を予定より一年前倒しして、〇四 年度から実施する検討を始めている。対する阻止運動が目立たず、強力でもな い最大の理由はおそらく、この問題が憲法や教育基本法に関わる重大問題であ るという事実が、これらの擁護を主張する人たちの間でさえ十分に認識されて いないことにあると思う。そこで「独法化阻止全国ネットワーク」では知識人 や諸団体への情宣活動を重視していくつもりである。また国会請願署名にも取 り組んでいる。 「独立行政法人化は大学改革である」という言明はもともとウソであったし、 それはわずか数年前まで文部省も含め大学関係者全体の常識であった。今起き ている事態は「ウソも百編くり返せば本当になる」ということである。推進者 の側は、これから国会審議までの長い時間このウソを隠し続けなければならな い。記者クラブメディアによるウソの隠蔽が失敗したとき、そして真実が広く 国民に知られたとき、この陰謀は音を立てて崩壊するだろう。」 ---------------------------------------------------------------------- [89-6-2] 渡邊信久「国立大学法人化による権力介入の可能性に不安」 週間金曜日4月26日号 (渡邊氏コメント「「運用」で大丈夫というような考え方[88-1-6]はダメだと 思います.」) 国立大学法人化による権力介入の可能性に不安  三月二六日に、国立大学等の独立行政法人化に関する文部科学省の調査検討 会議の最終報告「新しい『国立大学法人』像について」が出てしばらく経った。 教育公務員特例法の適用から外れる非公務員型となっても周囲の反応はどうも 今一つ鈍い。年度末で忙しかったし、何か言ってもどうせ流れは変わらないし、 どうでもいい、という気分なのかもしれない。私自身は、権力の介入の可能性 のある制度を作ってしまうことにどうも反対なのだが、特に深刻に受け取って いない人は、たとえば「公務員型であろうが非公務員型であろうが、自分はちゃ んと研究をやっているから大丈夫」という程度にしか考えていないのではない だろうか。  制度を作る場合、その制度が実際にどう機能する可能性があるかということ をよく考えておく必要があるように思う。ちゃんと運用すれば大丈夫というの は間違っているし、まして今の大学人が、政財官に負けず大学の側の論理で制 度を運用する能力を持っているかという点には、大いに疑問がある。  最終報告では、「業績に対する厳正な評価システムの導入とインセンティブ の付与」が謳われている。今でも「そんなことを言っていたら金がこない。そ れでもよいのか」などと言うのが大学人である。私自身も、さまざまな競争的 資金への申請時には「受け」を考えるのだから、たとえば「トップ30」への申 請は、予算獲得のために、文部科学省の望むとおりの作文を大学側がしてしま うのではないかという不安がある。法人化されたらさらにひどくならないだろ うか。  教員任期制法の衆参両院の付帯決議でさえ全く安全装置にならないのだから、 制度そのものの中にきちんと安全装置を設計しないで、運用時に注意深くすれ ば大丈夫と考えるのは非常に甘い。大学法人の「運用」は本当に大丈夫だろう か。」 ---------------------------------------------------------------------- [89-6-3]週報読者からの便り 「Date: Tue, 23 Apr 2002 10:02:08 +0900 Subject: 社員は悪くないのです! ヘンテコな用語”非公務員型”が横行している。そもそも”非公務員”とは何 ぞや?。”移行”とはなんぞや?。 企業倒産!、一旦全員解雇、再雇用とどこが違うのか?。 ”非公務員型”とはヘンテコなキャッチフレーズを作るのがダイスキな文部省 の久々の大ヒットなのかもしれない。公務員の非公務員への強制的な移行が解 雇でないなどという屁理屈がまかりとおるはずなどない。Aを非A化する。とい うことが移行であるはずがない。(このような非論理的な思考ができる官僚、 受け入れる大学教授連を生んだ我が国の教育はヒドイものではある。もっとも こんな屁理屈を平気で言う文部省が上におればやむを得ない。) B社が社員を全員、”非B社員型への移行”をして、全員保障の無いパートにし たとしたら、労働基準局はどう指導するでしょう。移行なんて屁理屈が通りま すか? いままで政治的,労働的権利の一部を公僕として制限される換りに、与えられ ていた保障を権利の執行なしに一方的に解雇(でしょ!)することが、現行の 労働法規、憲法と整合性があろうハズも無い。無論、国家倒産の危機ゆえの処 置ならばありえようが、当然、文部省首脳陣は経営責任取って全員辞職で、い ままでの退職金も辞退、あるいは返納していただかないと、末端の教員、特に 職員は納得できるものではありませんね。 首切る前にすることないですかな?。せめて”大学は悪くないんです。文部省 が悪いんです。”と号泣するパフォーマンスぐらいできないんですかね。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題に関連する情報(主に新聞報道・ オンライン資料・文献・講演会記録等)へのリンクと抜粋を紹介。種々のML・ 検索サイト・大学関係サイト・読者からの情報等に拠る。転送等歓迎。 【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ ひ読んで頂きたいもの。 【関連サイト】http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp ------------------------- 発行部数(括弧内は4/21からの増減) (2002.4.29 現在) 1747(+10): Mag2:1000(+3)|CocodeMail:391(0)|Pubzine:96(0)|melma:82(+2)|  melten:56(0)|melonpan:54(+8)|Macky!:40(-2)|emaga:26(-3) 直送 860(北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・国会議員等) ------------------------- Digest 版 Mailing List (国立大学通信,he-forum,reform,aml,d-mail) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End of Weekly Reports 89
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