==> |Back Number総目次と登録国立大学独立行政法人化の諸問題
直接配信希望の方は Subject 欄に sub wr と書いたメールを
tujisita@math.sci.hokudai.ac.jpに送ってください。
メールマガジンサービスを利用される方は下欄を利用してください。

visits since 2002.5.20

国立大学独立行政法人化問題週報

Weekly Reports  No.90 2002.5.20 Ver 1.2

http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-90.html
総目次:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/all.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  巨大な悪行は実は、小さないくつもの陳腐な悪事から成り立っている。 (ハンナ・アーレント)http://www.jcj.gr.jp/relay.html#20010828 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━               目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [90-0] 内容紹介  [90-0-1] 解散せずに決められることなのだろうか  [90-0-2] 憲法を目障りに思う存在  [90-0-3] 有事法制と創造性  [90-0-4] 公務員の「政治的活動」  [90-0-5] 拡大し続ける文部科学省の権限  [90-0-6] 私立大学からの疑義  [90-0-7] 中教審答申への長谷川氏意見書  [90-0-8] 『大学管理のプロパガンダ』  [90-0-9] 国立大学法人は独立行政法人の別称であることが判明 [90-1] 国家公務員としての国立大学教職員の義務  [90-1-1] 豊島耕一「国家公務員の政治活動の制限・禁止について」より [90-2] ◆大学人の最低限の「社会貢献」は大学存立の原理を守ること [90-3] 日本輸血学会評議委員会決議 [90-4] 高等教育政策  [90-4-1] 育英会廃止 有識者会議発足へ  [90-4-2] ◆「「知の拠点」を目指した大学の施設マネジメント」   [90-4-2-1]Yahoo!BBSより「文教施設部長の妄言」  [90-4-3] 参議院文教科学委員会4月25日議事録より   [90-4-3-1]有馬朗人議員(自民党・元文部大臣)   [90-4-3-2] 内藤議員(民主党)/◆なぜ独立行政法人化か?   [90-4-3-3] 鈴木議員(民主党)   [90-4-3-4] ◆林議員(日本共産党)/国立大学法人制度の詳細   [90-4-3-5] 西岡議員(自由党) [90-5] 大学改革に関連する意見  [90-5-1] ◆長谷川浩司氏パブリックコメント  [90-5-2] ◆毎日新聞編集部への竹田氏書簡より  [90-5-3] 朝日新聞社説2002.5.16 「法科大学院―改革の理念を貫くには」 [90-6] 個人情報保護法案の行方  [90-6-1] ◆個人情報保護法案拒否!共同アピールの会「個人情報保護基本法(案)」   [90-6-1-1] 同会主催「5/26法案拒否!から国会拒否!へ」(解散を求める集会)  [90-6-2] ◆桂 敬一「日本の個人情報保護法制化の動きに関する一考察」(2000.3)より  [90-6-3] 三重県議会2002.5.17「政府提出の個人情報保護法案の撤回を求める決議」  [90-6-4] 北海道新聞社説「個人情報法案 小手先修正では済まぬ」 [90-7] 有事法制を巡って  [90-7-1] 共同通信世論調査2002/5/4  [90-7-2] 「軍隊を持たない国コスタリカ いのちが一番大事と教えている国」  [90-7-3] 有事法制に反対する地方自治体議員・共同アピール  [90-7-4] 三重県議会2002.5.17「政府提出の有事法制関連法案の撤回を求める決議」  [90-7-5] 市民と憲法研究者をむすぶ憲法問題Web   [90-7-5-1] 清水雅彦「有事法制・改憲論を考える〜その分析と問題点〜」  [90-7-6] 朝日02.5.6「イージス艦派遣、海幕が米軍に裏工作 対日要請を促す」   [90-7-6-1] 朝日新聞2002.5.7米軍に裏工作報道は「事実に反する」 中谷防衛庁長官  [90-7-7] 毎日02.5.17「同時多発テロ:事前に情報を得ていたと発表 米ブッシュ政権」   [90-7-7-1] 「ブッシュは同時多発テロを事前に知っていた!  [90-7-8] ◆【書評】有事法制を強行するための『戦争プロパガンダ10の法則』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [90-0] 内容紹介など ---------------------------------------------------------------------- [90-0-1] 解散せずに決められることなのだろうか  国会が終盤を迎え、解散して主権者の意思を問うてもおかしくない重大法案 が、主権者の合意もない[90-7-9]中で、政府が審議でまともに答弁もできない 状態のままで、可決されてしまうのではないか、と予想されている。主権者の 多くの運命を左右する問題の帰趨が、与野党の政治的駆け引きに委ねられてい るとは・・・立法機関の暴走という「法システムの危機」を管理するシステム を欠いた危ない国である。違憲な法律が国に危害を及ぼすことを防ぐために迅 速に無効にできる「違憲立法審査権」が憲法により司法に与えられているが、 「司法消極主義」を宣言し、司法が使命の遂行から逃避し続けて、はや50年 が経過している。 ---------------------------------------------------------------------- [90-0-2] 憲法を目障りに思う存在  日本国憲法は、世界のすべての人々の幸福に重大な関心を持つため、社会的 な勢力を持つ者・持ちたいと思う者や、日本の繁栄にしか関心がない者、等に とっては非現実的に見える実に不愉快で許しがたい条項に満ち満ちている。特 に、日本を実質的に支配している行政機構にとって、憲法ほど邪魔でお荷物な ものはないのではなかろうか[90-7-5-1]。しかし、50年前に違憲立法審査権 の「停止」に成功した後は、憲法を余り気に留めず立法が行えるようになり、 最近では、明らかに違憲な法律を通してもジャーナリズムもさして問題にせず、 ほとんどの人は気にも止めなくなり、万々歳、というところだろうか。  そして今、憲法9条と明白に矛盾する法案を可決させようと熱意を持った人 達が国会に犇めいている。憲法99条により憲法の擁護を義務付けられている 人達にはそれは許されていないことを知っているのだろうか。夥しい人柱の上 に建てられた憲法をここまで足蹴にすることは恐れ多いことではないだろうか。 ---------------------------------------------------------------------- [90-0-3] 有事法制と創造性  自衛隊の存在と憲法9条とを整合的と思う者は居ないだろう。国の正面に嘘 を堂々と掲げ半世紀も経過すれば国の隅々まで嘘の精神が浸透することになら ないだろうか。その嘘を明文化する「有事三法案」が今国会で審議されている。 多くの反対の声が上がっている[90-7]が、今週強行採決される可能性が高い。 現政権の正体が明らかになる時が刻々と近づいている。  憲法9条を公理として国策を組み立てる、誇り高い困難な使命の遂行に必要 な忍耐・智慧・配慮・譲歩を厭い、ステレオタイプで時代遅れで傲慢で非現実 的な軍事的平和政策に退行していく様は、日本という国の創造性の衰退を目の 当たりにするようで、つらい。 ---------------------------------------------------------------------- [90-0-4] 公務員の「政治的活動」 独立行政法人化阻止全国ネットワーク世話人会による声明[90-2]は、種々の取 組みを呼びかけている。独立行政法人化は憲法23条が保障する学問の自由を 種々の形で法的に弱体化させるもので、違憲度が極めて高い。国立大学教職員 がこれを看過することは、憲法の擁護を義務付けられている公務員としての義 務を怠ることになるという点を頭の片隅に置いておく必要があるのではないか [90-1]。  ところで、独立行政法人化反対を表明することは公務員に禁止されていると 思っている人が居るかも知れない。法的に公務員が禁止されている政治的活動 は(選挙活動や特定政党の支持以外では)「日本国憲法に定められた民主主義 政治の根本原則を変更しようとする意思」に基づく活動だけである[90-1]。こ のことが法律ではなく、官が自由に定めることができる「人事院規則」の運用 方針でしか述べられていないのは驚くべきことである。この「運用方針」がな ければ人事院規則は明白に憲法違反となるであろう[90-1-1]。 ---------------------------------------------------------------------- [90-0-5] 拡大し続ける文部科学省の権限 文部科学省施設部が、国立大学法人化後に、国立大学全体の施設を一元的に管 理する方針をまとめた[90-4-2]。国立大学全体に対し隠然たる影響力を持って きた施設部が、法人化後は国立大学全体の全施設を掌握することを宣言したと 言えるだろう。法人化後は、国立大学施設は、文部科学省が各大学各部局に貸 し出す形式になるので、施設部の権限は大きなものとなるだろう。それを象徴 するかのように、この4月、北大構内にレンガ作りの豪邸のような中央配電所 が完成した。一方では、医学部のように、雨漏りがし鉄骨の錆が目立つ校舎で 教員と学生の日常的な教育研究活動が行われているところもある。  国立大学の建物はすべて施設部が設計するため、帯に短し襷に長しで、どの 部局にとっても使いづらいものになる[90-4-2-1]。第二次科学技術基本計画で は国立大学施設整備費として5年で1兆6千億円を支出することが総合科学技 術会議で了承されているが、このような有様では、本当に教育研究を活性化す るように税金が使われるのだろうかと、不安になる。法人化後に政府が大学に 対して持つ絶大な権限への歯止めは、文部科学省本省の職員の方々の善意と良 心だけであることが既に証明されていると言えるだろう。  「法人化諸法案」を審議する年末あるいは来年の国会で「大学の自主性・自 律性を高めるための国立大学法人化だ」と誰かが説明しても信じる人は少ない だろう。 ---------------------------------------------------------------------- [90-0-6] 私立大学からの疑義  「内なる大学改革ー理系大学人の発言」を昨年出版した竹田保正氏は、私立 大学に勤務されているが、国立大学の独立行政法人化に対し批判意見を展開さ れている[90-5-2]。 ---------------------------------------------------------------------- [90-0-7] 中教審答申への長谷川氏意見書  東北大学の長谷川浩司氏が、中教審の中間報告「大学の質の保証に係る新た なシステムの構築について」に対してパブリックコメントを送付している [90-5-1]。いつもながら、簡潔に核心を衝く意見書である。「評価の際に計上 されやすいであろう学生の在籍数、特許取得数など、あらゆる種類の数値目標・ 数値制限も、質を保つ上で大きなネックである。」も、大学院重点化した大学 の多くが痛感していることであろう。 ---------------------------------------------------------------------- [90-0-8] 『大学管理のためのプロパガンダ』 『戦争プロパガンダ10の法則』という本がある[90-7-8] 。戦争を開始する ときに国が使うプロパガンダを例示したものだ。最近の大学管理プロパガンダ も取り上げると面白いかも知れない。「自主性・自律性を高める」と言いなが ら独立行政法人化により徹底した大学管理体制を樹立する所は、不法に手枷足 枷をつけてきた管理者が行動の自由までは干渉できないことを不満に思い、収 容所に入れるときに手枷足枷は外すことを恩に着せるのと似ていないでもない。 また「基礎研究が大事なことは余りに自明なことなので言及する必要も感じな い」と言いつつ、基礎研究のための条件を確実に消去していく政策も同じ類い の印象を受ける。 ---------------------------------------------------------------------- [90-0-9] 国立大学法人は独立行政法人の別称であることが判明 4月25日の参議院文教委員会で、林議員の質問に答えて、工藤高等教育局長 が、国立大学法人(仮称)も、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の 評価を受けることを認めた[90-4-3-4]。ようやく、国立大学法人が、独立行政 法人の別称であることが明確になった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━               本 文 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [90-1] 国家公務員としての国立大学教職員の義務  国家公務員が禁じられている政治的行為は「日本国憲法に定められた民主主 義政治の根本原則を変更しようとする」ものと人事院規則の運用方針により定 められている(・・・この運用方針なしには人事院規則は言論の自由との整合 性がなく違憲となるであろう)。国立大学教職員は独立行政法人化批判をする ことが自由にできるだけでなく、逆に、批判しないことは公務員の義務に反し ていることに注意すべきである:「国立大学法人(文部科学省案)」が実現す ると、憲法23条を法的に補強する教育公務員特例法が大学部門について失効 する一方、政府が大学の全活動を監督する権限が法的に保障され、さらに、学 外者が強い権限を持つトップダウンな大学運営形態が法的に義務付けられ、憲 法23条は法的に無効化される点で、同案の違憲度は極めて高く、国立大学教 職員が同案の実現に批判せず協力することは憲法99条が国家公務員に課して いる憲法擁護の義務に反していることになるし、それ以前に、「この憲法が国 民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなけ ればならない。」と憲法12条が国民に課す義務をも怠っていることになる。 なお、言うまでもないことだが、「国立大学法人(案)」をまとめ法案化を進 めている文部科学省の職員の行為は憲法99条との整合性を問われる。 ○日本国憲法第99条(憲法尊重擁護の義務)天皇又は摂政及び国務大臣、国 会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 ○国家公務員法百二条(政治的行為の制限)>5 人事院規則で定める政治的 行為をしてはならない。 ○人事院規則14ー7(政治的行為)5.政治的目的とは、次に掲げるものを いう。・・・五 政治の方向に影響を与える目的で特定の政策を主張し又はこ れに反対すること。 ○人事院規則一四−七(政治的行為)の運用方針(五)第五号関係    本号にいう「政治の方向に影響を与える意図」とは、日本国憲法に定めら れた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思をいう。「特定の政策」 とは、政治の方向に影響を与える程度のものであることを要する。最低賃金制 確立、産業社会化等の政策を主張し、若しくはこれに反対する場合又は各政党 のよつて立つイデオロギーを主張し若しくはこれらに反対する場合或は特定の 法案又は予算案を支持し又はこれに反対する場合の如きも、日本国憲法に定め られた民主主義政治の根本原則を変更しようとするものでない限り、本号には 該当しない。」 ---------------------------------------------------------------------- [90-1-1] 豊島耕一「国家公務員の政治活動の制限・禁止について」より http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/PoliticalActivities.html 「国家公務員法102条は,「人事院規則で定める政治的行為をしてはならな い」として政治活動の禁止を述べ,それを受けて人事院規則はこと細かに禁止 事項を並べている.いわく,政治的団体の結成を企画したり援助してはならな い(6項-5号),政治的団体への勧誘運動をしてはならない(6-6),集会など で拡声器を使って政治的な意見を述べてはいけない(6-11),政治的な演劇を 演出してはならない(6-14)など十七項目にも及ぶ.しかもこの制限は勤務時 間外にも,また,常勤の職員だけでなく非常勤職員にまで適用されるのである.  政府活動に携わる公務員が,その公平,公正さを保つために,政治活動にお いて何らかの制限を受けるということはあり得るだろうが,このような,言論 の自由の原則を踏みにじるほどの規則は憲法に照らせば違法である.しかも政 府活動とは関係のない国立大学までも縛っている.しかし問題はそれだけでは ない.国家公務員法102条は,「法の支配」という根本原則にすら反してい るように思われるのである.それは,禁止する行為である「政治的行為」の定 義を法律ではなく「規則」に委ねていると言う点である.「規則」は立法府に よることなく省庁などの官僚組織だけで決めることができる.このことは,何 を禁止するかを官僚組織に自由に決めさせるということで,「法の支配」とは 正反対の「人治」そのものである.  同じような,実質的な事がらをより下位の規則で決めるというやり方は,人 事院規則とその「運用方針」の間でも見られる.たとえば,規則5項五号で 「政治の方向に影響を与える目的で特定の政策を主張し又はこれに反対するこ と」は禁止の対象となるべき「政治的目的」を持つものとしている.しかしこ の条項の「運用方針」では,「政治の方向に影響を与える目的」とは「日本国 憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思をいう」と して,単に諸政策を議論し批判するのはこれに当たらないとしている.  日常的語法では,人が何らかの政治的発言をするとき,それは何らかの意味 で「政治の方向に影響を与え」たいからだと考えるのは当然だろう.普通の人 がそのような気持ちで規則5項五号を見れば,政治的な事は何も言ってはいけ ないのだと思ってしまうに違いない.さすがにこれではあんまりだと思ったの か,「運用方針」で限定を加えているのである.しかしこの「限定」はまさに 人事院という役所の慈悲次第であり,そのような「運用」が常に行われるとい う保障はないのである.これはまさに最近よく言われる「官主主義」の見本の ようなものだ.いわば,このような法やその運用のありかたそのものが「日本 国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする」ことそのも のである.  「運用方針」の最後の第五項では,「この規則は憲法第二十三条に規定する 学問の自由を拘束するような趣旨に解釈されてはならない」として学問の自由 への配慮を示しているが,このような「注意書き」が必要なこと自体,規則そ のものにこの危険性があることの証拠である.・・・・」(1996.3.2) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [90-2] ◆大学人の最低限の「社会貢献」は大学存立の原理を守ること http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/seimei020509.html                             2002年5月9日 大学人の最低限の「社会貢献」は大学存立の原理を守ること     -- 見解と行動提案 --       国立大学独法化阻止 全国ネットワーク 世話人会        http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet.html http://www03.u-page.so-net.ne.jp/ta2/toyosima/daigaku/znet.html             (要約)  国大協に国立大学を代表しての「独法化承認」の権限はない.また,4月1 9日の総会決定が大学関係者の多数意見である証拠もない.各大学で「全学投 票」の実施を呼びかける.  国会の承認もない「独法化」のための準備行為は違法である.国立大学の独 法化は,研究・教育に重大な支障を生じるというだけではなく,憲法・教育基 本法の重要な原則に違反する.この点での専門家の発言と関与を求める.  大学関係者の方々は,個々の大学の「生き残り」の問題だけでなく,我が国 の大学制度の根幹が崩壊の危機にさらされているという深刻な事実を認識して いただきたい.  独法化阻止運動は,政府が法案作成に本格的に着手するこれからが正念場で ある.国民各位,学生の皆さん,大学教職員の方々はそれぞれの立場で主権者 としての権利を行使し,また当事者としての責任を果たしていただきたい.特 にこれからは国会議員や政党への働きかけが重要になる.あらゆる政党の議員 に手紙を送り,面会を求め,この問題の本質を理解してもらう努力をお願いし たい.また,記者や編集者に積極的に語りかけるなど,メディアに対する働き かけを強めよう.学生の皆さんに特に訴えたいのは,独法化は学生の自主活動 の「天敵」であるということだ.  独法化反対運動は同時に,社会的認知度が低い教育基本法10条を「再発見」 するためのものでもある.また,98年のユネスコ「高等教育世界宣言」などを 参照しながら,学生参加,市民参加による大学改革を要求していかなければな らない.  政府の「独法化」決定は動かし難いかに見えるが,実はこの決定は「独立行 政法人化は大学改革である」というウソに支えられており,常に不安定な状態 にある.また,この問題で国会審議は始まっていないどころか,法案の提出以 前の段階である.政治の基盤は国民一人一人の独立した意思にあるという,民 主主義の原則に立ち,個人個人が発言することによって,事態を変えていこう. 行動提案  イ)大学存立の原理を次世代に伝えることは大学教育の重要な項目である. 大学の教員の方々は,どのような科目の授業も,独法化問題の本質を学生に知 らせるのに適切な場であると理解していただきたい.  ロ)各大学で文部科学省の「最終報告」の可否を問う「全学投票」の実施を 大学に求め,あるいは学内諸団体で独自に実施していただきたい.  ハ)学生自治会,学科会議,学部教授会,大学全体,あるいは研究会,学会 などで独法化反対決議を上げること.  ニ)国会請願署名運動(全国ネットでも実施)  ホ)国会議員,政党への働きかけ  へ)自治体への働きかけ  ト)メディアへの積極的な情報提供.取材を待つのではなく,相手が興味を 持つようなやり方で情報を持ち込む.  チ)関係文書を英訳して世界の大学コミュニティーに訴え,この問題を「国 際化」する. ------------------------- (全文) 大学人の最低限の「社会貢献」は大学存立の原理を守ること 1.国大協は臨時総会決定の「批准」を各大学構成員に求めるべきである  去る4月19日,国大協は臨時総会を開き,文部科学省「調査検討会議」の 最終報告を基本的に肯定する会長談話を承認した.これは,「通則法による独 法化に反対」とした国大協の基本方針を裏切り,また新たに持ち出された「非 公務員化」についてはそれぞれの大学の教職員の意見を聞くことさえもせずに 決定したもので,およそ学者のとる行動とも考えられない.  そもそも,任意団体(つまり学長のサークル)にすぎない国大協に,国立大 学制度そのものの変更のような重大事項に関して,国立大学全体を代表するよ うな権限は委任されていない.国大協会則の第4条には次のようにある.  「協会は,国立大学相互の緊密な連絡と協力をはかることにより,その振興 に寄与することを目的とする.」  この条文,そしてそれに続く「事業」を定めた条文からも明かなように,国 立大学を国立大学でなくするような決定に関与することは,少なくとも会則か らは可能ではない.したがって,先の国大協の決定をどうしても「大学全体の 合意」と称したいのであれば,それにふさわしい措置が前提とされなければな らない.すなわち,大学教職員全体の意見を「全学投票」などの特別な手段に よって確認する義務がある.  決定の合法性の問題と共に,先に指摘したように決定の内容も大学の社会的 使命に反する無責任なものである.その最高責任者である長尾真氏は,もはや 大学コミュニティーの代表ではなく,無謀かつ盲目的な政府の大学政策の水先 案内人に過ぎない.もはやこの人がいくら「リーダーシップ」という言葉を使っ ても,それは「霞ヶ関官僚のリーダーシップの代行」という意味としてのみ理 解されるだろう.そしてこの事は多かれ少なかれ,会議で「談話」に賛成の挙 手をしたすべての学長に当てはまる.  反対ないし疑問の発言をされた,そして挙手採決においても毅然として反対 の意思を示された少数の学長諸氏の見識に敬意を表したい.当たり前のことで あっても,大勢に逆らって意志を表明することは勇気の要ることである.これ ら勇気ある反対派の学長の方々は,これから始まるであろう国民的議論におい て指導的役割を果たし,その中心に位置する国会審議に際しても,真理への忠 誠を示し続けていただきたい.多数派か少数派かは真理の基準ではないし,ま た国大協での多数は大学関係者の多数を意味せず,むしろ逆である可能性の方 が高い.  作家の城山三郎氏は,「メディア規制法」がもし成立した場合,これに賛成 した国会議員や閣僚の名前を「言論の自由の死碑」に刻むと述べているが,国 大協が公然と独法化に賛意を示した今回の決定についても同様の事を提案した い.各大学で学長が「談話」に賛成したのか反対したのかを調査していただき たい.そして,賛成した学長の名前を碑に,城山三郎氏流に言えば「学問の自 由の死碑」に刻むのである.ただ,われわれは岩の碑ではなく,ネット上の無 数のハードディスクに刻むことになろう.  しかしまだ時間は残されている.過ちを改めないよりは,たとえ遅すぎても 改める方が良いのは明らかである.いや,むしろそれは勇気ある訂正として賞 賛に価する.今後の国大協総会においてこの決定を撤回していただきたい. 2.国会の承認もない「独法化」のための準備行為はおそらく違法である  一部には,「間に合わない」などと称して,独法化の「準備」に走る動きも 見られる.またそのような行為は今後増えるかも知れない.しかし国会に法案 の提出さえもなされていない,したがって今の段階では国民が可とも不可とも 決めていない制度改変に,「準備」と称して事実上着手することが法的に正当 とは到底考えられない.もしそのような目的で予算の支出が行われるとすれば, それは経費の「流用」として問題とされるべきであろう.  また以下に述べるように,独法化それ自体が憲法23条,教育基本法10条に違 反する疑いが大きいので,その準備行為はこの意味でも違法性を持つであろう.  大学首脳部をはじめすべての大学関係者の方々は,自分たち個々の大学の 「生き残り」の問題だけでなく,我が国の大学制度の根幹が崩壊の危機にさら されているという事実を深く認識していただきたい.すなわち教育・研究機関 が,政府の命令で動く行政機関に壊変*させられるという危機である.個別の 大学の目先の利益を,大学社会全体の共通の利益に優先させることは正当化さ れないだろう. 3.国立大学の独法化は憲法問題である  「有事」法制やメディア規制法が憲法問題であることは多くの人が指摘して いる.同様に国立大学の独法化もまた憲法問題であるとの認識が重要だ.「中 期目標」制度一つとってみても,このような大学の官僚支配が,「憲法と一体」 とされる教育基本法の10条に違反し,また「学問の自由」を保障した憲法23条 に抵触する疑いは濃厚である.これは他の機関の独法化問題とは異なっている.  もし独法化が違憲・違法であれば,それは政策の善し悪し以前の問題であり, 我が国が「法の支配」に基づく国なのか,それとも法を超越して「官」が支配 する国なのかが問われているのである.仮に「独法化」が国会で成立し「法」 となったとしても,憲法・教育基本法という上位の法の効力が勝るため,つね にその法自体の「違法性」が問われ続けることになろう.  国立大学の数多くの法律の専門家,教育行政の専門家の方々は,これらの問 題について,その職業的良心に基づいて自らの見解を公にし,国民の判断のた めの正確な情報を提供していただきたい. 4.独法化阻止運動はこれからが「本番」である  国大協が独法化を認めたことによって,大学の自由を守る防壁の一部は失わ れた.しかしこれは2年前に国大協が「調査検討会議」に参加を決めた時点で 半分は壊れたので,予想されないことではなかった.3月26日の同会議の 「最終報告」を機に政府が法案作成に本格的に着手し,それが国会審議に委ね られる段階に入ることによって,この問題は国民全体に正式に提示されること になる.したがってこれから独法化問題の国民的議論が本格的にスタートする ことになる.  大学関係者の方々は,これまでの経緯にとらわれることなく,みずからの研 究者・教育者としての良心にのみ忠実に,率直に意見を表明し,国民に事実を 正確に伝え,国民と議会の的確な判断を助けていただきたい.ここで沈黙する ことは,まさしく国民に対する「説明責任**」の放棄であることを自覚してい ただきたい.また,4月に失われた防壁の復旧の努力もしていただきたい.大 学存立の原理を守ること,この大学人としての最も基本的な社会貢献を抜きに して,どのような「社会貢献」も空疎に響くのではないだろうか.  マーチン・ルーサー・キング牧師の言葉に,「究極的に悪いのは悪人の残忍 さではなく,良識ある人々の沈黙である」***というものがある.大学に働く 人々は良識ある人々に違いない.これらの人々がもし沈黙をしなければ,単に それだけで大きな力を生じることになるだろう.  独法化を憂慮する個人,諸団体の皆さんに訴える.あらゆる方法を駆使して この問題の真実を明らかにし,一般国民に知らせる活動を強めていただきたい. 単に「声明」や「見解」を出しておけば義務は果たした,というような官僚的 な態度に陥ることなく,どうすれば本当に効果的なのか,ということを真剣に 検討していただきたい.  特にこれからは国会議員や政党への働きかけが重要になる.あらゆる政党の 議員に手紙を送り,面会を求め,この問題の本質を理解してもらう努力を共に 始めよう.国会議員は週末はたいてい地元に帰るので,東京に行かなくても面 会のチャンスはある.最大野党の民主党がこの問題で態度を決定していないと いうことを重視すべきである.同党は2年前に「中間報告」を纏めているが, 最終報告はまだ出していない.「規制緩和」を主張する同党が,このような文 部科学省の権限拡大に賛成するというのは不自然なので,少なくとも何らかの 批判的態度は期待できるはずである.  メディアに対する働きかけを強めよう.記者や編集者に積極的に働きかけ, 当局発表を無批判に垂れ流すだけの「記者クラブ・メディア」から脱せしめ, ジャーナリズムらしい問題の核心に迫る報道を求めよう.  また,この問題に関する文書を英訳して世界の大学コミュニティーに知らせ, この問題を「国際化」することも重要だ.国際協力が大きな力を発揮すること は研究分野だけに限らない. 5.独法化は学生の自主活動の「天敵」である  大学の最大の構成員であり,したがって最大の潜在的なパワーを持つ,学生 の皆さんに訴える.国立大学の独法化問題は,決して組織再編や行政改革の問 題などではなく,「学問の自由」,「教育の独立性」という,この社会の自由 を支える重要な価値の否定であることを見抜いていただきたい.大学で自由が なくなれば,社会全体の自由も危なくなる.大学内では,授業だけにとどまら ず,学生の独自活動--サークルや文化活動--も圧迫を受けかねない.  学生自治会などの役員の方に訴えたい.大学の独法化は,学生自治会にとっ てはその存在そのものを脅かす「天敵」だということに気付いていただきたい. 独法化後の大学で認められるのは「生徒会」だけかも知れない.自治会を「絶 滅」させないためにも,是非ともこの問題の本質を多くの学生に理解してもら う活動を始めていただきたい.  学生の役割に関連して,大学の教員の方にお願いしたい.この問題の憲法的 な重大さに比べ,反対の動きがたいへん鈍いのは大学教職員だけではなく学生 も同様であるが,これを変える責任の一部は大学教育にもあると言うことであ る.社会の悪弊に染まることも少なく,「既得権」的な利害にも縛られない若 い世代は,最も自由で鋭い発言が可能なはずだが,残念ながら学生の動きは大 学教職員以上に鈍いように思われる.(政治問題一般についても言えるかも知 れない.)これは,教育基本法8条で「教育上これを尊重しなければならない」 とされた政治教育が,これまでほとんど無視され続けてきたことが大きな原因 であろう.したがってこれを急速に回復することが大学教育に求められている. 独法化問題は格好の素材である.授業科目を問わず是非ともこの問題について 学生に語りかけていただきたい. 6.重要なのは個々人の主権者としての関与(コミットメント)  いったん政府が決意した政策を止めることはもちろん容易な事ではない.運 動の成否についての予想を単純に聞かれれば,負けの可能性が大きいと答える べきかも知れない.しかし予想が重要なのだろうか.独法化問題の展開はもち ろん自然現象ではない.われわれ一人一人が構成要素である人間集団の中の, かなり抽象度の高い相互作用に関する現象なのである.したがって個々人がど のように振る舞うかが決定的に重要なのである.そもそも政治の基盤は国民一 人一人の独立した意思にあるというのが国民主権の原則である.この民主主義 の原則が,とりわけ大学関係者に対して試されているのである.  また,一見動かし難いかに見える政府の決定も,実は決定的な脆弱さを持つ ことを見逃してはならない.「独立行政法人化は大学改革である」という言明 がウソであることは,わずか数年前までは文部省も含め大学関係者全体の常識 であった.今起きている事態は「ウソも百編くり返せば本当になる」というこ とである.推進者の側は,これから国会審議までの長い期間にわたって国民に このウソを隠し続けなければならない.つまり強固に見える「政府の決定」は 実はこのウソに支えられており,常に不安定な状態にあるのだ.  独法化反対運動は,単に独法化を阻止するという意味を持つだけではない. それは,憲法23条と教育基本法10条の意義を再発見するという積極的な活動で もある.憲法9条などと異なり,特に後者の条文の意味はほとんど知られてい ないので,これを独法化反対の根拠に掲げる人は少ない.歴代の文部省はわが 国の教育をこの条項に違反して統制しつづけており,そのような役所が10条を 教えることを奨励するはずもなかったのである.  また,この運動は大学の現状を肯定するものでもなく,その逆である.98年 のユネスコ「高等教育世界宣言」などを参照しながら,学生参加,市民参加に よる改革を要求していかなければならない.  「全国ネット」は,独法化阻止のために,そして国立大学の真の改革のため に,可能な限りの貢献をしたいと思う. *  「壊変」は物理学用語の借用.放射性物質が放射線を出して別の元素に変 わること. **  “アカウンタビリティー”の重要な要素の一つである. *** "The ultimate tragedy is not the brutality of the bad people, but the silence of the good people." Martin Luther King. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [90-3] 日本輸血学会評議委員会決議 学会評議委員会、「国立大病院のマネジメント改革」提言の白紙撤回要求を決議 【日本輸血学会速報】日経BP MedWave 2002年5月13日付 「日本輸血学会評議委員会は5月8日、国立大学医学部附属病院長会議が3月 に取りまとめた、附属病院のマネジメント改革に関する提言を白紙撤回するよ う求める決議を行った。9日の総会で今期総会長を務める東京大学附属病院輸 血部の柴田洋一氏が会員に向けて報告、10日に開かれた輸血問題検討部会では、 評議委員会が提言のどの点を問題視したのかを詳しく説明した。  この提言「国立大学附属病院の医療提供機能強化を目指したマネジメント改 革について」は、附属病院長会議常置委員会(委員長:千葉大学附属病院長・ 伊藤晴夫氏)が昨年3月から検討を進めてきたもの。2004年に予定されている、 国立大学の独立行政法人化を睨み、医療の質を担保しつつ効率的運営を図るた めの組織改革案などを示している。  提言では、国立大学附属病院の使命として、医療提供、教育研修と研究開発 の三つの機能があると定義。この前提を踏まえたマネジメント改革の方向性と して、1.病院長の権限強化と支援体制の改革、2.運営効率化のための組織改 革、3.医療の質向上のための機能改革、4.経営面のサポート体制改革、5. 安全管理・危機管理体制の改革、6.附属病院間の連携システム改革−−の6 点を提示している。評議委員会が特に問題視したのは、このうち2の組織改革 の部分だ。  輸血部、薬剤部、検査部などで働く医師以外の医療従事者を、新設する診療 支援部で一元管理。その上で既存の組織を見直し、必要と判断される部門に対 し、診療支援部から人員を配置する。これらの部門では外注可能な業務は原則 外注する−−。この“組織改革案”を提示した後、柴田氏は一言、「驚きあき れる内容」と述べ、この提言が採用されれば国立大学附属病院から輸血部など が廃止される恐れが強いと訴えた。  また、提言の「国の支援に対する要望」との項目で、各病院におけるマネジ メント改革の達成度評価に関し、“財政支援を受けるに適格かどうかを含め” て附属病院長会議が進捗状況をモニタリングする、と書かれている点も問題視。 達成度が補助金額を左右する可能性を匂わせて、各大学附属病院に無形の圧力 をかけるものであり、「現場への悪影響は計り知れない」と柴田氏は述べた。  「国立大学附属病院の医療提供機能強化を目指したマネジメント改革につい て」は、厚生労働省のホームページで概要(PDF形式)が公開されているほか、 全文が千葉大学附属病院のホームページなどに掲載されている。医師だけでな く薬剤師や臨床検査技師、診療放射線技師など、様々な医療従事者に大きな影 響を及ぼす提言だけに、国立大学附属病院に診療・教育・研究の三つの機能を 今後も付託すべきかを含め、何らかの「社会的な合意」を得る必要が出てきそ うだ。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [90-4] 高等教育政策 ---------------------------------------------------------------------- [90-4-1] 育英会廃止 有識者会議発足へ NHKニュース速報2002.5.15 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3945.htm 「文部科学省は、日本育英会に変わる新たな独立行政法人の組織や業務のあり 方を検討するため、今月中に有識者による会議を発足させることになりました。  政府は、特殊法人改革の一環として、現在の日本育英会を廃止した上、奨学 金の貸付業務は、新たに設ける独立行政法人に引き継ぐことにしており、文部 科学省で、その組織や業務のあり方などについて検討を進めています。  文部科学省は今後、必要な法案の策定作業を本格化させるにあたって、広く 国民の意見を聴く必要があるとして、今月中に早稲田大学の奥島孝康(オクシ マタカヤス)学長を座長に、大学関係者や経済界の代表からなる検討会議を発 足させることになりました。  検討会議は今月二十日の初会合の後、月に一、二回のペースで会合を開く予 定で、文部科学省では、今年中に海外からの留学生を含む学生支援のあり方に ついて提言を提出してもらう方針です。」 ---------------------------------------------------------------------- [90-4-2] 「「知の拠点」を目指した大学の施設マネジメント」 「今後の国立大学等の施設管理に関する調査研究協力者会議」報告 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/004/toushin/020501.htm (報道発表)国立大学法人(仮称)における施設マネジメントの在り方につい て−」について:文部科学省大臣官房文教施設部技術課 2002年5月10日 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/05/020505.htm 「第3章 法人化を踏まえた施設マネジメントの課題>1 施設マネジメント を行うシステムの構築>1)施設マネジメントのシステムづくり 「また,国 立大学の法人化に伴い拡大する経営面の権限を活用して,全学的な視点に立っ た意思決定システムを確立し,学部等の枠を越えた資源配分を実行することが 重要である。」 ♯(札幌市営地下鉄南北線北12条駅から北大構内に入った所にレンガ作りの 豪華な建物が完成した。プレートに「中央配電所」とある通り中央配電所を建 て直したものだが、第二期科学技術基本計画にある国立大学施設整備費(「5 年間で1兆6千億円*」)の有効な使い方だろうか、と話題になっている。しか し、「施設マネジメントシステム」というプレートに変るのかも知れない。) *http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/04/010418.htm ---------------------------------------------------------------------- [90-4-2-1]Yahoo!BBS「文教施設部長の妄言」 No5220 2002.5.18 独立行政法人トピ cpoirewjp 氏 http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=ED&action=m&board=1086166& tid=9qna9bga4nfhna99tc0afka1bfm2bda1aa&sid=1086166&mid=5220 「・・・・にもかかわらず、文科省は一律に施設基準をつくり、大学に強制し てきた。各大学は、規制の網目かいくぐり、必要な教室や教員研究室を確保す るために、どれほど涙ぐましい努力をしてきたことか。このインタビューには、 現場の痛みへの配慮など微塵も感じられない。  現在、「重点化」された国立大学には、こういう人間がつくった机上のプラ ンが、「個性的な施設」というふれこみで次々と措置されている。「共用スペー スのいたずらな増加」「ガラス張りの壁面や吹き抜けなどの必要以上の多用」 などがあるばかり。そこに個性の名に値するものは見られない。  画一的な流行が無反省に追い求められているというだけならまだよい。人間 の居場所が削り取られた結果、施設は使いにくいものとなり、使われなくなる。 メンテナンスにも膨大な費用がかかる……。文科省施設部の掲げるニューコン セプトは、膨大な国費の無駄使いにほかならず、大学の知的生産性を低下させ る役割すら果たしている。 独法化により、トップダウンの「経営」が強まれば、施設整備にはますます現 場の声が反映しにくくなる。そして、現行の施設整備の問題を何ら自覚しない 連中が施設担当役員として国立大学に乗り込んでくるのだろう。 独法化は、「効率化」や「予算の節減」すら達成することはできない。」 ---------------------------------------------------------------------- [90-4-3] 参議院文教科学委員会4月25日議事録より http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/425-san-bunkyou.html ---------------------------------------------------------------------- [90-4-3-1]有馬朗人議員(自民党・元文部大臣) http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/425-san-bunkyou-arima.html (遠山大臣)「そうした私は三つの大変重要な機能(#教育・研究・社会貢献) が大学にはあるわけでございまして、そのこと自体は言わば余りにも自明なこ とと考えております。今回の報告におきましてそのことが取り上げられており ませんのは、むしろ余りにも自明であるということで、・・・・」 ♯(「余りにも自明なので言わなかった」とは・・・) ---------------------------------------------------------------------- [90-4-3-2] 内藤議員(民主党)/◆なぜ独立行政法人化か? http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/425-san-bunkyou-naitou.html ---------------------------------------------------------------------- [90-4-3-3] 鈴木議員(民主党) http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/425-san-bunkyou-suzuki.html 「・・・その平均七十一万円というものを・・・・学生の意欲と志と頑張りに 応じて・・・・渡していくような教育クーポンとか教育バウチャーというのは 考えられるのではないか・・・」 ---------------------------------------------------------------------- [90-4-3-4] 林議員(日本共産党)/国立大学法人制度の詳細 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/425-san-bunkyou-hayashi.html 工藤高等教育局長「ありていに申し上げますと、独立行政法人の仕組みといい ますのは、主務大臣がこういうことをやってほしいというのは中期目標でその 法人の長に示しまして、・・・・それを法人の長として、じゃこういうふうに やりますというのが中期計画という位置付けのものでございまして、そこで何 となく契約関係みたいなのが成立すれば、じゃそれに伴うお金を差し上げましょ うというのが運営費交付金というお金の保証の流れになるのが、ちょっと誤解 を招くかもしれませんが、全体のスキームでございます。」「国立大学法人の 評価についても総務省の評価委員会の審査の対象になるものと理解してござい ます。」 ---------------------------------------------------------------------- [90-4-3-5] 西岡議員(自由党) http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/02/425-san-bunkyou-nishioka.html 「この問題はもう既に国立大学を独立行政法人化するということを前提として すべてが動いているということについて、私自身は基本的な実は疑問を持って おります。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [90-5] 大学改革に関連する意見 ---------------------------------------------------------------------- [90-5-1] 長谷川浩司氏パブリックコメント http://www.math.tohoku.ac.jp/~kojihas/020518pc 「2002.5.18 文部科学省高等教育局高等教育企画課 企画審議会係 担当者様 中央教育審議会中間報告「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築につい て」に対する意見を送付します。 記 ・報告は全体に大学の自由競争を促進する方向をうたっているが、財政的裏付 けがない中の競争は質の低下をまねかずにはおかない。地方自治体の努力で初 等中等教育については少人数学級がようやく議論されはじめたが、大学の教育 環境の整備は今後はむしろ後退するのではないか。大学が最も過密な教育環境 になりうるし、その場合大学が期待にこたえる存在であることは困難であろう。 いわば小銭稼ぎのための学問の切り売りによって本質が損われる可能性も懸念 される。 ・評価機関の評価がどれほどのものでありうるか疑問である。分野ごとのばら つきを排することは不可能に思われ、各種の数値を基準とするお祭りにおわる 可能性が大きい。長期的には大学が経済の下僕と化すのではないか。たとえば 学術会議の下に大学のあり方を論ずる常設機関(ユニバーシティ・カウンシル) を設け、大学に関する基本政策はここでの合意を原則とするなど、高等教育政 策に学問的視点が充分反映される道を強化すべきである。 たとえば理学部と工学部を一体化する際は届け出とするなどがうたわれている が、無原則にこのような傾向が拡大した場合、日本における基礎科学は崩壊す る虞すらあるだろう。 評価の際に計上されやすいであろう学生の在籍数、特許取得数など、あらゆる 種類の数値目標・数値制限も、質を保つ上で大きなネックである。 ・大学の質の問題は大学だけの問題ではないはずであり、社会全体の問題をそ のまま反映している面があることを無視できない。たとえば初等中等教育を含 む文科省の政策こそ、これを評価することが必要であろう。」 ---------------------------------------- 中教審中間報告「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/020401.htm はじめに 1基本的な考え方 2置認可の在り方の見直し 3第三者評価(適格認定)制度の導入 4法令違反状態の大学に対する是正措置 5留意点 ---------------------------------------------------------------------- [90-5-2] 毎日新聞編集部への竹田氏書簡より ♯(竹田氏のご好意で転載させて頂きます。) 毎日新聞社編集部 論説担当部署 御中                  2002年4月28日   前略  下記の5件の論説*を併せて読んで、感じたことを書きます。  今、国立大学に大きな困惑、動揺を与えている国立大学の組織変更、「独立 行政法人化」と、「国立大学7つをトップとする30大学の重点化ーいわゆる 遠山プラン」に関する貴紙の論説は、国立大学人はもとより、私のように私立 大学(理工系)におります教員にも、それなりに適切な主張、論説であると評 価されています。毎日新聞がこれらの論説を出されるについて、そうとうな努 力をされていることと察しています。 *  1.昨年7月29日の論説「遠山プランー大学の視点から練り直せ」           2.昨年9月29日の論説「国立大学法人化ーゴールではなく出発点だ」    3.今年1月26日の論説「国立大学統合ー理念、目的を明確に示せ」    4.今年3月28日の論説「国立大学ー理想の法人化目指す努力を」       5.今年4月24日の論説「研究機関再編ー現場から声を上げないと」  戦後、国立大学のみならず、公立、私立大学まで含めて、国の科学行政、高 等教育行政に高等教育をどのように構築するかの長期的展望もなく、貧困な研 究、教育条件があまり改善されることなく(巨大科学の陰で冷遇されてきた)、 日本経済の高度成長期以降、単線的な教育制度のせいもあって、極端に大衆化 したことによる負の”つけ”を支払わされている状態である。  この反論は、私が昨年の今ごろ出版しました著書「内なる大学改革ー理系大 学人の発言」(学会出版センター刊)において、くわしく論じております。  国立大学を「独立行政法人化」し国の行政機関に位置付けることは、学問の 自由、大学の自治を保障している憲法、教育基本法、学校教育法などの法律と 整合するのか?ーーーこのような設問がマスコミでとりあげられたり、学術会 議が公聴会を開いて、世論を喚起しなければならないはずなのですが、「学者 の国会」といわれた学術会議は、今や内閣府にお預けの身で、トップダウンの 「総合科学技術会議」により今後の存在、あり方を決められる。「まな板の 上の鯉」のようなもの、、、.  国の将来の発展を左右する、高等教育機関である国立大学(財政は基本的に 国民の納税により負担されている)を、このように「行政機関」として扱い、” 間接的に”国家統制をしいている国は世界に例がない。  戦前、戦中の大学にたいする国家統制、学問の自由、言論、思想の自由を抑 圧した暗い歴史を背負っている国なので、ことさらに注意が必要である。今は、 何よりも高等教育のグランドデザイン、これに接続する中等教育、さらに初等 教育のシリーズを再検討し、(財界人だけでなく、)広く国民に理解され、支 持される教育システムの未来展望を作り出さなければならない重要な時期であ ると思う。 日本の学術、高等教育の行方に重大な影響を与える組織変更であるが、ほとん ど国民にその問題の重大性が知られていない。毎日新聞がアンケート調査でも したら、どうか?  それと、なぜか、一般の新聞、テレビでも、国立大学人の反対運動、その言 論、主張が掲載されていない。わが国の大新聞は本当に公正なのか、政治的に 中立なのか?  これでは、社会一般に、この問題の重要性が理解されないのも無理はない。  「知らしむべからず、依らしむべし」なのか?あたかも、国立大学の「独立 行政法人化」は、国(文部科学省)と、行革本部、政権党の文教部会の既定方 針であるかのように印象づけられている。  私は、学生時代から毎日新聞の読者であり、最近あの痛烈なウオルフレンの 本「人間を幸福にしない日本というシステム」を最初に貴社が出版されたこと を知りました。  今後の貴紙の論説、報道において、上記のような意見を多少とも参酌してい ただければ、たいへん幸甚であります。                                      竹田 保正 追伸:いまマスコミが、こぞって反対のキャンペーンを展開しつつある、「個 人情報保護法案」のような、言論と報道の自由を侵す恐れのある反動立法と、 上記の国立大学を”間接的”に国家統制せんとする「独立行政法人化」は、そ の反面において同じような政治的意図、ポリシーに沿っていると考えられない でしょうか?」 ---------------------------------------------------------------------- [90-5-3] 朝日新聞社説2002.5.16 「法科大学院―改革の理念を貫くには」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3951.htm 「新たな時代にふさわしい法律家を育てるための法科大学院(ロースクール) 制度の骨格が、ようやく見えてきた。04年4月の開校を目指して準備は急ピッ チだ。  中央教育審議会は、大学院の修了に必要な単位数や教員と学生数の割合をど うするかなど、必要な要件について先に中間報告をまとめた。教育の中身を評 価する外部の機関や評価の基準、新しい司法試験のあり方などは、政府の司法 制度改革推進本部で細かく検討している。  司法を身近で頼りがいあるものにするために、諸外国と比べて極端に少なかっ た法律家を大幅に増やし、質も引き上げる。そうしたねらいは分かるが、改革 の命運を握るのは、それにふさわしい法科大学院を実際につくれるかどうかだ ろう。  寄せる期待が大きい一方で、心配もいろいろある。複雑な思いで制度設計の 行方を見守っている人々も多い。  まず素朴な疑問は、法科大学院という「箱」を用意しただけで密度の濃い授 業ができるようになるのか、という点である。自らの改革を怠ってきた大学の ぬるま湯体質が、不信の背景にある。  それに応えるには、大学側が魅力あふれる教育をどう実現するかを、分かり やすく国民に示す必要がある。各大学ともバスに乗り遅れまいと「箱」作りに 熱心になるあまり、中に何を盛るのかという視点をなおざりにしてはいないか。  折から全国の主な国公私立大学が一堂に会し、カリキュラムや教育方法など を検討するための場ができた。法科大学院協会の設立準備会だ。入学者選抜の 方法や学生への奨学援助の充実などの課題についても、提言や要望をしていく という。  国民に情報を発信し、大学側の意気込みを示すよい機会である。大学は変わ るのだという覚悟をぜひ見せてほしい。  もう一つの不安は、制度作りの根幹にかかわる問題である。  いまは合格率数%という司法試験の下で学生の多くが暗記中心の勉強に追わ れている。こうした試験ではなく、まじめに授業に取り組んだ多くの学生が合 格できるような、「プロセス」重視の養成システムに変えること。これが、法 科大学院構想を支える基本的な理念だった。  その理念を生かすには、教育プロセスがきちんとしていなければならない。 教育の中身が一定水準に達しない法科大学院には「退場」してもらうような、 外部による厳しい評価システムが必要だ。  もし、そうした仕組みが不十分なままたくさんの法科大学院ができると、結 局はまた司法試験による選抜に頼らざるをえなくなる。プロセス重視という基 本理念は大きく後退してしまいかねないのだ。  難しい課題は多い。大学と法曹界が協力し合い、次代に向けて改革理念にか なった司法の土台作りを進めるべきである。[2002-05-16-00:07]」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [90-6] 個人情報保護法案の行方 ---------------------------------------------------------------------- [90-6-1] 個人情報保護法案拒否!共同アピールの会「個人情報保護基本法(案)」 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/date_02.pdf 解説 http://www.interq.or.jp/japan/s9d/date_01.pdf 新聞報道2002.5.17 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020518-00002097-mai-soci ---------------------------------------------------------------------- [90-6-1-1] 同会主催「5/26法案拒否!から国会拒否!へ」(解散を求める集会) ---------------------------------------------------------------------- [90-6-2] 桂 敬一「日本の個人情報保護法制化の動きに関する一考察」(2000.3)より http://www.iic.tuis.ac.jp/edoc/journal/ron/r3-3-4/index.html 6.日本の情報公開制度・個人情報保護制度形成過程には「日本的歪み」とで もいうべきねじ曲げが加えられていないか。 (5)政府が市民情報の「保護者」「調停者」になれるのか  政府・個人情報保護検討部会の中間報告は、各種の情報領域について個別の 個人情報・プライバシー保護措置を、各個に定めていくが、最終的には政府が 責任をもってルール違反やそれを犯すものを規制し、保護されるべきものの権 利を守る、とする考え方を明らかにしている。そこに示されているのは、「保 護者」「調停者」としての役割を担う政府の姿である。だが、もう一度、個人 情報・プライバシー保護制度の最大の眼目は政府の情報保有・利用に置かれて おり、それを対象に立案されるべきものであるとする原則に立ち返ってみれば、 規制を受けるべき政府が「調停者」「保護者」として出現することのおかしさ は、火をみるより明らかであろう。それにもかかわらず、そうした政府の位置、 役割をあえて制度的につくり出そうとするのであれば、それは市民を甚だしく 愚弄するものであるというよりほかない。・・・・ 7.個人情報保護の法制的発展は、どのような基本路線に添って進められるべ きか。 情報公開・個人情報保護制度の確立と実践的普及は、政府に対する市民的自由 の拡大を飛躍的に増大させ、民主主義の徹底を新たな次元で促す重要なモメン トとなる可能性がある。ところが、日本では、市民的自由の自覚が乏しい社会 的現実のなかで、両制度の生成・普及過程が政府・政治家によって逆に利用さ れ、欧米とは反対に、両制度が結果的に、権威的政府の出現とその権力のいっ そうの強大化を許す制度的根拠となされるおそれが生じている。・・・・」 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020518-00002097-mai-soci ---------------------------------------------------------------------- [90-6-3] 三重県議会2002.5.17「政府提出の個人情報保護法案の撤回を求める決議」 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/kjh/02517-mie-kjh.html ---------------------------------------------------------------------- [90-6-4] 北海道新聞社説「個人情報法案 小手先修正では済まぬ」 2002年5月16日付 http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20020516&j=0032&k=200205163884 ♯(読売修正案を強く批判)「・・・社会や行政の電子化が進めば進むほど個 人情報保護は重要な課題となる。その意味で新住民基本台帳法による個人の1 1ケタの番号化を8月に控え、本来なら、行政の持つ個人情報に市民の側から アクセスする権利が「保護」の第一番にこなければならなかった。/一定数以 上の個人情報を扱う者すべてを規制対象にしたこの法案は、市民の自由な表現 活動を妨げる要素が強すぎる。特定の大新聞がよければ「青信号」を出せるよ うな法案ではない。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [90-7] 有事法制を巡って ---------------------------------------------------------------------- [90-7-1] 共同通信世論調査2002/5/4 http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20020504&j=0023&k=200205042762 「共同通信社が1、2の両日に行った全国電話世論調査によると、後半国会の 焦点のひとつである他国の侵攻に備えた初の有事関連法案について、法整備の 必要性に半数近くが理解を示す一方、今国会での成立に対しては慎重な答えが 上回るという「ねじれ現象」が生じていることが分かった。私権制限の在り方 など、法案内容への不安や疑問が背景にあるとみられ、連休明けから本格化す る国会審議にも影響を与えそうだ。調査によると有事法制の整備について「必 要だ」が49・8%、「必要ではない」が38・3。しかし、今国会での成立の是 非については「成立させるべきだ」との答え(39・1%)が「成立させるべき ではない」(47・2%)を大きく下回った。法整備の必要性に理解を示した人 の中でも22・0%が、今国会での成立には反対だった。」 ---------------------------------------------------------------------- [90-7-2] 「軍隊を持たない国コスタリカ いのちが一番大事と教えている国」 全日赤サイト http://www.zennisseki.or.jp/html_2002/kiji/kosutarika.html 「・・・一九四八年に大統領選挙を巡り内戦がおこりました。私の亡夫である フィゲーレス(当時解放戦線議長)が勝利し、そして政権をとるや、「軍隊は しばしば国民を弾圧するために使われてきたが、我々は今後対話による解決を 選ぶ。軍隊はもういらない」と常備軍廃止を宣言し、翌年の一九四九年軍隊を 禁止する憲法をつくりました。・・・  アメリカの圧力に屈して、コントロールされやすい、アメリカの言いなりに なる、しかしながら、後々名誉も何もない普通の国になってしまうか、それと も、まじめで力をもった名誉ある国になるか二つの道があったと思いますが、 永世中立国になることで後者の道を選んだと思います。・・・・  日本国憲法より二年遅れてできたコスタリカ共和国憲法は、第一二条で「恒 久的制度としての軍隊は禁止する」として、内戦を終わりにして、軍備をもつ ことより、持たないことが安全であるという選択をしました。軍隊がなければ 平和は守れないという考え方にたたず、軍隊なしでもやっていけることを証明 しています。憲法九条が危機的状況にある今の日本が一番学ばなければ国であ ると心から感じました。」 ---------------------------------------------------------------------- [90-7-3] 有事法制に反対する地方自治体議員・共同アピール http://homepage2.nifty.com/mekkie/assembly/index2.html ---------------------------------------------------------------------- [90-7-4] 三重県議会2002.5.17「政府提出の有事法制関連法案の撤回を求める決議」 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/kjh/02517-mie-yjh.html ---------------------------------------------------------------------- [90-7-5] 市民と憲法研究者をむすぶ憲法問題Web [90-7-5-1] 清水雅彦「有事法制・改憲論を考える〜その分析と問題点〜」 http://www.jca.apc.org/~kenpoweb/articles/shimizu041802.html 「・・・・そもそも近代で成立した憲法は、社会を統治していくために暴走の 可能性がある国家権力を規制するために国民が権力者に「押しつけ」たもので ある。権力の担い手である公務員に憲法尊重擁護義務(第九九条)を課したの はその現れである。だから、縛りを「押しつけ」られた側の権力者は、憲法が 邪魔で仕様がないのである。そのような権力者の側から提起される改憲論は、 まず疑ってかからなくてはならない。」 http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200205/17/20020517k0000e030031000c.html ---------------------------------------------------------------------- [90-7-6] 朝日02.5.6「イージス艦派遣、海幕が米軍に裏工作 対日要請を促す」 http://www.asahi.com/politics/yuuji/K2002050600031.html 「防衛庁海上幕僚監部(海幕)の幹部が4月10日、在日米海軍のチャプリン 司令官を横須賀基地に訪ね、海上自衛隊のイージス艦やP3C哨戒機のインド 洋派遣を米側から要請するよう働きかけていたことがわかった。・・・  日米双方の安保関係筋によると、海幕幹部は4月10日の在日米海軍司令官 との面談で、テロ対策特措法に基づく協力支援活動を5月19日の期限切れ後 も延長する方針を前提に、米側から次の3項目を日本側に要請するよう、準備 したメモ書きにそって促した。  「海自イージス駆逐艦は警戒監視能力に優れ、米海軍との情報交換分野で相 互運用性(インターオペラビリティー)が強化できるので派遣を期待する」  「捜索救難の分野で高度の水上監視能力を持つ海自P3C哨戒機による支援 を期待する。もしディエゴガルシア島近辺に来てもらえれば大いに評価する」  「海自補給艦2隻のインド洋展開をできる限り長く維持してもらえれば非常 に喜ばしい」  米軍事筋はまた、この海幕幹部が働きかけの理由として「仮に米軍が対イラ ク開戦に踏み切ってしまってからでは、イージス艦やP3Cの派遣は難しくな る。何もないうちに出しておけば、開戦になっても問題にならないだろう」と 説明したことも明らかにした。・・・」 ---------------------------------------------------------------------- [90-7-6-1] 朝日新聞2002.5.7米軍に裏工作報道は「事実に反する」 中谷防衛庁長官 http://www.asahi.com/politics/yuuji/K2002050600031.html ---------------------------------------------------------------------- [90-7-7] 毎日02.5.17「同時多発テロ:事前に情報を得ていたと発表 米ブッシュ政権」 http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200205/17/20020517k0000e030031000c.html  【ワシントン中島哲夫】米ブッシュ政権は16日、昨年9月の同時多発テロ 以前に、ウサマ・ビンラディン氏の組織「アルカイダ」が米航空機の乗っ取り を狙っているとの情報を得ていたと発表した。記者会見したライス大統領補佐 官(国家安全保障担当)によれば、この情報は極めてあいまいなもので、有効 な対策をとることは不可能だった。しかしメディアの集中報道に加え、野党・ 民主党も厳しく追及する構えだ。仮にブッシュ政権が不利な事実を隠していれ ば、後に暴露されて深刻な事態に陥ることもありうる。  「ブッシュ大統領がハイジャック情報を知っていた」という事実は、15日 から報道で流れ始め、フライシャー大統領報道官が同日夜、一部メディアに対 し大筋を認めた。16日には民主党議員らが記者会見して詳細な説明を政権に 求めるなど、大騒ぎに発展した。  ライス補佐官によると、ブッシュ大統領は昨年8月6日、米中央情報局(C IA)の報告で、アルカイダが米国機の乗っ取りを狙い、訓練もしているといっ た説明を受けた。日時や場所、手口など具体性は全くない「分析的な」報告で、 1ページ半の文書も受け取ったという。また、アルカイダが米国に何らかの被 害を与えようとしているとの情報は既に昨年4、5月からあったが、事件発生 が想定される場所は中東や欧州など米国外だった。  この間、ブッシュ政権幹部は連日のように対策会議を開くなど臨戦態勢に入 り、米連邦航空局(FAA)は6月22日から8月16日の間に少なくとも5 回にわたり、航空会社に対し注意喚起の警告を発した。しかし、あいまいな発 表をすれば「米国の民間航空システムがまひする危険」(ライス補佐官)があ ると判断して、情報の一般公開は考慮しなかったという。  こうした説明に対し、民主党議員らは「なぜ8カ月も明らかにしなかったの か」「CIAが大統領に渡した報告書を見せよ」などと攻撃。ブッシュ大統領 は、報道の始まり方など一連の流れに「政治のにおいがする」と述べ、民主党 による政権攻撃の一環との見方を示した。」 ---------------------------------------------------------------------- [90-7-7-1] 「ブッシュは同時多発テロを事前に知っていた! 政界を揺るがす一大政治スキャンダル−9・11の2日前から準備されていた対アフガン戦争」 アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局 2002年5月18日 http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Bushwar/us_pre-attack_memo.htm ---------------------------------------------------------------------- [90-7-8] 【書評】有事法制を強行するための『戦争プロパガンダ10の法則』 『戦争プロパガンダ10の法則』に基づいて(木村奈保子2002年5月16日)より http://www.jca.apc.org/stopUSwar/notice/propaganda_de_guerre.htm 第一法則、われわれは戦争をしたくない。 第二法則、しかし敵側が一方的に戦争を望んだ。 第三法則、敵の指導者は悪魔のような人間だ。 第四法則、我々は領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う。 第五法則、われわれも誤って犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる。 第六法則、敵は卑劣な兵器や戦略を用いている。 第七法則、われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大。 第八法則、芸術家や知識人も正義の闘いを支持している。 第九法則、われわれの大義は神聖なものである。 第十法則、この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題に関連する情報(主に新聞報道・ オンライン資料・文献・講演会記録等)へのリンクと抜粋を紹介。種々のML・ 検索サイト・大学関係サイト・読者からの情報等に拠る。転送等歓迎。 【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ ひ読んで頂きたいもの。 【関連サイト】http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp ------------------------- 発行部数(括弧内は4/29からの増減) (2002.5.19 現在) 1764(+19): Mag2:995(-5)|CocodeMail:396(+5)|Pubzine:95(-1)|melma:85(+3)|  melonpan:68(+14)|melten:55(-1)|Macky!:40(0)|emaga:30(+4) 直送 860(北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・国会議員等) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End of Weekly Reports 90 ---------------------------------------------------------------------- 無料メールマガジン申込
Mag2: http://www.mag2.com/m/0000031268.htm Pubzin: http://www.pubzine.com/detail.asp?id=5676 Melonpan: http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=001714 ----------------------------------------------------------------------