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国立大学独立行政法人化問題週報

Weekly Reports  No.91 2002.6.4 Ver 1.3

http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-91.htmlhttp://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-91-all.html
総目次:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/all.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━               目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [91-0] 内容紹介  [91-0-1] 国立大学協会臨時総会4/19の報告  [91-0-2] 学術社会が突進しつつある「偏差値一辺倒」の荒廃社会  [91-0-3] 不本意なパブリックコメント結果を捨てる文部科学省  [91-0-4] 用済み「トップ30」政策  [91-0-5] 「心神喪失者医療観察法案」を巡って  [91-0-6] 稀な危険性への異常な関心と、確実な危機への無関心 [91-0-7] 回りだした挽臼 [91-1] ◆田中充弘 鹿児島大学長 臨時総会報告 [91-2] 大学の現場からの意見表明  [91-2-1] ◆鹿児島大学理学部教授会声明  [91-2-2] ◆「対談:中村桂子 × 村上龍」「生命科学、バイオビジネス」  [91-2-3] ◆シンポジウム「『大学の構造改革・法人化』と大学・高等教育の未来」  [91-2-4] 『私大連盟経営委員会「学校法人の経営困難回避策とクライシス・マネ  [91-2-5] 本庶佑(京都大学大学院医学研究科教授)「自己責任伴う大学評価を」  [91-2-6] 鈴木 亨(筑波大学附属高校)「独立行政法人7つの虚構(フィクション)」  [91-2-7] ◆山口和孝「国立大学の教員養成系大学・学部の再編・統合の現状」   [91-2-7-1] マルティン・ニーメラーの詩    [91-2-7-1-1] 安藤肇「摂理としての敗戦」   [91-2-7-2] 豊島耕一「マルティン=ニーメラーの文章のパロディー」 [91-3] 中央教育審議会大学分科会将来構想部会(第10回2002/05/23 )資料  [91-3-1] ヒアリング資料(日本私立大学団体連合会)2002.5.23  [91-3-2] ヒアリング資料(日本私立短期大学協会)2002.5.23  [91-3-3] ヒアリング資料(公立大学協会)2002.5.20  [91-3-4] 中間報告に対する団体の意見の概要  [91-3-5] 中間報告に対する団体以外の意見の概要  [91-3-6] 朝日新聞:「基準の明確化が課題(焦点!大学評価を問う:上)」 [91-4] 第1回 国立大学法人化特別委員会(議事メモ)2002.5.17 [91-5] 「21世紀COEプログラム」(トップ30政策)要項  [91-5-1] 日本学術振興会「21世紀COEプログラム」審査要項2002.5.31  [91-5-2] 21世紀COEプログラム委員会委員名簿  [91-5-3] 朝日新聞02.5.29「大学「トップ30」選考、研究能力や将来性重視」 [91-6] 有事法案を巡って  [91-6-1] 国会質疑:国立大学も有事における指定公共機関か。  [91-6-2] 憲法学者の出前「ストップ!有事法制 全国講師団」  [91-6-3] 日本科学者会議大阪支部声明「有事法制三法案」の撤回を求める  [91-6-4] 有事関連三法案に反対する学者・研究者共同アピール  [91-6-5] ◆有事法案ではなく無事法案を! [91-7] 「心神喪失者医療観察法案」を巡って  [91-7-1] 北海道新聞2002/05/28「心神喪失者医療観察法案」関連記事  [91-7-2] 北海道新聞2002/05/24「心神喪失者医療観察法案」解説  [91-7-3] 京都弁護士会「心神障害者医療観察法案」Q&A  [91-7-4] 臨床精神科医の声明2002.5.24  [91-7-5] 日本臨床心理学会運営委員会声明2002.5.15  [91-7-6] ◆日本精神神経学会の声明 2002.5.11  [91-7-7] 日本看護協会・日本精神科看護技術協会意見書2002.5.9  [91-7-8] 「精神障害者」に対する特別立法について考える緊急市民集会2002.4.6  [91-7-9] 日本精神保健福祉士協会 事務局提供資料  [91-7-10] 全国精労協Home page 声明一覧 [91-7-11] 石川信義「心病める人たち─開かれた精神医療へ─」 [91-8] その他の意見表明  [91-8-1] 「まだ旧体制下の新聞社と月極契約している人たちへ」サイト  [91-8-2] 中谷巌(多摩大学学長)「タブー挑戦の小泉内閣の意気やよし」   [91-8-2-1] 山形浩生「中谷巌の利用価値」『CYZO』2000 年 08 月 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [91-0] 内容紹介 ---------------------------------------------------------------------- [91-0-1] 国立大学協会臨時総会4/19の報告 田中鹿児島大学長による臨時総会の詳しい記録[91-1]は、臨時総会の不毛さを 照らし出している。法人化を強引に承認させようとする協会幹部の言動に納得 する者は居まい。しかし、大手大学の筆頭である東京大学でも医学部が美容整 形手術を手がける[91-2-2]ようになる「法人化」が、果たして日本の知的基盤 を強化するものとなるのだろうか。 ---------------------------------------------------------------------- [91-0-2] 学術社会が突進しつつある「偏差値一辺倒」の荒廃社会 中村桂子氏が、村上龍氏との対談[91-2-2]の中で、競争原理の導入について疑 義を呈している。導入効果自身に疑問があるだけでなく、評価に基づく資源配 分で、研究現場の人間関係がすでに壊れつつあると述べている。また、偏差値 一辺倒の受験と同じことが起こると指摘している。こんなことをすれば知的創 造力が社会から消失することは常識に属することではないだろうか。 ---------------------------------------------------------------------- [91-0-3] 不本意なパブリックコメント結果を捨てる文部科学省 中央教育審議会「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」(中 間報告)の意見募集は5月18日であったが、5月23日には既に意見が整理 されて委員会に配付され、しかもHPで公開されている[91-3-5]。昨年10月 の国立大学法人に関する中間報告へのパブリックコメントは、受付順に印刷し て委員に配付しただけで公表しなかったのに比較すると、扱いの余りの違いに 驚く。国立大学法人についての意見は138通、今回は12通であったが、応 募数が少なければ整理し多ければ整理しない、というのだろうか。あるいは今 回のように、批判意見の方が少なければ整理して公表し、法人化案へのパブリッ クコメントのように批判意見が大半のときは闇に葬る、ということだろうか。  なお、国立大学協会は意見未提出と記されている。 ---------------------------------------------------------------------- [91-0-4] 用済み「トップ30」政策 「トップ30」が名称を変えた「21世紀COEプログラム」の募集要項が公 表された[91-5]。しかし、東大・京大では既に熱意は消え、この政策は2〜3 年で消滅するだろうとささやかれているという。大手大学の法人化批判の声を 封じる使命を十分に果たし、この政策は用済み、ということなのだろう。 ---------------------------------------------------------------------- [91-0-5] 「心神喪失者医療観察法案」を巡って 重要法案の陰でひっそりと審議が進んでいる「心神喪失者医療観察法案」 [91-7]は、種々の凶悪事件に怯えこの種の法律を望んでいる世論と、司法的役 割を課せられている精神医療の現場の悩みを背景として、成立することが確実 と言われている。世論に便乗し、現場からの改革の声を利用して、社会管理体 制の整備・強化を目指す最近の諸法案に共通する傾向を見ると、この法案にも 懸念を感じる。実際、問題点を指摘する声も多い。  日本医師会と日本精神科病院協会は、犯罪予測はある程度可能であるとし、 司法と精神医療の協力の場を設ける公的な「指定入院医療機関」導入の意義を 評価している。しかし、精神科医療現場からは、犯罪行為の予測は不可能であ るとして、法案に強く反対する声も少なくない。また、予防拘束には危険性の 実質的軽減効果はなく、人権軽視の状況を産みやすい貧困な精神医療行政の改 善こそ効果がある、という趣旨の指摘もある。 保安処分の是非も問題が大きいが、それ以前に、「予防拘束」の根拠となる ほどの精密性を備えた人間行動予測が可能である、という考えには、科学的知 見の本性についた思い違いがあるように思われる。法案が可決されれば、諸科 学がもたらす人現知の性質に関する誤解を深めることが危惧される。 ---------------------------------------------------------------------- [91-0-6] 稀な危険性への異常な関心と、確実な危機への無関心  身近な凶悪犯罪や他国からの侵攻や大規模テロなどのように、万が一のこと だが、鮮明な映像を伴うものには心を奪われやすいが、確実に近づく危機でも 映像を伴わない種類のものには関心を持ち続けることは容易ではない。  日本にとって確実だが肉眼では見にくい危機の一つは、強者が、多くの人々 の「痛み」の上に胡座をかいて繁栄する退廃社会の到来が目前に迫っているこ とにある。弁舌巧みな論者の大半は強者の側に立ち、意図の有無はわからない が、映像を伴う危機を万が一であるにもかかわらず強調し、見えないが確実な 危機から人々の気を逸らすことに貢献している。 ---------------------------------------------------------------------- [91-0-7] 回りだした挽臼  自己目的化した「国立大学再編統合」政策が挽臼のように無気味に回りだし 国立大学の粉砕作業が動き始めた。突破口として「教員養成課程」が挽臼にか けられようとしている。山口氏が現状を詳細に報告[91-2-7]して「文部科学省 が日本の教育にとって何のための再編・統合なのかを示さないまま、地域や大 学の論理をまったく考慮しない政治スケ ジュールを強制し、しかし、玉虫色 でしか表現しないが実態は誘導的に機能し ている「指導」によって、各大学 は困惑と動揺の度合いを一層激しくかきたて られている」と批判している。 日本全国で進行中の、教員養成の場の破壊作業は、関係者が悲鳴を挙げる暇も ないほど性急で容赦ないもののようだ。  教育・研究システムへの行政の粗野で無定見な介入は、独立行政法人化後に は大学全体で日常茶飯事に行われることになるが、教員養成に直接関係のない 大学関係者は対岸の火事のように無関心である。マルティン・ニーメラーの詩 [91-2-7-1]を連想する人も少なくないはずだし「行動を起こす」閾値は決して 高くはない現状だ。しかし、その閾値を超えさせないように事を進めるところ に疑似民主主義体制において長年統治を続けてきた組織が身に付けた「統治の コツ」があるのだろう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [91-1] ◆田中充弘 鹿児島大学長 臨時総会報告 http://www.kagoshima-u.ac.jp/univ/president/0204report/ ♯(4月19日の国立大学協会臨時総会の報告が鹿児島大学HPで公開された。 国立大学協会による議事録は未公開であり、また、現時点では、出席者による 詳細な文書報告が他には公表されていない。) ---------------------------------------------------------------------- 平成14年4月23日   教職員   学 生 各位                            学長 田中 弘允              国大協臨時総会の報告 1 標記の会合が、平成14年4月19日(10:00〜12:30)に開催されました。  なお、各国立大学事務局長並びに報道機関も陪席しました。(これは今回初  めて理事会で決定されたことです)。  2 会議の目的は、「文部科学省「調査検討会議」最終報告を受けての国大協  としての基本姿勢の表明と今後の取り組みについて」でありました。 3 協議では、長尾会長が、まず国立大学協会会長談話(案)(資料2)の承  認を求めました。その骨子は「最終報告の法人像は、全体として見るとき、  21世紀の国際的な競争環境下における国立大学の進むべき方向としておお  むね同意できる。国立大学協会は、この最終報告の制度設計に沿って、法人  化の準備に入ることとしたい」というものです。このような結論に達した理  由として、会長は次の3点、即ち(1)国大協が調査検討会議などの審議に参  加してきたこと、(2)課題は残されているが、全体の方向としておおむね同  意できること、また自主性・自律性についても不可欠な要素を盛り込んでい  ること、(3)21世紀の時代に向けたものであること、をあげました。そし  て、不明確な点もあるが、それは大学側にとっての自由裁量と受け止めて欲  しいこと、いたずらに教条的に反対したり為にする議論は避けて欲しいこと  などを早口で述べました。この会長の話は配付資料2に基づいた説明ではな  くはなはだわかりにくく、かつ要領を得ないものでありましたが、上記は私  なりに整理したものであります。   これを聞いた印象としては、会長は質問等はできるだけ簡単にすませ、談  話(案)を強行してでも通したいということでした。これは後の討論で明ら  かになります。 4 次いで審議に入りました。   執行部以外の会員から数多くの質問、意見表明がありましたが、ほとんど  全てのものは、最終報告に対する批判や懸念を表明したものでした。以下に  私のメモに従い重要と思われる点を記します。  1) 鹿児島大:@会長の「教条的に反対することなしに・・・」といった発   言は適切でない。この問題は極めて重要な問題であり、本質的論議が必要   だ。A会長のコメントでは、学問の自主自律についても不可欠の要素を盛   り込んでいるのでこの最終報告を受け入れるといったことを述べたが、こ   れには賛成できない。この報告に見られる独法的手法は、大学本来の使命   である教育研究の自主性自律性を侵害し、大学の真の活性化に結びつくも   のではない。と述べ引き続き、予め配布してあった意見表明文を読み上げ   た。(配布資料、資料番号なし)   会長:1つの意見として聞いておく。学問の自主自律の確保は、各大学の   自己努力によって文部科学省と対決してやっていけるものである。  2)○○大:国大協の運営方法に問題がある。総会を早急に開催すべきであっ   た。 会長:各種委員会等で検討してきたものだ。  3)○○大:会長の回答が不明確だ。従来、旧帝大と地方国立大との間に差別   があった。国大協の理事会中心主義は問題だ。構成員の意見をもっと聞く   べきだ。社会に向けて国立大学が何をやっているかアピールが不足だ。  4)○○大:問題点は数多く存在する。鹿大の意見のような不安もある。特に   地方大学にとっては、運営費交付金の配分、人事制度、運営などデメリッ   トが大きい。  5)○○大:全学集会で出された意見を述べるが、これは為にする議論ではな   い。競争原理の導入は教育研究といった知的作業には適さない。学問の自   主自律についても問題だ。会長談話といった形でこのような重要な見解を   出すべきではない。会則第8条、第13条に基づいてやるべきだ。  6)○○大:法人格をもって競争により名実共によい大学をつくりたい。しか   し、旧帝大、大都市の大学と地方大学の格差が問題だ。  7)○○大:検討すべき点は数多く残されている。統合再編と重なっており検   討する時間が欲しい。次の総会で決めるべきだ。「非公務員型」の問題や   教特法の廃止に伴う自治の保証の問題などはどうなるのか。 会長:私立大学への移行などのことがあった。  8)鹿児島大:私の質問に対する回答は納得できない。制度的な問題であるの   にこれを運営の問題にすりかえている。本質的問題について考えて欲しい。   会長は民営化の問題が出たので容認の方向にしたという話をされたが、事   実を明確にして欲しい。誰がいつどこでそういうことを述べたのか。また、   極めて重要な事項であるので、本件は次の総会で審議をすべきだ。 石副会長:国が設置者なので中期目標・評価を政府が行うのはやむを得な   い。護送船団の時ではない。  9)○○大:評価方法の確立には時間がかかる。地域社会の問題の重要性につ   いてコメントした。  10)○○大:私の意見は教条的でもなく、為にする議論でもない。知の拠点   として大切なことだ。法人化のメリットはあるのか、地方国立大学は使命   を全うできるのか、など全部で7項目について配付資料(資料番号なし)   に基づいて意見表明を行った。   会長からは明確な返事はなかった。  11)○○大:改めて全体会議を開くべきだ。  12)○○大:会長談話(案)についてはそうせざるを得ない。それは国立大   学側が案を出すべきだったのにそれをしなかったためだ。地方と大都市圏   とは大学間格差、地域格差は大きい。設置が予定されている国大協国立大   学法人化特委の審議ではこの点を配慮して欲しい。  13)○○大:鹿児島大の意見を支持する。「非公務員型」が急浮上してきたが、   何故職員までも非公務員型にするのか納得できない。   松尾副会長:連絡調整委に唐突に出てきた。産総研では公務員型であるな   どと主張したが多数意見に押し切られた。   会長:ジレンマの中にある。国立大として様々なことがあるが、文部科学   省は法制化を急いでいる。不明確な点は国立大学法人化特別委員会で検討   して申し入れるようにしてもらいたい。国が一方的に法制化する。ギリギ   リの時期だ。決めて欲しい。  14)鹿児島大:長尾会長は、この改革サイクルが教育研究に対して規制強化   ではないと考えているのかどうか明確に答えて欲しい。パブリックコメン   ト、マスコミ等も規制強化だと言っている。   会長:絶句。返事せず。   松尾副会長:いつも文部科学省が先手を取り、国大協は後手に回っていた。   時間的には一杯一杯だ。  15)○○大:示された大学像は、耐えられるものではないが新しいことをや   るのはよいことだ。文部科学大臣の配慮義務があるので、走りつつ考えれ   ばよいのではないか。  16)○○大:ガス抜きでは駄目だ。国大協は何だ。   石副会長:今まで総会で何回も審議した。特委でもそうだ。執行部として   は決断して欲しい。マスコミの社説もpositiveだ。  17)○○大:「法人化の準備に入ることとしたい」について承認を得てはどう   か。  18)○○大:利害が異なる国大協だが一枚岩であるべきだ。東大・京大に対   する懸念もある。COEもさらっていくのではないか。  挙手による採決が強行され、会長談話が採択された。採決に際し、鹿児島大 は反対した。 4 次いで、国立大学法人化特別委員会(仮称)設置要項(案)(資料3)、  同委員会委員候補者(案)が審議され、原案どおり決定された。 5 国立大学協会の在り方検討特別委員会(仮称)設置要項(案)(資料4)、  同委員会委員候補者(案)が同様に決定された。  以上が臨時総会の報告です。  次に、本総会の要約と感想を記します。 1 審議の要約  (1)数多くの質問があった。ほとんどは「新しい国立大学法人像について」   に反対、懸念、不安を示すものであった。  (2)この最終報告案を支持する根拠は、下記のごとく極めて薄弱で、説得力   に欠けていると言わざるを得ない。したがって、納得のいく明確な理由な   しに承認を認められ、強行されたと感じた。   @ 改革サイクルが学問の自主自律を侵し、かつ規制強化であるということ    については返事がなかった。   A「非公務員型」については一生懸命やったが駄目だったというにとどま    った。   B民営化の問題もあったというが、確たる証言は得られなかった。   C文部科学省が法案作成を進めるので時間的に間に合わないのでこの総会    で承認を求められたが、今までも独法化問題の審議の際には国大協執行    部はよくこのような説明を用いてきた。しかし、これは口実に使われて    いたように思われる。   D文部科学省に伝えて法制化に生かすと述べたがその効果には大きな疑問    がある。 (3)出された意見をまとめると次のとおりである。   @本制度の本質的問題について述べ、反対あるいは懸念を表明した。4大学   A地方大に対するdemeritが問題だ。2大学   B東京大・京都大が一人勝ち、旧帝大との差別が問題だ。2大学   C国大協とは一体何か?運営に問題あり。3大学。    本臨時総会の後で、ある全国紙の記者もこの点を痛烈に批判していた。   D各大学で検討した上で定例総会で決めるべきだ。4大学  (4)説得力のある明確な理由を示さないままで採決が行われた。  国大協は、もはや全ての国立大学のためのものではなく、明らかに旧帝大 など大都市の歴史のある大学のものだと感じた。今後は別の組織が必要かも しれない。  独法化へ向けて準備することが国大協の方針となった。しかし、その理由は 明確でない。 2 本総会の感想並びに意見  (1)国家百年の大計である教育の根幹に関わる設置形態の変更(独法制度の   下での国立大学の法人化)であるにも関わらず、明確な根拠のないまま意   志決定を敢行したことは、最高学府の代表者からなる国大協のあるべき姿   からは程遠いものである。会長等執行部は大きな道義的責任を負うことに   なるであろう。私も構成員の1人として遺憾である。  (2)国大協のこの決定は、学問の自由への侵犯、学問の衰退、地方国立大学   の切り捨てなど本制度の持つ重要な問題について行政改革当局や社会に向   けて大学人としての意見を述べる機会を自ら放棄したことを意味している。   わが国の学問の発展という使命を持つ1人の大学人として、また1学長と   して残念である。  (3)我々大学人は、常に世界や日本を見つめ、大学の果たすべき使命に従っ   て教育、研究、社会貢献に努力すると共に、制度を含む大学のあるべき姿   を求め続けるという重大な使命を持っている。  「最終報告」に示された制度は、わが国の学問の発展や国力の増進に大   きな阻害要因となることが懸念される。今後法制化や法律の審議の段階で、   継続して大学の自主自律の確保などあるべき姿を求めて深く考え、発言し   続けなければならない。永い期間にわたる努力が必要であることを胸に刻   んでおかなければならない。  (4)国立大学法人像は、独法制度という枠組を基礎にした大まかな大学像を   示しているにすぎず具体的内容は今後の問題として残されている。本学に   おいても現時点での法人像について本学に則した検討を冷静に進めなけれ   ばならない。    今後とも、本学の英知をもって最善を尽くし、本学の使命を果たすため   に教職員並びに学生諸君が一体となって全力を尽くされんことを希望する。  (5)国大協に設置された国立大学法人化特別委員会は、法人化へ向けた諸準   備の課程における諸課題に対し、国大協の立場から調査検討し、機動的か   つ適宜適切に対応するために設置された。しかし、その委員構成を見ると、   歴史のある大都会に存在する大学によって占められており、地方国立大学   の立場からの発言は限られたものにならざるを得ない。臨時総会で発言し   た地方国立大学や小規模大学の学長の意見が充分反映されないことになれ   ば、独法化が特定の大学の立場にかたよったものになることが懸念される。   今後の国大協の運営のあり方に注目し、発言することが大切である。    また、国立大学協会の在り方検討特別委員会の委員構成を見ても、上に   述べた国立大学法人化特別委員会と同様のことが危惧される。    今後、多様な国立大学の意見が充分配慮されるような組織構築が必要と   なるものと思われる。 ------------------------------------------------------------------------ 国立大学協会臨時総会(平成14年4月19日)議事次第 (pdf, 14kB) http://www.kagoshima-u.ac.jp/univ/president/0204report/giji.pdf 最終報告「新しい『国立大学法人』像について」の検討結果 (資料1) (pdf, 195kB) http://www.kagoshima-u.ac.jp/univ/president/0204report/shiryo1.pdf 「新しい『国立大学法人』像について」(最終報告)に関しての 国立大学協会会長談話(案)(資料2) (pdf, 146kB) http://www.kagoshima-u.ac.jp/univ/president/0204report/shiryo2.pdf 国立大学法人化特別委員会(仮称)設置要項(案)(資料3) (pdf, 85kB) http://www.kagoshima-u.ac.jp/univ/president/0204report/shiryo3.pdf 国立大学協会の在り方検討特別委員会(仮称)設置要項(案)(資料4) (pdf, 63kB) http://www.kagoshima-u.ac.jp/univ/president/0204report/shiryo4.pdf 「新しい『国立大学法人』像について」(最終報告)についての意見表明   鹿児島大学長 (pdf, 66kB) http://www.kagoshima-u.ac.jp/univ/president/0204report/kagoshima.pdf 『新しい「国立大学法人像」について』(調査検討会議最終報告)への意見   静岡大学 (pdf, 165kB)  http://www.kagoshima-u.ac.jp/univ/president/0204report/shizuoka.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [91-2] 大学の現場からの意見表明 ---------------------------------------------------------------------- [91-2-1] ◆鹿児島大学理学部教授会声明 http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/jhsrc/opinion.html 『新しい「国立大学法人」像について』に関する見解 鹿児島大学理学部教授会 2002.5.15 「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」は、さる 3月26日、 『新しい「国立大学法人」像について』(以下、「最終報告」)を公表しまし た。 4月19日の国立大学協会の臨時総会は、この「最終報告」に基づいて「法 人化の準備に入る」とする会長談話を賛成多数で採択しています。 私達は、この「最終報告」は、(1) 大学の管理・運営方式、(2) 研究計画の立 案、(3) 教職員の身分等に関して、重大な問題を孕んでいると考えます。 私 達は、今後、国会等において、国立大学の「法人化」や国立大学の教職員を 「非公務員型」にすることの是非を含めて十分な論議が尽くされること、「法 人化」を進める場合には、以下の事を関係諸機関に要望します。 1.大学の目的は何か、原点に戻って考察すること。そして、これに基づいて、 教育と研究の論理により、大学の「法人化」を検討すること。 2.「学問の自由」、および、それが機関という形態をとったものとしての「大 学の自治」の原則を確認し、このことに関連する憲法・教育基本法の各条項を 堅持すること。 3.国の高等教育への財政責任を法律で明記すること。 4.国立大学の教職員は公務員とすることを基本とし、「非公務員型」とする場 合は、教育職員の身分に関することは、その職務の特殊性に基づき、「教育公 務員特例法」に代わる法律によって規定すること。 5.大学の意思決定機関や審議機関に学外者を参加させる場合、その人選は、大 学が自主的・自律的に行うことができる制度にすること。 6.学長を含む役員会(仮称)のメンバー、および監事の選考と罷免の方法につ いては、「大学の自治」の原則に基づき、それぞれの大学が独自に定めること ができる制度にすること。 7.学長、部局長、および評議会(仮称)、運営協議会(仮称)のメンバーの選 出は、民主的手続きに基づいて行うものとすること。 8.学長、役員会(仮称)、および運営協議会(仮称)は、評議会(仮称)の審 議を最大限尊重して、大学運営にあたるものとすること。 9.「中期目標」、「中期計画」を最終的に文部科学大臣が認可する制度は、息 の長い研究の推進が可能な環境のもとで、自由で多様な、独創性ある発想によ り、自律的に追求されることによってこそ大きな成果が期待できる基礎科学研 究には、そもそも馴染まないので、再考すること。 10.適正な評価システムを確立すること。例えば、すぐに目に見える成果に結 びつかないような基礎科学研究が適正に評価されるよう、特別な配慮が必要で あると考えます。そのために、評価基準、評価結果を公表するとともに、評価 結果に対する異議申し立ての権利を保障することを法律に明記すること。」 ---------------------------------------------------------------------- [91-2-2] ◆「対談:中村桂子 × 村上龍」「生命科学、バイオビジネス」 JMM [Japan Mail Media] No.167 Wednesday Edition 2002.5.22 http://jmm.cogen.co.jp/jmmarchive/a033002.html 「 中村 科学にも、もちろんある種の競争は必要ですが、何でも蹴落とせばいいんじゃ    なくて、それこそいい雰囲気で競争していくというのはありえるんです。そう    いう意味では今まで日本ではうまくやってきていたと思います。ところが、最    近は段々と人間関係が壊れてしまっている。それがよくないと思うんですね。    よい成果がでるのはやっぱりよい人間関係のあるところから出るんです。短い    期間で見たときは、蹴落とした人が何かを出したりするかもしれませんが、    10年経ったときに、日本の力がどれだけついていたかとなると、やっぱりコ    ミュニティを壊しちゃいけないと思うんですね。 ・・・・・・・・ 中村 現場の人を信用して欲しいんですよ。政治家には言われたくない、という気持    ちが私にはあるんです。政治家よりは私の方が専門家同士の能力がどれくらい    なのかわかるという自信あるわけですよね。それは私だけじゃなくて、コミュ    ニティの中ではそうやってそれなりのポストに就いて、研究したり後輩を育て    ている。何の能力もないのにすごいポストに就くというのは、私が知っている    限り科学の分野ではありません。 ・・・・・・・・ 村上 最近、国立大学の行政法人化などが注目されていますね。先日ニュースで、東    京大学の医学部が美容整形をはじめて、二重まぶたの手術とか、シミを取ると    いうようなこともはじめるということを知りました。そのニュースを観ていて、    違和感を感じたんです。東京大学はある意味権威的でもいいから、他ではでき    ない基礎的な研究をしてはどうだろうかと素人なりに思ったんです。他と競争    して勝たなきゃいけないということの弊害がそういうところにもあるというこ    とですよね。 中村 外から評価しようとすると、定量的なものを整えなくてはいけなくなります。    この教授はどんな論文を書いたとか、どこの雑誌に載ったのかということで評    価しようと思うと、それなりの競争はできるわけです。受験の競争とまったく    同じなんです。本当に能力のある人が受験戦争に勝っているなんて誰もあまり    思っていないですよね。 村上 受験技術ですよね。 中村 ノウハウがあって、それに優れた子が勝っているんだということは誰にも    分かっているわけです。だから、偏差値一辺倒の受験と同じことが起こるんで    す。誰もが評価できるようにしようとすると、どういう論文をどの雑誌に書い    たのかが評価基準になるので、そのノウハウに合わせるんです。・・・・・・」 ---------------------------------------------------------------------- [91-2-3] ◆シンポジウム「『大学の構造改革・法人化』と大学・高等教育の未来」 全国大学高専教職員組合  日本私立大学教職員組合連合 2002年5月11日  「大学の構造改革・法人化」方針を抜本的に見直し、未来を拓く大学・高等教 育づくりをめざすアピール http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~jfpu-shi/shidai/0511appeal.htm  バブルが崩壊した90年代、メガコンペティションに打ち勝つために国家戦略 としての科学技術の発展をめざす政策が強められてきました。その法制化であ る科学技術基本法の制定(95.11)が重要なポイントとなり、以降、橋本「行 革」に端を発し、第1次科学技術基本計画(96.7)、大学審最終答申(98.10)、 第2次科学技術基本計画(01.3)、国立研究機関等の独立行政法人化(01.4) などと続いてきました。そして小泉内閣誕生後には、「大学の構造改革方針」 (通称遠山プラン、01.6)、「新しい『国立大学法人』像について」最終報告 (02.3)、他方で中教審大学分科会では「設置認可の見直し」「評価認証(ア クレディテーション)」を軸とする大学の質を保証する新しいシステムの検討 が進み(02.4 中間報告)、また同分科会と科学技術・学術審とが合同で今後 の高等教育のグランドデザインを検討しています。  これらの政策は、直接現場で教育・研究を担っている大学の教職員との十分 な協議を経たものではありません。  このようにめまぐるしく展開される大学・高等教育政策によって、今日、日 本の大学・高等教育は重大な岐路に立たされています。  特に現在問題となっている「大学の構造改革方針」は、大学関係者との事前 協議を欠いたまま突如昨年6月に政府、文部科学省(以下、文科省と略す)に より決定されたものであり、大学関係者の真摯な大学改革の努力、また国民の 高等教育への要求に反した構想です。同時に国立大学の法人化については、大 学人から提出された約300通の意見書は顧みられることなく、文科省の調査検 討会議はさる3月26日「最終報告」を文部科学大臣に提出しました。  「21世紀COEプログラム」(通称トップ30)は資金の重点配分を行なって世 界最高水準の大学に育成するとしていますが、これはわが国の大学全体を文科 省統制下の競争にまき込むものであり、現在でも深刻な大学間格差や地域間格 差が拡大し、従来以上に大学の序列化が進行することは必至です。加えて私立 大学・短期大学(以下、私立大学と略す。)の経常費補助では、2002年度予算 において、文科省の審査に基づいて直接配分される特別助成(「私立大学教育 研究高度化推進特別補助」)が新設されました。これによって、私立大学間格 差が一層拡大され、私立大学の発展に大きな障害となることは明らかです。ま た、文科省による私立大学への直接的な介入が強まることは容易に想像されま す。  このように現在の大学・高等教育政策は、競争主義を原理とし、国際競争力 を強化する方向に偏重したものであり、人類と地域社会が抱える環境、教育、 平和、生活・文化等を巡る様々な病理に対し、その解決の方向を提示しうるす そ野の広い総合的な研究基盤を弱化させる危惧をもちます。  私たちは、その設置形態の違いを越えて、人類と地域社会の期待に応える高 い自律性を有する大学・高等教育づくりをすすめるものです。そのために政府 は、大学の教育・研究の均衡ある発展と、国民が求める高等教育を受ける権利 を保障・充実させるための施策を講ずるべきです。 とりわけ主要先進国中最低レベルにある高等教育費を思い切って増額すること、 大学間格差を是正して均衡のとれた教育・研究条件の整備ができるよう基礎的 基盤的経費の充実をはかること、教育費の父母負担軽減をはかるための諸施策 を充実させることを、ただちに実施することを求めます。  創造性豊かな研究成果と人材は、中・長期的視野に立った研究教育の基盤づ くりによって生まれます。  そしてなによりも大学・高等教育政策へ、現場で奮闘している教職員の声が 十分反映される仕組みをつくるよう本会の名において要求するものです。」     ---------------------------------------------------------------------- [91-2-4] 『私大連盟経営委員会「学校法人の経営困難回避策とクライシス・マネ ジメント」』に対する日本私立大学教職員連合見解2002.4.28 http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~jfpu-shi/shidai/cricis.htm 「2002年4月28日 日本私立大学教職員連合  (社)日本私立大学連盟経営委員会は、本年3月19日に「学校法人の経営困 難回避策とクライシス・マネジメント(最終報告)」(以下、『報告』という) を発表した。  これは、いわゆる「競争的環境」の中で想定される「大学危機」に対する私 大連盟としての対応策をマニュアル化したものであり、@「危機回避のための 予防策」、A「危機管理マニュアル」、及びB「危機対処法―設置者変更、合 併、再生そして破綻処理」について提示している。日本私大教連は、この文書 に示されている内容、とりわけ現在の大学を取り巻く環境についての認識と大 学のあり方に関わる考え方に重大な問題点があると考えるので、以下われわれ の見解を明らかにしておきたい。 1 「クライシス・マネジメント」が指摘する「大学危機の要因」は、それ自 体「危機要因」ではない。大学危機の主要因は、高等教育の拡充と幅広い浸透 を妨げている現在の教育政策にこそある。  『報告』は、(i)少子化による学生数の減少、(ii)国立大学の独立行政法人 化、及び(iii)海外大学の日本進出を、いずれも大学にとっての競争的環境を 強めるものとしてのみとらえ、私立大学にとっての危機要因と位置づけている。 その上で「私立大学側における時代のニーズへの対応力の弱さ、状況の変化に 対応するための大学改革の不十分さや緩慢さは、危機の時代における大学経営 のあり方としては決定的な弱点となりかねない」とする。しかし(i)と(iii)は 経営的視点でのみとらえるべきものではなく、高等教育への国民的要求の実現、 すなわちその普及、拡充の契機としてとらえることもできる。そうした要因を 「大学の危機」へと結びつけているのは、直接的には我が国の高等教育に対す る公的財政支出の抑制、削減、ないしは特定領域への重点配分といった誤った 政策なのである。また(ii)の動向は、国立大学における研究と教育に市場原理 を導入しつつも管理の一元化と国による管理強化、及び独立行政法人の長の権 限強化など、大学自治を省みない反民主的な「改革」と評すべきものである。 大学人であれば、政府によるこうした、国民の高等教育へのアクセス権をない がしろにする政策をまず問題としなければならず、『報告』にみられるように これを単に競争的環境の強化として経営主義的観点からのみ捉えるべきもので はない。   総じて『報告』は、「大学危機」論を無反省に語るのみであり、大学人と してのまともな情勢分析すらなしえておらず、時代の中での大学のあり方を語 る前提を欠いているといわざるを得ない。 2 大学を―般企業に見立てた経営主義的乗り切り策の強調と、危機対応のた めのリストラの促進は、大学における教育と研究の荒廃をもたらす。  『報告』は、危機回避のための予防策として、(i)社会や産業のニーズに応 えるような研究・教育・人材育成のあり方を確立すること、(ii)機敏に対応し うる大学の組織改革、(iii)財務内容強化のための自前主義の全面的見直し― 積極的なアウトソーシングの促進を挙げ、またこうした課題に取り組む理事者 の経営的手腕を強調している。そして「大学危機」の時代に、「教育市場」の 動向に即応できる「経営組織体」として大学を位置づけ、「経営感覚」に優れ た理事会体制と監事・監査機構による業務評価システムを提起する。さらに監 事には、当該法人と直接、間接の関連がなく、その職務にふさわしい資質を持っ た人物を選任すべきであるとする。だが、大学経営は「教育と研究の充実」と 表裏一体のものであり、単なる「経営の論理」のみで考えられるべきものでは ない。大学における教育と研究の価値及び内容について、十分な認識を持ち得 ない「経営」の専門家に大学経営のイニシアティブをとらせようというのであ れば、経営効率を極度に強調する「経営主義」と断じざるを得ず、経営の名の 下に大学における教育と研究を歪めることにもなりかねない。  さらに『報告』は、競争的環境のなかでの「戦略的経営」の実行のためには 財務体質の強化が不可欠とし、教員を含む「ヒト、及びモノ」の積極的なアウ トソーシングを提起している。その内容は、「人件費の改善」、すなわち固定 費を変動費へ移行させるための教員の終身雇用制の見直し、カリキュラムの自 前主義の見直し提案にまで至っている。大学の業務のうちどの部分がアウトソー シング可能かは慎重な分析を必要としようが、大学の重要な構成員であり、大 学運営の担い手でもある教職員を財務的視点からのみ論じる『報告』は、大学 運営と改革への協働者たる教職員への理解を欠いた全くの暴論であり、これで は『報告』がいうところの「危機回避」のための体制が形成・維持できるとは とうてい考えられない。 3 『報告』は、大学の組織・運営に関わる事項についての民主的意思形成の 意義についての理解が不十分である。理事会による平常時からの情報公開と学 内合意形成へ向けた民主的イニシアティブの発揮こそが、大学の健全な運営を もたらすのである。  『報告』は、理事会、監事、内部監査機構による効率的機能的な大学運営が、 危機対応のみならず日常的経営においても重要であるとしている。監査機構の 充実と情報公開の重要性を指摘している点は評価しうるものの、大学の構成員 である教職員、さらには学生、学生父母等の位置づけが不十分である。  意思決定手順の変更を伴う組織管理方式の積極的改善として、『報告』は、 従来の教授会自治を尊重した意思決定システムを時代にそぐわない非効率なも のと判断し、理事会と理事会スタッフとしての事務室(たとえば企画室)によ る迅速な意思形成と決定システムへの転換を提案している。しかし大学を取り 巻く状況の変化を見据えた迅速な対応には、大学構成員に対する十分な情報提 供と、民主的な意思形成システムこそが必要なのであり、理事会はそうした土 俵の確率に努めるべきである。「意思決定手順の迅速化の必須条件は、情報公 開と能力ある少人数で組織された理事会事務局の設置、情報インフラの整備で ある」と述べているが、こうした基盤が学内合意形成を軽視するものであると すれば、組織管理方式の積極的改善につながらないだけではなく、大学運営に 混乱をもたらす要因ともなりかねない。 4 「危機対処法」における教職員との交渉−合意手続きは不可欠である。  具体的な危機対処法として、『報告』は、設置者変更、合併等に言及してい るが、対処法決定の前提として、できる限り早い段階での教職員に対する説明、 雇用に関わる交渉と合意は、法的にも不可欠であり、教職員組合への事前説明 による了解を明確に位置づけることは雇用関係からして不可欠の前提である。 『報告』はこの点を軽視しており、きわめて遺憾である。  『報告』が末尾で述べているように、「教職員のすべてを含めて、社会に対 して開かれた、そして地域社会に支持される学園づくりこそが最大のクライシ ス・マネジメントなのである」。日本私大教連は、この視点に立って現在の高 等教育政策の問題点を明らかにしつつ、各地における民主的な学園づくりに引 き続き力を尽くすものである。 以上」      ---------------------------------------------------------------------- [91-2-5] 本庶佑(京都大学大学院医学研究科教授)「自己責任伴う大学評価を」 『朝日新聞』2002年5月22日付 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4004.htm 「・・・人事と並んで重要な研究評価である研究費の審査制度は、現状では自 己責任があいまいで改善の余地が多い。評価者の氏名と評価内容を応募者に公 開するなどして、審査員の自己責任を明確にすることが大切である。・・・」 ---------------------------------------------------------------------- [91-2-6] 鈴木 亨(筑波大学附属高校)「独立行政法人7つの虚構(フィクション)」 http://fweb.midi.co.jp/~wout/member/seven-fictions.html 2001.9.29シンポ参考資料 虚 構1.私学のような自律性 虚 構2.企業会計原則で効率化 虚 構3.発生主義により真のコストを把握 虚 構4.自由に使える運営費交付金 虚 構5.年度繰越金が使える 虚 構6.行政のスリム化 虚 構7.組合の権利が確立 (関係法令) 学校教育法 国立大学設置基準 学校法人会計基準 企業会計原則(大蔵省企業会計審議会) 独立行政法人通則法 独立行政法人会計基準 独立行政法人会計基準注解 国家公務員法 教育公務員特例法 国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律 労働組合法 (参考文献) 「学術公法人私案」−「独立行政法人」の対案(石井紫郎:ジュリスト2000.6.1号) 国立大学と独立行政法人制度(藤田宙靖:ジュリスト1999.6.1号) 企業会計の基礎講座(朝日監査法人パブリックセクターニュース) 独立行政法人の実務(監査法人太田昭和センチュリー公会計本部:ぎょうせい) 国立大学の法人化について(東大国立大学制度研究会報告書2000.10.3) 激震!国立大学(岩崎稔,小沢弘明編:未來社1999.11) 独立行政法人の光と影(鈴木亨:組合学習会資料1999.10.) ---------------------------------------------------------------------- [91-2-7] 山口 和孝「国立大学の教員養成系大学・学部の再編・統合の現状」 日本科学者会議大学問題委員会「大学問題フォーラム」2002年6月1日発行 http://www.jsa.gr.jp/commitee/daigaku-forum-28.html ---------------------------------------------------------------------- [91-2-7-1] マルティン・ニーメラーの詩 石出法太,『ドイツ』,岩崎書店,1992 (http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/metaphor.htmlより転載) ナチが共産主義者を襲ったとき, 自分はやや不安になった. けれども結局自分は共産主義者ではなかったので 何もしなかった. それからナチは社会主義者を攻撃した. 自分の不安はやや増大した. けれども依然として自分は社会主義者ではなかった. そこでやはり何もしなかった. それから学校が,新聞が,ユダヤ教徒が, というふうにつぎつぎと攻撃の手が加わり, そのたびに自分の不安は増したが, なおも何事も行わなかった. さてそれからナチは教会を攻撃した. 私は教会の人間であった. そこで自分は何事かをした. しかし,そのときにはすでに手遅れであった. ---------------------------------------------------------------------- [91-2-7-1-1] 安藤肇「摂理としての敗戦」 キリスト新聞社 1996年5月発行 ISBN: 4-87395-278-6 http://shopping.yahoo.co.jp/shop?d=jb&id=19769700 「あの敗戦は何だったのか。敗戦時、神学生だった著者が戦中・戦後の妥協的 信仰を振り返り、心の痛みをもって熱く語る「説教集」 」 ---------------------------------------------------------------------- [91-2-7-2] 豊島耕一「マルティン=ニーメラーの文章のパロディー」 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/metaphor.html 国立大学の「独立」行政法人化が大学自治への侵害であるとすれば,それは単 に国立大学の問題ではなく,私学も含む我が国の大学コミュニティー全体に関 わる問題だということになります.そこで,次のようなパロディーはいかがで しょうか. 私立大学は「大学自治」だけでなく「結社の自由」によっても保護されていま すので,この比喩は当たらないかも知れません.しかし同じ大学社会の一角で 自治が奪われることは,私学にも何かの影響を及ぼすのではないでしょうか. (転載自由) 「独法化」が試験研究機関を襲ったとき, 自分はやや不安になった. けれども結局自分は試験研究機関員ではなかったので 何もしなかった. それから「独法化」は美術館を攻撃した. 自分の不安はやや増大した. けれども依然として自分は美術館の職員ではなかった. そこでやはり何もしなかった. それから国立大学が,公立大学が,国立学校が, というふうにつぎつぎと攻撃の手が加わり, そのたびに自分の不安は増したが, なおも何事も行わなかった. さてそれから「独法化」は私立大学を攻撃した. 私は私立大学の人間であった. そこで自分は何事かをした. しかし,そのときにはすでに手遅れであった. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [91-3] 中央教育審議会大学分科会将来構想部会(第10回2002/05/23 )資料 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/002/020501.htm ---------------------------------------------------------------------- [91-3-1] ヒアリング資料(日本私立大学団体連合会)2002.5.23 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/002/020501a.htm 「「1 基本的な考え方」について ・・・(1) しかし、これはわが国の高等教育が私立大学の寄与なしには 成立しないことに鑑み、国が高等教育に関し公金を支出する場合、大学の設置 者すなわち国立、公立、私立の異なることにより学生当たりの支出額に差をつ けない、また税制面においても大学の設置者により差をつけない等、国、公、 私立間の競争基盤の公平性が前提になるものと考える。 (2) 大学の質の評価は、本来、大学自らの自由と自己責任において行われ ることが望ましく、第三者評価により評価資料を社会に提供し、最終的には利 用者である学生とその保護者の判断に委ねられるべきである。 (3) 認証評価機関による第三者評価の結果により国が大学の質を保証する ものであってはならない。中間報告(規制改革の流れ)の項において「国の関 与は謙抑的としつつ、設置後も含めて全体で大学の質を保証していく必要があ る」の主語が明瞭でないが「国」を意味するのであれば、前述の考え方と相容 れない。」 「「3第三者評価(適格認定)制度の導入」について (1)第三者評価(適格認定)制度の導入については、大学設置の規制緩和後 大学の質を保証するために必要であることは理解できるが、一律な評価基準を 強制すべきではなく、複数の評価機関を設置し、多角的な評価を行わねばなら ない。 (2)第三者評価(適格認定)制度導入の成否は、評価機関の認証をいかに行 うかにかかっている。権力を背景にした特定の価値観に基づいて行われること は、厳に避けなければならない。したがって、認証にかかわる基準を明確に示 し、国が評価機関を設置するとしても、そこでの私立大学の評価を強制しない こと、評価機関の評価を公共の場に求めることが必要である。また、外国人、 外国評価機関の参加も積極的に推進すべきである。」 ---------------------------------------------------------------------- [91-3-2] ヒアリング資料(日本私立短期大学協会)2002.5.23 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/002/020501b.htm ---------------------------------------------------------------------- [91-3-3] ヒアリング資料(公立大学協会)2002.5.20 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/002/020501c.htm 「1基本的な考え方:・・・・大学の質の保証は絶えざる「事後チェック」に より持続性を持たなければならない。単に「事前規制」である設置認可の段階 に止まってはならない。だが、現段階においては実効性を持つ「事後チェック」 のシステムはまだできていない。「事前規制」と「事後チェック」の中間には 多様な手段が存在している。その重要な手段の1つとして、例えば、適切な情 報公開がある。・・・」 「3第三者評価制度の導入: コストの安い、しかも十分な実効性が期待できる評価システムの構築が望まれ る。現行の第三者評価から新たな第三者評価制度の導入が提案されているが、 その具体的内容はまだ未熟であると言わざるを得ない。下手をすると理想とす る新しい評価が新たな「規制」に転化してしまう危険性がある。とくに認証評 価機関が多元的な評価を排除して独占的・排他的に機能することがあってはな らない。 大学評価に関する情報は適切に公開すべきである。これは、受験生にとっても 大学を選択する指針とすることができる。現状では「募集定員」は公表されて いるが、「合格者数」「入学者数」のような基本データさえ公開されていない。」 ---------------------------------------------------------------------- [91-3-4] 中間報告に対する団体の意見の概要 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/002/020501d.htm (教育関係団体) △国立大学協会 公立大学協会 日本私立大学団体連合会 財団法人大学基準協会 全国公立短期大学協会 日本私立短期大学協会 短期大学基準協会 ▲国立高等専門学校協会 全国専修学校各種学校総連合会 (経済関係団体) ▲社団法人経済団体連合会 ▲社団法人経済同友会 △日本経営者団体連盟 (その他関係団体) 社団法人日本薬剤師会 社団法人日本病院薬剤師会 ※△の印のついた団体は意見未提出。▲の印のついた団体は意見なしとの回答。 ---------------------------------------------------------------------- [91-3-5] 中間報告に対する団体以外の意見の概要 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/002/020501e.htm ---------------------------------------------------------------------- [91-3-6] 朝日新聞:「基準の明確化が課題(焦点!大学評価を問う:上)」 2002.5.31 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4041.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [91-4] 第1回 国立大学法人化特別委員会(議事メモ)2002.5.17 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/hojin-tokubetu-iinkai140517.htm 日 時   平成14年5月17日(金)14:30〜16:30 場 所 学士会分館6号室 出席者 長尾会長、石副会長、松尾副会長 阿部(代理:久保旭川医科大学長)、中村、鮎川、宮田、鈴木、 磯野、梶山(代理:中野九州大学副学長)各委員      川村、宮島、小早川、森本、若杉、北村、長木各専門委員  長尾会長主宰のもとに開会。  議事に先立ち会長から、阿部委員(第1常置委員会委員長)の代理として出 席の久保旭川医科大学長、梶山委員の代理として出席の中野九州大学副学長の 紹介があった。 〔議 事〕 1.委員長の指名について 会長から、石副会長(一橋大学長)に委員長をお願いしたい旨の指名があった。 2.文部科学省の準備状況について  文部科学省高等教育局大学課 杉野大学改革推進室長から、法人化に向けて の文部科学省における準備状況等について説明があった。 (1)  主な作業事項について ○関連法案は、来年の通常国会で審議願うことを想定して作業にかかっている が、国立学校設置法に書かれている大学以外の機関をどう扱うかの問題等もあ り、原案はまだ固まっていない。 ○法人化された場合の税制問題もある。また、公立大学の法人化の動きも視野 におく必要がある。 (2) 準備のための当面の課題について ○移行準備に関しては、文部科学省として責任を持って対応するが、現在、各 大学、国大協、文部科学省との作業分担について整理中。各大学へ情報提供の 必要なものは、調査検討会議の最終報告に掲げられているものだけでも、給与 モデル、服務等の共通指針、中期目標・中期計画の参考例・作成指針等など多 数に上る。 ○法人化への移行準備については、各大学に早急に情報提供する必要もあり、 各大学に対し早めにスケジュール、イメージを示せるよう準備中。どのような 要望があるかのアンケート調査を予定している。 3.当面対応すべき課題について 文部科学省での準備状況等の説明を受け、国大協として当面対応すべき課題等 について検討を行った。 ○国立大学法人法案は、最終報告に沿って、それ自身が完結した法律として準 備されるべきである。 ○各大学で準備する必要のある事項、モデルが示される事項、裁量でできる範 囲等を早急に明確にする必要がある。 ○国大協、文部科学省が分担する事項を早急に調整する必要がある。文部科学 省で案をまとめ、国大協と相談しつつ進めてはどうか。 4.今後の検討体制等について 今後の体制を検討した結果、次のとおりとした。 ○専門委員をメンバーとする「法制化対応等専門委員会」を設置し、文部科学 省と緊密に連絡をとり、問題点を整理する。(同専門委員会第1回会合を5月 24日に開催する。) ○国大協としての各大学へのアンケート調査を早急に実施する。 ○第2回委員会を6月3日、第3回委員会を6月12日に開催する。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [91-5] 「21世紀COEプログラム」(トップ30政策)要項 ---------------------------------------------------------------------- [91-5-1] 日本学術振興会「21世紀COEプログラム」審査要項2002.5.31 http://www.jsps.go.jp/j-news/news_j5.htm  「21世紀COEプログラム」の審査・評価の進め方については、21世紀 COEプログラム委員会において検討が行われ、5月29日、同委員会が「審 査要項」としてとりまとめ、発表しましたのでお知らせします。  これを受け、文部科学省では公募要領を策定し、各大学に募集通知を発出す る予定です。 審査要項の詳細はこちら(PDFファイル)をクリックしてください。 http://www.jsps.go.jp/j-news/yokou.pdf 日本学術振興会研究事業部研究体制支援室 *21世紀COEプログラム委員会の委員の委嘱について  文部科学省が平成14年度から新たに実施する「世界的教育研究拠点の形成 のための重点的支援―21世紀COEプログラム―」の審査・評価業務を行う ための委員会は、大学評価・学位授与機構、日本私立学校振興・共済事業団、 大学基準協会の協力を得て、日本学術振興会が運営することとなりました。  このため、本会に各分野の専門家や学識経験者、上記の関係機関・団体の関 係者から構成する「21世紀COEプログラム委員会」を設け、4月18日付 で本会会長から委員が委嘱されました。 「21世紀COEプログラム委員会」の初会合は4月19日に開催されました。 (なお、学問分野別の審査・評価を行うための部会は後日設置の予定です。) ---------------------------------------------------------------------- [91-5-2] 21世紀COEプログラム委員会委員名簿   安西 祐一郎 慶應義塾長 生駒 俊明 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社代表取締役会長 副委員長 石井 米雄 神田外語大学長 岩男 壽美子 武蔵工業大学環境情報学部教授 ウィリアム・カリー 上智大学長 委 員 長 江崎 玲於奈 芝浦工業大学長 大南 正瑛 大学基準協会会長 荻上 紘一 東京都立大学長 奥島 孝康 早稲田大学総長 金森 順次郎 財団法人国際高等研究所長 川那部 浩哉 滋賀県立琵琶湖博物館長 木村 孟 大学評価・学位授与機構長 郷  通子 名古屋大学大学院理学研究科教授 後藤 祥子 日本女子大学長 小林 久志 プリンストン大学教授 小林 陽太郎 富士ゼロックス株式会社代表取締役会長 佐々木 毅 東京大学長 佐藤 幸治 近畿大学法学部教授 佐藤 禎一 日本学術振興会理事長 末松 安晴 国立情報学研究所長 丹保 憲仁 放送大学長 鳥居 泰彦 日本私立学校振興・共済事業団理事長 中村 桂子 JT生命誌研究館長 西塚 泰美 神戸大学名誉教授 野中 ともよ 株式会社日興リサーチセンター理事長 増本 健 財団法人電気磁気材料研究所長 山田 康之 奈良先端科学技術大学院大学名誉教授  ( 計 27名 )     文部科学省における「21世紀COEプログラム」担当部局     文部科学省高等教育局大学改革官室     tel:03-5253-4111 内線3317,3320 」 ---------------------------------------------------------------------- [91-5-3] 朝日新聞02.5.29「大学「トップ30」選考、研究能力や将来性重視」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4030.htm 「世界最高水準の研究教育機関づくりをめざし、10分野で予算を重点配分す る国公私大を決める「21世紀COEプログラム(トップ30)」の選考方法 が、29日発表された。分野ごとに審査機関を設置、高度な研究能力、個性的 な将来計画、特色ある学問分野といった3点の審査方針を示した。文部科学省 が細かな要領を作り、5分野については6月半ばにも公募、9月末には決めて 今年度から実施する。  文科省の委託を受けて選考審査にあたる「21世紀COEプログラム委員会」 (江崎玲於奈委員長、事務局・日本学術振興会)がまとめた。  対象は大学院博士課程レベルの研究機関。6月に公募を始めるのは生命科学、 化学・材料科学、情報・電気・電子、人文科学、学際・複合・新領域などの5 分野。残る医学系、社会科学などの5分野は来年度になる。  応募する大学は、将来構想と、その研究機関の教育研究の計画書、要望予算 額を文科省に申請。さらに▽所属する研究者の研究論文の発表状況または専門 書の執筆状況▽各賞の受賞歴▽科学研究費補助金と各種助成金の受け取り状況 ▽教員の他大学での経験と任期制、公募制の状況▽機関の特色を示すデータ− −など細かな資料を出す。  それをもとに、「プログラム委員会」の中に置かれる分野別の「審査・評価 部会」が外部の専門家の意見も聞いて書面審査。そこで選ばれた大学の関係者 からヒアリングをして、候補を選定する。審査する委員は各分野20人程度。 研究者のほか経済界などの民間人も入れる。  審査・評価部会の結果をもとに、各部会長で構成する「総合評価部会」が全 体調整し、各分野で平均20機関程度の候補を決定、文科省が予算配分する。 予算総額は約180億円。各機関は、原則5年間続けて年間1億〜5億円を受 け取る。  選考過程は非公開。結果は公表するが、理由などどこまで公表するかは決まっ ていない。  審査方針は(1)優れた成果を上げ、将来の発展性もあり、高度な研究能力 を持つ人材育成が期待できる(2)学長の指導力のもと、個性的な将来計画と 強い実行力で世界的な機関になれる(3)特色ある学問分野で独創的、画期的 な成果が期待できる−−の3点を挙げた。この方針に加え、具体的な評価の着 目点として3点11項目を示した。「現状は十分といえなくても将来世界最高 水準になりうるか」「若手研究者が独立し、その能力を十分に発揮できるよう になっているか」−−など将来性を重視する項目もある。  江崎委員長は「将来構想を重視したい。評価は主観的なもので、客観的なも のはあり得ないと思う。評価者の見識に任せるしかない」と話した。 COE はセンター・オブ・エクセレンスの略で、文科省は「世界的教育研究拠点」の 意味で使っている。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [91-6] 有事法案を巡って ---------------------------------------------------------------------- [91-6-1] 国会質疑:国立大学も有事における指定公共機関か。 衆議院 武力攻撃事態への対処に関する特別委員会議録第 7 号 平成14年5月20日(月曜日) http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/011215420020520007.htm ○首藤委員 「・・・・そこで、文部科学大臣にお聞きしたいわけですが、だ んだんと国立大学は独立行政法人化してくる、独法化してくると言えますね。 そうすると、この指定公共機関の中に独法、独立法人というものも当然入って くるわけですけれども、そうすると、大学も、あるいは場合によってはこの中 に含まれる可能性があるのか、協力機関として含まれる可能性があるのかどう か、いかがでしょうか。 ○遠山国務大臣 この法律案におきましては、国の責務として国土や国民の生 命、身体、財産を保護するために、組織及び機能のすべてを挙げて万全の措置 を講ずるよう定めておりまして、文部科学省も、国の機関としてその責務を果 たしていく必要があるものと考えております。  法律施行後二年以内を目標として整備することとされております法制におき まして、今お話しの大学等をどのように位置づけていくかということに関しま しても、この法律の成立後、内閣官房等関係省庁と相談しながら、具体的な内 容を検討していきたいと考えております。」 ---------------------------------------------------------------------- [91-6-2] 憲法学者の出前「ストップ!有事法制 全国講師団」 http://www.jca.apc.org/~kenpoweb/emerge_law/deliver.html ---------------------------------------------------------------------- [91-6-3] 日本科学者会議大阪支部声明「有事法制三法案」の撤回を求める 第三七回定期大会 「有事法制三法案」の撤回を求める  政府は国会に、「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設 置法改正案」から成るいわゆる「有事法制三法案」を提出し、今国会での成立 をはかっている。これらは三年前に成立させられた「周辺事態法」からさらに 踏み込み、憲法の民主的・平和的条項を蹂躙して、日本を積極的に参戦国に引 き込もうとするものである。こうした法制化が「憲法第九条にも変なところが ある」と公言してはばからない現政権のもとで強行されようとしているところ に、いっそうの危険性のあることを指摘しなければならない。  これらの法制化案は、すべての国民に戦争協力を義務づけた上で憲法の機能 を停止し、運輸、エネルギー、言論・通信、金融など国の基幹的部門を強制動 員することを明記している。それによれば、有事法制の発動を決定するのも、 「対処基本方針」を定めるのも国家安全保障会議の議長たる内閣総理大臣であ り、国会をも無視して大権を掌握するものである。  さらに私たち教育、研究に携わるものにとって、看過できないことは、この 法制化は学問の自由、大学の自治をも著しく踏みにじる危険性を持っているこ とである。すなわち、法案審議の過程で、「国立大や私学も指定公共機関とな るのか」との質問に対し、政府側は「自衛隊の行動は合理的範囲を超えて国民 生活を妨げてはならない。教育機関に重大な支障がないよう配慮するのは当然 だ」(防衛庁長官)と断りを入れつつ、「対処措置の内容や公益性の度合いを総 合的に判断する」(官房長官)、「大学の空間の利用など国民の安全に供するの か、今後十分に検討したい」(文部科学相)と、国立大学など教育機関も有事 の際、指定公共機関などとして政府の協力を求められる可能性を排除していな い。  また「個人情報保護法案」など「マスコミ関連法案」も今国会における重要 な争点となっている。これらは個人の人権を擁護するかのごとき装いを凝らし ているものの、実は国民の言論、思想、表現の自由を不当に制限するものとし て、マスコミ関係者からも厳しい批判の声が上がっている。  いうまでもなく国際社会において日本が果たすべき役割は、けっしてアメリ カ政府の核戦略体系に従属して、世界に戦争行為の惨禍を拡大することではな く、過去のアジア諸国への侵略と抑圧に対する反省に立って、諸国民との共栄 をはかることである。この光栄ある責務を遂行していく上で、国民の基本的人 権が確保されることは不可欠の要因であって、これこそ日本国民が堅持してき た憲法の根本的原理である。これらを侵害する超憲法的法制化はけっして容認 できない  私たちは、二十一世紀を核兵器も環境破壊もない、永続可能な社会を築くべ き時代とすべきことを強調してきたが、これらの法案は、心ある人々の永年に わたる努力にまったく逆行するものである。国会においては日本国憲法の重み をふまえ、解釈改憲の既成事実化をはかる悪法の廃案を求める。いやしくも国 民の理解と合意のないまま、強行成立させることは断じて許されないことを訴 えるものである。 二〇〇二年五月二五日 日本科学者会議大阪支部第三七回定期大会」 ---------------------------------------------------------------------- [91-6-4] 有事関連三法案に反対する学者・研究者共同アピール http://www.jca.apc.org/~kenpoweb/emerge_law/appeal051902.html ---------------------------------------------------------------------- [91-6-5] 有事法案ではなく無事法案を! http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/kjh/02/523-buji.html 「●有事法案ではなく無事法案を! 私たちは有事法案(有事法制三法案)を認めません。 日本国憲法前文と第九条は戦後日本が世界と結んだ一番重い約束でした。 戦争の反省から日本国民が政府にはめたタガでした。 (前文に「日本国民は…政府の行為によって二度と戦争の惨禍が起こることの ないように…この憲法を確定する」とあるのはそういう意味です。) 二度と軍隊をもたず、戦争をしない。 国際紛争を非軍事的な手段で解決する―― そう宣言した国に軍事発動で備える「有事」はないはずです。 日本国憲法は平和的手段で「有事」を「無事」にする方針を定めています。 ところが、私たちはまだ第九条を本気で実践したことがありません。 国全体で体系的な“地球無事化”の努力をしたことがありません。 中米コスタリカのように非武装平和を実行する自信がなかったのです。 怖れを武力で覆い隠す安易な道に引き返すか 第九条を実践する勇気をもつか―― 有事法案はそれを問いかけています。 第九条の実践には、パレスチナで「人間の楯」となったNGOのような 地球市民による積極的・予防的な平和創出活動も含まれるでしょう。 仮にそれをPeace Making Operation(PMO)と呼べば そうした備えこそが人類共通の憂いをなくすのではないでしょうか。 私たちは武力に頼らない平和維持・構築の努力を呼びかけます。 アジアと世界に平和をもたらす道は武力ではありません。 武器ではなく一人ひとりの体と頭を使い 世界の人びとと汗や涙を流すこと――。 いま、世界中で武力攻撃に出る可能性が一番高いのは米軍です。 アメリカの軍事行動が引き起こす「有事」に備えるのではなく あらためて平和憲法を生かす「無事」の道へ踏み出しましょう! 日本の国民と政府が取り組める非軍事平和創出活動(J-PMO)は 食料援助から教育支援や緊急医療・人道介入までたくさんあります。 防衛予算をそうした「人間の安全保障」にまわしましょう! 私たちは以上のような考え方にもとづいて 内閣総理大臣に有事法案の廃案を求めるとともに 国会には世界に先がけたPMO「無事法案」の策定を要請します。 [呼びかけ人](6月1日現在181人)) 星川 淳(作家・翻訳家)○ 田中 優(日本国際ボランティアセンター理事)○ 江坂 健(Hotwired Japan)○ 宮内勝典(作家)○ 枝廣淳子(会議通訳者・環境ジャーナリスト)○ 小林一朗(環境・サイエンスライター/CHANCE!東京)○ 坂本龍一(音楽家)○ 他・・・ ----------------------- [以下、集計のため番号順に連名をどうぞ。 「呼びかけ人」として名前と肩書きの公表を認める方は右側に○印をつけてください。] 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. ◎転送は自由ですが、チェーンメール化を避けるために、転送で受け取って自分で 10人に達した方は、連名部分を stariver@ruby.ocn.ne.jp まで送り返してくださ い。10人以下で送り返していただくのも歓迎です。また、自分が集約係となってと りまとめていただく場合は連名の上限を設けません(連名リストを送り返すとき合 計人数を書き添えてください)。法案成立前の適切な時期に集約して、内閣総理大 臣と衆参両院議長に提出します。連名受け付けは法案廃案か成立の時点までとしま す。 ◎このような方法をとるため、連名者全員に結果を報告することはできませんが、 最初に声明を流す経路に沿って適宜レポートするつもりです。名前と肩書きのあと に○印をつけた方(呼びかけ人)については、必要に応じて上記声明文とともに公 表する場合があります。また、声明文の引用・転載などを希望する方は(下記へ) 連絡ください。stariver@ruby.ocn.ne.jp 日本国憲法第九条 1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動 たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、 永久にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国 の交戦権はこれを認めない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [91-7] 「心神喪失者医療観察法案」を巡って 正式名称「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に 関する法律(案)」 ---------------------------------------------------------------------- [91-7-1] 北海道新聞2002/05/28「心神喪失者医療観察法案」関連記事 「国会きょう正常化 心神喪失者医療観察法案 きょう審議入り  重大事件を起こしながら刑事責任能力がないとされた精神障害者の処遇を定める 「心神喪失者医療観察法案」が二十八日、衆院本会議で審議入りする。  同法案は、殺人や放火などの重大事件を起こし、心神喪失や心神耗弱を理由に不 起訴処分や無罪になった人たちが対象。地方裁判所が裁判官と精神科医の合議で、 「再犯の恐れ」があるかどうかを基準に対象者の入院または通院の処遇を決める。  入院となった人は半年ごとに地裁が再審査するが、入院期間の上限は設けない。 通院は最長五年とした。また、全国五十カ所にある保護観察所に新設する精神保健 観察官が、社会復帰への指導を行う。  これに対し、法案は「精神障害者への偏見を助長する」などの懸念の声があがる 中、民主党は、裁判所と検察庁に精神鑑定センターを設置するなどとする対案を提 出。両案は並行して審議される。 ---------------------------------------------------------------------- [91-7-2] 北海道新聞2002/05/24「心神喪失者医療観察法案」解説 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/kjh/02/524-doushin-sssik.txt 心神喪失者医療観察法案/「再犯の恐れ」予測可能か?/見解二分のまま審議へ/ 受け入れ病院や人材 体制にも課題  「心神喪失者医療観察法案」の審議が来週にも、衆院で始まる。殺人など重大な 事件を起こした精神障害者の扱いを医師と裁判官が合議で決めるものだが、入退院 の基準となる「再犯の恐れ」の見極めをめぐり、精神科医らの意見は真っ二つに分 かれたままだ。高度な精神医療を提供する施設をどう整備するのかなど、体制面の 課題を指摘する声も多い。  日本弁護士連合会の呼び掛けで法案に反対する集会がこのほど、東京都千代田区 の日比谷公会堂で開かれた。患者支援団体の男性は「公益を守るために精神障害者 を隔離する法案だ」、障害者の男性は「自分で医療を決定できるようなシステムこ そ必要だ」と声を張り上げた。 ●法務省「ベストの制度」  法案は、入退院などの決定に司法が関与するのが最大のポイント。法務省は一九 七○年代から八○年代にかけ、裁判所が入院治療を命じる「保安処分」の導入を検 討したが、人権侵害を招くとの批判を浴びて見送った経緯がある。  刑事局幹部は「過去の教訓を踏まえ、司法と医療、福祉の関係者が一緒に取り組 んでいく仕組みをつくった。現状で考えられるベストの制度だ」と語る。  だが、最も困難な役割は精神科医に委ねられた。「医学的な再犯の恐れは医師に 判断してもらうことになる。裁判官は精神鑑定を基礎に対象者の生活環境などを考 慮し、医師らと合議して処遇の当否を判断する」(最高裁関係者)。 ●「保安」優先の懸念  この問題で、医療現場の見解は真っ二つに割れている。日本精神神経学会など六 団体は四月下旬、法案の見直しを求める見解を発表。平田豊明医師(全国自治体病 院協議会)は「今の医学に再犯を予測する力はない」と言い切る。同協議会精神病 院特別部会顧問を務める伊藤哲寛医師(札幌)も「治療ではなく保安が優先され、 診断がゆがめられるケースも出てくる。先進国に比べ水準の低い医療体制の改善が 法案より先」と訴える。  一方、日本医師会と民間の精神病院が加盟する日本精神科病院協会は法案への支 持を表明。同協会の仙波恒雄会長は「再犯の予測はある程度可能。これまで精神科 だけに押し付けられてきた役割を司法と分担できる」と正反対の意見だ。  厚生労働省は高度な精神医療を提供する入院医療機関として全国の国公立病院を 指定する方針だが、当初は二カ所にとどまる見通し。担当者は「法案が通らなけれ ば実際の作業には入れないが、専門家をどう集めるのかなど課題は多い」と打ち明 ける。  自治体や保健所などと連携して患者の通院治療や社会復帰を支える「扇の要」と もいうべき精神保健観察官も百−二百人が必要と言われるが、「人材の確保は手探 り」(法務省保護局)という状況だ。同省の労組関係者は「明確な見通しもないま ま、経験のない仕事にどうやって取り組むのか。現場は大きな不安のなかで法案の 行方を見守っている」という。 ●法案のポイント  対象、申し立て 重大犯罪(殺人、放火、強盗、強姦(ごうかん)、強制わいせ つ、傷害致死など)を犯し、心神喪失または心神耗弱で不起訴になった人や無罪と 認められた人など。治療をしなくても精神障害が原因で再び罪を犯す恐れがない場 合を除き、検察官が審判を申し立てる。  決定機関 申し立てを受けた地方裁判所の裁判官と精神科医一人ずつが、対象者 の入院、通院の必要性を判断する。その基準は「再犯の恐れの有無」で、裁判官と 医師の意見が一致しなくてはならない。決定に不服があれば本人、検察官などは高 裁に抗告できる。  入・通院 再犯の恐れがあると判断された精神障害者は指定の医療機関に入・通 院する。医療機関は再犯の恐れがないと判断した場合、裁判所に退院の許可を申し 立てる。入院の継続は裁判所が六カ月ごとに決定。通院は最長五年。ここでも高裁 に抗告できる。 ---------------------------------------------------------------------- [91-7-3] 京都弁護士会「心神障害者医療観察法案」Q&A http://www.kyotoben.or.jp/siritai/houkoku/3.html ---------------------------------------------------------------------- [91-7-4] 臨床精神科医の声明2002.5.24 http://www.seirokyo.com/archive/folder1/kakurihouan/020524psydr.html 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法 律案」に反対する臨床精神科医の声明 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察に関する法律 案」(以下、法律案)が今国会に上程され審議されようとしている。私たちは 精神科医療の第一線を担う臨床精神科医として、この度の「法律案」を臨床経 験に基づき検討した結果、本「法律案」は科学的根拠に乏しく、これが立法化 されれば「心神喪失者」等の拘禁と自由の制限を大幅に強化するものとなり、 更には極めて貧困な我が国の精神医療・保健・福祉の現状の中で、今なお差別・ 偏見に呻吟する精神障害者への新たな差別を産み出すと共に、精神医療そのも のを大きく歪めるものとなることを指摘せざるを得ない。私たちは本「法律案」 に対し、以下の理由で強く反対し、自からの連名によりその廃案を求めるもの である。・・・・」 ---------------------------------------------------------------------- [91-7-5] 日本臨床心理学会運営委員会声明2002.5.15 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法 律(案)」に関する声明 http://www.seirokyo.com/archive/folder1/kakurihouan/020515rinsin.html 「                       運営委員長 吉田 昭久  日本臨床心理学会は、精神医療、保健、教育、福祉、産業などの諸領域おい て、臨床心理学的業務及び研究に従事する者や臨床心理活動に関心を持つ者に よって構成される学術団体です。  臨床心理の現場では、患者やクライアントとの人間的な信頼関係が最も尊重 されるべきです。このような立場から、私たちは第154回国会に提出されてい る標記法案(以下新法案)がこの信頼関係を根本的に破壊するものと考え、そ の可決成立に反対であることをここに表明し、抜本的見直しを行うよう要請い たします。 理由 1. 新法案は、2000年5月のバスジャック事件、そして2001年6月の大阪教育大 学附属池田小学校事件などが契機となったことは明らかです。政府は、これら のあまりに不幸でかつ特異な事件を契機に顕在化した社会の不安感情を背景に して、「精神障害」と「他害行為」を短絡的に結び付け、「他害行為」への対 応策のみを先行させて法案成立を急いでいます。これは、患者である「精神障 害者」への人権侵害や社会的偏見を助長するだけであり、21世紀を展望して展 開し始めた「精神障害」をめぐる治療的環境や生活への支援的環境を後退させ るものであります。 2.臨床心理学的には将来の再犯を予測することは不可能です。それにもかか わらず、この法案は将来の再犯予測が可能であるとし、その結果強制入院医療 を合法化するものです。これは精神医療の名を借りた不定期刑の設定につなが るものと言えます。 3.保護観察所による強制通院や監督権の導入は、それでなくとも偏見に満ち た社会環境に身を置く「精神障害者」との信頼関係を築こうとする臨床心理学 的援助を、まったく否定するものと言わざるをえません。 4.新法案では精神障害者という一般的な用語を極力避け、「心神喪失者」や 「心神耗弱者」という用語を用いています。しかし第33条以降繰り返し使用さ れる「心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象 行為を行うおそれ」という文言は、明らかに「精神障害」が原因で「他害行為」 を行う恐れがあることを強調しています。これはまさに国が社会防衛の立場か ら「精神障害者はこわい」という社会的偏見を強化しているといっても過言で はありません。」 ---------------------------------------------------------------------- [91-7-6] 日本精神神経学会の声明 2002.5.11 http://www.seirokyo.com/archive/folder1/kakurihouan/020511sinkeigakkai.html 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法 律案」の国会審議に際しての抗議声明―再犯予測は不可能である―          社団法人 日本精神神経学会                       理事長  佐 藤 光 源                       精神医療と法に関する委員会                       委員長  富 田 三樹生  本学会は、2001年6月8日の大阪児童殺傷事件の後に急速に進められた、重大 な事件を起こした精神障害者に関する施策の動向に対して、理事会及び精神医 療と法に関する委員会として再三再四見解(※後掲)を表明し、併せて保安処 分の新たな復活となる可能性に対して疑義を表明して参りました。  しかし、これらに示した数々の提言が考慮されることなく、この度「心神喪 失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」 (以下「心神喪失者等医療観察法案」)が国会に上程され、今まさに審議され ようとしていることはきわめて遺憾であり強く抗議するものであります。  精神障害者は、今なお法の下の平等にあるとはいえず、誤解や偏見に基づく 社会的な差別を受けています。また、現代社会において精神科医療は一段とそ の重要性を増していますが、わが国の現状は、医療法特例に代表されるように、 一般の医療水準をはかるに下回っています。同時にまた、精神障害者は、司法 と精神科医療の狭間にあっては、現行の刑事訴訟過程における安易な起訴便宜 主義の問題、精神保健福祉法における検察官、警察官通報制度の矛盾、矯正施 設における不十分な医療などの困難な事態に直面しております。今回の新たな 「心神喪失者等医療観察法案」は、これらの検証や改善を放置したままに、再 犯予測を可能とするものであり、到底容認出来るものではありません。  本学会は、「精神医学の原則に照らせば病状の予測についての専門的な判断 は可能であるが、高い蓋然性をもって再犯を予測することは不可能であること」 を明確に提言して参りました。それにも関わらず本法案は次のようにあらゆる 段階において再犯予測が可能であるということを前提として立案されておりま す。すなわち、 1.対象者の鑑定と処遇の決定  精神保健判定医等は、検察官の申立てと裁判所の命令により、再び対象行為 を行うおそれの有無について鑑定しなければならない(法37条)、さらに精神 保健判定医等は、指定入院医療機関が退院許可あるいは入院継続申立てを行う 際(法52条)、処遇の終了および強制通院の延長を行う際(法57条)、強制通 院者に対する入院への切り替えを行う際(法62条)、それぞれ再犯予測の鑑定 を行う。 2. 裁判所(合議体)における決定  審判段階では鑑定等の再犯予測にもとづいた再犯予測判断によって処遇が決定 される(法42条)。 3.指定医療機関における判断 指定入院医療機関では、退院または入院継続において(法49条)、指定通院医 療機関では、強制通院の終了または延長、さらには入院への切り替えにおいて (法110条)、精神保健指定医(申立て者は管理者)は判断を求められるが、 その判断は医療判断ではなく再犯予測である。 4.保護観察所の長の判断  保護観察所の長は、処遇の終了または強制通院の延長、さらには入院への切 り替えにおいて、再犯予測判断に基づき申立てを行う。ただし、その再犯予測 判断は、精神保健指定医(申立て者は管理者)に判断を求められる。(法54条)  過去の事件についての責任能力判断は規範的判断として裁判官が判断する合 理的理由がありますが、将来の再犯予測は、精神科医がそれを予測できない以 上、裁判官にも予測することは困難と考えます。なぜならば、病状の変化と再 犯は、必ずしも直結するものではなく、病状以外の多くの条件の重なりによっ て再犯は起きないこともあるし、起こることもありうるものであります。した がって、本法案における再犯の予測は、医療判断と全く異なり、疑わしきは拘 束するという、医療とは異なる原則に支配され、精神障害者以外には認められ ることのない予防拘禁を必然的に生みだすことを意味します。  同時にまた本法案は、再犯予測が可能であることを前提としているために、 日常の精神科医療においても、社会から治安上の観点を要請される傾向が強ま ることが懸念されます。政府ならびに国会が本法案の成立を期するならば、精 神障害者に限って再犯予測が可能であることの具体的根拠を示す必要がありま す。それができないのであれば、本法案は国民を欺くものであると言わざるを 得ません。」 ---------------------------------------------------------------------- [91-7-7] 日本看護協会・日本精神科看護技術協会意見書2002.5.9 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療および観察等に関する 法律案」に対する意見 http://www.seirokyo.com/archive/folder1/kakurihouan/020509nurs.html 「「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者」の処遇に関して、法整備 することは必要である。しかし今国会に上程された「心神喪失等の状態で重大 な他害行為を行った者の医療および観察等に関する法律案」は、以下に問題点 を指摘するように、保安目的が極めて強いものであり、精神障害者への偏見を かえって高めかねない。  看護職は、精神障害者の健康を守り社会復帰をめざす役割を担う立場から、 法律案がこのまま成立する事に反対する。・・・」 ---------------------------------------------------------------------- [91-7-8] 「精神障害者」に対する特別立法について考える緊急市民集会2002.4.6 (主催:京都弁護士会)パネルディスカッション記録 http://www.kyotoben.or.jp/siritai/houkoku/2.html ◆保護観察官の立場から◆ (司会)今日、会場に保護観察官の方が来ておられますので、今回の新法につ いて、保護観察官の立場からのご意見をお願いできますでしょうか。 (西原実)「私は、全法務省労働組合の近畿更生保護支部長で保護観察官の西 原実と申します。  今回この新法「心神喪失者医療観察保護法案」が通ってしまいますと、私ど もは、今パネリストの方がおっしゃっておられました強制通院部分と入院施設 からの退院の時の環境の調整というところを担当させられることになります。 我々、この法律を読ませていただきまして、全面的に個人的にはまったく反対 で、パネリストの方がおっしゃられた通りだと個人的には思っています  ただ、立場上、法案が通ると仕事をやらなければならなくなってしまいます。 法務省の職員団体で全法務省労働組合というのがあるのですが、そこの近畿の 保護観察所の集まりの中の代表者の立場で、法務省内での反対運動を今展開し ているところです。  保護観察所というところは、刑事局とは違いまして法務省保護局というとこ ろが我々の統括になっているんです。去年の11月にその保護局とお話させて いただいた時には、この新法というか骨子の部分がまだなかったくらいのとき だと思うんですが、1000人規模の新しい行政機関が必要であるというよう な話をしていました。もしこの法律をそのまま実行するのであればということ です。今パネリストの方が話されていた話とかを全部無視して、行政だけの話 ということで考えますと、1000人規模の新しい行政機関が必要ではないか という話をしていました。  ところが蓋を開けてみて、法案の条文を見ていただいたらわかるんですが、 令状の執行の中で関わるところを見ていただくとよくわかるんです。精神保健 観察官PSW(精神保健福祉士)の方を採用してやるということを繰り返し言っ ておられるんですが、これは保護観察官の数ほどにはならない。  今、実際に事件を担当している保護観察官は、全国で大体600人です。6 00〜700人で、10万件ぐらいの事件を担当しています。どうしてこうい うことが可能かと言いますと、地域に行きますと、保護司さんというボランティ アの方がおられます。全国で4万5000人の保護司さんがおられます。一義 的には、その保護司さんが、保護観察になった少年、少年院の仮退院者、刑務 所の仮出獄者、執行猶予で保護観察付きになった者、この方々を担当していた だいています。地域社会で、ボランティアでやってくださっています。そうい う形でやっている保護司さんを使って、今なんとか成り立っているような行政 機関です。  我々の保護観察所と同じくらいのものがなければ精神保健観察官というのは 成り立たないということを言っているにも関わらず、この法案の条文の中では、 同行状の執行なども精神保健観察官にさせるのではなく、保護観察所の職員に させるということになっているわけです。ということは何をさしているかと言 うと、精神保健監察官も形だけでいいと。今山本さんがおっしゃった数字は私 のほうから言ったのですが、全国に保護観察所は50庁あるんです。北海道は 4庁です、あとは各都道府県にあります。その保護観察所に1名を精神保健観 察官があれば、この法律は行政上回って行くようなシステムになっています。 こんなむちゃくちゃな話ないです。  我々も、入り口の部分で論じられているような裁判とかの方は、その後の下 請けの部分をいつも担当させてもらっているものですから、あまり詳しくはな いんですけれども、実際にやるとなるととてつもなく歪みが生じます。で、対 象者の方には非常に迷惑をかけることになるだろう。なんのケア−もできない。  個人的に業務で直接処遇というのがありまして、精神障害かどうかわかりま せんが、境界例に悩んでいた少年を担当したことがあります。その少年をなん とか精神病院に連れて行って治療を受けてもらうというような実際の処遇をし たこともあります。これは現行法上の少年法の保護観察の中で、その少年は閉 じこもり気味だったので、なんとか閉じこもりを直してもらおうと思って面接 を繰り返して、往訪と言いまして少年の家を訪ねていって面接するんですけれ ど、それを繰り返してなんとか連れて行こうとしました。で、やっと連れて行 けたんです。病院に行ってくれたんです。行った病院は、もう私が患者でも嫌 になるようなボロッチー、汚い、薄暗い、気が滅入ってしまうような病院でし た。これではやっぱり行く気になれません。やっぱり、精神医療の貧困という のがここで見えているわけです。  現行法上で保護観察を実施している部分においても、協力体制とか、現在の 精神保健福祉法での連携という部分では、お互いに組織も行政力も貧困ですの で、なかなか連携がとれていけないというのが現状です。我々、人を増やせば いいというものではないですけれど、本当は少年人口が減っていまして、メイ ンは少年ですから、少年人口が減っていけば仕事も減るはずなんですが、なか なかそうはいかなくて、犯罪数も保護観察対象者数も年々増加の一途を辿って います。こんな中で、各庁1名の精神保健観察官をつけて、新法ができて、平 成16年4月1日から実施になってしまえば、本当にお手上げ状態というのが 保護観察所の現状です。  これだけは私たちの立場から、皆さんに是非わかっておいていただきたいと いうのが特にありましたので、今日、ちょっと僭越ですけれどもお話させてい ただきました。どうもありがとうございます。」 八尋光秀(福岡県弁護士会会員)「・・・世論だからといっても誤った社会認 識、偏った世論というものに対して、我々がどう対峙するのか。やはり誤った ものは正すと、世論だから受け入れるではなく、正しいか正しくないかという 議論が、しかも、法案というのは個人一人一人の人権侵害にかかわる人権政策 ですから、経済政策というようなものとは質が違う。一人一人の人権侵害に対 して適正な政策なのか正義があるのかということが問われる。そういう課題で すから、いかに「世論」が、10万人のうち9万9999人が受け容れるといっ ても許せないものは許せないと言って行くべき課題だなと思います。」 ---------------------------------------------------------------------- [91-7-9] 日本精神保健福祉士協会 事務局提供資料 http://www.mmjp.or.jp/psw/a4jyouhou/iryoukansatsu/menu.htm 心神喪失者医療観察法案に関する国会質疑 http://www.mmjp.or.jp/psw/a4jyouhou/iryoukansatsu/q&a.htm 心神喪失者医療観察法案【概要】 http://www.mmjp.or.jp/psw/a4jyouhou/iryoukansatsu/gaiyou.htm 心神喪失者医療観察法案【概要図】 http://www.mmjp.or.jp/psw/a4jyouhou/iryoukansatsu/zu.htm 心神喪失者医療観察法案【要綱】【PDF/86KB】 http://www.mmjp.or.jp/psw/a4jyouhou/iryoukansatsu/youkou.pdf 心神喪失者医療観察法案【PDF/86KB】 http://www.mmjp.or.jp/psw/a4jyouhou/iryoukansatsu/iryoukansatsu.pdf ---------------------------------------------------------------------- [91-7-10] 全国精労協Home page 声明一覧 http://www.seirokyo.com/archive/folder1/kakurihouan/020507seimei-list.html ---------------------------------------------------------------------- [91-7-11] 石川信義「心病める人たち─開かれた精神医療へ─」 岩波新書122 ISBN4-00-430122-X Masayuki Tanaka 氏書評より http://www.lint.ne.jp/~syebu/bridge/library/shohyo/i_si122.html 「・・・あとがきで著者は『精神医療は日本の恥部である。』と語る。その言 葉は精神医療にかかわる人だけでなく我々にも向けられているのである。・・・」 (ウェブサイト「Bridge」 http://www.lint.ne.jp/~syebu/index.html より ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [91-8] その他の意見表明 ---------------------------------------------------------------------- [91-8-1] 「まだ旧体制下の新聞社と月極契約している人たちへ」サイト http://www5a.biglobe.ne.jp/~NKSUCKS/ 「日経表現の自由侵害訴訟」に関する元日経記者の意見 2002.6.1 http://www5a.biglobe.ne.jp/~NKSUCKS/journal1.html#02601 「過去の判決内容を調べようとしたところ、そもそも調べること自体が難しい ことがわかった。・・・聞けば、東京地裁には一応、裁判情報がデータベース 化されたものがあり公開されているが、裁判官名では検索できないとのこと。・・・・ 裁判所の理屈としては、そもそも裁判は裁判所がやるものであって個別の裁判 官がやるものではない、だから、個別裁判官の名前をデータベースに入れると いう発想自体がない、ということであろう。「個人の良心によって判決を下す のではなく、最高裁を頂点とした官僚組織に操られて判決が出る」という日本 の司法の問題点を象徴する出来事である。」 「同書(犬になれなかった裁判官」(安倍晴彦))のなかで、司法改革市民会 議事務局長・高見澤昭治弁護士はこう述べている。「・・・・国家の機関であ る以上は、最高裁がどういう判断をしているか。まだ判例がないところでは、 最高裁であればこういう判断を示すであろうということを常に考えて判決をせ よと論文の形で堂々と指導しているんです。」 ---------------------------------------------------------------------- [91-8-2] 中谷巌(多摩大学学長)「タブー挑戦の小泉内閣の意気やよし」 産経新聞 正論 2001年5月31日 http://www.ufji.co.jp/nakatani/articles/misc/20010531.html 「・・・・大学の生産性が低迷する中で、小泉首相が総理大臣としてはおそら くはじめて、「国立大学の民営化」に言及したことは朗報である。ぜひ、この 線で話を進めて欲しいと考えるのは筆者だけではないと思う。・・・・特別会 計制度の全廃、国立大学の民営化、郵政事業の民営化。この三大改革が実のあ る形で実行できれば、小泉改革内閣の業績は長く歴史に刻まれることになるだ ろう。改革の後退が起こらないよう、国民の一人として注視していきたい。」 ---------------------------------------------------------------------- [91-8-2-1] 山形浩生「中谷巌の利用価値」『CYZO』2000 年 08 月 http://www.post1.com/home/hiyori13/cyzo/cyzo200007.html  「・・・・宮崎哲弥がかつて、中谷巌はかつては護送船団方式支持者で、それ が最近日和って競争支持者になったと指摘しているし、そういう転身ははやい ようだ。・・・・」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題に関連する情報(主に新聞報道・ オンライン資料・文献・講演会記録等)へのリンクと抜粋を紹介。種々のML・ 検索サイト・大学関係サイト・読者からの情報等に拠る。転送等歓迎。 【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ ひ読んで頂きたいもの。 【関連サイト】http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp ------------------------- 発行部数(括弧内は5/19からの増減) (2002.6.1 現在) 1778(14): Mag2:1005(+10)|CocodeMail:395(-1)|Pubzine:94(-1)|melma:88(+3)|  melonpan:71(+3)|melten:54(-1)|Macky!:41(+1)|emaga:30(0) 直送 860(北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・国会議員等) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End of Weekly Reports 91 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