通信ログ
国公私立大学通信 2003.09.26(金)
http://ac-net.org/kd/03/926.html
前号:http://ac-net.org/kd/03/925.html

━[kd 03-09-26 目次]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【1】東京都立大学人文学部抗議声明 2003.9.25

【2】東京都立大学人文学部文学科5専攻から大学管理本部宛質問状
 2003.9.24

【3】(投稿・匿名)国大協以外の大学間連携について  2003.9.15

【4】落合栄一郎氏より
 「大学の真の改革のためのシンポジウム」についてのコメント 2003.9.25
    http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp./forum/message/6120.html
  及び「日本の大学学長殿へ 2000.10.17」要約 
    http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp./forum/message/1728.html

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     各位 

     東京都が8月1日に、数年かけて形成された都立大学改
     革案をご破算にし、都立大学改革において大学側の意思
     は考慮しない方針を明確に宣言し、秘密裏に検討を開始
     したことは、教育基本法10条が禁止する(行政による)
     「不当な介入」そのものと言ってよいと思います。この
     介入が看過されれば、行政が教育基本法の規制を受けな
     い「教育特区」が事実上誕生することとなり、同様の事
     実上の教育特区は全国に急速に広がり、最後には、教育
     基本法の規制そのものが失効する懸念もあります。

     この意味で、東京都を「教育基本法10条適用外特区」
     としないことは、単に東京都立大学関係者だけでなく、
     日本の全大学関係者の将来を左右する重要な課題である
     と思います。

		     □ □ □ □ □ □

     8月以降は、都の改革案を了承する教員が「一本釣り」
     され厳重な守秘義務の下で作業に協力させられていると
     言います【1】。これは、数年前に国立研究所が独立行
     政法人化されるときに常用された手法であり、また国立
     大学でも広がりつつあると推測されますが、このような
     手法で実際に大学を良くすることができるのでしょうか。

     密室で少数の者によって大学改革を立案できるという発
     想は、大学で行なわれている教育・研究の諸活動全体が
     持つ認知上の複雑度を見誤っており、関係者の性善説を
     仮定したとしても大学を奇形にすることは不可避と思い
     ます(*)。情報公開は、単に施策者を監視するために
     だけ必要なのではなく、多様な視点を持つ多数の認識主
     体に課題を絶えず曝すことによって初めて課題の持つ複
     雑さに見合った複雑度を持つ吟味が実現されるから重要
     なのです。(編集人)


(*)参考人として小野善康氏が国会で発言した中で、
たとえノーベル賞受賞者から成る評価委員会を作っても、
素人集団でしか有り得ず、素人集団は単なるはやりと話
題性を追求するだろう、という趣旨の指摘をされていま
す: http://ac-net.org/kd/03/612.html#[4]

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【1】東京都立大学人文学部抗議声明 2003.9.25
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  抗 議 声 明

   本年8月1日、東京都はそれまでの新大学計画を突然覆し、新た
  な基本構想を一方的に発表した。それ以降の新大学設立準備過程に
  おいても、大学側の公式の関与をいっさい排除し、2005年4月
  の開設を目途に強引に検討を進めている。新大学設置をめぐるこの
  ような都の手続は、設置者権限を大きく逸脱し、憲法、教育関連法
  規およびその他の諸法規に抵触する恐れが大きいと判断される。我々
  はこれを深く懸念し、以下の6点について東京都に抗議するととも
  に、広く社会に訴える。

  1.東京都が、東京都大学改革大綱に基づき都立の4大学との緊密
  な協議を経てほぼ完成を迎えていた前計画を、事前に何の説明もな
  く、また日程上の無理を承知で一方的に破棄したこと。

  2.これに代わって発表された基本構想の策定が、非公表の外部委
  員会に委ねられ、大学はいうまでもなく都民、都議会にもまったく
  知らされぬまま、秘密裏に行われたこと。また、上記計画破棄の理
  由とこの新構想の必要性について合理的な説明を行わず、大学側の
  質問にも答えていないこと。

  3.教学面での計画実現に向けた準備委員会から、都立大学総長を
  排除し、個人として委員を委嘱された大学教員も、予め基本構想に
  積極的に賛同するという前提のもと、しかも厳重な守秘義務を課し
  たうえで初めて参加を認めるという異常な体制を敷いたこと。

  4.人文学部の教員定数に関しては、すでに前計画においてもかな
  りの削減が予定されていたが、新構想においては、さらに大きな定
  数削減が迫られていると聞く。このような極端な定数減は、現行の
  多くの学科・専攻の維持を危うくするのみならず、過員教員の大学
  院担当の有無も不明であり、在学生、特に院生に対する教育・指導
  体制の長期継続が不可能になる恐れが大きいこと。また、すでに学
  生・院生の間には、学習権が十全に保障されないのではないかとい
  う不安と動揺が広がり始めているが、これに対し都が十分な説明責
  任を果たしていないこと。

  5.人文学部専攻の多くが全学の基礎教育に果たす大きな役割から
  見て、提示された条件では新大学の基礎教育は極めて貧弱なものと
  ならざるを得ないが、この疑念に対しあえて明らかな回答を示そう
  としないこと。また、外国語を必修化しない今回の構想は、大学教
  育本来のあり方からして容認できないとともに、基本理念としてう
  たわれた国際化、教養重視などとも大きく矛盾すること。

  6.我々は、学部・大学院を通じ、教育・研究組織としての現人文
  学部の社会的評価は十分に高いと自負している。しかるに、今回の
  計画に従う限り、各専攻において積み上げられてきた教育・研究の
  蓄積の多くが途絶し、日本の人文系学術研究拠点のひとつが失われ
  る恐れが大きいこと。

        2003年9月25日    東京都立大学人文学部

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【2】東京都立大学人文学部文学科5専攻から大学管理本部宛質問状
 2003.9.24
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東京都大学管理本部長 殿

     東京都立大学人文学部文学科 国文学専攻 
     中国文学専攻
     英文学専攻 
     独文学専攻 
     仏文学専攻 
            
2003年9月24日

 8月1日「都立の新しい大学の構想について」発表以降、東京都大
学管理本部の進めている新大学構想には不明な点があまりにも多く、
学生たちの間でおおきな混乱と将来への懸念を招いています。

 そこで、以下の質問事項にお答えいただくようお願いする次第で
す。回答は、学生への説明の必要上、後期授業が開始される前日、
2003年9月30日までに、文書によって文学科上記各専攻までご送付
ください。

 なお、情報は学生、都民に対して閉ざされたものであるべきでな
い、との考えから、送付時点で本質問状を一般に公開するとともに、
回答もいただき次第公開することを申し添えておきます。

   1.  本年7月31日まで、東京都大学管理本部と都立4大学の間では、
     「都立新大学設立準備委員会」のもとで都立の新大学に向けた構想
     を検討してきました。しかし、これまで相互信頼関係に基づき築き
     上げてきた構想は、8月1日の「都立の新しい大学の構想について」
     の発表によって、都側から一方的に破棄されました。

      管理本部側、大学側ともに膨大な勤務時間を費やし形づくった案
     をこのように唐突に破棄された根拠を、納税者に対して説明する義
     務があるかと存じます。具体的にご説明お願いします。

   2.  「都立の新しい大学の構想について」では、現在の都立大学に
     かぎっても学部学科構成がおおきく変動することになるにもかかわ
     らず、現行体制から新大学への移行がどのようになされるのか触れ
     られていません。

      現在在学している学生たちの間では、自分たちの学習権がはたし
     て保障されるのか、というおおきな不安がわき起こっています。ま
     た人文学部一年生は、進級にあたっての専攻選択という問題を眼前
     に控えとまどっています。

      この案を強行すると仮定して、現在在学している学生に対して、
     入学時に示されていた教育態勢が縮減されることなく卒業時まで保
     持されることを確約してください。またそれがどのように保証され
     るのか、具体的にお答えください。

   3.  新しい大学における大学院の構想は、いまだに発表されていません。

      現在ある大学院人文科学研究科・社会科学研究科が、新しい大学
     ではどのような扱いとなるのか、お答えください。

      またその際、現在在学する大学院生の処遇はどのようになるので
     しょうか。現在修士課程在学中の大学院生が、課程博士号取得にい
     たるまで、入学時の態勢が十全に保たれることを確約してください。

   4.  現在人文学部には文学科5専攻(国文学、中国文学、英文学、
     独文学、仏文学)があります。その、新しい大学における位置づけ
     を示してください。

   5.  新大学における言語教育(日本語および外国語)について、7
     月31日までに検討・準備されてきた案も破棄されたのでしょうか。
     もしその場合、どのような対案が用意されているのか、具体的にご
     呈示ください。

以上。」

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【3】(投稿・匿名)国大協以外の大学間連携について  2003.9.15
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     「法人化後、学問の自由と大学の自治を養護するための
     大学運営の特徴を出せる余地は、大学毎にありますし、
     そうしなければいけませんが、行く手は極めて厳しいと
     思います。とくに、個々の大学運営を司るリーダーのス
     タンスがぜい弱であれば、掘り崩される危険があると思
     います。

      そのようなスタンスの基本は、次の3つではないでしょ
     うか。

     (1)理念面で、法人化推進側の狙いを先取りして「先
     制批判」をすること、

     (2)組織面では、大学側が横の連絡をとること、

     (3)個々の大学で、人々が積極的に発言すること。と
     くにシニアたちは、「あと定年までに何年だから」と逃
     げ腰になるのでなく、失うものを恐れずに発言すること。

      この3つの要素がそれぞれに最大の機能を発揮し、そ
     の中に個々の大学の自治擁護の意志が溶け合わないと、
     潰されていくでしょう。とくに重要なのは、(2)の連
     帯です。大学間の競争を背負わされた学長の集まりであ
     る新「国大協」に依存するだけでは、いままでの二の舞
     いとなるでしょう。やはり、構成員による下からの力が
     重要と思っております。



      思い起こしますと、結局「有馬文科大臣」と「藤田論
     文」という2頭の「トロイの木馬」の中に潜み、法人化
     成立後にゾロゾロと現れ出てきた法人化政策の推進側が、
     国立大学法人化に何を託しているかを事前に見極めない
     で、国大協執行部は、「法人化しなければ、民営化され
     る」というお題目を唱えるだけで、譲歩に継ぐ譲歩を重
     ねて、結局は民営化とほとんど変らないところまで来ま
     した。

      政策推進側の狙いは、すでに顕在化した横浜市立大や
     東京都立大における大学改変の全国版と思います。その
     本質は、大幅な財政カットをしながらトップダウン運営
     で、産学官連携主導の実学的な分野における短期的な成
     果をめざすことです。単純には「安上がりで質のよいも
     の」はできませんから、「打ち出の小槌」が必要で、そ
     れが教職員ひとりひとりを成果主義で競わせる「競争原
     理」です。もちろん、一部の大学には、人文・自然・社
     会科学の基礎分野で世界のトップたり得る猶予を与える
     でしょうが、それは突出したほんの一部であって、政府
     側が国立大学法人化に託す究極の大学像は「21世紀
     COE」政策を前触れとして、やがて我々の眼前に絶望的
     なまでの風景として展開することになるでしょう。その
     ような政策推進の先頭を走るのが、法人化法案成立後に
     設定された、内閣直属の国立大学法人の評価組織(正式
     な名称は失念しました)と思います。

      文科省が大学の側に立つことは、もはや期待できませ
     ん。その証拠に、『文部科学教育通信』2003年7月28日
     号(No.80)における特別寄稿で、文科省高等教育局主
     任大学改革官の杉野剛氏は、次のように激をとばしてい
     ます。

       「----組織の新設・拡大、経費の抑制、不要ポストの削
       減といった学内資源の再配分の決定は、厳しい反発を招
       く決断であっても、大学自身の手で決着をつける自主・
       自律の体制を確立しなければならない。---(中略)---
       こうした従来からの運営上の問題(註、教授会や評議会
       のこと)を解消しつつ、法人化により新たに国から大学
       に委譲されるマネジメントの権限、すなわち学内の資源
       配分を決定する権限の重みに十分に耐えられる体制の構
       築が課題となる。」

     これによれば、もしある大学が、現行の大学運営方式を
     法人化後に運用させようとすれば、その学長は文部科学
     大臣によって解任されると思います。



      冒頭に立ち返って、日本の国立大学がその本来の姿を
     とどめるために、本当にいま何が必要かを真剣に考える
     必要があります。

      それを考える上で、格好の本を御紹介します。「窒息
     するオフィス」(J.A.フレイザー著、森岡孝二監訳、岩
     波書店、2003年)です。1990年代から、アメリ
     カのホワイトカラーを襲った労働強化を分析したもので
     すが、そこに活写されたホワイトカラーの職場は、わが
     国立大学法人の職場に丸写しとなるでしょう。しかし、
     この本の最後に著者は、ホワイトカラー「搾取工場」に
     対する反撃をレポートしていますが、その道筋は、イン
     ターネットの発展、ホワイトカラーの労働組合への関与、
     そして投資家の支援です。法人化による「大学搾取工場」
     への反撃も、投資家を「学生と国民」と読み替えれば、
     共通するのではないでしょうか?」


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【4】落合栄一郎氏より
 「大学の真の改革のためのシンポジウム」についてのコメント 2003.9.25
    http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp./forum/message/6120.html
  及び「日本の大学学長殿へ 2000.10.17」要約 
    http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp./forum/message/1728.html
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以下は「高等教育フォーラム」に投稿した文ですが、
皆様にも検討していただけると幸いです。

	       落合栄一郎
	       Department of Chemistry
	       Juniata College
	       Hntingdon, PA 16652, USA



「大学の真の改革のためのシンポジウム」について

      表記のシンポジウムが9月27日に東大で催されると
     のことです。残念ながら出席できませんので、いささか
     感想を述べます。ただし、実際どのようなことが、どの
     程度突っ込んで議論されるかはわかりませんでの、表面
     的にその趣旨と討論主題の字面らのみについての感想で
     す。

      国立大学独立法人化と、それに関連して大学の統廃合ー
     その基本的精神である、経済効率の大学教育への適用ー
     などが現に進行しつつある状態で、多くの関心ある方々、
     影響力をもつ方々が一堂に会してシンポジウムを開催さ
     れることは大変意義深いことと思い、そこで有意義な討
     論がなされることを期待します。

   (A)  まずは表題ですが、独法化が既成事実と化してし
     まった現状で、法に抵触せずに、または法そのものの改
     正をも考慮にいれて、改革に取り組んで行こうではない
     かという趣旨であるものと考えます。そこで、重要なこ
     と、議論を有意義なものにするためには、「大学」の何
     をどのように(「真」とは)改革しようとするのか、も
     う少し具体性がないと議論が散漫になりかねないのでは
     思います。

   (B)  そこで、『趣旨』をみてみると、「(イ)近年に
     ない規模と多様性をもって展開されたこの運動を,幅広
     い立場から,総合的,多面的,論争的に吟味・総括し,
     記録する.(ロ)制度の実施という状況のなかで独法化
     にどう立ち向かい,学問の自由と大学の自治を守り,あ
     るいはどう築いていくかを討論する.また,この制度は
     公立大学をも飲み込もうとし,さらに私大も,政府が認
     める評価機関による評価が義務付けられた.このような
     政府・官僚主導の激変のなかで,大学関係者と市民によ
     る高等教育の自律的な改善の可能性について考える.」
     とのことです。(イ)では、これまでの運動の総括、記
     録を行うようですが、私には、今回の国立大学独立法人
     化とそれに伴う、なしくずしの官僚機構による大学(私、
     公、国)支配という、将来の日本へ甚大な影響力がある
     問題にも拘わらず、国民の関心があまり高くなかったよ
     うに思われるのですが、それがなぜなのかといった反省
     もあってしかるべきではないかと思う。この原因の一つ
     は、(国立だけではないが)大学の教育/研究がずさん
     であり、それに対する国民の反感が、大学改革やるべし
     という雰囲気を醸し、それに行政側が乗ったという面が
     あるのではないかと思う。そういう点では、大学に重大
     な責任があった。(ロ)の問題が、日本の今後を決める
     ことになるかもしれない。学問/思想の自由を、独法化
     のもとでどう確保するかーあらゆる手段ー国民に理解を
     訴える、憲法との関連(違憲か)、法をどのように解釈
     するかーなどなどーを用いて。そこで討論主題を見てみ
     ると、以下のごとく、この問題は十分に意識されている
     ようです。

  (C)  『討論主題』は:「(イ)反対運動の総括.組合,
     自主団体,院内,メディア,大学幹部,国大協(ロ)憲
     法23条,教基法10条の今日的意味.「学問の自由」,
     「大学の自治」は古いのか?わが国の高等教育に欠けて
     いるものは何か?(ハ)大学評価の問題(ニ)マスメディ
     アのありかた,どう対処すべきか,どう連携すべきか
     (ホ)法の施行にどう対応するか,どう闘うか.違憲訴
     訟はどのように具体化されるか.労働協約など組合の対
     応(ヘ)公立大学の問題(ト)教基法改悪反対運動との
     関連・連携(チ)国際比較,国際連帯」だそうである。

   (D)  討論で、中心的主題にしてほしいのは、上にある
     「わが国の高等教育に欠けているものは何か」であり、
     それは基本的には「教育」というものを重要視してこな
     かったことと言ってよいのではないかと思う。これにつ
     いては、この掲示板でかなりしばしば発言してきたが、
     その一つ#1728の「日本の大学学長殿へ」という一文が
     その要約であるので、その一部をここに再掲載する。シ
     ンポジウムの場でも検討していただけたら幸いである。

#1728

     (1)大学の社会における機能の確認:大学は、市民の
     大多数にとって最終段階のフォーマルエジュケーション
     であり、市民が十分な人格を確立し、市民として十分な
     社会的機能を発揮できるように教育する場である。これ
     は、学部、大学院ともに通用する機能であるが、学部で
     は、教育なかんずく一般教育に重点がおかれるべきで、
     大学院では、専門分野の教育/研究の比重が高くなる。

     (2)この機能を確認し、大学構成員(教師、学生、職
     員)にその意義の徹底を計る。

     (3)以上、大学の外部にもわかる形で、社会にむけて
     発表する。(もちろん、発表してもそれぞれの教員の意
     識が変わらねばならないことには変化は難しいでしょう
     が、それは短時間には無理でしょう;したがって新教員
     の採用や、旧教員の再教育にまたざるを得ないでしょう)

     (4)このような機能がスムーズに行われるための施策、
     インフラストラクチャーの確立に努める。

     (5)大学学部教員の評価には「教育」に大きな比重を
     置く。また、教育に関する部分への給与を、研究のそれ
     よりも大にする。それでも研究により力を入れたい教官
     は、研究費より自分の給与を捻出することができるよう
     に、研究費配分機関に提言する。

     (6)教育が重要とするならば、学生対教師の比率を下
     げるべく、学内/学外のあらゆるリソースを動員する。
     まずやるべきことは教員一人あたりの教育に携わる時間
     を今よりも高めることであろう。そのためには、教員の
     いわゆる雑用を軽減する必要もある。職員の仕事は、従
     前のように、仕事をつくるための仕事のような、無意味
     な仕事を減らし、教員の雑用を軽減するために貢献する
     にようしなければならない。

     (7)退学処分などを含む、教育を徹底させる意思/施
     策を社会に公表する。

     (8)細かいことはまだまだ種々あるでしょうが、以上
     のことを、全国大学学長レベルとそれに呼応して、それ
     ぞれの大学が社会にその意思を表明し、国民の理解賛同
     を得られるように努力し、そして、政治に反映させる努
     力をする。

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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
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