総長選挙が明日行われます。長い年月にわたって学園運営を担ってきた幹部集団の姿勢・指針が評価される選挙です。
現総長の川口候補が再任されれば現学園幹部は事実上信任されたことになり茨木キャンパス購入・「キャンパス創造=3キャンパス展開」を軸に学園の目まぐるしい外的回転が始まるでしょうし、教育と研究の現場の創意工夫を学園の基盤とする姿勢を明確にし、そうするためには学園運営体制全般の抜本的見直しが必要だとする坂根候補が次期総長になれば、著しい外的発展を遂げ大規模学園となった立命館がさらに発展し続けるには必須の内的充実期がようやく学園に訪れることになるでしょう。
選挙人のみなさまにおかれましては、釈迦に説法とは思いますが、どうぞ、文字通り学園の方向を決める選挙であるという視点から各候補の志向【1】を精査されますことを心より願っております。
ご参考までに、坂根政男候補を推薦する意見をいくつか転載しておきました【2】。なお、他候補を推薦する意見は、選挙管理委員会公示の推薦委員会文書以外には、発信人が知る限り、みつけられませんでした。
第3回未来フォーラムが10月26日にありました。佐々木元副総長の話し【3】の中で、教授会・職場からの批判が圧倒的な状況で茨木の土地地購入の方針を変えないのは、過去の新キャンパス展開では学園の合意形成に多大な力を注いのとは対照的であり、立命館の伝統にはない全く新しい学園運営方法だと指摘し、まだ「キャンパス問題」などではなく単なる「土地購入問題」にすぎずないと指摘されています。
今回の新キャンパス問題は、グランドデザインを欠いた単なる土地 購入問題に堕している。これを、なお推進しようとするのは、何か 他の隠された意図があるのではないかと疑われよう。速やかに撤回 し、正課・課外を含む教学の質の向上に必要な施策を具体的に打ち 出すべきである。衣笠キャンパスの狭隘問題もその中に位置づけ、 中・長期的な解決の方策を提示する必要があることは、いうまでも ない。
先週の理工学部学科長会議における都市システム工学科長の発言によれば、衣笠の建築条件緩和については大学キャンパスという特殊事情から京都府としても柔軟な対応の可能性も十分あるが、これまでに立命館から京都府景観審議会に対する働きかけは全くないそうです。衣笠狭隘化解決に向けた検討の偏りと不十分さを象徴する経緯と感じました。
なお、鈴木氏から理事への書簡No11(10/26)【4】によれば、竹中工務店が土壌汚染で売れない高槻の土地を関西大学にキャンパス用地として売り込むときに、ぐずぐずしていると立命館が購入してしまうといって早期決断を促したそうです。今回も、やはり土壌汚染で売れない茨木の土地を、他の買い手が居るといって早期決断を立命館に迫っています。財政事情が良い大手私大はゼネコンにとって格好の鴨なのかも知れません。
今回の選挙の結果如何にかかわらず、学園の方向は確定し、学園の岐路選択のための情報提供を主な趣旨としてきたamp は不要になりますので、本号を以って終刊とします。これまで不快に思われた方も多かったと思いますが、長い間のご容赦を感謝いたします。また、これまで、このようなメール利用を許容してきた立命館学園に感謝と敬意を表するとともに、言葉足らずの発言を種々の形で励ましてくださいました方々に心よりお礼を申し上げます。
最後に、心にかかるいくつかの問題を記した文書【5】(2008)を再掲させていただきました。こういった諸問題が解決される日がいつか立命館学園に来ますように。
─1─ 選挙情報 選挙管理委員会公示資料 教職員組合 一時金訴訟の会 総長公選制を実現し学園民主主義を創造する会の公開質問状への回答 ─2─ 総長候補坂根政男さん推薦文集より ─3─ 佐々木喜代三(元副総長)「キャンパス課題を考える」 ─4─ 前総長・理事長室室長から理事への書簡 No11 (2010.10.26) ─5─ コンプライアンスに関するアンケート調査への回答より (2008.10.12)
今度の総長選では、「みんなの総長」を選ばねばならない。「みんなの総長」かどうかは、実際に支持の声が上がるかどうかが大事な基準である。この点で、応援する声が上がっているのは、坂根候補しかいない。もう一つは、今後の立命の方向をどのように指し示しているかである。「株式会社立命館」というような社会的評価を転換し、「落ち着いてしっかり学べる、ディーセントな立命館」にしなければならない。この点でも、坂根候補の政策が光っている。
若い人は知らないと思うが、昔、京都の民主府政を7期28年間担った蜷川虎三知事は、「自分は神輿である。担ぎ手があって存在できる」と言われていた。「トップ、トップ」と声高にいう人物と、なんと大きな違いかと思う。今、立命に必要なリーダーは、坂根候補のように、「みんなに担がれる総長」ではないか。
私は坂根さんとほぼ同じころ(1970 年代)経済の大学院に在籍しました。そのころから現在まで4 0 年近く交流があり、大変尊敬する畏友です。坂根さんは学部、大学院時代から俊秀をうたわれ、大変優れた多くの業績をあげてきました。その人柄は、現在と同じように少しも偉ぶるところがなく、謙虚で控えめな存在でした。毎日夜遅くまで研究し、建物が近くでしたので、生協や大学近辺の食堂でしばしば食事を共にし、時に酒を酌み交わしました。私は坂根さんから自然科学や工学の原理、科学技術の在り方について多くを教わりました。坂根さんは経済社会問題に深い関心を持ち、数多の鋭い質問を受けました。超多忙の中にあっても、この議論は今も綿々と続いています。大学院時代には研究で忙しい中、院生協議会の役員を引き受け、研究条件の改善に積極的に努力しています。当時から経済、経営学部、他の学部の院生からも大変信頼され存在でした。
研究能力、大学人としての資質は、その後一層鍛えられ、きわめて優れた研究者として国内外に広く知られるとともに、大学のリーダーとして傑出しています。「落ちついて研究、教育のできる大学づくり」のために、「教育研究の質、水準で誇れる大学づくり」のためにぜひ総長になってほしいと願っています。
これまで立命館学園は「学園改革のデパート」といわれてきました。しかし改革は新キャンパス展開、大学、付属校、学部新設のような外枠のハコ作りに集中し、大学にとってもっとも肝心の教育の中味の改革はおざなりです。茨木キャンパス展開に象徴される、現場の実状無視の、あいも変わらぬ外枠つくりのワンパターン展開、提案に翻弄され教職員は疲弊しきっています。もう外枠づくりから中味の充実へと改革の軸を転換する時がきています。しかし、残念ながら教育の中身にかかわる本格的改革が教育研究の現場から組織的に提案された事はなかったといえるでしょう。
ここで登場するのが坂根理工学部長です。坂根さんは理工学部の学生の学力調査の結果のひどさに驚き、理工学教育に危機感をもたれ、理工学部の教育改革をじっくり腰をすえて、決して無理せず、出来ることから柔軟に、しかし決してその場しのぎでない組織的なやりかたで行ってこられました。まず問題点を実態調査しデータとして定量的に把握するのみならず、そこに潜むヒューマンファクターを解明し、問題点を洗い出し、現場の教職員と真剣に議論をかわしながら具体的な改善案を出して援助を行う。一方、問題をより広い視点で捉え、その組織的包括的な解決案を提案し、朱雀の学園執行部につきつけて解決のための予算措置をとらせるという方法です。
私は物理科学科での教育改革に携わってきましたが、現場が望む支援を行い、やる気を鼓舞し、現場発のアイデアを吸収し、組織化してゆく坂根理工執行部の実行力と手腕にはたいへん驚いています。我々が物理科学科で行っている教員-学生が共働して学修カルテを作成する「学修面談」や「物理かけこみ寺」等の先進的と自負する取組みはすべて、坂根執行部の強力な支援をうけてやらせていただいています。
坂根さんが総長になるなら、理工学部で発展させられた教育改革の方法を全学園的に展開し、疲弊しきった現場をいやしながら、現場の実態に即した無理のない方法で、立命館学園をいつのまにか蘇生させ、内在する立命パワーをひきだし、立命館を内側から輝く学園に変えてゆかれると思います。立命館はそれだけの潜在力をもっていると思います。学園の全構成員の願望をすくいあげる思想と政治的力量をもった人物が現れるべくして現れました。今、この人物を得て、人心は雪崩をうって現学園執行部から離れつつあるのを感じます。
(抜粋)
(i) それが、グランドデザインなき新キャンパス設置構想であることは明らかである。理事会が提起している茨木の土地購入問題については、その土地をどのように使用するのかさえ全く見通しが示されていない点では、キャンパス問題と呼ぶことさえ憚られる。目下のところ単なる土地購入問題であり、しかも大義なき土地購入問題なのである。そして、その購入費が結局のところ学生の納付金に還元されざるを得ない私学の財政構造を考えるとき、学生にまた学生の父母にどのような説明が可能なのか、理解に苦しむ。可能なのは、土地を購入しておえば、後から何かと役立つだろうという漠然たる説明でしかないであろう。
(ii) 総長は、組合との懇談会でグランドデザインがないことを認めつつ、今までとは違う新しい計画作りだと強弁している。各職場や教授会等から出される個別の論点を積み上げて、これからグランドデザインを描けばいいと言い切っている。総長の考えでは、教育と研究の質の向上を図ろうとするとき、既存キャンパスは狭隘であるから、キャンパス整備=キャンパス創造を最優先課題にしなければならない、ということんおだろう。だが、既存キャンパス、とりわけ衣笠キャンパスが狭隘であるのならば、その狭隘さを解消するためには衣笠キャンパスの拡充が必要であるし、それが困難な場合には既存学部の移転や縮小をも視野に入れた将来構想が必要になる。だが、そのような構想は提示されず、衣笠に関しては政策科学部の移転可能性が取り沙汰されたにとどまる。BKCにある経営学部の移転可能性は衣笠の混雑解消とは関わりのない話であり、BKCが経営学部の移転を必要とするほどに手狭になったという話は、聞いたことがない。しかも、両学部の移転話は学部教授会の承認を得たものでもなく、ましてや全学、全構成員の了解を得た将来構想になっていない。
(iii)従って、再度いえば、今回の新キャンパス問題は、グランドデザインを欠いた単なる土地購入問題に堕している。これを、なお推進しようとするのは、何か他の隠された意図があるのではないかと疑われよう。速やかに撤回し、正課・課外を含む教学の質の向上に必要な施策を具体的に打ち出すべきである。衣笠キャンパスの狭隘問題もその中に位置付け、中・長期的な解決の方策を提示する必要があることは、いうまでもない。
大阪市大正区において発動機用の特殊ピンの製作を行っていた会社が、1945年に茨木市の現在サッポロビール工場跡地に該当する所に移転し大阪産業社と改組して営業。その後1950年に大阪螺子製作所と改組し営業を継承する。螺子(ねじ)の製造過程ではメッキを伴う。したがって重金属も化学物質も使用する。この工場が1980年に吹田市に移転したあとにサッポロビール茨木工場が建設された。しかし当時の社会的状況もあり、土壌汚染をきちんと調べ除去してからビール工場を建てるということをしなかったのだろう。そして今回、サッポロビールが工場閉鎖を行うに当たって、ガンバ大阪のメインスタジアムとする計画が茨木市を巻き込んでと持ち上がり、地質調査をしたところ大規模な土壌汚染が分かり中止となったのである。
http://ac-net.org/rtm/cmpl/compl-7.html (全体:http://ac-net.org/rtm/cmpl/ )
┌─── │最初に確認しておきたいことは、法令違反がなぜ問題になるか、ということで │ある。まず、同語反復になるが、法令違反は法治国家では許されない。発覚す │れば「罰」を受け(20億円の補助金カット等の)実害がある。しかし、それ │だけでなく、組織として長期的ダメージを受ける。そういうことが続けば、法 │令を破るような精神構造を持つ組織として、まともな世間からは相手にされな │くなる。そうなれば良い学生は来なくなり大学としてのレベルはとめどなく下 │がっていく。 │ │以上の「損害」の中で最も悪性のものは実害ではなく、長期的ダメージの方で │あることは言うまでもない。しかし長期的ダメージは法令違反がなくても生じ │る。立命館は法令遵守には関心が高く、ある意味で過度に敏感とさえいえる。 │しかし、世間常識的に期待される当たり前の倫理性には全く鈍感な運営が行わ │れている。しかも、倫理性への鈍感さに全く気付いていないか、あるいは気付 │くことがあっても些細な問題として関心を持たない。ここに、立命館の危機の │真の原因があり、種々の長期的ダメージをもたらしている。 │ │そこで、コンプライアンスとは関係なく、命館に長期的ダメージを与えている、 │あるいは与えかねない、事例を5点挙げたい。 │ │まず、法律には反していないとしても、深刻な長期的ダメージを実際に与えた │3例をあげたい。 │ │(1) APU日本語常勤常勤講師の雇い止め │ │これは雇用時にリクルート担当教員が定年まで雇用が継続可能という約束をし │たにもかかわらず雇い止めになった事件であるが、当該常勤講師による地位保 │全仮処分申請を大分地裁が却下し福岡高裁も最高裁も却下を支持したので、法 │的には問題がないことになった。しかし、リクルート担当教員が定年までの雇 │用継続を全日本語嘱託講師に対して約束した(約束の存在は裁判所も確認)に │もかかわらず、組織としては約束を守らなかったことは、大学関係者の間で │APUの信用を一気に下げることとなった。APU は大学教員社会ではブラックリス │トに載り、APU 教員公募への応募は極端に減少した。最近、APU嘱託講師の雇用 │期間を3年から5年に延長したが、それで問題が解決するかどうかは疑問であ │る。大学としてこれほど大きなダメージは余りないであろう。法令違反にはな │らなかったとしても「嘘をついてはいけない」という、人間社会における最低 │限の倫理性を組織として軽視することがもたらす長期的ダメージがいかに大き │いかをこの事件は象徴的に示している。 │ │(2) 全教職員の一時金カット(2005,2006,2007) │ │これは法廷で争われていることで、違法ということになるかもしれない。しか │し、たとえ違法とはならないことになったとしても、これほど徹底的に組織を │傷めて長期的ダメージを与えた運営ミスは他には考えられない。それほどの大 │失政である。大半の構成員が学園執行部に対する信頼感を失い、余程のことが │ないかぎり元の状態に戻ることはありえないだけに、この長期的ダメージはと │りかえしがつかず、組織としての衰退は不可避である。組織の内的弱体化は種々 │のきっかけで世間が察知することとなり、社会的信用を確実に低下させていく │であろう。この衰退を止め、もとに戻す方法は一つしかない。それは、執行部 │が非を認め、学園の全構成員に謝罪し、一時金を2004年度のレベルに戻して払 │い、「失政」に少しでも関係した幹部は責任をとって執行部を辞し、構成員に │信任される新しい執行部による学園運営が開始されること、である。 │ │(3) パワハラの横行 │ │言葉や態度による暴力は違法となりにくいためか、コンプライアンス以外には │関心が薄い立命館では余り問題にされない。パワハラと「厳しい指導」との区 │別にも鈍感である。何らかの問題を起こした教職員を密室に呼び複数の幹部が │長時間にわたって説教したり問い詰めたり、場合によっては人格攻撃をする事 │例を複数聞いている。これは「パワハラ」そのもので、現在の法体系ではなか │なか犯罪として立証しにくいとしても、パワハラの日常化が構成員の心身の健 │康をむしばみ組織を弱体化させることは欧米でも問題となって真剣な対応が模 │索されている。幹部職員が一般職員を呼び出し面談するときは、その職員が選 │んだ第三者を同席させることと、面談の内容を録音することにより、少なくと │も学園幹部による「パワハラ」を許さない実効的仕組みを実現することが急が │れる。 │ │(4)非常勤講師と専任教員の間の深刻な格差 │ │単位時間あたりの給与格差は極めて大きく、また、身分保障や、長期病気の際 │の経済的保障の格差も極めて大きい。最近、立命館では、非常勤講師の報酬が │大学平均近くに是正されたが格差の大きさを実質的に変えるようなものではな │い。また、企業でも非常勤も正社員とする動きが出はじめているが、そのよう │な動きはまったくなく、次の(5)で触れるように、非正規雇用と正規雇用の格差 │と区別は立命館では歴然としている。この格差問題は、日本の大学セクタ全体 │で生じている問題ではあるが、立命館は格差を多少は解消するだけの財務的力 │量を持っているだけに、これを放置している非倫理性は鮮明になっていて、や │がては立命館の専任教員の非倫理性を示すスキャンダルとして注目され長期的 │ダメージを受けることが懸念される。逆に、立命館が格差解消に向かって一歩 │進めるならば日本全体での格差解消への引き金となる可能性もあり、その場合 │には大学としての信用を高め、長期的に大きな「メリット」があることは言う │までもない。 │ │過度のコンプライアンスがもたらす非倫理性による長期ダメージの例としては │次がある。 │ │(5)有期雇用教職員の雇い止め制度 │ │立命館学園では、すべての有期雇用の教職員について、「再任不可」としてい │る。これは(経験の蓄積による効率化を不可能とする点で)人事的合理性には │欠けるが、人件費の硬直化を避けるという財務的合理性があることになってい │る。財務的合理性にも必要がないと思われる「再任不可」という非倫理的規則 │に立命館が固執しているのは、過度のコンプライアンス意識がもたらすものと │言える。どういうことかというと、労働関連法体系により、被雇用者をある年 │限を越えて雇うと、雇用期限のない雇用とされるため雇用調整がしにくくなる、 │という事情があり、それを回避するために「再任不可」という制度がある、と │いうことである。つまり、事業的な理由で教職員を解雇する場合に「正当な事 │由」が容易に主張でき、地位保全の訴訟が起こされても勝てることを最優先し │て「再任不可」としているのである。 │ │「再任不可の有期雇用教員制度」は、立命館の発明ともいえ、立命館の「専売 │特許」のように受け取られている。財務的合理性のために、過半数の構成員を │不安な状態で働かせても意に介さない、そういう冷徹な利己的運営を行う大学 │であることを、この制度は大学社会全体に鮮明に示している。この制度により、 │立命館大学が長期的にどれだけ大きなダメージを受けているか計り知れないも │のがある。繰り返すが、有期雇用の「再任不可」という条件には人事的合理性 │はなく、また財務的合理性からも不可欠というわけではないのに、過度のコン │プライアンス重視から生じている不必要な非倫理性であり、それが、立命館に │長期的ダメージを与えているのである。この点を大多数の専任教職員が気付い │ていないように見えることは残念である。 │ │共通する原因の吟味 │ │特別転籍問題や以上の5例にみられる(広義・狭義の)非倫理性に共通する原 │因は、組織が「事業欲」の奴隷となっていることにある。事業欲は、組織力を │過度に重視し、構成員を組織に服従させるようとするため(3)のようなパワハラ │を広汎に産む風土を形成する。また、事業推進のための資金をとめどなく蓄積 │したくなるため「金儲け主義」が組織の行動原理となり、当然の帰結として人 │件費圧縮への衝動が高まるが、それが (1,2,4,5)に共通した原因となっている。 │事業費蓄積を最優先し人件費圧縮に余念がないと、人を集めることにも関心が │なくなり、すでに居る人たちの意欲や能力を引き出すことにも関心がなくなり、 │人が別の大学や研究機関に移ることも心配しないようになる。これは、人が最 │も重要な資源ある学校という組織の執行部としては最悪の精神構造である。立 │命館に長期的ダメージを与える出来事が絶え間なく生じつつあるのは、こうい │う精神構造が立命館で支配的になった結果であることは明らかである。教育を │本務とする組織であることを失念し、熱にうなされたような事業欲の奴隷となっ │てしまった状態から組織が解放され自由になれば、学校としての立命館に大き │な未来があることは明白だが、そういう解放が実現しなければ立命館には未来 │がないことも明白である。 │ │財務の問題 │ │以上のように、最近の立命館で発生している問題の大半は根源が「財務」にあ │ると思うが、財務のあり方自身にも社会通念的にみておかしいと感じるところ │があり、将来的に長期的ダメージをもたらすのではないかと懸念するので3点 │を指摘したい。 │ │(6) 入札の実施 │ │立命館では大規模な工事が絶えず行われているが、いつも同じ業者が受注して │いるように見える。立命館も多額の補助金を受けている以上、公的機関として │公正な入札が行われなければならないはずである。何らかの不正や財務的合理 │性に欠ける支出が明るみにでて、長期的ダメージを受けないためにも、公正な │入札によって学費と補助金が無駄なく効率的に使われていることを確認するべ │きではないか。 │ │(7) 事業資金の肥大化(¶註参照) │ │立命の某幹部が某雑誌で一千億円近い資金があることを誇らしげに語っている。 │立命館の財務諸表をみると、学園将来構想推進準備資金引当特定資産334 億円 │と減価償却費累計額653億円を合計すると987億円となり、これが言及された │「資金」であることが推測される。減価償却費は法人がいつも使える資金であ │ることが上記発言から明らかであるが、2007年度決算では教育研究費271億円の │内の1/4にあたる66億円が減価償却費という名目で事業資金となっているし、資 │産運用として71億円が学園将来構想推進準備資金引当特定資産に組み込まれて │いる。管理運営費に計上されている減価償却費7億円も加えると、2007年度は │144億円もの額が将来の事業のために貯金したことになるが、これは帰属収入 │729億円のほぼ2割にあたり、教育研究活動のための学費 545億・補助金87億円 │の633億円が主な収入であり事業収入はわずか30億円の学園財政のありかたとし │ては事業重視の歪みが余りにも大きい、と考える人が圧倒的に多いはずである。 │将来、重大な背信行為として注目される危険性がここにもある。(数値は2007 │年度消費収支計算書・貸借対照表・資金収支計算書より: │http://www.ritsumei.jp/public-info/public02_j.html ) │ │(8) 「事業所」別の会計報告の欠如 │ │APUは、海外から多数の学生を集めるために膨大な奨学金を用意している。当初 │は企業からの寄付が原資であったが、最近は寄付がないと聞く。もしもRU学生 │の学費がAPU学生の奨学金に回されているとすれば大問題となる。また付属校の │財政は赤字と聞いているが、そこに RUの学生の学費が使われているとすれば、 │やはり大問題である。しかし、その点を学生や一般の教職員が確認しようとし │ても、APUとRUや付属校の会計が独立して公開されていないためできない。「事 │業所」別の財務公開がされていないことは上の疑惑を強めており、その疑惑が │何らかの方法で検証された場合には重大な背信行為として注目を浴びることに │なるが、これはRUを志望する受験生を激減させる懸念があり、早急な対応が必 │要である。 └───¶註:立命財政の正確な分析は内山昭教授(財政学)の文書を参照してください:
「拡大路線の継続か、教育の質を最重視する財政への転換か ―大学財政の解剖と茨木キャンパス問題―」