since 2001.1.25

総合科学技術会議CSTPの諸問題

総合科学技術会議ホ−ムペ−ジ議事議員名簿専門調査会名簿運営規則(案)

日本の論点2002 p726-729 (文芸春秋社 2001.11.10 ISBN 4-16-503010-4)
藤原正彦「教育への経済界の要請を排すーーそれを行えば国益を損なう」

「国の研究開発評価に関する大綱的指針(案)」に対する意見(2001.10.24)

2003-08-23:新首都圏ネット:科学技術政策の動向

11/06 第11回総合科学技術会議2001.10.30 配付資料cf:Weely Reports [74-0-10]
資料2−3国立大学等施設整備について
平成14年度科学技術関係予算の概算要求について
a 対前年度増減額 単位億 
b 対前年度増減率 
c 下の注参照
d 構造改革特別要求 単位億 

       a      b   c    d
--------------------------------
国会      1  3.5% A   1
内閣官房  -87 -11.2% C  23
内閣府   73  34.3% A   9
警察庁     1   3.0% B   2
防衛庁   -57  -3.8% C 521
総務省   -36  -4.3% C  57
法務省     0  1.8% B   2
外務省   -13 -11.7% C  0
財務省   -2  -4.5% C  0
文部科学省 688  3.1% B 1365
厚生労働省  57   4.6% A  139
農林水産省  17   1.4% B  143
経済産業省 570  10.2% A  731
国土交通省 -11  -1.3% C  63
環境省    16   5.4% A  66
------------------------------
計    1149  3.3%  - 3121

作表:各省提出データに基づいて内閣府で作成
c 注 :科学技術関係予算の増減率が、以下の状況であることを示す。
A)平均増減率(3.3 %)より高い。
B)平均増減率より低いが、府省予算総額(一般会計と特別会計の合計から特会 繰入分の重複を除外)の増減率より高い。
C)平均増減率より低く、府省予算総額の増減率より低い。

10/20 北海道新聞社説「ITER落選*夢追い人はやめよう(10月19日)」:「・・・ ITERは低レベル放射性廃棄物を大量に排出する。そのうえ、日本でつくろうとすれば四千億円以上もの巨費がかかることから、疑問の声が数多く出されている。・・・文科省に重ねて言いたい。ITERには安全面などで疑問が多い。軽々にことを運んではならない。」

10/17 野依教授記者会見 (2001.10.16)

「科学技術創造立国のために理科を学べ、というのはおかしい」「大学はもっ と産業界に貢献せよ、というが間違っている」――ノーベル化学賞の受賞が決まった名古屋大大学院の野依(のより)良治教授(63)が16日、日本化学会の次期会長として東京・神田駿河台の同学会本部内で記者会見し、国の教育、 産業行政を痛烈に批判した。

「大学が何か隠し球を持っていて、それを産業界に渡せば一気に事業化できる、と思ったら大間違いだ。日本の産業に元気がないのは、創造力が足りないからだ」

10/17 経済団体連合会意見書2001.10.16について
日本の大学政策・科学技術政策を細部まで決めているのが誰かを明確にする文書と言える(cf:遠山プラン平沼プラン)。この意見書の内容で実現寸前でないものを探す方が難しい。わずか6年で「大学人と社会の産学官連携アレルギー」を「完治」する使命を達成した旧通産省産業政策局産業技術課大学等連携推進室の歴史的<偉業>だ。しかし、アレルギーを解消してもΣプロジェクトを失敗させた産学官連携の体質は何も変っていない。この意見書は、日本を科学技術後進国に向けて発進させる不吉な汽笛としか聞こえない。(サイト管理者)

10/15 Weekly Reports 72, 2001.10.15 より
[72-0-1] 総合科学技術会議のフタを開けてみると・・
総合科学技術会議についての有識者(会議の民間人議員が主)の見解を科学新聞が連載している[72-3-2]。吉川日本学術会議会長が、「フタを開けてみると、数人の有識者議員が全分野を網羅しているわけではなく、専門調査会の下に基本計画の各重点分野プロジェクトを作り、そこで議論して決めていった。・・・昔の審議会と同じような顔ぶれで、議論もやや昔と同じ。自分の領域が大切なんだという意見、いわゆる陳情型意見がたくさん出てきて、必ずしも問題は解決されていない。・・・」と述べている[72-3-2-2]

[72-0-2] Σ計画の失敗の要因を調べる慎重さが望まれる
 出だしは良かったが「フタを開けてみると昔の審議会と同じような顔ぶれで・・」という成り行きで、最後に華々しく失敗した国家プロジェクトの例がある。旧通産省のΣ計画である。黒木玄氏のウェブサイトに関連情報がリストアップされている[72-2]が、1984年の産業構造審議会報告書「1990年には60万人のソフトウェア開発技術者が不足する」から始まり、当初、「ソフトウェアの開発者・研究者が自由に情報やツールを交換できるような、全国的な通信ネットワークの構築」という、IT革命そのものといえる提案から始まったプロジェクトが、常連の「産学官」有識者によって、時代遅れのメインフレームの生き残りプロジェクトに変貌し、5年間250億円を費やし「全く何も成果を出さないどころか、存在すること自体がコンピュータの進歩の邪魔であることが何人にも分かるようになってしまった」という。

第二期科学技術基本計画は産学官連携強化を戦略の中核に据えて5年間で24兆円を使う予定だ。しかし、その滑り出しで既にΣ計画の時と同質の変質が起こっている[72-3-2-2]。規模の途方もない大きさゆえ、また、大学の資源全体を巻き込むものであるが故に、計画の失敗が日本を完全な科学技術後進国にしてしまうことは確実であろう。少なくともΣプロジェクト失敗の原因を詳しく分析する慎重さが求められる。関係者のメンツがそれを阻むような体質を引き摺っているようでは、第二期科学技術基本計画の失敗は最初から構造的に運命付けられていることになる。

 なお、情報処理振興事業協会「未踏ソフトウェア創造事業」[72-2-2]は、全く新しいタイプの審査方式をとる研究助成で、Σプロジェクトの失敗への反省の上に考えられたものではないか、と黒木氏は指摘している。

10/11 「国の研究開発評価に関する大綱的指針(案)」に対する意見募集2001.10.5-10.24
自明な問題点
○「研究開発」は企業の研究活動に妥当する言葉であり、大学における研究活動に直接当嵌めることには種々の問題点があり、(学術予算も含む今後5年間の)科学技術予算24兆円の中の国公私立大学への配分に関する評価の基盤概念に据えてよいか疑問。日本の大学・研究機関全体が企業のための研究所に変身してしまうリスクもある(cf:学術審議会学術研究体制特別委員会基本問題小委員会(第11回 1998.12.11)議事録)。
○各国公私立大学が、学内で研究評価する際の指針となることも意図されている。
○科研費の申請時期・国立大学法人化へのパブリックコメントの時期と重なる。
○研究者個人に対する「基盤的資金」は最初から検討外となっている。
○第六回評価専門調査会(2001.8.31)での白川英樹総合科学技術会議議員の批判が考慮されているとは思えない。
本文より:
p2 評価実施主体としては、次のものが想定される。
・各府省等の研究開発実施・推進主体(研究開発資金を配分する特殊法人等を含む)
・大学(国公私立を含む)及び大学共同利用機関、独立行政法人研究機関、国立試験研究機関、特殊法人研究機関等の研究開発機関
・大学評価・学位授与機構等
p18 (3)基盤的資金による課題:研究開発機関の長の責任において、各機関の目的等に照らして、評価及び資源配分への反映のためのルールを適切に設定し、評価を実施する。その際、論文発表等を通じた当該研究分野における研究者間における評価を活用したり必要に応じて機関評価の対象に含めるなど効率的で適切な方法により実施する。

10/8 我が国の研究活動の実態に関する調査報告(平成12年度)より(科学技術振興事業団ファイルから無作為抽出の応用理工系研究者1200名からの771名回答より)
経常的研究資金の必要性の理由もしくは効用(複数回答)
401名:基礎研究のような長期間にわたる研究には、安定した経常的資金は不可欠であるため
339名:競争的研究資金だけでは、研究テーマ決定に制約を受け、自由な研究活動が阻害される恐れがあるため
302名:競争的研究資金では、研究内容が流行に左右され、特定分野にのみ重点的に配分される恐れがあるため
233名:萌芽的な研究を育成し、試行錯誤的な研究を保護するため
172名:競争的資金が確保できなかった場合、研究を継続できなくなる可能性があるため
152名:競争的研究資金では、確実に成果の期待できる研究に対してのみ重点的に資金が配分される恐れがあるため
137名:人件費等の固定費を確保し、安定した研究活動を行う必要があるため
90名: 争的研究資金の審査体制の公平性等に疑念があるため
#(以下では、経営的観点の理由が主で、また回答絶対数が上のほぼ半分)
競争的資金の必要性の理由もしくは効用(複数回答) 252名:戦略分野に効率的に研究資金を集約することが可能であるため
210名:資金を得るために、評価される研究内容を目指すようになるため
205名:経常的研究資金のみでは硬直化した研究予算が是正されないため
190名:経常的研究資金では支出が難しい研究資金を確保できるから
149名:研究内容のスクラップ&ビルドを促進させるため
145名:経常的研究資金が減額されている、もしくは確保が難しいため
130名:資金の流動化は人材の流動化をも促進させ、優秀な人材の集約につながるため
129名:評価を受けた価値のある研究にのみ資金が配分されるため
119名:拘束されない自由な発想に基づく研究が可能なため
72名:経常的研究資金だけでは研究の場が限定され、ポストドクター等の研究活動が限られてしまうため

9/23 総合科学技術会議 第六回(2001.8.31)評価専門調査会議事録案
【白川議員】 「評価実施主体、研究者及び評価者の責務」のところにある、研究者のところについて述べたい。ここで述べていることは、あまりにも当たり前のことであり、研究者にとってやや失礼である。また何も新しいことではないので、そのようなことを指針に書く必要があるのか。また、大綱的指針である割には表現に品位がない。たとえこの文章が必要だとしても、表現を工夫した方がよいのでないか。

9/6 総合科学技術会議第9回(2001.8.30)議事要旨 #(前回の会議(7月11日)が策定した「平成14年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針(案)」に対する、指導的研究者集団からの批判には馬耳東風、全く言及されていない。現場の意見を無視することが<総合>科学技術会議の(政・官・財にとっての)長所なのだろうが、つい半世紀ほど前に同じことをして大失敗をした前科を忘れてはいないか。政・官・財に任せておくと、日本社会にとって最悪の司令塔となる危険性は大きい。
ITER 計画について9月中に総合科学技術会議としての結論を出すこと、計画は24兆円の一部で、誘致する場合には参加より2倍強の費用が要る、などの確認。原子力船「むつ」や高速増殖炉「もんじゅ」の二の舞いにならないか、という懸念の発言もある。

(尾身)「私どもは、ITERの資金は24兆円の枠内であると考えている。また、アメリカ復帰の問題については、私が近くアメリカに行った際に働きかけを行いたい。また、誘致が決まった際に、地元の反対によりできなくなるということは、ITER計画が国際的なプロジェクトということもあって、大変困る。 こうしたことがないように、十全の確認、必要な手だてを打っていきたいと考えている。」

9/1 総合科学技術会議:日本学術会議の在り方に関する専門調査会(第2回2001.7.31)議事次第|資料5「日本学術会議の在り方に関する議論の整理について(案)

8/30 総合科学技術会議評価専門調査会(第6回2001.8.10)議事次第・資料一覧
 ○国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針(平成9年8月7日)

8/07 文部科学省 科学技術・学術審議会学術分科会答申「学術研究の重要性について」2001.7.24

8/01 喜多村和之「国際評価は公正か―自虐的な日本人の大学評価」(アルカディア学報No44 2001.8.1)
・・・こうした日本企業の日本の大学不信をさらに裏付ける結果になっているのが、 スイスの経営開発国際研究所(IMD)が毎年発表する『世界競争力白書』。・・・それはしばしば誤解されているように、世界の識者による日本の大学評価ではなく、日本人による日本の大学評価なのである。・・・

7/28 鳥井弘之「重点研究に思わぬ弊害ー独創性は多様なテーマから」2001.7.8 日本経済新聞(中外時評)

7/26 Nature 412, 364 (26 July 2001) ,David Cyranoski "Scientists fear new guidelines will stifle basic research". 「小泉内閣の科学技術政策の基本方針は、基礎研究を失速させると科学者が懸念」

7/12 第8回(2001.7.11)議事次第

7/12 第7回(2001.6.26)議事録

7/12 大学共同利用機関 所長有志より内閣総理大臣への要望書:「わが国の最近の科学技術政策についてーー基礎的科学研究の推進の必要性」転載

6/15 第6回(2001.5.24)議事録

6/15 第5回(2001.4.19)総合科学技術会議議事録抜粋

6/15 西谷 敏「学術会議の将来に関する雑感」(学術の動向2001.5号42-46)

5/5 第1回総合科学技術会議2001.1.18議事録より抜粋..「御発言は1 人2分程度でお願いできれば、まことにありがたいと思っております。

5/5 第2回総合科学技術会議2001.2.15議事録より抜粋

5/5 第3回総合科学技術会議2001.3.22議事録より抜粋...「誠に申し訳ありませんが全体で7 、8 分で終わらさせていただきたいと思いますので...」大臣と大臣代理8名の発言だけで時間切れ。

5/3 吉岡斉「科学技術政策に関する備忘録・2000年」 「科学・社会・人間」76号(2001年3月号)p10〜
「3.科学技術基本計画の時代錯誤
・・・(p14)一部の国立大学では、文部科学省や(独立行政法人へと移行した場合の)総務省によって厳しい評価を下されないよう、先手をうって任期制の大規模な導入を進めようとしているところもある。テニュア制を全面的に廃止し、全ての教員に任期制を適用する方針を立て、学内の合意を取り付けようとしている大学もある。もしそれが実現されれば、その国立大学のアカデミック・レイバー・マーケットでの競争カは大幅に低下するであろう。また多くの国立大学が同様の動きをすれば、日本の学セクターの国際アカデミック・レイバー・マーケットでの競争カ、及び日本国内の産セクター・官セクターに対する競争力は大幅に低下するであろう。そうした浮足立った白殺行為が妥当であるかどうかを再考させてくれる上で、この新基本計画は一定の意義がある。」
5/1 総合科学技術会議ホームページ拡充

5/1 総合科学技術会議議事録(第2回第3回

4/25 5年計画で大学施設整備 民間活力利用も検討 文部科学省(共同通信2001.4.19などの報道より)
「今後五年間で国立大学の研究関連施設など600万平方メートルを整備。その中の新設210万平方メートルは、学生数が増加している大学院や、戦略的・国際的に重要な研究拠点、先端医療に対応するための大学付属病院など。390万平方メートルは老朽化が著しい施設の改修。整備が必要とされている残り500万平方メートルについては計画が終了する五年後に再度検討する。」

4/20 産業人会議発足(2001.4.5)

4/18 政策海外ネットワーク研究所
・角南篤(コロンビア大学大学院公共政策フェロー) 「先端科学技術の開発と特許制度を巡る政策論争」

4/18 毎日新聞社説「社会の厳しい目を忘れずに」2001.4.15
・・・ 中でも総合科技会議の科学技術総合戦略に沿って閣議決定された第2期計画の意味は大きい。5年間の政府の研究開発投資額を24兆円とうたい、1996年度からの第1期計画の17兆円をはるかに上回る。 ・・・  これらが狙い通り進めば効果は大きいが、気になる点も少なくない。最大の問題は基礎研究の中心となる国立大の施設が老朽化して狭いことだ。世界的な成果を上げる研究室ほど研究者や学生が集まって一層狭くなるという悪循環に陥っている。
 施設整備のために毎年3000億円近い予算が必要なのに、国立学校特別会計の枠内では今年度も1000億円程度しか出ない。文部科学省は施設整備計画を策定しているが、国立学校特別会計の見直しを含め抜本的解決を図ってほしい。
 縦割り行政排除のため総合科技会議が指導力を発揮することも大きな課題だろう。まず予算編成を横断的に行う必要がある。各省庁の研究開発予算を積み上げたら幾らになったというのでは全く意味がない。
 科学技術振興調整費については総合科技会議が活用や配分の方針を示しているが、予算要求や配分の実務は文部科学省が担っている。ここでもどれだけ文部科学省に直言できるかがカギを握る。
3/21 総合科技会議が基本方針:構想力に研究費を配分(共同通信3/17)

3/20 <科学技術戦略>研究者の倫理と説明責任を明示(毎日新聞[2001-03-15-19:31])

3/15 第2回総合科学技術会議(2001.2.15 10:00-11:07)議事要旨

2/15 科学研究費基盤研究(S)公募:5年で5000万〜1億・同一機関内研究組織のみ対象
次期科学技術基本計画が推奨する大学間競争を促進する措置か

2/14 朝日新聞夕刊2001.1.31「総合科学技術会議発足1カ月技術力回復へ重い課題

1/30「科学技術基本計画について」に対する答申のパブリックコメントへの対応について(pdfファイル 148kB)

  • (2001.1.20)岩田進午氏「大学はどこへ行くー国民のための大学をめざして」(1998.6 地学団体研究会ブックレットシリ−ズ9)より
    「ここで、ちょっと脇道にそれるようですが、わたしが驚かされた話をします。 地球温暖化防止予算のはなしです。わが国の1995年度の予算総額は71兆 円。そのうち、地球温暖化防止予算は12兆円にものぼつており、政府も温暖 化を真剣に考えているなと思いがちです。でも、予算の中身をみたら、開いた 口が塞がりませんん。すなわち、道路整備推進費が約七割を占め、8兆353 8億円。高速道路などの道路建設が、渋滞を減らし、無駄なエネルギー消費と 一酸化炭素排出量を減少させるという訳です。...ついで、国有林整備費が 6054億円、原子力開発利用関係3922億円となっています。温暖化防止 という美名のもとに、ここでもゼネコン、原子力関係企業中心の予算が組まれ ているのです。」

    1/17 毎日新聞社説「科学技術計画 研究投資増えても喜べない」

    1/15 日経新聞記事より:「大学の競争促進へ基金」
     一研究者が億を越える研究費など不要な分野(要するに大半の学問分野)は、おこぼれでしか建物は立ててもらえないことになる。

    2000.11.29 [he-forum 1456] ノーベル賞の白川氏ら内定 総合科学技術会議の議員(共同)
    ノーベル賞の白川氏ら内定 総合科学技術会議の議員 共同通信ニュース速報  政府は二十九日までに、来年一月の中央省庁再編で内閣府に新設 される「総合科学技術会議」の有識者議員として、ノーベル化学賞 の受賞が決まった筑波大名誉教授の白川英樹氏(64)ら七人を内 定した。国会の同意を経て十二月一日に正式決定する。  有識者議員は白川氏のほかに、元京大学長の井村裕夫氏(69) 、東大名誉教授の石井紫郎氏(65)、東大教授の黒田玲子氏(5 3)、日立製作所副会長の桑原洋氏(65)、津田塾大学長の志村 尚子氏(66)、東レ会長の前田勝之助氏(69)。産業界や社会 科学の分野からも人材を登用し、人間社会と科学技術のかかわりに も配慮した人選となった。  同会議は、国の重要政策の企画立案に首相がリーダーシップを発 揮できるよう体制強化される内閣府の中で、経済財政諮問会議、中 央防災会議、男女共同参画会議と並ぶ「首相の知恵袋」の役割を担 い、国の科学技術政策を総合調整することが期待されている。  内閣府設置法によると、総合科学技術会議は議長を務める首相の ほかに十四人以内の議員で構成。官房長官や首相が指定する閣僚ら が議員となるほか、半数以上を有識者とし国会の同意を得るよう規 定している。任期は二年間。 (了)[2000-11-29-20:49]

  • (2000.7.5)渡邊勇一「総合科学技術会議について(1)」(2000.7.4)
  • 問題点

    1. 第一回の会議の時間は約55分。これでは実質的な議論どころか、意見交換すらできない。

    2. 総合科学技術会議運営規則案第4条「全員の同意を得られない場合には、議長が会議の議論を踏まえた上で、議事を決する。」では、議長である総理大臣の意向に反することが決まることは有りえない。

    3. 会議が形骸化しないよう、各学術関係議員には、調査検討及び事務のための独自スタッフを雇うための予算を用意し、拒否権を与えることは少なくとも不可欠だろう。さもないと、70余名から成る事務局作成の膨大な文書の推敲が学術関係議員の唯一の役割となりかねない。これでは、時々の政権の意向が吟味を経ずに直に日本の学術政策を左右してしまうか、あるいは、巨大な事務局を持つ各省大臣の意向が圧倒的な発言力を持ち、官僚独裁制を打ち破るために設けられた当該会議の意義は水泡に帰すことになる。 (第一回の議事概要で、福田内閣官房長官は、第2回以降は関係大臣の会議参加を提案している。


  • 総合科学技術会議(第1回2001.1.18 9:30〜10:25頃)
    議事要旨より

    議事要旨より

    ○総合科学技術会議の今後の審議方針について


    (井村議員・京都大学名誉教授)

    21世紀の科学技術は産業経済や広く社会の発展の牽引車となる。同時に科学技術と人間 社会との調和が重要。その意味で、人文、社会科学も含んだ総合科学技術会議の発足は意義 深い。議論を進めていくため、専門調査会を早急に発足させ、平成14年度の概算要求に向 けた重点化戦略の策定等につき検討を進めたい。

    (吉川議員・日本学術会議会長)

     「総合」は、科学を生み出すことと適用することとの総合という意味も重要。いわば、 「科学のための政策」と「政策のための科学」が重要。産業政策、経済政策、国際協力、環 境政策等の目的のため科学が活かされる必要がある。国連等の場でも科学者の力が求められ ており、本会議でも、科学をいかにうまく生み出していくかだけでなく、科学をいかに他の 政策に活かすかという議論を期待する。

    (石井議員・東京大学名誉教授)

     人文・社会科学と自然科学の総合的推進に向けて貢献したい。法学ではSocial Engineeringというコンセプトを用いるが、それは社会・国家の仕組みをうまく組み立ててい くという趣旨である。私としては、科学技術に関する総合戦略をそのようなものとして受け 止めている。

    (黒田議員・東京大学教授)

     IT、バイオ等社会構造や生命観をもかえてしまう科学技術。科学の独善的な一人歩きは 禁物であり、市民と科学者との相互理解を深めることが必要。市民レベル、研究者レベル、 リーダーレベルといった様々な範疇で優れた人材が望まれる。評価は切り捨てるためのもの ではなく改善するためのもの。評価方法に工夫が必要。

    (桑原議員・株式会社日立製作所取締役)

     本会議は、Science、すなわち「真理の探究」とTechnology、すなわち「産業への連結」に 関する会議。Technologyの分野では、国が支出する研究開発費が、国際競争力ある産業へ連 結されてゆく姿を実現したい。具体的には、初期段階研究から産業化との連結の重視、研究 開発政策と産業政策との連携、インフラ整備の3点が必要。

    (志村議員・津田塾大学学長)

     科学技術そのものに対する知見というよりは、一般市民の目で意見を述べていきたい。科 学技術の進展は非常な便益をもたらしたが、一方で市民の不安も増大している。科学者には 自制心も必要となってくる。

    (白川議員・筑波大学名誉教授)

     科学技術の意思決定には産官学に加えて国民が重要な役割を果たす時代。このためには、 科学技術に対する国民の関心と理解が必要であり、本会議の審議が国民にわかりやすい形で 伝わることが大切。科学技術創造立国を目指す根本は人づくり。個性のある人づくりのため には他人の個性も認めて評価していくことが重要。

    (前田議員・東レ株式会社代表取締役会長)

     基本計画については科学技術会議の中で英知を結集した成果として昨年末答申が出て重要 事項が盛り込まれており、時間の制約からも微修正でよいのではないか。総合科学技術会議 が、総司令塔として、科学技術予算の編成と配分を行うことが重要。産学官連携の新しい仕 組みの構築が重要。これまで運営・成果に対する責任が不明確であったことを反省し、厳正 な評価とその資源配分への反映などを定めた産学官連携ガイドラインの作成が必要。

    (町村議員・文部科学大臣)

     昨年科学技術会議の下で精力的に審議を行った基本計画については、これを踏まえ て本会議で更なる検討を進め、21世紀の科学技術政策の指針にふさわしいものとな るよう期待。黒田議員の発言にもあったとおり、学術研究の評価は極めて難しいもの があり、今後評価のあり方についてはよくご議論いただきたい。また、文部科学省に おいて、失敗経験を積極的に活用するための研究会を開催しており、報告書がまとま れば会議に報告したい。

    (平沼議員・経済産業大臣)

     環境・エネルギー制約等の課題を科学技術によって負から正にもっていくことが重 要。このためには、産学官のリソースを総合的に活用していくための技術革新システ ムの改革、将来の経済・産業の発展を支える技術分野に対して重点的・戦略的な資源 配分が必要。また、人文科学・社会科学も含めた観点からの総合的検討を期待。

    (片山議員・総務大臣)

     行政改革の観点から、政策評価の中で研究開発の質の向上に努めたい。また、新産 業創出・雇用創出のため地域における科学技術の振興が重要。さらに、情報通信分野 については、産業・経済のシステムを変革する原動力であり、総合戦略の中で重視し ていくことが必要。

    (森議長(内閣総理大臣))

     20世紀は、科学技術が大いに進歩した一方で、戦争や環境問題等人の生命にかか わる問題が生じた。科学技術の追求は、人間とは何なのかという大きな問題にも行き つくもの。21世紀の人間社会のあり方を見据えた活発なご議論をしていただきた い。

    (福田議員・内閣官房長官)

     今回は第1回ということで本議員のみで開催したが、科学技術の問題となれば、議 案に応じて、厚生労働大臣、農林水産大臣、環境大臣、国土交通大臣など広く関係大 臣に臨時議員として出席いただき議論に参加していただくのがいいと思う。また、議 事の在り方についてはオープンにしていったらどうかという議論も事前にあったこと を踏まえ、現在の形にしている。今後のことは、議員の皆様のご意見もお聞きして考 えていきたい。

    (笹川議員・科学技術政策担当大臣)

     明るく希望ある社会を築いていくためには、科学技術の役割が大きいことをあらた めて認識。先日の米国出張で感じたことだが、研究活動と社会がお互いにフィードバ ックを図り、個々人が自らの能力をフルに活用されていた。我が国においても、独自 のシステム作りが喫緊の課題。

  • 配付資料
  • 議事要旨

    第10回(2001.9.21)第9回(2001.8.30)第8回(2001.7.11)第7回(2001.6.26)第6回(2001.5.24)第5回(2001.4.19)第4回(2001.3.27)第3回(2001.3.22)第2回(2001.2.15)第1回(2001.1.18)

    議事録(PDF)

    第10回(2001.9.21)第9回(2001.8.30)第8回(2001.7.11)第7回(2001.6.26)第6回(2001.5.24)第5回(2001.4.19) |第4回(2001.3.27) |第3回(2001.3.22)第2回(2001.2.15)第1回(2001.1.18)

    議員名簿

    総合科学技術会議議員名簿
    議長  森 喜朗  内閣総理大臣
    議員  福田 康夫  内閣官房長官
    同  笹川 堯 科学技術政策担当大臣
    同  片山 虎之助  総務大臣
    同  宮澤 喜一  財務大臣
    同  町村 信孝  文部科学大臣
    同  平沼 赳夫  経済産業大臣
    同  吉川 弘之  日本学術会議会長
    同  石井 紫郎  東京大学名誉教授
    同  井村 裕夫  京都大学名誉教授
    同  黒田 玲子  東京大学教授
    同  桑原 洋  株式会社日立製作所取締役(非常勤)
    同  志村 尚子  津田塾大学学長
    同  白川 英樹  筑波大学名誉教授
    同 前田 勝之助  東レ株式会社代表取締役会長

    第5回総合科学技術会議議事録2001.4.19より抜粋
    【平沼議員】 この資源配分に関してですが、これはもう織り込んでおられると思いますが、念のため 言わしていただきます。アメリカではホワイトハウスを中心に、各省が連携して、ライフ サイエンスだとかナノテクノロジーは強力な体制ができています。ですから、当然そうい うことはもうお考えになっていると思いますけれども、アメリカ以上に強力な体制を組ん で、ここはしっかりやっていくことが必要だと思っています。 もう一点、大学の問題で、町村大臣からお話がありまして、老朽化だとか狭隘化、それ に対して1 兆6,000 億円を投ずる。これはこれで結構だと思いますし、総花的にやると いうことも、ある意味では基盤をつくるということで必要だと思いますけれども、日本の 場合には1 つか2 つ、強力な大学体制があって、そこに行けば科学技術なども、すべてと は言いませんけれども、そこが非常に大きな力を持って、そこが何でもある意味ではアメ リカ並みに、そういう大学がありますけれども、こなせるということも、私は日本の中で 総合的に力の強いものを1 つつくるということも非常に私は大事だと思っておりますので、 その辺もちょっとお考え置きをいただきたいと思っています。

    【井村議員】 ・・・・2 番目の問題については、これは町村大臣からお答えいただいた方がいいのかもしれま せんが、重点的な施設改善を文部科学省は考えていただいております。いい仕事が出てい る大学に重点的に施設を改善していくという方針が、出されると思います。

    【町村議員】
    確かに重点的に進めたいものが幾つかありますが、それ以前の、とてもこれがまともな 研究施設かというものがあります。これは1 、2 の施設を御覧になればすぐわかることと 思いますし、これは大学の先生方が一番よく御承知のことと思います。とても信じられな いようなスラム化したようなひどいところもあるので、昭和45 年以前の施設というか、 むしろ明治のころにできたのではあるまいかと思われるような、極めて老朽化したものが ありますので、そういうのもきちんとやっていきませんと、一点豪華主義でどんとやるの もいいのですが、それだけではどうにもならない部分も相当程度ありますので、こういう 表現になっているということを御理解賜ればと思います。

    【白川議員】
    関連して1 つ意見を述べさせていただきます。老朽化というのは時間が経つ からある面では仕方がないんですけれども、狭隘化という面では、基準面積の 見直しがもう一度必要なんではないでしょうか。どこの場で必要かどうかは別 として、その辺の見直しをもう一度お願いしたいと思っております。

    第一回総合科学技術会議2001.1.18議事録より抜粋
    【笹川科学技術政策担当大臣】議題(3 )総合科学技術会議の今後の審議方 針について。それでは、議題(3 )に入ります。先ほどの総理のごあいさつ を踏まえて、総合科学技術会議の今後の審議方針について御自由に発言をいた だきたいと思います。なお、時間に限りがございますので、まことに恐縮でご ざいますが、御発言は1 人2分程度でお願いできれば、まことにありがたい と思っております。
    【白川議員】今回、科学技術基本計画について取り上げられる重要な問題という のは、いずれも地球規模に広がるということと、万人がその恩恵をこうむると いうことで共通しているだろうと思うんです。そういう意味で言うと、科学技 術の意思決定というのは、もちろんそれを行う産官学ということではあります けれども、国民もまた重要な役割を演ずる、果たさなければならないんだろう というふうに思っております。そのためには、この科学技術に対する国民の関 心と理解を得る必要がある。そのためには、この総合科学技術会議の審議が国 民にわかりやすい形で伝わる、風通しがいい、透明性がいいという必要がある と考えています。
    科学技術創造立国ということを目指すということは、とりもなおさず、いい科 学技術を生み出すということもあるわけですけれども、その根本というのは、 結局は、人づくりにあるということじゃないかと思うんですね。しかも、その 人づくりというのは、個性のある人づくりを目指さなければならない。しかも、 個性を持つということは、他人の個性をも認め、評価をするということですか ら、そういうことについて、これから十分にいろいろな施策を行っていただけ るようにお願いしたいと思います。以上です。
    第2回総合科学技術会議2001.2.15議事録より抜粋
    【吉川議員】・・・・そういう中で、総合科学技術会議というのは非常に重要 な役割をしているわけで、総合科学技術会議は今の観点から言えば、それは政 策決定者に対する最終的な予算を含んだ提案者として、責任を持つ内容をまと めるということだと思うんです。しかし、その提案の基になる原案をつくる人、 これが非常に問題で、私はこの原案作成者というのは、科学者である場合もあ りますし、そうではなくて政府機関である場合もあるし、また民間人である場 合もある。あるいは、一般国民全体であると。そういったところからさまざま な科学に対する期待感とか提案があって、それはいろんな形でこの総合科学技 術会議が集約しなければいけない。吸収していくということが必要だと思うん です。そのメカニズムが現在必ずしも十分できていないというのが、私の心配 なところで、さまざまな懇談会、先ほど井村先生からお話がありましたような、 ポスト・ゲノムなどもいずれも懇談会というものをつくって、それを上げてく るわけですが、うまくいっている例でございますけれども、なかなかそれが全 般的な一つのスタイルとしてまだ定着していないと、その辺を総合科学技術会 議としても十分考える必要があるというふうに思っております。

    【石井議員】・・・・ところが、我が国の場合にはそう簡単ではないわけであ りまして、一体世界にとって、国際社会にとって日本は何なのだということが 不明確なまま、我々が科学技術を振興するということになりますと、一体これ はどういうことなんだろうかと。これがやはり国際的には理解されにくいよう に思うわけであります。ここで、やはり日本が果たすべき役割があるのかなと。 つまり、最も我々は古くから文化の違い、西洋文化と我々の文化との違いを実 感し苦闘してきた経験を持っているわけであります。こういう意味で、わが国 は文化の多様性の守護者として国際的な貢献ができるのではないんだろうかと いうふうに思っております。

    【白川議員】石井議員の発言に関連するんですけれども、この3つの目指す べき国の姿ということの統合としては、やはり貢献するだけじゃなくて信頼さ れる国になってほしいと思うんです。これまで、科学技術でどの程度国際的な 貢献があったかどうかはわかりませんけれども、経済的には相当の貢献をして いるはずなんです。
    ところが、本当に信頼されているかということになると、少し首をかしげざるを得ない という面もあるということで、それをどうするかということはこれから議論をするという ことですけれども、何とか総合戦略に理念の一つとして、既に十分な議論が重ねられてこ の3 つが出てきたんですけれども、世界から信頼される国という文言を加えて、一つの柱 にしていったらどうかという提案をいたしたいと思っております。


    第3回総合科学技術会議2001.3.22議事録より抜粋
    【笹川議員】それでは、ただいま御説明いただきました答申案につきまして、総合科学技術会議の答申として決定させていただきますが、よろしゅうございますか。
    (「異議なし」と声あり)
    【笹川議員】御異議がないようでございますので、本議題については、原案どおり決定し、内閣総理 大臣に答申することといたします。
    (3 )科学技術振興調整費の活用に関する基本方針及び平成13 年度の科学技術振興 調整費の配分の基本的考え方について
    (桑原議員の説明の後)
    【笹川議員】 それでは、本議題につきまして、皆様から御発言をいただきたいと思いますが、時間に 限りがございますので、誠に申し訳ありませんが全体で7 、8 分で終わらさせていただき たいと思いますので、御発言のある方はひとつ挙手をお願いします。
    【町村議員】(文部科学大臣)・・・
    【小坂議員代理】(総務副大臣)・・・
    【桝屋議員代理】(厚生労働副大臣)・・・
    【高橋議員代理】(国土交通副大臣)・・・
    【平沼議員】(経済産業大臣)・・・
    【川口議員】(環境大臣)・・・
    【谷津議員】(農林水産大臣)・・・
    【笹川議員】ありがとうございました。ほかに何か御発言ございますか。よろしゅうございますか。 どうぞ。・・・
    【桝屋議員代理】(厚生労働副大臣)・・・
    【桑原議員】調整費につきましては、御担当の各省の方々から大変積極的な御意見をいただきました。 要は、総合科学技術会議が本当に司令塔となって動けという御指示が大半でございまして、 私ども各省と連携取らせていただきながら、是非そういうことで実現してまいりたいと思 っております。よろしくお願いいたします。
    【笹川議員】 どうもありがとうございました。それでは「科学技術振興調整費の活用に関する基本方 針」及び「平成13 年度の科学技術振興調整費の配分の基本的考え方」について、原案ど おり決定し、森内閣総理大臣に対して意見を申し述べることとしますが、それでよろしゅ うございますか。
    (「異議なし」と声あり)
    【笹川議員】それでは、御異議がないようですので、本議題については原案どおり決することといた します。平成13 年度の科学技術振興調整費の配分方針の策定に向けて、本日の決定に基 づき、文部科学省において公募等の具体的作業を進めていただくことといたします。その 間、私と有識者議員の方々で、平成13 年度科学技術関係予算の執行予定の状況、応募の 結果等を踏まえて配分方針案をまとめ、会議の場に提出させていただきます。