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イラク意見広告の会

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2004-12-01 10:31:13.....転載・転送可
スペインの政治選択をわたしたちも。(****/徳島)

〜転送歓迎メールより〜                     私が敬愛する友人二人が今年2004年の3月下旬に1つの同じメールを転送してくれました。このメッセージを多くの人に読んでもらうことを願って、ここに紹介します。日本国内でも「テロへの警戒」として警察や機動隊が訓練する様子が報道され、有事法制は「テロの脅威から国民を守る」と謳っていますが、本当にテロに打ち勝つ方法は、スペインが今年3月11日に起こった自国内のテロに対してとった政治選択が示していると強く感じます。 (*以下転送文。)
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皆様 東京大学教員の山脇直司です。私の友人であり、長らく上智大学で教え、この 2月からマドリードに帰ったマシア神父から、スペインでの3・11以降の一連の動 きについて、日本語で感動的なメッセージを頂いたので、転送致します。 
                テロに打ち勝つ平和運動
       J.マシア、S.J.(スペイン・コミリャス大学生命倫理研究所長)
  3・11に、スペイン人および多国籍社会のマドリードで生活している人々の心の 中には、二つの実感がまざっていた。つまり、悲しい事件のつらさと、すばらしい出 来事の刺激であった。悲しい事件というのは、3台の列車同時多発テロであった。す ばらしい出来事というのは、平和を求める動きの盛り上がりであった。一週間以上 経った今日は、アトチャ駅に何千本もの蝋燭が燃え続けている。その前に、一日中祈 る人が集っている。壁や柱にも、蝋燭の合間の床にも、手書きの札が一杯。それを読 むと、胸が高鳴る。「われわれはみな兄弟」、「あなたがたを忘れない」、「国籍の壁をやぶろう」、「戦争は解決ではない」、「あの列車の中にわれわれは皆のっていた」等々..。そして、3・14の選挙の結果引き起こされた政権交代によって、戦争反対と平和支持の運動への明るい展望が開かれた、スペインのこのごろである。では、その出来事の実感が覚めないうちに、以下の箇条書きをまとめることにした。平和と和解の世の中を作っていくために、日本の読者にとって参考になれば幸いである。
  1. 多国籍社会の被害者。犠牲者の大部分は、移民労働者と学生だった。
 モロッコ人もふくむ11の国籍の人々であった。在留許可を持たない人もいると推測 されたが、政府は被害者とその家族に在留許可を与え、国籍がほしければそれも与え ると発表して、かれらを安心させた。「たとえ不法入国者だとしても、安心して病院 にいらしてください」と述べた法務大臣の対応の仕方が、注目された。マドリッド市 長の言葉も、印象的だった。「この事件をきっかけに、けっして移民やイスラム系の 人々一般に対して、差別してはいけません。彼等はわれわれであって、われわれは彼 等である」と。
 2. 教会はあくまでも平和を訴え、戦争に反対する。
 爆発が起こった駅のそばにあるイエズス会の教会で、マドリードの枢機卿がミサを行 い、和解と平和を訴えた。多くの教会でも、死者の冥福を祈り、平和を求める集いが 行われた。説教の中で、次の訴えはよく聞こえた。「テロに打ち勝つのは、爆弾や戦 争でもなければ、嘘や暴力でもない」。テロリストにも、犠牲者の中にも、モロッコ 人がいたが、モロッコで行われた犠牲者の葬儀では、カトリックの司教と、イスラム のイマム(導師)と、ユダヤ教のラビ(聖職者)が共に祈り、平和を訴えた。
 3. 諸宗教の反省。
 スペインのいくつかのイスラム教のモスクの責任者たちは、テロ事件を断罪し、被害 者の冥福を祈った。「イスラムのテロ」という言い方をやめて、われわれは「アルカ イダのテロ」というべきであろう。イスラムの中でも、自分達の伝統について反省を おこなっている宗教者もいれば、原理主義的にコランを解釈するものもいる。キリス ト教の中でも、福音的な平和をもとめる者もいれば、原理主義的に戦争を宗教で正当 化しようとする者もいる。どの宗教でも、自己反省が必要である。キリスト教は、十 字軍や宗教裁判に対して反省と謝罪をしたように、諸宗教におけるその歴史にみられ た、それなりの暗いところを乗り越える必要がある。
 4. 戦争は解決ではない。
 イラクへの先制攻撃は、テロにうちかつどころか、それを増やしたことが、あまりに も明確になった。チェチンに対するロシアの態度も、パレスチナにたいするイスラエ ルの攻撃も、ますます暴力の連鎖を招いている。ブッシュ大統領の側近で力を握って いる「軍人」と「企業」と「原理主義的なイデオロギー」に反対することは、世界的 に現在の最も緊急な課題である。
 5. 「テロとの戦い」という言葉を避けて、「テロから市民を守り、暴力から解放 する」と言う方が適切である。
 テロリストたちのことを「敵軍」とみなすよりも、「犯罪人」とみなすべきである。
 そうした犯罪に対する国際的な対策は、必要であることが認められる。しかし、その 対策は、ミサイル、戦争、爆撃などではなく、別な方法を取るべきである。例えば、 テロリストの金銭的源泉を制御したり、テロリストが育つ国の協力を得たり、警察の 国際的な協力を強めたりすることが、あげられる。しかし、イラク戦争での過ちを、 繰り返すべきではない。その過ちというのは、国際法を無視したこと、倫理的に認め られない先制攻撃を正当化しようとしたこと、グアンタナモ基地で捕虜にされた人々 の人権をまもらず、法治国家のルールをやぶったこと、全世界でテロを引き起こす原 因を増やしたこと(9・11やバリ島やカサブランカやマドリッド等でテロによって 死んだ人の数よりも、アフガンやイラクで死んだ一般市民の数が多い)。
 6. 一般市民こそ主人公。
 3月13日の平和行進には、雨の中、205万人が参加した。若者、お年寄り、乳母 車に赤ちゃんを乗せた若い夫婦。プラカードには、「平和」の言葉が目立った。テロ 反対の行進は、戦争反対と平和を求めるものでもあった。やはり、9・11の時と は、さまざまな面で違いが見られる。主体は政治家ではなく、一般市民であった。
 7. 政治家の操作と軍事の力よりも世論の声が強い。
 当初から、国際テロではないかという推測があったが、それを隠してスペイン内部の 問題だと見せかけようとした政府の対応は、市民の反感をかった。一年前に戦争を支 持した、現政権への批判が高まった。選挙の結果は、政権交代が実現した。
 8. 恐怖の投票よりも勇気の投票だった。
 テロの恐怖の中で選挙が行われれば、 与党・保守党が勝ち、テロへの対応が米国追 従になるかもしれないと予測した人々もいたが、結果は、一般市民による平和への叫 びが勝った。決してテロリストに譲ったからではなく、テロと暴力と戦争などに打ち 勝ちたいからこそ、われわれは政権交代をもとめたのである。
 9. われわれは皆被害者。
 10歳のこどもが、記者から聞かれていた。「あの電車の中に学校の友だちがいまし たか」。答えは、「殺された200人は、僕の兄弟です」。なるほど、彼は被害者と ともに痛みを感じ、自分も被害者だと感じていた。
 10. われわれは皆加害者。
 霊安室で遺体を運んでいた職員は、心の痛みでたまらなくなって、「殺人者を殺せ」 と叫び出した。彼を慰めたのは、被害者遺族であった。一部分しか残らなかった殺さ れた子どもの遺体を前に、立っていたお父さんは、その職員を抱きながら言った。 「おちついて下さい。私たちは復讐を求めない。戦争と憎しみは、もうたくさんだ。 平和、平和を…殺された息子の死が、無駄にならないよう … 私も怒っているけれ ど、暴力を止めましょう。黙って祈ったほうがよい…」。放送されたこの言葉には、 録音していた放送局員の泣き声が、混じっていた。
 11. 許し合うこころこそ暴力に打ち勝つ。
 犠牲者遺族から、次のような手紙が届いた。「私は3・11で息子を殺されました。 痛みで胸が一杯ですが、私たちと共に泣いてくれた人々を通して、神の慈しみを感じ させられました。みなさんにも、お祈りをお願いしますが、それは、息子のためでは なく(なぜなら、息子は天国にいるからです)、テロを実行した人々と、それを計画 した人々のために、祈ってください。彼等がもたらした傷をいやすため、また、彼等 を支配している悪を、彼等自身がそれを乗り越えるために必要な愛を見出すことがで きるように、祈ってください。私たちは、息子の遺体を前にして、暴力が世の中から なくなるよう、全力を尽くすことを誓いました。世界に暴力より愛を選ぶ人々が増え れば、いくらテロが起きても、愛が打ち勝つと確信しています」。   
  (マドリッドにて、2004年3月20日) あさの
2004年12月2日付
毎日新聞(全国版)掲載
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