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国立大学独立行政法人化問題週報


Weekly Reports  No.109 2003.3.26 Ver 1
http://ac-net.org/wr/wr-109.html
総目次:http://ac-net.org/wr/all.html
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[Weekly Reports 109] 国立大学行政法人化問題週報
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		    国立大学独立行政法人化問題週報

	       Weekly Reports  No.109 2003.3.26 Ver 1
		   http://ac-net.org/wr/wr-109.html
		総目次:http://ac-net.org/wr/all.html

--[wr-109 目次]-------------------------------------------------------
[109-1] 国立大学法人法案の廃案に向けて―国会審議の現状と国大協の責務― 
[109-2] 国立大学法人法案「概要」に対する各大学からの意見一覧表
[109-3] 国立大学法人法案(独立行政法人通則法の準用規定を挿入したもの)
[109-4] 3月27日 教育基本法と国立大学の法人化を考える集い
[109-5] 国立大学法人法案阻止・教育基本法改悪阻止国会情勢速報No.1(3/26)
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各位

独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局は、法人概要に関する24国立大
学の意見書(2月15日に国立大学協会に提出)を分析・整理した一覧表
[109-2]を作成し、本日の声明[109-1]で、文部科学省および国立大学協会幹部
に以下の要請をしている。

         「これらを踏まえれば、国立大学内部で強い批判が存在
         するため、国立大学協会としては法案に対する態度を何
         ら決定していない、というのが現状である。政府・文部
         科学省は、国立大学側の同意取り付けを法案提出の根拠
         としていたが、その前提が崩れた以上、国立大学法人法
         案等の審議入りを即座にとりやめるべきである。

         また、法案全文が明らかになり、その問題性が広く知ら
         れるようになったため、国立大学法人法案を受け入れる
         ことはできない、したがって法案は通常国会において廃
         案にするべき、という声が急速に拡がっている。国大協
         執行部は、2 月24日の理事会における議論を踏まえ、可
         及的速やかに臨時総会を開催しなければならない。臨時
         総会においては、先に24大学から出された批判や疑問を
         含め、法案にかかわる問題点を真摯にかつ徹底的に議論
         し、国大協として法案に反対する明確な態度を決定する
         必要がある。」

「国立大学法人法案阻止・教育基本法改悪阻止国会情勢速報」の創刊号
[109-5]によれば国立大学法人法案の国会審議は、早ければ3月28日に開始
される。国立大学協会幹部は直ちに総会開催の準備をしなければならない。さ
もなければ、国立大学法案の持つ致命的な問題点の数々を指摘した多くの国立
大学の意見書を握り潰し、「国立大学」が今後何十年も苦しむことがわかって
いる体制を招来した罪を背負うことになろう。国立大学協会幹部の方々が個人
的に法人化を推進されるのは結構だが、公私混同だけは慎しんで頂きたい。

なお、熊本大学は、準用される独立行政法人通則法条項を国立大学法人法案の
関連箇所に埋め込み、国立大学法人法案の全貌を直接見ることができる貴重な
文書[109-3] を作成した。法案吟味の際の必携文書となる。

明日3月27日に、教育基本法「改正」問題と国立大学の行政法人化問題との
密接な関連を確認する集い[109-4]が開催される。初等中等教育と高等教育と
を根底から変質させる諸変革が一つの意図に基づくことが確認されることによ
り、問題と取り組んでいる多くの人々や組織が共鳴し声が結集され、日本社会
にも届くようになることが期待される。(編集人)

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[109-1] 国立大学法人法案の廃案に向けて―国会審議の現状と国大協の責務― 
      2003年3月26日  独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局 
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030326syutseimwi.html

「2月28日、政府は、国立大学法人法案、独立行政法人国立高等専門学校機構
法案、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案、独立行政法人国立大学財務・
経営センター法案、独立行政法人メディア教育開発センター法案、国立大学法
人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、からなる関係6法案を
閣議決定し、同日中に通常国会に提出した(以下、一括して国立大学法人法案
等と略す)。

 国会では、はじめに与党三党が早期審議入りを企図して、文部科学委員会で
主旨説明を行うことを求めたといわれる。しかし、法案等を重要法案と位置づ
ける野党四党(民主党、自由党、共産党、社民党)の一致した要求によって、主
旨説明は本会議において行われることになると考えられる。主旨説明が行われ
れば、国立大学法人法案等は国会での本格的審議に付されることになる。

 この法案等については、閣議決定に至る過程そのものの正当性に疑念が生じ
ている。文部科学省は2月に各政党に対して、法案等に関するブリーフィング
を行っていた。その際、文部科学省は、「国立大学協会は法人化について長い
間意見が割れていたが、この度、賛成で一本化されたので法案を提出する」と
強調し、法案提出の正当性を主張していた。政府は、2月28日の閣議で法案を
決定する予定を早くから立て、その閣議決定に正当性を付与するために、2月
24日の国大協理事会において法案「概要」の承認を取り付ける、というプログ
ラムを設定していたのである。

 ところが、この政府・文部科学省の路線は、各大学から厳しい批判や疑問が相
次いで提出されたために、事実上破綻した。第一に、1月末に出された法案「概
要」に対して、24大学から法案の本質を批判する文書が正式に寄せられた。国大
協執行部や法人化特別委員会は、2月24日の理事会で、これらの疑問に全く答え
ることができなかった。このことにはっきり示されているように、国立大学協会
は決して賛成で一本化されていない。第二に、2月24日の理事会では、国大協の
正式態度を総会で決定すべきという意見が相次いで出され、長尾会長は「法案が
国会に提出された段階でその内容を検討し、国大協として表明すべきことがあれ
ば内容をはっきり示して、理事会で承認を得て発表するなり、あるいは臨時総会
を開催して議論することも視野に入れて対応を検討する」(理事会議事要録)と表
明せざるをえなかった。

 これらを踏まえれば、国立大学内部で強い批判が存在するため、国立大学協会
としては法案に対する態度を何ら決定していない、というのが現状である。政
府・文部科学省は、国立大学側の同意取り付けを法案提出の根拠としていたが、
その前提が崩れた以上、国立大学法人法案等の審議入りを即座にとりやめるべき
である。

 また、法案全文が明らかになり、その問題性が広く知られるようになったた
め、国立大学法人法案を受け入れることはできない、したがって法案は通常国
会において廃案にするべき、という声が急速に拡がっている。国大協執行部は、
2 月24日の理事会における議論を踏まえ、可及的速やかに臨時総会を開催しな
ければならない。臨時総会においては、先に24大学から出された批判や疑問を
含め、法案にかかわる問題点を真摯にかつ徹底的に議論し、国大協として法案
に反対する明確な態度を決定する必要がある。

 与党側が審議入りを強行したばあい、国会での本格的な議論は、遅くとも4
月13日の統一地方選挙前半戦後には開始されよう。国大協がそれ以前の4月冒
頭に臨時総会を開催し、そこで正式な見解を表明することは、国民と社会に対
する責務である。」

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[109-2] 国立大学法人法案「概要」に対する各大学からの意見一覧表
 2002年3月23日 独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局作成
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030323gaiyouikenitiran.htm
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Date: 2003.Mar.24  07:02:00 Japan
Subject:  国立大学法人法案「概要」に対する各大学からの意見要旨一覧

「独行法反対首都圏ネット事務局です。

2月24日の国大協理事会には、法案「概要」に対して各大学から寄せられた
意見が資料として配付された(本HP参照)。これらの意見をつぶさに読むと、
そこには法案に対する本質的な批判や疑問がはっきりと示されている。そのこ
とをわかりやすく示すために、本事務局では意見要旨の一覧表を作成したので
ご活用いただきたい。標記の文書をホームページにUPしましたのでご紹介しま
す。

国大協執行部はこれらの批判や疑問に今もって応えていない。長尾国大協会長
は、2月24日の理事会において、法案が提出された後に国大協総会を開催す
るとの意見が多数を占めたことを踏まえ、速やかに臨時総会を招集しなければ
ならない。臨時総会では、提出された批判について議論を行い、法案に対する
国大協として正式な態度をきめなければならない。」

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[109-3] 国立大学法人法案(独立行政法人通則法の準用規定を挿入したもの)
        熊本大学サイト
http://www.kumamoto-u.ac.jp/contents/KAIKAKU/dokuhouka/pdf/jun.pdf

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[109-4] 3月27日 教育基本法と国立大学の法人化を考える集い
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030309327syuukai.html


		  日時:3月27日 午後6時−8時半
		   場所:中央大学駿河台記念館281
    (JR御茶ノ水駅、営団地下鉄千代田線新御茶ノ水駅より徒歩2分)

				 講演

   「学問の自由と国立大学法人化について思うこと−ミミズ博士の憂い」
		     中村方子(中央大学名誉教授)

	       「教育基本法改悪と国立大学法人法の意味」
		       小森陽一(東京大学教授)

		 「国立大学法人法案とは何であるのか」
		       小沢弘明(千葉大学教授)


(呼掛け文抜粋)
「・・・ ところで、これまでは教育基本法の問題は、主として初等中等教育
の現場から問い直されてきました。また法人化は、もっぱら高等教育や研究者
たちの問題であると理解されるきらいがありました。このふたつは、ともする
と別のこととして考えられ、別々の課題として取り組まれがちでした。しかし、
教育基本法の改悪と国立大学の法人化というふたつの問題は、密接に補完しあ
いながら、戦後教育の最良の達成を、あるいは抑圧し、あるいは市場という神
に売り渡してしまうひとつの悪夢の二局面に他なりません。

 このように初等教育から高等教育にいたるまで、知とその社会的な継承の基
礎条件がまるごと破壊されようとしているいま、わたしたちには、未来の世代
のためにこれをストップさせる責任があります。わたしたちは、教育基本法の
改悪を危惧する人々、国立大学の法人化に異を唱えてきた大学人、さまざまな
職場や生活のなかから感じ行動してきた市民・労働者、そして何よりもこれま
で最初の一歩、最初の一言を始めることにためらってきた多くの人々と、危機
の深刻さについて思いの丈を交換し、協力して危機に立ち向かっていきたいと
考えています。手始めに、市民や大学人たちの四つの異なったネットワークが
手を携えて、標記のような「教育基本法と国立大学の法人化を考える集い」を
呼びかけます。ひとりひとりの憂慮をそのままにとどめないために、ひとりひ
とりの良識に力を与えるために、ぜひ一堂に会しましょう。」

呼びかけ:
  大学改革を考えるアピールの会
  独立行政法人反対首都圏ネットワーク
  国立大学独法化阻止全国ネットワーク
  「子どもたちを大切に−いまこそ生かそう教育基本法」全国ネットワーク


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[109-5] 国立大学法人法案阻止・教育基本法改悪阻止国会情勢速報 No.1
 2003.3.26 共同編集:独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局
                     独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030326kokaijouhou-1.htm

【情報速報配信の目的】

国立大学法人法案等は既に2月28日に閣議決定され、国会に提出されていま
す。また、中教審は3月20日、「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育
振興基本計画の在り方について」の答申を行い、これを受ける形で政府・文科
省は法的措置の準備を加速するでしょう。政府・与党は、おおよそ5月連休前
に国立大学法人法案等を「仕上げ」、それ以降に教育基本法改悪を行い、全体
として03年通常国会で初等中等教育から高等教育までの全面的な法的構造の
改変を強行しようとしています。こうした重大な情勢を迎え撃つためには、国
会内外の闘争を結合していく必要があります。そこで、独立行政法人反対首都
圏ネットワーク事務局と独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局は
協力して、国会情勢を随時分析・配信するとともにそれぞれのホームページに
掲載することにしました。多くの方々の行動に役立てば幸いです。

【3月26日段階の情勢】

・3/28に予算成立の予定(自然成立ではなく、参議院の議決で)、その後直ち
に大学法人法案の審議に入る可能性がある。

・野党が一致して要求しているために大学法人法案の主旨説明は本会議でなさ
れ、文部科学委員会に付託される流れになる。

・従来の国会慣例では統一地方選の期間中は「政治休戦」として、本会議など
も開かれなかったが、今回はこの慣例に従わず、3/27-4/13の前半戦中も審議
続行すると思われる。いずれにしても四月前半が一つの山場となろう。

・イラク情勢は緊迫し、予断を許さない状況にある。このような場合、注意し
なければならないのは、政府・与党が、他の重要法案の処理をストップさせる
のではなく、しばしば、懸案の法案を一気に押し通して来ることである。今回
も、個人情報保護法案、有事三法、国立大学法人法案、教育基本法改悪などを
一挙に強行する構えである。反動的諸法案総体に全面的対決する運動の構築が
求められている。

・政府・与党は会期延長もねらい、有事三法、国立大学法人法案、教育基本法
改悪をどうしても通す決意であると思われる。その際、国立大学法人法案を通
してから教育基本法改悪という手順になるので、法人法案は重大な争点となる。
初等・中等教育から高等教育まで全教育関係者の広範な統一・共同行動を軸に、
全国民的な運動の構築が期待されている。

・与野党の党派を超えて大学法人法案の持つ問題点に対する理解は広がりつつ
あるので、野党が結束すれば廃案に追い込むことも可能である。大切なことは、
国会審議に合わせて反対運動を組むのではなく、反対運動が国会審議スケジュー
ルを規定することである。

・現段階での中心スローガンは、「多くの国立大学が疑念を表明している国立
大学法人法案の審議入り阻止」、「国立大学法人法案を廃案にせよ」「教育基
本法改悪阻止」であろう。

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【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題を広い視野から考えるのに役立
つと思われる情報(主に新聞報道・オンライン資料・文献・講演会記録等)へ
のリンクと抜粋を紹介。種々のML・検索サイト・大学関係サイト・読者から
の情報等に拠る。メール版で省略されている部分はウェブ版参照。ウェブ版は
目次番号が記事にリンクされている。転送等歓迎。
【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ
ひ読んで頂きたいもの。
【関連サイト】http://ac-net.org/dgh/
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編集発行人:辻下 徹 e-mail: tjst@ac-net.org
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