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国立大学独立行政法人化問題週報


Weekly Reports  No.110 2003.4.1 Ver 1
http://ac-net.org/wr/wr-110.html
総目次:http://ac-net.org/wr/all.html
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		    国立大学独立行政法人化問題週報

		  Weekly Reports  No.110 2003.4.1
		   http://ac-net.org/wr/wr-110.html
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[110] (転載)国公立大学通信2003.4.1 号


--[目次]-------------------------------------------------------------
[110-1] 国立大学協会総会開催について
[110-2] 50年目の大学評価(白井厚「大学ーー風にそよぐ葦の歴史」抜粋)
[110-3] 事務官からのお便り
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[110-1] 国立大学協会総会開催について
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To: gakuchou
Subject: 国立大学協会総会開催について
From: tujisita
Date: Sun, 30 Mar 2003 19:26:00 +0900

                                             平成15年3月30日(日)

国立大学長 各位

国立大学法人関連法案が国会に提出されてからすでに1ヶ月が経過しました。
各大学におかれましては、法案の精査が済み、間も無く検討結果を学内の構成
員に説明される頃と推察致します。

さて、法案提出直前の2月24日に国立大学協会理事会で了承されたことは、
大学長の方々が法案概要について指摘された問題点は法案確定後に検討し、必
要があれば総会を開催する、ということであったと、教育研究の現場にいる国
立大学教官は理解しております。この了承事項は一体どうなったのでしょうか。

概要段階の問題点に加えて、国立大学法人法案が新しい重大な種々の問題点を
内蔵していることは、すでに国立大学社会で広く認識されています。それにも
かかわらず、いまなお臨時総会開催の準備が開始されたという話しは聞こえて
きません。

御存知のように、国立大学関連法案の審議が4月初めに開始され、種々の重要
法案の狭間にあって、短期間の形式的審議の末に採決されることも予想されて
います。国立大学の現在と未来を大切に考えておられるのでしたら、九仞の功
を一簣に虧くことにならないよう、直ちに国立大学協会総会を開催し、法案の
持つ膨大な問題点について議論を重ね整理し、国会で審議が十分尽されるよう
に、国立大学の使命に立って真摯な警告と要望とを社会と国会に向けて発する
ことを、一国立大学教官として心よりお願い申しあげます。

辻下 徹
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[110-2] 50年目の大学評価(白井厚「大学ーー風にそよぐ葦の歴史」抜粋)
    国立大学独立行政法人化問題週報[66-7-2](2001.9.3)より
    http://ac-net.org/wr-66.html#[66-7-2]
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日本経済評論社 1996.12.8
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4818809039
抜粋: http://ac-net.org/dgh/01/901-shirai.html 

「・・・大学の目的は、こういった教育・研究を通じて、長期的に人類の将来
の幸福に貢献するものであると考えられます。このへんが国の政府の目的とは
違うわけです。国の政府ですと、関心は個人の権力やナショナル・インタレス
トであります。今の政権がいつまで続くか、次の議会をどうやって乗り切るか、
今度の戦争をどうやって勝かというような問題でありまして、常に短期的な利
害というものを考えなければならない。しかし大学はそういう目的に奉仕する
のではなく、長い将来にわたって人類の幸福ということを考えなければならな
い。大学の目的と国家の目的は違う。基本的に矛盾します。・・・・

□ 五十年目の大学評価 p27

大学というのは高等教育機関ですね。去年のわだつみ会の八・一五の集まりの
時だったかと思いますが、当時の日本人がみんなお国のために夢中になって戦
争に協力をしていた。・・・それに対する疑問をもった人は非常に少ない。そ
れは教育の効果である、という話があった。しかしそのときにどなたかが、し
かし大学の教育としては失敗ではないかと発言されて、私はなるほどなと思い
ました。

大学だけを特別視するのはおかしいけれども、もっとも批判的な精神を涵養す
るところが大学であろうと思います。その大学の学生も教授たちも、戦争目的
に対する批判的な見解というものはほとんどもたなかった。もったごく少数の
人は牢獄に入れられた。しかしそれ以外の人はほとんどもたなかった。あるい
はもとうとしなかったという、その精神状況というものは、大学としては自滅
ではなかったんだろうか。だから大学ははたして大学だったのだろうかという
ことです。小学校なら国定教科書で教えるわけですから、やむをえないと思い
ます。しかし大学には国定教科書はありませんし、まがりなりにも学問の自由
とか言えるような時代に、しかも意外に敗戦の間際までけっこう自由にしやべっ
ていた人もいる。学生などもけっこう自由に動きまわっていた例も幾つもあり
ました。そういうときに積極的にこの戦争目的に対する疑問がほとんどどこか
らも提起されなかったということは、大学としての自滅ではないだろうか。そ
こで、記億に残る大学教員の発言リストをつくったのは、50年目の大学評価
ではないかというふうに思っています。

□ 大学の責任と反省

・・・政治に対する批判とか、真理の探求とか国際情勢の分析とか、そういう
本来大学がやるべき使命を完全に放棄してしまった責任、そういうものをいっ
たいどう考えるのであろうか。このことが戦後行うべき大学の一つの仕事では
なかったかと思います。

・・・
戦後二、三十年ぐらいで、落ち着いたところで大学は大学としての戦争責任と
いうものを自分で整理をする作業をやるべきではなかったか。今となっては若
干遅きに失した。しかし今からでも、やらないよりはましかもしれません。大
学によっては、かつては右翼の大学として有名だった大学が、非常に反省して、
がらりと内容を入れ替えて、平和のために、戦争を二度と起こさないために努
力している大学もあります。全然そういうことを考えない大学もあります。大
学の評価というのは、いろんな点でなしうることだと思いますけれども、過去
を正確に調査して、誤りを二度とくり返さない、そういう決意をもつ、そのた
めの手段をもつ、そういう大学が、将来ともに生き残るべき優れた大学ではな
いだろうか。逆に言いますと、そういうことを一切行うつもりがない大学は、
世の名声にも関わらず、学生の偏差値にもかかわらず、大学としては、真理を
追求すべき社会的責任をもつ大学としては失格ではないかと思います。戦争責
任の前に社会的責任があります。・・・・」
 
(*1) 1994年8月15日、飯田橋の家の光会館ホールで開かれた日本戦没
学生記念会〔わだつみ会〕主催の講演会記録。「きみと語りたい、私の8・1
5−−日本人それぞれの戦争責任−ー」という共通テーマの中で、大学の責任
を論した。同年2月発行の『わだつみのこえ』No99に録音記録を掲載。)
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[110-3] 事務官(仮名:ビンソンマシフ氏)からのお便り
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[110-3a] (3/27)他省庁への転任希望提出という戦術

「人事課筋から聞いた情報ですが、事務系の職員の場合は「他省庁への転任の
希望を出すことは可能」とのことです。但し、実現の保証があるわけではあり
ませんが。法人化に伴う非公務員化にただ反対と言っていてもラチがあきませ
んので、現実的、具体的手段として、他省庁へ行ける人はこの希望を提出する
という戦術によって非公務員化にNo!の姿勢を表現したらどうかと思うのです
が。教官でない人まで国立大学と心中する必要は無い筈。泥船は下りるに限る
のでは? (もちろん教官も)」

[110-3b] (3/28) 大学は教官のみで運営したほうが良い

「教官以外の職員、特に事務官の世界などというものは、(教官は何かにつけ
て「議論して」などと言いますけれど)どちらがエライかで全てが決まってし
まう「問答無用の世界」であり、何か発言したりすると「反抗的だ」と決めつ
けられ、「イヤなら辞めろ!」と言われるのが常態なのですが、同じ職場にい
ながら教官はその程度のことすらいつまでたってもわからないというわけです。
「モノを考えるな!」と上役から言われることすらあります。ロボットになれ、
ということですね。そういう問題をチェックするために職員団体があるのだろ
うと思っていましたら、教官の常識で運営されてしまっていて、教官以外には
何も役に立たないという有様。教官と教官以外の職員はあまりに立場が違いす
ぎて、話も通じないという状況です。絶望ですね。教官は教官だけでやっていっ
て下さい、大学は教官のみで運営してもらったほうがいいです、と言わざるを
えません。」
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                                  編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org


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【凡例】・・・は省略した部分。
【関連サイト】http://ac-net.org/dgh/
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編集発行人:辻下 徹 e-mail: tjst@ac-net.org
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