==> 登録と解除|Back Number総目次
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/wr-22-00911.html

国立大学独立行政法人化問題 週報 Weekly Reports  No.22  2000.9.11 Ver 1.0

独立行政法人化問題 週報 Weekly Reports No.22 2000.9.11 Ver. 1.0 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/wr-22-00911.html 総目次:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html ===============================目次=================================== [22-1]文部省ホームページに掲載された第一回調査検討会議(2000.7.31)の議事概要 [22-2]新しい文部大臣私的諮問会議が9月25日に設置 [22-3]教育改革国民会議の中間報告の原案:奉仕活動・大学入学年齢撤廃等々 [22-4]英国野党保守党の選挙公約:トップの大学の民営化 [22-5]コモンセンス(2):行政指導 [22-6]inakawaiizo語録より:地方分権化後の大学像 ===============================前書================================ 英国[22-4]と同様、来夏の参院選の争点を教育改革にせよと中曽根元首相が言って いる[22-3]。実際にその準備が始まっている:政府は教育改革国民会議[22-3]の色々 な提案の中から出来るものから通常国会で決める方針である。文部省も「21世紀の 大学を考える懇談会」[22-2]を今月末に設置すると言っているし、国立大学の独立行 政法人化も来春までには実質的に「決定」しようとしていることが調査検討会議の議 事録から推測される[22-1]。 しかし、逆に、来夏の参院選で、学術教育セクターが大同団結して国民に呼びかけ、 教育・学問を政争の具とすることにノーという声を日本に鳴り響かせ、同時に、長年 の行政指導[22-5]で傷みきった日本の教育・学術セクターを真に癒す教育学術政策を、 当事者自身の手で提示しようではないか。 ===============================本文================================ [22-1]第一回調査検討会議(2000.7.31)の議事概要より http://www.monbu.go.jp/singi/chosa/00000433/ --出席者------------------------------------------------------------------- (委 員)阿部博之、阿部充夫、石井紫郎、石川水穂、板橋一太、浦部法穂、大沼  淳、北原保雄、小早川光郎、田中愼一郎、廣中平祐、馬渡尚憲、蝋山昌一、渡辺正太 郎の各委員 (関係者)住吉昭信、町田篤彦、山崎稀嗣、吉原經太郎の各関係者 (文部省)工藤高等教育局長、遠藤学術国際局長、石川私学部長、清水高等教育局審 議官、合田大学課長、杉野大学改革推進室長 他 -------------------------------------------------------------- #委員14名、それ以外に14名+αとなっているが、「他」というのは何名なのか。 高等教育局の全職員が出席していたとすると、大学関係者は少数ということになる。 -------------------------------------------------------------- (○印は委員及び関係者の発言、◇は事務局の発言、#は発行者のコメント) ○ 本委員会名が、当初案であった「法人の基本」から「組織業務」に変更になっ たが、委員会の責務等の点で何か変更点があるか。 ◇ 当初、「法人の基本」という仮称で内部的に検討していた経緯はあるが、最終的 には、「組織業務」という名称で整理したところである。 これは、組織や業務に限 定する趣旨ではなく、組織や業務に代表される法人制度の基本的な枠組みについて、 この委員会で検討していただきたいという趣旨であり、内容的には変更はない。 -------------------------------------------------------------- #名称を変える理由の説明になっていない。元に戻すことを主張すべきであった。 -------------------------------------------------------------- ○ 本会議において、国立大学等の独立行政法人化について検討を行うことは、中央 省庁等改革推進本部(以下、推進本部という。)の了解の上で進められているのか。 仮に、本会議で独立行政法人制度の修正版を制度設計した場合、推進本部など関係省 庁等との協議に際し、一体どれだけの通用力を持つと言えるのか。 ◇ 昨年の9月、文部省が試案を公表して以降、推進本部事務局と非公式に折衝し、 文部省の考え方を説明してきたが、推進本部事務局としては、この文部省の試案は、 国立大学協会と調整済みのものとは理解しておらず、よって、公式にコメントはでき ないということである。 したがって、文部省としては、本調査検討会議を開催し、 関係者と合意できる案をつくり上げるということが先決であると考えており、その後、 推進本部事務局などと調整することになる。なお、具体的な成案をつくるため、本会 議を設けて関係者と検討に入ることについては、推進本部事務局に説明している。 -------------------------------------------------------------- #上の答えは重要な意味がある。推進本部が設置期限の来年6月に解散するとすれば、 それまでに文部省は「国立大学と合意できた」案を推進本部に提示しなければならな いということである。調査検討会議は2002年3月まで議論を続けることになっている が、実質的な部分は来年3月までに終わる可能性もある。 推進本部の設置期限が来年6月までであることは法律で定められている:中央省庁等 改革基本法 第6章 中央省庁等改革推進本部 http://www.ron.gr.jp/law/law/chuokaik.htm#6-honbu に「(設置期限)第六十一条 本部は、その設置の日から起算して三年を経過する日 まで置かれるものとする。」と規定されている。設置日は http://www.kantei.go.jp/jp/cyuo-syocho/taisei.html にあるように1998.6.23。従って、設置期間は2001.6.23 までである。 -------------------------------------------------------------- ◇ 初めから独立行政法人化として検討するのか、あるいは単なる法人化として検討 するのかについては、文部省としては、一定の公的な助成を確保しながら、かつ自主 性、自律性を高める方策として、独立行政法人制度は、十分検討に値すると考えてい る。 ただし、この制度をそのまま国立大学に適用させるには問題もあるので、その 問題を克服した上で、このスキームをうまく活用できないかということを、本会議で 検討していただきたいと考えている。 単なる法人化論から検討をはじめても、同様 な結論が出るかもしれないが、白紙から議論するよりも、一定の公的助成を確保しな がら、運営面での自主性、自律性を高めるという独立行政法人の仕組みを活用して、 どこまで問題解決ができるのか検討いただきたい。 -------------------------------------------------------------- ◇ 行政改革会議最終報告のコンテクストにおける企画部門と実施部門の分離という のは、中央省庁組織における企画部門と実施部門の分離であると理解している。 ま た、文部省と国立大学、国の高等教育政策と大学との関係は、実態においては、さま ざまな形での制度上、運用上のいわば交流型の関与のシステムができており、今回の 検討においても、組織その他のパーツパーツの検討の中で、関与の仕組みというもの が明確になり、それらの総体として、国立大学との関係も明確になると考えている。 したがって、最初から国の関わり方を前提に議論するという方法もあるが、そのあり 得べき関与というものも念頭に置きながら、具体的な検討の材料を議論いただく方が 生産的ではないかと考える。 -------------------------------------------------------------- #「法人の基本問題」を論じる場合でもパーツパーツの個々の具体的な問題を通して 議論して欲しい、という発言。これに従った場合には、文部省の用意した案の中で決 まっていない枝葉末節だけを大学が議論する会議−−<審議会的>な会議−−になる はずである。国立大学協会は、誰も参加理由が理解できないような中で調査検討会議 に参加している以上、少しでも審議会的な傾向が出た場合には直ちに調査検討会議へ の参加を中止しなければ、国民に対しても大学教員に対しても未来の世代に対しても 申し開きはできないであろう。 ============================================================================ [22-2]文部大臣私的諮問機関「21世紀の大学を考える懇談会」を9月25日に設置 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/009/09-monbu.html 「大島文部大臣は、閣議のあとの記者会見で、二十一世紀の大学のあり方を議論する ため、文部大臣の私的な諮問機関として、「二十一世紀の大学 を考える懇談会」を 今月下旬に設置することを明らかにしました。  それによりますと、懇談会は、大 学の学長や経済界の代表など二十一人 が委員となって、今月二十五日に発足し、大 学を中心とする今後の高等教 育や学術研究の果たすべき役割や、学術研究での重点 分野などについて議 論し、大島文部大臣に提言することにしています。  大島文部 大臣は、記者会見で「国際化や少子化が進むなかで、社会にお ける大学の位置づけ や役割が大きく変化している。懇談会では、大学のあ り方について、中・長期的な 視野に立って総合的に議論してほしい」と述 べました。」 [NHKニュース速報 2000-09-08-16:21] =============================================================== [22-3]教育改革国民会議情報 [aml 18971] 教育改革国民会議「国防教育案」 http://www1.jca.apc.org/aml/200009/18971.html より抜粋 -------------------------------------------------------------- ◆国民会議中間報告原案◆   奉仕活動を義務付け、農作業や高齢者介護などの「人道的作業」に当たらせる。 「義務付け」という表現には異論もあり、さらに検討。  豊かな人間性をはぐくむために古典、哲学、歴史教育を重視するよう提唱。道徳を 教科として、小学校に「道徳」、中学に「人間科」、高校に「人生科」を設けること も提言。 一、五歳から七歳までの幅で、親や学校の判断で義務教育開始年齢を弾力化 一、大学入学年齢制限の撤廃。高校卒業までの学習成果を測る学習達成度試験を実施 一、教育基本法は必要に応じて改正されてしかるべきだとの意見が大勢を占めたが、 国民的議論が必要であり各方面で議論されるよう希望 一、市町村教育委員に義務教育段階の子を持つ保護者を入れる。教育委員の公選制検 討、会議は原則公開 一、小中学校で二週間、高校では一ヶ月間を共同生活を通じた肉体的労働、奉仕期間 とする。将来的には満十八歳の国民すべてに一年間の奉仕活動を義務付けて高齢者介 護などに当たらせる (河北新報00/09/08) -------------------------------------------------------------- ▽教育改革関連法案  大島文相は5日の記者会見で、国民会議での議論に関連して「奉仕活動を充実させ ることは我々(文部省)の方針にものっとるものだ。首相からも来年の通常国会に照 準を合わせて準備をしていくべきだと話があった」と述べて、通常国会に向けて法案 化の作業を急ぐ考えを表明。大島理森文相「社会性を身につけさせるために自然体験、 奉仕活動などの充実が不可欠。通常国会における教育改革の大きな柱の法案として形 にしていきたい」 (参院決算委員会)。  6日午前の記者会見では中川秀直官房長官が、同会議が年内にもまとめる最終報告 に関連して「どんな法律的な手当てが必要なのかについて検討を始めている」と述べ、 最終報告を踏まえて教育改革関連法案を来年の通常国会に提出する方針を示した。中 川長官は大島理森文相が先月29日の森喜朗首相との会談で「通常国会で最終報告に 対応する法律が必要なら、準備のための勉強を始めたい」と報告し、首相が「努力し なさい」と指示したことを明らかにした。 今後、年間に「2週間」にするのかといった詰めや、授業中に実施するのか、夏休 みなどにするのか、といった議論を急ぐ。  奉仕活動の義務化について、首相は7月の臨時国会の所信表明演説で「学校教育に 奉仕活動や自然体験活動を導入し、全人教育を推進することが極めて大切だ」と述べ た。 「1つでも形にすることが大事だ」(与党幹部)。  どのような奉仕活動を義務づけるのか、といった点は議論が詰められていない。文 部省内でも「法律になじむものかどうか問題がある」(幹部)との懐疑的な見方もあ り、「奉仕活動の定義も含めて検討する」といった段階で、与党幹部からは「消防団 でも、予備自衛官でも、介護でも良い」との声が出ている。 国民会議は7月末にまとめた分科会報告の中で、小・中学生には2週間、高校生には 1カ月の奉仕活動を求め、将来的には、満18歳の全国民に1年間の奉仕活動などを 義務づけることを提言した。しかし、義務化については、国民会議の議論で、「一律 に期間を決めて義務づけることには違和感を感じる」「慎重に議論すべきだ」などの 意見が出ていた。 同会議は22日にまとめる中間報告で、小中高生への奉仕活動の義務化、義務教育 開始年齢の弾力化、教育委員会制度の改善のほか、教員評価制度の導入なども打ち出 す見通し。法制化では学校教育法改正などが対象となる見込み。 (朝日・日経00/09/06)  自民党の中曽根康弘元首相は3日朝、フジテレビの番組に出演し、首都機能移転に ついて「公共事業を切っている時に新しい公共事業がいる首都をつくるのは間違いだ。 国会決議があっても各党が賛成すれば消えていく」と述べ、凍結すべきだとの考えを 示した。  また、中曽根氏は来年夏の参院選について「教育改革を中心に各党が競う戦いぶり に持っていけば(自民党は)負けない。森喜朗首相を支持して中央突破すべきだ」と、 森首相の下で戦うべきだと強調(時事) (朝日00/09/03) =============================================================== [22-4] 英国保守党の公約:トップの大学の民営化 http://news.bbc.co.uk/hi/english/uk_politics/newsid_910000/910266.stm 次期選挙のイギリス保守党の公約の目玉として、トップクラスの大学に多額の基金 (各10億ポンド程度)を与えて国から切り離すことが挙げられている。 =============================================================== [22-5]コモンセンス(2):行政指導 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/common-sense/gyouseishidou.html 新藤宗幸著「行政指導−−官庁と業界のあいだ」 岩波新書 218(1992年) ISBN 4-00-430218-8 -------------------------------------------------------------- p42「行政指導が、日本の行政のすみずみにまでわたっている状況を考えるならば、 かなり広く定義しておく必要があると思えるが、私のいう行政指導とは、おおよそ次 のような性格をそなえるものである。 第一に、行政指導というのは、ある特定の目的の実現にむけて、法令の根拠を基本 的背景としつつ特定の相手の行動を操作する、あるいは事案に直接適用する法的根拠 がなくとも、なんらかの関連する法的根拠を援用しつつ特定の相手の行動を操作する、 官僚制の行動であるといえる。...行政指導は、それ自体、行政裁量のひとつであ るとみておきたい。 第二に、相手の行動の操作としての行政指導には、多様な手段が用いられている。 従来の行政指導論が語ってきたような、操作に従わない場合の「なんらかの不利益の 可能性」も、そのひとつだろう。だが、操作のための重要な手段は、「利益の供与」 でもある。「利益の供与」は、法令の解釈についての助言や指導、融資や補助の示唆、 情報や技術の提供など、さまざまである。一方、「制裁」としては、利益供与の停止 にはじまり、「江戸の仇を長崎で討つ」とでもいうべき非公式の圧力を相手周辺に加 え孤立させることや、相手が別の事案で許認可を求めてきたときに、それを「棚ざら し」にするなど、これまた多様な手段が使われる。従って、手段の複合性に着目する ならば、ひとつの行政指導の周辺には多数の関連する法令が存在する。 第三に、したがって行政指導は、多数の「目的」と「手段」に関連する法令を援用 した個別的な官僚制の行動ではなく、それ自体、ひとつの行政制度となっている(な りつつある)とみておきたい。この点は、畠山氏が示唆するとおりであり、官僚制の 有する補助や融資の権限、税制上の優遇措置、許認可権限、さまざまなサンクション 権限とが、相互に関連した行政上の仕組み・制度となっているといえる。行政指導を、 ある自的の達成に向けた「自発的協力の要請」としてみるだけならば、そのようなも のは行政指導を批判する当のアメリカでも、目常茶飯に行なわれている。行政指導が、 国の内外から批判され、あるいはその改革が難しいのは、行政上の仕組み・制度となっ ているからであり、ここにこそ日本の行政指導の特色がある。 第四に、行政制度としての行政指導には、多くの場合、行動を操作し・されること を通じて、官・民の間に利害共同体ともいうべきコミュニティがつくられているとみ ておきたい。「自発的協力・同意」が、行政指導の実効性を担保する条件であるよう に語られるのも、こうしたコミュニティがあればこそである。こうして、行政上の仕 組み・制度としての行政指導は、このコミュニティを舞台として、有力な政策実施手 段として機能しているとみておこう。」 -------------------------------------------------------------- 中央官庁の大部屋主義の影響 p100「中央省庁の組織構造を特徴づけているものはなにか。さまざまに論じられてい るが、そのひとつの重要な特徴として、「大部屋主義」がある。中央省庁におい、て、 個室のオフィスをあたえられているのは、大臣からせいぜいのところ審議官(局次長 相当職)までである。実務の第一線をになう課長職以下は、個室をもたずに大部屋で 執務している。このような執務形態は、少なくとも、欧米先進国の行政組織にはみら れないものである。そしてまた、組織法令の所掌事務規定も大部屋主義となっている。 つまり、局長、課長という職位(position)ごとに権限と責任を明記するのではなく、 局、課という組織単位ごとに、「○○に関すること」という規定方式となっている。 これまた、先進国組織法令にはみられない特徴である。 加えて、この大部屋主義と の関連で、もうひとつの特徴をみておかなくてはならない。一般に官僚は、前途に昇 進を見込んでいるが、日本の場合、昇進にあたって高度にゼネラリストであることを もとめられ、数々の大部屋を「転居」しつつ、官僚制のヒェラルヒーの階段をのぽっ ていく。従来、こうした大部屋主義が、行政機関の執行活動にどのような影響をおよ ぼしているのかは、さほど注目されてこなかった。したがって、研究上の蓄積と定説 があるわけではない。だが、行政指導なる政策実施手段に依存する官僚制の行動は、 大部屋主義という集団での執務形態、組織単位ごとの組織法今の規定方式、頻繁に所 属組織をかわっていく昇進形態に、ふかく影響されているといえるのではないだろう か。 -------------------------------------------------------------- 大部屋主義のもとでの目標設定 「100点でなくとも80点でよい」「当面の効果があげられればよい」といった目 標設定の不完全主嚢は、職位(position)ごとの職務権限が明確にさだめられており、 政策目標達成のための手段や方法をきめる会議に、個室から「出発」し個室に「帰還」 してくる組織では、官僚の主たる行動現範とはならないだろう。...ところが、行 政官が大部屋で執務するとき、政策目標についての討議は、目常会話となり、課、局 といった組織単位全体としての職務権限が追求されていく。しかも、それぞれの組織 単位が、対象集団と緊密な関係を保っており、組織単位を構成する行政官には、事態 をめぐる情報が共有されている。「できること」と「できないこと」が、暗黙のうち に合意されている。さらに、日本の官序における行政官の成績は、まずもって個人に ではなく、部屋の成績によって判断される。したがって、100パーセントの目標達 成を規範とする行政官がいたとしても、彼・彼女は、「変人」あつかいをまぬがれな いし、もともとその出現の確率は低い。こうして、共有されている情報のなかで可能 な、つまり、不完全な解答を設定し、その実現が、組織全体の行動の規範となる。 もちろん、解答が不完全なら不完全なほど実現度も高くなる。しかし、それでは組 織単位の‐成績はよくならないから、他者から批判されない程度の、つまりは八○点 程度の目標の設定がおこなわれるのである。そのうえ、目本の官庁では、集団として の行政官が複数の事案を所掌している。「とりあえず現状にたいして効果があがれば よい」とする思考が中心となっているところでは、複数の案件や多数の当事者のなか から、どれを優先させるべきかをめぐる議論は、厳しく対立するものとはならない。 むしろ、それらを一括して処埋することが、業務の中心とならざるをえないのである。 .... -------------------------------------------------------------- 組織法令優先の思考 さらにまた、こうした不完全主義を生み出している根底には、各省設置法における所 掌事務の規定方式があるといえる。省庁の設置法ならびにその政今・省今は、さきに 述べたように組織単位ごとに事務を規定している。しかもその規定の方式は、「○○ に関すること」と包括的規定となっているだけでなく、実は、この所掌事務に対応す る行政作用法今上の規定をもっていないことが、すこぶる多いのである。 これは天 皇大権とされていた「○○省宮制」以来の伝統を引き継いだものといえる。天皇主権 の下での官庁の所掌事務規定は、これでよかったかもしれないが、日本国憲法のもと では主権は国民にある。行政作用法の規定を空自としたままの組織法令は、憲法構造 の転換に適合するものではない。こうした基本的間題を指摘しておいたうえで、だか ら今日でも、「官の支配」がそのまま継続しているというつもりはない。むしろ問題 は、こうした省庁設置法令の規定方式が、行政作用法に根拠のないときに「法律上の 根拠」とされるとともに、包括的な規定方式となっているからこそ、目標設定が現状 妥協的になりがちなことである。 =============================================================== [22-6]inakawaiizo語録より:地方分権化後の大学像 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/4605//gaku/s-ina4.htm -------------------------------------------------------------- Yahoo! JAPAN 掲示板 ホーム>教育>入学試験や各種資格>全般>国立大の独立行政法人化! http://messages1.yahoo.co.jp/bbs?.mm=ED&board=1086166&tid=9qna9bga4nfhna99tc0afka1bfm2bda1aa&sid=1086166&action=m&mid=1394 (2000.3.27 inakawaiizo) 「地方国立のあるべき姿」ですが、私は以下のように考えています。 この前提として、「地方分権化を促進すべき」と云う考え方に立っています。 中央集権化と地方分権化については多くの論議があると思いますが、日本の現状は 少し中央集権化が行き過ぎていると思っています。 なにもありませんと書きにくいので、モデル県として P県人口: 80万人 (日本の下位県) P県人口密度: 160人/Km2 (日本の平均の半分) 主要都市:A市(22万人)、B市(12万人)、C市とD市(各6万人)、E市とF市 (各4万人)を想定します。 P県の中心となる地方国立は 本校(B市)、分校(A、C、D、E、F市)になります。 また、分野としては、 X群:文学系(哲学、歴史学、文学、人文地理学) 理学系(数学、物理、化学、生物、自然地理学+地学) スポーツ、音楽、美術 医学 Y群:農学系、工学系、法学系、経済系、その他実学系 とします。X群は中学校の教科と医学です。 文化と思想の生長を考えますと、私はX群は大変重要と思っています。私のところに も多くの若いエンジニアがきますが、バランスがとれている人はどうも文学や音楽、 美術に高い興味をもっています。 この証明は私にはできませんが、エンジニアのバランス感覚に芸術は大きく作用し ている、と思えます。 また、スポーツと芸術のない生活を考えたくありません。 x群は本校にあるべきと考えます。地方国立の場合、スタート時には、このX群は学 部と修士(医学は博士?)で良いと思います。 さらに、この本校に、ELさんがいわれる科学高校を付設すると楽しいと思いますし 、このX群のある分野の研究所や博士課程を持つのも地方分権化に合致します。 それから、おわかりのように、このX群は市場競争になじみません。 この群については、今以上の公的補助を要求すべきと思います。 つぎにY群ですが、これは地域の実状に会わせれば良いと思います。 農学はE市の分校に学部と修士を持っても良いし、本校にあっても良いと思います。 ただし多くの場合、P県同様に企業の活性が不十分ですので、これを促進するために、 法学、商学、情報学を設置するべきと思います。 このY群は本来市場競争によるべきと考えますが、ここまで弱体化した地方に今それ を求めるのは無理ですから、10年か20年の公的補助は必要と考えます。 それから、全分校には2年制の教養課程を置き、ここの修了者で希望するものは本 校に編入する制度があると良いと思います。さらに、各分校には、今専門学校にある コースをどんどん置くとともに、高校中退者用コース、一般向けの教養コースがあれ ばさらに楽しいと思います。なお、これら分校のコースの設置、廃止は市場原理で良 いと思います。 この形態は米国のコミュニティーカレッジとほとんど同じです。したがって入学は 原則無試験ですが、付設される4年制学部コースについて入学試験をします。 この観点からみますと独立法人化には魅力を感じるのです。 ------------------ 私の場合、地方分権というか地方の確立が先で、次がその中心として地方国立で、 その次が国立大学の独立法人化です。 まずなぜ地方分権化かと言いますと、この20年位前から、各県は東京事務所を中 心に活発に企業誘致をしています。 例えば、工業団地を作るからそこに進出して欲しいとか、リゾートゾーンを作った から、従業員の旅行先にして欲しい、とかです。 これは、本社の総務からいろいろの部署を経由して私のところにもきました。 この数は10〜20県です。(もっと多いかも知れません。) なぜこう一度に各県が同じ行動をとるのか興味を持ちましてききますと、この計画 の中心者は各県に霞ヶ関から派遣されている役人なのです。 要は、各県の実状とは別に各種計画が霞ヶ関で計画され、その計画に従い各県が行 動をするのです。一度に同じこと(工業団地、リゾート計画)をされても、企業は 応えられません。 また、各県は県立美術館や音楽ホールを作りはじめ、各地方市は郷土資料館や郷土 博物館を作りはじめました。 私には、なぜこれらを地方国立に設置しないのか不思議でした。外側は役人が作れ ますが、それ以上に中身の人が必要ではないのか、と思っていました。 また、地方の環境保護運動や原子力反対運動も東京の人が中心で地方の人は従でし た。(これは最近地方の人が中心になり始めています。) 要は、外側はほとんど東京の指示により作られ、それに反対するのも東京の人とう いう構図かおかしい、地方のことは地方にもっと任せるべきと思っています。 では、その地方(県)で地方の実状を一番調べられるところは、と考えると地方国 立が出てくるのです。 で、機会があるごとに地方国立の工学系に行ったり、その先生がたと話したりしま したが、先に書いたとおり運用が霞ヶ関に縛られて、ガチガチに保守的なのです。 そのうち、地方にボコボコ公立大学や私立大学ができ始めました。 この公立私立大学が元からある地方国立と強く連携されればそれで良いと思います が、どうもそうではなさそうだ、と思っています。有名私立大学の地方分校はどうし ても地方国立より本部校との絆を強くもつし、公立大学はその設置の支援をした有名 国立大学の傘下校になりそうに思えます。 これは、逆に大学を経由しての地方(県)の分断化に思えるのです。 でも、中心となるべき地方国立には自由がありません。 東大も地方国立も一律に入学定員を削減する方法は変と思いませんか? 入学定員を削減した横で、公立大学を作っているのですよ。 これ税金の無駄使いです。 それから、地方国立の改革は文部省主導でなく、地方国立大学と県民主導になって 欲しい。 そのために、有力国立大学の人は、是非是非かれらに知恵とアイディアと方法論を 提供して欲しい。 ことに、・・・さんをはじめとした旧帝大の人は、地方の実状を調べ、理解し、 彼らをサポートして欲しい。 そうでないと、また霞ヶ関主導による中身のない組織ができてしまう。 --inakawaiizo------------------------------------------------------------ #言うまでもないが、inakawaiizo 氏のいう独立行政法人化とは、大学セクタが 国から独立するという意味であって、通則法+調整法の独立行政法人化では全くな い。 ====================================================================== ◆国立大学独立行政法人化問題サイトの入り口 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/ ====================================================================== 発行者: 辻下 徹 homepage: homepage: http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/tjst/ e-mail: tujisita@geocities.co.jp 総目次: http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html 登録・解除手続き http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/ 発行部数 952(2000.9.11現在) 内訳:Mag2:552 / CocodeMail:312 / Pubzine:33 /Macky!:26 / emaga:21 / melma:8 その他直送 約 200 /ダイジェスト版直送 約 2000 ===================================================================== End of Weekly Reports No.22 2000-9-11 **この週報は発行者の個人的な意思で行っています** ===================================================================