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国立大学独立行政法人化問題 週報 Weekly Reports  No.33  2000.12.22 Ver 1.0

独立行政法人化問題 週報 Weekly Reports No.33 2000.12.22 Ver. 1.0 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/wr-33-00c22.html (ミラーサイト http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-33-00c22.html) 総目次:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html ===【発行の意図】=========================================================== 国立大学の独立行政法人化は、産業活性化の即効的方策として、また、行政改革の成 果の証として、実施へ強い政治的圧力が掛かっています。しかし、長期的には日本社 会の研究・教育環境に禍根を残すことは広く認識されていますし、高等教育の機会均 等が大きく損なわれことも予想されています。多くの国民に長期的に重大な影響を与 える可能性がある制度変更について、国民に十分な説明なしに当事者が水面下で事を 進めるようなことはすべきではありません。問題の核心を理解して頂き、真の解決を 広く考えてもらうことを願って発行者個人の責任で発行しています。ご意見や提言な どがあれば発行者にお寄せください。  同じ趣旨の、独立行政法人化問題の頁もあります: http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/ ===【目次】================================================================= [33-0](発行者)審議会化が進行する調査検討会議 不毛な法人化論議をやめ国際水準の大学運営を模索すべきだ。 [33-1] 国立大学協会設置形態検討特別委員会議事録より  調査検討会議についての阿部座長の印象。法人化についてのまとめ。 [33-2] 独立行政法人化調査検討会議資料より 文部省が「主な意見と論点」を作成し12月14日の組織業務委員会で配付。  目標評価委員会で12月13日に配付された委員の意見書より:堀田凱樹氏の意見書 [33-3]科学技術基本計画への生物科学学会連合からの意見書 基盤研究費の削減を危惧する生物系諸団体の意見書 [33-4]独立行政法人化反対首都圏ネット「定員外職員問題ページ>」 アウトソーシングで増加する大学定員外職員が直面する諸問題を扱うサイト [33-5]日経新聞特集「教育を問う」の意見募集に発行者が出したもの  大学の使命は有能な人材を製造するのではなく有能な市民を育てることにある。 [33-6]浜名 篤氏「私立大学の立場から見た「国立大学の独立行政法人」問題」 大学に対する“公的資源貧困”問題と“独法化”議論との混同の危険性を指摘。 [33-7]蔵原清人氏「21世紀の大学改革をどうすすめるか」より 政府の高等教育政策が国際世論にも日本の世論にも反していることを指摘。 [33-8]紺谷友昭氏(コラムニスト)「地方国立大学の充実が先決だ」 学生が払う高い学費に見合う教育が行われていないと指摘し、大学入試の改善、大 学卒業資格試験、教授資格試験などを提案 [33-9]Academia e-Network のホームページ(建設中)のURL ===【本文】================================================================== ■意見・感想などを歓迎します。内容の間違いなどがあれば指摘してください。・・・・ の部分は、ウェブ版の方を見てください。「#」以下は発行者のコメントです。 ====================================================================== [33-0](発行者)審議会化が進行する調査検討会議 調査検討会議の議事録・配付資料は雪だるまのように増殖している。議論は、法人 格の与え方、中期目標・中期計画の内容、教職員の身分、国立学校特別会計の見直し 等の、独立行政法人化の主要検討事項の技術的検討に踏み込み始めている。膨大な議 事録にある諸意見の中で文部省の最終案に「反映」されていくものはどの程度なのか? 大局的な問題についての意見は対立し収束する気配はないし、委員の中には文部省以 上の独立行政法人化推進の意見の方も居る。文部省が大局に関する意見など気にせず 細部の具体的意見だけ適当に取り入れて望みの最終案を作る準備が整ったと思われる。 実際、12月13日の組織業務委員会で文部省が配付した「主な意見と論点」 [33-2-1]では、「独立行政法人化後の運営組織の基本的な考え方」という見出の下で 主な問題群に関する意見が呈示されているが、独立行政法人化を前提としない意見は 記載されていない。調査検討会議を審議会化する意図は明白になったと言えるだろう。 国立大学協会の6月総会で、全学長は、調査検討会議の審議会的形骸化は許さない ことを前提として会議参加を認めた。その前提が崩れつつある現在、国立大学協会は 調査検討会議への参加協力中止の議論を迅速に開始すべきである。同時に不毛な設置 形態論議をやめ、国際水準の大学運営の方向を指し示し、画一的な前時代的大学運営 体制への移行がこれ以上進行することを食い止めることが国立大学協会の急務ではな いか。その取り組みこそが、日本社会の一人ひとりからの信頼を大学が得る第一歩と なるのではないか。 ============================================================================ [33-1] 国立大学協会設置形態検討特別委員会 [33-1-1]第6回(国立大学協会)設置形態検討特別委員会(議事の概要−案) http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/m121212-13.htm 「阿部座長より,次のような(組織業務)委員会の印象が述べられた。  全くのフリートーキングなので何の結論も出ていない。委員会では,私学関係者か らは国立である以上政府の関与は当然で,国立大学が更なる自由を要求するならば, 学校法人化し,私学化すべきである,という強い意見があった。現在,このような二 者択一的な意見が私学関係者の間では広く流布している。  前回も報告した通り,法人の単位,法人組織と大学組織の関係,経営と教学の関係 など,随分議論になっているが,私どもは基本的には第1常置委員会の中間報告(昨 年9月7日)に立脚して対応しているが,委員会で様々なクリティカルな議論が行わ れているので,国大協としても更に勉強する必要がある。特に学校教育法など,現在 様々な法律があるが,今後どの法律を活かし,どの法律を変えざるを得ないか,とい う問題が出て来ようが,中間報告で必ずしも詰めていない部分もあるし,また「東京 大学報告書」(10月3日)は少し違った観点があるので,その辺をさらに勉強して おく,というのが「設置形態検討特別委員会 専門委員会A(法人の基本)」の基本 スタンスである。」 ============================================================================ [33-1-2]「国立大学法人法(仮称)」の総論的問題(2000.11.29) (国立大学協会設置形態検討特別委員会配布資料) http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/m121212-12.htm #国大の法人化の方法の検討。間接設置方式は、教学とは独立した理事会に政府関係 者が就任することが危惧されている。 ---------------------------------------------------------------------------- ○法人の設立者、大学の設置者 (現行の国立大学) 国が、その施設として国立大学を設置(教育基本法6条1項、学校教育法2条、国立 学校設置法1条2条)。 (私立大学の場合) 私人が、所轄庁から寄附行為の認可を受けて学校法人を設立し(私立学校法30条3 1条)、その学校法人が所轄庁の認可を受けて私立大学を設置する(学教2条4条1 項)。 (法人化された国立大学の場合) 直接設置方式=国が法人を設立し、同時に大学を設置する(東大研究会案)。 「この法律により、法人格を有するものとして国立大学を設置する。」 間接設置方式=国が法人を設立し、その法人が国立大学を設置する (独法型。例えば、独立行政法人国立博物館法3条)。 ※直接設置方式は、「すでにある国立大学が法人格を取得する」という観念に近い。 経営と教学の一致に馴染みやすい。 ○法人と大学との関係 (経営と教学の一致) 法人=大学が、経営と教育研究を行う(法人の長=学長)。 (経営と教学の分離) 法人は大学を経営し、大学は教育研究に当たる(法人の長⇔学長)。 ※一致方式は現行に近い。分離方式は私立大学型(独法型)。 ○国立大学法人法の規定範囲 (包括規定方式=東大研究会案) この法律一本で、国立大学に共通する事項を規定し、全国立大学に法人格を付与す る。大学ごとに個別に必要な事項は、政令及び学内規則で定める。 (個別法方式=独法) この法律は、国立大学に共通な事項を定める通則法とし、これとは別に各国立大学 ごとに名称、目的、業務等を「個別法」で定めて法人格を付与する。 ※理論的にはどちらも可能。ほとんど同じような内容の法律を沢山作ることの是非。 個々の大学の設置を法律で保障することに意味を認めるか。 ○国立大学法人法と独立行政法人通則法との関係 (形式的に別個独立の法体系とする方式) (何らかの関連をつける方式) ※理論的にはどちらも可能。入口で議論すべき問題か。 ---------------------------------------------------------------------------- [33-2] 独立行政法人化調査検討会議 [33-2-1]12月14日の第6回調査検討会議組織業務委員会で配付された 「運営組織の在り方に関する主な意見と論点(例(修正版)」 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/s121218-02.pdf では、「独立行政法人化後の運営組織の基本的な考え方」という項目で「主な意見」 が整理されている。当然のことながら、独立行政法人化を前提としない意見は掲載さ れていないため国立大学協会の意見はほとんど反映されていない。国立大学協会関係 の出席者はこの文書を一体どのように見ているのか、考えをお聞きしたい。 (※印は事務局による見出しだが、これは文部省が主張している「大学改革」の主要 項目とほぼ重なる。) (1)独立行政法人化後の運営組織の基本的な考え方としては、教学と経営を一体と するかどうかという問題であり、しっかりと議論すべきである。 (2)独立行政法人化は、国立大学の自立性、自己責任の拡大という観点から実現さ れるべきだが、その場合、役員組織を学長や副学長等が担うことにより、法人と大学 の一体性が保たれることが是非必要である。 ※教学と経営(マネジメント) (3)教員組織と事務組織あるいは教育研究とマネジメント経営)が、運営組織面で、 大学運営の両輪として明確に位置づけられることが必要である。 ※教員組織と事務組織 (4)我が国では、従来「大学の自治」は、いわゆる教授会の自治、という形で捉え られてきたが、果たして、そのような組織の在り方が良かったのか検討すべきである。 (5)学問の自由は、基本的に上下の命令系統の組織では維持されない性質を持って おり、したがって、学問の自由、大学の自治を考える際には、合議制という、横の関 係の人間が議論し合って物事を決めていく要素が不可欠である。ただし、大学運営の 全てについて合議制によって決めればよいということではなく合議制の対象を何に限 定するか議論すべきである ※合議制の原則 (6)教員集団は必ずしも固定的ではなく、極めて流動的な分野もあり、そのような 教員集団の合議制によって、中長期的な観点に立った合理的な議論大学運営が可能か どうか疑問である (7)大学の自主性・自立性を確保することも重要だが、大学の教育研究、管理運営、 社会貢献など、大学運営の全てにわたって教員のみの合議制で決定していくことは、 不可能である。特に、独立行政法人化後の大学運営では、従来以上に様々な問題に対 応して、組織上の機能分化を明確にしていくことが必要である。 ※組織上の機能分化 (8)独立行政法人化後の大学に求められているのは、学内のコンセンサスの形成と 機能的な役割分担である。コンセンサスの形成に当たっては、合議制の会議を活用す ることもあり得るが、いったん決まったことや、学長、学部長等に権限が付与された ことは任せるという機能分担をしないと、大きな組織の中で機動的な運営を行うこと は難しい。 ※学内のコンセンサスの形成 ※機能的な役割分担 ※機動的な運営 (9)新たに法人の役員が置かれること等も踏まえ、大学の各運営組織の権限の配分、 役割の分担を、明確に整理する必要がある。 ※権限配分の明確化 (10)独立行政法人化により国から大学に対して新たに権限が委任されるとともに、 その業務運営が国から評価されることを踏まえ、大学を円滑に運営していくための新 たな運営組織が必要である。 ※権限の拡大への対応 (11)独立行政法人化により各大学の運営の裁量が拡大した後、大学が光り輝かない 状態にならないよう、チェック機能を強化する必要がある。そのチェック機能は、市 場メカニズムに委ねるだけでは不十分であり、運営諮問会議も含めて、外部者による 様々なチェックの仕組みが必要である。 ※チェック機能の強化 (12)学外者の意見を大学運営により強く反映させていく必要があるが、大学運営の 中の、どの段階で、どの組織に、どのように反映させていくのか、など、全体として の検討・整理が必要である。 ※外部者の意見の反映 (13)学外者の意見を大学運営に反映させていくことは非常に重要であり、是非実現 すべきであるが、その前提として、教員人事など大学として失ってはならないものを どのように見定めておくかという点が重要である。 (14)学外者の意見は、これからもますます大学運営に採り入れなければいけないが、 大学の自主性・自立性の確保をまず基本として考えるべきである。 ※大学の自主性・自立性 (15)納税者の立場から見ると確かに学問の自由大学の自治は非常に大事であるが野 放しの自由はあり得ず大学の自治教授会の自治、学部の自治には一定の制限を加える べきである。すなわち、大学の自治は、社会の要請、学問の進歩にブレーキをかける ものであってはならないし、学長のリーダーシップを縛るものであってはならない。 開かれた大学自治であるべきである。 ※学長のリーダーシップ ※開かれた大学自治 ============================================================================ [33-2-2]調査検討会議の目標評価委員会では、12月13日に、各委員からの意見を 署名付きで資料「各委員からお寄せいただいた中期目標・中期計画についてのご意見」 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/k121212-17.htm が配付されたが、同時に、事務局が「整理した」資料「各委員からお寄せいただいた 中期目標・中期計画についてのご意見(概要)」 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/k121212-16.htm も配付された。読者はこの2者を比較して頂きたい。種々の意見を混ぜて羅列しメッ セージのない資料を作成する技術には驚嘆するが、委員に対して失礼ではないのか。 ---------------------------------------------------------------------------- [33-2-2-1]国立遺伝学研究所の堀田凱樹委員の意見書 #諸委員の意見の中で、最も内容のある意見書であった。 「本意見は、大学共同利用機関所長懇談会のもとに置かれた「法人像検討部会B(目 標・計画・評価)」における検討を踏まえつつ、委員の堀田が個人としてまとめたも のである。現時点では個々の研究機関に固有な問題の議論は時期尚早であると考える ので、大学共同利用機関全体の立場から重要と思われる点を以下に指摘したい。 1.総論  大学および大学共同利用機関の様な組織が将来像・目標・目的を意識して計画を立 て、教育研究を実施し、達成度を評価して、常にその改善を目指すことは当然であり、 われわれも日頃から行なっている事である。その意味で、今後の制度設計に独立行政 法人に関する中期目標・中期計画・評価とそれにもとづく資源配分の概念を応用する 道はありうる。しかし、繰返し指摘されているように、企画と実施を分離する独立行 政法人概念は学術研究の本質にそぐわないものであり、高等教育・学術研究の向上と 改善という本来の目的に合致した制度設計はかなり難しい。アカウンタビリティーの 重要性は明らかであるが、「役に立つ」・「費用対効果比」など一見政治家や市井に 分かりやすい基準が性急に適用されれば、戦後営々として積み上げてきてようやく世 界レベルに達したわが国の学術研究体制の崩壊につながりかねない。「人類の福祉に 役だっている研究成果」の多くがはじめはその結果とは無縁な研究者個人の探求心に 由来するという事実を考えると、その種の「未来への投資」は国の支援で行なわれる 必要があり、その観点を見失わない制度設計が重要である。 2. 中期目標・中期計画の意義、課題、留意点など (1) 中期目標の自主的な設定の必要性。  大学共同利用機関のような機構ではその設立の目的・理念・研究者コミュニティー から期待されている長期的な機能などが機関ごとに決まっており、外部委員を多数含 む「運営協議員会」や「各種の利用委員会」においてそれに向けた「将来計画」や 「プロジェクト計画」が決定されている。また計画は、世界の動向や研究環境変化に 敏感に即応して常時最適化していく必要があり、その点でも既に現在の「評議員会」・ 「運営協議員会」・「各種利用委員会」の制度は適切に機能している。ここで通則法 に言うように、「中期目標の大臣による指示」と「中期計画の大臣による承認」とい う制度の導入を行なえば、ユーザーコミュニティーとの密接な対応や、臨機応変の実 施計画変更などの自由が奪われることが危惧される。したがって、中期目標と中期計 画という制度を導入するとしたら、実質的にはいずれも機関の自主性を発揮できる制 度にしなければならない。 (2) 計画やその達成度の数値化の困難性  独立行政法人では計画や評価の数値化が要求されているが、この考え方を学術研究 の現場に一般的に適用することは出来ない。一部のプロジェクト事業など数値目標を 設定したり数値的に達成度を評価できる場合もないわけではないが、多くの基盤的研 究は計画にせよ成果にせよ数値化は困難である。もし無理に適用すると、些末な事を 書きつらねて適当に切り抜けるという悪弊を蔓延させかねない。  ライフサイエンスの場合などでは、その研究成果は論文発表などでかなり評価でき るが、その場合でも論文数や学会発表件数など数値化しやすいパラメーターのみでの 評価は適切でない。引用回数などはある程度の客観性があるが、それでも学問の分野 による違いや流行り廃りに偏った判定になる。言い換えると達成度などはスカラー量 ではなくベクトル的であり、一元的な判断は出来ないのが特に最先端研究の特徴であ る。(独創性の高い研究は初めからは認められない)。 (3) 評価のむずかしさと、資源配分に絡めることの危険性とその回避法。  上述のように、学術研究の評価は多次元的でなければならず、通則法でいうような 意味での評価を客観的に行なうことは容易なことではないし、評価者によって多様に 意見が分かれるという性質のものである。(その意味では現在「大学評価・学位授与 機構」で考えられている評価法が古い「学部」的な分類に基づいている事は極めて危 険なことで憂慮される)。さらにその評価が短絡的に次期の資源配分に反映されると なると、研究者は生きていくためにどんな評価者にもまあまあの点をつけてもらえる 近視眼的な短期決着型の研究にのみ集中するようになり、わが国の学術研究をますま す後追い的なものとなってしまう危険性を持っている。  しかし一方で、国家予算を得て行なう研究が評価を受けるのは当然であり、予算が 学術研究の向上により良く使われるように制度設計する必要もある。このすり合わせ がうまくできるか否かがポイントであろう。一つの可能性としては、既存の技術や知 識の応用であるために近未来の発展が見通せるプロジェクト的かつ数値化しやすい部 分と、発見型・チャレンジ型の未来投資的な基盤的部分の両方を区別して、その両方 をバランスよくサポートできる財政基盤を整備することではなかろうか。 (4) プラス評価とマイナス評価  評価はその結果が次の研究を高めるという風に作用しなければ本来の意味がない。 その点で評価という時、どちらかというと批判的評価・マイナス評価がイメージされ ることは問題である。悪いものを批判して正すということも必要だが、良いものを誉 めて伸ばす方が効果的であることは教育現場では常識である。したがって評価結果の 使い方はプラス指向であるべきである。現在、所長裁量経費という限られた範囲であ るが、その活用にこの考え方を適用している機関は多い。 3.大学共同利用機関の特殊性と目標・計画・評価  既に述べたように大学共同利用機関は「共同利用」という性質上、国立大学とはい くつか異なる特徴を持っている。また、大学共同利用機関は機関ごとに専門性が高く、 一般論として適切な目標・計画・評価の立て方を議論することには無理がある。現在、 所長懇談会のもとで法人像検討部会B(目標・計画・評価)では研究所の専門性にあ わせた検討を行なっているので、その報告がまとまった際には改めてこの委員会に示 したい。ここでは、大学共同利用機関の特殊性とその結果としての検討課題の一部を 参考までにあげておく。 (1) 評議員会・運営協議員会をもつ  共同利用は私立公立を含むすべての大学に解放されており、また実質的には他省庁 の研究機関とも密接な連携を行なっている。そのために、大学共同利用機関の運営方 針・人事などの決定は外部委員を半数含む運営協議員会で行なうこととなっている。 また評議員会は全て外部の学識経験者などから構成され、所長の諮問に答えたり助言 を行ない、また外部評価を行なうなどの機能を有している。このような制度は諸外国 にもないユニークなもので、広く研究者コミュニティーの意見を研究所の運営に反映 させる意味で成功している。仮に法人化が行なわれるとしても、この制度の本質を変 えなければならない理由はないと考えている。  また、研究所によっては外部委員を含む各種の利用委員会、さらに外部のプロジェ クト関連委員会と密接な連絡で運営されているものもある。  内部の意見調整や集約を行なう意味で、教授会議・教授懇談会・所員会議などを持 つ機関も多いが、これらは決定機能は持っていない。 (2) 所長候補者の選考  現在の制度では評議員会が行うこととなっている。多くの場合、運営協議員会など に諮問され、運営協議員会の場で内外の候補者を広く検討し、その結果を評議員会に 上申する。したがって、二段階で外部委員の意見を広く取り入れる方式が定着してい る。その結果、所長は内部の運営についてばかりではなく、外部の研究者コミュニテ ィーに対して責任を持つこととなる。 (3) Multidisciplinary な 研究体制  これは機関ごとにまた専門によってかなり異なるので、一律の議論はできない。し かし、従来からの大学の学部などの縦割りとは全く異なるものとなっている。実際、 私の国立遺伝学研究所では専門分野の当然の要請によって、理学・農学・工学・医学・ 薬学などの出身者が集まっており、理学の中でも生物・物理・情報・化学などの出身 者が一体となって研究を行なっている。このような体制の計画の立て方や成果の評価 には自ずと大学とは異なる視点が必要となろう。(国立大学でも附置研究所などで分 野横断的なものも最近増加しており、同じ問題がある)。 (4) 高度な研究環境の維持とその専門性  現在の大学共同利用機関の研究レベルは世界的に見ても遜色のないものとなってお り、機関によっては世界にもないユニークな機能を備えている。このような高度な研 究環境の維持は、日頃からの大学からの共同利用の要請に応えるためにもひきつづき 維持発展させなければならない。機関によっては大学では持てない大型機器の共同利 用を中心とするものもあるし、ライフサイエンスの場合のようなもっとソフトウェア 的に高度な技術と研究環境を提供するものもある。これら専門ごとの特徴を生かした 目標・計画・評価の仕方の設計は、議論が進むにつれて行なわなければならないと考 えている。その時期になれば大学共同利用機関としての意見を提出したい。 (5) 高度な研究者養成と大学等との人事交流  このような高度な研究環境は次世代の研究者の教育に極めて適切な場でもある。現 在多くの研究所等が、総合研究大学院大学の専攻を引き受けて博士課程大学院生の指 導を行なっている。またその他にも、大学からの委託をうけて受け入れた大学院生の 指導も行なっている。これらの大学院機能の充実をさらにはかることが必要である。 また大学との人事交流も現在活発に行なわれており、仮に法人化する場合にその方向 がさらに推進されるのでないと共同利用機関としての意味が薄れてしまう。また大学 等との「連携大学院」などをさらに推進することが必要で、国立大学に準じて扱われ るという現在の検討方針の中でこの点もぜひ議論を深めて欲しい。 (6) 学術成果の一般への普及と啓蒙活動  特に科学技術が市民の生活に直結するようになってきた現在、市民が正しい判断を しなければならない問題もかなり高度なレベルになってきている。一方、それに見合 う中高等学校教育や大学教育は十分に行なわれているとは言えない。このギャップを 埋める役割の一端も共同利用機関にあるのではないかと考え、科学技術知識の普及や 宣伝活動に努力している研究所も多い。そのような活動をいかに計画して実行し、そ の成果をいかに評価するかなどの点はこれまでの学術機関評価の視点から漏れている ように思える。このような活動を正しく評価できないとそれを担う人材も育たないし、 国民への責務も果たせない。アカウンタビリティーを言う以上、それを積極的に行な う意味も兼ねてこの学術成果普及に国としていかに取り組むのか、その中でわれわれ が何をするべきかなどの基本方針の設定が必要である。今のままではボランティア的 な研究者の活動にとどまり、限定的な成果は得られない。 (7) 研究者コミュニティーへのサービス事業の正しい評価と高度支援体制の必要性  大学共同利用機関はその性格上、多くのサービス的な事業を引き受けている。しか し多くの場合、それを行なうのは研究者であり、研究者はサービスでは評価されず業 績で評価される。このような点は早急に改めないと、サービスの向上が行なえない。 また技術職員など高度な研究支援体制が諸外国に比べてあまりにも貧弱であることも これと関係しており、これを是正しないと研究者が本来の研究に専念できないでいる のが現状である。 ============================================================================ [33-3]科学技術基本計画への生物化学学会連合からの意見書 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1509.html 生物科学学会連合(日本細胞生物学会,日本植物学会,日本植物生理学会,日本進化 学会,日本神経化学会,日本神経科学学会,日本生態学会,日本生物教育学会,日本 生物物理学会,日本生理学会,日本動物学会,日本発生生物学会,日本比較生理生化 学会) 生物科学学会連合世話役学会:(社)日本植物学会 連絡責任者氏名: 専務理事 邑田 仁 職業:東京大学大学院理学系研究科附属植物園 電話番号:03-3814-2625  平成7年に制定された科学技術基本法は,科学技術基本計画に関する第9条2の一 において「研究開発(基礎研究,応用研究および開発研究をいい,技術の開発研究を 含む)の推進に関する総合的な方針を定めるものとする」として,基礎研究の推進を 掲げている.これを受けた現行の科学技術基本計画では,IIIの(3)「基盤的資金 の充実」で,「国立大学や国立試験研究機関における研究者の自主性が重要な基盤的 な研究活動を着実かつ効果的に推進できるよう研究者が経常的に使用できる研究資金 および研究開発施設・設備に係わる経費の充実を図る」と言明している.  しかし,その後も大学の教官当積算公費等に実質的な削減が続いたため,研究推進 上支障が生じるとして,経常的研究を始めとする基盤的研究資金の確保の必要性が強 く指摘された(平成11年6月学術審議会答申).さらに平成11年度からは,国立大学 の講座積算公費が一律に非実験系講座の算定となり,自然科学分野の多くを占める実 験系講座での研究にさらに大きな不安を投げかけることとなった.  今回の科学技術基本計画(案)においてはII-1-1-C「基盤的経費の取り扱い」で, 「(前略)教育研究基盤公費については,教育を推進する経費であるとともに大学の 運営を支えるために必要な経費としての性格を有すること.研究員当積算庁費につい ては,研究機関の行政上の業務遂行に必要な経費としての性格を有することに留意す る」としている.これは,これら基盤的経費に当然に含まれるべき研究に係わる部分 を切り離し,「競争的資金」に振り向けると宣言しているとも受け取れる.もしこれ が本意であれば,すべての科学技術の発展に関与しこれを支えている基礎研究を根底 から覆すものであり,前述の「基本法」の趣旨に逆らうものであると言わざるを得な い.このような表現を改めるとともに,「基本法」に従って,基礎研究を強力に支援 する方策を盛り込んでいただきたい. ============================================================================ [33-4]独立行政法人化反対首都圏ネット「定員外職員問題ページ>」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/teingai-top.html 「定員外職員問題ページの目的  現在、国立大学、大学共同利用機関、高専(以下、「国立大学等」という)で働く 定員外職員(日々雇用職員、時間雇用職員)と委任経理金等採用職員の予算不足を理 由とした待遇引き下げ、雇止め問題が浮上してきています。熊本大学医学部で定員外 職員の賃金切下げが2000年4月1日付で強行されました。 この定員外職員問題ページは、当面の緊急課題である雇用確保に関する情報・資料 を提供するとともに定員外職員問題全体に関わる情報・資料等も提供し、抜本的な解 決策と運動についても研究していきたいと考えます。掲示板を設置し、読者からの情 報・見解・経験等の投稿を掲示します。 なお、このページの中で定員外職員というのは、日々雇用職員と時間雇用職員のこ とです。それ以外の委任経理金等で採用されている職員については、「委任経理金等 採用職員ページ」で取り扱うことにしました。」 ============================================================================ [33-5]日経新聞特集「教育を問う」の意見募集に管理者が出したもの 「日経新聞殿 日本に国際競争力がないのは、高等教育政策が「有能な人材を育てる」ことにしか関 心がなく「有能な市民を育てる」視点が欠けているからではないでしょうか。学生や 大学院生が大学運営に参加することで、大学は活性化すると同時に、市民として自立 する場を学生に提供することになります。市民として自立していない優秀な「人材」 をいくら製造しても仕方ない時代になったのではないでしょうか。 高等教育のグローバルスタンダードであるユネスコの「21世紀の高等教育に向けての 世界宣言:展望と行動 (1998) 」 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/unesco-jp.html に政府はどうして耳を傾けないのでしょうか。高等教育の使命と機能の中の「第1条  教育・訓練・研究遂行の使命」だけを推進し「第2条 倫理的役割、自律性、責任、 および先見的機能」を抑圧するいびつな高等教育政策で、どうやって日本は国際的に 太刀打ちできるというのでしょうか。」 ---------------------------------------------------------------------------- [33-5-1]日経/特集:教育を問う・第2部 教えの衰退(2) ざぶとん争い・「自治」盾に動かぬ大学(12/13) http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt33/20001212eimi137212.html 「日本の大学自治は「学問の自由」を守る歴史でもあった。だがそれは、教官たちに 無条件の特権を与えているわけではない。大学への社会的要請が変わるなか、「自治」 を掲げるならば厳しい自己変革が求められる。  既得権にぶらさがり、競争から逃れ、学内の摩擦回避にきゅうきゅうとする――。 それでは大学は時代の遺物になってしまう。(「教育を問う」取材班) 」 (発行者)「既得権にあぐらをかき競争原理が働いていない」−−大学外からの独立 行政法人化賛成論の論拠はこの一点に集約されるようだ。どの業務にも、それを支え る基盤が必要である。教員の身分保証は質の高い教育研究には不可欠であることにつ いては国際的な共通認識がある。教育研究の基盤を既得権と呼ぶ乱暴な言説を放置す べきではないが、同時に、常勤とほぼ同数の非常勤の高等教育教員が存在する深刻な 問題を放置すべきではない。 ---------------------------------------------------------------------------- [33-5-2]ユネスコ「高等教育教職員の地位に関する勧告1998」より http://zendaikyo.or.jp/daigaku/unescoyaku.htm 45.終身在職権及びそれと同等な適用可能な権利は、学問の自由の主に手続き的な 保護手段のひとつであり、恣意的な決定に対抗するものである。それはまた、個人の 責任を助長し、有能な高等教育教職員を確保するものである。 46.終身在職権及びそれと同等な適用可能な権利を含む専門的職業における雇用保 障は、高等教育や高等教育教職員の利益にとって必要不可欠なものとして確保しなけ ればならない。これは、厳しい評価によって引き続き雇用されている高等教育教職員 が解雇されるのは、その専門的理由でそれなりの過程においてのみであることを保証 するものである。さらにまた、真実の財政的理由からという場合もあり得るが、その ためには、全ての財政的内容が公的調査に対して開示されており、機関が雇用の終了 を防ぐすべての代替手段を尽くしており、雇用の終了のいかなる手続きにおける偏見 をも防ぐ法的な保障が存在していなければならない。終身在職権及びそれと同等な適 用可能な権利は、高等教育機関やその内部組織、又は制度に変化が生じた場合にもで きる限り確保されなければならないものであり、妥当な使用期間が終了した後、教育 及び/又は学問及び/又は研究において明白に規定された、学術団体の満足のいくよう な目標基準にかなう者、及び/又はその高等教育機関の満足のいくエクステンション ワークにおいて示された基準に達した者に与えられなければならない。 ============================================================================ [33-6]浜名 篤氏「私立大学の立場から見た「国立大学の独立行政法人」問題」 アルカディア学報No 4 (2000.8.23) http://www3.ocn.ne.jp/‾riihe/arcadia/arcadia4.html 浜名氏は、高等教育に対する“公的資源貧困”問題と“独立行政法人化”議論との混 同の危険性を指摘している。「我が国における高等教育に対する公的投資の貧困さは、 国立・私立共通の根本問題であり、市場原理の適用が資源の貧困さをカバーするかの 風潮(多少の活性化効果は期待できるとしても)には疑問を感じざるを得ない。民間 からの寄付金促進も含め、国立・私立の利害は原則的には対立しないともいえる。従っ て、この“独立行政法人”の議論によって主要先進国の中で最低水準の高等教育投資 の問題性が、“効率化”や“市場原理”の主張によって隠蔽されるのが最悪の事態で ある。」 #この認識を国立・公立・私立が大同団結する足場とすることはできないのか。 ============================================================================ [33-7]蔵原清人氏「21世紀の大学改革をどうすすめるか」より http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00b/02-kurahara.html 「2 政府・財界の政策はなにが問題か 現在の政府の政策は、大学教職員の期待と相容れないし、学生や父母、国民の要求 とも相容れない。さらに憲法・教育基本法、ユネスコ宣言と対立するものである。 (i)学術文化が経済にとって重要であるにとどまらず、人類の福祉と進歩、民主主義 と平和、地球環境の持続的発展にとって重要であるという視点が欠落している。今日 の社会、人類が直面している問題は科学的な調査研究なしには解決できないものばか りである。 (ii)21世紀の国際社会を支配する原理は、競争ではない。すでに東アジアでは平和 の流れが大きく動いている。それは相互理解と尊重、協力と共同を進めることであり、 多文化社会、平和と民主主義を発展させる社会をめざすことである。日本のような先 進諸国はこの面での貢献を世界に対して行わなければならない。政府・財界の政策は このようなユネスコの理想、日本国憲法・教育基本法のめざす社会の理想を無視して いる。 (iii)学術文化は、真理を探究するものだからこそ政治などから独立し、学問の自由 が保障され大学の自治が保障されなければ健全な発展はできないという認識に欠ける。 学術文化の発展のために研究者、大学教職員のもつ崇高な責務を無視し、政策遂行の 単なる要員ととらえている。 (iv)大学や教育研究は長期にわたる努力の積み重ねの中で結果がもたらされるもので あることを無視し、資本の投下に見合う利益の回収という資本主義的「効率化」の視 点からのみとらえている。したがって必要な部署・課題に手厚く人員や予算を配分す るというのではなく、評価し、競争させてできるだけ少ない人員で「効果」をあげる という政策となる。これでは学問の後継者を育てることはできない。 (v)学術文化の発展、高等教育の普及は国民(市民)の権利を保障するものであり、 学習や研究は人間の本性にねざしたものという事実を否定している。大学審は大学進 学も2009年には希望者が全員入学できるというが、進学率は60%弱を想定して いるにすぎない。社会を担う国民が高等教育を受ければ社会の発展に大きく貢献でき る。アメリカは全員入学をめざし、韓国は現在すでに進学率60%になっているとい う。」 ============================================================================ [33-8]紺谷友昭氏(コラムニスト)「地方国立大学の充実が先決だ」 (朝日新聞論壇2000.12.21)より http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1524.html 「... ところが、いま国家公務員削減の格好の標的として、定員十三万人あまりの 国立大 学が狙われ、独立法人にされようとしている。そうなれば、授業料引き 上げ、教職 員の削減が行われかねない。大都市部にある旧帝国大学などはとも かく、現在でも 予算配分で冷遇されている地方大学は、さらに不利な立場にお かれ、衰退するので はないか。そうした「改革」では、日本の活力の大きな源泉を涸れさせることになろ う。  政府与党の高等教育対策は卑小なものだった。一九七〇年代から、国立大学 授業 料、入学金を毎年のように引き上げ、九九年度は入学金二十七万五千円、 授業料年 額四十七万八千八百円。私が入学した五八年度は、公立高校授業料の 一・二五倍だっ たのが、現在は四・四三倍だ。これ以上高くなれば、家庭が貧 しくとも県内の国立 大学で学ぶ道が閉ざされることになる。 ...  私の出た学部の前身の旧制高校は、熱心に誘致され、一九二〇年に学校敷地は県の 提供、校舎も県の負担と県民、山形市民の多額の寄付によって建設された。他の県の 国立大学も、同じような歴史をもっているにちがいない。戦後、地方大学になってか らも、卒業生の社会的貢献度は、旧帝大の多くなどと、それほど変わらないのではな いか。どの大学に入るかは家庭環境が作用しているようで、追跡調査してみれば、興 味深い結果が出るだろう。 ...  こうした歴史をもつ各地方大学は、国民の共有財産であり、時々の政府与党の思惑 によって動かされるのは耐えがたい。これからは、中央政府から各県へ大幅に財源を 委譲して、県と地方大学の結合度を高めることによって、大学の独立性を確保し、公 立高校に近い学費で学べる態勢を確立すべきだ。伝統に根ざした特色ある学部をさら に発展させるとともに、不足な学部を新設して総合大学にすれば、県内で伸びやかに 育って多面的な能力を発揮する人材も増える。これこそが、行政改革の本旨にかない、 国民の利益に合致する方向である。  姑息な法人化などよりも、国会と政府が当面なすべきことは、日本の若者が大変な 自己負担によって大学に進むにもかかわらず、卒業生の学力や教養が外国人を驚かせ るほど低いという、巨大な無駄をはぶくことだ。  それには、高校卒業資格試験のような制度をつくって、国立大学入学の基礎条件に するとともに、各学科にわたる大学卒業資格制度を設けて、入学後の成績判定が極端 に甘い大学教育の改善策にしてはどうか。当面、それを受験するのも、その資格を職 員採用などの条件にするのも、自由にすればよい。  多分に縁故や偶然的事情がかかわって採用される大学教員にも、社会的審査の目が 必要だ。社会的審査なくして採用された人ほど、三、四十年も同じ大学を離れず、そ の無能さが大学の退廃の要因になっている。ドイツやフランスのような教授資格試験 を実施すべきだ。そして、これらの資格試験は高校、大学、大学院を卒業しなくても 受験できるようにすべきだ。  それらの資格試験に学歴なしで合格する人は、人間の資質に対する信頼をよみがえ らせ、現在の学歴社会も仮の姿であることを明らかにしていくと思う。」 ============================================================================ [33-9]Academiae-Network のホームページ(建設中)のURL http://www.ac-net.org 広い意味での学術活動・教育活動を紹介しています。ご存知のサイト・文献・集会等 の情報があれば発行者までお寄せください。主要な掲示板で議論されている話題など も紹介します。 ============================================================================ ◆国立大学独立行政法人化問題サイトの入り口 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/ ====================================================================== 発行者: 辻下 徹 homepage:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/tjst/ e-mail: tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp 総目次: http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html 登録 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/mg2.html 発行部数 1068 (2000.12.22現在) 内訳:Mag2:600 / CocodeMail:338 / Pubzine:56 /Macky!:39 / emaga:21 / melma:14 ダイジェスト版 約 2500 ===================================================================== End of Weekly Reports No.33 2000-12-22 **この週報は発行者の個人的な意思で行っています** ===================================================================