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国立大学独立行政法人化問題週報


Weekly Reports  No.103 2002.1.27 Ver 1
http://ac-net.org/wr/wr-103.html
総目次:http://ac-net.org/wr/all.html
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			       目   次
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[103-kd] 国公立大学通信 2003-01-26:臨時国立大学協会総会開催に向けて  
 [103-kd-1] 文科省発表(01-20) 第156回国会(常会)提出予定法律案について
 [103-kd-2] 資料:「国立学校設置法に規定する国立学校の今後の組織形態について」
 [103-kd-3] ページ紹介:国立大学法人法案の行方
 [103-kd-4] 首都圏ネット事務局声明(1/20):国立大学法人法案をめぐる現情勢と課題
 [103-kd-5] 国立大学の独法化・再編統合に反対する交流討論・決起集会
 [103-kd-6] 萩尾健太(弁護士)「国立大学法人化の教育公務員特例法への影響」1/13
 [103-kd-7] (朝日1/21)「国立大法人、学長は1期最長6年に 文科省、概要固める」
 [103-kd-8] (時事1/23)「大学教員望ましい」を削除=学長資格で大学設置基準改定
 [103-kd-9] 公立大学協会法人化問題特別委員会「公立大学法人化への取り組み(報告)」
 [103-kd-10] 池澤夏樹「日本の停滞、日本の迷い」2003-01-21
 [103-kd-11] 全国ネット抗議書(1/22):朝日新聞社説(1/16)における誤報について
[103-acd] 研究問題
 [103-acd-1] 日本学術会議の在り方に関する専門調査会(第12回2002-12-19)議事次第
[103-uni] 大学の動き
 [103-univ-1] 鹿児島経済大学訴訟:原告側意見書
  [103-univ-1-1] 南日本新聞:
[103-ikn] 意見
 [103-ikn-1] 随研究室(横浜市立大学)サイト:「大学改革の現場から」
 [103-ikn-2] 土居丈朗(財務総合政策研究所)「経済学の論理・霞ヶ関の論理」
[103-mda] メディア問題
 [103-mda-1] Publicity No 500(2003/1/18): 「疑う」力は「信じる」力
 [103-mda-2] 「マスメディアの諸問題」のページ新設
 [103-mda-3] インターネットメディア「My News」の趣旨説明より
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[103-kd] 臨時国立大学協会総会開催に向けて  
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国立学校関係者 各位

第156回通常国会開催日1月20日に,文部科学省関係の提出予定法案が公表され
ました。件名「国立大学法人法案(仮称)」の要旨[103-kd-1]は、3年余にわた
る大学社会の検討の大前提「国立大学が法人格を取得する」が「国立大学法人
が国立大学を設置する」と変化したことを明記しています。当事者である国立
大学のコンセンサスがない法案になったことについて、1月21日の朝日新聞の
記事はなぜか触れていません[103-kd-7]。

それどころか、朝日新聞は1月16日の社説で「来年4月から、国立大学が独立行
政法人化される」とまで書いています。この誤報を訂正するよう独立行政法人
阻止全国ネットワークは申し入れています[103-kd-11]。これを無視すれば、
朝日新聞は意図的に文部科学省による世論操作に加担してきたことを認めるこ
とになりますので、回答が注目されます。


さて、国立大学が関与する今後の日程は以下のようになっています。

  1月31日(金):国大協「国立大学法人化特別委員会」
  2月10日(月):(文部科学省召集)学長会議または懇談会
  2月20日(木):国大協「国立大学法人化特別委員会」

各教授会は部局長に、評議会は学長に、説明を求め、学長は文部科学省に法案
を直ちに公表することを求めて頂きたいと思います。それと同時に、法案につ
いて国立大学の態度を明確にすべく、臨時国立大学協会総会の開催するよう働
きかけて頂きたいと思います(*1)。

  (*1)12大学から要求があれば開催されます:

   国立大学協会会則第11条 2 会員総数の8分の1以上の大学から,議題
   を示して要求があったときは,会長は,臨時総会を招集しなければならな
   い。  http://www.kokudaikyo.gr.jp/soshiki/kaisoku.html )

また、国立大学法人化の国会における審議に対し、大学関係者が当事者として
未来の日本社会に対し責任ある姿勢・行動・発言は何か、を検討する集会が2 
月1日に東大で開催されます[103-kd-5]。関東地方の方の参加を呼びかけたい
と思います。


なお、弁護士の萩尾氏が、「国立大学教職員の非公務員化」と教育公務員特例
法との関係を分析しネットで公開されました[103-kd-6]ので紹介します。読売
新聞社長などの「有識者」が目の敵にしている教育公務員特例法の役割がどう
いうものか、そして、「非公務員化」等によりそれが失効することがどういう
ことか、ぜひ、ご一読ください。


ところで、作家の池澤夏樹氏がメールマガジン「新世紀へようこそ」の今週号
[103-kd-10]で、今の日本の停滞について考察し、「政権の担当者から一般市
民まで、今の時代に生きているという当事者意識が薄い」と指摘しています。
この停滞は、国立大学でも顕著です。大学の性格を激変させる法人化が実施さ
れることは政治家や行政の責任であり自分たちには何も責任がない、自分たち
は法人化対策に専念すればよい、という空気が充満しています。

すでに、「法人化の準備」で多大な労力を払っている方が、大学運営関係者に
は少なくないと思います。これまでの努力が無駄になることを厭い、中身はな
んでもよいから早く法案が可決されれば良いと無意識に思いたくなるのもわか
らないではありません。しかし、予想されるような法人化が断行されれば、日
本の大学史における夥しい人々の労苦でようやく形成されたわずかばかりの大
学の独立性という成果も水泡に帰し、戦前の大学よりも露骨な官制大学に退化
してしまうこと、そして、今後、長い年月にわたり、大学のすべての教職員が
学内外の「上司」の命に服すことが職務上の義務となり、教学以外の労力とス
トレスを強いられるようになること、そして、それが当り前と思うようになっ
てしまうこと、そして、今のようなわずかな独立性ですら、それを回復できる
見込みはほとんどない、ということを考えて頂きたいと思います。



  最後に、公立大学協会法人化問題特別委員会の報告書「公立大学法人化への
取り組み(報告)」がネットで公開されましたのでご紹介します[103-kd-9]。基
本的な姿勢は、国立大学が法人化するのに公立大学が法人化できないのは「フェ
アでない」というものですので、法人化したくない大学はしなくても良い、と
明確に主張しており、どちらかと言えば、健全で卒直な報告書だと感じました。
公立大学には文部科学省のような強力な行政がないことを不利だという趣旨が
述べられていますが、検討過程において行政による強力な介入がなかったから
こそ、「まともな」報告書が可能だったのではないでしょうか。(編集人)

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[103-kd-1] 文科省発表(01-20) 第156回国会(常会)提出予定法律案について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/15/01/030116.htm
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[件名] 国立大学法人法案(仮称)
要旨:「国立大学及び大学共同利用機関を独立行政法人化するため、国立大学
法人及び大学共同利用機関法人の組織及び運営に関し必要な事項を定めるとと
もに、これらの法人が設置する国立大学及び大学共同利用機関の設置等につい
て定める。」

[件名]国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(仮称)
要旨:「国立大学法人法案(仮称)、独立行政法人国立高等専門学校機構法案
(仮称)、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案(仮称)、独立行政法人
国立大学財務・経営センター法案(仮称)及び独立行政法人メディア教育開発
センター法案(仮称)の施行に伴い、国立大学法人等の職員の身分が公務員で
なくなること及び国立大学の設置者が国から国立大学法人に変更されること等
から、教育公務員特例法、教育職員免許法その他関連する諸法律について規定
の整備等を行う。」

#(「国立大学法人」という名称の独立行政法人が設立され、その法人が「国
立大学」を設置するという骨組みが公けにされた。これまでの国立大学の検討
プロセスの根幹が変更されているので、当事者である国立大学のコンセンサス
が全く欠如した国立大学変革法案が提出されることになる。また、「提出予定」
と報道発表しながら、いまだに「関係機関と調整中」と朝日新聞記者に非公式
に伝えている[103-kd-7]。大学制度の根幹を変更する法案として必要な信頼性
が欠如していることを、これほど如実に示すものはなかろう。)

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[103-kd-2] 資料:「国立学校設置法に規定する国立学校の今後の組織形態について」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030117syutokensiryou.htm
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「国立学校設置法に規定する国立学校の今後の組織形態について」(抜粋)

1.国立大学
【国立学校設置法上の根拠規定】国立学校設置法第3条、第3条の3、第3条
の5
【平成16年4月1日以降の組織形態】国立大学法人法案(仮称)第2条第1
項に規定する「国立大学法人」

国立大学法人北海道大学ほか88国立大学法人
北海道大学ほか88国立大学

(以下略)

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[103-kd-3] 「国立大学法人法案の行方」
http://ac-net.org/dgh/doc/houan.html
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2003-01-23 独行法情報速報 No. 23:国立大学法人法案概要骨子の分析と提言
(独法問題千葉大学情報分析センター事務局)
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/n23.html

2003-01-22 品川敦紀(山形大学)「国立大学法案法骨子素案をみて Part2」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030121sinagawa.html

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[103-kd-4] 首都圏ネット事務局声明(1/20):国立大学法人法案をめぐる現情勢と課題
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030120syutkensemei.htm
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#(前回の紹介した「法案概要」に関する情報の整理と分析と提言。以下は抜
粋)

「独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局は、1月16日に「国立大学法
人法案の概要(骨子素案)」(02.12.25版)を、17日には「国立学校設置法
に規定する国立学校の今後の組織形態について」を公開した。それ以降、この
二つの資料をめぐって全国から多くの情報が寄せられている。

I.現情勢の特徴

1.「国立大学法人法案の概要(骨子素案)」(以下「概要」)(02.12.25 
版)に対応する成文化された法案が存在することは確実であるが、依然として
公開されていない。

2.「概要」と「今後の組織形態について」の二つの文書から、我々が指摘し
てきた次のことが明らかとなっている。すなわち、文科省は、「国立大学法人
法案」という一つの法律によって、「北海道大学ほか88国立大学法人」を作り、
それが「北海道大学ほか88国立大学」を設置するという「間接方式」を採用す
るつもりである。大学共同利用機関も同様に「間接方式」とされている。

また、文科省は個別法を作らず、「別表」によってすべてを規定するつもりで
ある。

 これに加え、高専は「独立行政法人通則法」の直接支配下に置かれる「独立
行政法人」とすることが目論まれている。

3.「概要」の性格がより詳細に判明した。

(1)この「概要」は文科省と国大協トップ層(あるいはその委託を受けた少
数のメンバー)の密室協議の場で使われている文書である。

(2)「国大協トップ層」の実態はなお把握されていないが、総会で選出され
た理事会、あるいは法人化特別委員会のような国大協の正規の機関でないこと
は確かである。

(3)このため作成主体も明記されず、日付のないバージョンも存在する。

またバージョンによって配布範囲も異なっている。我々は、16日の声明で
「少なくない大学の執行部に伝わっている」と判断したが、それは同日までの
情報発信先に偏りがあったこと、またバージョンによって配布範囲が異なって
いることが不明であったからである。なお、(02.12.25)版はごく狭い範囲に
のみ配布されている。

(4)初期のバージョンでは『最終報告』どおり「運営協議会」という語が用
いられていたが、途中から「経営協議会」に変わるなど、密室協議の過程で
『最終報告』からの離脱がより顕著になっているようである。


4.文科省は教育基本法の改悪、あるいは別法の制定を企図している。これに
伴い、国立大学法人法案の成立を、教育基本法に先立って、つまり通常国会前
半までに強行する可能性がある。

(以下略)

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[103-kd-5] 国立大学の独法化・再編統合に反対する交流討論・決起集会
2003年2月1日(土)午後1時から5時まで  東京大学農学部1号館8番教室
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4926.html
-----------------------------------------------------------------
「・・・現時点で法案の詳細は不明ではあります。しかし、これまでの経緯を
ふり返れば、大学や市民の側にとって「良い法人法案」が出てくる可能性は皆
無と言えるでしょう。
  そこで私たちは、下記の日程で「法人法案」反対・阻止を正面に据えた「交
流討論・決起集会」を開くことにしました。(2002-12-26)」

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[103-kd-6] 萩尾健太(弁護士)「国立大学法人化の教育公務員特例法への影響」1/13
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030122ogiwara.html
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「1 教育公務員特例法の適用を排除する国立大学法人化

文部科学省の「国立大学行政法人化に関する調査検討会議」は2002年3月
26日、その調査検討の報告書「新しい『国立大学法人』像について」を発表
した。2003年通常国会に提出が予定されている国立大学法人法案は、この
報告書をもとに策定されるものと思われる。

この報告書によれば、国立大学法人法案は、国立大学について、基本理念、運
営組織、人事制度、評価制度、財務会計制度、共同利用期間に関する大幅な変
更をともなう法案となると思われる。

その規定事項は、現行の学校教育法及び教育公務員特例法の規定事項を変更す
るものとなる。

既に、国立大学を除いて公立・私立大学については、学校教育法改定15条が
文部省からの統制を定めた。国立大学については、国立大学法人法案で規定す
ることとなろう。教育公務員特例法も、国立大学法人法案の策定に伴い、国立
大学を基本的には対象から外し、国立学校・公立大学・公立学校の教員・教育
長等のみを対象とするとの大幅な改定がなされるものと考えられる。

まず、国立大学法人の非公務員化に伴い、第3条の国立学校の学長、教員等が
国家公務員であるとの規定が適用されないことは言うまでもない。

その結果、教育公務員特例法の諸制度は法的には国立大学法人には全く適用さ
れないことになる。

しかし、以下に述べるように、教育公務員特例法は、憲法20条が保障する大
学自治の根幹をなす諸制度を定めたものであって、その適用がなくなることは、
実質的改憲とも言うべき重大な事態である。


2 教育公務員特例法の意義

教育公務員特例法の「第2章 任免、分限、懲戒及び服務 第1節 大学の学
長、教員及び部局長」の規定は、大学の自治の中核をなす教授会の自治の諸制
度を規定したものであった。

その内容は、教授会、評議会を中心とする自由主義的・民主主義的組織運営と
民主主義的人事制度に大別される(しかし、この2者は本来分けられない性格
を持っており、同一の条文で規定されている。なぜなら大学は教員一人一人が
運営者である自治団体だからである。そのもとで、学長と教員は法文上対等な
のである)。

自由主義的組織運営とは国家からの自由・独立であり、民主主義的組織運営と
は、前記の点と表裏の関係にある構成員による民主的大学運営である。そのよ
うに自由で民主的な大学における人事制度が教育公務員特例法の特徴であり、
大学自治の実質であった。 


3 自由主義的・民主主義的組織運営の変更

(1)自由主義的・民主主義的組織運営

大学の自由主義的・民主主義的組織運営については、以下のように規定されて
いる。

4条1項 学長及び部局長の採用は選考による
2項 学長の採用のための選考は・・・・評議会が行う。
3項 学部長の採用のための選考は、評議会の義に基づき、学長が行う
5条1項 学長は評議会の審査の結果によるのでなければ、その意に反して転
  任されることはない
6条 学長は、評議会の審査の結果によるのでなければ、その意に反して
  転任されることはない
7条 学長の休職の期間は、・・・評議会の議に基づき学長が定める。
8条 学長の任期は、・・・評議会の議に基づき学長が定める。
9条 学長は、評議会の審査の結果によるのでなければ、懲戒処分を受け
   ることはない
10条 学長の認容、免職、休職、復職、退職及び懲戒処分は、学長の申し
   出に基づいて、任命権者が行う。

(2)大学自治への介入と民主主義の破壊
   
これが、「新しい『国立大学法人』像について」によれば、以下のように変わ
ると考えられる。
   
役員として、学長、副学長、幹事がおかれる。幹事は、国立大学法人の業務を
監査し、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、学長または文部科
学大臣に意見を提出する。幹事の内1名は学外者とされる。
   
幹事以外の役員(学長、副学長)やスタッフにも学外者を登用する。ここで言
う学外者とは、国立大学法人化に伴い、「経営面での権限拡大」が強調されて
いる以上、経営の専門家(財界人等)が想定されるだろう。また、幹事以外の
役員には、「大学運営に高い見識を有する事務職員」(=文部官僚)も積極的
に登用するとされている。
   
また、同じ観点から、主に経営面に関する重要事項や方針を審議する運営協議
会を新設し、「そこに相当程度の人数の学外有識者の参画を得る」。
   
従来の評議会の権限は、主に教学面に関する重要事項や方針の審議に限定され
る。
   
学長の任命は以下のように変えられる。
   
「学長は教育研究に高い識見を有すると同時に、法人運営の責任者としての優
れた経営能力を有しているものが選任される必要がある。」そのもとで、前述
の運営協議会の代表と、教員らの評議会の代表から構成される学長選考委員会
で学長候補者を選考し、文科大臣が任命することとなる。
   
学長の解任は、法人の長として学長が不適任とされる場合には、文科大臣が解
任できることとなる。

学部では、教授会の審議事項を教育研究に関する重要事項に精選、学部長や補
佐体制の権限を大幅強化して、トップダウンによる意思決定を強化する。

学部長等は、従来の選挙制が廃止ないし弱められ、学長が任免することとなる。

このように、民主主義的で外部からの干渉を排した制度から、文科省や財界
が大学運営に容易に干渉でき、教職員はトップダウンでそれに従う制度へと変
えられることになるのである。

4 民主的人事制度の変更

(1)民主的人事制度

大学の民主的人事制度については、教育公務員特例法では以下のように規定さ
れている。

4条1項 教員の採用及び昇進は選考による
5項 教員の採用のための選考は、評議会の義に基づき学長の定める基準によ
り、教授会の議に基づき学長が行う。
5条1項 教員は評議会の審査の結果によるのでなければ、その意に反して転
任されることはない
5条2項 評議会及び学長は、事前の説明書交付
5条3項 審査を受ける者の意見陳述権
5条4項 参考人の出頭
6条1項 学長は、評議会の審査の結果によるのでなければ、その意に反して
免職・降任されることはない
6条2項 5条2〜5項の準用
7条   教員の休職の期間は、・・・評議会の議に基づき学長が定める。
8条の2 教員の定年は、・・・評議会の議に基づき学長が定める。
9条   教員は、評議会の審査の結果によるのでなければ、懲戒処分を受け
ることはない
10条  教員の任用、免職、休職、復職、退職及び懲戒処分は、学長の申し
出に基づいて、任命権者が行う。
11条  教員の服務について・・・は、評議会の議に基づき学長が定める。
12条  教員の勤務評定及び評定の結果に応じた措置は、教授会の議に基づ
き学長が行う。  

このように、教育公務員特例法では、学問の自由保障のため、教員の身分が保
障されており、その変更は民主的手続きを経て行われることとされている。

(2)身分保障の剥奪と無権利化

これが、国立大学法人化でどう変わるだろうか。
      
まず、教員は公務員ではなくなるのだから、教育公務特例法上の身分保障が無
くなり、教員が、学長と同格の大学自治の担い手から、経営と分離された「労
働者」となる。したがって、国立大学法人では、教員も教員以外の職員と同様
な規制に服することとなる。

反面、公務員に対する規制に服することもなくなるように思える。

つまり、公務員の労働条件法定主義から、労働基準法等による最低基準法定、
労使自治で就業規則等により労働条件規定となるように思える。ところが以下
に述べるように、むしろ、国家に管理される体制となるのである。
      
(i) 教員の任免等

「新しい『国立大学法人』像について」によれば、「教員の選考に際しては」
「大学・学部等の運営の責任者たる学長及び学部長がより大きな役割を果たす
べきである。」「その選考のための委員会に学内外の関連分野の教員等の参加
を求めたり、学外の専門家による評価・推薦を求め参考にするなどの方法によ
り、外部の意見を聴取」する、としている。これにより、大学の民主主義的自
治による身分保障に原則が破壊される。

さらに、「教員人事の流動性・多様性を高めるために」任期制を導入するとし
ている。これは、労働者の被用・離職の権利を保障するために労働基準法が1
年以上の雇用期間の定めを禁止した趣旨に反するものである。

また、「教員の流動性を高める」という以上、任期後の解雇、配転、出向を当
然予定しているものと考えられる。

「職員に人事システムについても、教員の場合と同様、各大学が決定し、任命
権は学長に属することとする」とされる。この考え方のもとで、大学によって
は職員についても任期制を導入する動きがでている。

(ii) 給与

「職員の業績を反映したインセンティブを付与する給与」「職務の性質を踏ま
えた個人の業績を評価する制度を設ける。」「年俸制の導入など、多様な給与
体系」などと記載され、職場に競争原理が具体的に導入されることとなる。し
かし、大学における研究教育は、本来、短期的に結果を出せる性格のものでは
ない。にも関わらず、上記のような給与体系を強要することは、大学教職員を
短期で成果の出せる研究ばかりに駆り立てることになり、学問自体を衰退させ
かねねない。しかも、文科省が(?)「各大学における適切な給与決定の参考
とすることができるような給与モデル作成することの必要性」も記載され、そ
うした給与体系が事実上押しつけられることとなる。

「外部資金を活用した大規模な研究プロジェクトを推進するため、競争的研究
費を、当該プロジェクトを担当する任期付職員の人件費等に充当」するとして
いる。外部資金を活用した大規模な研究プロジェクトとは大企業と提携した研
究プロジェクトであることが多いから、こうしたプロジェクトを担当する任期
付職員に競争的研究費を充当することは、大学を大企業の下請化へ誘導するこ
ととなろう。

(ii) 服務・勤務時間 
 職員の服務、勤務時間等は各大学において決定するが、国民に対する説明責
任を踏まえたものでなければならない、とされている。また、文科省が(?)
「共通の指針を設けることの必要性」も指摘されている。結局は、各大学での
自由および労使自治は制限されることとなる。

兼職・兼業に関する規制の緩和が強調され、「国立大学法人の業務や組織の一
部を別法人にアウトソーシングする場合」との記載もあり、企業との一体化が
しやすい制度となることが目指されているようである。

さらに、教員について、不払い残業を合法化する裁量労働制の導入が提唱され
ている。

(iii) 人員管理=人員整理(極めて重大)

「○学内において、中・長期的な人事計画の策定と組織別の職員の配置等(人
事管理を含む)についての調整を行うための仕組みを設けることが必要である。
この場合、新しい運営組織のもとで、経営面からも十分な検討が行われ、調整
が図られる必要がある。」と記載されている。これは、人員整理する、と言う
ことである。

この記載からすれば、国立大学の法人への移行期には必ず大量の人員整理が生
じると考えるべきである。

「○また、国立大学評価委員会(仮称)における各大学の業績に対する評価に
際しても、給与等の人件費総額が適切に管理されているかどうか、慎重かつ厳
正な評価を行うことが必要である。」

この記載の意味するところは、非公務員化しても、国立大学評価委員会の評価
に拘束され、実際上、国立大学法人の職員は労使自治で給与、人員は決められ
ないということである。公務員としての身分は剥奪され、民間の労使自治がな
いという最悪の制度である。

5 国立大学法人化への対処

上記のように、国立大学法人化は、学問の自由保障のための大学自治の根幹を
破壊し、教職員の雇用上の権利を奪う重大な問題を有するものである。

そうである以上、先の侵略戦争に大学が協力したことの反省に立って憲法に明
記された学問の自由の重要性と、それを保障する制度として大学の自治が不可
欠であることを訴え、今日の不況の下、大学教職員と同じくリストラ攻撃にさ
らされている多くの労働者と連帯して、国立大学法人化は粉砕するしかない。

仮に、国立大学法人化を粉砕できなかった場合、法人への移行期には、前述の
ように人員整理が予想される。これについては、教員の身分保障を定めた教育
公務員特例法5条、6条の潜脱を許さないこと、民法625条1項により同意
無くして配転はなし得ないこと、新事業体への労働契約の承継を原則とする厚
生労働省の労働契約承継法の「指針」の趣旨などを主張して抵抗すべきである。

それとともに、労使交渉を行い、就業規則、労働協約を労働者の権利を保障す
るものとして策定することが必要であろう。」

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[103-kd-7] (朝日1/21)「国立大法人、学長は1期最長6年に 文科省、概要固める」
http://www.asahi.com/national/update/0121/011.html
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#(この記事で驚くべきことは、昨年3月の文部科学省有識者会議最終報告
「新しい国立大学法人像について」に沿って法案作成が進められている、と報
じていることだ。1999年以来、大学側が検討の大前提としていた「国立大
学法人= 大学」が文部科学省が正式発表した「法案要旨」では覆っていること
pには全く言及がない。すでに「法案骨子素案」もウェブで公開されており、記
者ならば、その信憑性は容易に確認できるにもかかわらず無視し、文部科学省
記者クラブに非公式に提供された情報をそのまま報道している。さらに、以下
の記事のように、出所を明記せずに政府の非公式情報の報じることは政府高官
が覆面で世論操作することを可能とするもので、ジャーナリズムの使命に真っ
向から反する。初心に戻って改めてほしい。)

「国立大の04年春からの法人化の準備を進めている文部科学省は、その基礎
となる「国立大学法人法案」の概要を固めた。経営を審議する協議会に学外の
有識者を半数以上いれて構成することや、現在は最長でも4年となっている学
長の1期の任期を6年までの長期で設定できるようにすることなどを盛り込ん
でいる。関係機関とさらに調整して法案化し、2月下旬にも政府案として今国
会に提出する。・・・」

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[103-kd-8] (時事1/23)「大学教員望ましい」を削除=学長資格で大学設置基準改定
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030123jijituusin.html
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「文部科学省は22日、大学設置基準(省令)を改正し、大学の学長資格につい
て、これまでの「大学の教育、研究経験者が望ましい」との規定を削除する方
針を固めた。国立大学の法人化など大学改革を進める中、各大学が個性や特色
を打ち出すため、大学人に限らない幅広い人材登用に配慮した。 」

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[103-kd-9] 公立大学協会法人化問題特別委員会「公立大学法人化への取り組み(報告)」
http://homepage2.nifty.com/kodaikyo/download/hojinka-houkoku.pdf
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#(約48000字の報告書。法人格を取得出きないことはハンディキャップだ、
という認識は妥当なのだろうか?しかし、法人化は強制的なものとせず大学と
自治体の自主性を尊重している点は意義深い。)
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目次
はじめに−21 世紀における公立大学の活路------------------ 3
第1章公立大学を取りまく環境---------------------------- 9
第2章公立大学における法人化への内的要請----------------- 13
第3章公立大学協会法人化問題特別委員会の活動-------------- 17
第4章公立大学法人のあり方----------------------------- 27
第5章公立大学法人化に伴う諸課題------------------------ 41
おわりに−今後の諸課題--------------------------------- 45
〔資料〕
公立大学法人化に関する公立大学協会の基本的主張------------ 49
公立大学法人制度のあり方をめぐる公立大学協会見解(案)----- 52
公立大学法人化問題に関する重要文献一覧------------------- 60
公立大学協会法人化問題特別委員会開催日一覧--------------- 63
法人化問題特別委員会委員名簿---------------------------- 64
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p26 「・・・法人化は、本当に公立大学を活性化させる手段として有効なので
あろうか?この点については、少なくとも次の3点を指摘できる。

(1)制度的公平性:全国的・全世界的な規模で、ますます激化する大学間競
争の時代にあっては、競争の前提条件として、設置形態の如何を問わず、可能
な限り制度的公平性が確保されなければならない。学校法人・私立大学に次い
で、すべての国立大学が法人化する以上、公立大学のみが、特段の合理的な理
由もないまま、法人格を取得できないという制度上のハンディキャップを負っ
てよいいわれはない。したがって公立大学法人の制度化は、公立大学が、国立
大学や私立大学と基本的に対等かつ共通の制度的前提を獲得し、フェアな大学
間競争のスタートラインに立つために必要不可欠な条件整備である。

(2)一般行政組織からの独立 ・・・
(3)大学運営の活性化 ・・・

p27 1−2 法制化の必要性と「法人化しないという選択肢」の保障

上記のように、公立大学法人化必要論 は、「法人化を大学活性化のための有
効な 手段として必要と考える公立大学には、 制度上そのチャンスが与えられ
るべきである」という議論であって、「法人化を不要と考える大学が、その意
に反して法人化を迫られることになるわけでない」ことはもちろんである。つ
まり公立大学法人の法制化は、法人化の義務づけを意味するわけではないので
あって、個別の公立大学が法人化するか、直営のままにとどまるかの選択は、
設置者と大学の協議に基づく自治的決定に委ねられるべきである。」

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[103-kd-10] 池澤夏樹「日本の停滞、日本の迷い」2003-01-21
メールマガジン「新世紀へようこそNo 94」
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000077116
登録:http://www.impala.jp/century/index.html
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「・・・ ぼくが「日本の停滞」と書いたのは、経済のことではありません。
経済は大事だし、失業率の推移も大事ですが、それらすべての背景には万事に
対する日本人の無関心があります。

 政権の担当者から一般市民まで、今の時代に生きているという当事者意識が
薄い。自分の暮らしがどこかで世界全体につながっているという、いわば臨場
感がない。だからイラクも遠い。国内と海外の間、個人と社会の間に見えない
壁がある。

 まるで日本人はみなガラスの箱の中で暮らしているかのようです。餌と酸素
は自動的に供給されると信じてただじっとしている。

 しかしそこには強烈な不安感があって、それはたとえばここ数年連続して年
間の自殺者の数が3万を超えるというような数字に表れています。日本は交通
事故の死者の4倍近い人々が自ら死を選ぶ国です。何かがそれだけの数の人を
死の方に追いやったのです。

 本来ならば個人の視点はそのまま世界につながっています。自分は今のこの
世界で生きているという自覚があるべきなのです。・・・」

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[103-kd-11] 全国ネット抗議書(1/22):朝日新聞社説(1/16)における誤報について
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/asahieditorial.html
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「私たちは,文部科学省が計画している国立大学の「独立行政法人」化に反対
する運動に取り組んでいる全国組織です.元都立大学総長の山住正己を代表と
し,全国の国立大学教職員を中心に294名の会員・賛同者を持ち,21の団
体の賛同を得ています.詳しくは下記のホームページをご覧いただければ幸い
です.
     http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet.html
     http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet.html

 さて,貴社は朝日新聞1月16日付け社説(*2)において国立大学の独立行政
法人化問題に触れていますが,その中に重大な誤報があります.以下の場所で
す.

    来年4月から国立大学が独立法人化される.どの大学の準備も手
     探りだ.
 
 国立大学法人化はまだ文部科学省が計画中であるに過ぎず,そのための法案
すら未だ明らかにされていません.そのような現状のもとで,国立大学法人化
を既定の事実であるとして伝えるこの記述は国会を冒涜するのみならず,国民
世論をミスリードするものであり,事実を正しく,公正に伝えるべき報道機関
の使命をわきまえないものと言わねばなりません.もしこれが意図的なもので
あれば,貴社は報道機関ではなく世論「誘導機関」となってしまうでしょう.

 それはあたかも,「武力攻撃事態法案」が未だ国会を通過していない現状で,
「来年某月から戦争に協力しない国民は刑事罰を科せられることになる」と断
定して報道するようなものです.

 他にもこの社説の中には「これまで,大学はみずからを取り巻く社会に関心
を持たず」という一方的かつ独善的な断定があり,この文章の品位を低めてい
ます.また独立行政法人化についても「法人化されれば,社会から認められな
い大学は存立の基盤を失いかねない」と述べていますが,これは計画されてい
る「法人化」の実態への無知をさらけ出すものと言うほかはありません.実態
に即すれば,「社会から認められない大学は」ではなく「役所から認められな
い大学は」と表現すべきです.

 最後の2点は「見解の違い」とされる問題かも知れませんが,冒頭に指摘し
た「来年4月から国立大学が独立法人化される」という表現は明らかに誤報で
ありますので,訂正と謝罪の記事を貴紙上に掲載されますよう強く要請いたし
ます.
                                 敬具
2003年1月22日」

(*2) http://ac-net.org/dgh/03/116-asahi.html
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org

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[103-acd-1] 日本学術会議の在り方に関する専門調査会(第12回2002-12-19)議事次第
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/gakujutsu/haihu12/haihu-si12.html

#(政府が法律をしばしば無視することを前提とした発言がある。この会議の
使命を超える大問題とはいえ、このことを当然視し議論の前提とすることは、
日本学術会議のありかたの検討を歪めかねない。それだけでなく、政府による
違法行政行為を是認し助長することにもなっていることを認識してほしい。法
治国家の政府として「余りに未成熟な現状」を前提とするような結論を出すこ
とは止めて頂きたい。)

【塩野委員】今までの日本学術会議が政府に対する批判をしてこなかったとい
うことになるのか。
【井村議員】いや、そうではない。しかし、政府から任命されているときに、
常に政府に対して批判できるかどうかはわからない。政府からお金をもらいな
がら政府を批判するのが許されてきたのは、ある意味では戦後社会の健全な形
だったが、それが常に許されるかどうかは保障はないと私は思う。又批判に迫
力があるかも疑問。

ーーーーー

【石井会長】・・・塩野委員の指摘は非常に大事なことで、こういう制度にす
ると独立性が損なわれるとかいうふうに決め付けてしまわない方が安全だろう
という気はする。科学者が成熟しなければいけない、それを求めるのは必要だ
が、同時に国が成熟する、或いは政府が成熟することも求めていかなければな
らない。国の組織の中に批判をする組織ができるのも一つの成熟の尺度かもし
れない。そういう意味では国の機関であってかつ独立であるという、我々が望
ましいと考える日本学術会議の在り方に少なくとも反しないものを模索し、か
つその可能性を追及できる余地がないと、法人化が実現しない限り独立性がな
くなってしまったというレッテルを貼ることになりかねない。独立性を、どの
形の時にはどうやるかをきっちりと押さえておくことが必要。・・・

ーーーーー

【市川委員】・・・私は法律に書いてもだめだと思う。というのは、日本には、
山本七平さんの言葉では「法外の法」、私は「暗黙の法」と言っているが、そ
れが働いて、法律は法律のまま運用されない。例をいうと、人事院について国
家公務員法では「人事院事務局の組織および人員は人事院が定める」とある。
また、人事院が提出する予算は政府は手をつけてはならないことになっている。
しかしこのたびの行政改革で人事院は局と人を減らした。どういうことかとい
うと、政府全体が痛みを感じて減らしている時に、内閣の下にある人事院がそ
の痛みを共有しないのはどういうことだ、という暗黙の法が働く。予算につい
ても同様で、何パーセント削減とか何パーセントシーリングが行政全体にかかっ
ている時にどうして人事院は突出できるのだということになる。だから少なく
ともその2 つの条文は何の意味もない条文になっている。学術会議が今後どう
いう形になるかわからないが、仮に国の組織になるとすると設置運営について
法律が書かれるのだろうが、法律だけで担保できるものではない。それをどう
して担保するのかが一番大切である。学術の場合はそれは見識だろう。では見
識に頼ろうとしたときに「未成熟だ」といわれると私は立つ瀬がない。そのと
ころは本当にしっかり押さえておく必要があると思う。

ーーーーーー

【塩野委員】・・・それから、井村議員のご心配だが、総合科学技術会議はこ
れはドイツ語でいうとレギールングそのもの。今度の日本学術会議はかりに国
の特別の機関といってもレギールングではない。政府の政治的決定に対して横
から、ある意味では掣肘する、ある意味ではエンカレッジする、そういう意味
のもの。日本学術会議が特別の機関でそのまま残って総務省におかれる場合と
内閣府に入った場合に、国民が、内閣府に入ったときに、同じ穴の狢じゃない
かと見るのか、総務省におかれたほうがいいのか、さらに人事院の方におかれ
たほうがいいのかという問題がある。ただ、霞ヶ関の力関係からいうと、はず
れればはずれるほど霞ヶ関の力関係は弱まる。ただ、それを支えるのは国民の
支援、マスメディアが一番大事かもしれないが。さらにそれを支えるのが市川
委員のおっしゃった見識、意見の見識。最後の担保は何かというと、日本学術
会議の意見そのもの、見識そのものである。

・・・

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[103-univ-1] 鹿児島経済大学訴訟:原告側意見書
(鹿児島地裁 第1回口頭弁論 2003年1月20日)
http://www.jca.apc.org/~k-naka/futoukaiko/zizitukeika-siryou.html#sozyou

[103-univ-1-1] 南日本新聞:
http://www.jca.apc.org/~k-naka/futoukaiko/saiban-siryou.html#koutou1minaminihon

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[103-ikn-1] 随研究室(横浜市立大学)サイト:「大学改革の現場から」
(2001-08-07/2002-05-30)
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~zuiz/Q-1.HTM

[103-ikn-2] 土居丈朗(財務総合政策研究所)「経済学の論理・霞ヶ関の論理」
http://www.econ.keio.ac.jp/staff/tdoi/econbure.html

#(中央官庁に「出向」している経済学者土居氏の貴重な報告。以下の部分は
参考になる。ある問題に日夜没頭している人が、そうでない人を「スピード」
で煙にまいて自分の意見を通したりすれば世間ではすぐ信用されなくなるが、
官庁街で は、そういう人しか意思を通せないらしい。日本がだめになるのは
当然という気がする。「スピード」で勝負するのではなく、批判の余地を与え
ずスピードで結着させる合意形成過程自身の危険性を批判してほしい。)

「・・・学問の世界では、論理の正しさはスピード勝負ではありません。より
精緻な学術研究を時間をかけて行えばよいのです。そうした世界で私は生きて
きましたが、学界の外では違います。頭のよい官僚のスピーディーな主張の展
開に、私は通常の10倍のスピードで頭を回転させてきちんと反論しました。
疲れたり風邪を引いたりしたコンディションでは、うまく反論できたかどうか。
年をとればなおさらです。・・・」(2002-11-08)

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[103-mda-1] Publicity No 500(2003/1/18): 「疑う」力は「信じる」力
http://www.emaga.com/bn/?2003010042639373007699.7777

[103-mda-2] 「マスメディアの諸問題」のページ新設
http://ac-net.org/dgh/media

[103-mda-3] インターネットメディア「My News」の趣旨説明より
http://www5a.biglobe.ne.jp/~NKSUCKS/MyNewsIntro_1.html

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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
関連ページ:http://ac-net.org/dgh/
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End of Weekly Reports 103