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国立大学独立行政法人化問題 週報
Weekly Reports No.19 2000.8.21 Ver 1.1
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訂正:滋賀医科大学長名に誤まりがありました。大変申し訳
有りませんでした。 (2000.8.28)
==目次================================================================
[19-1]国立大学独立行政法人化関連法案はどのような過程で作られるか。
[19-2]官僚による「審議会対策」について
[19-3]独立行政法人化が大学にプラスになると考える11国立大学長の意見
[19-4]NHKに関するコメントの紹介
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文部省による国立大学独立行政法人化関連法案作成作業の開始を告げる「調査
検討会議」が7月31日(組織業務委員会)8月16日(目標評価委員会)に
開かれた。それらの会議の内容は未だに発行者の所属する大学の評議員にも伝
わっていない。文部省が法案作成するための調査検討に大学が協力する会だか
ら、協力者は大学や国民に向けて説明する必要はない、と居直ることはできる。
あるいはかん口令が敷かれているのかもしれない。
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[19-1]国立大学独立行政法人化関連法案はどのような過程で作られるか。
国立大学法人特例法(仮称)は政府立法により作られる。日本の立法の9割が
政府立法と言われているが、そのプロセスは元参議院法制局長の浅野一郎氏
[19-1-1]によれば以下のような段階から成る。
(1)文部省での立案作業
「まず政府立法は各省庁で立案作業が始まるわけでありますけれども、そのス
タートは、所管の各課において、課長の責任のもとで法規担当の職員によって
行われます。局長の指示、局長と協議したり、場合によっては大臣の指示によ
るものも多いようです。これは、立法とは結局行政のニーズによってスタート
するということではなかろうかと思います。日常の行政事務の中から資料・情
報を収集してニーズを形成していくわけですが、もちろん国民の意志も考慮さ
れますが、行政が判断した国民の意志ということになります。担当課で、原案
を作成しますと、省内の調整を行いながら、省内の法規担当のセクション、多
くは官房文書課の審査を受けて、次官や大臣に説明する。そうして、これらの
省内の作業と並行して審議会に諮問したり、他省との調整が行われるわけです。
特に予算措置が必要とされるものについては、大蔵省主計局と協議がなされま
す。」
調査検討会議が関わるのは「省内の作業と並行して審議会に諮問したり」とい
う部分であろう。独立行政法人化問題については高等教育局大学課が立案作業
を担当することになる。
(2)内閣法制局の下審査
「下審査というのは、原案を作成した担当者が法制局の担当部の参事官に説明
をして、厳格な審査を受けることです。この審査では、憲法に反しないかどう
か、現行法制と矛盾はしないかどうか、法律案の内容に合理性があるかどうか、
条文の表現が適切であるかどうか、用字・用語の使い方に誤りはないか、とい
うようなことについて、原則的な理論から細かい表現まで、場合によっては句
読点の打ち方まで綿密に行われます。たった1条の条文でも、時間を3時間も
かけるものですから、法制局の担当者を法制局参事官と言うということも言わ
れております。しかし実際は、1条に3時間ならいいのですが、1条で本当に
1日、場合によっては1ヵ月かかることもないわけではありません。審査は、
大体読会制をとって、最初は原則的、基本的なことをやって、だんだん細かく
審査していくというやり方でやっております。」
(3)与党審査
「そして大体、内閣法制局の下審査がほぼ終わる頃になると、今でもやってい
ると思いますが、従来は与党である自民党の審査を受けるということになりま
す。これを普通、与党審査と言いますが、自民党の政務調査会の部会に掛けら
れる。そして部会を通過すると、政務調査会の審議会に掛けられ、その審査が
終わると総務会に掛けられて決定されます。この他に、審査ではありませんが、
国会の審議との関係があるため、国会対策委員会に法案の説明がなされている
ようです。」
従って、国立大学独立行政法人化関連法案の作成において、自民党政務調査会
の5月9日提言[10-1]を尊重することが大前提となる。
(4)事務次官会議の了承・内閣法制局の本審査・閣議決定
「このようにして、原案が固まると事務次官会議にこの案が掛けられます。そ
して事務次官会議で法律案が了承されると、閣議が請議されるわけであります。
すると、内閣官房から、内閣法制局に本審査を求めるために、その法律案
が回付される。内閣法制局の本審査が終わると閣議に掛けられて閣議で決定さ
れ、国会に提出になります。」
なお、浅野氏は以下のように政府立法を総括している。
「要するに政府立法とは、内閣法制局を頂点とする官僚の主導の下、そこには
与党審査を通じて多少の与党の調整が加えられますが、官僚立法として行われ
ていると言っていいと思います。国会の審議が、議院内閣制の下では、政府提
出法案は与党の協力の下、まず成立するわけですから、ほとんど官僚主導の立
法だと言っていいだろうと思います。
こういうことで、これまでの法律のつくられかたは、法律案の提出過程に限
定しても、官僚主導であって、政府官僚機構内部における情報、専門知識、技
術を総動員して、相互間の調整済みの周到綿密な法律案が実質的にできあがる。
そしてその完璧な調整が内閣法制局でされるということです。
そして国会審議では、与党審査がすでに行われているので、ほぼ野党だけの
審議で、法案についての審議はほとんど行われず、しかもその審議は政府委員
(各省の局長、部長、課長)が広範に関与して行われるため、まさに今までの
立法は、官僚立法だと言っていいでしょう。」
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[19-1-1]元参議院法制局長の浅野一郎氏「これまでの法律のつくられ方」
http://www.jca.apc.org/‾initiati/ga1/1a.html
これは市民立法機構設立記念総会「市民による立法をめざして」(1997.5.9)の記録
http://www.jca.apc.org/‾initiati/ga1/ga1.html
の一部。
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[19-2]官僚による「審議会対策」について
国立大学独立行政法人化を設計する主役は文部省高等教育局大学課にあること
は前項からよくわかる。日本の官僚の方々は個人としては国のために真剣に働
こうとしていると思うが、官僚組織は独自の論理・独自の意図を持つ生命体と
なっているらしい。このことは、日本人の常識とも思われるが、数年前、当時
厚生省の課長であった宮本政於氏[19-2-1]が「お役所の掟」「お役所のご法度」
[19-2-2]等のベストセラーにより、中央官庁内部の考え方や行動原理を生々し
く具体的に描き出したことで、内側からの理解も大きく進んだ。世界中で、日
本のお役所の行動原理がようやく理解できたとする声が多く聞かれたらしい。
この中で国立大学協会が調査検討会議に参加する際に参考になることもある。
「先輩」と著者「私」の形式で審議会を官庁がどのように「活用」しているか
を説明している箇所があるので一部紹介する。
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「お役所の御法度」p250
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「先輩:審議会の神髄を教える前に、君が理解している審議会をちょっと聞い
てみたい。
私:そうですね。大臣がある特定の事柄を政策として反映したい。そこで行政
組織から独立している審議会で議論をしてもらう。そのために大臣は諮間とい
う手続きをとり、各界から集まつた経験豊富な人たちに深い見識と洞察力に富
んだ内容の結論を導き出してもらう。これを答申とか具申という形態で大臣に
報告する。答申や具申を受けた大臣はその内容を政策として生かすべく、部下
である幹部に指示する。まあ、こんなところではないですか。
先輩:君の話を間くと審議会は役所から独立した組織のように間こえるぞ。
私:そう思っていたのですが。
先輩:ところがそうではない。審議会は役人が新しい政策を行うための隠れ蓑、
というよりは役所と一心同体なのだ。だから独立は錯覚にしかすぎない。考え
てもみろ、新しい政策には常にリスクがつきものだ。ところが役人はリスクを
嫌う。でも国のため国民のためを考えればリスクなしの政策の上にあぐらをか
いているわけにばいかない。そこで審議会の出番となり、内容のお膳立てはみ
んな役人がする。でも表面的には審議会の先生方が審議をつくした結果にすれ
ば、万が一新しい政策がうまくいかなくても「あれは審議会の答申が出たため
それに従つただけだ。私は決して内容が正しいと思つていなかつた」と責任逃
れができるだろう。
私:ふ−ん、審議会とは、役人が出世をするための保倹みたいなものだく考え
ることもできるわけですね。」
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「お役所の御法度」p254-255
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「シナリ才作りの隠れたポイントは、肥大した自尊心を持つ審議会の先生たち
をいかに上手に操るかにあった。なにしろその世界のボス的存在であり社会的
影響力もあるため、ほとんど批判を受けるようなことがない。だから必要以上
に傷つきやすくなつている。この部分は国会の先生たちとうりふたうだ。対応
を間違えると役人がやけどしかねない。..
審議会では当然のことながら委員の発言がある。だが好き勝手なことをいわれ
ては困る。とはいうものの不自然さがあっても困る。
そこで役人もこのときだけはお役人から脚本家へと変身し、審議会の先生たち
が役者となる。
しかし建て前だけは自主性を重んじる先生たちである。あからさまに、役人が
後ろで糸を引いているのが見え見えだと、彼らもヘソを曲げる。
そこでシナリオの段取りは、反対意見も含んだいろいろな議論がされた形態を
保つようにしなけれならない。
そのためには、さくらを用意する。彼らに反対意見を述べてもらうのだ。
審議会には必ずといつてよいほど役人のOBがメンバーとして顔を並ぺている。
彼らは議事進行を円滑にするためには不可欠な人材なのである。
◆「振り付け」と「根回し」
それでは、具体的にどのようなシナリオがあるのかその一部を紹介しよう。
K委員:Y委員が意見を述べた後に「賛成」と発言
D委員:反対意見を延べてもらう
T委員:D委員に賛成しつつも最終的には攻府案をサポートするように話を持つていく
または、
議長:「どなたか御意見はございませんか」
A教授「異義なし」
などこうした台本作りに励むわけだ。
このような過程を業界用語で振り付けという。さて、各委員の発言内容が決まっ
た後は、シナリオどおりに蕃議会が進行するための根回しが始まる。しかし、
委員全員に根回しをするのではない。なぜなら委員全員がシナリオの内容を知
らされるわけではないからだ。おとなしい委員などはシナリオの存在さえ知ら
されない。
だが一癖も二癖もあり、自分が無視されたと知ると大騒ぎしそうな委員とか、
重鎮であり役所との力関係から見ても同等な委員などには、役人はとても気を
遣う。
...
これだけ綿密に計算されつくした会議だから、いったん本番ともなればとても
スムーズに運ぶ・株式総会と似たようなものだ。」
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宮本氏は厚生省を1995年2月に懲戒免職になった後、種々な場で発言を続
けていたが、昨年3月に厚生大臣を相手どった訴訟が敗訴[19-2-4]。7月にパ
リで病死された[19-2-5]。
[19-2-1]宮本政於氏のプロフィール
http://www.k-soken.co.jp/icube/mirai/98autmn/profile2.html
[19-2-2]宮本政於著「お役所の御法度」(講談社1995 ISBN 4-06-207505-9)
http://www.kojima-cci.or.jp/‾fuji/okitebooks/gohatto.miyamoto.html
[19-2-3]宮本政於著作目録
http://www.geocities.co.jp:80/HeartLand-Keyaki/5845/miyamototyo.html
[19-2-4]宮本氏敗訴の報道
http://www.asahi-net.or.jp:80/‾PF4M-ATM/GYOUSEI/9902-04GYOUSEI/990423okite.html
[19-2-5]辻好文氏(Toronto Japanese SDA Church)弔文「宮本政於さんの死去に思う」
http://www.nax.ne.jp:80/‾cat/data/ta0-01-30es.html
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[19-3]独立行政法人化が大学にプラスと考える12国立大学長の意見
論座8月号に国立大学長のアンケート結果の集計がある。この中で以下の11
名が独立行政法人化が大学にプラスとなると答えたが、その理由を見ると、独
立行政法人化のマイナス面を認識した上でのプラスという判断は少ないように
思われる。
1.旭川医科大 久保良彦 学長
「大学改革が促進される。」
2.岩手大学 海妻矩彦 学長
「学部自治の存在が、各大学を統一のとれた一つの自治体として機能させな
いようにしている。法人化(独立行政法人化も 含む)は各大学の統一のとれ
た一つの自治体とする方向を推進するであろう。それがわが国の大学の存続と
発展をもたらすと考える。」
3.滋賀医科大学 小澤 和惠 学長
「現時点の文部省案であれば、努力によってプラスになると考える。」
4.東京商船大学 杉崎昭生 学長
「規制緩和が期待される」
5.東京水産大学 隆島史夫 学長
「行革に端を発したスリム化のみを求めたこれまでの「独法化」に比較して、
自主性・自律性がやや確保され、特色ある単科としての大学づくりに自由度が
増したと判断される。」
6.東京農工大 梶井 功 学長
「プラスになる制度設計にしなければならないし、やれると思う。」
7.富山医科薬科大学 高久 晃 学長
「大学の自主性・自律性が担保される」
8.豊橋技術科学大学 後藤圭司 学長
「1976年の創設時と今では社会状況が大きく変わっている。後発の大学
には不利な面が多い。真に自由度が増すなら、この機会をプラスにするチャ
ンスとしたい。」
9.浜松医科大 寺尾俊彦 学長
「大学運営の自由度が増す。」
10.広島大学 原田康夫 学長
「通則法の一律適用ではなく、大学の特性や役割に見合った特例法を制定し、
大学の教育・研究の活性化につながる管理 運営がなされることが不可欠。今
回の文部省の方針では、通則法の枠内ではあっても、特例法の整備が拘束され
ており、実質的には大学法人として自律的な運営が可能になると考えられる。
今後、具体的な制度設計の段階での紆余曲折が予想されるが、大学が法人格を
持つことは本学の将来にとってプラスになる可能性が高い。」
11.山梨大学 椎貝博美 学長
「法人格によって、自主性・自律性を踏まえた運営が大学の責任において可
能になる。さらに大学の特性を踏まえた一定の調整が行われることは評価でき
る。 」
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[19-4]NHKに関するコメント
国立大学の独立行政法人化が既定方針であると報道したNHKに対して国立大
学協会に適切な処置を要求した要望書[17-2-1]
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/007/17-nhk.html
に対する報告[19-4-1]で
「なお、今回のことが、NHKは独立行政法人化について偏った態度を持って
いてけしからん、という方向に批判が広がることを記者は懸念していました。
これまでのNHKの独立行政法人問題の特集などの内容からすれば、今回の問
題を越えてNHK批判をすることは妥当ではないと個人的には思っています。」
と書いたことに対して、ある方からコメントを頂いたので承諾を得て匿名で転
載する。
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「NHKの体質について。言うまでもなく郵政省傘下の特殊法人。NHKは元社会部
記者出身の木村太郎氏をはじめ名だたるキャスターが局の方針(特に政治関連
の報道内容)にあきれて次々辞めて民放へ行ってしまったと聞きます。表向き
は不偏不党と言いながら、かつてNという首相が放送予定内容にいちいちチェッ
クを入れていたとも聞きます。なぜか監督官庁の郵政大臣ばかりやたらに画面
に登場します。かつてエイズウイルス感染者が献血した輸血用血液は安全だな
どという人命に関わる重大な嘘を報道していました。幹部の弁明は「社会の混
乱を避けるため」だそうです。他の民放や新聞がこぞって約2週間以内では陽
性反応がまだでないから検査してもわからないから危険なことを報じていたの
に。意図的な重大な嘘を「NHKの権威」を利用して流していたと言われても仕
方がないでしょう。以上、御参考まで。」
これについて「幹部の弁明」の記録がどこかにあるか問いあわせたところ、次
のような返事を頂きました。
「 幹部の弁明についてですが、残念ながら幹部とは各都道府県庁所在地にあ
るNHKのある地方局の幹部で、会長や理事ではありません。なお、いつから
方針転換したのか判りませんが、現在ではNHKも輸血用血液のエイズウィル
ス混入による危険を認めています(その時点で会長等から弁明があった可能性
はあることはありますが、考えにくいことです)。私だけではなく、多方面か
ら抗議の声が届いたためと思います。しかし中学生とてちょっと考えれば判る
程度の嘘を全国に放送するその神経といいますか、体質とはいったいどういう
ものなのでしょうか。あまりにもショックだったので,私はこの件をまるで昨
日のことのように鮮やかに記憶しているのですが、私がかつて視た該当の番組
はニュ−スではなく、エイズ問題を取り扱った報道番組で、全国ネットで放送
されたものと記憶しています。その番組をみて、あまりにおかしいと思い、番
組終了直後に地元の放送局に電話で問い合わせをしたところ、重大な問い合わ
せということで、その局の幹部クラスと思われるやや年配らしい温厚な感じの
人物に電話が回され、問い詰めたところ、意外にアッサリと「嘘を放送しまし
た」と認めました。その時の言いぐさが「社会の混乱を防ぐため」というもの
でしたが、これは皮肉にもその事件を起こした厚生省が情報の独占や操作,秘
匿でエイズ対策が遅れた責任を問われた時の弁明「日本にエイズ患者がいる、
あるいは血友病の患者をHIVに感染させてしまったということを公表すると
社会が混乱するから」とよく似ています。「朕は国家なり」という言葉を連想
させられます。しかし、こうもアッサリと認めた(つまり、人命に関わる嘘な
のに罪悪感が薄い)ということは、積極的に嘘を報道していたというよりも、
「立場上」もしくは「体質上」そうせざるをえなかった可能性があると思いま
す。こういうマスメディアが妙な権威を持ってしまっているのは、私も含めて
権威に弱いタイプの多い視聴者側の問題も含めて困ったことです。当時、Nス
テ(ニュ−スステ−ション)の久米宏はこの輸血用血液の問題で、彼一人がアッ
プの画面でハッキリと「危険です!」と言い切っていました。ちなみにNHK
のニュ−スを見てからNステでも筑紫哲也のニュ−ス23でも比較してご覧に
なりますと、同じ題材を取り扱っても、いかにNHKの報道が「表面的な事し
か伝えず、重要な情報をカットしているか」つまり「消極的に事実をねじ曲げ
ているか」が一目瞭然と思います。NHKの報道などみなければいいとも言え
ますが、「偉大な反面教師」として利用するのも手でしょう。日本のメディア
教育は(意図的にか)ひどく遅れており、この点でも先進国だの民主主義国な
どとはとても言えない状況と思いますが、両者をビデオに録画しておいて学生
に見せて比較検討させる試みをしたら有意義と思いますし、少数ながらこれと
似た取り組みをしている大学がありますが、少数の専門家による少数の学生の
指導に終わってしまっていて、本当は全ての人の基本的素養として小学生の頃
から(カナダの例)徐々に発達段階に合わせて教育してゆく必要があろうかと
思います。また、岩波新書の新赤版558に「大臣」という本があり、元閣僚
が書いた本で、残念ながら読んでいないのですが、知人から概略を聞いたとこ
ろ、閣議の前に事務次官会議というものがあり、実質的にここで全てが決めら
れてしまい、閣議などというものは実は「サイン会」に過ぎないのに、国民向
けには、さも権威あるものとして大抵の場合報道されているという話が載って
いるそうなのですが、この会議は「全員一致」を原則としているらしく(いか
にも日本的)、省庁に従属している特殊法人という立場では、他の省庁に不利
な報道などすると、自らの監督官庁の関わる案件でしっぺ返しに「拒否権」を
発動されかねないので、とても批判やら「真実の報道」などできない仕組みに
なっているらしいのです。いや、それどころか積極的に*『『他省庁の政策』』
*に対して『ゴキゲンとり』(最近の若い人の言葉では「ヨイショする」と言
うのでしょうか?)を相互にしなくてはならない仕組みになっている可能性さ
えあります。あるいは見返りを求めて恩を売っておくことさえあるのかもしれ
ません。これではNHKに反省を求めても無駄な努力かも。このようにNHK
が官のシステムに組み込まれている以上、報道に携わること自体が無理なので
は?、むしろ報道は捨てて民放が不得手な文化や学術といった分野に特化すれ
ばいいのでは?と思います。完全な自由業の「作家」などではありえないので
すから。要はNHKというメディアがどういう立場にいるメディアなのか視聴
者が知らなければいけないといいうことで、それこそがNHKについての本質
的な情報公開と思います。なお、NHKの放送予定内容をチエック(指図まで)
していたという話は確か朝日の報道で読んだと記憶しています。また、この人
物とY新聞の社長が深い仲なのは有名で、6月に魚住昭氏が講談社からこの件
に関する著書を出され、その書評を読みましたが、「社内には反対する記者も
いるが、全てこの社長一個人の意向の紙面になっている」とのこと。これでは
あのS新聞みたいに政党・政治団体の機関紙に近いのでは? 新聞労連は(組
合員である記者の書く記事の信頼性のため?)いずれのナショナルセンタ−に
も入らず中立を保持、と読んだことがありますが、上がこれでは。事実を取材
した第一線記者が組織上部からの圧力で報道をねじ曲げられれば良心的な記者
ほど苦しむむことになるのは容易に想像がつきます。以上、ご参考まで。」
[19-4-1][reform:03019] 参加撤回要求の重要性(NHK報道問題の感想)
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/007/17-nhk.html#houkoku
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[19-L]独立行政法人化問題のサイトへのリンク
◆国立大学独立行政法人化問題サイトの入り口
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/
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発行者: 辻下 徹
homepage: http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/tjst/
e-mail: tujisita@geocities.co.jp
バックナンバー
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発行部数(2000.8.3現在)
CocodeMail:308 / Mag2:526 / Pubzine:25 /Macky!:27 / emaga:20 / melma:6 /直送 約 200
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End of Weekly Reports No.19 2000-8-21
**この週報は発行者の個人的な意思で行っています**
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