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国立大学独立行政法人化問題 週報 Weekly Reports  No.21  2000.9.04 Ver 1.0

========================訂正と御詫び================================== 19号記事[19-3]中の「3.滋賀医科大学杉森甫学長」は「3.滋賀医科大小澤和 惠学長」の誤りです。深く御詫び致します。 ===============================目次=================================== [21-1]国立大学協会特別委員会情報(第2回7.19、第3回8.10議事概要) [21-2]国立大独法化調査検討会議目標評価委員会の初会合(2000.8.16) [21-3]教育改革国民会議:大学入学についての論議 [21-4]コモンセンス(1):現代日本の政治課題 [21-5]天野郁夫「20世紀の大学」 [21-6]alfujita語録より ===============================前書=================================== [21-1]国立大学協会特別委員会情報(第2回、第3回議事概要) 第3回設置形態検討特別委員会2000.8.10(議事の概要) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/net/netre1233up.htm 第2回設置形態検討特別委員会2000.7.19(議事の概要) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/net/netre1232up.htm これ以外の情報 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/kdk/index.html ====================================================================== [21-2]国立大独法化調査検討会議目標評価委員会の初会合(2000.8.16) http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/tkk/00816-bunkyou.html これ以外の国立大独法化調査検討会議情報 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/tkk/index.html 調査検討会議の資料等は各国立大学事務長宛に翌日送付されていると聞いている。 ([he-forum 1231]文教ニュース 第1588号 2000.8.28) 「7月19日に発足した「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」 4委員会の一つである「目標評価委員会」の第一回会合が8月16日、霞が関 の東海大学友愛会館で開かれた。冒頭、工藤高等教育局長が挨拶を述べ、主査・ 副主査の選出が行われ、主査に松尾稔委員(名大総長)、副主査に小出忠孝委 員(愛知学院大学長)、堀田凱樹委員(国立遺伝研究長)がそれぞれ選出され た。  第1日目ということもあり、独立行政法人制度の主な特徴や、国立大学等の 独立行政法人化の問題の経緯について事務局から説明し、残りの時間で自由に 意見交換が行われた。そこでは「本会議の検討結果についてのその後の扱い」 「今後の「国立大学等の在り方に関する懇談会」との関係」、「連絡調整委員 会の役割」「本会議における公立大学の扱い」「検討がうまくいかなかった場 合の他の選択肢の可能性「「中期目標の性格」「高等教育全体の財政投資の拡 充」などが課題となった。第2回は9月14日に開催予定。会議の詳しい議事 要旨についてはまとまり次第、文部省ホームページに掲載される。」 ====================================================================== [21-3]教育改革国民会議大学入試についての論議 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/009/01-watanabe-y.html Date: Fri, 1 Sep 2000 19:44:38 +0900 From: Yuichi WATANABE Subject: [reform:03083] 大学入学についての論議 reform 読者各位  何故か、月末には熱暑がやってきます。7月にも36.9度があった のですが、8月末に新潟は37度という温度で、紙などに触ると暑い 感じがします。この暑さの中、ボンヤリとしていると、大学(または、 大学入学年齢のあたり)に関わる重要な論議がどんどん進行して、また いつのまにか、教授会の議題に下記の様な項目が登ってくるのでは (実際に9月4日に秋季入学について、学部でどう検討しているかの 報告が行われる)ないかという気がします。 (以下の発言の順などは、適宜変えてあります)原文はURLを参照。  ====== 第五回 教育改革国民会議の議論から (日時)平成12年8月28日(月)16時〜18時 http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/dai5/5gaiyou.html (森総理大臣)  今の若者には、なぜ大学に入ったのか、何をやりたいのか明確な目的意識を 持っている人がほとんどいない。社会に出る前に半年から1年間くらい色々な 体験をして自分の進路を決める期間が必要ではないか。  教育基本法については、改正に反対という立場からは、なぜ変えてはいけない のかが明確に議論されていないと思う。 「第一分科会の報告」の説明 ●奉仕活動の義務化(小中2週間、高校1か月、将来的には 満18歳のすべての国民に1年間)、有害情報の規制などを提案し (以下略)  「教育基本法について」では、はじめに改正ありきの姿勢ではなく議論した 結果、国民的合意を前提として、教育基本法の改正が必要であるという意見が 大勢を占めた。 「以下、色々なところからの発言を編集」 (浅利委員)  18歳での1年間の奉仕活動の義務化は、現実的には難しい面があるが、小中 学校で2週間、高校で1ヶ月は可能である。できるところから始めて将来的には 18歳で1年間の義務化を目指そうという趣旨である。   私の声) まさか、兵役の事を見込んでいるのではないでしょうね(あり得る) (河合委員)  基本的な考え方には賛成だが、全国民に1年の奉仕活動義務化するということは、 よほど慎重に議論しなければならない。先端的な研究をしている人などについては、 奉仕活動をしなくても、頭脳による社会への貢献という考え方もあるのではないか。  理系の研究者における18歳の1年間をどのように捉えたらよいのか。 (クラーク委員)  奉仕活動には賛成である。アメリカでは一流大学に入りたければ奉仕活動をしな ければならないという形で導入されている。ただし、アメリカにはロータリークラブ やボーイスカウトなどの奉仕活動を行う場があるので、日本でもそこを整備すること からはじめてはどうか。 (藤田委員)  道徳や奉仕活動の重要性など、報告の主旨について異論はないが、一律に期間を 決めて奉仕活動を義務づけることには違和感を感じる。これまでも行われている修 学旅行や林間学校での体験学習をより充実させるという方向で考えられないか。 (田村委員)  全体的に賛成であるが、義務化する内容を奉仕活動に限ってしまうことは疑問。 総理の施政方針にあったように「奉仕活動と自然体験」とし、学校生活以外のどう いう活動をやるかについて選択できるようにすべきではないか。 (木村委員)  「独創的、創造的な活動ができる人材の育成」として、高校での学習達成度試験の 導入による評価の必要性、大学入学の年齢制限の撤廃、モラトリアム期間を作ると いう観点からの大学9月入学制度などを提案した。「リーダーの育成」として、 学部3年での大学院進学を一般化し、プロフェッショナルスクールの整備などを 提案した。 また、「職業観、勤労観の育成」として、インターンシップ制の導入、 ものづくり教育・職業教育の充実などを提案した。 (藤田委員) モラトリアム期間を設けるため大学9月入学を推進するとの議論があるが、 日本の若者はすでに、モラトリアムを謳歌しているのではないか。 (クラーク委員)  大学9月入学のメリットとして、外国への留学が容易になるという点も指摘 すべきである。また、17才の大学入学も導入しやすくなる。高校と大学の間 の6ヶ月、海外旅行や自分のやりたいことができる。 (西川議員)  教員にマスターの取得を義務付けるという部分は、幼稚園の先生も含まれる ということか。また、他の分科会で議論されている社会人の教員への登用と いう議論と矛盾するのではないか。 (木村主査)  マスターの取得を要件とするのは、小中高の教員のみである。また、社会人 については、今でも博士課程の入学にあたり、社会経験を修士資格と同等と みなすなどの配慮を行っており、同様の対応が可能である。 浅利慶太(劇団四季代表)、河合 隼雄(国際日本文化研究センター所長)、 グレゴリー・クラーク(多摩大学学長)、藤田 英典(東京大学教育学部長) 田村 哲夫(学校法人渋谷教育学園理事長)、 木村 孟(大学評価・学位授与機構長)、西川という議員は、名簿にありません。 ====================================================================== [21-4]コモンセンス(1):現代日本の政治課題 松下 圭一著「政治・行政の考え方」岩波新書 552 ISBN 4-00-430552-7より http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/common-sense/kadai.html p46「歴史のアイロニーですが、官僚主導の国家による工業化・民主化が、侵 略・敗戦といった曲折をヘながら日本なりに成果をあげたからこそ、官僚主導 の明治国家の解体・再編が日程にのぼったといってよいでしょう。政治・行政 では地方分権、産業・経済では規制緩和、さらに国レベルの国会・内閣の改革 あるいは省庁の再編、ついで日本の社会構成全体の<分権化・国際化>が、今 日、ラジカルに問われるにいたったのです。」 「各省庁は事務次官を頂点に、OB官僚をふくめた自己完結性をもつ人事序列 をつくりあげるとともに、天下りの必要もあって自治体定席ついで外郭法人・ 団体・企業を自己増殖させています。これこそが、行政劣化、財政破綻つまり 政策・制度の硬直化をうみだした主因です。1990年代に、地方分権・規制 緩和、さらに省庁再編という政治・行政改革が日程にのぼった理由はここにあ ります。 もし、国会の議席変化によって内閣が変わるとき、省庁の次官、局長クラス が変わるという政治任用がおこなわれれば、当然、政策転換がおきますが、日 本では、事務次宮を頂点とした組織の自己完結牲があるだけでなく「行政の継 続性」というかたちで、政策転換を抑止するわけです。ここが、国家主権型権 立分立論の秘儀です。」 p77「だが、閣僚は、日本国憲法でいう、「国務大臣」という意識はなく、明 治憲法型の「各」省庁大臣にとどまっています。ここからも、省庁のトッピン グとして国会の「外」にたつことになり、かえって省庁の大臣室にとじこめら れて、省庁内でも孤独です。 その間、省庁官僚は、逆に、「大臣は去っても省庁は残る」というかたちで、 まず、「省庁設置法」で権限・財源の無限拡大をめざしてきました。のみなら ず、省庁官僚は省庁○Bをふくめて、省庁の外郭法人・団体・企業に天下り配 置、業会を組織する「業法」や有資格職を組織する「士法」による圧力団体の 培養、省庁官僚○Bの審議会委員への任命、省庁官僚若手の国会議員への送り 出しをすすめます。さらに、省庁出身議員を中心とした族議員の育成、省庁に 配置される記者クラブでの広報、また学者、評論家のとりこみがめざされます。 こうして、省庁はみずからの政策資源をひろげながら、大蔵省をはじめ省庁そ れぞれの大小、強弱の差はあれ、独立コンツェルンとして自己増殖してきまし た。」 p80「なぜ、いま、内閣と省庁との分離が問いなおされるのでしょうか。くり かえしになりますが、今一度、次の三点にまとめたいと思います。 第一に、明治以来、閉鎖性をもつ国家観念で神秘化されてきた内閣・省庁が 機関車となっておしすすめてきた、官治・集権政治による<近代化>がすでに おわり、自治・分権政治をめざした、国会、内閣ついで省庁の関係の再構築こ そが政治の緊急課題になってきた。 第二には、明治のころは明治国家をつくった元勲などが省庁を掌握し、大正 以降になると政党内閣、戦時内閣、また戦後もふくめて官僚の大先輩が内閣の 中枢を構成したから、省庁にたいして威信をもつことができました。だが、田 中内閣以降になるとだんだん、とくに連立段階以降、官僚歴をもたない首相、 閣僚が多くなる。このため、あらためて、事務次官を頂点に省庁○Bをふくめ た組織・人事の自己完結性をもつ省庁と、政治交替する内閣ないしほぼ一年毎 に量産される閣僚とをどうつなぎ、どう責任を区分けするかが問題とならざる をえない。 第三に、都市型社会となるにつれて、ことに「国際化」あるいは「分権化」 をめぐって、明治以来の国内むけ国家統治をめざした旧来の省庁ではもはや対 応できなくなってきたばかりか、とくに1980年代以降、バブル経済の演出・ 失敗、あるいは国際状況への見透し欠如が、行政劣化として決定的となり、し かも、汚職のみならず財政破綻も顕在してきた。」 ---------------------------------------------------------------------- [21-5]アメリカナイゼーションと独立行政法人化 天野郁夫「20世紀の大学」(『書斎の窓』(有斐閣)2000年9月号) http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/009/01-amano.html より 「...しかしこれら(シラバス、FD、TA、OA、アカウンタビリティ、 ビジネススクール、ロースクール、そして任期制、授業評価、外部評価などな ど)は、いわば「小道具」レベルの装置にすぎない。より基本的なのは、世紀 の初めにウェーバーが見抜いたアメリカ大学の「企業体」的な性格、それを支 えるきびしい大学間・大学内の競争の原理と、競争を勝ちぬく上で求められる 学長の強いリーダーシップである。その意味で、国立大学の独立行政法人化論 の本質は、行財政改革からする数合わせにあるのでなく、「アメリカナイゼー ション」の総仕上げに、また、競争原理の全面的な導入と大学の「知の企業体」 化にあるとみるべきだろう。」 「いまや「グローバル化」しつつある、大学と高等教育システムのアメリカナ イゼーションの大波は、そのウェーバーの一世紀近く前の指摘を否応なく思い 起こさせる。「知の共同体」としての大学の世界で進行してきた「合理化」が もたらしつつある「知の企業体」化。だが、アメリカに学ぶべきは、知の企業 体化だけではなく、それに抗して大学人たちがいかに知の共同体性を守り、育 ててきたかであろう。なぜなら、それなしには20世紀はアメリカ大学の世紀に なりえなかったと思われるからである。」 辻下のコメント: アメリカの「知の企業体」(それが「知の共同体」の代替物として適切かどう かは別にして)が学問の論理に基づく競争を可能にしている最大の要因が<行 政の不介入>であるという点を直視せずに「アメリカナイゼーション」を論ず るのはどうか。独立行政法人化(「国立大学法人」であれ)が「アメリカナイ ゼーション」と表層的には似ていても、肝心な点で正反対の方向への変革であ る点を強調したい。 ==================================================================== [21-6]alfujita語録より http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/4605//gaku/s-al3.htm に、大学問題を広汎に論じている国立大学教授alfujita氏の発言集。高等教育 フォーラム(http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp./forum/index.html) Yahoo!Japan の掲示板等から集められている。具体的な事例に関連した種々の 情報・指摘・提言が多い。 例: ---------------------------------------------------------------------- 「KT293、1999年6月10日 (高等教育フォーラム) 日本の大学の事務サイドも国立大学の場合は、手一杯という所です。国家公務 員の定員削減(10人やめると9人補充)が特に事務職において貫徹されており ますので、末端に行くほど事務職は手不足に陥っています。 例えば、研究室単位の事務職は殆どが非常勤職です。(1人やめると0.9人補充 ですから、即ちゼロです)。学部単位にまとめるともう少し多くなりますので 例えば3人やめた場合2.7人即ち2人が補充されます。大学単位になるともっと 多くなりますから、末端の事務職員の0.9人を纏める形で補充されます。 即ち、学部が10個あり、各学部で事務職が5人ずつやめ、本部で5人やめたとし ます。全体で55人やめる訳ですから補充は49.5人即ち49人となります。各学部 への配分は4.5人即ち4人づつですから40人。残り(9人)は理論的には本部へ の配分になります。こんなことを、何十年も続けてきましたので、学部レベル でも事務職だけでは仕事量をこなせず、かなりの非常勤職員を雇っているのが 実情です。 確かに、事務系の仕事のやり方に非効率的な部分があることは事実ですが、そ れよりも、機能マヒの寸前くらいの所まで、人不足が進行しています。例えば、 大学にとって研究費の申請に関わる事務は大切な部門の一つですが、H大学医 学部において、研究費の申請を担当する職員は1人だけです。これを多いとみ るか少ないとみるかは御判断にお任せします。 もう一つ、仰せのような専門職員の養成という点で遅れております。入試事務 全般を見渡せるような専門職員、あるいは研究費申請事務を見渡せるような専 門職員の養成が余り行われていないようです。 H大学には来たばかりなので良く判りませんので、前任校であるT大学の例を上 げますと、2年ほど研究費申請を中心にした庶務を担当していた人が、次には 別の職(例えば学生係)に移ってしまいます。折角、お互いの仕事の調子が判っ てきたのに・・・と思うことがしばしばありました。 大学においては、多くの教員の側も、事務職の側も日常の業務をこなすだけで 精一杯、新しいことなんてとても・・・という所ではないかと私は考えていま す。」 ====================================================================== 独立行政法人化問題のサイトへのリンク http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/ ====================================================================== 発行者: 辻下 徹 homepage: http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/tjst/ e-mail: tujisita@geocities.co.jp 総目次:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html 登録・解除手続き http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/ 発行部数(2000.8.27現在) CocodeMail:309 / Mag2:540 / Pubzine:25 /Macky!:27 / emaga:20 / melma:7 /直送 約 200 ===================================================================== End of Weekly Reports No.21 2000-9-04 **この週報は発行者の個人的な意思で行っています** ===================================================================