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Weekly Reports  No.36  2001.1.15

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/wr-36-01115.html 総目次:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html ===================================================================== [36-1]総務省行政管理局ホ−ムペ−ジ [36-1-1]行政改革大綱(2000.12.1) より [36-2]文部省調査検討会議第6回目標評価委員会(2001.1.5)配付資料 [36-2-1]猪口邦子委員(上智大学法学部教授)「中期目標・中期計画に関するメモ」 [36-3]国大協設置形態検討特別委員会第8回(2000.12.21)資料 [36-3-1]宮脇 淳委員「地方交付税制度と運賃費交付金交付基準問題」 [36-4]IDEー現代の高等教育 2001年1月号特集「大学の国際競争力」 [36-4-1]巻頭言:天城勲(IDE会長)「グロ−バル化」抜粋 [36-4-2]「大学が人類社会に貢献しうるもの」抜粋 [36-5]佐賀大学物理科学科:「国立大学独立行政法人化反対声明」 [36-6] 講演会予告:阿部謹也氏「異議あり!独立行政法人化」 [36-7]中国における大学法人化の影響について(私信より) [36-8]メ−ルマガジン「行政監視局」投稿記事より:「アメとムチ」考 ====================================================================== ■[36-1]総務省行政管理局ホ−ムペ−ジ http://www.soumu.go.jp/gyoukan/kanri/kanri_f.htm [36-1-1]行政改革大綱 2000.12.1 より http://www.soumu.go.jp/gyoukan/kanri/gyou_kaikaku.htm V 中央省庁等改革の的確な実施 V-2 行政の組織・事務の減量・効率化 V-2-(2) 独立行政法人への移行 V-2-(2)ウ 国立病院・療養所  国立病院・療養所については、 1)昭和61年当初再編成計画の未実施施設(37施設)について、速やかに移譲、 統合又は廃止を実施する 2)平成11年3月の再編成計画見直しによる追加対象施設(12施設)について、 平成13年度末を目途に施設の廃止を含む対処方策を決定し、着実に実施すると ともに、平成16年度に、各施設毎に業績評価ができるよう区分経理する単一の 独立行政法人に移行することとし、そのための個別法案を平成14年の通常国会 に提出する。 V-2-(2)エ 国立大学及び大学共同利用機関等 国立大学及び大学共同利用機関等の独立行政法人化については、平成15年ま でに結論を得ることとされていることを踏まえ、大学等の自主性を尊重しつつ、 大学改革等の一環として検討するため、平成13年度中に有識者等による専門的 な調査検討の結果を整理する。 V2(3) 定員の削減  定員については、「新たな府省の編成以降の定員管理について」(平成12年 7月18日閣議決定)に基づき、行政需要の変化に対応し、その適正配置を進め つつ、平成22年度までの間に、少なくとも10%の計画的削減を行うとともに、 独立行政法人への移行、新規増員の抑制等と併せて、25%の純減を目指した定 員削減に最大限努力するものとする。 ■[36-2]文部省調査検討会議第6回目標評価委員会(2001.1.5)配付資料 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/chosa-mokuhyo.htm#l06[36-2-1]猪口邦子委員(上智大学法学部教授)「中期目標・中期計画に関するメモ」 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/m130111-06.htm 「国立大学である以上、国際的サイテーションの頻度を各教授ごとにまとめ、 少なくとも学内の教授陣内では公表し、そのような多大な知的貢献者をみなが 認識することは必要である。」(cf:[36-7]) ■[36-3]国大協設置形態検討特別委員会第8回(2000.12.21)資料 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/setti-iinkai.htm#l07[36-3-1]宮脇 淳委員「地方交付税制度と運賃費交付金交付基準問題」 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/m130110-06.htm 『運営費交付金の各法人に対する交付基準の検討を行い、地方交付税(普通交 付税)における「基準財政需要額」と同様の枠組みを形成する。その枠組みに よって、特定の大学(ひとつまたは複数)をモデルケースとして試算を行い、 そこから具体的議論の対象を拡大させる。』 ■[36-4]IDEー現代の高等教育 2001年1月号特集「大学の国際競争力」 ■[36-4-1]巻頭言:天城勲(IDE会長)「グロ−バル化」抜粋 http://www.ac-net.org/doc/01/113-amagi.html 「大学設置基準が大綱化されて以来,大学の個性化が主張され,大学に競争原 理が必要と説かれた。「競争的環境のなかで個性輝く大学」とは永らく規制に 練られていた大学を解放し主体的発展を促すスロ−ガンとして,一時,注目さ れた。そもそも大学は何を目指して競争するのか。競争の成果とは何であるの か。大学の競争を促すために市場原理の導入が必要と主張する者は多い。組織 体として大学の経営管理の合理化は必要である。しかし,このことと大学の研 究教育の競争力とどのように関連づけるのか。「共通性・共用性を向上し,競 争力を発展させる」と説く大学審の「概要」を一読しての素直な感想であり, 疑問である。今後,グロ−バル化という言葉はもっと頻繁に用いられるであろ うが、よくよく考える必要があろう。」 ■[36-4-2]「大学が人類社会に貢献しうるもの」抜粋 ウィリアム・カリー(上智大学長) http://www.ac-net.org/doc/01/113-currie.html 「「大学の国際競争力」が今回の特集のテ−マであるが,この言葉には馴染め ないのが私の本心である。「競争力」とは,おそらくは産業世界でもっとも通 用する言葉であり概念であろう。同類の営みをなす他の機関と競り合い.他よ りも優秀な立場を築き,カと名声を勝ち取り,自らの機関を一層発展させると いう思考パタ−ンである。しかし,それははたして教育機関に関して適用でき る考え方であろうか。  かりに「大学の国際競争力」をもつことが,何を意味するかを想像するとす れば,それは日本の大学が研究の業績をあげ、質・量ともに他国の大学に負け ない研究者と専門的職業人を輩出し,国際社会で名声を獲得し,他国から多く の留学生を引き寄せることかもしれない。しかし,そもそも大学の存在理由は, 人類の共通善として求められる真理の探究ではないのだろうか。そうであれば, はたして自国の大学が国際的に優位に立って地位と評価を獲得することが,大 学の建学の理念となりうるであろうか。国際競争において格差がますます開き, 競争に負けた諸国の大学が衰退していくことを望んでよいものであろうか。私 は,そのような発想法自体が,真にあるべき大学の理念に抵触するのではない かと考えている。  明治以降の日本は,先進諸国に「追いつき追いこせ」という競争理念を根幹 にすえ,ひたすら物質的な豊かさを求め続けてきた。その結果、日本の教育は とかく国家の繁栄,もしくは社会の経済的発展のために効果的に機能する人材 育成に主眼を置くものとなった。人ほすでに幼少のときから互いに競いあって, 他者よりも優れた成績を収めることを強要され,能率よく働き,業績をあげる 者は讚えられ,弱者は切り捨てられがちであった。そこでは個人の人格は十分 に顧みられず,独創力も批判力も抑圧されがちであった。しかし人間が一人ひ とりかけがえのない人格であるという人間理解こそ,およそ教育の原点なので はないだろうか。人間の真に人間らしい成長を助けるための「人間教育」こそ, あらゆる専門教育の基礎なのではないだろうか。  国際社会に関しても同様のことが言える。国際社会において,それぞれの民 族がそれぞれの文化的伝統を大切にし,それぞれの生活様式において幸福を追 求し,成長していくことこそが理想なのである。そのためには,できるかぎり 民族間の経済的な格差が解消され,教育を受ける機会が均等化され,それぞれ の民族の固有な文化の発展がはかられなければならない。そのために私たちは 国際的に互いに助けあうべきであり,それぞれの成長こそが人類全体の豊かさ につながるのである。したがって,高等教育機関にあって研究と教育に従事す る者は,競争によってどのように自国の大学の地位と名声を獲得することがで きるかということではなく,むしろどのように人類社会に貢献できるのか,ど のようにそれぞれの大学の伝統と特色を生かして,世界の正義と平和な秩序の 建設のため,全人類の幸福と成長のために貢献できるのかを間うべきなのでは ないだろうか。(以下略)」 ■[36-5]佐賀大学物理科学科:国立大学独立行政法人化反対声明 http://www2.cc.saga-u.ac.jp/saga-u/riko/physics/japanese/sbseimei.html 「文部科学省が国立大学をいわゆる独立行政法人に変えるという方針(独法化) を決定して以来、その方向での準備が政府レベルで進みつつあります。 独立行政法人制度の下では、従来行政組織で行われてきた「企画・立案」機 能を政府の行政機関(文部科学省)に、「実施」機能を国から独立した独立行 政法人に分離されます。独立行政法人は主務大臣から目標を指示され、それを 達成する「中期計画」を立てます。その認可を受けて運営費を与えられて一定 期間の実施の後に業務の評価が行われます。それを受けて次期の指示を受ける という制度です。 この制度を大学に適用するに際して、大学で教育・研究に携わる者として以 下のような問題があると考えます。 1. 大学教育に独法化は適さない 教育に関しては現場で教育を行っている者以外が企画・立案をすることが出来 るのでしょうか?またその実施について正当な評価をする方法は確立されてい るのでしょうか?これらの問題を解決せずに制度だけを独立法人化することは 高等教育のあり方を歪め、取り返しのつかない過ちを犯す危惧があります。 2. 大学での基礎研究を衰退させる 大学で行われる研究には実用化を直接の目的とせず、それにも拘わらずその成 果が人類の文化に貢献したり技術革新をもたらしてきたものが数多くあります。 情報技術を支えるエレクトロニクスやソフトウェアの開発、環境問題、医療・ 生命科学の分野でも基礎科学の成果が飛躍的な進歩のきっかけになっているの です。このような基礎研究は数年単位の中期計画で成果がでる保証はどこにも ありません。したがって正当な評価もされずに衰退する懸念があります。 3. 地方大学存続の危機 地方国立大学はその地域から多くの学生を受け入れ、地域の小・中・高校の教 員を輩出し、人材の育成や産業の活性化に寄与してきました。大規模大学とは 設備や教員数が異なる地方大学は、一律の基準で評価されれば不利になること は明らかです。運営費が不足すれば授業料値上げで対処することも考えられま すが、教育の機会均等を損なうことになります。また地方大学では多様で特色 のある研究が行われてきましたが、独法化されると短期的な評価を受けやすい 研究テーマに偏重し、日本での学問の発展に歪みを来すという危惧があります。 以上の問題は日本の将来に強く影響し、一度間違うと取り返すのに長年を要す る非常に重大な問題です。それにも拘わらず、国民に開かれた場で議論される ことなくその準備が進められています。私たちは現場で教育・研究に携わる者 としてこの問題を懸念し、独立行政法人制度を大学に適用することに反対しま す。」 ■[36-6] 講演会予告:阿部謹也氏「異議あり!独立行政法人化」   講師 阿部 謹也(共立女子大学学長。国立大学協会前会長)   演題 異議あり!独立行政法人化      −いま独法化で大学の教育・研究が危ないー   日時 1月24日(水)1時半〜3時半   会場 岡山大学一般教育棟205教室(岡山市津島中)   主催 岡山大学環境理工学部職員組合 ■[36-7]中国における大学法人化の影響について(私信) http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/109-china.html 「昨年12月に浙江省の浙江大学(中国随一の規模を持つ重点大学です)を 招き、シンポジウムを開催しましたが、その際に、中国側は独法化により、研 究者達は一目散に一級雑誌(中国全土に権威を持つもの)に投稿することにば かり気を使うようになったこと、掲載論文の雑誌のクラスによって、教授達の 給与に影響を与えているとのことでした。教員給与が何と教授クラスで1から 9級までに格差が与えられているとのことでした。このために例えば、日本の 大学と協定を結んでいても、双方にとって有益なまとめの論集を出版するとの 当初計画があっても、それでは中国では評価されないので、出版を取りやめた いという話しさえあります。つまりそんな出版計画につき合っていては、中国 の一級雑誌に掲載する論文を執筆する時間を失うというのです。そもそも中国 の大学は国際交流の数こそが、数年前には重点大学化の指定を受ける条件でし た。それが数年の内には、足手まといになると言うのですから、いかに『効率 主義』が大学の本来的なあり方を妨害するものであるかが分かるではありませ んか。またその時に聞かされたことですが、手間暇がかかり時間を要する研究 分野の学者達には今、大変不満が渦巻いているとのことでした。こんな大学政 策に荷担しない大学作りが今一番求められていると思います。」 ■[36-8]メ−ルマガジン「行政監視局」 http://www8.freeweb.ne.jp/area/kanshi/ 2001.1.14配信記事NO.140-1 「NO.139-2・市役所の経済学について」より抜粋  http://www8.freeweb.ne.jp/area/kanshi/etck12.htm 「私は、某市役所職員をしています。公務員制度の改正については賛成ですが、 この投稿(No.139-2)については、少し反論したいと思います。一言で言うなら、 断定的すぎるということに尽きます。 >現在の公務員制度では、公務員には、働く動機がない。 これには、まったく同意できない。給料アップや昇進、解雇は、働く動機の' 一部'でしかない。これは程度の差はあれ、経営者を含めた民間企業で働く人々 も同じである。「'カネ'というわかりやすい'アメ'と'ムチ'にだけ、従う人間 となれ」と言っているように聞こえる。 'アメ'と'ムチ'も必要かもしれないが、それだけではダメである。それしかな い人間には「物の豊かさから、心の豊かさへ」というフレーズを理解すること はできないだろう。 何をやるかを選択するのは政治家であり、公務員は、その手足となって働くだ けかもしれないが、仕事の本質を理解せずに働いてもよいものはできない。 >民間企業は働く意欲が若い頃から身についていない、自立心が無い >地方公務員を採用するとはないだろう。地方公務員もそのことは >十分分かっている。 これは半分、同感である。民間企業で通用しないだろうということは、私自身 も感じる。ただし、自立心の無さが最も大きい理由ではない。そういう人もい るが、程度の差こそあれ、民間企業にもいるでしょう。 一つには、接遇の例がだされていたが、マナーとか、社会的ルールがだらしな いところがあるからである。職員に競争がないということもあるだろうが、役 所そのものに競争がないために、接遇や営業の仕方などに対して研修などの投 資をしない。 ... >したがって、自治体では、国からの補助金や地方交付税が無くなる前に、自分の >天下り先の確保に必死になり、温泉会館、宿泊施設、農村交流センター、大学ま >で造ってしまっている。 >寂しい産業の無い田舎町に「ハコモノ」の屋根だけが輝いている。「ハコモノ」 >が借金を増やし、財政を歪め、タコがタコアシを食べる状態になってきている。 これは完全に勘違いである。市町村レベルでは、天下り目的で「ハコモノ」を つくることはほとんどないと言っていい。行革で人が減っている現在、わざわ ざ仕事を増やして自分の首を締めるようなことはしない。 ... 役所が何をすべきかを決めるのはみなさんです。例えば、小さな政府をめざす のか、大きな政府をめざすのか、おそらくどちらも正しいのでしょうが、どち らを選択するのかは、みなさんが考えなければなりません。そのためには、自 分たちがどうなりたいのかを考える必要があります。それが共有されれば、そ れを実現する手段は、自ずと決まってくるのでしょう。 このメルマガのタイトルのように、公務員が悪さをしないように'監視'するだ けなら誰が悪いのか、犯人探しをするのも良いかもしれませんが、前進したい のであれば、公務員をもっと働かせる'手段'だけでなく、どのような社会を目 指していくのか?という理念とか、目標を社会全体で共有し、それをもって、 政治や行政を動かすことを考えるべきでしょう。」 --------------------------------------------------------------------------- ■■■国立大学協会への署名運動(第4次締め切り:2001.1.31)■■■ http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/kdk-shomei --------------------------------------------------------------------------- 発行者: 辻下 徹 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/ e-mail: tujisita@geocities.co.jp 発行部数 1111 (2001.1.14現在) Mag2:632|CocodeMail:346|Pubzine:58|Macky!:39|emaga:21|melma:15 --------------------------------------------------------------------------- End of Weekly Reports 36 ============================================================================