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Weekly Reports  No.46  2001.4.2 Ver 1.0

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/wr-46-0402.html 総目次:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [46-1]衆議院文部科学委員会第4回2001.3.7 [46-2]文部科学省 [46-2-1]文部科学省情報公開制度利用の手引 [46-2-2]文部科学省独立行政法人評価委員会 [46-2-3]文部科学省協力者会議が医学教育改革のモデル提示 [46-2-4]山形大独法問題講演会(01.3.10)での杉野氏の発言 [46-3]独立行政法人化する国家機関 [46-3-1]国土交通省独立行政法人評価委員会 [46-3-2]「独立行政法人に官出身トップ」日本経済新聞2001.2.16夕刊 [46-4]国大協 [46-4-1]国大協2000.11総会議事録より [46-4-2]国大協への諸団体の申し入れ(つづき) [46-4-3]蓮實重彦前国大協会長(会報171号)巻頭エッセー [46-5]大阪大学教職員組合「大学憲章(案)」 [46-6]文献・報道紹介 [46-6-1]朝日新聞連載:!大学はどこへ「産学連携」はいま(2001.3.16-18) [46-6-2]「強まる新・能力主義への動き」生産性新聞2001年3月25日号 [46-6-3]文献紹介「競争社会を越えて」 [46-7]謝辞 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [46-0]発行者より  本日(4月2日)に開かれる国大協設置形態検討特別委員会で、法人化の骨 子案が決まる懸念があり、種々の団体や有志が国大協に向けた申し入れをして いる[46-4-2]。昨年11月の国大協総会議事録[46-4-1]を見ると、前会長は 「国大協として法人化についての方針を出す場合には臨時総会がもたれる」と 述べているが、連休前後までに独法化についての大まかな線をまとめたい文部 科学省の意向に合わせようとする危惧もある。また、日本科学者会議の申し入 れ書[46-4-2-1]が言及している経済産業省官僚による「国立大学法人化法案」 は[43-9-2]にも符合する。委員である学長の方々が、長期的な広い視野に立っ て、短慮な決断を思いとどまることを信ずる。  蓮實前国大協会長の『生きものとしての大学には「改革」よりも「変化」が ふさわしい』[46-4-3]は、1999年11月総会の会長談話を想起させること であり、また、大学に居るほとんどの者が最近十年ほど実感していることであ る。<国大協会長として>は、その洞察とは相反する行動をとらなければなら なくなったというのであれば、残念なことである。  真の構造的変革を回避し現システムを維持するには小さな改革を繰り返すの がよいという<アドバイス>[46-6-3]がある。最近の中央省庁等改革も、意図 とは裏腹に中央官庁の支配力を全体としては強めてしまったが、大学の独立行 政法人化も、行政からの干渉が肝心のところで強まるだけでなく干渉の把手が 無数に増える構造になっている。 独立行政法人化する国家機関や、公務員制度改革、科学技術基本計画を見る と「成果」や「業績」を給与や身分に反映させる信賞必罰が人々を活性化させ ることを疑っていないようだが、10年先行して実行している民間では、先週 号で紹介した富士通[45-9-5]だけでなく、5割以上の会社で、中長期的な発展 が心配になってきていることが、社会生産性本部の調査でわかった[46-6-2]。 こういった大規模な長期間の試みのネガティブな結果を調査検討し、国家規模 で同じような失敗を繰り返さないように、政策を直ちに修正する精神的機動性 が政治的指導者層に望まれる。それでこそ、機動性を高めた新しい中央省庁の システムが生きるのではないだろうか。  ところで、各省庁の独立行政法人評価委員会の議事録が少しずつオンライン 化されている。文部科学省では、科学技術分科会の議事録[46-2-2-1]が出てい る。坂田審議官が委員に評価に捕らわれすぎないように、と注意している。  国土交通省の独立行政法人評価委員会[46-3-1]の議事録は既にかなり公開さ れている。海技大学校、航海訓練所、海員学校、航空大学校等の独立行政法人 を扱う教育機関分科会の議事録[46-3-1-4]を見ると、航空大学校の養成期間が 4ヶ月短縮され航空無線通信士の資格は在学中に個人で国家試験を受けて取得 することが必要になっている。この点についての懸念を指摘する発言もある。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [46-1]衆議院文部科学委員会第4回2001.3.7 http://www.shugiin.go.jp/itdb_main.nsf/html/rchome/@Ugoki/monbukagakui/1510307.htm 議事録より http://www.shugiin.go.jp/itdb_main.nsf/html/kaigiroku/009615120010307004.htm 「○河村副大臣 これは文部科学省の統一見解ではございませんが、私も文部 行政に関心を持つ一政治家として思うに、確かに文部科学省のこれまでの、は しの上げおろしまで細かく指導してきたこのあり方はやはり見直す必要がある と思いますし、また、教育にも競争原理というものが必要になってまいります。 先ほど御指摘の大学の独立行政法人のこともそうでございまして、国立も私学 も競争原理の中でやっていっていただく、これからの一つの大きな方向だとい うふうに思います。 ....  そういうことも全体的に見直して、教育のあり方、小学校から含めての今の 学校の設置のあり方というものも、規制緩和ということもございますが、そう いうことで見直していく方向が必要であろう、私はこのように感じております。」 --------------------------------------------------------------------- [46-2]文部科学省 --------------------------------------------------------------------- [46-2-1]文部科学省情報公開制度利用の手引 http://www.mext.go.jp/b_menu/koukai/tebiki.htm --------------------------------------------------------------------- [46-2-1-1]文部科学省における情報公開に係る事務分担及び事務処理要綱 (2001.3.21) http://www.mext.go.jp/b_menu/koukai/youkou.htm --------------------------------------------------------------------- [46-2-1-2]文部科学省における行政文書の開示決定等に係る審査基準 (2001.3.15) より http://www.mext.go.jp/b_menu/koukai/kijyun.htm#4 第4 不開示情報に該当するか否かの基準(法第5条関係) V 法第5条第5号関係(審議、検討等に関する情報) 7. 意思決定後の取扱い等  審議、検討等に関する情報については、文部科学省としての意思決定が行わ れた後は、一般的には、当該意思決定そのものに影響が及ぶことはなくなるこ とから、本号の不開示情報に該当する場合は少なくなるものと考えられるが、 当該意思決定が政策決定の一部の構成要素であったり、当該意思決定を前提と して次の意思決定が行われる等審議、検討等の過程が重層的、連続的な場合に は、当該意思決定後であっても、政策全体の意思決定又は次の意思決定に関し て本号に該当するかどうかの検討を行う。また、当該審議、検討等に関する情 報が公になると、審議、検討等が終了し意思決定が行われた後であっても、国 民の間に混乱を生じさせたり、将来予定されている同種の審議、検討等に係る 意思決定に不当な影響を与えるおそれがある場合等があれば、不開示となり得 る。 --------------------------------------------------------------------- [46-2-1-3]文部科学省文書処理規則(2001.1.6) http://www.mext.go.jp/b_menu/koukai/kisoku.htm --------------------------------------------------------------------- [46-2-2]文部科学省独立行政法人評価委員会 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/dokuritu/index.htm 委員長 浜田 広 株式会社リコー取締役会長 教育改革国民会議委員、経団連人材育成委員会委員長 http://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/CLIP/clip0137/cli006.html 名簿 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/dokuritu/meibo/010301.htm --------------------------------------------------------------------- [46-2-2-1]文部科学省独立行政法人評価委員会第1回科学技術分科会議事録 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/dokuritu/gijiroku/005/005a/giji/010201.htm 平成13年2月19日(月)9:35〜11:40 ・出席者  分科会会長  岡部 洋一 東京大学先端科学技術研究センター長 http://www.okabe.rcast.u-tokyo.ac.jp/‾okabe/home-j.html 分科会会長代理  池上 徹彦 会津大学副学長   NTTエグゼクティブアドバイザー http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/jsee/text/joj/joj46_3gen.html 委員  阿部光幸   兵庫県立成人病センター総長 http://web.pref.hyogo.jp/ryusi/aisatu/aisatu.html  梶 昭次郎 東京大学大学院工学系研究科教授  門永宗之助  マッキンゼー・アンド・カンパニー・インクジャパンディレクター http://www.mckinsey.co.jp/overview/index.html  辻  篤子 朝日新聞社科学部次長  土岐  憲三 京都大学大学院工学研究科教授  村田  朋美 北九州大学 国際環境工学部 教授 (事務局) 遠藤研究振興局長、坂田官房審議官、泉振興企画課長、 工藤量子放射線研究課長、藤嶋基礎基盤研究課長、土橋材料開発推進室長、 素川官房審議官、藤木宇宙開発利用課長、深井防災科学技術推進室長他 5.議事より: 「池上委員  プロジェクトが妥当かどうか、全部ここで判断することは無理 だと思う。 坂田審議官  先生の趣旨はよくわかる。そんな完璧には、今、非常に過渡的 なプロセスで、時間も限られてるので難しいと思う。あえて言うと過去をある 程度引きずっているのもあり、やむを得ないところはある。限られた時間の中 でどの程度、正しい特色を入れ込むか。例えば中期目標は、これから案をつく る訳ですから、その作り方とか、あるいは法人側から出てくる中期計画の書き 方とかに、そういうものを書き込むよう努力していきたい。」 ・・・・ 「梶委員  独立行政法人となり、トップダウンの要素が増えるということだ が、やはり研究所というのは、研究者個人の集団で成り立っていて、あまりボ トムアップの要素をなくすと、ディスカレッジしてしまうという点がある。そ の辺の両立をうまくやって、全体として、効率化し、成果を上げていくべき。 坂田審議官  独立行政法人の制度設計の考え方はある訳ですが、それが生き るかどうかは、本当にこれから。そういう観点で、今梶先生のいう点は非常に 大事な点なので、マネージメントのあり方について提言いただき、結果として 良い中期目標なり、中期計画を議論していただきたい。法人の運営のフレキシ ビリティに関連しては、私ども役人から見て、今回の制度が比較的画期的だと 思う。予算の費目が運営費交付金と施設費だけになり、運営費交付金の中の目 は全部無くなってしまった。従来の旧大蔵省と各省との関係では考えられなかっ たことである。理事長さんの裁量で途中で、この研究少し進んだから、こっち へ回そうと思えば回せる。制度的に変えたのは、ある意味で画期的なものなの で、全体としてうまくマネージメントが機能すれば、相当程度研究所自体が活 性化できる。その辺のことを頭に置いていただき、積極的な議論をしていただ ければ大変ありがたい。  阿部先生 評価、評価ということになると、評価のための研究と、成果が上 がることにのみ力が入ってしまう。萌芽的な研究であるとか、人材の育成とい うと評価しにくいが、国として育てていくべき部分が欠落しないように十分考 えて頂きたい。」 (研究振興局振興企画課) --------------------------------------------------------------------- [46-2-2-2]共同通信「独立行政法人に数値目標 文部科学省の16法人」 2001.3.30 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/net1771.htm 「...具体的には、国立科学博物館は2005年度の入館者数が百万人に達 することを目指す。標本や資料の収集も前年度比5%増を目標とし、05年度 には保有する標本や資料150万件を電子情報化する。  国立オリンピック記念青少年総合センターは百万人、国立青年の家は140 万人、国立少年自然の家は130万人とそれぞれ利用者を毎年度確保すること を目標として掲げた。(了)」 --------------------------------------------------------------------- [46-2-3]文部科学省協力者会議が医学教育改革のモデル提示 読売新聞ニュース速報2001.3.24 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1764.htm 「文部科学省の協力者会議(座長=高久史麿・自治医大学長)は二十七日、日 本の医学教育の改革案をまとめた。患者に接する機会を大幅に増やし、コミュ ニケーションや安全管理の能力を高めるとともに、モデルとなるカリキュラム を策定することで、医学教育のレベルアップを図る。近く全国の大学に配布さ れる。...」 --------------------------------------------------------------------- [46-2-4]山形大独法問題講演会(2001.3.10)での杉野氏の発言についてのコメント http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1750.html 「この杉野氏の話と、この間文部省調査検討会議でなされている議論や具体案 の検討状況を勘案すると、現在検討が進められている方向での独法化が強行さ れた場合には、法人の長たる学長が学外者(運営諮問会議)の意志で決定され、 全学の運営方針も文部大臣と学外者によって決定され、大学教職員は、それに 従ってどれだけ成果を上げたかだけを一方的に評価されるいわば単純労働者の 身分に貶められるのではないかと危惧する次第です。」 --------------------------------------------------------------------- [46-3]独立行政法人化する国家機関 --------------------------------------------------------------------- [46-3-1]国土交通省独立行政法人評価委員会 委員長 木村 孟 大学評価・学位授与機構長 http://www.mlit.go.jp/singikai/dokuritsu/dokuritsu.html --------------------------------------------------------------------- [46-3-1-1]土木研究所分科会(第2回)議事要旨より http://www.mlit.go.jp/singikai/dokuritsu/a01/a010319.html 「・研究の効率化、高度化のためには、常勤職員に加えてポストドクター(ポ スドク)等を非常勤職員として任用することが有効である。これについてはす でに大学では実施しているので、独立行政法人においても今後検討してもらい たい。」 --------------------------------------------------------------------- [46-3-1-2]建築研究所分科会(第1回2001.3.6)議事要旨より http://www.hs.moc.go.jp/tec/doppo/kenken/1st0306.htm 「・独立行政法人通則法にも示されている「効率性」及び「公共性」という項 目は、特に研究業務においては、場合によっては相反する方向を示すことがあ る。「効率性」を追求すれば、将来大化けするかもしれない基礎研究が十分な されないことも危惧されるので、運営上そのバランスが難しい。...」 [46-3-1-3]建築研究所分科会(第2回2001.3.12)議事要旨より http://www.mlit.go.jp/singikai/dokuritsu/b01/b010312.html 「中期目標(案)及び中期計画(案)について ・「効率化」の指標として数値目標を採用しようという努力はうかがえるが、 数値目標は直ちに効率化に資するものではないという点に注意が必要である。 すなわち、数値目標を示すと、最小限の労力でその数値をクリアすることのみ に関心Tが向かい、それ以上の努力をしない場合もまま見られる。IT化の促 進等で効率化が期待できる部署は重点的にその効果を集中する一方、効率化に は向かない部署には人員配置等の点で手厚く配慮する等、研究所内で効率化の インセンティブが働くような仕組みづくりを目指すべきである。」 --------------------------------------------------------------------- [46-3-1-4]教育機関分科会(第2回2001.3.23)議事要旨より (海技大学校、航海訓練所、海員学校、航空大学校) http://www.mlit.go.jp/singikai/dokuritsu/f01/f010323.html 分科会長 杉山 武彦  一橋大学大学院商学研究科教授 委員  会田 一雄    慶應義塾大学総合政策学部教授  青山 佳世   フリーアナウンサー  井上篤次郎   神戸商船大学名誉教授  北野 蓉子   (社)日本女性航空協会理事長  鈴木 真二   東京大学大学院工学系研究科教授  中井 和夫   (財)日本海技協会常務理事 臨時委員  芦田 昭充   (株)商船三井専務取締役  加藤 俊平   東京理科大学工学部教授  垰野 廣文   たをの海運(株)代表取締役社長  湯浅 康司   日本航空(株)代表取締役副社長 ・議事概要より 3 独立行政法人海技大学校中期計画案について ・養成定員を50%カットするとのことであるが、減るだけでなく、今後増える 可能性がある分野としてはどのような分野があるのか。 4 独立行政法人航空大学校中期計画案について ・養成期間が4ヶ月短縮[]されることとなるが、学生の質が確保されていること について実態調査及び卒業後も含めた追跡調査を行う必要があるのではないか。 5 共通的事項について ・独立行政法人化するに際しては、従来の機関の職員の頭の切り替えが必要で ある。独立行政法人化の趣旨等の周知を徹底すべきである。特に教育訓練につ いては、その教授方法に関連して、個人の個性が非常に影響してくる。そういっ た点も踏まえた評価・査定の手法が重要となる。特に、人事管理の面では、年 功主義を排して、透明かつ公平で、皆が納得できるような教授査定のあり方を 検討すべきである。 --------------------------------------------------------------------- **航空大学校の養成期間4ヶ月短縮について http://www.kouku-dai.ac.jp/taikenki/ 「平成12年10月   航空大学校入学試験受験者各位 「航空無線通信士の資格取得について」    航空大学校では、宮崎の座学を終了すると「航空無線通信士」の資格が取得 できる「無線従事者の長期養成課程」がありましたが、平成13年度入学生から、 修業期間が2年に短縮されることにより同課程が廃止されることになりました。  このため平成13年度入学生からは、帯広課程での操縦訓練開始までに個人で 国家試験を受験して、航空無線通信土又は航空特殊無線技士の資格を取得する ことが求められます。ただし、航空特殊無線技士の資格を取得しても、仙台課 程に進むまでの間に改めて航空無線通信土の資格を取得する必要があります。」 --------------------------------------------------------------------- [46-3-2]「独立行政法人に官出身トップ」日本経済新聞2001.2.16夕刊 http://www.jca.apc.org/toudai-shokuren/dekigoto/010216ne.html 「中央省庁再編の一環として4月に発足する独立行政法人の準備が急ピッチで 進んでいる。独立行政法人は国の実施部門を切り離して設立するもので、政府 をリストラする行政改革の試金石と目されている。経済産業省が初代理事長に 指名した3人は、組織の運営能力を買われての起用だ。もっとも3人とも官の 出身。コスト意識を高めた効率的な経営という民間の風を吹き込めるかどうか は、3トップの意識改革にかかっている。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [46-4]国大協 ---------------------------------------------------------------------- [46-4-1]国大協2000.11総会議事録より 会報第171号(平成13年2月号)p26-50 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/00b/15-kdk-giji.html ---------------------------------------------------------------------- [46-4-1-1]I 報告7.総会傍聴の要望及び会長宛要望の取扱いについて 会長から次の2点について説明し諮られ,異議なく了承された。 複数の国立大学教員から直接,本日の総会の傍聴を認めるよう求められたが, 会則には,傍聴に関する規定はなく,また,これまでに総会傍聴を認めた例は ないので,慣例に従い傍聴は認めないこととし,この旨対応したが,これでよ ろしいか。 また,これとは別に,国立大学教員から会長宛要望書の提出があった。会則に は,「国立大学の教員は協会の事業に関して協会に対して文書をもって意見を 述べることができる」「意見の提出があったときは,会長はこれを担当の委員 会に回付する」「意見の回付を受けた委員会は,必要があると認められたとき は口頭によってその教員の意見を聴取することができる」との規定がある(会 則第28条)。しかし,提出があった要望書の内容は,総会の決議に関わること なので,会長の責任において委員会に回付することもなく,意見聴取もしてい ないが,これでよろしいか。 [46-4-1-2]以上のような報告・説明について,次のような質問があり,これに対し, 長尾設置形態検討特別委員会委員長,会長からそれぞれ見解が述べられた。 [1]設置形態検討特別委員会は独法化を前提に検討されているのか。その軸足 をどこに置いているのか。6月総会において,独立行政法人通則法を国立大学 にそのままの形で適用することに強く反対しつつ,選択肢の一つとして文部省 の調査検討会議に積極的に参加するとし,その一方で,国大協として国立大学 の設置形態について検討する新たな特別委員会を設けることを全会一致で確認 した経緯からすると,独法化を前提として検討するということがあまり前面に 出ることは,そのことと齟齬をきたすことにならないか。 [2]特別委員会の中では,現在の国立大学のままであることも含みながら議論 すべきだという意見もある。だから,どこに軸足を置くかということは必ずし も明確ではないが,仮に法人化されるなら,それが通則法の下でなのか,そう でないのか,あるいは通則法の下であるにしても,どこまで特例法的に考える のか,そういうことを議論してもいいのではないかと思っている。 [3]我々の選択肢は複数あると思う。・国立大学のままで残り定削に耐えてい く,・独立行政法人通則法をそのまま受け入れる,・通則法は受け入れないと いう立場に立ち,たとえば国立大学法人法をつくることをめざす,・私立大学 に移行する,などの可能性が考えられるが,いずれをとるにしても,現在国立 大学がもっている研究教育,社会貢献等の力を弱めてはならないし,今以上に 高める方向にもっていかなければならない。文部省は,来年6月頃までに独法 化についての大まかな線をまとめたいと言っている。この際,調査検討会議各 委員会の主査であり設置形態検討特別委員会各専門委員会座長の各学長には大 いに先導性を発揮していただきたい。今総会はそのための会議だと思っている。 ---------------------------------------------------------------------- [46-4-1-3]以上のような意見交換があったのち,会長から次のように述べられ,当 面する諸問題についての議事を終えた。 [20]国大協として法人化についての方針を出す場合には,当然のことながら, 理事会,臨時総会がもたれることになろうが,それまでは我々は特別委員会及 び専門委員会の方々に検討を付託しているわけで,それらの方々のイニシアチ ブを信頼してすすんでいくことにいたしたい。政治的状況もあり不透明感の中 をすすまざるを得ないが,我々として最も大事なことは,大学における研究教 育,社会への貢献機能が大きく乱されないということであり,それを共有しつ つすすんでいくことだと思うので,各位のご協力をよろしくお願い申し上げる。 ---------------------------------------------------------------------- [46-4-2]国大協への諸団体の申し入れ ---------------------------------------------------------------------- [46-4-2-1]日本科学者会議 2001.3.27 http://www.jsa.gr.jp/03statement/010327youbousyo.htm 「                                2001年3月27日 国立大学協会会長  設置形態検討特別委員会委員長 長尾  真 殿                     日 本 科 学 者 会 議                        事務局長 岩佐  茂               要 望 書  貴殿が作成された「国立大学法人の枠組についての試案」(「長尾試案」) は、国立大学の法人化にあたっては「独立行政法人の基本的枠組を参考に」す るとしており、「独立行政法人通則法を国立大学にそのままの形で適用するこ とに強く反対する」とした昨年6月15日付けの国大協総会の確認事項を逸脱し ている可能性があり、全体として文部省(当時)の「検討の方向」に近づいた ものになっているように思われます。    すでに、経済産業省の官僚が国立大学の法人化法を用意しているとさえいわ れている状況のなかで、国大協が取るべき選択肢は、安易に文部科学省に同調 することではなく、21世紀を見据えた国立大学の大学としての必要な要件を確 固として主張することでなければなりません。国大協が大学人としての見識を 示さず、文部科学省の許容範囲で自らの主張をおこなうならば、それは、さら に、文部科学省の後に控えている総務省や経済産業省の圧力にも屈して、限り なく独立行政法人通則法に沿う方向に進むことを意味するでしょう。  今、国大協に問われていることは、「長尾試案」のような性格のはっきりし ないものを公表することではなく、調査検討会議や設置形態検討特別委員会に おける現時点の論点(対立点)を各国立大学に提示して、議論を喚起し、それ を吸い上げる努力をおこなうことではないでしょうか。  国立大学の独立行政法人化問題の議論が山場を迎えている今、国立大学の将 来に禍根を残さないためにも、国立大学協会会長ならびに設置形態特別委員会 委員長としての貴殿に、このことを強く要望するものです。」 ---------------------------------------------------------------------- [46-4-2-2]北大教職員組合 2001.3.27 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1757.htm http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/htm/2000/tekkai.pdf 「...「試案」はこのように、国立大学の事実上の独法化を国大協自身が率 先して選択しようとするもので、全国の多くの大学関係者が国立大学への独立 行政法人制度ないしはその亜流形態の適用に反対する点では一致しているにも かかわらず、その声を文字通り無視するものです。「試案」に示された態度は、 国立大学の独法化に反対した1997年11月13日の国大協第101回総会「声明」を 何らの理由もなく自ら反故にするもので、国立大学の自殺行為に等しいといえ ます。..」 ---------------------------------------------------------------------- [46-4-2-3]国大協への署名運動世話人より 2001.3.26 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/kdk-shomei/01326-to-kdk.html 「設置形態検討特別委員会              2001年3月26日    委員各位  仲春の候、ご健勝のこととお慶び申し上げます。国立大学の独立行政法人化 問題が重大な局面を迎えるなか、日頃のご努力に敬意を表します。  私たちは、独立行政法人化の最大の問題点は学問の自由と大学の自治を脅か す点にあると考えます。申すまでもなく、学問の自由は憲法が保障する他のさ まざまの権利・自由と同様、人類が長い年月をかけて戦いとってきた貴重な財 産であり、私たちはこの財産を次世代に引き継ぐ責任を負っています。  先日発表されました、「国立大学法人の枠組みについての試案」(「長尾試 案」)は、上記の観点から見るとき、独立行政法人の基本的枠組みを参考にし て制度を作るとした上で、国家による指揮・監督・評価を容認するなど、きわ めて問題の多い案であり、実質的な独立行政法人化の容認につながることが懸 念されます。  このような妥協案は、昨年6月の国大協総会の確認事項第一項、総会後の記 者会見における会長発言、そして、十一月末の設置形態特別委員会での合意事 項を、真の「対案」への国大協の決意表明と理解していた多くの大学関係者の 信頼を裏切るものと言えましょう。  私たちは、かかる形での決着を危惧し、昨年7月以来、国大協が独法化を前 提とした文部省調査検討会議への参加を取りやめ、真に大学の独立を確保する 国大協独自案の作成の上、国民の判断を仰ぐよう求める要望書の賛同者を募っ て参りました.このたび、国立大学教職員819名、学術教育関係者を含む各 界から86名の賛同を得ましたので、賛同人名簿を添えて送付させていただき ます。各界の多数の著名人の賛同は、独法化に対する広範な人々の強い危惧の 表れであることを、ぜひご理解いただきたく存じます。  委員各位が、大学の使命に思いを致され、真に学問の自由を確保する案づく りに取り組まれることによってしか、国民からの将来に亙る理解と支持を得る 道はないことを直視されて、妥協の道から引き返して下さいますようお願い申 し上げます。                        北海道大学  辻下 徹                        佐賀大学   豊島 耕一                        岡山大学   野田隆三郎 (添付書類の説明) 1. 国大協会長への要望書 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/kdk-shomei/index.html#youbousho 2. 署名の呼びかけ(継続の趣旨) http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/kdk-shomei/index.html#keizoku  署名は昨年夏から取り組んで参りましたが,その後の事態の進展を踏まえて  昨年暮れに再度署名を呼びかけた際の文章です. 3. 署名運動の支持者ならびに署名者の名簿 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/shiji.html 4. 「長尾試案」に対する私たち世話人による批判文 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/kdk-shomei/index.html#nagao-shian ---------------------------------------------------------------------- [46-4-3]蓮實重彦前国大協会長(会報171号)巻頭エッセー 『生きものとしての大学には「改革」よりも「変化」がふさわしい』 http://www.ac-net.org/doc/01/210-hasumi.shtml 「実現すべき「変化」を前にして,個人の責任において事態に対応することと, 集団の合意にもとづいてこれを処理することのどちらがより有効に機能し,な おかつ倫理にかなった身振りなのでしょうか。それが,4年前に東京大学の総 長に就任していらい,たえずわたくしの心をとらえていた問題であります。は た目にはみえないかたちでわたくしを深く思い悩ませていたのは,大学が,教 育研究機関としての制度的な側面としてより,接しかた一つで溌剌とした表情 をおびもすれば目にみえて消耗しもする微妙な生命体のように思われていたか らです。阿部謹也前会長のあとをうけて国立大学協会の会長という責任ある地 位についた一年半前から,その悩みがさらに深刻な問題となったことはいうま でもありません。協会の会員校である99の大学がそれぞれに個性的な生きもの であるなら,そのすべての生命に対して真の責任をとるためには,どうするこ とが最善の方法なのか。それがなかなか鮮明には見えてこなかったのです。  もちろん,この協会独特の慣行や規則と,より普遍的な民主主義の原理にも とづいた合意の形成がすべての基盤にあることは当然です。事実,わたくしは, 自分の大学においても,また国大協においても,それを原則として振る舞って まいりました。だが,それは,大学を制度ととらえ,それにふさわしく振る舞 おうとする態度を維持してきたという,いかにも制度的な確認にすぎません。 もちろん,あらゆる場合に,合意の形成に必要なステップを慎重に踏むのは当 然としても,学長なり協会長なりが,たんなる制度的な調整役に徹していたの では,生命体としての大学にこそふさわしい積極的な「変化」の到来など,望 むべくもありません。ある種の制度なりシステムなりが有効に機能しており, 大がかりな「変化」が緊急の話題とはなっていないときなら,調整役の仕事は それなりに評価されるでしょう。しかし,システムそのものの健康が疑問視さ れ,大学というこの厄介な生命体を活気づけるための勢いづくりが問題となっ ているとき,たんなる調整役はその限界を露呈せざるをえません。日本社会は, いま,そうした時期にさしかかっているはずであり,大学もまた,明らかに同 じ問題に直面しております。  誤解のないようにすぐさまいいそえておきますが,そうした問題がわたくし の心を悩ませていたのは,「大学改革」の名のもとに誰もが無責任に口にする あの「学長のリーダーシップ」といった問題などとはいっさい無縁であります。 また,実現すべき「変化」と冒頭で呼んでおいたものも,国立大学がそれにな るか否かの是非が問われている「独立行政法人」問題とは,いっさい関係があ りません。わたくし自身としては,「改革」という言葉が口にされるや否や, そこに共有されるいささかこわばった義務の意識が,生きることの根源にある 「変化」への潜在的な資質をあっという間に奪ってしまうことが気がかりでな らなかったのです。実際,「政治改革」や「行政改革」の最近の推移が示して いるように,「改革」を語る人びとのほとんどは滑稽なまでに変化を恐れてお り,しかも彼らは,その矛盾にさえ無自覚なのです。だから,生命体としての 「政治」や「行政」ではなく,制度やシステムをいくぶんか手直しすることで 何かをやったつもりになってしまうのです。しかし,そんなところに,好まし い「変化」など生まれるはずもありません。  わたくしが大学に「変化」を求めているのは,大学をいかようにも「改革」 可能な制度としてではなく,多様な「変化」への可能性を見失ったとたんに死 滅への道を歩む微妙な生命体とみなしているからにほかなりません。実際,世 界をふと見わたしてみただけで,「元気」な大学と,あまり「元気」には見え ない大学がいたるところに共存しています。そして,「元気」な大学では, 「改革」などとは無縁に,いたるところで好ましい「変化」が起こっているの です。しかも,その背後には,きまって信頼すべき学長の影が見え隠れしてい ます。それが大学であろうとなかろうと,そのあらわれが多様であることだけ が定義である生命体の「元気」さに触れ,できればさらなる「変化」ヘの潜在 的な資質を顕在化させることが,わたくし個人にとっては無上のよろこびであ ります。集団的な合意形成へのステップを慎重に踏みながら進んで行くのは必 要な手続きだとは知りつつも,それは,どこかで,多様に「変化」することが もたらすよろこびに背をむけることにもなりかねない。これは,制度である以 前に,なによりもまず生命体としてある大学の勢いを高め,より溌剌とした表 情におさまることに貢献すべきだと思っているわたくしの,生の倫理にかなっ た姿勢とはいえないのです。 「制度改革」には,多くの時間とエネルギーが必要とされます。しかも,ほ とんどの場合,それがもたらす成果は情けないほどわずかなものでしかありま せん。それは,これまで日本で行われた「制度改革」なるものが示している現 実にほかなりません。「制度改革」などと太袈裟にかまえなくとも,意識ある 人びとが触れただけで好ましい「変化」を実現する細部が,大学にはいたると ころにそなわっています。どうして,生命体としての大学が「元気」になるこ とを,社会は望まないのでしょうか。それは,官僚にも,政治家にも,そして 恐らくはマスコミにも,生命体としての大学というものが見えてはいないから なのです。あるいは,そんなものが存在するという想像力が,彼らに徹底して 欠けているのかもしれません。生命体としても大学の活力はちょっと触ればわ かることなのですが,社会にはその触覚がそなわってはいないのです。  おそらく,この触覚に例外的に恵まれているのは,大学の学長であるはずで す。そうした資質の持ち主が99人もそろっておられる国立大学協会で,わたく したちは,生命体としての大学の健康について,意義ある言葉を語りえたでしょ うか。外圧によって大学の「制度」について心を砕くあまり,刺激しだいでは いかようにも「変化」し,にわかに溌剌とした表情もおびれば,たちどころに 衰退してしまいもする生きものとしての大学の真の健康を,どこかでないがし ろにしていたのではなかったでしょうか。ことによると,それは,個人の資格 で事態に対処することをおこたってきたわたくし自身の個人的な責任かもしれ ません。それが,会長を辞するにあたってのわたくしの心をいまなお悩ませて いる倫理的な気がかりにほかなりません。 2001.2.10」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [46-5]大阪大学教職員組合「大学憲章(案)」 http://homepage2.nifty.com/‾yuasaf/news/univ_charter.pdf html.. 01/327-osaka-u-kenshou.html 大阪大学憲章(案) 大阪大学は地域に生き世界に羽ばたく知的共同体として、真理の探究とその成 果 の応用によって人間生活を豊かにするという歴史的・社会的使命を貫徹す るため に、教育と研究の理念を定め、構成員が自ら負う社会的責任を国民の 前に明らかに し、第四権的存在としての高等教育機構の1 つの機関としての 任務を遂行する。 大阪大学は、科学が真に人間の生命の尊厳を具体的に発展 させる「知の体系」を 確立し、人間に及ぼす否定的な面を制御し生態系の維 持発展と人間の限りない生存 を保証するために、人文科学、社会科学、そし て自然科学の統一的発展を目指し、 社会と自然に関する高度な教育と研究を すすめる。 1 .社会的使命 1)世界平和の達成のために社会的正義をもった健全な市民を養成する 2)高度な科学と技術の教育と研究を通じて地域の発展に寄与する 3)アジアにおける科学技術の交流と協力、および教育的連繋を推進する 2 .教育と研究の目標 1)人間の尊厳をもとめる絶対的生命観の確立を目指す 2)sustainable society 論を実践する 3)概論教育の徹底と高度な専門教育・研究との調和的発展を目指す 3 .教育と研究の体制 1)企画・立案、実施・評価を自ら実行し、財政的に自律できる機関を目指す 2)基礎的分野と応用的分野、人文・社会・自然科学の横断的・調和的発展を 期す 3)知の創造のために教育と研究の自由を確立する 4 .大学運営のあり方 1)構成員の自律性や自発性を鼓舞する確固たる自治財源と組織を構築する 2)教育と研究の理念、目標、決定などに、学生、事務系職員、技官系職員、 教員の意志を反映し、構成員の経営参加を鼓舞するとともに、決議機関と しての評議会および教授会とともに労働組合参加の下に全学協議機関を設置 する 3)教育と研究を自己点検し、結果を公表する ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [46-6]文献・報道紹介 ---------------------------------------------------------------------- [46-6-1]朝日新聞連載:!大学はどこへ「産学連携」はいま(2001.3.16-18) http://www.jca.apc.org/toudai-shokuren/dekigoto/0103daigaku.html ---------------------------------------------------------------------- [46-6-1-1] 新産業つくれ 早慶戦(2001.3.16) http://www.jca.apc.org/toudai-shokuren/dekigoto/010316a.html 「早稲田大学内で昨年から、5年という期間限定の研究所が相次いで設 立された。その数約60。奥島総長は「5年後に大半がつぶれても、21世紀 の早稲田を支える研究所が、一つでも出てきてくれればいい」と期待する。  慶応側も「学問・研究は急速に進歩しており、5年もたてば時代が変わる。K 2も10年ほとで壊してしまい、別の形のものにすることになろう」という。」 ---------------------------------------------------------------------- [46-6-1-2]大学と産業界から(2001.3.18) http://www.jca.apc.org/toudai-shokuren/dekigoto/010318a.html ---------------------------------------------------------------------- 木本忠昭東京工業大学教授「大学の目指す道−−採算割れでも長い目」 「...日本経済が失速したため、国際競争力の向上がことさら叫ばれている。 しかし、競争力向上だけでは、先進各国と発展途上国との格差はますます開い ていくだろう。21世紀はむしろ全地球的な視野から国際協調に力を注ぎ、途 上国の人々とわれわれが同じ水準になることをめざす時代。競争のための製品 開発という発想には限界がある。 ...(談)」 ---------------------------------------------------------------------- 小野田武三菱化学顧問「企業からの注文−−知を結集し新産業を」 2001年3月18日 朝日新聞 朝刊 「...日本では、理工系の高度な研究機能は圧倒的に国立大学にあり、国の 研究資金の大部分が投じられてきた。新産業を創出する基盤として、この研究 機能の活性化が欠かせない。国立大の独立行政法人化は、それぞれの創意工夫 を促し、社会と共に歩む大学に生まれ変わる好機になるだろう。  研究資金の配分は、教官の人数などの外形基準以外に、社会の課題への貢献 などで軽重をつける競争部分を増やす必要がある。米国は競争的資金の割合が 3−40%を占める。日本は10%にも達していない。...(談)」 ---------------------------------------------------------------------- [46-6-2]「強まる新・能力主義への動き」生産性新聞2001年3月25日号 http://www.jpc-sed.or.jp/mpd/syucyo/syucyo010325.htm 「当本部の調査でも、評価制度に「特に問題はない」という企業はわずか50%に 過ぎず、大多数の企業は評価制度に問題を感じている。とりわけ重大な問題は、 成果主義の徹底により短期的な業績や結果を追い求めるあまり、コンプライア ンスに則った中長期的な企業の発展やそれを支える人材の育成などがおろそか になるとの懸念があることだ。」 ---------------------------------------------------------------------- [46-6-3]文献紹介「競争社会を越えて」 「競争社会をこえて−−ノー・コンテストの時代」 アルフィ・コーン、山本 啓/真水康樹 訳 法政大学出版局1994年 叢書ウニベルシタス436(原著1986年) ISBN 4-588-00436-0 http://www.ac-net.org/doc/01/331-no-contest.html 「現代の社会を競争的でなくしていけるかどうかは、最終的には、構造的な競 争をなくしていけるかどうかにかかっている。残念ながら、どのような構造的 な変化をもたらす場合にも、ものすごい抵抗が予想されるわけであり、それを のりこえていくことがもとめられる。どのようにしたら変化をおしすすめてい くことができるのかということよりも、どのようにしたら変化を阻止できるの かということについて述べるほうがずっと容易である。そこで、そのような気 持ちをもっている人びとのために、現状を永続させていくための簡単な方法を 五つあげてみよう。 1 視野を限定してしまうこと たとえば、...(有毒な廃棄物の不法投棄から政府高官の収賄まで)それぞ れの組織がおかす犯罪の例をまるで真空のなかでおこったことのようにあつか いつづけるならば、こうした行為をまねくことになったシステムをまんまと生 きのびさせてしまいかねないのである。 2 順応すること 現状をそのまま維持していく最良の方法は、ひとりひとりの人間が現状のもと める要求に確実におうじるようにするということである。...制度の枠内に おいて、既存のルールにしたがって成功しなければならないのである。うまく やるということは、適合するということであり、適合するということは、自分 が適合している構造を強化することになってしまうのである。 3 自分自身について考えること ....自分のことはきちんとやり、そのほかの世の中のことはなりゆきにま かせておけばいいのだ。現存する構造を永続化させていくのに、これほどうま い手があるだろうか。.... 4 「現実的」であること さいわいなことに、よりおおきなシステムを擁護する必要はなにもない。ぎゃ くに、システムを非難する人に共感を示しながら同意することもできるのであ る。しかし、システムを非難する人に同意する場合にも、同時に、肩をすくめ てみせることが決定的に重要なのである。おおきな状況の流れにたいしてどう しようもないものだということを強調するためには、「好むと好まざるとにか かわらず」とか、「それがまさに現実なのだ」といったことばをどんどんつか うべきなのである。いうまでもなく、このように無力であることを強調するの は、じつはたいへんな力を発揮する。というのは、このように無力であること を強調すれば、事態が、まさに現在のままの状態に放置しておかれるのは確実 だからである。....  現実主義にうったえていけば、社会の変化を助長してしまいかねないような 制度(たとえば立法部、大学、マスメディアなど)を、現状を反映するだけの ものに確実にとどめておける。民主主義、正確な記述、公正なジャーナリズム などそれぞれの名において、これらの制度を骨抜きにし、現存するものはどん なものだろうと、それを永続させるための強力な手段にしてしまうことができ るのである。... 5 合理化すること ....社会の構造そのものを問題にしないですむような、ささやかな改革を 行うためにだけ働くのもいいだろう。こうした構造の一部に組みこまれること によって、自分の地位をたかめようとする一方で、問題があると確信をもって いえることにたいして自分の才能をふりむけることもできるのだ。...シス テムの一員としてくわわることこそ、そのシステムを変化させていくもっとも 有効なやり方なのだといって合理化することもできる。こういう論法をうけい れ、その例にならう人びとがおおければおおいほど、そのシステムはますます 安定することになる。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [46-7]謝辞 以下を主に参考にしています。 ・メーリングリスト高等教育フォーラム he-forum http://www.zendaikyo.or.jp/mlopen.htm ・メーリングリスト大学改革情報 reform http://www.edugeo.miyazaki-u.ac.jp/reform/reform-ML.html ・メールマガジン ED-News http://ednews.zkai.co.jp/ed/ ・全大教近畿速報 http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/index.htm ・独立行政法人化反対首都圏ネットワーク http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nettop.html ・東大職連「最近のできごとと話題」 http://www.jca.apc.org/toudai-shokuren/dekigoto/dekigoto.html ・Googole検索 http://www.google.com/intl/ja/ ・Metach Search http://bach.seg.kobe-u.ac.jp/metcha/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者: 辻下 徹 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/ e-mail: tujisita@geocities.co.jp 発行部数 1949 (2001.3.31現在)  Mag2:693|CocodeMail:349|Pubzine:87|Macky!:45|emaga:24|melma:20  直送(含北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・議員等):732 Digest版 発行部数 1652(北大), ML(he-forum,reform,aml,d-mail) --------------------------------------------------------------------------- End of Weekly Reports 46 ============================================================================
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