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Weekly Reports No.51 2001.5.7 Ver 1.1
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総目次:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html
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【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題を広い視野から考えるのに役立つ
と思われる情報(主に新聞報道・オンライン資料・文献・講演会記録等)を紹
介。種々のML・検索サイト・大学関係サイト・読者からの情報等に拠る。
メール版で省略されている部分はウェブ版参照。ウェブ版は目次番号が記事
にリンクされている。転送等歓迎。
【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ
ひ読んで頂きたいもの。
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[51-0] 内容紹介
[51-1] ◆総合科学技術会議ホームページ
[51-1-1] 第1回総合科学技術会議2001.1.18議事録より抜粋
[51-1-2] 第2回総合科学技術会議2001.2.15議事録より抜粋
[51-1-3] 第3回総合科学技術会議2001.3.22議事録より抜粋
[51-2] 先行独立行政法人の諸問題
[51-2-1] ◆「先行独法、中期計画に“年間1%の事業費効率化=削減”」
[51-2-2] 国立美術・博物館「独立」から1カ月 ほしかった自由、熟考の時間
[51-3] 「国立病院再編*やみくも過ぎないか」
[51-4] 第9回国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会(2001.4.19)配付資料:
[51-5] ◆静岡大学「独立行政法人化問題等検討会報告書」
[51-6] 国立19大学地球科学系学科主任会議、国立大学独法化に深い懸念を表明
[51-7] ◆「国大独法化阻止 国民ネットワーク」(仮称)結成、北大での呼びかけより
[51-7-1] 「国大独法化阻止 国民ネットワーク」(仮称)結成の呼びかけ
[51-8] 5.18緊急大集会
[51-8-1] 東大教官OB団有志、5.18集会参加準備開始
[51-8-2] 「5.18国立大学の独法化に反対する緊急京都大学集会」(京都大学職員組合主催)
[51-8-3] 独法化反対委員会ニュース(京都大学職員組合)2001.4.17 号
[51-9] 5.9 私学高等教育研究所公開研究会「世界の私学化の潮流と日本の私立大学」
[51-10] ニュースより
[51-10-1] 「北海道大学の新学長に中村睦男教授−−きょう就任/北海道」
[51-10-2] 全国有力私大、学校事務外注化 7月までに受託会社設立
[51-10-3] ◆「成果主義の正体はノルマ押し付けだった」(週間ポスト 2001.5.4・11号)
[51-11] 意見・サイト・文献紹介
[51-11-1] 独立行政法人推進派
[51-11-2] 長谷川氏「最近の動き」(2001.5.2):新内閣に関連する考察
[51-11-3] ◆竹田 保正氏による新サイト「理系大学人の発言と行動」より
[51-11-4] 竹田 保正著「内なる大学改革‐理系大学人の発言」
[51-11-5] ◆北沢 栄「公益法人ーー隠された官の聖域ーー」
[51-11-6] 北沢 栄氏 Online Journal NAGURICOM
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[51-0] 内容紹介
[51-0-1]総合科学技術会議に形骸化の恐れがあることを以前指摘したが、3回
分の詳細な議事録[51-1]を見ると「発言は2分ずつでお願いします」「全体で
7、8分でお願いします」といった議事運営であることがわかる。しかも、そ
の短い発言時間は居並ぶ閣僚達の発言だけで時間切れになっている。
学術関係者は専門委員会での検討結果の報告以外に発言を期待されていない
ような会議で、大企業・財界の意見をほとんどそのまま取り入れた学術政策が
策定され、次期5年間に「24兆円」を投入が決まる、しかも、過去5年間1
7兆円の使途さえ分析もされず明確に公表すらされていない中で、「24兆円」
を徹底した競争原理に基づいて使う、という方針が決められたことになる。偏っ
た考えと価値観の集団が日本社会の学術・文化全体を制御し吟味を受けないシ
ステムの孕むリスクの大きさには底知れないものがある。
なお、産業界議員の応援団「産業人会議」[49-5]は早々と出来た。金も時間
も人も余裕がない学術セクターではあるが、奮起して、学術委員応援団を早急
に結成すべきではないか。
[51-0-2] 静岡大学の「独立行政法人化問題等検討会報告書」[51-5]は、大学
の理念を見失わずに、直面する諸問題を詳細に緻密に吟味している。重要な論
点の指摘や、冷静な予想、新たな提案などが数多くあり、国大独立行政法人化
問題の現状の全体像と詳細とを知ることのできる貴重な文献である。
事務職員・学生・院生等の大学運営への関与の意義も明確に述べており、前
回に述べた懸念への喜ばしい反例となっている。
[51-0-3] 最近発行された「公益法人」(岩波新書)[51-11-5]を見ると、「小
さな政府」政策が日本では実は「見えない政府」を大きくして、財政を更に逼
迫させるものであることがわかる。国や自治体の業務をアウトソーシングする
とき、「公益法人」に委ねられる。その数は約2万6千、職員数約55万人、
そして驚くことに理事数約42万人という。年間支出約20兆円で、莫大な税
金が種々の形で公益法人に流れるが、税制的な優遇を受けていながら財務的監
視が全くない。しかも、主務官庁の天下り天国で、莫大な税金が腰かけ理事の
退職金に使われていることになる。そのためか、理事名を問い合わせても教え
ない法人もあるという。
弱小国家機関や、数十しかない特殊法人の整理を行革のターゲットとするこ
とは公益法人問題から目をそらす効果を持つ。新内閣は、財政逼迫の本当の原
因に迫ることができるのだろうか、本当に公益法人問題に踏み込めるのだろう
か。中央省庁の全職員の利害にからむこの問題に、どこまで新内閣が踏み込む
かで、その力量と意思が測られるだろう。国民にとり重要な国家機関の民営化
や特殊法人改革でお茶を濁すようでは信用を完全に失うだろう。
[51-0-4] 著者の北沢氏が発行しているオンラインジャーナルで、行革会議の
非公開の議事録が紹介されている[51-11-6](これらは、情報公開法により公
開請求できるものと思うが)。食糧庁、水産庁、林野庁が独立行政法人化容認
に傾き、資源エネルギー庁、中小企業庁が流動的で、消防庁・防衛施設庁も検
討し始めた段階で、マスコミ関係者委員の発言で文化庁の独立行政法人化が問
題視され、それを機に他庁の独立行政法人化が立ち消えとなり、国立研究所・
試験場等の下部機関だけが独立行政法人化されることになった、ということら
しい。
[51-0-5] 竹田保正氏が「理学系大学人の発言と行動」というサイト[51-11-3]
を開くと共に、「内なる大学改革‐理系大学人の発言」[51-11-4]を出版した。
行政主導の未曾有の大学改革により大学本来の機能が大きく損なわれることが
明らかな状況で、国立大学の構成員が沈黙・消沈していることが、私立大学サ
イドから見て不審に思うという趣旨を述べている。
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[51-1] ◆総合科学技術会議ホームページ
http://www8.cao.go.jp/cstp/
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[51-1-1] 第1回総合科学技術会議2001.1.18議事録より抜粋
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu02/siryo4.pdf
【笹川科学技術政策担当大臣】議題(3 )総合科学技術会議の今後の審議方
針について。それでは、議題(3 )に入ります。先ほどの総理のごあいさつ
を踏まえて、総合科学技術会議の今後の審議方針について御自由に発言をいた
だきたいと思います。なお、時間に限りがございますので、まことに恐縮でご
ざいますが、御発言は1 人2分程度でお願いできれば、まことにありがたい
と思っております。
【白川議員】今回、科学技術基本計画について取り上げられる重要な問題とい
うのは、いずれも地球規模に広がるということと、万人がその恩恵をこうむる
ということで共通しているだろうと思うんです。そういう意味で言うと、科学
技術の意思決定というのは、もちろんそれを行う産官学ということではありま
すけれども、国民もまた重要な役割を演ずる、果たさなければならないんだろ
うというふうに思っております。そのためには、この科学技術に対する国民の
関心と理解を得る必要がある。そのためには、この総合科学技術会議の審議が
国民にわかりやすい形で伝わる、風通しがいい、透明性がいいという必要があ
ると考えています。
科学技術創造立国ということを目指すということは、とりもなおさず、いい科
学技術を生み出すということもあるわけですけれども、その根本というのは、
結局は、人づくりにあるということじゃないかと思うんですね。しかも、その
人づくりというのは、個性のある人づくりを目指さなければならない。しかも、
個性を持つということは、他人の個性をも認め、評価をするということですか
ら、そういうことについて、これから十分にいろいろな施策を行っていただけ
るようにお願いしたいと思います。以上です。」
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[51-1-2] 第2回総合科学技術会議2001.2.15議事録より抜粋
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu03/siryo6.pdf
【吉川議員】・・・・そういう中で、総合科学技術会議というのは非常に重要
な役割をしているわけで、総合科学技術会議は今の観点から言えば、それは政
策決定者に対する最終的な予算を含んだ提案者として、責任を持つ内容をまと
めるということだと思うんです。しかし、その提案の基になる原案をつくる人、
これが非常に問題で、私はこの原案作成者というのは、科学者である場合もあ
りますし、そうではなくて政府機関である場合もあるし、また民間人である場
合もある。あるいは、一般国民全体であると。そういったところからさまざま
な科学に対する期待感とか提案があって、それはいろんな形でこの総合科学技
術会議が集約しなければいけない。吸収していくということが必要だと思うん
です。そのメカニズムが現在必ずしも十分できていないというのが、私の心配
なところで、さまざまな懇談会、先ほど井村先生からお話がありましたような、
ポスト・ゲノムなどもいずれも懇談会というものをつくって、それを上げてく
るわけですが、うまくいっている例でございますけれども、なかなかそれが全
般的な一つのスタイルとしてまだ定着していないと、その辺を総合科学技術会
議としても十分考える必要があるというふうに思っております。
【石井議員】・・・・ところが、我が国の場合にはそう簡単ではないわけであ
りまして、一体世界にとって、国際社会にとって日本は何なのだということが
不明確なまま、我々が科学技術を振興するということになりますと、一体これ
はどういうことなんだろうかと。これがやはり国際的には理解されにくいよう
に思うわけであります。ここで、やはり日本が果たすべき役割があるのかなと。
つまり、最も我々は古くから文化の違い、西洋文化と我々の文化との違いを実
感し苦闘してきた経験を持っているわけであります。こういう意味で、わが国
は文化の多様性の守護者として国際的な貢献ができるのではないんだろうかと
いうふうに思っております。
【白川議員】石井議員の発言に関連するんですけれども、この3つの目指すべ
き国の姿ということの統合としては、やはり貢献するだけじゃなくて信頼され
る国になってほしいと思うんです。これまで、科学技術でどの程度国際的な貢
献があったかどうかはわかりませんけれども、経済的には相当の貢献をしてい
るはずなんです。
ところが、本当に信頼されているかということになると、少し首をかしげざ
るを得ないという面もあるということで、それをどうするかということはこれ
から議論をするということですけれども、何とか総合戦略に理念の一つとして、
既に十分な議論が重ねられてこの3 つが出てきたんですけれども、世界から
信頼される国という文言を加えて、一つの柱にしていったらどうかという提案
をいたしたいと思っております。」
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[51-1-3] 第3回総合科学技術会議2001.3.22議事録より抜粋
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu05/siryo7.pdf
【笹川議員】それでは、ただいま御説明いただきました答申案につきまして、
総合科学技術会議の答申として決定させていただきますが、よろしゅうござい
ますか。
(「異議なし」と声あり)
【笹川議員】御異議がないようでございますので、本議題については、原案ど
おり決定し、内閣総理大臣に答申することといたします。
(3 )科学技術振興調整費の活用に関する基本方針及び平成13 年度の科学
技術振興調整費の配分の基本的考え方について
#(桑原議員の説明の後)
【笹川議員】(科学技術政策担当大臣)
それでは、本議題につきまして、皆様から御発言をいただきたいと思いますが、
時間に限りがございますので、誠に申し訳ありませんが全体で7 、8 分で終
わらさせていただきたいと思いますので、御発言のある方はひとつ挙手をお願
いします。
【町村議員】(文部科学大臣)・・・
【小坂議員代理】(総務副大臣)・・・
【桝屋議員代理】(厚生労働副大臣)・・・
【高橋議員代理】(国土交通副大臣)・・・
【平沼議員】(経済産業大臣)・・・
【川口議員】(環境大臣)・・・
【谷津議員】(農林水産大臣)・・・
【笹川議員】ありがとうございました。ほかに何か御発言ございますか。よろ
しゅうございますか。どうぞ。・・・
【桝屋議員代理】(厚生労働副大臣)・・・
【桑原議員】(日立製作所副会長)調整費につきましては、御担当の各省の方々
から大変積極的な御意見をいただきました。要は、総合科学技術会議が本当に
司令塔となって動けという御指示が大半でございまして、私ども各省と連携取
らせていただきながら、是非そういうことで実現してまいりたいと思っており
ます。よろしくお願いいたします。
【笹川議員】
どうもありがとうございました。それでは「科学技術振興調整費の活用に関す
る基本方針」及び「平成13 年度の科学技術振興調整費の配分の基本的考え
方」について、原案どおり決定し、森内閣総理大臣に対して意見を申し述べる
こととしますが、それでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
【笹川議員】それでは、御異議がないようですので、本議題については原案ど
おり決することといたします。平成13 年度の科学技術振興調整費の配分方
針の策定に向けて、本日の決定に基づき、文部科学省において公募等の具体的
作業を進めていただくことといたします。その間、私と有識者議員の方々で、
平成13 年度科学技術関係予算の執行予定の状況、応募の結果等を踏まえて
配分方針案をまとめ、会議の場に提出させていただきます。
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[51-2] 先行独立行政法人の諸問題
[51-2-1]◆「先行独法、中期計画に“年間1%の事業費効率化=削減”」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010505jimukyoku.html
「さる4月1日独立行政法人となった機関の中期計画をHPで調べたところ、経
済産業省,文部科学省,農水省関係の主だった独法は,どこも,運営費交付金
をあてる事業費の毎年1%効率化をうたっていることが判明した(表現は「中
期目標の期間中、毎事業年度につき1%の業務の効率化を図る」と規格化され
ている)。効率化とは削減の別名である。農水省関係には,人件費を除くとい
うただし書きがあるが,文部科学省・経済産業省関係には,そのただし書きは
みられない。関係者の情報によると、この1%条項については,3月になって
中期計画への挿入が、主務省庁から事実上強要されたとのことである。また、
自己収入の増加も要求されており、「自己収入の増加に努める。また、自己収
入額の取扱いにおいては、各事業年度に計画的な収支計画を作成し、当該収支
計画による運営に努める。」との規格化された一文が盛り込まれている。公表
されてはいないが、収支計画では具体的な増収計画、例えば各事業年度ごとに
1%という数字が明示されていると伝えられている。この点は、さらに調査を
続行する必要がある。」
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[51-2-2] 国立美術・博物館「独立」から1カ月 ほしかった自由、熟考の時間
『朝日新聞』2001年5月6日付
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1892.html
「 国立美術館・博物館7館が、効率化を求める行政改革の一環で「独立行政法
人」になって1カ月たった。初めに行革ありきで、広範な議論のやりとりもな
く進められた準備はいかにも拙速だったと、いまさらながらにして思う。
・・・これまで金曜は午後8時までだった夜間開館が、今後は特別展開催中の
金曜だけになるという。常設展の夜間入場料収入では人件費や光熱費に見合わ
ないからだ。「効率化」は早速こうしたサービス低下で現れた。・・・」
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[51-3] 「国立病院再編*やみくも過ぎないか」
『北海道新聞』社説2001年5月4日付
#(中央省庁の巧妙な「立ち枯れ作戦」による日本社会の荒廃を食い止める方
法を納税者は真剣に考えはじめなければならない。)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/hethe1890.html
「・・・・
道内で廃止が明確にされたのは、帯広病院との統合を示されていた十勝療養
所(十勝管内音更町)、経営移譲が予定されていた稚内、登別、弟子屈(釧路
管内弟子屈町)の四病院だ。
この結論に至る経過を振り返ると、再編に向けた国の強硬な姿勢に、不信感
が膨らまざるを得ない。
計画で経営移譲とされた病院は本来、診療機能や地域での役割が認められて
いたはずだし、存続のための特典を設けた特別措置法も制定された。
それが地元自治体でも引き受けられなかったのは、厳しい財政事情や過疎の
進展などで経営見通しが立たなかったためだ。措置法の限界もあった。
弟子屈では道厚生農業協同組合連合会が運営する新病院が国立の業務を引き
継ぐ。しかし、町が建設費三十六億円などを負担する事態だ。
温泉リハビリを特色にした登別の廃院の遠因には、医師配置などを怠った
「立ち枯れ作戦」の実施も指摘される。やみくもな手法といえよう。
道内の再編には当初から、無理があるのではないか。地域住民の不安がすっ
かり解消されるまで、国立としての存続も選択肢だったはずだ。」
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[51-4] 第9回国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会
(2001.4.19)配付資料:
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/01/501-kyouikudaigaku.html
「国立の教員養成系大学・学部の組織・体制の在り方の検討について(案)」
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[51-5] 静岡大学「独立行政法人化問題等検討会報告書」
http://www.shizuoka.ac.jp/dokuhouka-monndai.html
提言−まとめにかえて
・・・・
I章 組織業務
1 基本的な考え方
(1) 高等教育・学術研究における国の役割と国が責任を負うべき大学
国立大学の独立行政法人化は、独立行政法人通則法(以下、通則法という)の
下では到底認められるものではなく、少なくとも何らかの「特例」法を必要と
するというのが大学関係者の共通理解である。もちろん、その場合でも、国立
大学が現在および将来の日本社会においてどのような責務をはたすべきであり、
そのためにその形態がいかなるものであるべきかという視角を欠くことはでき
ないが、この点に関連して、しばしば、高等教育・学術研究における国の「役
割」ないし「責任」論が強調されている。
具体的には、競争的環境の下で生き残りを図りつつ、国(政府)の政策に奉仕
しうるような大学への再編を行うべきことが、国立大学の設置者が国であると
いうことから導き出されている。そして、文部科学省も、国立大学を独立行政
法人化した後にも国が大学の設置者であることは変わらないとしており、独立
行政法人化以後の大学に対する評価の視点として、「独立」行政法人の名称に
も関わらず、このような国の役割・責任論がさらに強く求められる可能性はき
わめて高い。
しかし、これに対して、高等教育・学術研究は、本来、時の政府に奉仕する
ことを目的とするものではなく、また、国が、間接的な手法(例、予算配分等)
をつうじて研究領域の方向づけを行うことが許されないことも、学問の自由を
保障する憲法の規定からすれば自明のことである。したがって、国の役割・責
任とは、研究者の自治・自律と倫理に依拠して行われる教育研究の基盤を整え、
またそのような環境を積極的に充実させていくところにあることを、国立大学
の独立行政法人化に係る制度設計に際しても再度明確に確認しておく必要があ
る。
(2) 納税者や社会の視点から見た国立大学のあり方
大学の現状を批判的に指摘する際に、国立大学の運営が国民の税金に依存して
行われていることから、その効率化・透明化を強く推進すべきであるといわれ
ることがある。しかし、現実には、この論議は、高等教育・学術研究の自治と、
社会からの信託を受けた民主的な大学の運営との調和を模索するための提言と
いうより、高等教育・学術研究のあり方をはじめとする大学の自治を、大学の
財政運営の効率化をつうじて拘束することを念頭においたものである。国立大
学の運営における税金の効率的運営自体は重要な課題であるが、効率性の評価
のあり方を客観的に検討することもなく、効率的運営を達成し得ない大学は当
然に淘汰の対象となるという考え方は、高等教育・学術研究の担い手という大
学機関の公共的な性格にそぐわないものである。国立大学が、これまで以上に
社会に開かれ、国民の多様な要求に応え、また高等教育の担い手として公共的
存在を発揮するための大学像を追求していくことが、総合的に見て、本来の意
味における納税者や社会への貢献であることを、大学は社会に対し繰り返し発
信する必要がある。
(3) 国立大学に法人格を付与する意義と独立行政法人化
国立大学が担当すべき高等教育・学術研究を今後いっそう発展させるため、と
くに政府・文部科学省との関係において真に独立性を高めるという意味で、国
立大学に独立の法人格を付与することは、必要不可欠である。もちろん、形式
的に法人となること自体に価値があるのではなく、独立性を実質的に確保でき
る各種具体的な制度や、とりわけ財政面における措置の実現こそが重要になる
ことはいうまでもない。
(4) 独立行政法人化と国の関与の在り方
もともと、国立大学の独法化が実現された場合のメリットとしては、国立大学
が独立の法人格を有することとなる結果、従前の国(とくに文部科学省)との
関係で、学術研究・高等教育を中心とする大学運営において自由度を格段に高
めうることが挙げられてきた。しかし、通則法における各種関与が国立大学に
適用された場合には、独立性の拡大につながるよりは、むしろ主務大臣の新ら
しい統制をつうじた大学の自治の縮小を生ぜしめるおそれがある。
したがって、たとえ通則法の適用を除外した独立行政法人化が実現されると
しても、通則法上の仕組みをどの程度排除した別の仕組みを作れるのか、さら
に、国立大学の運営にとって不可欠な制度をいっそう充実させることができる
のかがきわめて重要となる。いずれにせよ、国の関与一般についての法規定と
しては、少なくとも、もっとも緩やかな関与しか許容しないような条項(現行
法上の例としては、「国立学校は、文部大臣の所轄に属する」。)を確認的に
明示すべきであろう。
(5) 独立行政法人化の問題の検討の視点
総合的にいえば、国立大学は、将来における改革課題の検討を、大学の公共的
任務をいっそう生かせるような存在基盤の強化を中心に、具体的、計画的に進
めていく必要があり、それが国立大学の独立行政法人化という形態に収斂され
るか否かは、あくまで一つの形式的な結果にすぎないものと捉えるべきである。
2 組織の在り方
(1) 法人の単位の在り方
(2) 法人組織と大学組織との関係
(3) 運営組織のあり方
iii 法人の役員以外の運営組織の在り方
大学においては、部局教授会の位置づけが重要であり、独立行政法人化以後も
改めて、教授会にかかわる基本的な問題点を議論し、確認していくことが重要
となる。また、場合によっては、大学の公共的な任務の実現に鑑み、各大学構
成員(事務職員・学生・院生等)の大学運営に対する何らかの関与の仕組みを創
案していくことにも大きな意義があると考えられる。
(4) 事務組織のあり方、(事務職員の人事)
(5) 教育研究組織のあり方
3 業務のあり方
(1) 法人の目的と、法令上の扱い
(2) 法人の業務の範囲と、法令上の扱い
(3) 業務方法書の作成の必要性と、記載する事項、内容
(4) 学生定員の扱い
4 その他の課題
(1) 法人の名称
(2) 移行方法
「・・・時期としては、中期計画、業務などの主務大臣との協議期間を考慮す
ると、平成15年度と考えられる。・・・」
5 大学共同利用機関
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II章 中期目標、計画および評価
1 基本的な考え方
(1) 中期目標・中期計画の基本的な考え方
(2) 中期目標、中期計画の期間
(3) 中期目標、中期計画の構成と内容
(4) 中期目標、中期計画の策定の過程
(5) 中期目標、中期計画の変更
(6) 目標と計画についての年度計画
2 中期目標と計画についての評価の在り方
(1) 評価についての基本的な考え方
i. 独立行政法人制度における評価の位置づけ
ii. 大学の自己点検と外部評価との関係
大学を対象にした公正で客観的な評価システムは、複数の評価機関による多
次元の評価軸をもつものでなければならない。そのためには、大学評価・学位
授与機構のような第三者機関が評価に当たると共に、静岡大学自身も自己の大
学の達成度を分析し点検する必要がある。単一の機関による評価のみでは、た
とえ、 それが第三者機関であっても、大学の特色を阻害し、個性的な発展を
損なう恐れがあろう。大学を対象とした評価システムが確立していない現段階
では、外部評価と自己点検との在り方、評価軸の取り方など、今後模索し、構
築していく必要がある。
iii. 独立行政法人制度における評価の前提条件
中期目標期間における業務の実績については、中期目標と計画に照らして評価
を受けることになるが、評価は大学の自治と研究の自由に抵触することも考え
られるので、評価制度を設計する際には次の諸点を堅持する必要がある。
1) 評価は、教育、研究そして運営が一体のものとして行う。
2) 評価は、第3者機関、例えば大学評価・学位授与機構などで行う。
3) 評価は、中期目標期間内での目標と計画についての達成度評価であるべき
で、教育や研究の内容の評価は好ましくない。
4) 評価は、大学の教育と研究の改善に活用されるべきであり、運営交付金の
節減、あるいは大学の格付けだけを目的としてはならない。
5) 大学評価の評価方法が確立していない現状では、コンセンサスをもつ評価
方法を模索しながら、定量的、定性的な尺度を設定する努力が必要となる。
6) 評価の公表にあっては、それが大学間の序列を促進しないように配慮する
ことが求められる。
(2) 評価の対象と単位
(3) 評価の体制と過程
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III章 人事制度
1 基本的な考え方
(1) 国立大学における人事制度の基本的考え方
(2) 職員(教官、事務官等)の身分に関する考え方
(3) 人材確保及び資質の向上のための方策
2 任免等の在り方
(1) 学長の任免
(2) 役員の選考方法、任免手続
(3) 教員人事の在り方
i 選考方法、任免手続
ii 流動性の確保(任期制等)
(4) 事務職員等の人事の在り方
3 給与の在り方
(1) 役員の報酬及び退職手当の在り方
(2) 職員の給与システムの在り方
4 服務・勤務時間の在り方
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IV 章 「財務会計制度」について
1 基本的な考え方
国立大学にふさわしい財務会計制度をどう制度設計するのかが、つまるとこ
ろ、学問の自由と大学の自治の確保された国立大学として現実化できるかどう
かの試金石である。
・・・・
現行の国立大学の予算は、1.当校費という経常的経費、2.人件費、3.設備費、
4.施設費などからなっている。国立大学が独法化の枠組みを利用した制度設計
の枠組みの下に置かれる場合には、3−5年ごとの中期目標を設定しその成果
や経営努力の評価に基づき、運営費交付資金の査定が行われることになる。先
発した独立行政法人を参照すると、財政出資額の総額は移行前を下らないとい
う方向であるが、中期目標の見直しごとに、教育研究の成果と経営合理化が厳
しく問われ、その評価が運営費交付金の額として跳ね返ってくる。例えば2001
年度発足する先行独法化の運営費交付金について、財務省が「02年度から毎年
5-10の削減を考えている」と表明したように、運営費交付金と施設費の2本
立てとなる国の資金は中期目標毎に減額され、各国立大学はこの事態に備えて
多くの自主財源を確保する諸方策が必要となる。また、財務会計制度委員会の
これまでの論点が、1.国民に対するアカンタビリティと透明性、2.競争的環境
の醸成と評価、3.効率性と安定性、4.インセンティブと自律性、の4つに整理
されたことからもわかるように、予想される制度設計は大学評価や競争原理と
関係づけられたものとなるのは確実である。
このような制度枠組みにおいては、東大、京大等のように教育研究に実績
(競争力)のある国立大学はより有利となり、これまで地方の高等教育インフ
ラの中核的存在であった地方国立大学は、ますます劣性に立たされることは明
らかである。静岡大学は、名古屋圏と東京圏に隣接する地域にある地方国立総
合大学であり、6つの学部と大学院、研究所・諸施設を擁し、留学生も含め1
万人を越す学生が学んでいる。独法化されると学問の自由と大学の自治を支柱
となるべき財政的基盤が大きく揺らぐ可能性があるが、国立大学の独法化問題
を検討しつつ、静岡大学の現状、これまでの改革の成果と今後の課題をより明
確にして対応していく必要があろう。
2 財源措置
(1) 中期計画と予算
・・・・しかし、独法化の主目的が組織業務の効率化にあり、先行の独法に対
する財務省方針のように毎年5-10の削減が実施されるならば、各大学経費の
約6割を占めると言われる人件費の節約や組織機構の効率化は必至となろう。
また、各方面の経費節減を行うだけでなく、次の3つの方法でその不足分を補
わなければならない。
i. 授業料及び入学金の増額、及び私大が行っている学生に対する施設整備費
や親・地域等の寄附金の募集等
ii. 教官や事務職員等の人件費を、これまで以上に安くあげる方法(既存数の
削減、非常勤・パート化の増加、任期制)の導入
iii. 科研費や委託研究費、特許等を多く取って収入を増やすこと。
これらの方向は、国立大学が、利潤を求める企業のように「効率的な業務執
行と資金集めの機関」となることであり、真理の探究をめざした教育研究を行
うことによって、結果的に人類知と優れた人材を産出することをめざす「大学
の使命」を大きく逸脱することになろう。
(2) 運営費交付金の水準と積算方法
運営費交付金をどのような水準にし、どのような基準に基づき積算するか。
文部省「検討の方向」では、運営費交付金の積算方法は、「大学の教育研究活
動の水準を維持・向上させる観点から」検討するとしている。
運営費交付金の水準や積算の基準は、発足時は移行前を下回ることはないと
してソフトランディングすることができるが、5年後に第1期分の評価を加味
して、第2期の中期目標・計画を承認する際に、きわめて重要なこととなる。
独法化の枠組みが、組織運営の効率化を目的とした仕組みである以上、大学経
営の自助努力の成果を問われ、第1期10割の運営交付金を、一律に8割7割
と減額され、その分を他の財源確保や組織体制の見直しで対処するようにとさ
れる可能性が極めて高い。
なお、運営費交付金の積算方法は、地方財政法における地方交付税交付金に
関して採用されている「基準財政需要額」のようなもので算定したらどうかと
いうアイデアが出されている。これは、赤字の出がちな地方国立大学が不利に
ならないように、算定基準を多元化した基準財政需要を算出し、自主財源によ
る収入の不足分を各大学に補填することで、健全な財政基盤を確保しようとす
るもである。しかし、一方では、地方公共団体に現在行われているこの制度は
問題点も多いという意見もある。
運営費交付金は、経常費の交付ということであり、基盤的部分と評価部分で
構成するという。第5回の財務会計制度委員会では、具体的に2例の算定方式
が示された。
i 単層構造で収支差による算定(個別積上方式)
ii 基幹的経費と政策的経費の2層構造による算定(標準的経費方式)
1.基幹的経費:基本的長期的な視点に立った継続的・安定的な財政措置が必
要な経費
2.競争等に基づき重点的に配分する経費
今後の制度設計は、おそらく ii の方向ではないかと思う。算定にあたって
の論点が、1.国民に対するアカンタビリティと透明性、2.競争的環境の醸成と
評価、3.効率性と安定性、4.インセンティブと自律性と整理されているからで
ある。具体的な配分がどうなるのかについては、基幹的経費と競争的経費の割
合や、経費配分の基準等がどのようにするのかによって、大きく異なってくる。
(3) 施設整備の在り方と長期借入金の活用
3 寄附金等
(1) 寄附金の取扱い
(2) 授業料の設定方法
i 国が一律の額を設定 国が、授業料の額を設定。
ii 国が一定の幅を設定し、その範囲内で大学法人が設定
1.国が標準授業料を定め、その上下○○%又は、○○万円の範囲内で、各大
学法人が授業料を設定する。
2.国が授業料の上限と下限を定め、その範囲内で、各大学法人が授業料を設
定する。
3.国が授業料の上限を定め、その範囲内で、各大学法人が授業料を設定する。
iii 自由裁量により大学法人が設定 大学法人が自ら授業料の額を設定する。
おそらく、ii の1か2の案が採用されると思われる。また、学部間や理系・
文系間において授業料格差は、これを機に導入される可能性が高い。
(3) 積立金の取扱い
(4) 受託研究・共同研究費の取扱い
(5) 科学研究費補助金等競争的資金と間接経費の在り方
4 土地・建物
5 会計原則
(1)企業会計原則の適用範囲
・・・・大学の特性を十分に踏まえて作成される会計基準が、この独立行政法
人会計基準とどのような関係となるのか、また一方では学校法人会計基準と比
較してどのような特徴を持つものとなるのか、検討課題として残されている。
しかし、独法化の枠組み内にある以上、できあがった財務会計制度と大学評価
制度とが連動することで、その基準と運用次第では大学の財政的基盤を根本的
に切り崩してしまう危険性がある。
6 会計制度
7 その他の課題
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終章 おわりに
また、当検討委員会における審議の中で提案される意見等が、学長・評議会
を通して調査検討会議や国大協の論議に反映されることも望まれる。調査検討
会議の論議は、自民党、文部省、国大協の様々な思惑や考え方が交差して進ん
でいるように見えるが、大学が真に生かされて教育研究をとおして新しい時代
の地域や世界に貢献できる方向に進められることを切望するからである。大学
が、激動の時代的背景の中で自らの使命を自覚しつつ、自律的に改革を進める
ことの重要さは改めていうまでもないが、その場合、独立行政法人化の動きな
ど、大学を取り巻く社会の諸々の状況を視野に入れなければならないことも事
実である。・・・・
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[51-6] 国立19大学地球科学系学科主任会議、国大独法化に深い懸念を表明
日本地質学会News vol.4, No.4 (2001年4月号)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010505tisitugakkkai.html
「地球科学系学科が抱える共通の問題について議論する国立19大学地球科学系
学科主任会議(当初は、国立大学地学科主任会議として発足)は毎年開催され
ているが、この2年間においては、特に国立大学独立行政法人化(独法化)問
題について集中的な討論を行なった。1999年度会議(1999年11月6〜7日@千葉
大学)では、直前に発表された国立大学理学部長会議声明「危うし!日本の基
礎科学−国立大学の独立行政法人化を憂う−」(1999.11.10)をもとに活発な
議論を行い、理学部長会議と同様の危惧を抱くことが各地球科学系学科から表
明された。特に、資源・エネルギーなど人類の生存に欠かせない自然の富、さ
らに人類の生存を保証する地球環境などに深く関わっている地球科学は長期的
な視野のなかで初めて成立する学問であることを考えると、独法化はその存立
基盤を危うくするという意見が相次いだ。また、地球科学諸分野の研究教育は、
地震観測一つを例にとっても、全国の大学の共同協力によって成り立っている
ことは明白であるが、各大学の生存競争を煽る独法化は、地球科学研究の破滅
をもたらすのではないか、との深刻な問題提起もあった。こうして1999年度会
議は、それぞれの大学で独法化への批判を強めようということを確認したので
ある。
2000年度会議(2000年11月18〜19日@琉球大学)においては、国大協などが
危惧を表明しているにもかかわらず、独法化の実質化が着々と進められている
かに見える状況への危機感が訴えられた。とりわけ、校費配分方法が一方的に
改変され、来年度以降教育研究の遂行が著しく困難になるのではないか、とい
うことが、各地球科学系学科から具体的な予算状況と併せて提起された。また、
旧7帝大を中心にした昨今の大学院重点化が日本の大学全体に様々な問題を引
き起こしているとの指摘もなされた。会議としては、前年度同様、独法化がも
たらすであろう事態への深い憂慮を表明するとともに、各大学が単純な「生き
残り策」へと委縮せず、全国的な連帯と共同協力をいっそう強めて状況に立ち
向かおうとする意思を確認した。
*19大学=弘前大学、秋田大学、山形大学、茨城大学、千葉大学、新潟大学、
信州大学、静岡大学、富山大学、金沢大学、神戸大学、岡山大学、島根大学、
山口大学、高知大学、愛媛大学、熊本大学、鹿児島大学、琉球大学」
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[51-7] ◆「国大独法化阻止 国民ネット」(仮称)結成、北大での呼びかけより
「北海道大学構成員各位
北大ネットワーク有志
国立大学の独立行政法人化問題を検討するために昨年7月に設置された文部科
学省の調査検討会議は、この秋に中間まとめを予定しています。それに向けて、
関係者は議論を収束させようとしています。しかし、国立大学関係委員の中に
すら、独立行政法人化を前提とした議論に終始する方が少なくなく、結局問題
の本質を議論しないまま、来月の国立大学協会総会で予定されている「中間ま
とめ案」採択が実質的な独立行政法人化容認となってしまう可能性が非常に高
くなっています。
独立行政法人化を大学改革の好機ととらえるような考えの方もおられるようで
すが、このような事態の進み方には大きな落とし穴があると思われます。来年
3月の調査検討会議の最終報告を参考に文部科学省が作成する「国立大学法人
法案」は、政府内部では単なる文部科学省案に過ぎません。文部科学省の発言
力を考えれば、「大学は法人化を容認した」という部分だけが独り歩きし、最
悪の場合には、経済産業省官僚が提案しているような、独立行政法人化よりも
さらに問題が大きい法人化が実現してしまう可能性も少なくありません。
また、独立行政法人化は、意図の有無とは関係なく、客観的に見れば民営化の
具体的準備になっています。国立大学民営化は日本社会の多くの人々に大きな
影響があるだけでなく、日本社会の姿にかかわる問題であって、国民的議論な
しに決めるべきではないと思います。独立行政法人化容認が、なし崩し的民営
化の許容にもなりかねないことを見てみぬ振りをすることは、日本社会に対す
る国立大学の誠意ある姿勢とは言い難いと思われます。
国立大学の独立行政法人化問題は、ごく一部の大学関係者や「有識者」の間の
閉じた議論だけで進めてしまっては、未来に禍根を残します。この度、国立大
学外部の方々が加わった政治的な党派を越えた運動が始まり、国立大学独立行
政法人化を白紙に戻すことを目指しています。北大からは私達5名が呼びかけ
人として参加しております。趣旨に賛同される方はご協力くださいますようお
願い致します。」
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[51-7-1] 「国大独法化阻止 国民ネットワーク」(仮称)結成の呼びかけ
[Weekly Reports 50 extra]
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/plea-pnet.html
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[51-8] 5.18緊急大集会
(再)http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1852.html
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[51-8-1] 東大教官OB団有志、5.18集会参加準備開始
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010502snews.html
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[51-8-2] 「5.18国立大学の独法化に反対する緊急京都大学集会」
(京都大学職員組合主催)
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/ku-union/index.html
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[51-8-3] 独法化反対委員会ニュース(京都大学職員組合)2001.4.17 号
(長尾国立大学協会会長への要望書)
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/ku-union/dokuhou/dokuhou010413.pdf
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[51-9] 5.9 公開研究会「世界の私学化の潮流と日本の私立大学」
私学高等教育研究所 2001.5.9 17:30-20:00
http://www3.ocn.ne.jp/7Eriihe/kokai5.html
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[51-10] ニュースより
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[51-10-1] 「北海道大学の新学長に中村睦男教授−−きょう就任/北海道」
『毎日新聞』北海道版2001年5月1日付
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1884.html
「北海道大の新学長に1日、就任する中村睦男教授(62)は就任前、毎日新
聞の取材に応じ、文部科学省が進める国立大学の独立行政法人化について「効
率化だけでとらえてはならない」と慎重な姿勢を示した。また、学生の現状を
見据えたうえで、必要なら入試科目を増やす考えを明らかにし、専門の憲法に
ついては、「拙速に(憲法改正に)取り組むべきでない」と述べた。学長とし
ては「文系や理系などの枠組みを超えた、新しい分野の研究推進にリーダーシッ
プをとりたい」と意欲を見せた。【江口一】・・・・」
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[51-10-2] 全国有力私大、学校事務外注化 7月までに受託会社設立
朝日新聞ニュース速報[2001-05-03-13:55]
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1888.html
「全国の有力私立大121校が組織する日本私立大学連盟(会長・奥島孝康早
大総長)は、学校運営の基本事務作業を一括して受託する新会社を、加盟各校
の共同出資で7月までに設立する。各大学が個別処理していた業務を外注化し、
大幅な経費削減を目指す。私大の経営環境は少子化で厳しさを増しており、民
間企業並みのリストラで競争力の向上を図る。・・・・」
----------------------------------------------------------------------
[51-10-3] ◆「成果主義の正体はノルマ押し付けだった」
(週間ポスト 2001.5.4・11号)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010501syuukanposuto.htm
「・・・ビジネスマンの実態に詳しい東京ガス都市生活研究所の西山昭彦所長
は、富士通のジレンマをこう解説する。「日本の企業で一番欠けているのは、
将来のビジョンを掲げて推進する人材だといわれます。ところが、現状の成果
主義は、目先の数値目標の達成度を見るだけで、これでは社員は評価対象にな
らない長期的目標には取り組まない。だから富士通は評価方法を見直したので
しょう」
富士通の40代男性社員は、現場の本音をこう明かす。「目標を低く設定すれ
ば達成しやすくなりますが、低い目標を掲げたこと自体がマイナス評価になる
のではないかと心配で、上司との相談の場では、どうしても目一杯の目標を決
めてしまう。真面目な社員ほど目先の仕事に追われて神経を擦り減らしていま
す」
A評価を目指す社員が連日のように夜中まで残業を続けることから、同社の
本社ビルは「丸の内の不夜城」という通り名までついた。評価方法の見直しで、
そうした現状が変わるかどうかはまだ未知数だ。・・・」
「管理職は年俸制、一般社員は基本給一律30万円に成果次第で決まるボーナス
を加えて最大4倍の格差をつけた日興証券の現場からはこんな声があがる。
「われわれの扱う商品で元本保証されているのは国債くらいだが、そうした商
品ほど、売っても評価点数は低い。好成績を求めれば、どうしてもリスクが高
くても会社にとっては利益があがる商品を客に売る営業をしたくなる。むしろ
以前よりノルマに追われる日々だ。ある後輩は、そうした営業ができなくて成
績が落ち込み、年収が2000万円から800万円になった」」
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[51-11] 意見・サイト・文献紹介
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[51-11-1] 独立行政法人推進派
[51-11-1-1] 「経団連特集座談会「産学官の連携強化に弾み」」
尾身科学技術政策担当大臣
(月刊Keidanren 1999年12月号 p.12〜p.22)
http://www.omi.or.jp/keidanren.htm
#(尾身大臣は通産省官僚出身の自民党議員)
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[51-11-1-2] 奥山茂彦議員「大学発のベンチャーの育成を」
(〜自民党ベンチャー小委員会〜)
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/okiya/kokkai374.htm
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[51-11-2] ◆長谷川氏「最近の動き」(2001.5.2):新内閣に関連する考察
http://www.math.tohoku.ac.jp/‾kojihas/index-j.html#comment
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[51-11-3] ◆竹田 保正氏による新サイト「理系大学人の発言と行動」より
http://www15.u-page.so-net.ne.jp/tb4/ytakeda/
「・・・・このような大学にとって、最大の試練ともいうべき状況を前にして、
どうして大学人(とりわけ国立大学の)が沈黙、或いは消沈しているのか、そ
の原因をも追究しなければならない。他方、国立大学の基礎研究を衰退せしめ、
日本の学術の将来に重大な影響をおよぼす行政主導の大学改革案が、やがて実
施に移されんとしているとき、学者の国会と言われた日本学術会議が、いまや、
行政改革の対象として整理(廃止?)され、政府主導の総合科学技術会議にそ
の役割を奪われようとしている。 著者は私立大学の理工系学部で、さまざま
な困難な研究条件を克服しながら、長年プラズマ物理学の基礎研究(実験)を
行ってきた立場であるが、まもなく学会出版センターから出版される著書「内
なる大学改革―理系大学人の発言」において、自分の研究生活,私立大学にお
ける教育の経験にもとづいた意見を世に発表することにした。・・・」
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[51-11-4] 竹田 保正著「内なる大学改革‐理系大学人の発言」
(学会出版センター2001.4刊行)
目次
http://www15.u-page.so-net.ne.jp/tb4/ytakeda/mokuji.htm
まえがき
http://www15.u-page.so-net.ne.jp/tb4/ytakeda/maegaki.htm
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[51-11-5] ◆北沢 栄「公益法人ーー隠された官の聖域ーー」
岩波新書726 ISBN 4-00-430726-0
http://www.the-naguri.com/nakama/nakama07.html
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[51-11-6] 北沢 栄氏 Online Journal NAGURICOM
http://www.the-naguri.com
「さらばニッポン官僚社会」
http://www.the-naguri.com/kita/kita.html
「第9章 マスコミ首脳が行政改革に水をさす」
文化庁が独立行政法人化されなかった経緯
http://www.the-naguri.com/kita/kita11.html
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発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/
発行部数 1984 (2001.5.6現在)
Mag2:714|CocodeMail:353|Pubzine:84|Macky!:51|emaga:27|melma:23
直送 732(北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・議員等):
Digest版 発行部数 約1600(北大), ML(he-forum,reform,aml,d-mail)
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End of Weekly Reports 51
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