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Weekly Reports  No.63  2001.8.8 Ver 1

http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-63.html 総目次:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/all.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━        目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [63-0] 内容紹介  [63-0-1] 遠山プランは独立行政法人化の意図の具体化に過ぎない  [63-0-2] 文部科学省の「悪乗り」   [63-0-2-1] 大学格差の一指標   [63-0-2-2] 大学内での言論統制  [63-0-3] 「複数の大学所轄省の設置を」  [63-0-4] 口だけ出して金は出さない日本の経済界 [63-1] 文部科学省  [63-1-1] 文部科学省設置法より  [63-1-2] 研究振興局 研究環境・産業連携課 意見募集について(8/4-8/15)   [63-1-2-1] 研究振興局 研究環境・産業連携課「知的基盤整備計画(案)」   [63-1-2-2] 目次   [63-1-2-3] 技術・研究基盤部会委員名簿   [63-1-2-4] 知的基盤整備委員会委員名簿  [63-1-3] 文部科学省 科学技術・学術審議会学術分科会答申   [63-1-3-1] ◆答申2001.7.24「学術研究の重要性について」   [63-1-3-2] 科学技術・学術審議会委員名簿   [63-1-3-3] 科学技術・学術審議会学術分科会委員名簿  [63-1-4] 日本私大教連文部科学省との交渉2001.7.13報告より  [63-1-5] 東京新聞「研究実績で重点予算 上位30大学、私大も対象」 [63-2] 経済産業省    [63-2-1] 産業構造審議会産業技術分科会産学連携推進小委員会(第4回 2001.6.20)   [63-2-1-1] 産業構造審議会産業技術分科会委員  [63-2-2] 産業構造審議会新成長政策部会 (第4回2001.7.24) 議事要旨   [63-2-2-1] 産業構造審議会 新成長政策部会 委員名簿  [63-3] 国立大学協会  [63-3-1] ◆臨時理事会2001.7.5 議事要録  [63-3-2] 国立大学協会将来構想ワーキング・グループ議事メモ [63-4] 行政改革会議第第37回会議議事概要(抜粋)1997.11.17 [63-5] インターネットで公開している大学予算の例 [63-6] 国立大学長の発言  [63-6-1] ◆示村悦二郎(北陸先端科学技術大学院大学長)「統合問題に求められる視点」  [63-6-2] 宮城教育大学長「国立大学協会総会及び国立大学長会議に出席して」  [63-6-3] 牟田泰三広島大学長「遠山プランについて」2001.6.26  [63-6-4] ◆徳島大学「◇第108回国立大学協会総会及び国立大学長会議について 」 [63-7] 公立大学協会法人化問題検討委員会議事概要 第8回2001.7.6 [63-8] 学術・教育関係者・団体等の発言  [63-8-1] 日本科学者会議「遠山プラン」に対する見解2001.7.30  [63-8-2] 独行法情報速報 No.7 特集:学内評価規定  [63-8-3] 千葉大学文学部教授会声明2001年7月26日   [63-8-4] 弘前大学職員組合ホームページ  [63-8-5] 独法化の先取り的準備を進める新潟大学  [63-8-6] ◆池内 了「日本経済活性化のための大学改革?」  [63-8-7] ◆喜多村和之「国際評価は公正か―自虐的な日本人の大学評価」  [63-8-8] ◆原山優子(経済産業研究所 研究員)「遠山プランが投げかける問題」  [63-8-9] 長谷川浩司「最近の動き7/30」(育英会、奨学金事業を縮小(7/28)について)  [63-8-10] 鳥井弘之「重点研究に思わぬ弊害ー独創性は多様なテーマから」  [63-8-11] 竹内 淳「研究費配分審査の課題―官民格差に審査員の多様性欠如」 [63-9] 報道など  [63-9-1] 朝日新聞8/3「科学技術予算―「社会」が軽視されている」  [63-9-2] ◆毎日新聞社説7/28「科学技術政策 基礎研究を軽んじないで」  [63-9-3] 日本経済新聞07/29「市場原理で知の競争を 自己改革できない国立大」 [63-10] バイーアでの暴動 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [63-0] 内容紹介 -------------------- [63-0-1] 遠山プランは独立行政法人化の意図の具体化に過ぎない  国立大学長の幾人かが遠山プランについての意見を表明し始めている[63-6]。 6月以来、「驚いた」という発言が報道されてきたが、実際には、独立行政法 人化の主要な目論見が円滑な統廃合にあったことは広く知られていた。「驚い た」ことは、5年あるいは10年先の退職後に起きると予測していたことが、 在職中に起きることとなった点であろう。  実際に、国立大学協会理事会の中に出来た将来構想WGは、遠山プランその ものを批判するためのものではなく、これまでの議事録[63-3-2]を見る限り、 プランを円滑に実行するためのものに過ぎない。  8月9日に、文部科学省の<国立大学政法人>化案が呈示されるという噂が 広まっているが、そうだとすれば、夏休み中を狙った姑息なやり口だ。各大学 ですべきことは迅速に全構成員の意思を集約すること、そして、国立大学協会 がすべきことは臨時総会を開き、遠山プランで具体化された国立大学法人化の 功罪を議論し、「大学自身の責任」で法人化について選択すべきであろう。 -------------------- [63-0-2] 文部科学省の「悪乗り」 国立大学だけが行政改革の恰好のスケープゴートとされていた時期が終わっ たが、何も解決されたわけではない。文部科学省が大学行政の主導権を奪われ 正気を失いつつあり、事態は大学だけでなく日本全体にとり危険な様相を呈し ている。 岩波科学8月号に掲載された「日本経済活性化のための大学改革?」 [63-8-6]で池内了氏は、最近の文部科学省が役所だけの判断で事を進めている ことを危惧している。概算要求にからませた統廃合の強要[62-6-1-2]だけでな く、来年度予算から「分野ごとに三十程度の研究所や学科などを選抜、使途を 問わず資金を支給する」方針を固めた、という[63-1-5]が、プロクルステスと 何も違わない[63-8-8]。7月24日の文部科学省の科学技術・学術審議会学術 分科会の答申「学術研究の重要性について」[63-1-3-1]において「長期的・継 続的な研究活動をも支える基盤的経費」の重要性が指摘されているが、それを 真っ向から否定する方針を事務方が出す権限はない。大学院重点化後、予算が 潤沢な少数の大学と光熱水費にすら困る多くの大学とが出来た。その状況をさ らに強化する「方針」は正気の沙汰ではなく、文部科学省に従わない大学全体 への幼稚な意趣晴らしとしか思えない。 先の国会は、文部科学省の飛び入学についての法律案を大修正した。国の財 産である大学を痛めつけるような、予算方針の根本的変更を国会が素通りさせ ると考えるのは、税金を自分の金と考える錯覚の証しといえる。 しかし大学自身もその錯覚を助長している。 国立大学協会の臨時理事会の議事録が公開されたが、「文部科学省の責任に おいて統廃合を進める」と言っていることに狼狽している。しかし、文部科学 省のこの発言は越権行為である。 もう少し詳しく説明しておこう。大学の統廃合に関連して文部科学省設置法 [63-1-1]が定めるのは次のことだけである。「教育の振興及び生涯学習の推進 を中核とした豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成、学術、スポーツ及び 文化の振興並びに科学技術の総合的な振興を図る任務(第3条)のために大学 及び高等専門学校の設置、廃止、設置者の変更その他の事項の認可に関する事 務を行う(第4条18)。」大学の設置・廃止等についてのプロセスにかかわ る事務を担当する役所に過ぎず、遠山プランにあったような統廃合の方針表明 は、非合法な越権行為なのである。 -------------------- [63-0-2-1] 大学格差の一指標  現在の大学間格差はどれだけあるだろうか。大学予算のゆとりを表す一つの 単純な指標として(総額ー人件費)÷総額(以下、有効予算率)が考えられる [63-5]。東大64 京大57, 北大 38, 慶應 45, 早稲田43 という具合であ る(付属病院関係の予算を別にすればさらに的確な指標になるはずだ)。旧帝 大系でもこれだけの格差がある。小さな大学含めたときの大学間格差はどれだ け厳しいか想像するに余りある。有効予算率が大きな大学では、教務等の事務 をアウトソーシングでき、入試業務に多くの職員を投入できる。入試集計ミス が発生した大学では有効予算率が低く、事務のアウトソーシングの余裕はなく、 事務方は激務に追われる中で入試業務を行う状況であろう。入試集計ミスにつ いて現場の者が処分されたが、1993年以降の大学間格差増大を計画的に行 った所轄省の「責任」は小さくない。 -------------------- [63-0-2-2] 大学内での言論統制 弘前大学[63-8-4]や新潟大学[63-8-5]での「言論統制」の例は、「学内秩序」 を問題にする大学が出始めている傾向を示していないだろうか。独立行政法人 化等により、大学執行部の力が増していく中で、その傾向が強まることは必然 と思われる。このことも、大学に居るものはよく理解しておくべきであろう。 -------------------- [63-0-3] 「複数の大学所轄省の設置を」 「構造改革」は選挙で支持された。本当の「構造改革」が実現するかすかな 可能性を願っている。その根底を「競争原理」に置くならば、正しい競争原理 の実現が望まれる。国立大学法人化で学費を上げると同時に奨学金を減らす [63-1-4][63-8-9]ことに象徴されるような、強者が楽に勝てるアンフェアな競 争ルールを助長し、少数の富者と多数の貧者が存在する社会[63-10]をもたら す偽物の構造改革ではなく、フェアな競争原理が日本社会に行き渡る構造の実 現を望む。 日本という国を疲弊させているものが何かは明らかではないか。競争原理が 全く働かない存在−−中央省庁である。キャリア組の熾烈な出世競争はあるが、 組織としては全く競争に曝されることはない。競争とは無縁の単一組織が日本 全体を隅々まで制御する構造に競争原理を導入することが、今の日本に必要な 真の構造改革であり、日本社会が選挙で支持した「構造改革」なのであろう。  中央省庁への競争原理の導入例としては、「大学」所轄省庁を複数作る方法 がある。第一大学省・第二大学省が大学政策を競い、各大学は所轄省を選べる ようにし、予算は各省が所轄した大学全体の規模に比例して配分するようにす る。 たとえば、第一大学省は、遠山プラン・平沼プランに沿って重点化・差別化 政策を進め国策研究・プロフェッショナル教育に力を入れればよい、それを選 ぶ大学は、これまでの動向を見るとわかるが、必ず居るだろう。それに対し、 第二大学省は、たとえば、ユネスコの「21世紀の高等教育に向けての世界宣言」 に沿った、国際水準の大学政策を呈示すればよい。これを選ぶ大学も少なくな いだろう。こうして競争すれば良いのである。今のような行政指導をする省は、 大学から見放されるだろう。 現内閣府は、このような「骨太な」構造改革を断行する国民的支持を得てい るのではないだろうか。統廃合という無内容な「大学政策」に熱中するまでに 見識を失っている文部科学省が大学所轄省であることを放置しておけば、日本 の高等教育システム全体が破壊されかねないことを、マスコミ[63-9-2]も世論 も理解し始めているのではないか。 このような行政側の真の競争原理が実現するならば、大学改革も内発的な生 きたものとなるだろう。どちらの省を選ぶか、それ自身大きな決断であるし、 その決断を良きものにするための大学進化に意欲も湧くに違いないのである。 -------------------- [63-0-4] 口だけ出して金は出さない日本の経済界 スイスの経営開発国際研究所(IMD)が毎年発表する『世界競争力白書』に おいて、日本の大学の国際競争力が最下位となった調査結果は、国際的評価で はなく、日本の財界人の幾人かの大学評価に過ぎないことに、「大学淘汰の時 代」の著者である喜多村和之氏が、注意を喚起している[63-8-7]。経済産業省 での審議会の議事録を見ても、大学をどうやって利用するか、という議論が目 立つ[63-2-2]。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [63-1] 文部科学省 -------------------- [63-1-1] 文部科学省設置法より http://www.ron.gr.jp/law/law/monbusyo.htm 第二章 文部科学省の設置並びに任務及び所掌事務  第二節 文部科学省の任務及び所掌事務   第四条 文部科学省は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。   十五 大学及び高等専門学校における教育の振興に関する企画及び立案並び      に援助及び助言に関すること。   十六 大学及び高等専門学校における教育のための補助に関すること。   十七 大学及び高等専門学校における教育の基準の設定に関すること。   十八 大学及び高等専門学校の設置、廃止、設置者の変更その他の事項の認可に関すること。 -------------------- [63-1-2] 研究振興局 研究環境・産業連携課 意見募集について(8/4-8/15) http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2001/010801.htm 問い合わせ先(意見提出先) 〒100-8966 東京都千代田区霞が関1−3−2 文部科学省 研究振興局 研究環境・産業連携課 知的基盤整備計画(案)担当  吉住、今永、江頭 TEL:03−5253−4072(内線7367) FAX:03−5253−4074 電子メール:kenrenke@mext.go.jp -------------------- [63-1-2-1] 研究振興局 研究環境・産業連携課「知的基盤整備計画(案)」 −2010 年の世界最高水準の整備に向けて− http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2001/010801/keikaku.pdf -------------------- [63-1-2-2] 目次 第1 章知的基盤とは・・・・・・・1 第2 章知的基盤の整備の現状と課題・・・・3  氈D研究用材料の整備の現状と課題・・・・3   1 .国が主体となって整備している研究用材料・・3    (1 )生物遺伝資源・・・・・3    (2 )その他の研究用材料・・・・・・4   2 .市場を通じて供給されている研究用材料・・・5  .計量標準の整備の現状と課題・・・・・5  。.計測方法・機器等の整備の現状と課題・・・・・6  「.データベースの整備の現状と課題・・・7 第3 章知的基盤整備のあり方・・・・・・・9  氈D知的基盤整備の重点化・・・・10   1 .整備の重点化の必要性・・・・・・・10   2 .重点的に整備すべき知的基盤・・・・10    (1 )重点化の方針・・・・・10    (2 )重点的に整備すべき知的基盤の抽出・・・10  .知的基盤の整備に関する官民の役割分担の考え方・・・・14  。.知的基盤を効率的に整備し、その利用を促すための体制の構築・・15   1 .知的基盤を整備している組織における体制の構築・・・15   2 .知的基盤を整備している組織間の連携体制の構築・・・16  「.国際的な取り組み・・・・・・16  」.2010 年の戦略目標・・・・17 第4 章知的基盤整備の経費と推進協力体制・・・・・18 第5 章各領域毎の整備方策・・・・19  氈D研究用材料の整備・・・・・・19   1 .重点的に整備すべき研究用材料・・・19   2 .研究用材料の整備に関する官民の役割分担の考え方・・19   3 .研究用材料を効率的に整備し、その利用を促すための体制の構築20   3 .1 国が主体となって整備すべき研究用材料・・・・・20    3 .1 .1 生物遺伝資源・・・・・・・20    (1 )生物遺伝資源の整備に携わる人材の確保・評価・・20    (2 )生物遺伝資源の収集・保存・・・21    (3 )生物遺伝資源情報の電子化、データベース化とその発信・21    (4 )生物遺伝資源分譲機関から利用者への生物遺伝資源の分譲22    (5 )知的創造活動の成果として得られた生物遺伝資源及び生物遺      伝資源情報の生物遺伝資源分譲機関への寄託・提供・・・・22    (6 )利用者の意見・ニーズ等の反映・・・・・23    3 .1 .2 その他の研究用材料・・・・23   3 .2 市場を通じて供給される研究用材料・・・23   4 .国際的な取り組み・・・・・23   5 .2010 年の戦略目標・・・・・・・24  .計量標準の整備・・・・・・・26   1 .重点的に整備すべき計量標準・・・・26   2 .計量標準の整備に関する官民の役割分担についての考え方・・・26   3 .計量標準を効率的に整備し、その利用を促すための体制の構築・27    (1 )計量標準の整備に携わる人材の確保・評価・・・・27    (2 )国家計量標準・標準物質の研究開発・設定・・・・27    (3 )計量標準に関する情報の電子化、データベース化とその発信28    (4 )利用者の意見・ニーズ等の反映・・・・・28   4 .国際的な取り組み・・・・・28   5 .2010 年の戦略目標・・・・・・・28  。.計測方法・機器等の整備・・・・・・・30   1 .重点的に整備すべき計測方法・機器等・・・・30   2 .計測方法・機器等の整備に関する官民の役割分担の考え方・・・30   3 .計測方法・機器等を効率的に整備し、その利用を促すための体制      の構築・・・・・・31    (1 )共同利用計測機器等の所在・機能・利用方法に関する情報の      発信・・・・・31    (2 )計測方法・機器等の研究開発、産学官の連携、研究開発成果      の技術移転・・・・・・31    (3 )標準化への取り組み・・・・・・32    (4 )計測機器等の電子商取引の場の整備・・・32   4 .国際的な取り組み・・・・・32   5 .2010 年の戦略目標・・・・・・・32  「.データベースの整備・・・・・34   1 .重点的に整備すべきデータベース・・・・・・34   2 .データベースの整備に関する官民の役割分担についての考え方・34   3 .データベースを効率的に整備し、その利用を促すための体制の構築35    (1 )データベース整備に携わる人材の確保・評価・・・35    (2 )データの収集、データベースの構築、維持管理・機能向上・35    (3 )データベース整備機関から利用者へのデータの提供・・・・36    (4 )知的創造活動の成果として得られたデータのデータベース整       備機関への提供・・・・36    (5 )利用者の意見・ニーズ等の反映・・・・・37    (6 )各データベースを整備するに当たっての留意点・・37   4 .国際的な取り組み・・・・・38   5 .2010 年の戦略目標・・・・・・・38 第6 章知的基盤整備計画のフォローアップと見直し・・・・・40 -------------------- [63-1-2-3] 技術・研究基盤部会委員名簿 部会長 阿部博之東北大学学長 委員 飯塚幸三 株式会社クボタ顧問 委員 井戸一郎 株式会社山武会長 委員 岩田修一 東京大学人工物工学研究センター教授 委員 岡 徹夫 協和メデックス株式会社取締役社長 委員 桂 直樹 独立行政法人農業生物資源研究所理事長 委員 川合知二 大阪大学産業科学研究所教授 委員 川崎雅弘 科学技術振興事業団特別参与 委員 岸 輝雄 独立行政法人物質・材料研究機構理事長 委員 北村行孝 読売新聞社論説委員 委員 黒木登志夫 岐阜大学学長 委員 小原雄治 国立遺伝学研究所生物遺伝資源情報総合センター教授 委員 澤岡 昭 大同工業大学学長 委員 清水 勇 財団法人理工学振興会常務理事 委員 白川 功 大阪大学大学院工学研究科教授 委員 末松安晴国立情報学研究所所長 委員 平石次郎 独立行政法人産業技術総合研究所副理事長 委員 古澤 満 第一製薬株式会社創薬基盤研究所特別参与 委員 堀場雅夫 株式会社堀場製作所取締役会長 委員 安井 至 東京大学生産技術研究所教授 -------------------- [63-1-2-4] 知的基盤整備委員会委員名簿 主査 澤岡 昭 大同工業大学学長 委員 飯塚幸三 株式会社クボタ顧問 委員 井戸一郎 株式会社山武代表取締役会長 委員 岩田修一 東京大学人工物工学研究センター教授 委員 大島一史 財団法人バイオインダストリー生分解性プラスチック研究会         事務局長 委員 岡 徹夫 協和メデックス株式会社取締役社長 委員 桂 直樹 独立行政法人農業生物資源研究所理事長 委員 河盛阿佐子 関西学院大学教授 委員 黒木登志夫 岐阜大学学長 委員 合志陽一 独立行政法人国立環境研究所理事長 委員 小原雄治 国立遺伝学研究所生物遺伝資源情報総合センター教授 委員 斎藤宗雄 財団法人実験動物中央研究所総務部長 委員 二瓶正俊 独立行政法人物質・材料研究機構材料研究所計算材料研究          グループ第1 サブグループリーダー 委員 根岸正光 国立情報学研究所学術研究情報研究系研究主幹・教授 委員 平石次郎 独立行政法人産業技術総合研究所副理事長 委員 平木祐輔 平木国際特許事務所所長 -------------------- [63-1-3] 文部科学省 科学技術・学術審議会学術分科会答申 -------------------- [63-1-3-1] ◆答申2001.7.24「学術研究の重要性について」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/010702.htm 「本年3月30日に閣議決定された科学技術基本計画の実行に向けて、政府の 総合科学技術会議においては、「平成14年度の科学技術に関する予算、人材 等の資源配分の方針」が取りまとめられた。 科学技術基本計画においては、研究開発投資の効果を向上させるため、重点 的な資源配分を行うこととされている。具体的には、「科学技術の戦略的重点 化」として、「基礎研究の推進」と「国家的・社会的課題に対応した研究開発 の重点化」をいわば車の両輪として位置づけ、それぞれを進めることとされて いる。科学技術の振興を図る上で、長期的視野からこれら両者がバランスよく 推進されることが必要である。 大学等(大学及び大学共同利用機関をいう。)における学術研究活動は、科 学技術の戦略的重点化における「基礎研究の推進」について中核的な役割を果 たすことはもちろん、「国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化」に おいても大きな役割を担うものであり、それに対する資源配分の在り方は科学 技術基本計画の成否を左右する重要性を持つと考える。 本分科会は、このような観点から、大学等が主として担う基礎研究の重要性 を再確認するとともに、重点化戦略における大学等の役割の重要性について検 討を行い、その考え方を以下のとおり取りまとめたものである。 1.基礎研究への十分な投資の必要性 (1) 大学等における学術研究は、個々の研究者の自由な発想と旺盛な好奇心に 基づき行われるものであり、それによって初めて未知の分野を開き、未来社会 の在り方を変えるブレークスルーを生み出し得るのである。人類の未来を拓き、 国家・社会の発展の基盤となるような独創的な研究成果は、過去の歴史に照ら しても、研究者の自由な発想に基づく多様な基礎研究を幅広く推進する中から 生まれるものである。 (2) 経済発展や社会的課題の解決のためには、もちろん達成目標を明確化して 特定の分野・課題の研究開発を重点的に推進することが必要である。しかし、 それと同時に、次の世代に向けての技術革新の芽を育てるという中・長期的な 視点に立った幅広い取組が不可欠である。現時点で見通せる短期的な投資効果 を重視するあまりに、研究者が自発的にテーマを発掘する長期的視野の研究を 軽視すれば、結果として、10年先、20年先に、我が国の研究は国際的な指 導性と競争力を喪失してしまうことになる。 さらに、研究者の自由な発想に基づく基礎研究の成果が課題解決型の研究の 発展に波及効果を及ぼす可能性が大きく、また課題解決型の研究を担う優れた 研究者はこのような基礎研究を推進する中から育つものである。 (3) 以上の観点から、基礎研究を推進することは国として極めて重要なことで あり、今後の研究投資において、国家的・社会的課題に対応した研究開発への 重点的投資と並んで、研究者の自由な発想に基づく幅広い分野の基礎研究に対 しても十分な投資が行われるべきである。 このため、大学等における長期的・継続的な研究活動をも支える基盤的経費 や国際的に卓越した研究を推進するためのプロジェクト経費を確実に措置する とともに、競争的資金の倍増に当たっては、その中核を占める科学研究費補助 金の倍増を図るべきである。 (4) なお、基礎研究の中には行政ニーズに対応した特定の技術開発を視野に置 くなど、政策目的の実現を意図して行われるものもある。このような研究は、 政策の実現という観点からは重要な意義を有するが、研究者がその独創性を遺 憾なく発揮し、将来にわたって優れた研究成果を生み出していくためには、研 究者の自発性を尊重した知識創造型の研究である学術研究を推進することが極 めて重要であることを改めて指摘しておきたい。 2.国家的・社会的課題に対応した研究開発における学術研究の重要性 (1) 大学等における学術研究は、研究者の自由な発想と旺盛な好奇心に基づい て行われるものであるが、同時に研究者の社会的問題意識が研究の原動力とな り、社会との関係において一定の目的意識をもった研究が行われる場合が少な くない。このような研究は、基礎的な段階のものが中心になると思われるが、 基礎研究・応用研究といった区分にとらわれる必要はない。 (2) 科学技術基本計画における「国家的・社会的課題に対応した研究開発の重 点化」の推進に当たっては、重点事項に係る特定の技術開発目標を短期間に達 成するためのいわばトップダウン方式による政策目的直結型の研究開発の実施 が重視されるものと思われる。しかし、中・長期的観点に立って国家的・社会 的課題の解決に向けて取り組むためには、上記のような一定の目的意識をもっ た学術研究の推進についても重視すべきであり、これに対して十分な投資が行 われることが重要であると考える。 (3) このような一定の目的意識をもった学術研究を推進するための研究資金の 配分に当たっては、目標設定の考え方、対象となる研究課題の審査・選定方式 等の仕組みが、学術研究の本質である研究者のイニシアティブを十分尊重した ものとなることが特に重要である。」 -------------------- [63-1-3-2] 科学技術・学術審議会委員名簿 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu0/meibo/010401.htm 【会長】  阿部 博之 東北大学長 【会長代理】  小林 陽太郎 富士ゼロックス(株)代表取締役会長 池上 徹彦 会津大学長 池端 雪浦 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授 石田 瑞穂 総括地球科学技術研究主監 石谷 久 東京大学大学院工学系研究科地球システム専攻教授 石原 和弘 京都大学防災研究所附属火山活動研究センター教授 板井 昭子 (株)医薬分子設計研究所 代表取締役社長 今井 通子 ル・ベルソー代表取締役社長 大崎 仁 国立学校財務センター所長 奥島 孝康 早稲田大学長 川崎 雅弘 科学技術振興事業団理事長 郷 通子 名古屋大学大学院理学研究科教授 小平 桂一 総合研究大学院大学長 澤岡 昭 大同工業大学長 末松 安晴 国立情報学研究所長 鈴木 昭憲 秋田県立大学長 平 啓介 東京大学附属海洋環境研究センター長 高久 史麿 自治医科大学長 国立国際医療センター名誉総長 田中 正之 東北工業大学工学部教授 谷岡 郁子 中京女子大学長 谷口 一郎 移動体衛星通信事業開発センター取締役社長 田村 和子 (社)共同通信社客員論説委員 土居 範久 慶應義塾大学理工学部教授 西野 文雄 政策研究大学院大学政策研究科教授 野中ともよ (株)日興リサーチセンター理事長 野依 良治 名古屋大学大学院理学研究科教授・物質科学国際研究センター長 橋口 寛信 川崎重工業株式会社技術本部長 平澤 朋郎 (財)地震予知総合研究振興会理事 松本 和子 早稲田大学理工学部教授 -------------------- [63-1-3-3] 科学技術・学術審議会学術分科会委員名簿 (分科会長)末松 安晴 国立情報学研究所長 (分科会長代理)奥島 孝康 早稲田大学長 池上 徹彦 会津大学長 池端 雪浦 東京外国語大学教授(アジア・アフリカ言語文化研究所) 大崎 仁 国立学校財務センター所長 郷 通 子 名古屋大学教授(大学院理学研究科) 小平 桂一 総合研究大学院大学長 鈴木 昭憲 秋田県立大学長 田中 正之 東北工業大学教授(工学部) 野中ともよ ジャーナリスト 野依 良治 名古屋大学教授(大学院理学研究科) 松本 和子 早稲田大学教授(理工学部) 有川 節夫 九州大学教授(大学院システム情報科学研究院) 飯吉 厚夫 中部大学長 家 泰 弘 東京大学教授(物性研究所) 石井 寛治 東京経済大学教授(経営学部) 木村 嘉孝 高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所長 立石 信雄 オムロン(株)代表取締役会長 谷口 維紹 東京大学教授(大学院医学系研究科) 鳥井 弘之 日本経済新聞社論説委員 長尾美奈子 東京農業大学客員教授 中西 重忠 京都大学教授(大学院生命科学研究科) 薬師寺泰蔵 慶應義塾大学教授(法学部) 柳田 敏雄 大阪大学教授(大学院医学系研究科) -------------------- [63-1-4] 日本私大教連文部科学省との交渉2001.7.13報告より http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~jfpu-shi/shidai/0713monbu_1.htm 「・・・・ ○「大学(国立大学)の構造改革の方針」に示された方針は、「国立大学」 を対象としたものであって、私立大学に関わる点は第三者評価の導入と競争的 資金の重点配分のみである。なお、「バウチャー制度」については「骨太の方 針」で議論はあったが、現在は消えている。 ○「無償返済の奨学資金」にふれた塩川財務相の発言は、日本育英会奨学金だ けでなく育英奨学事業全般にわたるもので、税制改革と民間ファンドの活用を 示唆したもの。給費制奨学金の新設は困難である。 ○学費に対する直接助成は有効な制度であるが、新たな予算が必要になるため、 国の財政事情から難しい。 ○私学教育費減税は、財政当局が税は一律のものであり、私学に通う者のみを 優遇することはできないと主張しており、また、公務員削減の状況の中で煩雑 な事務を行う増員ができないといった理由から、実現は困難である。 ・・・・」 -------------------- [63-1-5] 東京新聞「研究実績で重点予算 上位30大学、私大も対象」 来年度から文科省方針2001.8.5 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2352.htm 「「国公私トップ三十大学」の世界水準への育成を打ち出している文部科学省 は四日までに、各研究分野で傑出した国公私立大学に対し、来年度から予算を 重点配分する方針を固めた。分野ごとに三十程度の研究所や学科などを選抜、 使途を問わず資金を支給する。同省では、これまでも大学院の重点化などを通 じて大学を区別化してきたが、さらに徹底する。しかし、高等教育全体の予算 増は期待できないため、有力校以外への予算配分は減る可能性が強まった。 関係者によると、同省では研究分野ごとに応募した各大学の実績などを評価 し、重点配分を進める方針。評価方法は未定だが、大学評価・学位授与機構に よる評価や論文引用数などを利用する案が浮上している。 支給対象は、国公私立大を問わない。このためもともと国からの助成金が少 ない私立大などにとっては、大幅な配分増のチャンスとなる。 一方、財源を確保するために、教官数などに応じて各国立大に一律に支給さ れていた基本給付が減額される可能性もあり、大学間の財力格差の拡大を懸念 する声も出そうだ。 同省では、これまでも「卓越した教育研究拠点」(COE)形成事業などを通じ て一部大学院の重点整備を進めてきた。研究者(グループ)を対象とする科学研 究費補助金などの競争的経費も拡充してきたが、今回は研究組織全体の実績と 潜在能力に着目して、新資金の導入を決めた。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [63-2] 経済産業省   -------------------- [63-2-1] 産業構造審議会産業技術分科会産学連携推進小委員会(第4回 2001.6.20) 2001.6.20議事要旨 http://www.meti.go.jp/kohosys/committee/summary/0000265/ 出席者:黒川委員長、浅井委員、加藤委員、清水委員、南谷委員、西澤委員、 原委員、平井委員、渡辺委員 外部有識者:リクルートTECH−Bing編集長 藤井氏 石川島播磨重工業 剣持氏 スタンフォード大学技術移転事務所名誉所長 ライマース氏 (3)石川島播磨重工業(株) 剣持氏よりプレゼンテーション 題名:「技術者の継続的能力開発」 「日本では新入社員の基礎学力・技術力が不足をカバーするものとして、企業 内での技術教育の重要性が高かったが、バブル崩壊後、社員教育予算のカット 等、OJTが成立しないという課題を企業が抱えることとなっており、技術者 全体の質が低下。大学において基礎学力をしっかりと教えていただくとともに、 大学においても実学の力を習得させる必要がある。特に教員に実践力を教える 能力を身につけさせる観点から、この課題を打破するためには、日本型休職制 度を導入する必要がある。なぜなら、学生に対して「何故この勉強が必要か」 を教えることが必要であるため、大学教授にものづくりの現場での開発・設計 の経験が不可欠であるからである。そのためにも産学連携が果たすべき役割は 大きい。」 (4)上智大学文学部社会学科教授 渡辺氏よりプレゼンテーション 題名:「わが国における人材育成の現状」 「大学は「専門性重視」と「一般教養重視」という二極化されたニーズの双方 を満足するに必要な人的・物的資源を備えることは、現実に極めて困難である。 大学が競争に勝ち残るためには、教育の目的を明確にし、その目的に向かって 資源を効果的に集中する必要があるのではないか。  グローバルで多元的、流動的な社会になると、国際的に通用する専門的能力 の「保証書」としての卒業証書の意味がますます重要になる。従来の学歴と卒 業証書の真価が問われ、市場価格を反映し、グローバルに認知され得る、新し い「格付け」が形成されるであろう。」 4.審議の概要 「技術移転について」 ○大学と社会が持っているテクノロジートランスファーのチャンネルを構築し ようとするとき、TLOだけ作って全て解決という考え方は危険である。OT M(技術マネジメントオフィス)という組織は、大学全体では一部である。大 学の貢献は卒業生を社会に輩出することであり、出版、論文を出すことである。 ○大学と企業の間で話し合うフォーラムのような場が大事。TLOは他のパイ プとパラレルに存在すると考えている。もっとも大事なことは、大学の自立し た運営である。 ○大学が組織的にコンサルティングにあまり携わるべきではなく、教授個人ベー スの問題である。院生の確保には資金が必要であり、教職員は研究室の企業家 であるべきだ。 ○イノベーションを産み出すまでの期間、1件あたりの収入の規模は運もある。 TLOが段階毎に発展していく過程に決まった時間はない。 「日米の大学組織について」 ○米国では学部のチェアマンは、ビジネスマネージャーとしてスポンサー探し ができる人が選ばれており、スタンフォードでは、ボトムアップが中心となっ てチェアマンを決めるということになっている。 ○学部のチェアマンの選定にあたって、最適な人材を外からも含めて探すとい うのがアメリカであり、日本は大学内のみから選ぶ。ここが日米の違いである。 (2)技術人材育成の現状について 「大学運営への提言」 ○全体平均の学力が低下したのは当たり前。従来の大学はトップの人材を養成 する場であった。しかし、大学への進学率が時代で10%から50%大衆教育に変 わっているのに、大学のシステムは何も変わらない。トップを育てる教育が出 来ていない。ここに問題がある。 ○トップを育てるという観点からいえば、ポスドククラスの人材をどう育て活 用していくかの戦略が重要。 ○教育よりも研究に偏重している。特に大学院のコースワークを充実すること が必要。 ○教育する側の質が悪いのなら、昔日本が国家予算の11%を投じて270人 の外国人教師を招へいした位の取り組みが必要。 ○日本は大学も産業界も人材の囲い込みをして交わらない。ピアーに交わるこ とで競争し質を高めるためには、流動性を高める必要がある。これを促進する 仕組みが大事であるが、現在の年金制度、退職金制度がネックとなっているの で、これらを変えるべきである。今は移動するほど損をする仕組みである。ま ず公務員の退職金制度を廃止してはどうか。 ○日本は、大学の先生が学生を自分の手足となる労働力として囲い込んでいる。 アメリカでは、学生は同じ大学に残ることはないため、教員がしっかりした教 育をしないと学生をプロダクトとして外に出したとき、自分の教育者としての 評価として返ってくるので努力している。 ○ロースクールの話もあるが、アメリカと設計思想が違うのに同じ事をやって も意味がない。アメリカは1度外(ローファームなど)に出て社会人を経験し た後からスクールに戻ってくるケースが多い。日本はプロフェッショナルスクー ルを学部の延長上に想定し、単に学問領域と職場(ポスト)の囲い込みをねらっ ている。 ○大学院でたまたま起業化の授業をとって初めて経営のことを知るというのは もったいない。早いうちから経営感覚やスピリットを養えるようにすべきであ る。 ○学ぶことのメリットを示すこと、例えば成功モデルなど個人のキャリアデザ インを検討できるようにすることが必要。 「大学間の人材交流について」 ○大学間で人材交流を図るべきであり、システム化しないといけない。自分の 業績を上げたいという教員しかいないから人材を囲い込むのであり、より広い 人材交流をさせるべきである。 ○役所は何も考えずにただ、他大学への流出を促し、元の大学に留まることを 禁止してしまうのは心配である。経営といった広い視点で大学自身が自立的に 競争力重視で動くようにしないといけない。 ○学部ではまだまだだが、大学院では出身大学とは別の大学に行き始め、流動 化が起きつつある。流動化を促進するには、大学が良い先生と良いカリキュラ ムを生み出すことで、学ぶ側のマインドを高めることが重要である。 「人材需給のミスマッチについて」 ○大学新卒の就職率(56%)と求人を比較すると、大学では、質的に産業界 の欲しい人材が供給されていない。 -------------------- [63-2-1-1] 産業構造審議会産業技術分科会委員 http://www.meti.go.jp/report/committee/data/g_commi01_03.html (分科会長)阿部 博之 東北大学総長 鳥井 弘之 日本経済新聞社論説委員 小島 直子 バリアフリーコンサルタント 生駒 俊明 日本テキサス・インスツルメンツ社長 稲葉 善治 ファナック(株)専務取締役 内永 ゆか子 日本アイビーエム常務取締役 大星 公二 NTTドコモ代表取締役会長  加藤 郁之進 宝酒造株式会社代表取締役副社長・バイオ事業部門本部長 関沢 義 富士通取締役会長 常磐 文克  花王特別顧問 平田 喜一郎 ヒューテック代表取締役社長 藤野 政彦 武田薬品工業 代表取締役会長 堀 信夫 山城精機製作所代表取締役社長 大見 忠弘  東北大学未来科学技術共同研究センター教授 柏木 孝夫 東京農工大学大学院生物システム応用科学研究科教授 黒川 清  東海大学医学部長 小宮山 宏 東京大学大学院工学系研究科長 末松 安晴 国立情報学研究所所長 鈴木 基之 国際連合大学副学長 竹内 佐和子 東京大学大学院工学系研究科助教授 長島 昭 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授 中村 祐輔 東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長 福田 秀樹 神戸大学大学院自然科学研究科教授 古川 勇二 東京都立大学大学院工学研究科長  松本 和子 早稲田大学理工学部教授 薬師寺 泰蔵 慶應義塾大学法学部教授 加藤 和彦  筑波大学電子・情報工学系助教授 -------------------- [63-2-2] 産業構造審議会新成長政策部会 (第4回2001.7.24) 議事要旨 3.議 題:雇用システム改革について http://www.meti.go.jp/kohosys/committee/summary/0000324/ ○ 社会人大学院による社会人の再教育機能は、現状ではキャパシティが小さ いし、インフラも整備されていない。社会人教育のためのプロフェッショナル も不足しており、現状の深刻さを認識してほしい。 ○ 自分のキャリアを高めたい、高度な能力を身につけたいということで社会 人大学に来る人だけでなく、自分の働く目的を探したり、今後の職業設計を考 えるために大学に来る社会人がいる。専門的な能力を身につけさせるという機 能以外にも、社会人大学に求められている機能があると考える。  各労働者の持つ知識や言葉にならない暗黙知などの「実務経験」や、対人 関係のマネージ能力についてのナレッジマネージメント(「ディープ・ナレッ ジマネージメント」)が重要である。また、専門学校などで教育を受け、知識 を身につけても、知識は3年もすれば陳腐化してしまう。社会人教育の際は、 必要とされる能力の変化に従い、高い知識を次々と獲得することができる能力 を身につけさせる「メタ・ナレッジ」も大切である。  コンピューターの使い方を学ぶのも重要だが、コンピューターでは置きか えられない機能を人間が担っていかなくてはならない。 コーポレートユニバーシティなど、人材育成面での産学連携も今後重要である。 ・・・・ ○ 労働者がスキルを獲得する機関として、専門学校についても触れるべきで はないか。また、米国のコミュニティカレッジのように、ITリテラシーのよう に迅速な供給がもとめられる能力を持った人材を、1ヶ月などの短い期間で集 中的に育成するような機能を大学等に持たせることを検討してはどうか。 【新成長長政策部会 中間とりまとめ(案)について】 ・・・・ ○ イノベーションと需要の好循環をつくるためのクリティカル・サクセス・ ファクターが何であるかを明示的に示したほうがいい。  大学を卒業して10年くらい経過した30代前半が、一番クリエイティブ で良く働く時期である。80年代の米国は、大学等における情報科学関係の定 員が大幅に増えた時期であり、そのときに教育を受けた人達が、30代になっ て90年代のIT好景気を支えたという分析がある。好循環メカニズムの形成の ためには、産業分野毎に、必要とされる人材の質と量を予測して、5年後、1 0年後の人材供給プログラムをつくるということが必要である。 ○ アメリカの大学は時代を先取りする教育・研究を行っているが、競争的に 資金を得ているという環境の影響が大きい。報告書にも提言されているが、競 争的資金の拡充、国立大学改革などの施策は、長期的に見て重要である。・・・ ○ ベンチャー支援のためのシステムは相当整備されたが、未だうまく働いて いない。創業を支援するための人材の不足や手本とすべき成功例がないことな どが原因であり、「大学発ベンチャー」を成功させるためには、システマティッ クなサポート体制が必要であり、例えば詳細なマニュアルを作るなどの徹底し た施策を実施するべきである。 ○ 大学に対する社会の期待を、大学が積極的に受け止めることが必要である。 個人が能力向上のために再教育を受けたいと思っても、イブニングコースの未 整備などのため、現在の大学では社会のニーズに応えられない。大学に期待さ れる社会のニーズを具体的に詰めていくことが必要である。」 -------------------- [63-2-2-1] 産業構造審議会 新成長政策部会 委員名簿  http://www.meti.go.jp/report/data/g10416aj.html (部会長) 吉川 洋  東京大学大学院経済学研究科教授 岡部 直明 日本経済新聞論説副主幹 浅井彰二郎 株式会社日立製作所コーポレートエグゼクティブ 飯塚 哲哉 ザインエレクトロニクス株式会社代表取締役社長 稲葉  肇 ファナック株式会社常務取締役 大滝 義博 株式会社バイオフロンティア・パートナーズ 代表取締役社 田坂 広志 シンクタンク・ソフィアバンク代表 福武總一郎 株式会社ベネッセコーポレーション代表取締役社長 成川 秀明 日本労働組合総連合会総合政策局長 池上 徹彦 会津大学長 大沢真知子 日本女子大学人間社会学部教授 國領 二郎 慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授 佐々木 信夫 北海道大学先端科学技術共同研究センター客員教授 長岡 貞男 一橋大学イノベーション研究センター教授 松島 克守 東京大学大学院工学系研究科教授 山本 良一 東京大学国際・産学共同研究センター センター長 八代 尚宏 日本経済研究センター理事長 西村 由美子 スタンフォード大学アジア太平洋研究所アソシエイト・ディレクター ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [63-3] 国立大学協会 -------------------- [63-3-1] ◆臨時理事会2001.7.5 議事要録 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/705-kdk-rijikai-giji.html 「 33 ○設置特委の目的は、理想的な設置形態を考えることと、文部科学省・調査 34 検討会議に国立大学の意見を反映させることだ。今回の"遠山プラン"にある 35 国立大学の再編・統合、削減というのは、現在の設置特委の範囲を越える問 36 題であり、今後、プランを具体化しようとする文部科学省に言うべきことは 37 急いで言う必要がある。そのためのWGである。 62 ○状況に機動的に対応していかなければならないということは分かるが、理 63 事会の権限について会則では、「協会の運営に関する事項を処理する」とあ 64 るだけであり、特別委員会を飛ばして、理事会がWGを中心とする少数の人 65 達が協会をリードするようなやり方はよいのか。 72 ○「将来構想」のネーミングは適切か多少気になるが、状況に迅速に対応す 73 るために理事会が審議する事項の原案作り、問題整理の窓口としてWGを設 74 けてやっていくことに賛成したい。 91 ○WGは具体的に何を検討し、いつ頃までに何をどうするのか、「国大協」 92 としての意見を表示してほしい。理事会の報告を文部科学省に申し入れるの 93 ではなく、総会を経て国大協としての対応をすべきである。」 161 II報告 162 163 (1)尾身科学技術政策担当大臣との懇談について 164 165 会長から、去る6月20日、午後4時から5時半までの間、会長、両副会長及び 166 阿部東北大学長の4人が尾身科学技術政策担当大臣と懇談した旨述べられ、 167 その内容について、概ね次のような報告があった。 168 169 尾身大臣からは、国立大学の施設・設備を公共事業費の枠の中で扱う方向を 170 考えていること、法人化後"の教職員の身分は非公務員型が望ましいと思っ 171 ていること、"遠山プラン"のトップ30構想には統制的な感覚が入っていて 172 賛成できないこと、大学のもつ知的財産をできるだけ産業界にトランスファー 173 する努力をすべきであり、企業のトップと学長方と懇談の場を積極的につく 174 りたいことなどの話があった。 175 176 国大協の側からは、法人化問題について国大協として時間を掛けてよく議論 177 したことなどを話し、設置特委の「報告書」の要点を説明した。」 -------------------- [63-3-2] 国立大学協会将来構想ワーキング・グループ議事メモ http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/705-kdkwg.html ---------- 46 文部科学省に発足する"遠山プラン"具体化のための作業グループと話し合いの 47 機会を作り、国大協の意見を反映するよう努める。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [63-4] 行政改革会議第第37回会議議事概要(抜粋)1997.11.17 http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/gakujutsu/haihu01/siryo9.pdf 出席者 (会議) 橋本龍太郎内閣総理大臣(会長)、小里貞利行政改革担当大臣・総務庁長 官(会長代理)、芦田甚之助、有馬朗人、飯田庸太郎、猪口邦子、河合隼 雄、川口幹夫、佐藤幸治(企画・制度問題小委員会主査)、塩野谷祐一、 豊田章一郎、藤田宙靖(機構問題小委員会主査)、水野清、諸井虔、渡辺 恒雄の各委員 (政府) 額賀内閣官房副長官、古川内閣官房副長官、田波内閣内政審議室長 (事務局) 水野事務局長(再掲)、八木事務局次長 ---------- ・日本学術会議については、 1 )総合科学技術会議との関係が問題である、 2 )日本学術会議は、諮問してもなかなか結論が出ない機関であるが、学者 が自由に意見を述べ合う場として、広く意見を聴取するのに便利な機関であり、 その使命について整理すべきである、 3 )政策に対して科学的知見を利用することが必要であり、最近基礎科学の 分野などで、同会議は自主的な勧告を行うなどの活動を行っているが、これが 政策とリンクできれば役に立つ、 4 )同会議に調査機能を持たせたらよいのではないか、 5 )同会議は会員となる学者の単なるステータスとなるだけで、その存在の 意味が分からない。いっそ一度廃止し、どうしても必要なら再度設置すればよ いのではないか、 6 )同会議は、名誉欲の発散の場となっている嫌いがあり、廃止して総合科 学技術会議に吸収すればよいのではないか、 7 )廃止するには相当なエネルギーを要するので、廃止は必ずしも得策でな い、 8 )当面存置し、どこかでその在り方を検討してはどうか、等の意見が述べ られ、これらを踏まえ、同会議については、当面総務省に置いて存置させるこ ととするが、その在り方については、総合科学技術会議で検討するとの結論が 了承された。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [63-5] インターネットで公開している大学予算の例 -----------------------------------------------------------   |年度・種類|総額 (給与外・割合)|教員+職員 ---------------------------------------------------------- 東大|H11・歳出|1927億(1238億・64%)|4133+3588 京大|H12・歳出|1223億( 692億・57%)|2828+2453 東北|H11・歳出|1105億( ?) |2588+2509 阪大|H11・歳出| 917億( ?) |2477+1976(+1055非常勤職員) 北大|H13・予算| 672億( 256億・38%)|2149+1958 --------------------------------------------------------- 慶應|H11・歳出|1097億( 499億・45%)|1630+2102 早大|H11・歳出| 674億( 289億・43%)|1888+2836(非常勤教員) --------------------------------------------------------- MIT |H12・歳出|1546億(*1)       |947+741(*2)+8700(*3) ---------------------------------------------------------------------- 東京大学 http://www.u-tokyo.ac.jp/jpn/gaiyou/expenditure/shishutsu.html 京都大学 http://www.adm.kyoto-u.ac.jp/Official/bulltin/daigakugaiyou9.htm 大阪大学 http://www.osaka-u.ac.jp/annai/gaiyou.html 東北大学 http://www.tohoku.ac.jp/resume/inter.html 慶應義塾 http://www.keio.ac.jp/pdf/sougou_data_7.pdf 早稲田大学 http://www.waseda.ac.jp/koho/databook/ MIT: http://web.mit.edu/facts/financial-data.html より *1 12.9億ドル *2 Teaching Assistants and Graduate Instructors *3 "research, library and administrative staff, as well as many others who directly or indirectly support the teaching and research goals of the Institute." ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [63-6] 国立大学長の発言 -------------------- [63-6-1] ◆示村悦二郎(北陸先端科学技術大学院大学長)「統合問題に求められる視点」 JAIST News 2001.8 http://www.jaist.ac.jp/~kouhou/2001/200108/president.html 「・・・国立大学の数が多すぎるという議論もこれまでに何度か交わされてき ました。しかし、単に国立大学を減らせというのではなく、公私立大学も含め て、どのくらいが適正な規模なのかという議論は残念な事についぞ聞いた事が ありません。そのような経過の中で、国立大学の数を減らすことを目的として 動き始めた「遠山プラン」に対して各大学が対応しなくてはならないのは、ま ことに不幸な1頁をそれぞれの歴史に残すことになりはしないか、危惧される ところです。それも話の発端が教育政策の議論からではなく行政改革の見地か ら始まったために他ならないのです。  ・・・・  いずれにしても、理念も目的も歴史も違う大学が一つになろうというのです から、簡単な事ではありません。殊に、特別な理念で作られた大学や極めて鮮 明な特色ある教育や研究をやってきた大学が統合を考えるときには、それぞれ の理念や特色を統合後にどう引き継いでいくのか、いかれるのか、あるいは軌 道修正をしなくてはならないのか、非常に大きな問題が当事者にのしかかって きます。この問題はさし当たっての当事者である大学が最初に直面する困難で あるばかりでなく、設置者である国の文教政策の根幹にも係わる問題ですから、 国も共に苦しむ当事者になるのです。  大学は単純に経済的観点で生き残りを争うものであってはなりません。大学 には文化を継承し、育てそして次の時代に豊かな文化を引き継ぐ使命がありま す。大学で学生を育てる観点もここに求められなくてはなりません。であるか らこそ、国が大学に一定の財政的責任を持つ理由も必要性もあるのです。統合 の問題も、大学の本来の使命に照らして後世に悔いの残らない判断が求められ ます。」 -------------------- [63-6-2] 宮城教育大学長「国立大学協会総会及び国立大学長会議に出席して」 http://www.miyakyo-u.ac.jp/president/1-7.htm 「・・・  次に6月22日に開かれた教育大学協会評議員会での文部科学省の説明の中 の関連する部分を合わせてご報告しておきます。こちらでは合田大学課長と石 井教育大学室長からの所管事項説明があった・・・。  一番注目された「構造改革プラン」と「国立の教員養成系大学・学部の在り 方に関する懇談会(在り方懇)」との関係については、そっちはそっちこっち はこっちで進めたい、「在り方懇」のまとめは当初の予定よりは少し遅れるが 「この秋にはまとめて報告したい」という説明でした。両者の方向や結論が違っ たらどうなるのかという質問には「在り方懇」でも当初から教員養成大学・学 部の統合・再編を視野に入れていたことで「そんなに食い違うということには ならないと思う」という説明でした。しかし、私の観測では「構造改革プラン」 は文部科学省の中でも頭越しに出てきたものだという印象を受けました。  教員養成系の統合・再編については、一つの考え方だという留保がついての ことですが、いくつかの養成課程をブロックにまとめる、この場合のブロック というのは地方行政で言う東北地区とか関東地方というブロックではなくて、 文字通り固めるという意味のブロックだと付言がありましたが、そういうブロッ クに幼・小・中・高、障害児など一通りの養成課程を置く大学を配置する。そ して48大学・学部にはすべての課程を置くということではなく、小学校教員 養成に特化した養成課程とする、いわゆる神戸大方式に近いものをおいていく という考えがあってもよいのではないか、という説明を補足する発言もありま した。1県1養成課程の原則を崩すのか、という批判的質問が出るのは当然で すが、これには明確な答弁はありませんでしたが、先の会議の報告でも言いま したが、それならそれで県立移管とか、国と地方で協同して運営していく方式 だって検討すべきではないか、という表明があるのはやはり状況が大きく変わ ろうとしていることの証左ではないかと感じました。 ・・・」 -------------------- [63-6-3] 牟田泰三広島大学長「遠山プランについて」2001.6.26 http://www.bur.hiroshima-u.ac.jp/~koho/ontohym.html 「・・・ 「遠山プラン」は、その表現が極めて刺激的な形を取っているため、革新的 なもののように見えますが、冷静に文書を点検すれば、2−3の事項を除いて は、文部科学省内に設置されている「国立大学等の独立行政法人化に関する調 査検討会議」や国大協の「設置形態検討特別委員会」での議論をおおむね反映 したものとなっていることに気づきます。・・・」 -------------------- [63-] 広島大学独立行政法人化対策会議目次 http://www.bur.hiroshima-u.ac.jp/~houjin/kaigi.htm 内容は学内限定 -------------------- [63-6-4] ◆徳島大学「◇第108回国立大学協会総会及び国立大学長会議について 」 http://www.tokushima-u.ac.jp/Message/gakuho13.6/13.6gakuho.html 「・・・ 遠山プランに対する大学ならびにマスコミの反応  1877年に東京大学が創設されて以来,現在99ある国立大学が日本の学 術・文化,産業などに果たしてきた役割と成果は極めて大きいと国立大学関係 者は考えています。国立大学協会がまとめたパンフレット「日本の将来と国立 大学の役割」(平成13年5月)には国立大学の役割を@知識・技術の創造拠 点として,A中核人材の養成拠点として,B教育機会の均等を保証するものと して,の3つの視点から整理し,これから果たすべき役割とその条件を述べて います。その中に国立大学の活動を示す様々なデータが示されており,例えば 大学別論文生産数のシェアーを見ると,日本の主要大学は世界の大学の最上位 を占め,そのシェアーも拡大していることがわかります。このパンフレットを 読んで,我が国の国立大学の実力と社会貢献度について,一般の方々にも知ら せていただきたいと思います。しかし,政界や財界の中にはこのことをご存知 ないだけでなく,誤ったデータから誤解している向きが少なくありません。例 えば,民主党の国立大学独立法人化検討ワーキンググループが,日本の大学は 世界的には全く魅力がないとして,国際経営開発研究所(IMD)による「世 界競争ランキング」の大学教育の評価(日本は49カ国中49位)などを挙げ ています。全く事実に反することは明らかですが,海外ではそのほかにも事実 に反する日本の大学のランキングが発表されているので,日本の国立大学は教 育・研究の実状を正しく認識してもらうための努力が必要であることは事実で す。  遠山プラン発表後の大学やマスコミの反応は各新聞,週刊誌,テレビを通 じて,教職員各位もご承知のことと思います。大学からすると,再編・統合は 大学数の削減を意味する,トップ30校に入らなければ研究大学の評価が得ら れなくなる,この構造改革案では基礎科学や日の当たりにくい研究分野,特に 人文・社会科学ならびに芸術・文化の発展が阻害されるなどの懸念があり,個 人の立場でもストレスが強まり,失職の恐れすらある,などの不安があります。 一方,これを契機に大学の構造改革を促進できるという考えもあります。  ・・・」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [63-7] 公立大学協会法人化問題検討委員会議事概要 第8回2001.7.6 http://homepage2.nifty.com/kodaikyo/h13/hojinka08.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [63-8] 学術・教育関係者・団体等の発言 -------------------- [63-8-1] 日本科学者会議「遠山プラン」に対する見解2001.7.30 http://www.jsa.gr.jp/03statement/010730.htm 「・・・・ 問題点の一つは、行政改革の真のねらいである強力な中央集権化による強大 な国家づくりの中心的な役割を果たす内閣府につくられた経済財政諮問会議に おいて、これまでの文部科学省の議論の枠を超えたわが国の国・公・私立を含 む全大学の在りようが、大学改革の基本方針として出されていることである。 二つは、・・・・大学が本来持っている経済や産業の活性化に果たしうる真 の可能性を奪い去る再編計画を強引に推し進めようとしていることである。こ れはわが国の教育・学術・文化、産業・経済、医療・福祉等を支えてきた国民 的財産である大学に対して、経済が困難な状況の中で国民がもつ期待にまった く逆行するものである。 その三つは、格差・選別によってまともな教育もできない貧困な環境を多く の大学に押し付け、先進資本主義諸国ではまれにみる高学費を学生に課してき た責任には全く触れないだけでなく、わが国の大学の拡充発展を願う真摯な大 学人による改革論議を無視し、経営的発想によるスクラップ・アンド・ビルト にもとづく大学の統廃合、独立採算性を前提にした法人化に加えて、第三者機 関による評価や財政誘導による競争によって、国公私上位30大学(5%)の みを重点化し、残りの95パーセントの圧倒的多数の大学を淘汰するという計 画を具体的に示したことである。 ・・ここには、憲法が保障する学問の自由、教育基本法が示す教育の目的を 実現するために大学が高等教育機関として果たしてきた役割、世界の平和と人 類の福祉のための貢献を前進させるという姿勢が全く欠如している。単なる目 先の国策遂行のための新産業創出および人材育成機関としてしか大学を位置付 けていない。・・・・  1998年のユネスコ「高等教育世界宣言」などに見られるように、世界的 に見ても高等教育の重要性が改めて問われ、その充実が求められている。わが 国で今必要なことは、・・・管理統制、格差分断、貧困放置の教育行政を改め、 教育・研究環境を飛躍的に整備拡充することが可能な大学財政を保障すること である。特に高等教育においては、文化の拠点として、将来の発展を展望し、 大学の全ての面にわたっての拡充を図ることである。・・・」 -------------------- [63-8-2] 独行法情報速報 No.7 特集:学内評価規定 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/n7.html 強まる「遠山プラン」への批判。今こそ21世紀を切り拓く大学像の提示を http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/n7.html#n7toyama -------------------- [63-8-3] 千葉大学文学部教授会声明2001年7月26日  ―国立大学の独立行政法人化に改めて反対を表明し、長期的な見通しにたった 着実な政策の提言を要求する― 「経済改革」に従属した「大学の構造改革」は日本の大学を危うくする http://www.l.chiba-u.ac.jp/jp/communique01jul26.html 「・・・しかも文部科学省は、自らが設定した「スケジュール」に従い、「大 学間の統合・再編の推進」を図っている。しかしその「スケジュール」は、 2001年12月までに、各大学が「再編・統合」のプランを作り、2002年度ないし 2003年度の概算要求で「再編・統合」の実施要求を行うという、あまりに拙速 なものである。このような「スケジュール」で、日本社会の共有財産である国 立大学についての理念的な議論をしないままに、国立大学を「スクラップ・ア ンド・ビルド」「再編・統合」することは、文部科学省の責任放棄であると言 わざるを得ない。 ・・・・  私たちは、短期的経済効率では計ることのできない基礎的・根底的研究こそ が社会の長期的発展に資するとの視点から、「経済改革」に従属させられた 「大学の構造改革」はもとより、そういう視点を欠く国立大学の独立行政法人 化に改めて反対を表明するとともに、関係各機関に長期的な見通しにたった着 実な政策の提言を要求するものである。 ・・・・」 -------------------- [63-8-4] 弘前大学職員組合ホームページ http://hb8.seikyou.ne.jp/home/hirodai-shokuso/kumiai.html 「・・・学長,事務局長ならびに人事課は食堂の利用は食事に限るのでニュー スを回収せよとの通知を,弘大職組にではなく,弘大生協におこなったようで す.その理由としては、”大学と生協との取り決めでは食堂としての使用を認 めているだけであり,大学の所有物である机の上に置くことは食堂の使用目的 に反するからである“と聞きました.その後,生協側で弘大生協労組・弘大職 組ニュースを回収したそうです.  ここには2つの問題点があります.1つは食堂としての機能であり,2つ目 はニュースの内容です.食堂としての機能を維持するということに関していう ならば,食堂とは本来,食事の便宜を提供すると共に大学における幅広いコミュ ニケーションの場を提供してきたものと理解しております.・・・ニュース自 体は,弘大職組が設置したものであり,そのニュース自体の内容を問題視する のであれば,事務当局は弘大生協でなく,弘大職組に対して抗議すべきである と考えます.また,その内容に関しても独法化や今後の大学像に関して,一人 一人の構成員を抜きにした改革はあり得ないとの認識で広く情報を公開せよと いうものです.特に,事務局長へのヒアリングに関していえば,至急にその全 容を大学の全ての構成員に対して明らかにすべきではないでしょうか?これは 秘密でも,一方的問題でもなく,明らかに弘前大学のいく末に関する情報であ ると考えられます.  弘大職組は今後も“学長をはじめとする大学執行部は全ての構成員に対して, 全ての情報を明らかにしてきたるべき文科省に対する対応を全体で協議すべき である“という立場にたち,みなさんからの御意見はいただきながらwebなど を利用して率先して情報提供していきたいと考えています.」 -------------------- [63-8-5] 独法化の先取り的準備を進める新潟大学 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2338.htm 「以下の記事を7月30日にreform-MLに送りました。ところが早速、大学当 局から教育人間科学部長あてにクレームが来ました。組合が大学のプラウザを 使ってホームページを開いているのをやめさせるようにということのようです。 組合としては、このサイトを解消し、外部のプロバイダーを使って別のホーム ページを開く方向で動き始めましたので、ビラに興味のある方はお早めにご覧 ください。」 -------------------- [63-8-6] ◆池内 了「日本経済活性化のための大学改革?」 科学2001年8月号1126−1127 天と地と人の間で 「・・・・ 一昨年来、国立大学は独立行政法人化問題で揺れ続けてきた。先瑞的研究業 績を挙げていない、優秀な人材を輩出していない、閉鎖的で環境変化に鈍感で ある、旧態依然たる状態に安住している、競争がなく特色がない、経営管理の 発想がないなど、特に経済界からの強い批判にさらされ、国立大学は、これら の批判への有効な反論ができないまま、「設置形態の変更」をせねばならない という事態に追い込まれてしまった。それが、1年半におよぶ検討を経ての、 6月15日における国立大学協会(国大協)総会での独法化容認報告(総会決 定ではない)となったわけである。国立大学への批判は、必ずしもただちに設 置形態の変更と結びつかないはずだが、日本全体が罹っている「構造改革熱」 に国立大学も伝染してしまったのだ。 ・・・・ 銘記すべきことは、かつての文部省は、大学審議会や学術審議会での審議を経 て大学改革の方針を打ち出していたのに対し、この「文科省方針」は一切その ような審議はなく、官僚の手で作成され、一方的に大学に押し付けられようと していることだ。・・・・1県1大学という戦後の大学改革が打ち立てた理念 を、そう簡単に、かつ行政部門だけの意見で、打ち捨ててよいのだろうか。そ れも脅しをかけて。私には、官僚が「聖域なき構造改革」に悪乗りして、自ら の権限を強めようとしているとしか思えない。 ・・・ 守旧派と言われようと、私自身は、憲法にある国民の教育を受ける権利を保障 するために1県1国立大学の最低線を遵守し、生き生きとした研究・教育を行 うための経常研究費を充実させることが肝要であると考えている。その上でな ら、予算の重点配分や複数の機関による評価があっても構わない。大学の目的 は、「研究を促進し人間の知識全体を前進させること」、「学生に一般教育を 施すこと」「さまざまな部門の専門家を育成すること」にあると考えるからだ。 もし、それがノーテンキな大学人の世迷い言と非難されるなら、もはや何をか いわんや、である。 -------------------- [63-8-7] ◆喜多村和之「国際評価は公正か―自虐的な日本人の大学評価」 (アルカディア学報No44 2001.8.1) http://www3.ocn.ne.jp/~riihe/arcadia/arcadia44.html 「(前略) こうした日本企業の日本の大学不信をさらに裏付ける結果になっているのが、 スイスの経営開発国際研究所(IMD)が毎年発表する『世界競争力白書』 (World Competitiveness Yearbook(二〇〇一年度版))の調査結果である。 IMDは、各国の有識者にその国の大学は経済競争の必要性にどこまで応えて いると思うかというアンケート調査を行った。この設問に対して日本人の有識 者からの回答は否定的なものが多く、四九カ国中四九位と最下位にランクされ た。この結果は日本にも報道され、国内に広範なショックをもたらし、国会で も問題にされるとともに、特に産業界やマスメディアからの大学バッシングに 発展した。  ・・・・それはしばしば誤解されているように、世界の識者による日本の大 学評価ではなく、日本人による日本の大学評価なのである。このうち何人のど んな日本人が回答したのかは明らかではないが、四九カ国中全体で四〇〇〇人 にも満たない全回答者数からみて、ごく一握りの日本人の回答から評価がはじ き出されていることは間違いないであろう。つまりこの調査のデータの代表性 や統計的根拠については、おおいに疑義の余地があるのである。・・・テレビ に出て日本の大学が世界最低の順位とはショックだなどと発言している産業界 の代表がいたが、実は日本人が自分で自分の国の大学評価を低める回答をした 結果なのである。 ・・・・カネは出さないがクチだけは出すというのでは、大学も学問も育た ない。産業界が行うべきことは、日本の大学教育を最初から自虐的に否定して みせることではなく、日本の大学を長い目で育てていくという視点をもつこと ではないだろうか。いかにグローバリゼーションが進行しても、日本の企業が まず必要不可欠としているのは、日本の学校や大学で育成された人材のはずで ある。「青田買い」や企業の都合で大学教育を混乱させたり、大学には学生の 選別だけをしてもらえばよいので、教育機能など期待しないなどといって、学 生の在学中の学習や経験を評価しようとしない時代遅れの慣行を続けるのでは なく、むしろ教育や研究でがんばっている大学や学生に財政的な援助を通じて、 長い目で日本の教育と研究の進展に助力してくれることではないだろうか。そ のほうが産業界にとって結果的に利益になるはずである。・・・・」 -------------------- [63-8-8] ◆原山優子(経済産業研究所 研究員)「遠山プランが投げかける問題」 独立行政法人経済産業研究所今週のコラム2001.7.31 http://www.rieti.go.jp/column/2001/0012.html 「・・・・ □ 疑問その一 まずここで問題になるのが、このようなキックオフの時点で、定量的目標をあ えて提示する必要があるのかという点である。 これらのターゲットは、遠山プランの副題にあるように「大学が変わる、日本 を変える」という流れを誘発させる手段として位置付けられているように思わ れる。しかし、ひとたび定量的目標が掲げられると、その数値達成に全力が注 がれ、最終目的を見失ってしまうという危険が生じることも事実である。第1 期科学技術基本計画の推進施策の一つとして打ち出された「ポストドクター等 1万人支援計画」から学ぶ点はなかろうか。 □疑問その二 経済財政諮問会議の枠内で打ち出されたことから、遠山プランは産業政策・雇 用対策の一環として位置付けられるが、文部科学省の所掌事務の範囲にある 「高等教育政策との適合性は?」という疑問が生じる。 古くから、大学は研究機関として科学技術政策の大黒柱の役割を担ってきたが、 近年、産業技術の発信源として産業技術政策、産業政策、および地域活性化政 策と関わり、またトレーニング機関として雇用対策の一手段と見なされるよう になってきた。本来のミッションである教育機能の低下が問われ、問題解決の 糸口もつかめていない状況にありながら、大学には多大な役割が強いられてい る。また幾多の政策目標を達成する手段として、大学をワイルド・カード的に 動員する点にも問題がある。 □疑問その三 各提案の裏に共通分母として存在するのが「産学連携」というキーワードであ る。そこで「産学連携」とは、という疑問が出てくる。広義には「産業界と大 学がいくつかのチャンネルを通じて有機的に結びつき、両者の交流から生まれ るダイナミックスにより構築される互いに有益な関係」、狭義には「大学から 産業界への技術移転」となる。額面通り提案を読むと、狭義の「産学連携」に 焦点が当てられており、大学をこのゲームに参加させるためのインセンティブ が今ひとつ見えてこない。 □ 疑問その四 「産学連携」の定義からもう一つ疑問が生じてくる。広義にしろ狭義にしろ、 基本的にはアクターとしての「産」と「学」が関係を結ぶことであるが、はた して今日の大学は意思決定権を有し、また自ら選択した行動をとることができ る状況にあるだろうか。法人格をすでに持つ私立大学においては、問題は意思 決定機能にかかってくるが、国立大学においてはさらにその川上にある法人化 の検討が前提となる。また独立行政法人化が現実のものとなったあかつきにも、 直ちに意思決定機能が働くという保証はまったくない。大学におけるガバナン スの見直しを、法人化の問題と平行して検討されることが必須である。 -------------------- [63-8-9] 長谷川浩司「最近の動き7/30」(育英会、奨学金事業を縮小(7/28)について) http://www.math.tohoku.ac.jp/~kojihas/index-j.html#comment 「2001.7.30 参院選は「選挙がおわって中身がわかる」の白紙委任状にも似た 結果になったが、すでに 28日に日本育英会の事業縮小案が報道されていた。 育英会の奨学金事業の実現には、本数学科卒業の故河合三郎氏が力をつくした と聞いているが、あと数年生きて意見をいただきたかったと切に思う。同氏は 日本では人材育成に充分な配慮がなされないことを嘆き、本理学部にも寄付を され、その遺志は今も(必ずしも十分とはいえないかもしれないが)「仙台数学 セミナー」など当学科共催の企画に残されている。しかし本来、このように人 を育てることこそ(現政権の唱える)「国のなすべき事業」ではないか。民業の ローンを圧迫するというが、貸与の比率が多いことが問題であり、これを理由 に予算を縮小するならばいいがかりに等しい。教育への公的投資の少なさによ る学費高が背景にある。行革担当大臣などには実感できない痛みかもしれない が、私を含め私の同僚にも奨学金で院生時代を切りぬけた者は多いし、企業や 学術振興会の成果期待型給付ですむものでもない。(返済免除制度を念頭に、 奨学金をもらいはじめた高校時代から学者をめざした同業者先輩もおられるし、 同様にして教師をめざす者はもっと多かっただろう。)現在の高度な文明を支 えているのは決して世襲的世知ではなく、普遍的な科学の力であると信ずる。 それを陰で支える奨学金事業を一瞬の改革もどきで縮小することは、近視眼的 ですらない暴論である。(参考:1/2) 追加: 31 日、小泉氏は特殊法人への支出 1 兆円の削減を石原氏に指示。 日本育英会事業の削減が実行されれば、すでにこの数字は 1/4 〜 1/2 達成さ れうるが、これが米百俵の精神といえるだろうか。 ○(特殊法人等の事業見直しの中間取りまとめおよびその一部(内閣官房行革推進 事務局)/7.13 http://www.gyoukaku.go.jp/news/news0625.html ○私大教職組連合の文部科学省要請の記録 http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~jfpu-shi/shidai/0713monbu_1.htm ○2001.7.30 [he-forum 2322] 育英会、奨学金事業を縮小(読売新聞7/28). http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2322.htm -------------------- [63-8-10] 鳥井弘之「重点研究に思わぬ弊害ー独創性は多様なテーマから」 2001.7.8 日本経済新聞(中外時評) http://www.jca.apc.org/toudai-shokuren/dekigoto/010708n.html -------------------- [63-8-11] 竹内 淳「研究費配分審査の課題―官民格差に審査員の多様性欠如」 アルカディア学報No41 2001.7.18 http://www3.ocn.ne.jp/~riihe/arcadia/arcadia41.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [63-9] 報道など -------------------- [63-9-1] 朝日新聞8/3「科学技術予算―「社会」が軽視されている」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2343.htm -------------------- [63-9-2] ◆毎日新聞社説7/28「科学技術政策 基礎研究を軽んじないで」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2320.htm 「・・・だが、過度に重点化、効率化を図れば、夢があっても応用に結び付き にくい天文学や素粒子物理学、生物学などの基礎研究が疎んじられる。無理に 重点分野に入ろうとする研究者も出てくるだろう。  科学技術の進展に基礎研究は重要であり、政府が目指す科学技術創造立国も 独創的な基礎研究の推進抜きには考えられない。総合科技会議の議員の白川英 樹・筑波大名誉教授がノーベル賞を受賞したプラスチックに導電性を持たせた 業績も、基礎研究が応用に結び付いたことを忘れてはならない。  第2期基本計画の「ノーベル賞受賞者を50年間で30人」という目標も、 今度のような予算の重点配分では逆に達成は難しくなる。  総合科技会議の方針に沿って来年度予算の概算要求をする文科省などは現場 の声をよく聴き、大きな可能性を秘めた基礎研究を軽んじないようにしてほし い。  いま大学は批判にさらされ、日本学術会議もその在り方が総合科技会議で検 討されており、研究者は自由にものを言いづらい。それでも声を上げないと科 学技術が変な方向に進む可能性がある。  研究者は世間の厳しい目を自覚し、真に競争原理が働く活気ある研究現場を 築いてほしい。「改革の抵抗勢力」では決してないことを自ら示す必要がある。 」 -------------------- [63-9-3] 日本経済新聞07/29「市場原理で知の競争を 自己改革できない国立大」 リレー討論 大学を変える(1)中嶋嶺雄氏(今期東外大学長) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2349.htm #東京外大学長選で負けたためとは思わないが、 氏の国立大学への攻撃が最 近さらに激しくなってきたように感じる。 「・・・ 独立行政法人化論議は、もともと12万5千人といわれる文部科学省職員の 削減という行政改革の流れで浮上したわけですが、問題は、21世紀の情報技 術(IT)革命のさなかにあって、明治以来の近代化を担った国立大がいまだ に親方日の丸のもとで変われないことです。定員削減問題で反発するあまり、 議論を改革に結びつけられなかった。文科相が「設置者としての責任でプラン を実行する」とあえて表明したのは、国立大学側の自己改革の限界を認めたこ とにほかなりません。 ・・・ 社会人を対象にした職業教育機能も新たな需要です。「遠山プラン」と合わ せ、いわゆる「平沼プラン」では大学発の新産業創出へむけて日本版シリコン バレーを全国に作る計画です。こうした産業界からの要請やプロフェッショナ ルスクールには、「学問の府」の立場からの反対が常にありますが、99の国 立大学が縦一線に並んで現実に対応する時代はもう終わったのです。明治以来 の日本の成功体験に寄りそった大学像を捨てなければ、日本の大学は再生でき ません。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [63-10] バイーアでの暴動 [mathfp 25] riots in Bahia > Salvador-BA, Brazil, July 12, 2001 ・・・・ The Bahian state police went on strike last week, requesting better salaries. As a result, Salvador, the state capital, together with all other Bahian cities, is without law enforcement. This is the day when the fragile veil, that protects the haves from the have-nots, the citizens from the excluded, the whites from the blacks, bursted. The non-citizens have formed spontaneous gangs to sack comercial establishments, shops, gasoline stations, and mugg the people they encounter in the street. Hysteria established her reign and made ordinary people look like dangerous thiefs. ・・・ This is a city where one half of the population - the ones with regular jobs, apartments, and cars - pays taxes so that the state protects them from the other half of the population - the ones without rights, without access. For the first half, there are private schools, private hospitals, theaters, movie centers, shopping centers, cars, clubs - in short everything that citizens of most northern countries enjoy. For the second half there are public schools that do not prepare them to pass the obligatory access-test to universities. There are public hospitals, were people die and have babies waiting in line. While the first half only leave their appartments in a car, the others have to jump between the speeding traffic, run to cross a street in time, and face a city designed by the one`s with cars for the one`s with cars. Sidewalks lead to deadends, leaving the walker facing two or more lines of speeding cars. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題を広い視野から考えるのに役立 つと思われる情報(主に新聞報道・オンライン資料・文献・講演会記録等)を 紹介。種々のML・検索サイト・大学関係サイト・読者からの情報等に拠る。  メール版で省略されている部分はウェブ版参照。ウェブ版は目次番号が記事 にリンクされている。転送等歓迎。 【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ ひ読んで頂きたいもの。 【関連サイト】http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp --------------- 発行部数 2281 (2001.8.8現在) 1549 Mag2:889|CocodeMail:361|Pubzine:89|melten:81|Macky!:57 |melma:42|emaga:30 732 直送(北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・国会議員等) --------------- Digest版 発行部数 約1600(北大), ML(he-forum,reform,aml,d-mail) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End of Weekly Reports 63
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