==> |Back Number総目次と登録
visits since 2001.8.27

Weekly Reports  No.65  2001.8.27 Ver 1.02

http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-65.html 総目次:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/all.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━        目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-0]内容紹介  [65-0-1] 大学に関連する来年度概算要求   [65-0-1-1]文部科学省    [65-0-1-4-1] 文部科学省「トップ30校」政策と教育基本法との整合性   [65-0-1-2] 経済産業省   [65-0-1-3] 内閣府  [65-0-2] 科研費   [65-0-2-1] 科研費基盤研究Sの採択率 2.9%(34件に1件)   [65-0-2-2] 間接経費の使途   [65-0-2-3] 未熟な評価文化  [65-0-3] 遠山プラン   [65-0-3-1] 大学行政の<暗闇への跳躍>「トップ30校重点育成」   [65-0-3-2] 「トップ30校」政策ーー受験競争激化の懸念   [65-0-3-3] 過度な「競争原理」の弊害   [65-0-3-4] 大学にとって適度な競争   [65-0-3-5] 内閣高支持率は「行政の不正義」是正への期待  [65-0-4] 独立行政法人化問題   [65-0-4-1] 調査検討会議での議論より    [65-0-4-1-1] 公務員型・非公務員型の争点    [65-0-4-1-2] 文科省見解「非公務員型では教特法は論外」    [65-0-4-1-3] 学問の自由に関する文部科学省の新しい詭弁    [65-0-4-1-4] 文部科学省官僚の問題発言    [65-0-4-1-5] 大学関係委員は会議を離脱すべきである  [65-0-5] 構造改革の是非を巡って:注文の多い料理店2   [65-0-5-1] 金融ビッグバンを巡って    [65-0-5-1-1] 外資支配の功罪    [65-0-5-1-2] 引き返す機会 [65-1] コラム:大学を考える 萩原 亮「的外れの大学改革の潮流」 [65-2] 独立行政法人化関係  [65-2-1] ◆国大協理事会将来構想ワーキング・グループ   [65-2-1-1] 国立大学長への報告 2001.8.17   [65-2-1-2] 議事メモ第4回(2001.8.8)   [65-2-1-3] 各委員報告    [65-2-1-3-1] 「法人化後の大学の組織形態について」島根大学 吉川通彦    [65-2-1-3-2] 「学長選考等,教職員の身分」長崎大学 池田高良    [65-2-1-3-3] ◆「国の政策目標(グランドデザイン)と大学の長期目標」東京大学 佐々木 毅    [65-2-1-3-4] ◆「国立大学評価委員会(仮称)について」松尾・奥野    [65-2-1-3-5] ◆「将来構想WG の検討事項」静岡大学 佐藤博明    [65-2-1-3-6] 「「まとめの方向(案)」(財務会計)に関する意見」一橋大学 石 弘光  [65-2-2] ◆「調査検討会議組織業務委員会(第12回2001.6.27)」 議事要旨  [65-2-3] ◆「調査検討会議財務会計制度委員会(第9回2001.6.15)」議事要旨  [65-2-4] 文部科学省調査検討会議『中間報告(案)』分析メモ Ver. 1  [65-2-5] 国立大学協会   [65-2-5-1] 第八常置委員会議事録(2001.5.21)  [65-2-6] 総務省 政策評価・独立行政法人評価委員会(第7回2001.7.27)議事要旨 [65-3] 遠山プラン(続)  [65-3-1] 国立大学協会   [65-3-1-1] 理事会将来構想WG:国立大学等の再編統合について(第1次案2001.8.8)   [65-3-1-2] ◆「「国立大学の再編・統合等について(第1 次案)」への意見」  [65-3-2] ◆Nature 「小泉内閣の科学技術政策の基本方針は、基礎研究を失速さ  [65-3-3] ◆山本眞一(大学研究センター長)「「遠山プラン」を考える」  [65-3-4] 喜多村和之「トップ30選別の意味―「遠山プラン」と私大政策」」  [65-3-5] 第55回地学団体研究会総会「「大学の構造改革の方針」に反対する」決議  [65-3-6] 新潟日報社説(2001.8.23)大学の構造改革 将来像明示を地方から迫ろう  [65-3-7] 読売社説8月20日付[科学技術予算]「国際競争に勝つ成果を目指せ」  [65-3-8] 河北新報2001.8.22論壇「国立大学改革 教員の業績 適正評価を」  [65-3-9] ◆河合塾シンポ傍聴者のメモ 2001.8.23  [65-3-10] ユネスコ「高等教育教職員の地位に関する勧告」について1997.11 [65-4] 文部科学省  [65-4-1] 教員養成等における大学と教育委員会の連携の促進に向けて  [65-4-2] 失敗知識活用研究会報告書 [65-5] 構造改革  [65-5-1] 財務総合政策研究所「経済の発展・衰退・再生に関する研究会」(続)   [65-5-1-1] 第1章 イギリス[130kb]安部悦生(明治大学経営学部教授)   [65-5-1-2] 第5章 スペイン[161kb]戸門一衛(神田外語大学外国学部教授)   [65-5-1-3] ◆佐野誠:第7章 アルゼンチン:日本経済の自由化症候群    [65-5-1-3-1] BIS 規制    [65-5-1-3-2] G. Palast "Who Shot Argentina?  [65-5-2] 「金融ビッグバン」の現在   [65-5-2-1] 帝国バンク全国企業倒産情報   [65-5-2-2] 財務省:金融システム改革(日本版ビッグバン)とは   [65-5-2-3] 日本学術会議経済制度研究連絡委員会報告「金融ビッグバンの根底にあるもの」   [65-5-2-4] ◆クルーグマン(山形浩生訳)「日本がはまった罠」1998.05   [65-5-2-5] 加賀山 茂「日本版金融ビッグバンと消費者保護」(1998.7.25)   [65-5-2-6] 金融ビッグバン批判のページ    [65-6-6-1] ビル・トッテン「ビッグバンが日本へもたらす影響」(1998.1.28)    [65-6-6-2] 「榊原英資の金融ビッグバンとこれからの経済社会環境」    [65-6-6-3] 「****は日本を売り渡すつもりか?」   [65-5-2-7] インフレターゲット論争    [65-5-2-7-1] 物価安定政策会議第39回物価構造政策委員会議事録 2001.3.7    [65-5-2-7-2] ◆岩田規久男「インフレ目標付長期国債買い切りオペの提案」2001.3.1    [65-5-2-7-3] ◆小野善康「不況期の財政政策の論点」(2001.5.22)より    [65-5-2-7-4] 蜂谷隆:「量的緩和」で日本経済は再生しない    [65-5-2-7-5] JMM: インフレターゲットは有効か?   [65-5-2-8] 経済生産性本部メンタルヘルス研究所「産業人メンタルヘルス白書」2001/08/24 [65-6] 大学財政  [65-6-1] 省庁の大学関係予算   [65-6-1-1] 経済産業省「起業促進へ資金支援、大学発ベンチャー育成」(NIKKEI NET)   [65-6-1-2] 経産省、文科省が即戦力技術者大量育成進める   [65-6-1-3] 内閣府「沖縄大学院大学の調査費計上 内閣府概算要求」(朝日新聞)   [65-6-1-4] 文科省、“優れた研究”補助事業に予算確保(読売新聞)  [65-6-2] 大学財政資料(続)   [65-6-2-1] 国立大学全体   [65-6-2-2] 大学への資金源別研究費の割合(%)[65-3-3]より   [65-6-2-3] 競争的研究費の分配状況総額に占める割合(%)[65-3-3]より   [65-6-2-4] 徳島大学の自己収入率   [65-6-2-3] 山口大学の「ゆとり指標」  [65-6-3] 科学研究費   [65-6-3-1] 基盤研究(S)新規交付課題一覧(PDF形式)(2001.8.11)   [65-6-3-2] 科研費審査員名簿(H12)   [65-6-3-3] 学術創成研究 新規交付課題一覧(PDF形式)   [65-6-3-4] 産学協力研究委員会 [65-7] 「都立大学統廃合」に対する学生運動  [65-7-1] 東京都立大学A類学生自治会「大学改革に関する緊急アピール」2001.6.19  [65-7-2] 東京都立大学学生ネットアピール文(2001.8.1) [65-8] 筑波大学教職員組合:筑波大学開学以来の本部交渉 [65-9] 報道など  [65-9-1] 共同通信ニュース速報「大学ランクは信用できず 米誌の元担当者が暴露」  [65-9-2] リレー討論「大学を変える」(2001年7月〜 日本経済新聞)  [65-9-3] AERA「国立大教授のお気楽な生活」2001 8/27 号 記事への意見受付:  [65-9-4] 「天下り役員らへ26億円 農水の旧2特殊法人が43人に」  [65-9-5] 読売新聞:国際競争力アップで産学官連携サミット開催へ(2001.8.19)  [65-9-6] 読売新聞:「52校が法科大学院を予定」(2001.8.17)  [65-9-7] 日経新聞2001/08/20 06:59「東大・京大、研究テーマ公募し成果を還元」 [65-10] 個人の意見等  [65-10-1] 李啓充「米国マネジドケアの失敗から何を学ぶか」  [65-10-2] 町村信孝「政治主導で再編に道筋ーー公平に評価、適正に財源配分」  [65-10-3] 山口二郎「戦争が残した問い」(北海道新聞2001.8.19) ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-0]内容紹介 [65-0-1] 大学に関連する来年度概算要求 各省庁の来年度概算要求の案が報道されている。文部科学省だけでなく、内閣 府・経済産業省・厚生労働省なども大学関係に係わる要求を出す方針を表明し ている。新規予算としては、 ・文部科学省:「トップ30校」政策に422億円、 ・経済産業省:「即戦力技術人材大量養成計画」に300億円 ・内閣府:沖縄に科学技術系の大学院大学をつくるための調査費1億円 ・厚生労働省:企業・大学・NPO関係者で構成する「人材大国創造総合会議」 (仮称)設置、各地域の大学・大学院を利用した社会人向け教育訓練コース開 発 のため111億円 などがあるが、全体として、大学に係わる予算は増えているのだが、雇用創出・ 産業界支援を中心とするものであり、大学本来の教育・研究活動とは競合する 業務を増加させる懸念もある。 ---------- [65-0-1-1] 文部科学省 「構造改革特別要求」として新たに3768億円を要求。その中で、「トップ 30校重点育成」のために422億円が含まれている。来年度は5つの研究・ 教育分野について30大学を選び1億〜5億円程度を助成する予定という(5 分野x30校x3億=450億ということか)。大学間競争を意識させ、国際 競争力を育てるのが狙いで、2003年以降は、10分野に増やすそうだ。交 付先は年度毎に替わる可能性があるという。「5分野」は替わらないのだろう か。また、5分野は誰がどういう根拠で選ぶのだろうか。  ほかに、大学生を対象にした奨学金の貸与人数を約4万5000人増やす、 などがある。しかし、無利子の奨学金の貸与人数は減る[65-6-1-4]。また、私 学に対する国の直接補助制度を創設し、私大経常費補助の総額は257億円増 というが、これは、私学への文部科学省の統制を強めるものとして、喜多村氏 が危惧の念を表明していたものである[65-3-4]。 ---------- [65-0-1-4-1] 文部科学省「トップ30校」政策と教育基本法との整合性 来年度は5分野(それ以降は10分野)を選び、各分野ごとに「トップ30校」 を選ぶという文部科学省の方針は、分野選定という作業において行政が大学教 育の内容に明示的に踏み込むもので、教育基本法第十条「教育は、不当な支配 に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものであ る。2 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条 件の整備確立を目標として行われなければならない。」との整合性が疑われる。 ---------- [65-0-1-2] 経済産業省  経済産業省は文部科学省と連携して、来年度から産業界が求める科学技術系 人材を大量育成するため、来年度に562億円を概算要求する。その中に「即 戦力技術人材大量養成計画」があり来年度は3000人に約300億円(つま り一人につき1000千万円)の予算を要求している。趣旨はライフサイエン ス・IT・環境・ナノテクノロジー・材料の分野の優秀な学生や社会人を選抜 して一定期間、国内外の技術系大学院や企業の研究現場に派遣する、というも の。企業や大学の(猫の手も必要な分野の)研究現場では、のどから手が出る ほど欲しい優秀で若い人材に、国から給与が出て働いて貰えるだけでなく、 (1000万の給与が学生に付くはずはないっから)一人当たりについて「受 入手当」も付くのであろう。得にならないとして企業側が敬遠して機能してい ない「インターン制」を拡充するものと言えるのではないか。  ---------- [65-0-1-3] 内閣府 内閣府は沖縄に科学技術系の大学院大学をつくるための調査費1億円を要求 する[65-6-1-3]。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-0-2] 科研費 ---------- [65-0-2-1] 科研費基盤研究Sの採択率 2.9%(34件に1件)  今年2001年2月に、文部科学省科学研究費に新種目「基盤研究S」が創 設された。従来、科研費の中核をなす種目には「基盤研究」(研究期間2〜3 年)には予算額に応じA(総額2千万〜5千万円)・B(総額5百万〜2千万 円)・C(総額5百万円以下)の3種類があったが、5千万円〜1億円の枠と してSが新設された。  申請2,091件(総額618億円)中、採択61件(17億円)。採択率 は2.9%(34件に一件)であった。「採択率平等原理」があるのか、どの 分野もほぼ同じ採択率である[65-6-3-1]。 ---------- [65-0-2-2] 間接経費の使途  国立大学予算が1980年代以降据え置かれ実質減少し続けてきた中で、科 学研究費が競争的研究費として導入された。次期科学技術基本計画では、大学 の基盤的研究費を競争的研究費のオーバーヘッド(間接経費)に置き換える方 針が明言されたが、今年度から早速、科研費に対し3割のオーバーヘッドが付 くことになった。その使い方は大学毎に委ねられている。北大では50%が大 学50%が代表者が属する部局に配当されることとなった。 当該研究計画関係者がオーバーヘッドに関する権利を主張する場合もあるよ うだが、オーバーヘッドの「身代わり」に基盤的研究費が削られている以上、 制度の趣旨に反する要求ではないか。オーバーヘッドの使い方は、各大学の 「見識」を示すものとも言える。 ---------- [65-0-2-3] 未熟な評価文化  昨年度の科研費審査員名簿は公表されている[65-6-3-2]が、審査結果につい ては、非採択時に三段階評価の通知があるだけであり、関連領域で申請数が少 ない場合には「評価不能」という通知になる。(科研費に相当する)アメリカ のNSFの採択プロセスでは文書による詳しい評価内容が開示され反論の機会 もあるという。それに比べると「評価」文化の落差が顕著である。それにも係 わらず、アメリカより徹底して、学術研究・高等教育システム全体を評価に依 存したものに変えようとしている。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-0-3] 遠山プラン ---------- [65-0-3-1] 大学行政の<暗闇への跳躍>「トップ30校重点育成」  来年度から始まる「トップ30校重点育成」方針[65-6-1-4]も、新たに文部 科学省に評価委員会を作るそうであるが、問題は同じことである。それに加え て、選考過程への文部科学省の発言力が大きいーー審査委員の選出・審査方式・ 最終的な30校選出等、すべてにおいて事務局は影響を与えることができる。 大学社会を長年に渡って行政指導で根底からディスカレッジさせ疲労させてき た役所が主導権を持って「トップ30校重点育成」することに対し、多くの批 判が寄せられている[65-3]。 日本では、科学研究費補助金(2001年)を上位10校が48.0%、上位2 0校が58.7%を取得。これに対し、米国の連邦政府研究費は上位30校が 45.1%、上位60校が65.4%を取得している。筑波大学の大学センター 長の山本氏が述べるように、日本はすでにアメリカ以上に予算配分で大学間格 差があるのである[65-3-3]。   今後、広い方面から「トップ30校重点育成」政策に対する批判の声がさ らに高まり、内閣府が文部科学省に再検討を指示するか、あるいは、予算委員 会・文教科学委員会・文部科学委員会等で当該プランの是非について真剣な議 論が展開されることを通して文部科学省の誤方針が正されることを期待したい。 なお、国立大学協会理事会のWGは、意義がある統廃合と避けるべき統廃合 について吟味している[65-3-1-1]が、8月8日の会合で佐藤静岡大学長が、文 部科学省がみずから理念・意義も具体的内容をも提示していない状況の中で国 大協が先んじてこれを検討し一定の提起をすることが「遠山ブラン」に正当化 の論拠を与えることになるのではないかと危惧の念を表明している[65-3-1-2]。 国立大学協会が文部科学省への追随を続けることは、現内閣や民主党等が主張 する国立大学民営化の意義を裏書きすることになるだろう。 ---------- [65-0-3-2] 「トップ30校」政策ーー受験競争激化の懸念 「トップ30校重点育成」方針で受験産業が元気ついている[65-3-9]ように見 えるが、それは同時に受験生に混乱と不安を産みだしていることを意味する。 不況対策の一つとして、少子化で危機にある受験産業の活性化を図ろうという のだろうか。  受験産業による大学ランキングは受験生の大学選択プロセスに大きな影響力 があり、大学入試の持つ負の側面を拡大してきた。「大学ランキング」という 思考法を浸透させて受験産業の需要を高めてきたが、文部科学省自身がそれを 手助けしようとしているとも言えるだろう。当該政策による受験競争の激化は 不可避であり、同時に、どの大学が「トップ30校」に入るか否か、が、毎年 新聞は週刊誌を賑わせ受験生と受験指導の高校教員を悩ませることになるだろ う。初等中等教育の現場の荒廃は競争の激化でさらに進むだろう。 文部科学省内で初等中等教育担当者と高等教育担当者とは一体どういう話合い をしているのだろうか。経済政策に振り回されて、受験生や高校への影響の吟 味もなしに、思いつきのような「トップ30校」政策を短時間に打ち出したこ とは、教育行政担当省としての使命と重責とを忘れたものである。 初等中等教育と青少年の生活への大学入試の弊害の根本的解決は、教育行政 の最大の課題の一つであり、また、大学側も必要悪として放置して済まされる 問題ではない。大学入試の弊害をさらに悪化させるような方針は文部科学省内 部でも反論があるに違いない。文部科学省は勇気を持って撤回すべきではない か。 ---------- [65-0-3-3] 過度な「競争原理」の弊害  熾烈な出世競争を勝ち抜いてきた指導的官僚集団は、大学にも「競争原理」 を導入して大学を活性化できると信じているようだ。しかも、彼らの得意な 「出世競争」に留まらず、彼らには無縁な競争まで大学に導入しようとしてい る。 研究費に関しては、1980年代に文部省科学研究費が創設され競争原理が 制度的に導入された。昨年度から、校費と呼ばれる「外形標準的」な研究費 (白川博士は校費は他国にはない国立大学の長所と言っている[35-5])は昨年 度から1/4に減り3/4に相当する部分は大学内での競争的研究費に申請し て獲得しなければならなくなった。そのため、光熱費が不足する研究費も出て いることが知られている。今後、校費は競争的資金のオーバーヘッドに替わっ ていく予定である。 しかし、大学改革を阻む諸悪の根源は国立大学教員の身分の安定であると官 僚は考えている。(キャリア官僚の身分の安定と天下りの保障こそ、行政改革 だけでなく経済の活性化を阻む諸悪の根源である、と大多数の国民は考えてい るのだが。)そのために、1997年に任期制公務員の導入が可能となる法律 を制定したが余り効果はなかったので、今度は、非公務員性の独立行政法人に し、大学教職員の身分を企業職員と同じにしようとしている。また、公務員制 のままでも、「評価」によって給与に格差を付けようとしている。御金が第一 の経済産業界の方々には大学教員を働かせる大きなインセンティブと思ってい るらしいが、特殊法人の研究所や独立行政法人化した国研(給与や研究費は大 学より遥かによい)から大学に転勤する人も少なくないことを忘れていまいか。  また、独立行政法人化により、大学を5〜6年毎に評価して、大学の予算や 改廃を決め、大学間に競争を持ち込もうとしている。上で問題にした「トップ 30校重点育成」は国立大学のままでも似たこと始めようとしている。  良薬も飲み過ぎれば健康を害する。身分・給与・研究費等のあらゆる面にこ れでもかこれでもかと競争原理を持ち込むのでは、競争のプラスの面よりマイ ナスの面が圧倒することは避けられないだろう。しかもゼロサムゲームは元来 人心を荒廃させる性質のものである。 ---------- [65-0-3-4] 大学にとって適度な競争  まずゼロサムゲームーー闘技場の競争ーーは、大学には害があることは多く の人が同意するだろう[46-6-3]。研究や教育の資質と、生き残りに向けた闘い に必要な資質とは余り相関がない(経験的には逆相関すらあると思われる)。 また、創造性は「遊び」と深く結びついており、「遊び」を許さないゼロサム ゲームは真の創造性を大学から駆逐する。  従って、大学関係予算を増やすことが、競争原理が機能するための第一の必 要条件である。次に、行政が競争に関与することがないことも、同じ位重要な 必要条件である。さらに、ユネスコの勧告[65-3-10]を尊重し(非常勤も含む) 高等教育教員の身分を改善することが第三の必要条件である。 以上の条件が満たされた場合にも、過度な競争は逆効果なことは認識すべき であろう。真に効果を期待するならば、学問上の自然な「競争」、透明な人事 における公平な競争、公平な競争的研究費の拡充、程度に留めるべきであろう。 それ以上の競争に効果を期待することはできない。 ---------- [65-0-3-5] 内閣の高支持率は「行政の不正義」是正への期待か  大学を栄養失調にさせた後で元気がない大学は無駄だと整理するーーこれが、 日本の大学行政の要約である。こういった「行政の不正義」は蔓延しており、 経済にとどまらず日本社会の不調の根源なのではないか。この不正義を正す者 を求める儚い希望が、現内閣の高支持率に表現されているのであろう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-0-4] 独立行政法人化問題  6月11日以降、国立大学等の独立行政法人化調査検討会議では、遠山プランに ついての質疑や議論も行われているが、法人化問題の検討の最終段階で、解消さ れない種々の意見対立が目立つ[65-2-2][65-2-3]。  独立行政法人化と異り遠山プランは国立大学の直近の未来に係わるためか、 大学内外での関心が高まっている。しかし、大学への長期的な影響としては、 独立行政法人化政策の方が遥かに問題が深刻であることが忘れられている。文 部科学省の目標は、遠山プランのような政策を国会の承認など恐れずに当たり 前に実行でき体制を独立行政法人化で確立することにあり、遠山プランは、本 当の問題から大学や社会の目を反らせるためのものでしかない、と発行者は考 えている。 ---------- [65-0-4-1] 調査検討会議での議論より ---------- [65-0-4-1-1]  公務員型・非公務員型の争点  6月の調査検討会議[65-2-2][65-2-3]の議事録では文部科学省の発言が次第 に増加しており、中間報告が事務局主導で作成されている様子が如実に分かる。 特に、学問の自由に深く係わる教員の身分に関する懸念に対して、何等確固た る方針を文部科学省は示さず、公務員型・非公務員型という主要な争点につい て白紙のままの最終報告となる可能性もある。  沖縄に内閣府主導で作る大学院大学は非公務員型の独立行政法人であるとい う。公務員型と非公務員型の国立大学法人を共存させる可能性はあるのか、と いう委員の質問[65-2-2](479)についても、明確な回答をしていない [65-2-2](516)。しかし、現実には、2種類の国立大学法人を作るとは思えな い。従って、沖縄の大学院大学を非公務員型の法人にするという内閣府方針に ついて、国立大学協会は意見表明をする必要がある。  非公務員型を是とする意見は大学内部でもないわけではない。しかし、思い 違いをしていないか。政策担当者が、従来の大学教員が活躍できるようにと非 公務員型を望んでいるのだろうか。独立行政法人化後、大学に転職する「官僚」 や「社会人」の数は激増するだろう。そのとき、大学での教育や研究のような 時間と労力のかかる地味な仕事に束縛されずに、自由に大学外で活躍できる体 制を整えるーーそれが、政策担当者や経済産業界が「非公務員型」を熱心に主 張する意図なのではないか。彼らが言っていることを総合すれば、その意図は かなり明白に思えるのである。 ---------- [65-0-4-1-2] 文部科学省見解「非公務員型では教育公務員特例法は論外」 文部科学省はきっぱりと「仮に非公務員型ということをもし選択するとすれば、 そもそも教育公務員特例法という法律は、公務員法の特例としての法律であり、 仮に公務員ではなく、非公務員ということであれば、教育公務員特例法の規定 の適用云々ということはおそらくおこってこないと思う[65-2-2](237)と言っ ている。従って、非公務員型の独立行政法人化は、ユネスコの勧告[65-3-10]に 明示的に反する大学政策となる。その点でも許容しがたいものといえる。 ---------- [65-0-4-1-3] 学問の自由に関する文部科学省の新しい詭弁 [65-2-2](410-426)で、文部科学省は「独立行政法人化後は、学問の自由を阻 む可能性のあるものは行政ではなく学長となるから、教育公務員特例法のよう な法律で教員身分を保障する必要はない」という趣旨の主張している。その詭 弁性をある委員は明確に指摘している:「法人の長である学長は大臣によって 首の掛け替えが可能な仕組みになっており、要するに一見、間接的な形ではあ るが、国が設置者であり、管理責任者である国の意向が学長を通じて発言され るということもあり得るわけで、その辺は十分手当てをしておく必要があるの ではないかというのが私の意見である」。 ---------- [65-0-4-1-4] 文部科学省官僚の問題発言 調査検討会議での文部科学省側の発言には種々の問題がある。 組織業務委員会[65-2-2](109)での文部科学省官僚の発言「そして最終的には 設置者である文部科学省で統合再編の具体的な計画を考えていくというお願い をさせていただいている。」は看過できないものである。「文部科学省が国立 大学の設置者である」という文部官僚の発言は、文部科学省設置法で規定され た文部科学省の使命に係わる誤認識を示しており、国会で追求すべき発言と思 われる。 ---------- [65-0-4-1-5] 大学関係者の発言を無視し続ける文部科学省に抗議し会議を離脱すべきである 財務会計委員会では、競争ではなく共生が重要ではないかという委員の質問 [65-2-3](47)に対して「国立大学の現状を見ると共生の部分はむしろ非常に良 く出来ており、バランスを考えると少し競争的な部分があってもいいのではな いかと思う。」という皮肉を述べただけである。これは、21世紀の主要なテー マの一つでもある「共生か競争か」という問題を真剣に考えていない証しであ ろう。また、教育に国が責任をもって先行投資すべきだ、国・公・私立大学が 同じ方向を目指すことは問題[65-2-3](52-60)だ、という指摘は全く無視して いる。 国立大学関係者の発言に皮肉を言ったり無視したりするだけで耳を全く傾けよ うとしない文部科学省官僚に抗議し、国立大学協会関係委員は全員、会議を離 脱すべきだ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-0-5] 金融ビッグバンを巡って ---------- [65-0-5-1] 外資系資本の支配の功罪 金融ビッグバンの元祖であるイギリスではウィンブルドン現象が起きた:証券 会社は外資系に置き変わり、銀行や企業も外資系が大きな割合を占めている。 財務省の報告書[65-5-1]によれば、金融ビッグバン式の構造改革で経済改革に 成功したと言われる国の多くで、経済の支配権が外資系の銀行と企業に移って いる[65-5-2-6]。 不況さえ脱することができれば、外資が日本経済を支配することはそれほど 問題ではないのか。外資による経済支配を厭うのは時代錯誤のナショナリズム だけなのか。誰でも気付く問題はいくつかある。  一つは、これから始まる経済の混乱の中で、倒産する数々の企業や銀行を火 事場泥棒のように海資が只同然で手にいれることだ。外資による長銀買収のよ うなことが日常茶飯事にならないのか。 海外資本が日本に入って経済が回復したとしても、その経済は不安定要素を 引き摺るし、雇用は不安定なものとなる。最近の東芝の大規模なリストラ計画 でも、内容は海外の社員の整理が主となっている[65-5-1-3-2] 。 もう一つの問題は、外資であろうとなかろうと巨大資本が日本経済の支配者 となり政治への影響力を今以上に強めていくことだ。その帰結の恐ろしさを日 本社会は忘れようとしている。 ---------- [65-0-5-2] 引き返す機会 今が、金融ビッグバンへ向けての不吉な助走の最終段階から引き返す最後の 機会なのではないか。引き返すことは勇気の要ることである。膨大な法律がで き上がってきた。ビッグバンへの怒濤の流れの慣性は押しとどめがたいものと 見える。しかも、金融ビッグバン・会計ビッグバンのために、すでに数々の企 業や銀行が倒産し多くの人達が犠牲となってきている。現在も月に1500件 のペースで企業は倒産している[65-5-2-1]。経済生産性本部は50万人の健康 調査の結果のまとめで「産業人は将来への希望を失い、身体面、精神面の健康 度も、悪化している」と警告している[65-5-2-8]。今引き返すことは、これま での犠牲を無にするものなのか。 「暗闇への跳躍」を断行した国々が着地した所、それはどこも、巨大な他国 資本が支配する世界であった。日本は違う世界に着地できると考える根拠は希 望しかない。豊かな国内資産を持つ日本は、経済回復のために外資に頼らざる を得ないわけではない。成功しても経済的自律性を失う、痛みを伴う手術を行 う前に、国内資産が需要として投資として日本経済に流れ始める「痛みの伴わ ない治療」を模索することは、日本経済の治療を委ねられた現内閣府が省いて はならない作業ではないだろうか[65-5-2-4][65-5-2-7]。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-1] コラム:大学を考える 萩原 亮「的外れの大学改革の潮流」 「昨今の政治・行政主導の大学改革の流れは、高度に発達した科学技術が日常 生活にまで関わってくる今そしてこれからの時代の教育の意味・役割をまるで 無視(無理解というべきか)しています。 遠山プランなどに示される改革の方向は、要するに、大学を先端研究のスペシャ リストを効率的に生む組織に変えようとすることでしょう。しかし、21世紀 に人類が直面する問題は、生殖操作や地球環境や人口問題などがその典型例で あるように、特定のスペシャリストが「これが答えです」などとと言って解決 法を与えられるような生易しいものではないはずです。広い分野の見識と、聡 明な洞察力を具えた多くの市民が、解決してしていかなければならないのです。 今世紀の大学は、このような知的市民を育て、支援する重責を担っていると考 えます。 能率良く研究の先端に到達しようとすると、既にでき上がっているものはブラッ クボックスとしてできるだけ利用する、目的達成のためにはよけいな疑問を抱 かない、成果だけが大事でその内容を分かりやすく一般人に説明することに関 心をもたない、というような気風がどうしても蔓延します。これを大学におし なべて持ち込むことは、上に述べた今世紀の大学の役割を果たすことと真っ向 に対立します。 先端技術追求型の研究や産業戦略的な研究もある程度は必要でしょうが、それ は、国がプロジェクトを提起し参加者(機関)を任意募集すればいいのです。 それに応募し、結果を生むことで、応募した大学等に資金を与えるのは一つの やり方でしょう。しかし、全大学(ひいては全教官)をこういう狭い見方によ る尺度で計り、トップ30を育成するなどというのは、知的市民の国家である 日本の高等教育機関についての政策として決定的に間違っています。 各大学は、研究や発言に関する着眼点の独自性と、教育技術の質に関して、市 民や卒業生から批判・評価を受けるべきでしょう。もし、高所から特定の価値 観の物差しで量り比べてスクラップアンドビルドなどということをしてしまう と、新しい価値観、発想を転換したものの見方、一方向への推進に潜む落とし 穴、等々を見出すといった、今世紀の大学に求めるべき本質的役割は殆ど期待 できなくなるでしょう。将来、この失敗が取り返しのつかない事態を生んでし まったとき、政治家や行政府のいったい誰が、その責任をとり得るのでしょう か。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-2] 独立行政法人化関係 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-2-1] ◆国大協理事会将来構想ワーキング・グループ ---------- [65-2-1-1] 国立大学長への報告 2001.8.17 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2418.htm 「                  国大協総第 85号                  平成13年8月17日 各国立大学長 殿              国立大学協会副会長              将来構想ワーキング・グループ座長                    松尾 総   理事会ワーキング・グループの活動状況等について(報告)  既にご報告しているとおり、当ワーキング・グループ(以下「WG」と略称。) では、当面の緊急課題として「国立大学の再編・統合」の問題に関し、各国立 大学の自発性、自主性を尊重しつつ、既に当事者となりつつある大学や今後当 事者になるかも知れない大学がこの問題を検討する際の参考となりうる資料を 作ることに取り組んでおります。  会合では、参考資料を早急にまとめることで意見が一致しておりますが、こ の問題への対応を巡っては情報不足もあって、各大学の現場では既にかなりの 混乱が見られるとも仄聞いたします。このため、当WGにおける検討過程の考え 方についても各大学長にお示しすることとなりました。  この検討過程案(別添1)は、去る8月8日に開催した第4回WGにおける検討結 果を基に取りまとめた未定稿の素案ではありますが、これをお迭りするのは、 単にご参考のためだけではなく、各国立大字が自らの問題として関心を持ち、 一体となって考えていただく必要性を強く感じているからであります。各学長 におかれましては、当WGの活動、特にお送りした(別添1)に関し、建設的な ご意見をいただきたく、よろしくお願いいたします。  なお、「再編・統合」問題を提起した「遠山ブラン」そのものに対する国大 協としての捉え方などについては、この参考資料の総論として扱うのか、別途 に検討し公式に意見を表明するのかなどについても、今後検討することとして おりますので、念のため申し添えます。  おって、第4回WG議事メモと当日の会合での配付資料(別添2)を添付してお ります。このうち、議題2に関する配付資料(別添2・資料2)については、会 合での議論の叩き台として各担当理事が作成された未定稿のメモ的なものであ り、(別添1)と同様、今後の議論により進化性を有するものでありますから、 学内でのご活用に当たってもそのようにお取り扱いをいただきたく存じます。  いずれにいたしましても、当WGの審議状況は速やかに情報提供として、各大 学にお送りする予定です。また、既にお送りしてある「WGの議事メモ1〜3」と 「資料等」も併せてこ参考いただけれぱ幸いです。」 ---------- [65-2-1-2] 議事メモ第4回(2001.8.8) http://www.kumamoto-u.ac.jp/CONTENTS/KAIKAKU/dokuhouka/pdf/w4.pdf ---------- [65-2-1-3] 各委員報告 http://www.kumamoto-u.ac.jp/CONTENTS/KAIKAKU/dokuhouka/pdf/w43.pdf ---------- [65-2-1-3-1] 「法人化後の大学の組織形態について」島根大学 吉川通彦 「中間報告のとりまとめの方向(案))」B 案の修正案(1) (経営と教学の意思決定プロセスをある程度分離) ---------- [65-2-1-3-2] 「学長選考等,教職員の身分」長崎大学 池田高良 ---------- [65-2-1-3-3] ◆「国の政策目標(グランドデザイン)と大学の長期目標」東京大学 佐々木 毅 「この文書においては「国の政策目標」という言葉が多用されている。この言 葉はやや曖昧であり、特に、政策という言葉には特定の政権とのつながりといっ たニュアンスが紛れもなく存在している。つまり、この言葉には短期性と具体 性のニュアンスがあり、こうしたニュアンスを持つ言葉と大学の長期目標とを 結びつけることは好ましいとはいえない。従って、それを言い換えたと思われ る「国の高等教育・学術研究に係るグランドデザイン」という表現を一貫して 用いる方が望ましいと思われる。  こうしたデザインは通常理念的、抽象的であるとともに一般性を備えるもの であることが期待される。こうしたグランドデザインの理解に立って各大学が その長期目標を設定し、それを前提にして中期目標・中期計画を策定するとい う筋道はそれなりに実現可能な提案と思われる。  なお、これと区別される特定の「政策目標」をこうしたより短期的な諸計画 と結びつけるかどうかは別に議論する必要があり、結びつけるとした場合にも その結び付け方については改めて検討する必要がある。・・・・」 ---------- [65-2-1-3-4] ◆「国立大学評価委員会(仮称)について」松尾・奥野 「・・・・ 2 .幅広い、強い権限を有しながら、「核心」が曖昧にされている点 (1) 主務省に置かれる評価委員会との位置(or 力)関係・・・ (2) 運営費交付金等の配分についての意見の述べ方(制度設計)・・・ (3) 構成と構成員の選任(どこで、誰が、どういう基準でやるのか)・・・ (4) 役割・性格:「総合的な評価」の中味・・・ (5) 評価結果の活用: 運営費交付金等の算定に反映させる方法・・・ (6) 各年度の実績評価の目的と内容 :特に目的が不明確 2 の各点に対しての提言・・・」 ---------- [65-2-1-3-5] ◆「将来構想WG の検討事項」静岡大学 佐藤博明 ---------- [65-2-1-3-6] 「「まとめの方向(案)」(財務会計)に関する意見」一橋大学 石 弘光 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-2-2] ◆「調査検討会議組織業務委員会(第12回2001.6.27)」 議事要旨 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/006/gijiroku/003/010601.htm #(「そして最終的には設置者である文部科学省で統合再編の具体的な計画を 考えていくというお願いをさせていただいている。」(109-110行)という文部 科学省官僚の<失言>が記録されている。文部科学省は国立大学の設置者では なく設置・改廃関連事務を担当しているだけである。「設置者である文部科学 省」という発言は、文部科学省の大学行政における意識と実態とを明確にして いる。) 1 国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議 2 「組織業務委員会(第12回)」 議事要旨 4 1 日 時 平成13年6月27日(水) 14:00〜16:00 8 3 出席者 9 (委員)阿部博之(主査)、阿部充夫(副主査)、石井紫郎、石川水穂、 10 浦部法穂、大沼淳、北原保雄、小早川光郎、坂本幸一、田中愼一郎、長崎 11 暢子、廣中平祐、松尾弘毅、馬渡尚憲、山昌一、渡邉正太郎(副主査)の 12 各委員 13 (関 係 者)住吉昭信、町田篤彦、山崎稀嗣、吉原經太郎の各関係者 14 (文部科学省)工藤智規高等教育局長、清水潔高等局審議官、坂田東一 15 振興局審議官、合田隆史大学課長、杉野剛大学改革推進室長、村田善則大 16 学院振興企画官 他 25 (3)作業委員及び事務局から、資料2「中間報告のとりまとめの方向 26 (案)」及び資料3「A案、B案、C案に対応して想定される学長選考の 27 パターン」についての説明があり、以下のような意見交換が行われた。 29 (○印は委員及び関係者の発言、◇は事務局の発言) 30 31 ○ 資料2の「中間報告のとりまとめの方向(案)」の基本的な考え方の 32 「検討の前提」について、いずれも大学改革の推進、国立大学の使命、自 33 主性・自律性ということで、重要な前提の記述というか、ポイントがまと 34 められていると思うが、もう一つだけ前提に置くべきことがあるのではな 35 いかという気がする。何かと言えば、高等教育及び学術研究における国の 36 責任、とりわけ財政的責任ということについて前提を置くべきではないか 37 と思う。ご承知のように、GDP比で我が国の高等教育への公財政支出は 38 0.5パーセントとなっており、これは公立大学、私立大学を含め、国の 39 財政的責任として十分果たされているといえるかという問題があると思う。 40 したがって、そのことについて言及した上で、かつ、国立大学についても 41 十分な財政措置の維持ないし拡充ということについて触れる必要があるの 42 ではないかと思う。 100 ◇ スケジュール的なことについて、この構造改革の方針の一つ目の柱の 101 再編統合については、先般14日に国立大学長会議が開催され、文部科学 102 大臣と高等教育局長からこの方針の説明を行い、各大学の学長の先生方に、 103 まず大学で再編統合の計画をご検討いただきたい、また学長のお考えをお 104 聞かせいただきたいということをお願いしている。従前であれば各大学で 105 まずそういう検討があり、個別に相談があって文部科学省もバックアップ 106 させていただくという形で進めてきたわけであるが、今回は文部科学省か 107 らまず各大学でご検討いただきたい、それも1年、2年というスケジュー 108 ルではなく考えていただきお聞かせいただきたいとお願いしている。そし 109 て最終的には設置者である文部科学省で統合再編の具体的な計画を考えて 110 いくというお願いをさせていただいている。したがって、従来に比べ再編 111 統合の各大学における検討、また全体の検討は相当スピードアップされる 112 と思っている。ここ1年くらいで相当具体的な話が進み、1、2年すれば 113 姿が見えてくる部分も相当あるのではないかと思っており、来年度以降、 114 具体的に統合再編する例も出てくると思っている。しかしそれはスタート 115 を早め、かつ勢いを強めたという点ではそのとおりであるが、いつまでに 116 やるという形ではお示ししていないので、法人化後においても再編統合を 117 進めていくことは十分考えられると思っている。最も、法人化がいつかと 118 いうことは決まっていないが、法人化も構造改革の方針においては早期移 119 行と、良い制度であれば早く移行と記載しているので、法人化後において 120 も再編統合を進めることは十分あり得るのではないかというスケジュール 121 で考えている。また、1法人複数大学の可能性についてもご発言があった 122 が、これまでの調査検討会議における検討の流れからいえば、大きな意見 123 としては、1大学1法人という方向で議論が進んできているのではないか 124 と思っているが、そういうことではなく、経営と教学をさらにもっと明確 125 に分けて、というご議論もあるので、それは1法人複数大学の形もあり得 126 るとのご意見であると思っている。そういうご意見などもあったというよ 127 うに思うが、これまでのところ大きな方向性としては、1大学1法人、大 128 学と法人の一体化のご意見が一番多かったと考えており、今のところそれ 129 を原則とする方向で考えており、1法人複数大学は事務局としては特に念 130 頭に置いていないところである。また、再編統合が行いやすい制度、特に 131 管理運営組織はどの制度であるかということは、今、先生からのご指摘を 132 受けてA、B、Cどれであるかを一生懸命考えたが、どれが一番良いかと 133 いうことがよく分からない。確かにそういう視点は非常に大切だと思って 134 おり、資料2の視点1で、「世界トップレベルの教育研究を展開する個性 135 豊かな大学へ」として、「多様な発展と基盤強化を目指した大学間の再編・ 136 統合等の推進」と書いてあり、こういう視点からどういう制度、組織が良 137 いのかということについてご議論いただき、ご示唆をいただければと思う。 159 ○ ・・・・ 168 ◆ 次に、いくつか質問も兼ねてであるが、第一の質問は、学問の自由、 169 大学の自治は、この報告書の中には一切登場しない予定であるのかどうか 170 ということが一つである。仮に登場しない、そして自主性・自律性という 171 言葉で置き換えられることになったとしても、教員人事のところには大学 172 の自主性・自律性の基本がいわば理念として記載されてあるのに対し、学 173 長に関してはそれが記載されていないのは若干疑問が残る。やはり大学が 174 自分の頭を自分で決めるという、そういう意味での自主性・自律性も大事 175 なことである。そういう点で学長の選考についても、「学内の選考機関に 176 おける選考を経た後に」と書いてあるため、実質的には大変結構なことで 177 あると思うが、やはり教員人事と同じように、ここでも自律性・自主性の 178 一つの表れとして表現するほうが望ましいのではないかと感じている。 194 ◆ 次に、教員の人事の教特法の考え方云々というところについて、これ 195 は一応公務員型を前提に記載されていると思うが、いずれにしても教特法 196 の考え方は色々とあるわけだが、要するに教育公務員の身分保障というか、 197 学問の自由との関係で大事な身分保障の考え方をどこで決めるかというこ 198 とで、法律で決めるか、内部規則で決めるのかという問題提起がされてい 199 るわけである。そして最後に教育研究を担う大学の自主性を尊重する観点 200 からは、大学の内部規則で定める余地をできるだけ広げることが適当であ 201 ると記載されている。これは、中身としては結構であると思うが、単に大 202 学の内部規則で決まっているということで、法律による保障が落っこちて 203 しまう形になるのは、やはりおかしいのではないかと思う。法律による保 204 障が大前提となり、その中身、具体的な形をどこが決めるということで、 205 大学の規則に委任するという形がどうしても必要ではないかと思う。 207 ◇ 教員人事のところで、大学の自主性・自律性がうたわれ、学長の選考 208 のところには出てこないというご指摘については、例えば、P26の第2 209 パラグラフで「法人化後の学長、役員、教員の任免等の人事制度について 210 は」と記載しており、全体的な大学の人事の自主性・自律性ということで 211 記載したつもりであるが、確かに「教員人事の自主性・自律性」というタ 212 イトルだけでは、教員だけしか入っていないというように読めるので、少 213 し整理が必要であると思っている。 214 215 次に、学長の選考方法の中で、「教育及び研究分野に精通し、かつ、」 216 ということでつないだ場合、その前の文章と整合性がとれないのではない 217 かという点については、確かにご指摘のとおりであり、もともとの理念と 218 して、法人の目的が教育研究であるということを考え、一方で、法人の長 219 という役割も加味するということで、この辺も少し整理する余地があるの 220 ではないかと思っている。 221 222 次に、教特法の精神と大学の内部規則あるいは法律事項との関係につ 223 いては、人事制度委員会でもかなり議論があったところである。まず前提 224 として、例えば公務員型にするかしないかによって全然違ってくるわけで 225 あるが、仮に公務員型を取った場合においても、今の教育公務員特例法の 226 規定をそのまま持っていくのかどうかということで、当然、法人化という 227 ことになれば、よりその法人の自主性・自律性が増す、特に法人化すれば 228 人事については基本的に法人内部の事項になるということで、どういう形 229 でどこまでを法律事項にし、どこまでを大学内部のいわばルールにするか 230 を考える必要がでてくるだろうと思う。その場合についての考え方として 231 は、できるだけ大学が決められる余地を残した方が良いのではないかとい 232 うのが人事制度委員会で議論のあった部分である。ただ一方で、教員の身 233 分保障的なものをどうするのか、どこで担保するのかという問題はもちろ 234 ん問題として残っていると思うので、その辺も含めて法律事項と内部規則 235 に委ねる事項の整理が必要かと思っている。 236 237 また、仮に非公務員型ということをもし選択するとすれば、そもそも 238 教育公務員特例法という法律は、公務員法の特例としての法律であり、仮 239 に公務員ではなく、非公務員ということであれば、教育公務員特例法の規 240 定の適用云々ということはおそらくおこってこないと思う。公務員型を選 241 択した場合については、教育公務員特例法の適用の問題が多分出てくると 242 いうことである。 243 244 ○ 要するに非公務員、公務員というのは、もう間もなく決着がつきそう 245 な状況なのか、そうでないのか。 246 247 ◇ 公務員型、非公務員型については、人事制度委員会の中でも両方のご 248 意見がある。資料2の「中間報告のとりまとめの方向(案)」では、この 249 問題については必ずしも非公務員か公務員型かを選択すればそれで全てが 250 終わるということではなく、むしろあるべき大学の教職員の人事制度を個 251 別に積み上げていき、その結果としてどちらがより大学の活性化、あるい 252 は教育研究の活性化という観点から相応しいかということで選択をすべき 253 ではないかという整理になっている。また、現在、政府において、現在の 254 国家公務員制度の抜本的な改革についての検討がなされており、その中で 255 も公務員の制度の弾力化が検討されることとなる。もう一つは産学官の連 256 携・促進の観点から経済財政諮問会議等でもご議論されているが、文部科 257 学省としても、例えば大学教員の兼業についてはさらに産学官連携等を強 258 化する観点からの弾力化も検討しており、そういう状況を踏まえながら個 259 別の人事制度を積み上げていった結果として、最終的な判断をしていただ 260 くのが適当ではないかというのが、人事制度委員会の中での議論である。 #学生の視点の必要性 262 ○ 検討の視点について、学生の視点というものが足りないのではないか 263 と思う。学生から見た大学の視点が改革のときにはもう少し入った方が良 264 いのではないかと思う。今、大学を改革しなければならないと考えている 265 人が割合納得する一つの根拠は、やはり大学教育で本当に面白い教育を受 266 けたと実感している人が少ないというか、先生方は一生懸命教育している 267 が、その割に日本の学生は大学教育ではあまり勉強したという実感を持っ 268 てもらえない面があり、特に国立大学はあまり教育というか、学生のこと 269 を考えなくても特に東大のようなところにはどんどん学生が入っくるため 270 構わないのかもしれないが、私立大学で一番感じたことは、とても学生が 271 大事だということである。やはりこれから国立大学の統合や削減という話 272 になってきた時にも、学生をどうするかということをもっと考えなければ 273 ならないのではないかと思い、その学生の視点をどのように入れるか、や 274 はりこれから大学や大学院でどうやって学生に積極的に入ってきてもらう 275 か、その結果有能な人材がどのように育つか、それがないと大学の競争力 276 はつかないと思う。したがって、視点のところに「トップレベルの教育研 277 究を展開する」と記載しているため良いかとも思うが、学生をもう少し積 278 極的に参加させるにはどうしたらよいか、そういう視点からこれからの改 279 革を考えようということである。 #文部科学省:再編統合の意義 321 ◇ 再編統合ということで、国立大学の数の大幅な削減、これは学長会議 322 等でもご説明させていただいたが、基本的にいわゆる今の教育研究の高度 323 化や学際領域、複合領域等の展開をどう図っていくか、あるいはそのリソー 324 スをどうするかという中で、説明の際には足腰を強くすると申し上げたが、 325 要するに教育研究の基盤を強化していくということである。つまり、そう 326 いう基盤を強化することによって、一つの組織体としての大学の戦略的な 327 運営ができるようになる。そのための再編統合を積極的に進めていこうと 328 いう考え方である。つまり、大学の教育研究基盤を強化し、体制を確立す 329 るための再編統合という考え方であり、今後の大学の有り様を考え、現実 330 をいえば平成14年度から例えば山梨大学と山梨医科大学が統合するとい 331 うことを決定している。また、筑波大学と図書館情報大学も平成14年度 332 統合ということで決定している。今、検討中のものもそれ以外でたくさん 333 あるが、みんなそれぞれに道を模索しているということで、今回の遠山プ 334 ランについては、いくつかの検討のポイントがあるわけだが、具体的にそ 335 ういう方向性をある程度はっきり政策として打ち出し、各大学において積 336 極的にこれをご検討いただき、そういうものをお聞かせいただきながらそ 337 ういう方針あるいは具体の計画を早急に取りまとめていくということであ 338 る。 339 340 ○ 人事制度のところで、先ほどの教特法との関係についてであるが、一 341 般にいわれているところにやや疑問があり、公務員型といっているが、よ 342 く読めば国家公務員型であり、この国立大学の職員を国家公務員でなくす 343 ことは当然教特法の適用は論理的に不可能になると私は思っていない。国 344 家公務員でないということは、公務員でないということではないわけであ 345 り、そこは立法技術上、幅のある話ではないかと思う。    ・・・・ 359 次に、A、B、C案が出されているが、事務局がどれに力点を置きた 360 いと思っているのか良くわからないが、仮にこのB案についていえば、一 361 つは全く形式的な図の書き方の話であるが、両方が審議機関であるとされ 362 つつ、運営協議会が上にあって評議会が下にあるのは、これは特に意味が 363 ないというか、おそらく評議会は各部局との関連が強いため各部局は下に 364 あるということで、多分その関係で評議会が下に来ているだけであると理 365 解しているが、もし違うということであれば教えていただきたい。・・・ 380 ◇ 上下関係を意図してこのように書いてあるわけではなく、どのように 381 書こうか随分悩んだが、事務局内でも色々な意見があり、結論的にいえば、 382 これは学外者がかなり入ってきている組織であるため、学外に開かれてい 383 るという意味で横に書いてみたというのが真相である。ただ、どちらも審 384 議機関であるという位置付けの対等性ということからすれば、役員会の下 385 に並べて二つ書く考え方もあると思う。また、学長選考との絡みで、運営 386 協議会の構成メンバーはどのように選ばれえるのかの議論があるとのご指 387 摘はもっともであると思っている。実は人事制度委員会の担当する部分の 388 中に、学長以外の役員については学長が任命するとはっきり記載されてい 389 る。役員は学長が任命するということが書いてあるため、それを前提とし 390 た場合に、役員会が学長を選ぶということについてそれで本当に良いのだ 391 ろうかということをきっちりと記載してあるということだけである。同じ 392 ような問題が、例えば運営協議会が学長を選ぶということになった場合、 393 運営協議会のメンバーは誰がどのように選ぶのかということは当然課題に 394 なってくると思っている。その部分については、今のところどこでも検討 395 されていないため、そうあるべき時にはきちんと議論として整理しなけれ 396 ばいけないだろうと思っている。 #<非公務員型でも教育公務員特例法の精神が法律で保障されるべき> 398 ○◆仮に公務員型でない非公務員型の国家公務員ではない公務員というこ 399 とも一つあり得ると思うが、もっとその先のいわゆる非公務員であるとい 400 う場合であっても、国立大学であることには変わりないし、国立大学は国 401 が設置者であるため、国が管理責任を負うわけである。そういう意味にお 402 いては、憲法上の学問の自由、大学の自治との関係において、学問の自由 403 が仮に国家権力からの学問の自由という理念に立脚するものだとすれば、 404 仮に非公務員であっても国が設置した大学の教員については、教特法と同 405 じ精神がやはり法律上保障される必要があるのではないかと思う。これは 406 法人化したとしても国が設置者であるということ、国が管理責任を負う大 407 学であるという意味では、公務員であろうとなかろうと、その任免等々に 408 関する身分保障は必要ではないかと思うがいかがか。 #<独法化後は、学問の自由に対する責任は学長にあるので教特法は不要> 410 ◇ 確かに色々とご議論がある部分だと思うが、法制的なところで考えて 411 いるのは、現在の教育公務員特例法の規定、教員の選考にあたっての大学 412 の自律性を担保する色々な規定があるが、基本的にこの規定は、文部科学 413 大臣が原則として任命権者として教職員の任命権を持っているということ 414 で、逆にいえば、その大臣の任命権に対する大学の自律性を担保するため 415 の規定として、教育公務員特例法の規定があるということだと思う。仮に 416 法人化され、法人の長に任命権が委ねられ、かつ法人の長=学長について、 417 大学の自主性が担保されて大学側の申出によって任命されるということで 418 あれば、ある意味では大学の自律性はそこで担保されるというようにも考 419 えられると思う。一方で、先ほどご発言があったとおり、国が設置者では 420 ないかという部分はあるが、ギリギリ詰めていって、何故この規定が必要 421 かというところまでいけば、文部科学大臣が任命権者ではなくなり、一般 422 の教員についても役員、部局長等についても法人の長=学長が任命権を有 423 するということからいえば、そこで大学の人事の自律性は、十分担保でき 424 るのではないかということで、仮に非公務員型になった場合、それ以上の 425 規定を入れることが出来るかどうかは法制上からいえば、かなり難しいハー 426 ドルではないかということである。 #<反論> 428 ○ 議論するつもりはないが、それはあくまでも形式論であり、つまり教 429 育研究に従事する国立大学法人の教員の学問の自由、研究活動を守るとい 430 う点では、任命権者が学長であろうと文部科学大臣であろうと同じことで 431 あり、法人の長である学長は大臣によって首の掛け替えが可能な仕組みに 432 なっており、要するに一見、間接的な形ではあるが、国が設置者であり、 433 管理責任者である国の意向が学長を通じて発言されるということもあり得 434 るわけで、その辺は十分手当てをしておく必要があるのではないかという 435 のが私の意見である。 #<私学でも教特法の精神は生きている> 437 ○ ・・・・・ 448             また、先程来、教育公務員特例法の問題がでて 449 いるが、私立大学はどうしているかということである。要するに国家公務 450 員と教育公務員特例法は、教育公務員は公務員全体を通じて国家公務員だ 451 けではなく、公立の公務員もおり、したがって、それらの特例についてあ 452 る程度決めているわけである。これは普通の一般公務員とそれから教育公 453 務員とでは、勤務形態や研究形態が全く違うため、それらにどう対応して 454 いくかが大原則になるわけである。そのことについていえば、私立大学の 455 職員は教育公務員でも国家公務員でもないので、何かといえば労働基準法 456 の適用を受けるしかないわけである。国家公務員法の適用を受ける教員の 457 場合には、教育公務員特例法の適用を受けることができるため、極端にい 458 えば労働基準法の特例をどう受けるかということになるわけだが、基本的 459 にはどういうことを私学でやっているかといえば、教育公務員特例法は大 460 変重要で参考になっており、教員の場合には超過勤務や時間を測定するこ 461 とが不可能な職種であると認定しているため、労働省でもそれはいわない 462 わけである。したがって超過勤務の概念は無く、ただし正常業務でない試 463 験を行ったなど、外の人に対応した時には払ってもよいという形があり、 464 普通は原則として払わないことが教育公務員特例法でもそのようになって 465 いるわけである。また、勤務時間の制約がない、あるいは夏休みは休んで 466 よい、自宅で研究をしてよいなど、これは普通の公務員にはないわけであ 467 り、私立学校では事務系統と教員系統の勤務形態は全く違うこととなって 468 いる。それは教育公務員特例法があるからであり、先程来あるように国家 469 公務員型でなければそういうことができないということは100パーセン 470 トあり得ないわけである。それは当然どういう形になろうと、教員と一般 471 事務との勤務形態が違うため、それはきちんと組織上はでてくるはずだと 472 思っている。したがって、一番大事な点は、私は何回も申し上げているが、 473 いわゆる経営と教学のセパレート、したがって経営面が入ってくれば当然 474 それらを意思決定する理事会のような機関があっても良いのではないかと 475 いうことであるが、もうそこに戻ることが不可能であるとすれば、そういっ 476 たことは確定してよいことであると思うので、きちんと確定したほうが基 477 本的には良いのではないかと思っている。 479 ○ ・・・・ 484 また、公務員型、非公務員型でい 485 えば、これは新聞報道だけで正確かどうかわからないが、沖縄に大学院大 486 学を設置する構想があり、これは非公務員型と報道されている。そうすれ 487 ば、そこは非公務員型で他は公務員型という形での国立大学法人の多様な 488 形態を考えるとすれば、既存の国立大学についても混在があり得るのかと 489 いうこともポイントになってくるだろうと思う。つまり組織形態にせよ人 490 事形態にせよ、多様なものを制度として認めていく制度にするのか、ある 491 いは一つのものに絞り込んでいくのか、それによって次回の議論も変わっ 492 てくると思うので、その点だけ確認させていただきたい。 516 ◇ 大学の選択として、公務員型、非公務員型に分かれるということがあ 517 り得るかどうかということについては、正直にいって確たるお答えがなか 518 なか難しい部分であり、ただ今までも国とは別な法人格をもって、例えば 519 公団や公庫といったものが立法政策上、公務員とされていたケースがある。 520 どのような場合に公務員になるか、あるいは公務員ならないかというもの 521 があるわけではなく、その時々の色々な状況に応じて、立法政策上、これ 522 は公務員の身分を与える、これは与えないということになっているわけで 523 ある。その判断の基準としては、その法人の取り扱う業務、あるいは法人 524 の目的というものが、これは公務員に行わせたほうが良いような種類の目 525 的、業務、業務内容なのか、というところで判断をしているとのことであ 526 り、仮に同じ大学で公務員、非公務員と分かれることになるとすれば、そ 527 の目的、業務というものが大学によって種類があるということについての 528 整理できるのかどうか、その辺りの選択性が成り立つかどうかというとこ 529 ろの一つの判断になるのではないかという気がしている。正直いって可能 530 である、あるいは難しいということはなかなか申し上げられないのではか 531 と思っている。 653 ○ 中間取りまとめというのは、どの程度最終取りまとめとの関係でフレ 654 キシブリティーがあるのか。例えばパブリックコメントを求めて、それを 655 取り入れながら最終報告を作成するのか、それとも新しい問題を更に敷衍 656 する形で最終報告とするのか。中間的まとめはもう不変のものと考え、そ 657 れをベースに新しい問題を議論し積み上げていくのか。最終報告との関係 658 で位置付けはどう考えているのか。 659 660 ◇ パブリックコメントは行うことになると思う。つまりそれで全て固まっ 661 たということではない扱いになると思う。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-2-3] ◆「調査検討会議財務会計制度委員会(第9回2001.6.15)」議事要旨 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/006/gijiroku/004/010601.htm 行番号付:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/tkk/01615-zaimukaikei-9.html ◇:文部科学省 ○:委員 33 ○戦後、国の責任において各地域に教育文化の拠点を設けるという理想の 34 もとに、1県1国立大学の設置が進められてきたが、必ずしも理想どおり 35 にはいかなかったという現実を踏まえて、新しい発想であらためて教育研 36 究の拠点作りを進めるという意味で再編・統合を進めるということであれ 37 ば、今回示された大学の構造改革の方針は賛成できる。ただし、合理的な 38 コストで一定以上の質の教育を提供するという基本的な国の責務を世界の 39 先進諸国の中で一番怠っているのが日本であるので、改革に当たってはこ 40 の点を十分留意すべきである。また、競争原理の導入は重要と思うが、競 41 争原理をどのように働かせるかについては諸外国も苦労しており、必ずし 42 も成功していない。研究については評価結果に応じて資金を重点配分する 43 ことが可能と思うが、教育について評価結果を資金配分に結びつけている 44 国は先進諸国においてはなく、安易に形式的な指標で行うと却って害が生 45 じることとなるので、十分な検討が必要と考える。 46 47 ○競争や再編という表現が多く用いられているが、競争という表現はあた 48 かも他の大学を蹴落としてでもという感じがするので、そうではなく各大 49 学がそれぞれ特徴を活かしながら共に生きる、例えば共生といった考え方 50 や表現も必要なのではないか。 51 52 ○今回示された構造改革の方針に限らず、日本の高等教育予算を全体的に 53 増やすという議論があまりにも少なすぎる。競争的環境や外部資金の導入 54 などは研究面において重要だが、教育のような成果が目に見えにくい部分 55 へも国が責任をもって先行投資するということもはっきりと明示すべきで 56 はないか。教育に関して言えば経営、競争という言葉を前面に出して企業 57 的に整理するのはどうかと思う。また、国・公・私立大学がそれぞれの特 58 色を出して発展することには前向きであるべきだが、国・公・私立大学が 59 一つの固まりとなって同じ方向のみを目指すのを正しいとすることは問題 60 と考える。 61 62 ○構造改革の方針では国・公・私立大学が同じ土俵で競争するように見え 63 るが、会計システムの設計という立場で考えると、同じ土俵であれば会計 64 システムも同じになるのか、そうであれば会計上は国立大学の存在意義を 65 何処に見いだすのかという疑問が生じる。 66 67 ◇ 構造改革の方針は、国立大学のあるべき姿を前提とした上で、どのよ 68 うにバランスを変えていくのかを考え、その方向性を書いている。例えば 69 共生ということは非常に大事なことと考えるが、国立大学の現状を見ると 70 共生の部分はむしろ非常に良く出来ており、バランスを考えると少し競争 71 的な部分があってもいいのではないかと思う。この方針は、これまでの各 72 委員会での検討状況、方向性を十分踏まえた上でこのような表現なり方針 73 に整理しており、評価結果の予算措置への反映は、当委員会や目標評価委 74 員会で示されている。また、民間的発想の経営手法については、組織業務 75 委員会や人事制度委員会で明確に方向性が示されている。したがって構造 76 改革の方針と各委員会の審議の方向性は矛盾しているのではなく、きちん 77 と受け止めているものと考えている。 78 79 ◇大学がその戦略の下に新しい分野の可能性を追求したり、組織体として 80 の基盤の強化を図るために、結果として再編・統合を選択することもある 81 と考える。また、国公私トップ30については、現在の基本的な枠組みや 82 設置形態を根底から見直すというものではなく、現状を踏まえて更に重点 83 化を図っていくものであり、評価の結果、対象の大学が入れ替わるという 84 ことは当然有り得る。 98 ○本日のテーマである財務会計制度に関する検討の方向(案)についてだ 99 が、基本的な考え方として、各国立大学法人の自主性・自律性の向上をあ 100 げているが、この案によると財務に関して法人の自主性が発揮できるのは、 101 自己努力として認められた剰余金と不用財産処分収入の一定額による施設 102 整備だけにみえる。また、新たな借入金と既存借入金の双方とも全体調整 103 システムを介して行う場合、借入金に対する個々の国立大学法人の自己責 104 任との関連をどのように整理するのか。 105 106 ◇財務面における自主性・自律性の確保に関しては、運営費交付金の算定 107 に当たって、標準収入、標準支出を設けてこれらを基準にすることで、具 108 体的な運営に自助努力が反映できると考えている。また、施設整備におい 109 ても国から措置される施設費のみでなく、自己収入による整備やPFI等 110 の活用によって自主性・自律性の確保が図れると考えている。借入金につ 111 いては、現行の国立学校特別会計における長期借入金制度を念頭に置いて 112 いる。現状の借入金は、法文上個々の国立大学が借入れているのではなく、 113 国立学校特別会計がその責任において借入れている。したがって法文だけ 114 で言えば個々の国立大学に自己責任は発生しておらず、法人化後も同じ制 115 度設計とするならば、特別会計に替わって全体調整システムによる借入れ 116 も考えられるのではないかと考えているが、その場合でも償還財源は関係 117 法人が拠出することで自己責任を果たすことになると考えている。 140 ◇他の委員会と必ずしも十分な摺り合わせが出来ていないので、確定的な 141 ことは言えないが、中期計画に記載されるような大規模な教育研究組織、 142 例えば新しい学部を作るという場合、人件費等恒常的な経費については、 143 標準運営費交付金の範疇に入れることが考えられるし、大型の研究装置の 144 ような一時的に発生する多額の経費については、特定運営費交付金の範疇 145 に入れることも考えられる。中期計画に記載の教育研究組織の新設といっ 146 ても、所要の経費の積算方法はケース毎に検討していく必要がある。 147 148 ◇他の委員会の検討状況を紹介するが、国立大学法人から他法人への出資 149 については、国立大学協会の報告においてもTLO等大学の業務に密接に 150 関連する法人への出資が提言されている。先行の独立行政法人は、各法人 151 の個別法に他法人への出資規定を置いていないことから出資は出来ないが、 152 国立大学法人の弾力的な業務の展開を可能にする観点から、他法人への出 153 資も検討したらどうかという、組織業務委員会からの提言のようなものと 154 受け止めていただきたい。次に収益事業については、自ずと国立大学法人 155 の業務の範囲というのはあるのだと思うが、一般的な収益事業に分類され 156 るものもあれば、国立大学法人ならではの様々な事業というものもあると 157 考える。例えば、法科大学に関連して法律相談業務のようなものも大学の 158 業務として行うのか、それとも大学から分離して別途行うのか、いずれに 159 しても様々なことが考えられるので、選択肢を広げておくべきではないか 160 と考えている。 169 ◇附属の教育研究施設については、大学と不可分一体のものとして包括的 170 に大学に法人格を与えるという原則の下で、ただし特定の附属施設につい 171 てはより柔軟な運営を実現するという観点から、分離・独立といった可能 172 性について検討すべきではないかということを示したにすぎない。なお、 173 構造改革の方針において具体的に例示したのは、あくまで附属学校とビジ 174 ネススクールのみである。 176 ○評価結果と予算の関係だが、教育評価と予算をリンクさせることが難し 177 いという意見があったが、研究評価と予算のリンクはどのように考えてい 178 るのか。例えば、現在の科学研究費補助金も一定の評価を行って補助金を 179 交付しているが、そういったものをイメージすればよいのか。 180 181 ◇研究についての評価の反映は、今後、競争的資金の配分において行われ 182 るものと考える。また、同方針において、第三者評価による競争原理の導 183 入が強く謳われているが、一般的には研究に要する資金は、従来型の配分 184 に比してより競争性を強めることになると考える。運営費交付金の算定に 185 当たっても、教育に要する経費は標準的な部分でその多くを算定するが、 186 研究に要する経費は標準的なものとして大学に一律に交付するというより 187 は、競争的に獲得する方向にシフトすると考える。 188 189 ○競争的資金の配分の母体は大学か個人か。 190 191 ◇いずれもあると思う。科学研究費補助金は個人やグループを対象にして 192 おり、構造改革の方針で示した国公私トップ30という新しい競争的資金 193 のスキームは組織を対象にしている。 206 ○標準的運営費交付金には日常的に必要な経費や人件費が積算されると考 207 えるが、その使用に当たっては、大学の判断で物件費と人件費を互いに融 208 通することが出来るのか。 209 210 ◇運営費交付金は執行上、物件費、人件費の区別はないので、互いに融通 211 することは可能である。 213 ○財務会計制度の検討の方向(案)においては、基本的な考え方の項目で 214 持続的な公財政支出としながら、中期計画と予算の項目では各年度の財政 215 状況や社会状況等によって予算が変動するとしているのは矛盾していない 216 か。また、移行時の運営費交付金について、移行直前の予算配分額を踏ま 217 えるのであれば、評価やルールが意味のないものになるのではないか。更 218 に、土地・建物の取扱いについて、現物出資又は無償貸与としているがど 219 ちらを原則と考えているのか。 220 221 ◇中期計画と予算については、毎年度の予算を例えば5年先まで算定する 222 ことは形式的には出来ないことはないが、厳密に行えば行うほど弾力性が 223 無くなり、社会の要請に応え得る柔軟な法人運営が困難になる。また、国 224 全体の予算状況の影響を全く受けないということは現実的には考えられな 225 いことから、変更が有り得るという前提でこのような表現になった。次に 226 移行時の運営費交付金の水準については、一昨年閣議決定された基本方針 227 に移行前の公費投入額を十分踏まえるとされているためこれを引用したが、 228 先行の独立行政法人とは運営費交付金の算定方式も変わるだろうし、必ず 229 しも同額を保証するとの意味ではない。ただし、全く過去の実績を踏まえ 230 ないということも非現実的ではないかと考えている。土地・建物の出資に 231 ついては、先行の独立行政法人の例によれば、基本的には現物出資かと考 232 えるが、現に無償貸与している財産があり、また、政策的な観点から出資 233 よりも無償貸与に馴染むものがあるのではないかということで両論を併記 234 した。 ・・・ 236 ○学生と研究者の双方に絡む財務面の問題として、機関補助と個人補助の 237 整合性を図りながら如何に効果的な資金投下を行うかということがある。 238 例えば、授業料を高く設定しても、個人補助である奨学金を厚くすること 239 で実質的な負担は変わらなくなる。先程、国立大学と私立大学の相違は国 240 が学生納付金の額に制約を設けるか否かだという話があったが、このよう 241 に政策如何で実質的な負担が変わることから、国立と私立の区別の問題は 242 根元から考え直す必要があるのではないか。また、研究に係る競争的資金 243 は現在実質的に個人に帰属するものが多いが、組織にとってもオーバーヘッ 244 ドのような形で効果が及んでおり、この個人帰属の競争的資金の獲得数や 245 額を運営費交付金の算定要素に加えることで更に組織への波及効果を高め 246 るという手法もあるのではないか。 247 248 中期計画と予算の項目で気になるのは、中期計画と予算を明確にリンクさ 249 せないで裁量的な部分が前面に出過ぎると、中期計画の性格が極めて曖昧 250 になる。一方、リンクのさせ方によっては、逆に中期計画がネックになっ 251 て大学が時代の変化に合わせることが出来なくなる恐れがある。その辺り 252 の詰めをしっかり行わないと、予算措置は行ったものの何時になっても国 253 から独立した効果が表れないということも有り得ると考える。 254 255 また、移行時の運営費交付金の水準について、激変緩和の工夫は必要と考 256 えるが、それはそれで明示的に区別した上で過渡的なものとして扱う必要 257 がある。 ・・・ ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-2-4] 文部科学省調査検討会議『中間報告(案)』分析メモ Ver. 1 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010822netmemo.htm 独法化反対首都圏ネットワーク 2001.8.23 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-2-5] 国立大学協会 ---------- [65-2-5-1] 第八常置委員会議事録(2001.5.21) http://res-info.nagoya-u.ac.jp/kokudai/010521.pdf 「今後の予定」(6月22日、8月9日、10月3日) ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-2-6] 総務省 政策評価・独立行政法人評価委員会(第7回2001.7.27)議事要旨 http://www.soumu.go.jp/kansatu/seisaku-giji-1307.htm 「(委員の意見より)中期目標や中期計画等の中で「経常経費1パーセント前後 の効率化」という目標が設定されているものが多く見られるが、民間の常識で は低すぎて意味をなさない。そうした甘い目標を前提に評価を行うのでは十分 な評価を行い得ない。そもそも目標自体の妥当性についても何らか触れるべき ではないか。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-3] 遠山プラン(続) ---------- [65-3-1] 国立大学協会 ---------- [65-3-1-1] 理事会将来構想WG:国立大学等の再編統合について(第1次案2001.8.8) http://www.kumamoto-u.ac.jp/CONTENTS/KAIKAKU/dokuhouka/pdf/w42.pdf 「1 〈第4 回将来構想WG :2001.8.8 〉 国立大学の再編・統合等について(第1 次案) (文責:松尾) 1 再編・統合にあたっての基本的前提 ○自発性・自主性 ・再編・統合は、それぞれの大学の将来展望の中で、大学の自発性、自主性に 基づいて進められなければならない。 ○新たな価値の創出 ・再編・統合にあたっては、高等教育、学術研究の基盤を強化し、新学問領域 を創造するなど、その発展に資する新たな価値を生みだすようデザインされな ければならない。 ○国際競争力の向上等 ・統合・再編によって、特色ある大学を作り出し、国際競争力を向上させる等、 大学の発展につながるものでなければならない。 ○社会的役割の強化 ・再編・統合は、大学の社会的役割を高めるものでなければならない。 2 再編・統合の意義 ○学生に対する充実した教育機会の提供 ・全学共通教育をはじめ学部専門教育、大学院教育において、互いに十分でな かった部分を補うことによって、学生に対しより充実した教育機会を提供する。 ○学術研究における補完性、創造性 ・互いに欠けている分野を補うことによって、新たな研究の可能性を創出する。 ○大学の特色・個性の強化 ・教育・研究において、各大学の特色・個性を強化する。 ○人的・物的資産の有効な活用 ・教育・研究、管理運営において、それぞれの大学が有する人的・物的資産の 有効な活用を図る。 3 具体的諸問題 ○再編・統合の考えられる形態 ○年次計画的な自己改変 ・教育研究部門や管理運営部門で重複する部分については、年次計画によって、 漸次、縮減するよう、あらかじめ計画を立てておく必要がある。 ○学部教育と大学院教育への重点化等 ・各大学においては、学部教育に重点を置く大学になるか、大学院に重点を置 く大学になるか、あるいは他の個性化を図るかなどについて明確な方針を立て る必要がある。 ○公立大学を含めた再編・統合 ・互いに大きな利点があると考えられる場合など、必要に応じて公立大学を含 めた再編・統合も視野に入れる。 ・国立大学が再編・統合を済ませた後に、引き続き公立大学との再編・統合を 行うことについては、当該国立大学に無用の混乱を生じさせるなどの困難も予 想される。こうした場合にあっては、それを同時期に考えることが望ましい。 ○人文科学・社会科学系の強化 ・再編・統合にあたっては、理工学系分野と共に、人文・社会科学系分野の研 究がより活性化するよう配慮することが望まれる。 ○芸術系大学などの独自性 ・単科大学にあっても、芸術系大学など独自の専門領域だけを有する大学につ いては、再編・統合によってその存在が埋没することのないように配慮するこ とが望まれる。 4 避けなければならない事柄 ○明確な理念なき再編・統合 ・明確な目的なき地理的要因だけの統合 ・複数大学を単純にひとつに束ねるだけの統合 ○明確な目的なしに特定の分野を肥大化させて、大学としてのバランスを欠如 させる恐れのある再編・統合 ---------- [65-3-1-2] ◆「「国立大学の再編・統合等について(第1 次案)」への意見」 静岡大学 佐藤博明:国大協理事会第4回(2001.8.8)将来構想ワーキング・グループで配付 http://www.kumamoto-u.ac.jp/CONTENTS/KAIKAKU/dokuhouka/pdf/w43.pdf 「I.「国立大学の再編・統合等について(第1 次案)」への意見 1 .基本的視点 ・「遠山プラン」は、そもそも産業競争力の強化・経済の活性化と財政改革に シフトした「構造改革」路線の大学版としてのものであり、その意味で、教育 研究機関としての大学の本来的使命(次代を担う有為な人材の養成、今日の人 類的課題に応えうる新しい科学領域の形成と発信、地域の学術文化の拠点)に 根ざした大学改革の"トータルブラン"としての視点を欠いている ・したがって再編・統合も「遠山プラン」で提起されたから問題にするという 前に、教育研究機関としての大学組織のあり方や大学改革にとって、それが選 択肢のひとつとして真に有用なものかどうかの視点から吟味されるべきである ・再編・統合について、「遠山プラン」みずからが何らの理念・意義も具体的 内容をも提示していない状況の中で、国大協が先んじてこれを検討し一定の提 起をする」とは結局、「遠山ブラン」に正当化の論拠を与えることになるので は」 2 .具体的諸問題・・・ ○「年次計画的な自已変革」について・・・ ○「学部教育と大学院教育への重点化等」について・・・ ・・・・そもそも大学の個性化や教育研究の活性化は、個別大学全体を教育大 学と研究大学に仕分けたり種別化することによってではなく、担い手たちの意 欲的で個性的な教育研究活動によるものの筈である。すなわち多様で自由な競 争によってこそ教育研究の活性化が期待できるのであり、競争が始まる前から 前提条件をつけることになる、アンダーラインでのような大学の種別化には疑 問がある。 ○「公立大学を含めた再編・統合」について・・・・ II. 国立大学法人化等について 1 .評価と資源配分 (1)運営費交付金等による財政基盤の安定化・・・ (2)運営費交付金の算定・・・ (3)財政における自主性の確保・・・」 ---------- [65-3-2] ◆Nature 「小泉内閣の科学技術政策の基本方針は、基礎研究を失速さ せると科学者が懸念」412, 364 (26 July 2001) http://www.natureasia.com/japan/webspecial/koizumi/index.html 「日本の小泉純一郎首相が発表した科学技術政策の基本方針が、有力科学者の 間に批判の渦を巻き起こした。方針案は研究開発の経済的価値を重視し、基礎 研究に十分な支援が行われないと科学者たちは見ており、これが不評の原因だ。 ・・・・ 東京大学医学部のベテラン研究者の1人が匿名を条件に、「基本方針は科学者 のやる気を失わせるだろう。」と語ってくれた。「政府が設定した目標が何で あれ、それに沿うだけになってしまう。」 ・・・・ 堀田氏によれば、公開状を提出したのは(日本人の基準からすれば、かなり思 い切った行動と言える)科学者の意見を政府に伝える適当な手段がないからだ という。多くの科学者が、総合科学技術会議には自分たちの意見が反映されな いと不満を訴えている。会議の主なメンバーは閣僚や産業界の代表者で、学界 代表が3人では影響力は限られていると科学者たちは言う。 産業界代表の中には、科学者の不満に理解を示す声もある。「政府は最良の研 究とは何かもはっきりと理解していないのに、応用へ応用へと進みたがる。」 と、日本テキサス・インスツルメンツ社の生駒俊明社長が述べている。」 ---------- [65-3-3] ◆山本眞一(大学研究センター長)「「遠山プラン」を考える」 文部科学教育通信 No32 2001年7月23日号p38−39 http://www.kyoikushinsha.co.jp/books/kt_0032.html 「 ・・・先日見た「内外教育」七月六日号では「遠山プラン」に反対なし、とマ スコミ論調を伝えている。 しかし、「誰も反対のない計画は実施に慎重であれ」というのはビジネス・ マネジメントの鉄則と聞く。このプランに落とし穴がないかどうかは、政策担 当者を含めて関係者が今一度注意深く吟味してかかる必要があるだろう。いく つか気づいたことを以下に記す。 ・・・・ 従って、大学とくに国立大学の学長さんたちは、この方針をただただ恐れ入っ て受け取るのではなく、政治の現実として受け止め、そして自ら責任を負って いる(はずの)大学の将来プランと巧みに照らし合わせて、然るべき能動的対 応をとる必要がある。この連載の第二回に書いたことだが、国立大学に対する 逆風は、受身の姿勢では決して収まることはないのである。 ・・・・ 第二に、このプランでは国立大学の再編・統合や民間的発想の経営手法導入が うたわれている。しかし、政策科学を多少とも専攻した私の目から見れば、そ れらがどのようなプロセスを経て国立大学の活性化につながるものかは、今後 の検討課題として残されているような気がする。例えば、民間的発想と言って も、現実の日本社会においては、大企業を中心にバブル経済崩壊以降一向に活 性化しないものがいくらでもある。また、再編・統合という多大のエネルギー を要する事業は、本来縮小・廃止されるべき負の部分を清算するには有効だろ うが、各国立大学がこれまで積み上げてきた教育・研究基盤をかえって弱体化 することにはならないだろうか(本連載「第二十一回」五月十四日号参照)。 ・・・・ ・・・かの米国でさえ、国家戦略の一環として大学に多大の研究費投入を行っ ている(図表1[65-6-2-2])。また、トップの大学に資源を重点的に配分する ことは結構だが、科研費を見る限り、図表2[65-6-2-3]に示すようにすでに現 実は米国並みの重点配分になっている。教育・研究基盤が未熟なままに、競争 的環境を強調し過ぎることは、反って害をもたらすことにならないか。政府に 望むべきは、十分な資金量の確保と、大学の自由活発な活動を助ける規制緩和 策なのではないだろうか。 政策担当者は、大学の教育・研究基盤の充実が、わが国の未来を左右するとい う使命感を持って、国立大学を叱るだけではなく、霞ケ関や永田町さらには財 界を舞台に、外向きの戦いを大いに繰り広げてもらいたいものである。 」 ---------------------------------------------------------------------- ---------- [65-3-4] 喜多村和之「トップ30選別の意味―「遠山プラン」と私大政策」」 (アルカディア学報46, 2001.8.22) http://www3.ocn.ne.jp/~riihe/arcadia/arcadia46.html ---------- [65-3-5] 第55回地学団体研究会総会「「大学の構造改革の方針」に反対する」決議 http://kescriv.kj.yamagata-u.ac.jp/agcjy/p2001/ketsugi1.html ---------- [65-3-6] 新潟日報社説(2001.8.23)大学の構造改革 将来像明示を地方から迫ろう http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2421.htm ---------- [65-3-7] 読売社説8月20日付[科学技術予算]「国際競争に勝つ成果を目指せ」 http://www.yomiuri.co.jp/08/20010819ig91.htm 「・・・ 元々、応用研究を中心とした特殊法人や独立行政法人(旧国立研究 機関)と比べて、大学系の研究機関の予算額は小さい。意欲と実績のある機関 でも、必要な資金が得にくい面があった。  旧文部省系の大学関連予算には、資金を各研究機関に広く浅く配分せざるを えないという“宿命”があり、旧科学技術庁系の特殊法人予算のような大胆な 資金配分をしにくかったこともある。  文部省と科技庁が合体した今は、改善の好機だ。旧省庁のそれぞれの予算枠 を打ち壊し、基礎、応用を問わず、意欲的で国際的な成果が期待できる機関に、 柔軟に予算配分をすべきだ。 ・・・」 ---------- [65-3-8] 河北新報2001.8.22論壇「国立大学改革 教員の業績 適正評価を」 高木富士夫(東北大学大学院理学研究科教授) 「・・・・ 大学の運営基盤とは何か。予算的なことなら、大学へ支出する国家予算を増 やせばよい。時代の変化、社会の養成にこたえて、再編・統合により大学を改 革しろという意味ならば、運営基盤強化とは意味が違う。少子化による学生数 の減少に備えよという意味ならば、大学数削減、学生定員削減の概数を示すべ きだ。評議会や教授会が十分機能していないという意味ならば、統合とは関係 がない。 ・・・・ ---------- [65-3-9] ◆河合塾シンポ傍聴者のメモ 2001.8.23 日時 2001年8月23日15時30分〜17時30分 場所 河合塾名古屋スタジオ 出席者 奈良国立博物館館長 杉長敬治氏 経済産業研究所 澤昭裕氏 文部科学省 杉野剛氏 河合塾文化教育研究所所長 丹羽健夫氏 司会 河合塾国語科教師 牧野剛氏 司会: まず独立行政法人化された奈良国立博物館から現状についてのお話を。 杉長: 現在は収入を得ることに時間を取られている。職員の間でも「今日の客 の入りは」といった話が大きなウエイトを占めている。国立博物館全体として の予算は三館あわせても50数億、人件費が20億、事業費が残りの30数億。その なかで奈良向けの予算は8億、そのうちの2億を自力で稼ぐことになった。これ までは「2億稼ぐ」といったことを考える必要はなく、8億円自由に使えた。が、 現在は6億しか来ない。いかにこの2億を稼ぐか、が重要である。寄付金をとっ たり、新聞社と協力しあったりしている。中期目標というのもかなり詳細なも ので、経費節減、財務内容の明確化など。例えてみれば私はスーパーの店長で 全く客商売をやっているのと同じである。中期目標のなかには、公開講座を開 いた場合、客の8割が喜ぶように、というのもある。つまりトイレはきれいか、 案内係りがちゃんとお辞儀をするか、といったことまで気を配らなければなら なくなった。ただし、人件費はきちんとくるので給料といった点では問題ない。 しかし、これでは親方日の丸といわれても仕方がなく、また他方で人件費は削 れないという弱味ある。職員は公務員型で、211名削減なく5年間はいける様子 である。しかし、たくさん稼いだ場合でも―まったく奈良の場合にはありそう にないが―人件費には回せず、コレクションの購入や展覧会をもう一回やる、 といったことになる。しかし、現況ではマスコミ等で宣伝は行うが、東京のデ パートでも常設展示室を撤廃するなど展覧会の方面を拡大する方向で考えるの は難しいだろう。 平成14年度予算の削減がありそうだが、それで仕事の量がどうなるのかは問 題だ。仕事が減らないで運営費交付金だけ減らされたらどうなるか。2億円稼 ぐというのもこれまで平成7年度からの平均値で決定されている。博物館の収 入は「みずもの」で、多く稼いだ年もあるし、そうでない時もある。昨年は1 億4千万。理念の自由度と運営の難しさの狭間にたっている。 杉野: (遠山プランについて)―唐突にだしちゃったかなあ、と思うが、これ まで各種の審議会でいろいろ考えてきたものの集約点である。科学立国のため の構造改革であり、文部科学省も聖域ではない。(後は遠山プランの説明) 澤: ・・・そもそも私が大学改革の問題に係わったのは工業技術院の人事課で 研究員の審査をした際に、日本の大学の博士課程をでた若い人々がアメリカの 大学を卒業した人々に比べて質が悪いということが判明し、こちらから大学に 注文をだした、ということからです。日本のとりわけ工学系の大学院生・研究 者は末端の話ばかりをやっていて大きな問題が見えていない。それが示されて いるのが国際競争力といった点でのレベルの低さ。また日本の企業の資金ある いは人材が外国に流れてるといった点を危惧した。 ・・・文部科学省はこれまで私たちのやっていたことについては全く無視し ていたが、ここにきてこっちを見るようになった。これは文部科学省のコペル ニクス的転回である。(後は『大学改革 課題と争点』の第17章の話をかいつ まんで行った) 丹羽: 高校教師や生徒を大学に送りだす方からの関心は1.「トップ30大学」が 一体どこになるのかということと、2.再編統合で国立大学の地図がどうかわる のか、ということだ。 1.については、科研費配分、論文引用数、河合塾編『わかる学問最先端』な どから総合トップ30をつくってみた。すると(日本地図に記す)北海道に一つ、 東北大、日本海側にわずか二つ、四国に一つ、後は大都会、東海道メガロポリ ス〜九州までに26校といった図になる。 2.については、国立大学が99校になったなったのは1950年前後であり、昭和 35年の進学率は10%以下、現在では約50%になっている。これは昔は勉強が好 きじゃなければ別に取るべき道があった、しかし、今は勉強好きじゃなくとも 中卒や高卒では職もない、仕方ないから大学へいく、という状況になっている からである。この責任は国にもある。地方では一番できる子は東大や京大にい く、その次にできるやつが「おらが地方大学」へ行き、そこを卒業して、地方 に就職していくのだ。地方大学の存在意義はそこにある。それを研究者養成と いった点からのみ大学を切り捨てるというのはいかがなものか。 ここで学長インタヴュー 新潟大学の荒川正昭学長と鹿児島大学の田中弘允学長登場 荒川: 独法化は大学改革として前向きに捉える。評価は必要だが多元的である べき。教育に対する評価は慎重にすべき。単科大学の再編は行われるべき。と りわけ医者や教師の養成は広い総合大学で行われるべき。 田中: 大学改革は必要だが、中央政府の支配下でおこなわれるべきではない。 教育研究は自主自律でやるべきだ。(後は『文部科学教育通信』と同じ話) ディスカッション 司会: 国立大学の独法化は行政改革、国家公務員のリストラではないか、学問 や研究を無視しているのではないか、という意見がありますが、いかがですか。 杉野: 心配もしていたが、2年前に大学改革という観点から行われるというこ とになって安心した。 澤: 行革の流れが大学改革の動きを加速した。改革は行われているのだろうが、 外からは全くみえない。世界ランキングも10年前と比べて変わっていない。そ れゆえ何かショックを与える必要があるのではないか。 杉長: わたしたちは今、江戸末期や明治維新の時代の頃と同じ状況にあるよう な気がする。何もなくなってしまった、が、同時に解放された、という感じで ある。文部科学省や文化庁に行かなくてもよくなった。東京にいっても次に何 をやるのかを考えるためにあちこち見た方がいい、ということになった。国立 大学が独法化される際にはやはり理念が必要だろう。99もあるのだから、どう 言う生き残りをするのかが重要。中期目標をしっかりしないと現場が困る。 丹羽: 再び、「トップ30」とは分野別か、大学別か、理系のみか、文系もか。 さらに、国立大は研究者養成大学になるのか、そういう大学が生き残ればよく、 他はどうでもいいのか。 杉野: 国公私各大学が申請をして、分野別に評価するということです。透明性 高く、クリアに。政府が「トップ30」を選ぶということではない。いろいろな 分野があってはじめて大学といえる。基礎・応用、文・理問わず、バランスを とって重点配分を行うということです。 丹羽: そうすると、大学がバラバラに解体されるということか。結果として大 学別になるのでは? 杉野: あくまで各大学の分野別に評価ということです。複数の分野があり、そ こにでこぼこがある、ということを学長、学部長、各教員が「わかる」ことを 狙っています。あくまで改革のため。 丹羽: 残りの分野は? 杉野: 各大学で、いけそうだと思う分野に大学自身で重点化していくというこ とはありえる。資金の戦略的発想をする。 後は評価の問題、地方国立大学の生き残りなど。 丹羽: 国立大学は減るのか。 杉野: 始めからいくつにしたい、といっているのではない。再編統合はしなけ ればならず、その結果として減るのである。国立大学としての役割を果たす、 その上での減少である。 杉長: 三つの博物館が一つになったわけだが、あまり状況がかわったという感 じはしない。最初からゆるやかな連合体で、ということだったので。逆に三館 一緒になった強みをこれから考えていくというのが現在です。 澤: 現在の地方大と医科単科大学の統合はあまりにも安易ではないか。それぞ れの大学が明確なヴィジョンをもっていないことが問題。 杉野: 両者の統合はあるべき姿である。もともと医科大学ができたのは大学紛 争のなか、政策的判断で、荒れている大学に医学部をおくのは良くないという ところから生まれた。それゆえ自然な形での統合である。」 ---------- [65-3-10] ユネスコ「高等教育教職員の地位に関する勧告」について1997.11 http://zendaikyo.or.jp/daigaku/unescoyaku.htm 「45.終身在職権及びそれと同等な適用可能な権利は、学問の自由の主に手 続き的な保護手段のひとつであり、恣意的な決定に対抗するものである。それ はまた、個人の責任を助長し、有能な高等教育教職員を確保するものである。 46.終身在職権及びそれと同等な適用可能な権利を含む専門的職業における 雇用保障は、高等教育や高等教育教職員の利益にとって必要不可欠なものとし て確保しなければならない。これは、厳しい評価によって引き続き雇用されて いる高等教育教職員が解雇されるのは、その専門的理由でそれなりの過程にお いてのみであることを保証するものである。さらにまた、真実の財政的理由か らという場合もあり得るが、そのためには、全ての財政的内容が公的調査に対 して開示されており、機関が雇用の終了を防ぐすべての代替手段を尽くしてお り、雇用の終了のいかなる手続きにおける偏見をも防ぐ法的な保障が存在して いなければならない。終身在職権及びそれと同等な適用可能な権利は、高等教 育機関やその内部組織、又は制度に変化が生じた場合にもできる限り確保され なければならないものであり、妥当な使用期間が終了した後、教育及び/又は 学問及び/又は研究において明白に規定された、学術団体の満足のいくような 目標基準にかなう者、及び/又はその高等教育機関の満足のいくエクステンショ ンワークにおいて示された基準に達した者に与えられなければならない。 48.学術コミュニティーの構成員は、独立した第三者による同僚からの意見 聴取に際し、及び/または仲裁者や法廷といった公平な組織に対して説明でき る公正で十分な理由がある場合を除き、解雇を含む懲戒を受けやすい状況であっ てはならない。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-4] 文部科学省 ---------- [65-4-1] 教員養成等における大学と教育委員会の連携の促進に向けて http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/08/010822.htm ---------- [65-4-2] 失敗知識活用研究会報告書 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/001/gaiyou/010801.htm 「新たな技術的知見の獲得は、多くの場合、失敗の積み重ねの上に成就される ものとの視点で」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-5] 構造改革 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-5-1] 財務総合政策研究所「経済の発展・衰退・再生に関する研究会」(続) http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk051/zk051a.htm ---------- [65-5-1-1] 第1章 イギリス[130kb]安部悦生(明治大学経営学部教授) http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk051/zk051b.pdf (p15−16) (7) 金融業 ・・・このような金融部門の構造は、イギリスの最重要産業となった金融業の 発展を阻害するものとして、サッチャー政権下でビッグ・バンが実行された。 単一資格制度の廃止、手数料の引き下げ、こうした措置によって市場を活性化 しようとしたのである。また、こうした市場の開放は外資のいっそうの参入を 助長することになり、アメリカ系やドイツ系、さらにはスイス系の金融機関が ロンドン市場に参入し、比較的小規模であったマーチャント・バンクを買収し 始めた。その結果、多くのマーチャント・バンクが外国資本の傘下に入った。 伝統を誇るモルガン・グレンフェルはドイツ銀行に、クラインウォート・ベン スンはスイス銀行に買収され、大手で独立性を保っているのはロスチャイルド ぐらいになってしまった。(もう一方の雄であったベアリングは1990 年代初 めに倒産し、オランダ系のING 銀行の傘下に入った。)またいわゆる植民 地銀行であったHSBC (香港上海銀行)は、イギリスのミッドランド銀行 を買収し、香港・東南アジア、イギリス、さらには北米で活動する多国籍銀行 を誕生させた。以上のような合併は、預金銀行の中だけではなく、貯蓄銀行で あったTSB と、ビッグ・フォーの一翼であったロイズとの合併をもたらし、 さらにはバークレイズとウーリッジとの合併を生み出した。最近の日本と同様 の、大型銀行合併である。 以上のような改革=規制緩和により、ロンドン証券市場、ひいてはロンドン 金融市場は活性化され、ヨーロッパでは抜きん出た位置を獲得することになる。 これに対抗する存在は、ドイツのフランクフルト市場であるが、その差は大き い。しかし、将来EU 統合との絡みもあり、フランクフルト市場との対抗関 係は将来的に続くと思われる。ちなみに、ロンドン証券取引所とフランクフル ト証券取引所との合併話が持ちあがったが結局流産し、両市場の対抗関係は継 続されることになった。 ビッグバンにより、中小証券会社は主に外国系の金融機関の傘下に入り(ウィ ンブルドン現象)、マーチャント・バンクも一部を除いては独自のアイデンティ ティーを維持できず、またいったん大手預金銀行はユニバーサル・バンクを目 指して、証券会社・投資銀行を買収し子会社としたが、市場の投機的な激しい 動きについていくことが出来ず、ほとんどの預金銀行は証券業務から撤退する という事態も生じた。このような負の側面もあるが、全体としてビッグバンは イギリスの金融業を大いに活性化したといえるであろう。」 ・・・ (p17) サッチャー政権がもたらした負の側面は、所得分配面での不平等感の増大であ ろう。所得分配の平等性については、ジニ係数やローレンツ曲線があるが、歴 史的に見て、産業革命の発生により所得の不平等が拡大したとされる。その後、 19 世紀末からの福祉国家形成への傾向により、累進的所得税、相続税、一般 人にとっての有利な就業機会の増大などにより、所得格差は縮小傾向にあった とされる。しかし、ある統計によると、1980 年代から所得格差は拡大傾向に あるとされる。イギリスは一面では資産・所得に基づく階級的格差の大きな国 とされていたが、他面で福祉国家のへの傾斜により平等主義的な側面が強かっ た。それがポールタックス導入の試みや、サッチャー政権の一連の政策により 不平等が拡大しているという社会的な批判がある。」 4.日本経済再生へのインプリケーション (p18)・・・ 〔サプライサイドの強化を伴った産業競争力強化策は成功したと言えるか〕各 産業、いくつかの企業を見たが、総じてイギリス企業のパフォーマンスは改善 されているように見える。これがどれくらいサッチャー政権の政策の賜物と言 えるかは確言できないが、民営化、日本企業、その他の外資企業の誘致策など を考えると、プラスに作用しているように見える。ほとんど効果があがってい ないと見えるのは、職業教育制度である。企業と職業教育機関との連携がうま く行っていないとの指摘がある。 〔外資参入の日本への教訓〕 外国企業の対内直接投資比率を見てもわかるように、日本とイギリスの相違は 大きい。外資受け入れの歴史の長さがそもそも異なっているが――フォード、 GM などは準イギリス企業に近い――日本もウィンブルドン現象を恐れず、 外国企業を受け入れるべきである。それが国内企業の活性化を促すと考えられ る。十年ほど前、筆者はトヨタ以外の自動車企業がすべて外国企業に買収され てもたじろぐべきでないと考えていたが、次第にそれに近づいているように思 える。イギリスの量産自動車メーカーは全滅したし、アメリカでさえもクライ スラーが買収された結果、GM とフォードの2 社しか残っていないのである。」 ---------- [65-5-1-2] 第5章 スペイン[161kb]戸門一衛(神田外語大学外国学部教授) http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk051/zk051f.pdf p133(3 )生活大国への転換 「世界銀行のデータによれば(1999年)、一人あたりのGDPは日本が32,230ドル、 スペインが14,000ドルである。購買力平価で見ると日本が24,041ドル、スペイ ンが16,730ドルである。前者で2.3倍、後者で1.4倍の差があるが、生活実感か らすると、むしろスペインの方が豊かに見えるのはなぜだろうか。それはGDP がフローの概念であって、街並みの美しさ、住宅の広さ、公園、美術館などの ストックが考慮されていないからだ。さらに、除外されているのは「生活のゆ とり」である。スペインの年間労働時間は現在1,773時間になっている。週あ たりの平均労働時間は38.3時間である。夏には1ヶ月間の休暇をだれもが享受 することができる。残業や休日出勤もほとんど行われない。耐久消費財などの モノの消費は地味であるが、家族と余暇を過ごすことを非常に大切にしている。 日本が今後めざすべきは、もはや「モノの豊かさ」ではなく、労働時間短縮に よる「生活のゆとり」再発見なのではないか。家族の崩壊、青少年の非行問題、 中高年の自殺急増などが発生している日本の現状を見ていると、過度な競争原 理や経済発展至上主義を軌道修正する時代が来ているように思われる。」 ---------- [65-5-1-3] 佐野誠:第7章 アルゼンチン:日本経済の自由化症候群 http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk051/zk051h.pdf 「p180−183 (2)日本経済の自由化症候群 ・・・・ 資産インフレを懸念した日銀の総量規制を契機として、1990年代の初めにバブ ルは崩壊した。この後にみられることになる日本経済の長期的低迷は、いうま でもなく複雑な因果関係によるものであり、単一の原因へと還元することはで きない。しかしここでも自由化症候群として括ることのできる側面はたしかに 散在する。それらを織り込んで総需要の項目毎に事実を整理すると、「失われ た10年」の複合的要因はおよそ次のように描ける。第1に、設備投資は1992〜 94年と1998〜99年に落ち込み、文字通り御しがたい「暴れ馬」となった。前者 は大型のストック調整によるものであり、バブル経済期の積極的な設備投資の 反動である。後者はクレジット・クランチ(信用収縮)によるが、この貸し渋 りはそれ自体またBIS規制にもとづく早期是正措置と1997年の金融危機(拓銀、 山一証券の倒産)に起因している。 しかるに上記の金融危機の際には外国機関投資家による株式投機が最後の一撃 となったが、これは当時の日本の金融市場がアメリカをも上回るほど過度に自 由放任されていたためだということが指摘されている(伊東[1999]11‐14)。 この金融危機のさらに大前提には不良債権処理の先送り問題が控えていたが、 ここでもまた、公的資金の一気注入という「社会主義的」政策によらず金融機 関の自助努力に任せるべしという市場主義=自由主義思想(それはバブルの政 策・経営責任の回避という利害関係と裏腹の関係にあった)が問題解決の妨げ となった。 このほかバブル崩壊後に構造不況に陥った非製造業中小企業では、従来にない 投資の落ち込みがみられた。その原因の1つとして、規制緩和による量販店の 進出が地域の商店を圧迫したことをあげられる(同様の問題は次にみる消費の 不振についても指摘できる)。それまでの不況期には非製造業投資が「下支え」 の役割を果たしていただけに、この事実は重い。ちなみに1997〜98年のクレジッ ト・クランチの影響も非製造業中小企業で大きかったことが知られている(吉 川[1999]22‐23)。 第2に、1990年代にはほぼ一貫して消費が不振であり、このことも経済の長期 低迷要因となった。1992年にバブル崩壊に伴う一定の逆資産効果がみられた (ただし全体の中ではそれほど大きな影響はない)ほか、97年は増税によるマ イナス効果もあった。しかし長期的にみて消費に最もブレーキをかけたのは、 雇用柔軟化への不安と自営業の不振であった。このうち後者は1990年の大店法 に定められた大幅規制緩和と結びつけることができる(荒川[2000]362-363)。 また前者は雇用面における従来の社会的規制、すなわち労使間の182長期雇用 合意が揺らいだことや(非自発的失業者の急増、失業率の上昇、非正規雇用の 利用への急速な転換)、労働市場の政策的規制の流動化(たとえば労働者派遣 法の改正)などと密接に関連している。経済戦略会議による労働市場流動化の 主張(能力開発バウチャー論)もこの流れに位置づけることができる15。 第3に、1994〜96年における輸入の異常な増加も、この時期の設備投資の一時 的回復による成長効果を打ち消す役割を果たした。これは直接には円高による アジアへの生産拠点移転が進み、そこから集中豪雨的な逆輸入が行われたため である。しかしより根本的に考えれば、このことは外国投資を自由放任してお くと有効需要の漏れが生じるという、ケインズが大不況期に懸念していた問題 と重なるのである(伊東[1999]9-10)。第4に、「小さな政府」を目指した財 政構造改革政策(金子[1999]019)の下で消費税率の引き上げなど公的負担増 と歳出削減が試みられたが(1997年)、このことも1998〜99年のマイナス成長 に寄与している。これもまた日本型の自由化症候群の1つといえよう。 おわりに 以上、本章ではアルゼンチンの経済発展史を省察し、そこに日本経済再生のた めの示唆を探ってきた。アルゼンチンが経験した「失われた10年」は1976年に 始まる第1次新自由主義改革が淵源となっていた。第2次新自由主義改革もまた、 1人当り実質GDPという人工的な統計値に惑わされずつぶさにその実績を眺めれ ば、「失われた10年」を更新したものであることがわかる。自由化・規制緩和 は慎重な取り扱いを要するリスキーな選択肢だということを改めて確認できた。 この点を念頭におきながら日本の「失われた10年」やその前提となったバブル 経済の期間を全体として省察してみると、金融自由化をはじめとする各種の自 由化・規制緩和が経済実績に少なからず負の影響を与えていることが読み取れ る。それはアルゼンチンの場合とは形態をかなり異にしているが、日本でもや はり自由化症候群が蔓延していることは明らかである。同種のウイルスに感染 しても体質が異なれば病状も異なってくるのである。とすれば日本経済再生の ためには、自由化症候群を克服していく必要があるということになる。そして そのためには、これまでの自由化・規制緩和やこれを支える市場主義的思想が 一般庶民に与えてきた社会経済効果を冷静に再検討し、必要ならそれらの是正 や再編合理化、あるいは規制の再導入を考慮しなければならない。具体的には 不良債権の迅速かつ強制的な処理、雇用不安の解消、地域の中小企業の支援、 一般庶民の必要にとって適正規模の政府等が目標となるだろう。 ・・・・ このことに限らず経済問題はすべからく政治問題である。本章では多くを割愛 したが、アルゼンチンの歴史にはそうしたエピソードが溢れている。日本経済 再生のために必要な上述の改革を政治的にいかに正当化し、さらにそれをいか に実行していくか。これもまたアルゼンチンの経験から得られる示唆なのであ る。」 ---------- [65-5-1-3-1] BIS 規制 http://www.nikkei.co.jp/rcafe/today/0104/02.html ---------- [65-5-1-3-2] G. Palast "Who Shot Argentina? The Finger Prints On the Smoking Gun Read 'I.M.F.'", Inside Corporate America, Guardian (London), Sunday, August 12, 2001. http://www.GregPalast.com/detail.cfm?artid=96&row=0 邦訳 http://www1.jca.apc.org/aml/200108/23255.html 「今週の南米のニュースはアルゼンチン、少なくともその経済の死亡である。 6人に1人の労働者が失業、工業生産は年率25%の下落、ドル建て債務の利率は 90%に跳ね上がったとも言われる。  その凶器は、2000年9月5日付けの「覚書」。Inside Corporate America紙は そのコピーをアルゼンチン経済省からIMF宛ての書簡と付属文書と共に入手し た。仔細に検討してみたところ、この覚書が無抵抗のアルゼンチンの身体に致 命的銃弾を発射したことは明白だ。  この覚書は政府の財政赤字を2000年の53億米ドルから2001年には41億米ドル に削減するよう要求しているが、昨年の9月時点でアルゼンチンは深刻な不況 の瀬戸際に立たされていたのであり、収縮しつつある経済で財政支出を控える ことは既に失速状態の飛行機のエンジンを止めるようなものだ。・・・」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-5-2] 「金融ビッグバン」の現在 ---------- [65-5-2-1] 帝国バンク全国企業倒産情報 http://www.tdb.co.jp/tosan/jouhou.html #(今年前期では、9427件の倒産があり、負債総額は7兆2120億6600万円と書 かれている。2001年7月報の「今後の問題点」のコーナーは、「参院選で 自民党が勝利した。「聖域なき構造改革」の目玉である不良債権の最終処理が いよいよ本格始動し、間違いなく悪性のデフレ圧力は高まり、倒産と失業のラッ シュは避けて通れなくなる。」と始めている。) ---------- [65-5-2-2] 財務省:金融システム改革(日本版ビッグバン)とは http://www.mof.go.jp/big-bang/bb1.htm ---------- [65-5-2-3] 日本学術会議経済制度研究連絡委員会報告「金融ビッグバンの根底にあるもの」 1999.12.13 http://www.scj.go.jp/kennkyuusya_saronn_r/17htm/17_15a.html (日本学術会議第3 部会員・中央大学商学部教授)委員長花輪俊哉 (明治大学商学部教授)幹事高木仁 (成城大学経済学部教授)村本孜 (創価大学比較文化研究所教授)委員加藤寛孝 (神奈川大学経済学部教授)鈴木芳徳 (中央大学商学部教授)田村茂 概要(要旨) 「・・・金融ビッグバンは、こうした日本の金融システムを改革し、バブル崩 壊後空洞化した東京市場を、一級の国際市場に改変しようとする試みであり、 徹底した自由化を前提とする。しかもその自由化は価格についての自由化のみ ならず、業務の自由化も包含されているのである。従来わが国で成功してきた 資本主義は「もの・サービス」の生産に関、係する製造業中心の資本主義であ り、その経済成長がうまく言ったことがかえって「かね」の貸借に関連する資 本主義への変容を妨げていると考えられる。またビッグバンを実施しようとし た時、ちょうどバブル経済が崩壊し、不況に突入したことが、金融システムの 改革を遅らせていると考えられる。・・・  こうして金融ビッグバンにより官僚支配と集団主義の「護送船団方式」が解 体され、我が国は自己責任原則を基本とする真の自由経済社会の形成に向かっ て大きな一歩を踏み出すことになったと言えよう。」 ---------- [65-5-2-4] ■クルーグマン(山形浩生訳)「日本がはまった罠」1998.05 http://www.post1.com/home/hiyori13/krugman/japtrapj.html 「・・・ 6. ではどうしよう。  日本はほぼまちがいなく、その生産キャパシティのかなり下で動いてる経済 だ――つまり、日本が直面してる目下の問題は、需要の問題であって供給の問 題じゃない。そしてあらゆる面からみて流動性トラップにはまってるらしい―― つまり、従来型の金融政策をとことんまでやってみても、経済はまだ不景気の まま。なにができるだろう。答は大きく分けて3つあるようだ。構造改革、財 政拡大、そして従来型でない金融政策。これを順番に見ていこう。 構造改革:みんな、日本は構造改革が必要だとってことには同意する。銀行を きれいにしなきゃだし、サービス部門を規制緩和しなきゃ、企業の会計方式を 変えなきゃとか。・・・でも構造改革に関する議論でびっくりするのが、「こ れでどうやって需要(供給じゃなくて)が増えるんだろう」というのをよく考 えてみると、その答は実はかなりあやふやだってこと。少なくともぼくは、日 本で提案されてるいろんな構造改革なんかぜんぜん需要は増やさないと思うし、 ものすごい大改革をしたところで、経済をいまのトラップから押し出すのに十 分だと考えるべき理由はまるで思いつかない。 財政政策:・・・この政策はうまくいくかもしれないけれど、日本にとって正 しいものだろうか?日本はすでに、ものすごい公共事業支出で経済を刺激しよ うとしたけど、失敗してる。しかも事業のほとんどは、どうしようもなく無駄 なものばかり。どうでもいいところにかかる橋や、だれも使わないような空港 などなど。確かに、経済は供給に制約されてるんじゃなくて、需要に制約され てるんだから、無駄な支出でもないよりましではある。でも、政府にも予算の 制約ってものがある。日本はたぶんこれを口実に使いすぎてるところはあるけ ど。だいたい、経済の資源を使って、人々が本当に求めているものをつくれな いなんて、ホントにほんとなわけ? 金融政策:選択肢として金融政策に戻ってくるのは変に思えるかも知れない。 だって、いまさっき、それが効果がないことを見てきたばかりじゃない? で も、ぼくたちがやってきた金融上の思考実験には、特別な性質があることを認 識しなきゃならない。どれもすべて、マネーサプライを一時的に変える話しか してない、ということだ。  ・・・・ では、価格が期間1で決まっちゃってるときに、マネーサプライを恒久的に増 やしたらどうなる? 名目金利がゼロにはりついて流動性トラップにはまって るとしても、金融拡大は未来の期待価格水準P*をあげて、結果として実質金利 を下げる。言い換えると、一時的なのはダメでも恒久的な金融拡大は有効なん だ――なぜならそれは、インフレ期待を引き起こすから。 ・・・じゃあ、いまの話を現実に落としてみよう。特に日本に。もちろん、日 銀はベースマネーの変化が一時的かこの先も続くのかなんて発表しない。でも、 民間のプレーヤーはその行動が一時的なものだと見ている、と考えていいかも しれない。みんな、中央銀行は長期的には価格の安定を目指すだろうと思って るから。そして金融政策に効果がないのは、このせいなんだ! 日本が経済を 動かせないのはまさに、中央銀行が責任ある行動をとると市場が見ていて、価 格が上昇しだしたらマネーサプライを引き締めるだろうと思ってるからだ。  だったら金融政策を有効にするには、中央銀行が信用できるかたちで無責任 になることを約束することだ――説得力あるかたちで、インフレを起こさせちゃ うと宣言して、経済が必要としてるマイナスの実質金利を実現することだ。  これは、おかしな議論どころか、倒錯した話にきこえる。でも忘れないでほ しいんだけれど、基本となる前提――実質金利がゼロでも、十分な総需要を作 り出すには不足だという事態――は仮定なんかじゃないってこと。これはまさ にいまの日本の実状そのもの。だから、構造改革や金融拡大が必要なだけの需 要をもたらすという説得力ある議論が展開できないかぎり、経済を拡大するた めの唯一の方法は実質金利を下げることだ。そしてそれをやる唯一の方法は、 インフレ期待をつくりだすことだ。・・・」 ---------- [65-5-2-5] 加賀山 茂「日本版金融ビッグバンと消費者保護」(1998.7.25) http://www.ky.xaxon.ne.jp/~kagayama/consumer/bigban/bigban_consumer.html 「制緩和は、選択の自由の名の下に、消費者に自己責任を迫るものであり、消 費者が適切な選択を行う上で必要とされる情報の公開なしに規制緩和が進めら れると、消費者は選択の基準のないまま、すなわち、無防備なまま選択をせざ るを得ず、消費者被害が多発する恐れが大きい。 1986年にイギリスにおいてビッグバンが行われたときは、同じ年に消費者保 護のための金融サービス法が制定されたにもかかわらず、100万人を超える消 費者が被害を受けたとされている。 そのような手当てが全くなされていないわが国において、このまま金融ビッグ バンが実施されるならば、大規模な消費者被害が発生する危険性が高い。」 ---------- [65-5-2-6] 金融ビッグバン批判のページ ---------- [65-6-6-1] ビル・トッテン「ビッグバンが日本へもたらす影響」(1998.1.28) http://www.billtotten.com/japanese/ow1/00143.html 「為替相場に与える影響力の強さから「Mr. Yen」の異名をとる、大蔵 省財務官、榊原英資氏へのインタビュー記事が、『フォーブズ』誌(英 語版、9/22/97)に掲載されました。近く予定されている日本版ビッグバ ンは、この榊原氏が考案したものであると言われています。この記事の 冒頭には、「ビッグバンが成功すれば、レーガンが現在の力強い米国経 済の下地を築いたのと同様に、日本経済を不況から救うことができるか もしれない」と書かれています。ビッグバンは日本を本当に不況から救 うことができるのでしょうか。私はそれを非常に疑問視しています。  そこで今週はこの榊原氏へのインタビュー記事に対して、ニューヨー ク在住のエコノミスト、マイケル・ハドソン氏に解説および反論を加え てもらいました。・・・・(ビル・トッテン) ・・・・ 「フォーブズ誌:1990年の著書、『Beyond Capitalism』で、日本は米国流の 消費主義や株主の積極行動主義よりも、日本流の生産・雇用重視の制度に固執 すべきであると主張されていたが、その考えは変わっていないか。 榊原:時代に適合することが常に重要であり、今、我々はグローバル化しなけ ればならない。金融の規制緩和は日本の金融をよりアングロ・サクソンに近づ けることになるであろう。これこそ我々が計画すべき道である。 ハドソン:「時代に適合する」とは、米国の命令通りに動く、ということのよ うだ。金融の規制緩和によって日本がアングロ・サクソンに近づくことはない。 米国株式市場は破産してはいない。米国は外国を助けるために低金利政策を行 い、自国の経済を破滅させるようなことはしなかった。米国は他の国に追随す るようなことはしない。自国を犠牲にして、他国を喜ばせることは、米国流で はない。米国、つまりアングロ・サクソンのやり方とは全く逆である。歴史的 に見て、日本がとっている一連の行動は帝国主義国家に対する「植民地」の役 割なのである。」 ---------- [65-6-6-2] 「榊原英資の金融ビッグバンとこれからの経済社会環境」 − 立花隆の「深読み」に続けて考える − 市民のための丸山真男ホームページ http://www2s.biglobe.ne.jp/~MARUYAMA/politics/bigbang.htm ---------- [65-6-6-3] 「****は日本を売り渡すつもりか?」 http://village.infoweb.ne.jp/~fwgj5057/sub61sakaki.htm 「1986年、イギリスで「元祖ビッグバン」が行われた。証券市場が自由化され た結果、イギリス国内にあった金融機関が外国の企業との競争に破れていった。 そして、ほとんどすべて吸収合併されるか倒産してしまったのである。  イギリスの金融市場そのものは活気を取り戻し、世界の金融センターとして 復活したが、その土俵で元気なのは外国企業ばかり。イギリスの伝統的な金融 機関は壊滅した。つまり、イギリスの金融市場は、外国勢に乗っ取られたので ある。  自国のイギリス勢が「ホームグラウンド」で活躍できなくなり、外国勢ばか りが活躍するこの状況が、テニスのウィンブルドン大会に似ていることから、 ビッグバン以降のイギリス金融界の有り様は「ウィンブルドン現象」と呼ばれ ている。 日本版ビッグバンにおいても、これと同じ結果が予想される。日本の銀行・証 券・保険会社は、ほとんどすべて消滅していくと予測される。」 ---------- [65-5-2-7] インフレターゲット論争 ---------- [65-5-2-7-1] 物価安定政策会議第39回物価構造政策委員会議事録 2001.3.7 内閣府国民生活局  http://www5.cao.go.jp/seikatsu/2001/0307butsuan.html 〔浜田経済社会総合研究所長〕  主たる金融政策の仕方には3つあります。1つは、ともかく日本の国内の国 債の市場等、債券市場に日本銀行が買オペを、場合によっては買い切りのオペ レーションをやることによって、その経路を通じて流動性を国内に供給してい く。それがもし効かない場合には外国市場に、これは財務省の協力が必要です が、外国為替市場に為替介入をして円安に持っていって、それが物価に響いて くるようにする。言い換えれば、日本銀行は不胎化をしないということです。 ・・・  第3番目に、「人々の期待を変える」ですけれども、その1つの例として は、例えば1%とか2%とかという、あるいは0%でもいいのですけれども、 インフレ・ターゲットを宣言する。人々が信じられるように宣言する。したがっ て、0%で「デフレは絶対にやめます」と日本銀行の方が宣言してくださるだ けでもずいぶん違うと思います。そういう1、2の経路が、少なくとも2の経 路が、対外的な副作用はあるのですけれども、効くことは間違いないと思いま すので、そういう経路を考えながらインフレ・ターゲットを設ける。  個人的に言うと、日本銀行を機械的に縛るというのは、僕はあまり好きで はない。本当はデフレにならないように、今まで景気拡大も含め金融政策を伸 縮的に行ってくださっていればよかったわけですけれども、今のような状態に なってしまった。そこである期間、インフレ・ターゲットも致し方ないと思い ます。」 ---------- [65-5-2-7-2] 岩田規久男「インフレ目標付長期国債買い切りオペの提案」2001.3.1 http://www.esri.cao.go.jp/jp/forum1/010301/kicho.html 「金融政策の課題-更なる金融緩和を巡って」ESRI(内閣府経済社会総合研究所) -経済政策フォーラム第一回 http://www.esri.cao.go.jp/jp/forum1/010301/gaiyo.html 岩田「そこで、今日は金融政策にはどういうものがあるかというオプションを 3つお話ししたいと思います。全部インフレ目標付きです。」 浜田所長「それから、構造問題というがあるということで、構造問題がある場 合には、構造改革しかないのだという議論が多いわけです。しかし、そうでは なくて、デフレ経済の中では、先ほど言ったデット・デフレーションであると か、浜田先生がおっしゃった貸手と借手との間の情報のやり取りがうまくいか ないという、いわゆる情報の非対称性の問題、そういうようなもの、市場の不 完全性のある場合には、むしろデットを軽減してやるとか、インフレによって 軽減してやることによって、むしろ構造改革が進むのだという考え方でありま す。それを何か構造改革一本やりでやって、金融政策は何もやらないでやると どうなるかというと、すごい痛みが生じる。痛みが生じると、それは放ってお けないから、どうしても財政で手当をしなければいけないということになるわ けです。そういう意味で、構造改革をやりにくくしているのは金融政策として デフレを放置している政策なんだということを申し上げているわけです。以上 です。」 ---------- [65-5-2-7-3] 小野善康「不況期の財政政策の論点」(2001.5.22)より http://www.esri.cao.go.jp/jp/forum1/010521/kicho2.html ESRI―経済政策フォーラム第2回「財政を巡る論点について」(概要) http://www.esri.cao.go.jp/jp/forum1/010521/gaiyo.html 「・・・・ 3.「物の視点」の財政政策 ・真の目的:余剰資源の有効活用.皆の欲しがるものを供給 ・何もしないで失業放置よりは,少しでも役立つものを ・金をまいても効果なし.金をまいてもなくならない.金から物へ.   「額」から「使い道」 1)望ましい政策 [政策1] 新産業創出の環境整備:新産業立ち上げ支援・新産業政策 (i) ゴミ処理,IT,介護産業のインフラ整備など (ii) 規制緩和:起業の促進,既得権の排除,自由な参入促進 (iii) 新事業への資金的支援:公的資金の貸付,投資補助金 (iv) 将来必要な人材・技術確保,教育投資,技能教育 credibleな支援,長期見通しが立てられるようなやり方 [政策2] 従来の産業構造を前提とした労働活用 従来型の社会資本整備(道路,新幹線,空港整備) 産業構造変化vs.目前の有効利用  衰退部門(建設技能者)温存の危険 [政策3] 再分配型政策:社会保障,医療保険,税制 「小さな政府」と「大きな政府」は好況時の対立軸(クラウディング・アウト) 2)景気の局面と官と民の使い分け 好況期:  何が必要かは市場動向を見ればわかる.民間が資源を有効利用.小さな政府 不況期  何が必要か官も民も考える必要がある.民間活動を妨げずに社会資本整備を  不況があるからこそ,好況時にやり残したことができる. 3)財政赤字削減のために公共事業縮小 本末転倒,なくならない金を倹約し、刻々失われていく生産力を無駄にしている. (議事録より) 「国債発行は、信用が高く皆に保有されているという意味で、日銀券と同じよ うな流動性を生み出している。現在の金融経済情勢の中で、ただ圧縮すれば良 いということにならないのではないか。・・・ ところで、クルーグマンは、日銀券をばんばん発行して少し信用を落として、 ちょっとハイパーインフレぎみにした方がいいと言っている。これはとんでも ない話で、そんなことをすれば、日銀券が流動性としての機能を失うから、紙 に戻っちゃうんですね。つまり、ハイパーインフレというのはまさに貨幣、紙 幣が紙に戻る過程ですから。それで、国債がそうなっちゃ困るわけです。66 0兆円がそうなる入り口かどうかは私はわかりませんが、多分皆さんが心配さ れているのはそういうことだと思うので、私は660兆円が1000兆円にな ろうが、2000兆円になろうが構わないとは思っていないわけです。でも、 少なくとも国債を売り出せば、買いたい人が郵便局の窓口に並ぶという現状で は、その危険はないと思います。」 ---------- [65-5-2-7-4] 蜂谷隆:「量的緩和」で日本経済は再生しない −インフレ目標論の危うさ 2001.3.11 http://www.asahi-net.or.jp/~HB1T-HCY/thesis29.htm ---------- [65-5-2-7-5] JMM: インフレターゲットは有効か? 「Q:204 インフレを起こせば景気が回復するという人がいます。インフレにな れば債務が軽くなることは理解できますが、どうして景気が回復するのかはわ かりません。インフレになれば景気が回復するという根拠はどこにあるのでしょ うか。」 http://www.ryumurakami.com/jmmarchive/m109001.html [65-5-2-8] 経済生産性本部メンタルヘルス研究所「産業人メンタルヘルス白書」2001/08/24 https://www2.jpc-sed.or.jp/files00.nsf/276697182031a3fd4925672c001a56da/30582d40ea6bf76949256ab2002e6fea?OpenDocument ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-6] 大学財政 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-6-1] 省庁の大学関係予算 ---------- [65-6-1-1] 経済産業省「起業促進へ資金支援、大学発ベンチャー育成」(NIKKEI NET) NIKKEI NET 2001.8.24 「経済産業省はベンチャーなどの新規開業を資金支援する包括策をまとめた。 大学教授らが研究成果をもとに会社を設立する「大学発ベンチャー」に出資す る専門ファンド(投資基金)を創設するほか、事業計画がしっかりしていれば 無担保で開業資金を融資する制度を導入する。ハイテクなど成長分野の起業を 促進するとともに、開業率を引き上げることで雇用の拡大につながるとみてい る。2002年度からの実施を目指す。  創設するファンドには、中小企業総合事業団や日本政策投資銀行が10億円程 度の資金を出すほか、民間のベンチャーキャピタルからも資金を募り、合計20 億円程度の規模にする。ファンドはバイオやナノテク(超微細技術)など成長 分野の大学発ベンチャーに出資する。昨年4月から国立大の教授らも現職のま ま企業を経営できるようになった。開業資金として国民生活金融公庫に無担保・ 無保証人で設備投資資金や運転資金を融資する制度を設ける。融資額は最大 550万円、期間は最長7年。金利は長期プライムレート(最優遇貸出金利、現行 年1.65%)を参考に決める。」 ---------- [65-6-1-2] 経産省、文科省が即戦力技術者大量育成進める 『日本工業新聞』2001年8月24日 「経済産業省は文部科学省と連携し、2002年度から産業界が求める科学技 術系人材を大量育成する。両省は科学技術創造立国を実現するには、人材育成 に関する国家的なプロジェクトが不可欠と判断。「技術人材240万人能力開 発総合推進プログラム」と名付け、即戦力として能力を発揮できる優秀な人材 を育成・確保を図る。来年度予算概算要求に500億円超を盛り込む方針。  プログラムは2006年度までの5カ年計画で(1)即戦力技術人材大量養成 計画(来年度予算概算要求額約300億円)(2)技術者240万人生涯教育計画 (同232億円) (3)人材育成機関評価推進計画(同30億円)−の3事業で構 成する。  即戦力技術人材大量養成では、優秀な学生や社会人を選抜して一定期間、国 内外の技術系大学院や企業の研究現場に派遣する。経産省は年間3000人、 5年間で累計1万5000人を計画しており、とくにライフサイエンス、IT (情報技術)、環境、ナノテクノロジー・材料の4分野に精通する人材を育成す る。 また技術者240万人生涯教育計画は、民間の技術者が自分の専門分野や所 属組織・団体にとらわれることなく、自由な発想で能力を磨ける環境の整備を 目指す。具体的には、日本機械学会や石油化学工業協会など国内に104ある 学・協会を対象に知識情報データベースを5年計画で構築するほか、IT利用 の教育方法開発などにも取り組む。  人材育成機関評価推進計画では、教育内容の質を向上させるため、2006年度 までに全理工系学部(159学部)と全学・協会を対象とした第三者的な外部認 定・評価機関を設立する。このため、大学などに対する民間の外部認定・評価 機関を現在の3機関から10倍の30機関に増やす計画だ。」 ---------- [65-6-1-3] 内閣府「沖縄大学院大学の調査費計上 内閣府概算要求」(朝日新聞) 朝日新聞ニュース速報 「内閣府は23日、来年度予算案の概算要求に、沖縄に科学技術系の大学院大 学をつくるための調査費1億円を盛り込むことを決めた。今月末に有識者によ る大学構想検討会(10人、座長・有馬朗人参院議員)を設け、必要な施設な どを協議する。  大学院大学は独立行政法人として、早ければ3年後の開校を見込んでいる。 学生200人、教授陣50人を想定。研究費に毎年10億円程度を充て、世界 最高水準の研究機関をめざす。  内閣府がまとめた来年度沖縄振興予算の概算要求は、総額3576億円(前 年度比2.5%増)で、主な中身は国立高等専門学校の整備費(30億円)な ど教育文化振興事業費197億円(31%増)、米軍基地所在市町村活性化特 別事業費104億円(29%増)など。新たにIT(情報技術)産業振興施設 整備事業の14億円、産学官共同研究推進の3億円も要求する。公共事業関係 費は前年度と同じ2939億円となっている。[2001-08-23-11:59]」 Yomiuri On-Line 2001年8月21日 「沖縄大学院大検討会の座長に有馬朗人氏  内閣府は21日、沖縄県に設置する予定の国際的な科学技術系大学院大学の 具体的構想を検討する専門家会議「沖縄新大学院大学構想検討会」について、 座長に有馬朗人参院議員(元文相、東大学長)を充てるなど、メンバー10人 を内定した。31日に初会合を開く。また、設置に向けた調査費として、20 02年度予算の概算要求で約1億円を要求する方針だ。  大学院大学は2004年度の開学を目指しており、〈1〉IT(情報技術) 〈2〉環境技術〈3〉バイオテクノロジー――などを研究対象とする。学生2 00人、教授50人の規模を想定し、半数を外国人として、授業もすべて英語 で行うという構想だ。  検討会は、大学院大学の研究内容、立地条件、必要施設などを協議し、年内 に中間報告、来年3月までに最終報告をまとめる予定。  内閣府は同構想を、今年度で期限切れとなる第3次沖縄振興開発計画に続く 新たな振興計画の目玉とする考え。今後、制定する沖縄振興新法にも盛り込む 方向で調整しており、尾身沖縄相も6月、遠山文部科学相に協力を要請してい る。  有馬氏以外のメンバーは次の通り(敬称略)。  青木昌彦(スタンフォード大教授)、稲嶺恵一(沖縄県知事)、黒川清(東 海大医学部長)、佐藤禎一(日本学術振興会理事長)、椎名武雄(日本IBM 最高顧問)、末松安晴(国立情報学研究所所長)、仲井真弘多(沖縄電力社 長)、森田孟進(琉球大学長)、吉川弘之(日本学術会議会長)。」 ---------- [65-6-1-4] 文科省、“優れた研究”補助事業に予算確保(読売新聞) ---------- [65-6-1-4-1] 読売新聞ニュース速報 「優れた研究が見込める大学に国公私問わず資金を重点投入し、世界最高水準 に育てようという文部科学省の「国公私トップ30」の基本計画が23日、明 らかになった。既存の科学研究費補助金などとは全く別に事業予算を確保。約 10の研究分野別に、大学院の専攻課程レベルに直接資金を配分する。初年度 となる来年度は概算要求段階で422億円を見込む。  選ばれた大学は、国立学校特別会計や私学助成などでも優遇措置を受ける一 方、配分先は毎年見直すため“敗者復活”も可能。選定されるか否かは大学評 価に直接影響するため、私大は無論、独立行政法人化を控えた国立大も巻き込 んだ競争が加速されそうだ。  配分の対象は、基本的には大学院の専攻課程を持つ大学とするが、研究所な どにも応募の道を開く。  10分野はまだ確定していないが、3分の2程度は理学、工学、医歯薬学な どの理系に、残りが人文科学系などになる可能性が高い。実際には「生命科学」 や「システム情報学」といった、大学院の専攻クラスを分野分けの単位とし、 「コンペ形式」で獲得競争をさせることになる。  遅くとも来春には申請法などを大学側に通知。希望する研究分野の実績や研 究データのほか、施設や人材などのどこに資金投入し、いつまでに成果をあげ るかという将来戦略を求める。選考過程は公開される。[2001-08-24-03:06] ---------- [65-6-1-4-2] 『毎日新聞』2001年8月24日付 「文部科学省:6兆8773億円を概算要求  文部科学省は24日、02年度予算の概算要求をまとめた。原子力関係費を 約257億円、文化振興基盤整備を約12億円それぞれ減額するなどしたが、 「構造改革特別要求」として新たに3768億円を盛り込んだため、一般会計 の総額は前年度比4・5%増の6兆8773億円となった。  国際競争力のある「トップ30」の国公私立大学に重点配分する施策に42 2億円を求めたほか、大阪の児童殺傷事件を受けて、学校や子供の安全管理の ために約9億円を要求している。」 ---------- [65-6-1-4-3] 『河北新報』2001年8月24日 「教育大国実現に4・5%増 文科省、6兆9千億円要求  文部科学省は24日、2002年度予算の概算要求を固めた。一般会計の総 額は約6兆8772億円で本年度当初比で4・5%増となった。人材育成・教 育大国と科学技術創造立国の実現が柱。「重点7分野」の対象のため、1・1 %増だった01年度の概算要求を上回る伸びとなった。  主要施策では国際競争力のあるトップ30の国公私立大学をつくるためのプ ログラムに422億円を要求。第三者による評価機関を設置し、大学に競争原 理を導入する。  全国の小中高校などの公立学校に社会人を教員補助者として配置する「学校 いきいきプラン」を新たに実施する。3年間で5万人が目標。  育英奨学事業は大学生を対象にした奨学金の貸与人数を約4万5000人増 やす。認められれば約79万7000人になる。(了)」 ---------- [65-6-1-4-4] 育英会:奨学金補助1割カット 無利子枠減らす 文科省 『毎日新聞』2001年8月25日付  文部科学省は24日、02年度予算概算要求で同省所管の特殊法人、日本育 英会への貸付金や補助金を119億円(前年度比9・5%)削減する方針を固 めた。育英奨学事業費の減少は初。小泉純一郎首相の特殊法人への国庫支出1 兆円削減指示を受けたもの。無利子奨学金の貸与人員は01年度で42万20 00人だが、補助金削減によって約1万6000人減る。  経済財政諮問会議の基本方針(骨太の方針)が「人材大国」を掲げ奨学金の 充実を打ち出しているため、有利子奨学金は01年度より6万1000人増や して39万2000人とし、総貸与人員数は差し引きで4万5000人増とな るが、奨学生にとっては無利子枠が狭まり負担が増える。  有利子奨学金の事業費は財政投融資資金と財投機関債の発行で賄われ、01 年度比460億円増。国庫支出を減らしながら財投資金への依存度を強めるこ とで、小泉改革の方針が互いに矛盾する結果になっている。  同じ特殊法人の日本私立学校振興・共済事業団への出資金、補助金も01年 度予算より1割程度削減する方針だが、02年度から国の直接補助制度を創設、 私大経常費補助の総額は257億円増(01年度比8%増)を要求する。私大 補助はこれまですべて事業団経由の間接補助だったが、二重の手厚い体制にな る。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-6-2] 大学財政資料(続) ---------- [65-6-2-1] 国立大学全体 ○国立学校  人件費  1兆2731億円  旅費      208億円  物件費    4023億円    計  1兆6961億円  ゆとり指標 34.1% ○大学附属病院  人件費     5080億円    旅費       9億円    物件費   6942億円  計     1兆2031億円 ○H13年度国立学校特別会計予算歳入内訳(付属病院込) 歳入  2兆7428億円(前年度比399億円増)    一般会計より 1兆5727億円 57.3%    自己収入   1兆1701億円 42.7%  #国立大学の自己資本率は42%、欧米の私学と余り替わらない H12年度歳出  人件費54.3%,物件費45.7% ---------- [65-6-2-2] 大学への資金源別研究費の割合(%)[65-3-3]より ーーーーーーーーーーー ーーーーー ーーーーー ーーーーー ーーーーー 資金源    日99   米00   独99   仏99   英99 ーーーーーーーーーーー ーーーーー ーーーーー ーーーーー ーーーーー 政府     63.8  65.6  90.1  91.5  70.6 産業      3.4   7.4   9.9   3.5   7.9 大学     32.5  19.8   0.0   4.6   4.4 民営研究機関  0.3   7.3   0.0   0.4  17.1 ーーーーーーーーーーー ーーーーー ーーーーー ーーーーー ーーーーー 計     100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 ーーーーーーーーーーー ーーーーー ーーーーー ーーーーー ーーーーー (注)平成13年版科学技術白書から筆者の計算。外国からめ資金を除く。 ---------- [65-6-2-3] 競争的研究費の分配状況総額に占める割合(%)[65-3-3]より 日本(科学研究費補助金2001年)    上位10校   48.0%    上位20校   58.7% 米国(連邦政府研究費199フ年)    上位30校   45.1%    上位60校   65.4% (出典)文科省調査データから筆者(山本)の計算 (注)上位大学数は、日米の大学数の差異を考慮。 ---------- [65-6-2-4] 徳島大学の自己収入率 平成12年度歳入歳出決算と平成13年度歳出予算について http://www.tokushima-u.ac.jp/Message/gakuho13.7/13.7gakuho.html 歳出 約293億円   人件費56.4%   物件費43.6% H12年度歳入 自己収入の割合 49.4% 学生数 学部5736人+大学院1337人 ---------- [65-6-2-3] 山口大学の「ゆとり指標」  総額     290億円  総人件費   178億円  「ゆとり指標」 38.6% 大学附属病院を除くと、  総額     170億円  総人件費   127億円  「ゆとり指標」 24.9% #ゆとり指標は大学付属病院を除外して計算する必要がある。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-6-3] 科学研究費 ---------- [65-6-3-1] 基盤研究(S)新規交付課題一覧(PDF形式)(2001.8.11) http://www.jsps.ab.psiweb.com/j-kaken.html #(2,091件の申請(総額618億)に対し採択61件(17億)(採択 率 件数:2.9%、研究費:2.8%) ---------- [65-6-3-2] 科研費審査員名簿(H12) http://www.jsps.ab.psiweb.com/12sinsain.htm ---------- [65-6-3-3] 学術創成研究 新規交付課題一覧(PDF形式) http://www.jsps.ab.psiweb.com/sketuichiran.pdf http://www.jsps.ab.psiweb.com/gakuketuichiran.pdf ---------- [65-6-3-4] 産学協力研究委員会 http://www.jsps.go.jp/j-soc/sangaku/index.htm 「この委員会の設置は、日本学術振興会の前身である旧財団が発足した当初の 昭和8年(1933年)からの伝統を持っています。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-7] 「都立大学統廃合」に対する学生運動 ---------- [65-7-1] 東京都立大学A類学生自治会「大学改革に関する緊急アピール」2001.6.19 http://homepage.mac.com/aji2327/appeal.html ---------- [65-7-2] 東京都立大学学生ネットアピール文(2001.8.1) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2409.htm http://www1.jca.apc.org/aml/200108/23165.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-8] 筑波大学教職員組合:筑波大学開学以来の本部交渉 http://fweb.midi.co.jp/~wout/news/n2001-08-1.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-9] 報道など ---------- [65-9-1] 共同通信ニュース速報「大学ランクは信用できず 米誌の元担当者が暴露」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2417.htm ---------- [65-9-2] リレー討論「大学を変える」(2001年7月〜 日本経済新聞) http://www.jca.apc.org/toudai-shokuren/dekigoto/0107-08n.html ---------- [65-9-3] AERA「国立大教授のお気楽な生活」2001 8/27 号 記事への意見受付: http://opendoors.asahi-np.co.jp/span/aera/survey_regular.htm #(NHKから埼玉大学に50代で就職した某教授が退官後に国立大学の欠点 を批判したもの。助手から教授までエスカレータ式に昇進できるのが国立大学 の人事であるかのように書かれているがこれは明らかな嘘。また、学生に配付 したカリキュラム資料に大きなミスがあったことを国立大学の短所として書い ているが、これは、93年度以降の国立大学間の予算的格差拡大の結果、地方 大学における事務官の仕事の激務化によるべきもので、非難すべき対象は大学 だけではない。) ---------- [65-9-4] 「天下り役員らへ26億円 農水の旧2特殊法人が43人に」 東京新聞2001.8.21 http://www.tokyo-np.co.jp/00/sogo/20010820/mng_____sogo____000.shtml ---------- [65-9-5] 読売新聞:国際競争力アップで産学官連携サミット開催へ(2001.8.19) http://www.yomiuri.co.jp/02/20010819ib02.htm ---------- [65-9-6] 読売新聞:「52校が法科大学院を予定」(2001.8.17) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2393.htm ---------- [65-9-7] 日経新聞2001/08/20 06:59「東大・京大、研究テーマ公募し成果を還元」 http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [65-10] 個人の意見等 ---------- [65-10-1] 李啓充「米国マネジドケアの失敗から何を学ぶか」 日本医師会未来医師会ビジョン委員会講演会(2001.7.5) (ハーバード大学医学部) http://www.med.or.jp/etc/lee.html 「・・・配られています資料にもありますように、経済財政諮問会議が医療に 関して言っていることが、ちょうどマネジドケアがいいと主張しておられる方 たちの言っていることとダブっているのですね。例えば、医療、介護、教育云々 に市場原理・競争原理を導入せよ。・・・・こういった方針を決められた方々 は、果たしてアメリカでマネジドケアが入ってどうなったのかを御存知でこう いうことを決められたのか、非常に疑問であると言わなければなりません。医 療に市場原理・競争原理を導入するとどういう弊害が生じるようになるのか、 きょうは皆様にアメリカの実状を紹介しながらお話ししたいと思ってきたわけ です。そういう意味では、非常にタイムリーな内容かと思います。 ・・・・ ここに、市場原理の下での医療の問題点というものをまとめました。  第1は「弱者の排除」です。・・・・  2番目は「負担の逆進性」です。・・・・  3番目が「バンパイア効果」。・・・・  4番目「医療費が下がるという保証がない」。・・・・  5番目は、何度も言いますけれども、HMO(Health Maintenance Organization )の手法からも明らかなように「アクセスや質が損なわれる危 険がある」ということです。  市場原理の失敗を実例で見ていきましょう。まず、ハーバード・ピルグリム 社の倒産です。このHMOは、もともとは良心的なHMOとして、貧乏な人に 安心して医療が受けてもらえるようにということでつくられた、ハーバード大 学の医学部長がつくったHMOだったんです。これがバンパイア効果で、シェ ア獲得をしないと生き残れないということで、拡大戦略を展開して、あちこち の保険会社と合併しました。ところが、コンピューターのシステムも違うし、 保険の契約の内容も会社毎に全然違うし、ということで、たくさんの会社を合 併してマサチューセッツ最大のHMOになったけれども、経営が破綻するわけ です。2000年の1月に事実上の倒産をしまして、州の管財下に入りました。そ の翌月に、マサチューセッツ州の医療保険部長が知事に対して、医療に市場原 理を採用する政策は失敗したとする報告書を提出しています。94年に、共和党 の知事の下で、病院と保険会社が自由に価格を交渉してよろしいという制度を つくったんですが、94年に採用した「市場原理にまかせる」制度が失敗した ということを認めたのです。」 ---------- [65-10-2] 町村信孝「政治主導で再編に道筋ーー公平に評価、適正に財源配分」 (日本経済新聞2001.8.19) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/01819matimura.htm ---------- [65-10-3] 山口二郎「戦争が残した問い」(北海道新聞2001.8.19) 「この数力月、歴史教科書問題や小泉首相の靖国参拝問題など、日本が戦った 戦争をどのように理解すべきかをめぐって大きな議論が続いた。  市井人にとっての意味 教科書を含め、歴史書とは後世の人間が過去の出来事をその人の関心に沿って 取捨選択し、再構成したものである。歴史について議論するときには、その時 代に生きた人が何を感じ、考えていたかを直接知ることが必要である。  たとえば永井荷風の「断腸亭日乗」を読むと、市井人にとって戦争か何を意 味したかよくわかる。軍人の専横によって人々の生活は困窮を極める。しかし、 荷風が最も憤るのは、軍人支配が「学術文芸を以(もっ)て無用の長物」とな し、「現代日本を以て欧洲中世期の暗黒時代」に戻そうとすることであった。  また、減私だの忠孝だのと国家への貢献を押し付ける風潮の中で「すべて人 間の美徳善行を意味する言語文字はその本質を失いて一種の代用語となり終わ れり」と慨嘆している。  さらに日米開戦の直前に、米国と戦うことで得る物があるとすれば、「デモ クラシイの真の意義を理解する機会に遭遇すること」と予言している。荷風は 政治にはまったく背を向けた文学者であった。それゆえにこそ、権力の愚行を 徹頭徹尾冷静に見据えていたのである。 「デモクラシイの意義」 我々に残されたのは、権力の暴走や愚行をいかに食いとめるかという問いであ る。戦争中の日本人は従順で、無気力であった。何が起こっても成り行きに任 せるだけで、ただ電車の乗り降りに必死になって先を争う民衆を見て、荷風は その心情ほど理解しがたいものはないとも記している。  吉田満の「戦艦大和ノ最期」の中に、出撃した大和の艦内で青年士官たちが 自らの死にどのような意味を与えるかをめぐって論争する場面がある。ある士 官は、日本人を目覚めせるために死ぬのだと自らを納得させていた。戦いの最 中の民衆に覚醒を求めても無理である。しかし、戦後の日本人は、権力の愚行 を食いとめるのは自分たちの責任であるという「デモクラシイの意義」に目覚 めているのだろうか。 (以下略)」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題を広い視野から考えるのに役立 つと思われる情報(主に新聞報道・オンライン資料・文献・講演会記録等)を 紹介。種々のML・検索サイト・大学関係サイト・読者からの情報等に拠る。  メール版で省略されている部分はウェブ版参照。ウェブ版は目次番号が記事 にリンクされている。転送等歓迎。 【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ ひ読んで頂きたいもの。 【関連サイト】http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp ------------------------- 発行部数 2295 (2001.8.27現在) 1563 Mag2:903|CocodeMail:363|Pubzine:91|melten:76|Macky!:55 |melma:46|emaga:29 732 直送(北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・国会議員等) ------------------------- Digest版 発行部数 約1600(北大), ML(he-forum,reform,aml,d-mail) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End of Weekly Reports 64
独法化問題週報への登録:
右のフィールドのいずれかに
電子メールアドレス(半角)を
入れてください。
Mag2 に登録
Cocode Mailに登録
melmaに登録