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Weekly Reports  No.70  2001.10.1 Ver 1.32

http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-70.html
総目次:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/all.html
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       目次
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[70-0] 発行者より
[70-1] ◆調査検討会議中間報告「新しい『国立大学法人』像について」
 [70-1-1] 関連情報ページ
 [70-1-2] 報告書が強く志向する方向
  [70-1-2-1] 組織業務
  [70-1-2-2] 目標評価
  [70-1-2-3] 人事制度
  [70-1-2-4] 財務会計
 [70-1-3] 関連報道
  [70-1-3-1] ジャーナリズムへの希望
  [70-1-3-2] 西日本新聞9月30日<直言曲言>「地方国立大学の”志”」
  [70-1-3-3] ◆朝日新聞社説10.1「大学の法人化―これが規制緩和なのか」
 [70-1-4] 詳細目次
 [70-1-5] 連絡調整委員会議事要旨より教育公務員特例法に関する意見
  [70-1-5-1] 教育公務員特例法
  [70-1-5-2] ユネスコ「高等教育教職員の地位に関する勧告」
 [70-1-6] 文部科学省調査検討会議『中間報告(案)』分析メモ Ver. 1
[70-2] ◆新しい「国立大学法人」像について(中間報告)』に対する意見募集について
 [70-2-1] 文部科学省作成:「国立大学法人」制度の概要 2001.09.27
[70-3] 国大協臨時理事会2001.9.27:臨時国立大学協会総会10月29-30日
 [70-3-1] 国大協会長談話:『新しい「国立大学法人」像』の中間報告等について
[70-4] ◆討論集会「国立大の『独立』行政法人化は真に大学の独立性を高めるか」
[70-5] 報道
 [70-5-1] 共同通信速報(2001.9.26):日本育英会の廃止検討を 自民部会が提言
[70-6] 引用
 [70-6-1] 塙 武郎「アメリカにおける高等教育行財政について−州立大学の法的地位と
 [70-6-2] Business Week誌 2000「21世紀企業のマネジメント」
 [70-6-3] キュニコスHPより
  [70-6-3-1] ビル・レディングズ『廃虚のなかの大学』を読む
  [70-6-3-2] 上野千鶴子『ナショナリズムとジェンダー』を読む
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[70-0] 発行者より

 文部科学大臣の私的諮問機関である国立大学等の独立行政法人化のための調
査検討会議が「新しい「国立大学法人」像について」と題した中間報告[70-1]
を発表した。これを読むと、怒りと恥ずかしさの念を抑えることができない。
大学を思いのままに利用するための体制を志向する存在に対する怒り、そして、
国立大学法人化の真相を気取られないよう言葉を取り繕ろう不誠実に満ちた行
政文書を、国立大学を代表する人達と「有識者」と呼ばれる人達が平然と公表
したことについて、日本という国に居る一市民として感じる恥ずかしさ、だ。

 国策による金の氾濫に銀行も大企業も我を忘れて率先して恥ずべき行状を世
界の目に曝し日本の国際的信用を傷つけていたとき、国立大学に勤務する者の
多くは、いつもどおりの給与や少ない校費をそれほど苦にせず、教育と研究に
没頭していた。今、日本経済が低迷を続けるなかで立ち往生している経済産業
界の経営者達が、「国立大学には我々が必要とする国際競争力がない、財界や
産業界の経営の知恵を取り入れろ、我々に大学をまかせろ」などと言っている。
日常生活では誰も相手にしないような、己が行状を棚上げした横着を広言して
憚らない。

  彼等が、大学経営に取り入れろと要求している「民間の知恵」とはどのよう
なものか。どうやら大企業のマネジメントを真似することのようである。役員
会を作り権限を持たせトップダウンの経営体制を実現し、業績・能力に応じた
給与体系や競争的研究費により競争的環境を醸成し、目標をきちっとたて実施
計画をたて達成度を数量的に評価する、というものだ。しかも、経営に経験が
ある者に経営を任せよ、といっている。

  21世紀の企業のマネジメントはトップダウンではなくボトムアップ、競争
ではなく創造、独断的ではなく激励的だ、という記事があった[70-6-2]。また、
オリジナルな製品が生まれなくなったため成果賃金制を8年目に見直した富士
通の事例も最近のことである[45-9-5]。中間報告をまとめた「有識者」達は、
まさに実世界では通用しなくなりつつあるマネジメントを大学に押し付けよう
としていることになる。こういった時代遅れの「有識者」達が日本社会と日本
経済を動かしているとすれば、日本が国際競争力に欠け、日本経済が一向に改
善しないのは余りに当然なことではないか。

 日本経済と日本社会を間違った政策と経営方針で混乱させ、建て直すことに
も失敗し日本社会に迷惑をかけっぱなしでいる政府・財界・産業界が、なんの
反省もなく、今度は大学を自分たちの都合が良いように手術しようとしている。
先見の明に欠け、失敗の責任もとらず、失敗から学ぶこともできない存在に大
学を任せるようなことは、現在および未来の日本社会の人達に対する誠意に欠
ける。

 前号にも書いたが、現国立大学教職員は「中間報告」を精読し意見表明すべ
きだ。パブリックコメント[70-2]には全員が意見を出すべきだろう。また、国
立大学教員ならば社会に聞こえるように発言する機会には事欠かないのではな
いか。いずれにせよ、たいした労力の要ることではない。未来世代へのささや
かな誠意の証として、各人が休日を1日位は潰してこの程度のことはすべきで
はなかろうか。
                            ------------------------------

また、10月5日に衆議院議員会館で、「国立大学独立行政法人化阻止 全国
ネットワーク」主催、日本科学者会議・東京大学職員組合の協力による、国立
大学法人化についての討論集会が開かれる[70-4]。党派色のない集会であり、
主催側は与党議員を始め、法人化・民営化賛成議員にも参加を呼びかけている。
東京地区の方で関心のある方は是非参加し発言して頂きたい。特に国立大学教
員の参加が望まれる。朝日新聞社説[70-1-3-3]が指摘しているように、現職の
国立大学教員が無関心でいれば、大学の規制強化と無尽蔵の官僚天下り先開拓
の絶好の機会を提供することになり、国立大学だけでなく旧文部省・自民党も
含めて全関係者が反対している独立行政法人化より、大学を害する点では、数
倍も危険な法人化が実現してしまいかねない状況なのである。
                  ━━━━━━━━━━━━━━━━━

[70-1] ◆調査検討会議中間報告「新しい『国立大学法人』像について」
#(引用行頭の数字は、次のページにおける行番号を表す:
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/927-tkk-report.html[70-1-1] 関連情報ページ
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/doc/tkk-report.html
                                        ------------------------------

 [70-1-2] 報告書が強く志向する方向
                                        ------------------------------

[70-1-2-1] 組織業務

♯ 学外者を役員に加える。非常勤も可。
 328 ○ 役員には、学内からの登用にとどまらず、広く学外からも大学運営に高い
 329 見識を有する者や各分野の専門家を招聘する。必要に応じ非常勤とする。
 330 
 331 役員以外のスタッフにも、学外の幅広い分野から専門家を積極的に登用し、大
 332 学の諸機能を強化する。役員を始め大学運営のスタッフに、女性の積極的な登
 333 用を進める。

♯ 役員会(<重役会>)の設置 (C案 389 ))の方向を示唆
 353 ○ なお、運営組織の具体的な姿を検討する際の主な論点としては、
 354 
 355 ア)学外の有識者を、どの運営組織に、どのような身分・立場で、どの程度の
 356 比率で参画させるか、
 357 
 358 イ)教育研究者で構成される組織に、法人化後の経営面に関する責任を負わせ
 359 ることが適当かどうか、
   ♯(「教育研究者は大学運営の仕事から外す」方向)
 360 
 361 ウ)意思決定の過程で役員による合議を行う場合、正規の組織として役員会を
 362 設置すべきか、あるいは、事実上の組織として運用すれば足りるか、
  ♯(B案)でも、実質上の役員会を設置。
 363 
 364 などがある。
 365 
 366 ○ 上記論点を踏まえ、(別紙1)に示す各案について検討を行ったが、各案
 367 の主な特徴は、以下のとおりである。
・・・・
 379 (B案)
 380 
 381  ・役員に学外者が含まれるほか、審議機関である運営協議会(仮称)に相当
 382 程度の学外者が参画する。
 383 
 384  ・経営と教学は、運営協議会(仮称)と評議会が分担して審議するため、教
 385 員は経営責任を負わない。
 386 
 387  ・必要に応じ、事実上の役員会で合議した上で、学長が最終的な決定を行う。
 388 
 389 (C案)
 390 
 391  ・役員に相当程度の学外者が含まれる。そのほか、審議機関である評議会に
 392 は若干名の学外者が参画し、また、助言勧告機関である運営諮問会議は学外者
 393 のみで構成する。
 394 
 395  ・評議会で経営と教学を一体的に審議するため、教員が経営にも責任を負う。
 396 
 397  ・特定の重要事項は必ず正規の役員会で議決を行った上で、学長が最終的な
 398 決定を行う。
 399 
 400 
 401 ○ 本調査検討会議としては、上記(ア)〜(ウ)の論点を踏まえ、今後、
 402 (B案)又は(C案)を中心に、そのバリエーションも含め、引き続き検討を行
 403 う。

♯ 役員以外の運営組織にも学外の有識者の意見を反映させる:
 343 (ii) 国の直接的な関与を制限する代わりに、公的な財政支出に支えられる大
 344 学として、国民や社会に対するアカウンタビリティ重視の観点から、学外の有
 345 識者の意見を運営に積極的に反映させること、

♯ 業務として産学連携を強調。以下は、最終案の段階で唐突に挿入されたという: 
 485 ○ 特に、近年、大学の教育研究の活性化や新産業の創出等への期待から、産
 486 学官連携の必要性が強く指摘されており、大学自らの総合的・戦略的な判断に
 487 基づき、産学官連携を推進することが重要である。
 488 
 489  このため、法人化後の大学における産学官連携の在り方(リエゾン機能、
 490 TLO、インキュベーション業務、特許等知的所有権の管理など)については、
 491 各大学の主体的な判断により、事務組織の在り方等を含め弾力的・効果的な推
 492 進体制を整備することができるようにする。

♯ 他法人への出資の規制緩和
 496 ○ 業務の一部については、法人化後の国立大学とは別の法人に実施させるこ
 497 とにより、業務のアウトソーシングによる効率的な運営や弾力的な事業展開の
 498 実現、複数の出資者を募ることによる資金確保の途の拡大等に資することが期
 499 待できることから、業務の膨張への歯止めに留意しつつ、国立大学法人(仮称)
 500 からこれらの法人への出資も可能とする。
                                        ------------------------------

[70-1-2-2] 目標評価

♯ 中期目標:大学が提案した中期目標案を尊重して文部科学大臣が策定する方向へ。
♯ 706-708 は大学側の意見を配慮して挿入か。
 699 ○ 中期目標については、大学の教育研究の自主性・自律性を尊重する観点か
 700 ら、あらかじめ各大学が文部科学大臣に中期目標(案)を提案し、文部科学大
 701 臣は、これを十分に尊重しつつ、また、国の高等教育・学術研究に係るグラン
 702 ドデザイン等や各大学の定める長期目標との整合性に留意して、中期目標を策
 703 定する。各大学は、この中期目標に基づいて中期計画を作成し、文部科学大臣
 704 が認可する。
 705 
 706 ○ なお、大学の教育研究の自主性・自律性をできるだけ尊重する観点から、
 707 中期目標についても、各大学が作成し、文部科学大臣が認可するなどとすべき、
 708 との一部の意見もある。

♯ 次の2行は、国立大学法人の行政指導法を示している。
♯ 「任期付教員数を5倍にする」のような数値的中期目標・計画も有りうる。
 716 ○ 国、国立大学協会等は、中期目標・中期計画の形式及び内容について、大
 717 学の長期目標に沿った複数の参考例を提示することが望ましい。

♯ 「国立大学評価委員会」を文部科学省内に設置
♯ 総務省独立行政法人評価委員会の評価を受けるかどうかが不明
 789 ○ 国立大学法人(仮称)の特殊性及び国立大学法人(仮称)全体の規模の大
 790 きさ等を踏まえ、より効率的・効果的な評価を実施するため、文部科学省に、
 791 独立行政法人評価委員会とは別に、国立大学評価委員会(仮称)を設け、同委
 792 員会が各国立大学法人(仮称)の評価を行う。
 793 
 794 ○ 国立大学評価委員会(仮称)は、社会・経済・文化等の幅広い分野の有識
 795 者を含め、大学の教育研究や運営に関し高い識見を有する者から構成すること
 796 とし、その構成員の選任に当たっては、各分野において国際的水準の活動に従
 797 事した経験を有すること等を基本的な要件とする。なお、大学関係者について
 798 は、現に所属する又は過去に所属した大学の個別評価には参加できない。

♯ 評価結果を運営交付金等の算定に反映
 842 ○ 評価結果は、次期以降の中期目標期間における運営費交付金等の算定に反
 843 映させる。その際、競争的環境の醸成及び各大学の個性ある発展を促進する観
 844 点から、教育研究その他の業績に対する評価の結果を適切に反映した算定が行
 845 われなければならない。
                                        ------------------------------

[70-1-2-3] 人事制度

♯ 公務員型/非公務員型の決定は、できるだけ後回しにする。
♯ 非公務員型を望む大学側の声に「高待遇で著名研究者をリクルート」というも
♯ のがあるそうだが、多額の予算を貰っている大学の発言とすれば情けない。
 954 ○ 教職員の身分については、国家公務員の身分を付与する場合(公務員型)
 955 と付与しない場合(非公務員型)で、概ね次のような違いがある。
 956 
 957 ・公務員型 身分保障は、法律で規定。採用については、教員を除き原則とし
 958 て試験採用。兼職・兼業、政治的行為の制限等の服務については、原則として
 959 国家公務員法上の制約。争議行為は禁止。外国人の管理職への登用は原則不可。
 960 (ただし、給与や勤務時間等については、非公務員型と同様に、法人が基準等
 961 を決定)
 962 
 963 ・非公務員型 身分保障は、就業規則等において規定。採用は、法人の定める
 964 ルールにより採用。兼職・兼業、その他の服務に関しては、必要に応じ、就業
 965 規則等で規定。争議行為も可能。外国人の管理職への登用も可能。(ただし、
 966 収賄等の刑法の適用については、公務員と同様の扱い)
 967 
 968 ○ これまでの審議においては、(i)法人への円滑な移行を図るとともに、教
 969 員以外の職員を含め、大学間の交流を促進するため、職員の身分は公務員型と
 970 しつつ、一般公務員に比してより柔軟な人事制度の実現を図るべきという意見、
 971 (ii)採用その他におけるさらに柔軟な人事制度を実現するために非公務員型と
 972 すべきという意見、(iii)大学の特色等に応じて公務員型の大学と非公務員型
 973 の大学を決める仕組みの可能性を検討してはどうかとの意見、などがある。
 974 
 975 ○ しかし、法人化の理念を具現化する「あるべき大学教職員の人事制度」を
 976 構築するためには、教職員の身分については、ア・プリオリに公務員型、非公
 977 務員型を選択するのではなく、個別の制度設計を積み上げた最終結果として判
 978 断することが適当である。その判断に当たっては、より柔軟な人事制度の構築
 979 との観点とともに、教育研究が中長期的視点に立って行われることにも配慮す
 980 ることが必要である。

♯ 「教育公務員特例法」的なものを排除する方向
♯ 協力者である「有識者」達はユネスコ勧告[70-1-5-2]を知らないのかも知れない。
1008 この場合、法人化を契機に、各国立大学の特色や個性を−層伸ばすために、人
1009 事面においても各大学独自の工夫や方針を活かした柔軟な制度設計ができるだ
1010 け可能となるよう留意すべきである。

♯  学長の条件「教育研究に高い見識・優れた経営能力」。学識ではなく「見識」
♯ であれば、誰でもなれる。
1015 (学長の選考方法等)
1016 
1017 ○ 法人化後の国立大学の学長は、教育研究の拠点たる大学の代表者であると
1018 ともに、優れた経営者でなければならず、経営・教学双方の最終責任者として、
1019 学内コンセンサスに留意しつつ、強いリーダーシップと経営手腕を発揮するこ
1020 とが強く求められる。
1021 
1022  つまり、法人化後は、学長の見識・能力如何が大学の命運を大きく左右する
1023 ことにもなるわけであり、学長には、教育研究に高い見識を有すると同時に、
1024 法人運営の責任者としての優れた経営能力を有している者が選任される必要が
1025 ある。

♯  選考方法を決めるとき、選考するときも、学外意見を反映
1038 各大学における学長の選考基準、選考手続の策定に際して、学内及び社会(学
1039 外)の意見を反映させる仕組みとすべきである。また、同様の観点から、各大
1040 学における学長の具体の選考過程においても、学内及び社会(学外)の意見を
1041 反映させることを仕組みとすべきである。

♯ 文部科学大臣は学長を解任できる
1061 ○ 法人の長としての学長が不適任とされる場合には、一定の要件のもとで文
1062 部科学大臣が、学長の選考を行った機関の審査等の手続を経て解任できること
1063 とすることが必要である。

♯ 学部長等も含め、役員は、学長が任免
1090 ○ 学部長等の部局長は、学長が任免することとする。任免に当たっては、大
1091 学全体の運営方針を踏まえつつ、ダイナミックで機動的な学部運営が問われる
1092 法人化後の部局長の職務の性質等を踏まえた基準及び手続により行われるべき
1093 である。また、部局長の任期については、各大学において定めるものとする。

♯  任期制ポストへの異動を促進・任期付教職員
1174 ○ 教員の流動性を高めるため、任期付教員の給与を優遇する等、任期制ポス
1175 トヘの異動を促進するような給与体系を設ける。
1176 
1177 また、外部資金を活用した大規模な研究プロジェクトを推進するため、競争的
1178 研究費を、当該プロジェクトを担当する任期付教職員の人件費等に充当できる
1179 こととする。

♯ ワークシェアリング・裁量労働制
1217 ○ 教育研究に従事する教員の特殊性に鑑み、各大学において多様な勤務形態
1218 (例えば週3日勤務制などのワークシェアリング)を認めることが可能となる
1219 ようにすべきである。
1220 
1221 ○ 教員に関しては、その職務の多様性に鑑み、潜在的な能力を発揮しやすい
1222 ように、勤務時間管理の在り方を弾力的なものとし、例えば、一定の要件の下
1223 での裁量労働制の導入も可能にできるようにすべきである。

1241 ○ 外部資金の獲得に対する各大学の積極的な努力を促す観点から、外部資金
1242 (競争的研究費等)による教職員の新たな任用は、運営費交付金により人件費
1243 が措置される他の教職員の増員とは区別して考えるべきである。また、外部資
1244 金を活用した研究プロジェクトを推進するため、競争的研究費を、当該プロジェ
1245 クトを担当する任期付教職員の人件費に充当できることとする。
                                        ------------------------------

[70-1-2-4] 財務会計

♯ 運営費交付金算出方法:「標準運営費交付金」+「特定運営費交付金」
♯ 1316 「共通の算定方式」と 1326「弾力的な算定方式」の関係が不明。
♯ 1322 以下は「運営費交付金」ではなく「特定運営費交付金」とすべきではないか。
♯ この14行は非常に胡散臭い。  
1312 ○ 各大学に対する運営費交付金は、予算配分における透明性の確保や各大学
1313 の自主性・自律性の向上の観点、及び、特定の事業等の実施に適切に対応する
1314 観点から、次の(i)及び(ii)の額を加えたものとする。
1315 
1316 (i) 学生数等客観的な指標に基づく各大学に共通の算定方式により算出され
1317 た標準的な収入・支出額の収支差額(=標準運営費交付金)。
1318 
1319 (ii) 客観的な指標によることが困難な特定の事業等に対する所要額(=特定
1320 運営費交付金)
1321 
1322 ○ 運営費交付金には、競争的環境の醸成及び各大学の個性ある発展を促進す
1323 る観点から、中期計画終了後の各大学に対する第三者評価の結果等を適切に反
1324 映させるものとし、その具体的方法や手続についてさらに検討する。
1325 
1326 また、各大学・学部等の理念・目標・特色・条件等を踏まえた弾力的な運営費
1327 交付金の算定方法の可能性を考慮する。
1328 
1329 なお、運営費交付金の算定に用いる第三者評価の項目については、適切なもの
1330 となるよう慎重に検討するとともに、各大学の自主性・自律性が結果として大
1331 きく制約されることのないよう配慮する。

♯ 施設設備も、できれば自己収入・借入金で行え。
1361 ○ 国立大学の施設整備は、国家的な資産を形成するものであり、毎年度国か
1362 ら措置される施設費をもって基本的な財源とするが、財源の多様化や安定的な
1363 施設整備、自主性・自律性の向上等の観点から長期借入金や土地の処分収入そ
1364 の他の自己収入をもって整備することを可能とする。また、より効果的・効率
1365 的な整備を行うため、PFIによる施設整備の可能性も視野に置くべきである。


♯ 弁済できる見込みがあるのか?将来の民営化を見越していないか?
1367 (長期借入金)
1368 
1369 ○ 各大学における多様な財源確保の観点から、長期借入を行うことを可能とする。

♯ 国立大学特別会計の1兆円の赤字(病院建設のための財投からの借入金)を引き
♯ 継ぐことになる。JRは国鉄の累積赤字を引き継がなかったのはなぜか?
1418 ○ 現在、国立学校特別会計が有している長期借入金債務については、システ
1419 ムに承継させ、同システムが附属病院を有する大学からの拠出金をとりまとめ
1420 て償還するか、又は、附属病院を有する大学に承継させ、システムが償還金を
1421 とりまとめて償還することとする。


♯ 総務省から地方交付金として大学に資金が流れるのだろうか。
1425 (地方公共団体からの寄附)
1426 
1427 ○ 現在、地方財政再建促進特別措置法により禁じられている地方公共団体か
1428 らの寄附金等については、法律制定当時と現在との社会経済情勢の変化、国立
1429 大学の地方貢献の進展等の状況を踏まえ、一定の要件のもとに可能とすべきで
1430 ある。

♯ 大学の特性を踏まえた「基準を作る」のではなく「取り扱い」で済ます。
♯ 公認会計士の負担を増やさない配慮か。
1440 (7)会計基準等
1441 
1442 ○ 独立行政法人全般へ適用する会計基準については、既に「独立行政法人会
1443 計基準」が策定されているが、これを参考としつつ、大学の特性を踏まえた取
1444 扱いとすべきである。
                                        ------------------------------

[70-1-3] 関連報道
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/928-dgh-report-news.html
                                        ------------------------------

[70-1-3-1] ジャーナリズムへの希望
#(「国立大学等の独立行政法人化のための調査検討会議」は、文部科学大臣
の私的諮問機関に過ぎず、何かを決定する法的権限はない。また、当該会議に
は「合意形成」の形式は備えられておらず、中間報告作成に至る過程は不透明
で、その正当性に深い疑念を持つ国立大学関係委員は少なくない。こういった
事情を知っていながら(知らなければ記事を書く資格はない)、この会議の中
間報告を以て国立大学法人化が決まったかのような報道が多いのは、ジャーナ
リズムの存在理由を成す「正確な報道」・「背景知識の供与」という使命を失
念しているか、政府広報紙に退化しかけていることを証明するものである。記
者の方々の猛省を促したい。)
                                        ------------------------------

[70-1-3-2] 西日本新聞9月30日<直言曲言>「地方国立大学の”志”」
#(最近の報道の中では例外的に透徹した視点での発言)

 国立大法人化のあり方について、文部科学省の調査検討会議による中間報告
がまとまった。規制緩和によって大学の活性化を目指すのが骨子だが、その陰
で大学に対する文科省の管理も微妙に強まっている。

 例えば、大学ごとの中期目標に基づいて、第三者機関が大学の業績を”査定”
し、その結果に沿って文科省が交付金を増減させる。国が財布のひもを絞った
り緩めたりするのだ。管理とは違うが、企業からの委託研究費など、外部資金
の受け入れも奨励している。

 気になるのはこういう”改革”が、大学の本来の役割を果たすのに支障になら
ないか、という点だ。地域において国立大が果たすべき役割とは何かを考えると
き、九州には誇るべき先例がある。水俣病の病像解明を果たした熊本大医学部で
ある。

 水俣病の表面化以来、総力を挙げて原因究明に取り組み、紆余(うよ)曲折し
ながらも有機水銀説にたどりついた。それは原因企業チッソをかばう当時の通
産省=国にとって、決して面白くない研究だったに違いない。しかし熊本大医
学部は種々の圧力に耐えつつ、有機水銀説の正しさを実証し、胎児性患者の存
在をも明らかにした。

 この間、ある東京の有名大学の教授などは、自分からチッソに持ちかけて研
究費をもらい、有機水銀説を否定する研究結果を発表して事態を混乱させた。

 原因究明の最大の原動力となったのは、熊本大が地域の人々に対して抱いて
いた責任感だろう。また企業に対して距離を置ける国立大の特性が、プラスに
働いた面もあったのではないか。

 そう考えていくと、国の管理が強まり、企業との距離も縮まる大学改革の方
向性には、不安を感じざるを得ない。高い志を持つ大学人は今もたくさんいる。
大学改革は、その志を邪魔しないものであってほしい。(永)」
                                        ------------------------------

[70-1-3-3] 朝日新聞社説2001.10.1「大学の法人化―これが規制緩和なのか」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2630.htm
「・・・
 しかし、自主性・自律性は十分に尊重されているだろうか。報告を読むと首
をかしげたくなる。
 ・・・・
 運営組織の型を決め、目標と予算配分を文科省が押さえる。運用次第では規
制緩和どころか規制強化になりかねない。

 国立大学制度をどう考えるかは、専門的で難しい。大学の中でさえ関心を持
たない人が多いときく。研究室にこもり、社会の中の大学の役割を考えずにい
ることが、現在の沈滞を生んだのではないか。
 法人化は大学の体質を変える転機だ。それは好機にもなれば危機にもなる。
 文科省は国立大の再編・統合を大胆に進める「遠山プラン」を掲げている。
大学の存在意義を訴えようとするなら、まず学内での検討と活発な議論が必要
だ。」
                                        ------------------------------

[70-1-4] 詳細目次
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/927-tkk-report.html

 はじめに

 I 基本的な考え方

  36 1.検討の前提
  39 前提1:「大学改革の推進」
  63 前提2:「国立大学の使命」
  92 前提3:「自主性・自律性」

 116 2.検討の視点
 119 視点1:世界水準の教育研究の展開を目指した個性豊かな大学へ
 140 視点2:国民や社会へのアカウンタビリティの重視と競争原理の導入
 162 視点3:経営責任の明確化による機動的・戦略的な大学運営の実現


 181 II 組織業務

 183 1.検討の視点
 186 視点1:学長・学部長を中心とするダイナミックで機動的な運営体制の確立
 206 視点2:学外者の参画による社会に開かれた運営システムの実現
 219 視点3:各大学の個性や工夫が活かせる柔軟な組織編成と多彩な活動の展開

 241 2.制度設計の方針
 243 (1)法人の基本
 245 (法人の単位)
 252 (法人の名称)
 262 (大学の設置者)
 270 (教育研究施設)
 276 (施設への出資)
 283 (根拠法)

 290 (2)運営組織
 292 (法人組織と大学組織)
 300 (役 員)
 335 (役員以外の運営組織)
 369 (A案)
 379 (B案)
 389 (C案)
 405 (事務組織)
 417 (学部等の運営)

 426 (3)その他の組織
 428 (教育研究組織)
 446 (職員配置・構成)

 454 (4)目的・業務
 456 (目的)
 462 (業務)
 470 (業務の範囲)
 494 (他の法人への出資)
 502 (収益事業)
 509 (学生定員)
 515 (業務方法書)
 521 (移行方法)

 528 (別紙1)
 530 (A案)従来の評議会に代わり、経営・教学の両面にわたり・・・
 547 (B案)教学面に責任を負う評議会と並んで、・・・
 570 (C案)教学・経営の両面にわたり特定の重要事項に関し、・・・

 597 III 目標評価

 599 1.検討の視点
 602 視点1:明確な理念・目標の設定による各大学の個性の伸張
 612 視点2:第三者評価による教育研究の質の向上と競争的環境の醸成
 628 視点3:目標、評価結果等の情報公開によるアカウンタビリティの確保

 642 2.制度設計の方針
 644 (1)国のグランドデザイン等と大学の長期目標
 646 (国のグランドデザイン等)
 652 (大学の長期目標)
 661 (システム全体の基本的な考え方)

 668 (2)中期目標・中期計画等
 670 (中期目標・中期計画の性格)
 687 (中期目標・中期計画の期間)
 697 (中期目標・中期計画の作成手続き)
 719 (中期目標・中期計画の内容)
 765 (年度計画)

 770 (3)評価
 772 (基本的な考え方)
 787 (評価の主体)
 812 (評価の内容・方法・手続き)
 834 (評価結果の活用)
 861 (各年度の業務の実績に関する評価)

 872 (4)情報公開

 887 IV 人事制度

 889 1.検討の視点
 892 視点1:教員の多彩な活動を可能とする人事システムの弾力化
 912 視点2:成果・業績に対する厳正な評価システムの導入とインセンティヴの付与
 933 視点3:国際競争に対応しうる教員の多様性・流動性の拡大と適任者の幅広い登用

 950 2.制度設計の方針
 952 (1)身分
 957 ・公務員型
 963 ・非公務員型

 989 (2)選考・任免等
 991 (大学における人事の自主性・自律性)
1015 (学長の選考方法等)
1066 (他の役員、部局長の選考方法等)
1096 (教員の任免等)
1124 (教員以外の職員人事の在り方)

1157 (3)給与

1182 (4)服務・勤務時間
1184 (服務等の考え方)
1198 (兼職・兼業)
1215 (勤務時間管理)

1225 (5)人員管理
1227 (中長期的な計画に基づく人員管理)
1239 (外部資金を活用した教職員の任用)

1248 V 財務会計制度

1250 1.検討の視点
1253 視点1:教育研究等の第三者評価の結果等に基づく資源配分
1261 視点2:各大学独自の方針・工夫が活かせる財務システムの弾力化
1283 視点3:財務面における説明責任の遂行と社会的信頼性の確保

1294 2.制度設計の方針
1296 (1)中期計画と予算

1308 (2)運営費交付金
1310 (運営費交付金の算出方法)
1336 (自己収入の取り扱い)
1348 (学生納付金の取り扱い)

1357 (3)施設整備費
1359 (財源)
1367 (長期借入金)
1371 (不用財産処分)
1376 (長期借入等を行うシステムの構築)
1382 (施設整備の仕組み)

1400 (4)土地・建物
1402 (移行時の措置)
1410 (土地・建物の処分収入の取り扱い)

1416 (5)長期借入金債務

1423 (6)寄附金等
1425 (地方公共団体からの寄附)
1432 (税制上の取り扱い)

1440 (7)会計基準等

1450 VI 大学共同利用機関

1452 1.検討の視点

1464 視点1:学術研究をさらに発展させる観点からの制度設計
1473 視点2:大学や研究者コミュニティに開かれた運営システムの確保

1482 2.制度設計の方針(国立大学の場合と特に異なる点)
1484 (1)組織業務
1486 (法人の単位)
1491 (法人の名称)
1498 (根拠法)
1506 (役員)
1519 (役員以外の運営組織)
1526 (研究組織)
1535 (法人の目的)

1541 (2)目標評価

1553 (3)人事制度

1562 (4)財務会計制度
1564 (運営費交付金の算出方法)

1572 (5)その他
1574 (総合研究大学院大学との関係について)
1581 (機構の形態をとる大学共同利用機関について)

1592 (別紙2)

1614 VII .関連するその他の課題

1621 (1)国としての長期的な高等教育・学術研究政策やグランドデザインの策定
1623 (2)国立大学の大胆な再編・統合の推進のための基本的な考え方の整理・・
1626 (3)各地域における国立大学と公立大学・地方公共団体、私立大学との・・
1629 (4)第三者評価の結果を踏まえたいわゆる「国公私トップ30」・・・
1632 (5)公立大学に法人格を付与する場合の具体的な在り方
                                        ------------------------------

[70-1-5] 連絡調整委員会議事要旨より教育公務員特例法に関する意見
第2回2001/08/09
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/006/gijiroku/005/010801.htm

「・・・・教育公務員特例法の運用面での色々な問題があることは承知してい
るが、それはまさに各大学における運用の問題であり、教育公務員特例法が規
定しているものは、憲法の学問の自由を保証するというものの国家権力の関わ
りの中において、国立大学の教官には特にそれを問題にしなければいけないと
いうことで置かれている規定であると思う。・・・・その点は私は譲るわけに
はいかない。・・・」

#(次は教育公務員特例法撤廃を主張する委員の意見。「全部国につけをまわ
して勝手なことができる」のは中央省庁・大企業・大銀行とばかり思っていた
のだが。そもそも、この「有識者」はユネスコの勧告[70-1-5-2]を知っている
のだろうか。「仕事がより複雑になるほど、外的な報酬によって仕事の質が傷
つけられることも多くなる」という研究報告[47-11-3]について知らないのだ
ろうか。人海戦術で成果が上がる創造性をそれほど必要としない限られた分野
ばかりを優遇する体制を大学全体に導入することが、日本にとってどういう意
味を持つか、考えが及ばないのだろうか。)

「・・・・したがって、戦時中の国家権力が横暴を極めた時代、そういう教訓
の中で国立大学の教員があまりにも過保護である。そのためにほとんど良い意
味での競争原理が働かなくなってしまう。今回は給与によって色々と弾力化す
るということがあるが、一度任用されれば、よほどのことでもなければ教育公
務員特例法によって保護され、いわば人員の移動は全くできない。いかにシス
テムとして今後学長を中心とする運営形態、トップの方はかなり流動化して社
会の風が入ったとしても、肝心の国立大学のボトムの部分がものすごく硬直し、
また、学問の自由や自律性、大学の自治を隠れ蓑にして、いわば全部国につけ
をまわして勝手なことができるのが今の国立大学のシステムであり、そういう
国立大学を変えようというのが今回の目的であったのではないか。・・・・こ
の法律(教育公務員特例法)自体を護持したまま、国立大学を動かそうとして
も大学が活性化するとは思わない。・・・・また、私はできればA、B、Cで
はなく、この委員会としてはC案で統一していただきたいということをお願い
しておきたい。」
                                        ------------------------------

[70-1-5-1] 教育公務員特例法
http://www.normanet.ne.jp/~hourei/h001R/s240112h001.htm
                                        ------------------------------

[70-1-5-2] ユネスコ「高等教育教職員の地位に関する勧告」
http://zendaikyo.or.jp/daigaku/unescoyaku.htm

「46.終身在職権及びそれと同等な適用可能な権利を含む専門的職業におけ
る雇用保障は、高等教育や高等教育教職員の利益にとって必要不可欠なものと
して確保しなければならない。これは、厳しい評価によって引き続き雇用され
ている高等教育教職員が解雇されるのは、その専門的理由でそれなりの過程に
おいてのみであることを保証するものである。さらにまた、真実の財政的理由
からという場合もあり得るが、そのためには、全ての財政的内容が公的調査に
対して開示されており、機関が雇用の終了を防ぐすべての代替手段を尽くして
おり、雇用の終了のいかなる手続きにおける偏見をも防ぐ法的な保障が存在し
ていなければならない。終身在職権及びそれと同等な適用可能な権利は、高等
教育機関やその内部組織、又は制度に変化が生じた場合にもできる限り確保さ
れなければならないものであり、妥当な使用期間が終了した後、教育及び/又
は学問及び/又は研究において明白に規定された、学術団体の満足のいくよう
な目標基準にかなう者、及び/又はその高等教育機関の満足のいくエクステン
ションワークにおいて示された基準に達した者に与えられなければならない。」
                                        ------------------------------

[70-1-6] 文部科学省調査検討会議『中間報告(案)』分析メモ Ver. 1
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010822netmemo.htm
                  ━━━━━━━━━━━━━━━━━

[70-2] ◆新しい「国立大学法人」像について(中間報告)』に対する意見募集について
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2001/010901.htm
「
・期限     平成13年10月29日(月)
・提出方法   郵便・電子メール
・提出先   〒100-8959   東京都千代田区霞が関3ー2ー2
      文部科学省高等教育局大学課大学改革推進室宛
      メールアドレス   hojinka@mext.go.jp
【提出様式】
『新しい「国立大学法人」像について(中間報告)』に対する意見
1. 氏   名:
2. 会社名/部署名又は学校名:
3. 住   所:
4. 電話番号:
5. 意   見:
注) 電子媒体提出の場合はテキストファイル。
提出意見(記載内容)は、住所、電話番号を除き、公表される可能性があり
問合先:文部科学省高等教育局大学課大学改革推進室
03(5253)4111   (代表)   内線3305」
                                        ------------------------------

[70-2-1] 文部科学省作成:「国立大学法人」制度の概要 2001.09.27
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010927houjinogaoyou.htm

「国立大学法人」制度の概要

(i)「大学ごとに法人化」し、自律的な運営を確保}
・国の行政組織の一部 → 各大学に独立した法人格を付与
・各大学ごとの理念・目標、計画を策定し、これに基づき運営
・予算、組織等の規制は大幅に縮小し、大学の責任で決定
・産学官連携など多彩な事業を、大学の判断で弾力的に展開

(ii)「民間的発想」のマネジメント手法を導入}
・「経営」の権限と責任の所在を学長等の役員に明確化
・全学的観点から資源を最大限に活用した戦略的な経営
・自己収入拡大など経営努力にインセンティブを付与
・組織・業務の一部を柔軟にアウトソーシング・出資

(iii)「学外者の参画」による運営システムを制度化}
・「学外役員制度」(学外有識者・専門家を役員に招聘)を導入
・役員以外の運営組織にも学外者の参加を制度化
・学外者の意見も反映して学長の選考方法を改善

(iv)「能力主義」人事を徹底(非公務員化も含め更に検討)}
・能力・業績に応じた給与システムを各大学の責任で導入
・兼職・兼業等の規制を緩和し、能力・成果を社会に還元
・任期制・公募制の積極的導入方法等を中期計画で明確化
・事務職を含め学長の任命権の下での全学的な人事を実現

(v)「第三者評価」の導入による事後チェック方式に移行}
・大学の教育研究実績を第三者機関により評価・チェック
・第三者評価の結果を、大学への資源配分に確実に反映
・評価結果、財務内容、教育研究等の情報を広く公表

       ↓
 
「国立大学法人法」を制定し、できるだけ早期に移行

(注)独立行政法人との違い
・「学外役員制度」など学外者の運営参画を制度化
・客観的で信頼性の高い独自の評価システムを導入 
・学長選考や目標設定で大学の特性・自主性を考慮

                  ━━━━━━━━━━━━━━━━━

[70-3] 国大協臨時理事会2001.9.27:臨時国立大学協会総会10月29-30日
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2623.htm

「去る9月27日に国大協臨時理事会が開催され、席上、文科省の「中間報告」
が資料とし て配布された。臨時理事会は、以下のことを確認したと伝えられ
ている。

1.文科省「中間報告」に対する会長談話を一両日中(27日から数えて)に発
表する。談話の内容は、
「(1)一定評価できるが、学問の自由、大学の自主・自立性に ついては不満
 である。あいまい・不明確な点については、今後検討して意見を述べる。
 (2)国大協と相談なく一方的に出された遠山プランは国大協の信頼を揺るが
 し、大 学内に混乱を招いている。今後は十分相談の上、進めて頂きたい。」
 ということにな ろう。

2.臨時国大協総会を10月29-30日開催する。総会においては、「中間報告」
について の理事会見解が諮られる。」

[70-3-1] 国大協会長談話「『新しい「国立大学法人」像』の中間報告等について」
http://zendaikyo.or.jp/dokuhouka/zendaikyo/tyukantaisyou.htm
#(遠山プランの内容への批判はなく、手続きだけを批判している。文部科学
省が国立大学協会に断りもなく決めたことが相互の信頼関係を揺るがせる、と
いう批判は、旧文部省の国立大学政策全体が国立大学協会の支持を得て進めら
れてきたことを日本社会に向けて証言したものだ。この声明により、この談話
により国立大学協会は、従来の国立大学政策について文部省と共同責任(当事
者として、より重い責任)を負うことになったことを認識しているのだろうか。)
                  ━━━━━━━━━━━━━━━━━

[70-4] ◆討論集会「国立大の『独立』行政法人化は真に大学の独立性を高めるか」
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/meeting.html
日時 2001年10月5日 12時30分〜15時30分
場所 衆議院第一議員会館 第一会議室  (地下鉄「国会議事堂前」すぐ)
主催 国立大学独法化阻止全国ネットワーク (代表 山住 正己)
   事務局 佐賀大学理工学部 豊島耕一
     0952-28-8845,toyo@cc.saga-u.ac.jp
     ホームページ http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet.html

協力 東京大学職員組合,日本科学者会議

賛同議員(いろは順,敬称略 各党・会派に依頼中)
   石井郁子,保坂展人,川田 悦子,紙 智子,山内 恵子,福島 瑞穂

場所 衆議院第一議員会館 第一会議室  (地下鉄「国会議事堂前」すぐ)
プログラム,レジュメ
前半 約90分 意見表明
 あいさつ  山住正己(全国ネット代表)
 意見表明1 川田悦子議員(国会日程のため繰り上げ)
     http://www.kawada.com/etsuko/
 報告  豊島耕一(全国ネット事務局長,
     レジュメver.2 「4年で価値規範は変わらない」)
     http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/meeting105/toyoshima.html
 意見表明2 保坂展人議員
     http://www.ne.jp/asahi/hosaka/nobuto/
 意見表明3 未定(共産党から)
 意見表明4 (民主党,申し入れ中)
 意見表明5 大学院生の立場から
 意見表明6 学生の立場から
      休憩10分 
後半 約80分 討論

趣旨

国立大学の独立行政法人化(独法化)や,「トップ30大学構想」などがメディ
ア上ですでに当然のこと,決まったことのように扱われていますが,独法化に
ついてはまだ法律案さえできておらず,後者についても文部科学省のアドバルー
ンの段階に過ぎません.どちらも大学における学問の自由を左右しかねない重
大な問題を含んでいるにもかかわらず,大学関係者はすでにこれに「どう対応
するか」だけに汲々としはじめています.

しかしはたして「独立」行政法人化はその名前のとおり大学の独立性を高める
ものでしょうか.そして「トップ30大学構想」は大学の教育と研究を本当に
レベルアップするものなのでしょうか.独法化のもとでは,大学が従来自主的
に決めてきた運営の基本方針が「中期目標」として文部科学省に指示されるこ
とになります.また「トップ30大学構想」とは,ルールを役所が決め,そし
て役所が審判員となる「政府主催の大学レース」に国公私立すべての大学が巻
き込まれていくことになりかねません.

いずれも大学の自主性を殺ぎ,官僚支配をより一層強めていく恐れがあります.
にも拘わらず,十分な議論がなされているとはとても言えない状態です.国民
の多くは,国立大学の独法化とは一体何なのか,まだほとんど知らないのでは
ないでしょうか.

私たちは,先の参議院選挙に際して,この政策について賛否を問うアンケート
を全政党と候補者に実施しましたが,最大与党の自民党を含め,ほとんどの政
党はまだ態度を決めていないか,または反対の立場を表明され,賛成を表明さ
れたのは3つの党にとどまりました.このことは,まさにこの問題がこれから
国民的な議論によってその是非を論じる段階にあることを示しており,「すで
に決まったこと,動かし難いこと」という態度そのものが国会無視,国民無視
であると言わなければなりません.

大学のありようがわが国の将来を大きく左右するということについては,どな
たも異論はないと思います.今回のような大きな制度の改変を,十分な吟味も
なく,スケジュールに追われ,あるいは文部科学省主導のやりかたを容認する
とすれば,そして何よりも一般の国民がこの問題を十分理解することなく事が
運ばれるとすれば,将来に大変な禍根を残すことになるでしょう.党派や立場
をこえての率直な意見交換こそが今最も必要とされているのではないでしょう
か.政治家・市民・学生・大学教職員のすべての皆様に集会への参加を訴えま
す.

主催者の私たち「国立大学独法化阻止全国ネットワーク」には多くの大学関係
者が参加しており,教育・研究の現場からの率直な意見をお知らせすることで,
討論に大いに貢献したいと思っています.
(Ver. 1.2 - 26/9/01)」

                  ━━━━━━━━━━━━━━━━━

[70-5] 報道

[70-5-1] 共同通信速報(2001.9.26):日本育英会の廃止検討を 自民部会が提言
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=YGT&PG=STORY&NGID=APOL&NWID=A1182610
「自民党の行政改革推進本部は二十六日午後、政調会の文教、環境、財政金融
の三部会から、特殊法人と認可法人の廃止・民営化に関するヒアリングを行っ
た。
 文教部会は、奨学金事業を行っている日本育英会の廃止を検討するよう提言。
ただ、高校生向けの奨学金は、地方に移管して事業を残すよう求めた。・・・・」

                  ━━━━━━━━━━━━━━━━━

[70-6] 引用

[70-6-1] 塙 武郎「アメリカにおける高等教育行財政について−州立大学の法的地位と
ガバナンス構造を中心に」1999.10.09
http://quoniam2.social.tsukuba.ac.jp/yamane/ISST/tokyo/19991009.html
#(アメリカの州立大学が法人格を附与されていながら、州政府関係当局・学
外者による大学理事会で管理・運営されることを指摘し、法人格を得ること自
体は組織的・機能的優秀性とは無関係であることを著者は注意している。)

                                        ------------------------------

[70-6-2] Business Week誌 2000「21世紀企業のマネジメント」
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1485/past_0008s.html
#(20世紀企業と21世紀企業のマネジメントの比較があり、その中に
         20世紀企業   21世紀企業
組織・・・・・・・ピラミッド型 対 ウェブ型orネットワーク型
戦略・・・・・・・トップダウン 対 ボトムアップ
リーダシップ・・・独断的    対 鼓舞・激励的
モチベーション・・競争すること 対 創ること

という部分ある。国立大学に前世紀型のマネジメントを導入しようと躍起になっ
ている官僚と「有識者」達が日本を動かしているのだから日本に国際競争力が
ないのは当然かも知れない。)

                                        ------------------------------

[70-6-3] キュニコスHPより
http://www.mine.ne.jp/takko/index.html
                                        ------------------------------

[70-6-3-1] ビル・レディングズ『廃虚のなかの大学』を読む
第十五回学習会 2001.7.27 
http://www.mine.ne.jp/takko/sub.15.html
「・・・現在、日本で読まれるべき本。日本の大学の近未来像を論じているか
のようである。報告者によれば、この著作をまとめてから、たまたま『文部科
学教育通信』の7月24日号の表紙をみたら「地域医療に貢献するエクセレント
 ドクターを育成する」というタイトルがついている、既に日本でも「エクセ
レンス」を主張するようになってきているので驚いた、ということだ。イギリ
ス、アメリカ、カナダにおいてこうした本がでて、これだけ「エクセレンス」
が無意味である、と論じられているにもかかわらず、これを模倣して利用する
のは、呆れたことだ。同じ雑誌の大学審議会「審議の概要」をみると、さかん
にグローバル化、人材の開発といった単語が目につく。つまり大学は「経済の
グローバル化による人材の開発機関」になろうとしているのである。さらにそ
こで用いられている「開発」「展開」「向上」といった単語はすべてdevelop
の訳語、卓越した、はexcellentの訳語なのではないか。」
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[70-6-3-2] 上野千鶴子『ナショナリズムとジェンダー』を読む
第十四回学習会 2001.7.6 
http://www.mine.ne.jp/takko/sub.14.html
「・・・著者は別の箇所で福祉国家を、国家の管理下におかれるから、という
理由で嫌悪している。しかし、この福祉によって助かる人が存在する。ないと
困る人々がいる。 確かに福祉国家は生殖管理国家となった経緯もあるから、
無闇に肯定できるものではない。だからといって19世紀リベラリズムにおいて
は機能していた福祉的なるものを一端国家が吸い上げた以上、それを現在になっ
て元に戻せというのは不可能だ。そういう機能が社会自体にほとんど存在して
いない。共働きの家の子供を面倒みてくれるような地域社会があるところは数
少ない。経済面でも、精神面、あるいは肉体においても強い人間ばかり存在し
ているのではない。」

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つと思われる情報(主に新聞報道・オンライン資料・文献・講演会記録等)へ
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